東京外国語大学論集第76号(2008)
エジプト人目本譜学習者に対する音声教育
アラビア語カイロ方言の特徴ヒ日本語破裂罷/p/の指導
HananRafikMohamed はじめに
1.エジプト人目本譜学習者の音声の問題 2.日本語破裂音/p/の習得上の問題とその指導方法 3.2005年度の授業実践と成果
4.考察と今後の課題
はじめに
エジプト人外国語学習者の音声上の問題点として、以前から無声両唇破裂音/p/と母音が知 られている。LehnandSlager(1983)はエジプト人英語学習者にとって、母語であるアラビア 語において音素対立のない/p/と/b/の弁別、母語の音素数が少ない母音の弁別が困難であると
述べている。三浦(1991,1992)もアラブ人日本語学習者の日本語習得上の問題点が、短母音
/e/:/i/、/u/:/0/と/p/であることを指摘している。Hanan(1988,1999)もまた、アラブ人
の中であるエジプト人日本語学習者の短母音・長母音や/p/の問題点について論じている。こ れらの音声上の問題は、学習者の母語(アラビア語)の干渉によるものである。
一般的に、鮎】畢(1999)が述べるように、学習者の母語の音声特徴は日本語音声習得に影響
する。これらの学習上の困難点は、対照分析によって学習者の母語と目標言語の構造を比較・
対照し、類似点と相違点を発見することにより予測できる(bdo1957、長友1995)。もちろん 母語干渉以外にも多くの要因が関わっているが(鹿島2003、戸田2001、2003)、Hanan(1988,
1999,2(X裕)、ハナーン・鮎澤(2004)の研究はエジプト人学習者の日本語音声習得上の問題点 のほとんどは対照分析によって説明できることを示している。
たとえば、Hanan(1988,19渕)は、アラビア語カイロ方言において、/t/,/k/には対立する 有声の/d/,/g/があるため、これら破裂音の習得には困難が伴わないが、有声両唇破裂音/b/
には対立する無声両唇破裂音がないため弁別上の問題が起き、また、拗音と直音、母音の前の 撥音、促音の問題も同様に予測できると述べている。アクセントについてはHanan(2006)、
ハナーン・鮎澤(2(氾4)がアラビア語カイロ方言と東京語のアクセントを比較し、東京語の高
低アクセントの習得が難しいことを論じている。日本語教育にあたってより良い音声指導のた