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Ⅰ自称「健康スポーツマン」の心疾患Ⅱ心疾患とAnaerobic Threshold

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Academic year: 2021

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102 傷部位も落ちつぎ,いよいよ失明状態について本人に 告知すべきrかどうかで迷ったが,私達は少年の心の動 揺を考えて,最後までそのことには触れず少年が自ら 自分の左眼の状態を理解するまで待つことにした.多 感な思春期にある少年に対し,左眼失明ということを 告知すべきか否かに賛否両論あると思われる.平成2 年1月に義眼も着用し,今は学校へも登校しているよ うであるが,やはり精神的な回復は完全ではないよう である. 本症例での問題点としては,①スポーツ時の眼鏡使 用の是非,②本人への症状の告知の問題,③退院後の 精神的フォローアップ等があげられるが,特に②と③ については,雑多な日々の中で1人の患者に費す時間 は限られているが,医師として,時間をかけて慎重に 解決すべきである問題だと考える. 13.スポーツ心臓の形態と機能について (成人医学センター)小堀 悦孝・ 岡田 澄子・永田まこと・岳 マチ子・ 堀江 俊伸・斗酒 武雄・渋谷 実 スポーツマンの心拡大は古くから指摘されている が,それが生理的肥大あるいは拡張であるのか,病的 現象によるものか等については,依然として解決され ていない.今回演者らは,一流アイスホッケー選手(以 下選手群)を対象として,心エコニ図法・安静時循環 動態測定を施行し,スポーツ心臓の形態と機能につき 従来知られていない知見を得たので報告する. 形態的特徴:選手群24名(平均年齢23.6±3.2歳)と 対応年齢の健常男子9名を対照とし心エコー図を記 録.選手群では中隔厚9.5±1.4mm(m±SD),左室後 壁厚8.6土1.1mmで対照群と比較して有意差なく,左 室内径は拡張末期径57。5±2.5mm,収縮末期径39.1± 4.3mmで対照群に比し有意に大であった,なお左房 径,左室重量も有意に大であった. 安静時循環動態:イヤピース法による色素希釈法に より同選手群の心拍出量および循環時間を測定し対照 群と比較した.選手群の心係数3.11/分,1回掃出係数 6.5ml/m2,平均循環時間30.8秒で,対照群に比し心係 数少,1回訳出量大,循環時間の著明な延長がみられ, 同様の結果は他年度および他のホッケーチームの選手 群にもみられ再現性が認められた。 考案:選手群では左室・左房径が有意に増大し,左 室壁厚の増大傾向も認められた.等張的にも等尺的に も高い強度に分類されるアイスホッケーにおいては, 圧負荷と容量負荷が同時に働いて,左室の肥大および 拡張が生じることは十分予想され,今回の結果はこの 考え方を支持するものであった, 安静時心拍出量軽度減少,1回拍出量大,循環時間 延長は一見心不全と類似.安静時の心機能低下はス ポーツ心臓が病的現象であることを示唆するのか,循 環時間延長=中心血液量(前負荷)増大と考え運動面 の高心拍出量を容易にする合目的的なメカニズムであ るのか興味の持たれる所である. 14.1自称「健康スポーツマン」の心疾患 II心疾患とAnaerobic Threshold (循環器内科)川越 康博・ 木村 暢孝・金子 昇・田中 徹・ 木全 心一・広沢弘七郎・細田 瑳一 1 自称「健康スポーツマン」の心疾患 目的:最近中高年のスポーツ人口は増加傾向にある が,運動中の心臓病の急性発症は,突然死を含めて, 大きな社会問題となっている.そこで中高年の自称「健 康スポーツマン」の潜在性心疾患の検出を試みた. 対象および方法:都内某スポーツクラブ会員6000人 より,希望により154例(男性107例,女性47例,29∼66 歳,平均47.2歳)を対象とした.方法は理学的所見, 胸部レ線像,安静時ECG,運動負荷ECG(80%亜最大) を施行し,必要に応じホルターECG,心エコー図を追 加した. 結果: 1.明らかな心疾患:スポーツ禁止かつ心精査およ び治療が必要例.合計4例(3%).僧帽弁狭窄症,肥 大型心筋症,心室性頻拍症,RonT型心室性期外収縮 各1例. 2.軽度の異常心:運動量軽減等の注意および精査 必要例.合計23例(15%),第2度房室ブロック1例, 完全右脚ブロック1例,左心室肥大6例,右心室肥大 2例,心筋障害2例,運動負荷後ST−T部有意低下(水 平型0.1mV以上,接合部型0.2mV以上)7例,多発性 心室性期外収縮(6/分以上)4例. 総括:中高年の自称「健康スポーツマン」には,明 らかな心疾患が3%も含まれており,この内2例は突 然死に至る可能性のある重症不整脈であった.また運 動量軽減等の注意の必要性のある異常心が15%も潜在 した,以上より健康と思っているスポーツマンでも運 動負荷心電図を含めた心疾患のメディカルチェック は,重要かっ有用と考えられた. II 心疾患とaraerobic threshold(AT) 最近慢性心不全状態の評価に,quality of life(生活 一986一

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103 の快適さ)の概念が導入されて来た.この内の日常生 活での活動性の評価は,従来運動負荷試験における心 電図のST−T部の変化にて判定して来たが,これは心 筋の虚血を検出しているのであって,体の心要とする (酸素化した)血液を心がどこまで駆出できるかを示 す,心の予備能力の指標ではない.最近開発されて来 た呼気ガス分析によるATがこの指標となりつつあ る.その特長は,①客観的評価,②最:大面素論耐量と 良く相関,③安全性が高い,④非観血的,⑤呼吸器疾 患の合併が無ければ正確に判定できる,⑥呼吸器,血 液,末梢血管,内分泌などの疾愚がなければ,心予備 能および運動器能力のパラメーターとなりうる,であ る.そこで今回このATと心弁膜症での自覚的および 客観的重症度との関連を検討した. 対象および方法:MS 35例, MR 20例, AR 23例,

健常人8例を対象とした.自覚的重症度はNYHAの

心機能分類を用い,客観的重:症度は両心カテーテル検 査による安静時血行動態パラメーターを用いた.

結果:1.ATはMS,MR, ARにおいて,NYHA分

類の重症度をよく反映した(p<0.01).2,ATはMS では各重症度パラメーター(PCW, mPA, MVG, MVA, TPR等)と良く相関した(p〈0.01)が, MR, ARでは関連はほとんど無かった. 総括:ATはMSでは自覚的重症度だけでなく,血 行動態上の重症度を示す指標となりうるが,MR, AR においては自覚的重症度を良く反映したが,安静時血 行動態とは関連が無かった. 15.運動時の嫌気性代謝が尿酸代謝に及ぼす影響に ついて一Anaerobi¢Thresholdを用いた検討一 (リウマチ痛風センター)山中 寿・ 谷口 敦夫・鎌谷直之・西岡久寿樹 (循環器内科)川越 康博・木村 暢孝・ 木全 心一・細田 瑳一 緒言:高尿酸血症を来す機序には,1)腎における 尿酸排泄の低下,2)尿酸の過剰産生の二つの要素が ある.激しい運動後にみられる一過性の高尿酸血症の 原因にはこの双方が関与している.まず,筋運動によ り産生された乳酸は腎において尿酸の排泄を阻害し, 高尿酸血症を来すが,同時に運動時にはATPなどの プリン・ヌクレオチド分解による尿酸の過剰産生も起 こっていることが示されている.激しい運動は痛風発 作の誘因になることから痛風患者にも何らかの運動量 の指導が望まれているが,現在まで適正運動量(負荷 量)の検討は行われていない.血中乳酸が増加しない 負荷量であれぽ尿酸の排泄は抑制されないから,この 意味では1actate threshold以下の運動が望ましいが, 一方の尿酸の過剰産生がどの程度の運動量で起こるか については検討されていない.そこで我々は運動負荷 量と尿酸過剰産生の関係をanaerobic threshold(AT) 前後における血漿ヒポキサンチンにより判定すること を試みた. 方法:健康成人男性3名を対象として,自転車戸ル ゴメーター負荷を行い,呼気ガス分析によってATを 求めると共に,静脈ラインから経時的に採血を行い, 血中乳酸,血漿ヒポキサンチソ,尿酸などを測定した, 結果ならびに考察:3症例とも漸増負荷開始後馬10 分でATに達したが,その直後より血中乳酸が上昇を 始め,これは運動負荷中止後速やかに下降した.尿酸 の前駆物質であるヒポキサンチンは血中乳酸の上昇よ りも明らかに遅れてAT以後に上昇することが示さ れた.また同一検者にATを越えない強度の運動を長 時間続けた場合の血漿ヒポキサンチンも検討したが, AT以下の運動負荷量では血漿ヒポキサンチンは増加 しないことが示された.即ち,嫌気的代謝の開始と同 時にプリンヌクレオチドの過剰分解が起こり,結果的 に尿酸の過剰産生につながっているものと考えられ

た.嫌気的条件下ではADPをATPに変換する高エ

ネルギーリン酸が十分に供給されず,細胞内では ATPの低下を防ぐためにアデニレートキナーゼより

2分子のADPをATPとAMPに変換する反応が起

こる.この時産生されるAMPは筋肉中に豊富に存在

するAMPデアミナーゼにより直ちにIMPに変換さ

れ,さらにイノシン,ヒポキサンチン,キサンチンを 経てこれらの物質の最終産物である尿酸まで代謝され る.これがATを越える運動負荷により尿酸の前駆体 であるヒポキサンチンが増加する機序と考えられる. 以上の結果より,AT以下の負荷量の運動であれば, 乳酸産生に伴う尿酸の排泄低下も,プリン・ヌクレオ チド分解による尿酸過剰産生も起こらず,したがって 高尿酸血症が起こらないことが確認された.今後,こ の科学的事実を臨床的に,痛風患者の生活指導に応用 する予定である. 一987一

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