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英語の音声教育と音声研究

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Academic year: 2021

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(1)

英語の音声教育と音声研究

(2)

英語の音声教育の問題点

„

初級段階での不十分な指導

„

初級向けの良い発音教材がない

„

きちんとした発音を学びたいという動機(付

け)の欠如

その結果、自己流の発音が固まってしまい、

後での矯正が困難になっている。(大学で

音声学を学んでも焼け石に水)

(3)

初級段階での不十分な指導

„ 入門期の発音指導では、一部の困難と思われる 音素以外は扱われない(時間不足のため?) ⇒ 残りの音素は自習するしかないが、教材がない ため実行されない „ アクセント/イントネーションの指導は殆ど皆無 ← 教員の側の知識にも問題がある ← 日英語対照プロソディーの研究が未成熟で、英 語音声学の教科書を見ても全ての英語教員が 把握できるレベルになっていない

(4)

初級向けの良い発音教材がない

„ 検定済み教科書は殆ど発音の説明がない „ 学習用英和辞典の発音解説にも、的確なものと そうでないものがある。 „ 検定済み教科書に gloss が付いているために、中学 段階で辞書を買う人も少ない(英語学習全般の問題) „ 市販の発音学習本は(音声の専門家が書いてい ないため?)必ず何らかの誤りを含んでおり、信 頼性が低い „ 荒唐無稽な“新説”を振りかざす「トンデモ本」も数多く ある

(5)

きちんとした発音を学びたいとい

う動機(付け)の欠如

„ 仮に入門期できちんと発音を学ぶことができても、 それを継続して使い続ける生徒がどれほどいる のか? „ 普通の授業や試験では「発音がいいこと」による メリットなし(むしろ、周囲からの同化圧力の方が 強い?) „ 大学入試センター試験へのリスニングテスト導入 で今後は変わる? „ 但し、リスニングの必要性が自らの発音重視に直結 するとは限らない

(6)

なすべきこと

„ 入門期の発音指導に対する発想の転換(全ての 音素を教えて全体像を見せる) ←検定教科書の内容を充実させるか、初級用の (内容の正しい)発音教材の提供 „ 教員の知識水準の向上 ←教員養成上の問題 ←既存の教員の再研修の問題 いずれにしても、英語音声学の入門書の質を向上 させる必要がある

(7)

英語音声研究の課題

„

日英語対照音声学をもっと押し進める必

要がある

„

目標言語である英語の発音の現状の把握

„

学習者の日本語の発音の実態の把握

„

学習者の英語発音の実態の把握

(8)

目標言語である英語の発音の

現状の把握

„

暗黙のうちに「アメリカ発音」がモデルとさ

れている

„

しかし、アメリカ発音の記述的研究は本国

では盛んでない

„

ESL指導用の発音モデルはあるが、音素

に関しては実態との乖離も指摘される。プ

ロソディーに関しては体系的記述はほとん

どない

(9)

目標言語である英語の発音の

現状の把握

„ ラボブ(Bill Labov)らによる『北米英語地図』 (2006)の刊行により、音素記述のレベルは向上 した „ Buckeye Corpus などが構築され、連続音声の 実態を調査する環境は整いつつある

„ プロソディーに関しては、ToBI (Tone and Break

Index) による理論的研究が進んでいる

いずれも、学習用記述にどのように取り入れるかが これからの問題

(10)

目標言語である英語の発音の

現状の把握

„ イギリス発音の方が、継続的に Gimson’s Pronunciation of English が改訂されるなど、記 述は整備されている(但し、RPの一枚岩は徐々 に崩れつつある) ※現状では、入門段階を超えた英語音声学を学ぶには、イ ギリスの教材を使わざるを得ない。アメリカ発音指向の日 本としては「ねじれ」が存在している。 „ アメリカ発音をモデルとするのがいいのかどうか?

Lingua Franca Core など、学習発音の単純化も提唱さ れている

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学習者の日本語の発音の実態

の把握

„ 英語の発音を教えるのにどの点に注目するべきかを知 るためにも不可欠 „ 「古典的」な日本語発音の知識では、的外れな指導をし てしまう可能性がある „ /s/ を [θ] で発音する傾向 „ 母音間の /d/ を [ð] で発音する傾向など „ 「日本語話しことばコーパス(Corpus of Spontaneous Japanese)」が構築され、環境は整いつつある

(12)

学習者の英語発音の実態の把

„ これは入門期の指導には直接関係はないが、現 に発音指導が不十分なまま進んでしまった大多 数の学習者の発音を向上させるための基礎資 料として不可欠 „ 従来は、英語発音/音声学の書籍の執筆者の 経験則による記述が行われてきた。私自身の 『日本人のための英語音声学レッスン』も例外で はない より客観的な記述が望まれる

(13)

学習者の英語発音の実態の把

„ 英語の他の部分では「学習者コーパス」が構築さ れ利用されているが、発音については立ち後れ ている „ 既存の電子テキストを取り込んでしまえばよい文 字コーパスと違い、音声コーパスに関しては、音 声学の技能を持った人が手作業で転写を行わな ければならない。これだけでも困難な作業となる „ 母語コーパスと違い、学習者コーパスでは何が 出てくるのか予想が付きにくいため、転写は更に 困難である

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学習者の英語発音の実態の把

„ 学習者の音声を録音した「音声データベース」な ら存在する。(主に工学的目的のために収録) „ そのようなものの一つとして、東大工学部が中心 になって収録した「英語学習者音声データベース (English Learner’s Speech Database)」がある。

„ これは日本各地の大学生が、TIMIT音素バラン

ス文を中心とした単文を読み上げて録音したも の。同じ文を多人数が録音しているため、モデル 音声とのずれの変異も観察できる。

(15)

学習者の英語発音の実態の把

„ 「英語学習者音声データベース」を基にした学習 者音声コーパスの構築を開始している „ 予備的調査として、75文を表記して音素の置き 換えパターンを観察した。 „ 子音:語末で破裂音が摩擦音化するなど、日本 語からの転移とは言い難い現象も観察されてい る „ 母音:/ɪ/ の3分の2が [i] で発音され、/æ/ を正 しく発音できているのは2割に過ぎないこと、「母 音の後のr」は16%しかrの音色を保っていない ことなどが分かった

(16)

学習者の英語発音の実態の把

„ 今後は世界的に標準となりつつある、XML文書 で転写を行っていく。ツールは(子供の音声を コーパス化する CHILDESプロジェクトと関係の 深い) Phon を用いる(他に、ELAN などもある) „ 大学生以外の話者の音声を扱う必要性、自発的 音声を扱う必要性(英語スピーキングテストSST を基にした NICT JLE コーパスの活用など)につ いては、今後の検討課題

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参照

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