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『サ イ ラス ・マーナー』の主 人公か ら学ぶ 高齢 期 の生 きが い につ い て

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『 サ イ ラス ・マーナー』の主 人公か ら学ぶ 高齢 期 の生 きが い につ い て

小 野 ゆ き 子

1は じ め に

本稿 を書 くにあ た り、私 が 「 高 齢期 の生 きが い」 につい て関心 を持 った 経 緯に少 々触 れてお きたい。

10年 ほ ど前 であ ろ うか。 「 定年退 職後 の高齢者 の生 きがいや ボケ」 な ど、

高齢 者 に関わる諸 問題 をマス メデ ィアが取 り上 げる ようになった頃であ る。

当時、私 の両親 は84歳 と78歳 の高齢 後期 に入 っていた。彼 らの心 配 は世 の 中 で取 り沙汰 され てい るボケの状態 に 自分 たちが陥 って は大変 と考 え る一 方 で、絶対 に私 た ちはその よ うな状態 にはな らない とい う 自信 の よ うな も の を持 っていた。 しか し好 む と好 まざる とに関わ らず、何 かの きっかけで、

自 らが 自らをボケの状 態 に追 いや る場 合 もあれば、周 囲 に よってボケ の状 態 に追い込 まれ る場 合 もあ る。 どん なに教育 程度 が高 い人 であ ろ うと も、

どんなに多 くの趣 味 を持 ってい る人で も、 また手 先 の仕事 をまめ にや る人 で も、 目的意識 を持 って生 きてい ない限 り、 ボケの可能性 か ら逃 れ る こと は出来 ないのだ とい うこ とを両 親の生 活 を通 して知 った。

「 人」 とい う文字 がお互 い を支 えあ うこ とを意味す る ように、両親 も約50 年 間お互 い を頼 りに生 きて きた。 そ う した夫婦 生活 に、 あ る 日突然起 こっ た配偶 者 の死 は、残 された者 の人生 を思 って もみなか った方向 に変 え て し

まう。

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80歳 前後 の年齢 は、身近 な人 との永遠の別 れが多 くな る時期 で ある。私 の 母 の場合 も、前年 に親友 を亡 くし、気持 ちが落 ち込 んで いた。それ に追い 討 ち をかけ る ように、夫 の突然の死 であ る。彼女 の気 が動転 したの も当然 であ る。 父が死 んでか らは、母 は生活す る こと全般 にわたって 自信 をな く

し、先 の人生 に、何 の 目的 も楽 しみ も持 たな くなった。

人 間 は、何 か 目的 が あ るか らこそ人生 を楽 し く生 き られ るの であ って、

その 目標 を見 出せ な くなったそ の時 か ら、気 は落 ち込み、 精神 的に は欝 の 状態 になる よ うであ る。多 くの場合、 家族、友 人 に励 まされ、何 とか精 神 の最 悪 の危機 を脱す るの だが、母 の場合 は、 それ は望 めず 、誰 を も彼 女 の 心 の 奥に まで、入 り込む こ とが 出来 なか った。 当人 自らが そ うした最 悪 の 状 況か ら、抜 け出す 方法 を見つ け出 さない 限 り、す なわち明 日を生 きる 目 標 を見つ け出 さない限 り、正常 な生活 にす ら戻 るこ とは出来 ない。 私 には 母 を失意 の どん底 か ら救 い 出す方法が なか なか見 つか らなか った。

母 はそれ まで好 んでや ってい た読書 や趣味 の多 くを、 自 らの生活 か ら抹 消 して しまった。母 と同 じよ うな趣味 であ?て も、 自分 がその状況 か ら逃 げ出す ことに よって他 人 に迷 惑 をかけた り、 あ るい はそれに よる収 入が少 しで もあ る場 合 は、 責任 上 、 自分が嫌 だか らとい ってその状 況 か ら逃 げ出 す ような勝 手 な行動 は出来 ない はず であ る。 しか し、単 なる趣 味の場合 は、

自分 の都 合 で 自由 に どうにで もなる。嫌 だ と思 った らや らな くて も他 人 に 迷惑 をかけ る心配 な どない。気 楽 とい えば気楽 で はあ る。 しか しい ったん 自分 に甘 えが 出て、 前向 きに生 きる行動 を維持 で きな くなる と、 人 に もよ るが 、 自分 で立 ち上がれ な くなって しま う場 合 もあ る。

母 は楽 しみ な どない闇 の生 活 に、入 り込 んで しまった。一・ 日中黙 りこん で、家 か ら一歩 も出ない 。だ んだん と足 腰 は弱 り、 その うちに床 か ら起 き 上 がれ な くなった。周 りの人 との会話 も少 な くな り、 その結果 、言葉 に よ

る表現力 が見 る見 る うちに衰 えてい った。

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて55 彼 女 に社 会 と繋 が りの あ る、 何 か趣 味 を超 え た もの、 わ ず らわ し くて も何

らか の 義務 感 を伴 う ものが あ っ た な ら、 彼 女 の 晩 年 は大 き く変 わ っ て い た で あ ろ う と想像 す る。

こ う した 経 験 か ら、 高 齢 期 の 知 的精 神 生 活 を支 え る もの は何 か 、 そ れ は 生 きが い と な る もの を見 つ け る とい う こ とか 、 ま た生 きが い を 高齢 に な っ て も維 持 す る た め に は 、 い わ ゆ る生 涯 教 育 とい う もの は 有 効 な の か を真 剣

に考 え る よ うに な っ た 。専 門 的 に学 ん で み よ う と、4年 程 前 に、 大 学 院 で

「生 涯 教 育」 を専 攻 した 。 そ の修 士2年 の 間 で私 な りに 出 した 結 論 は、 高 齢 期 を よ りよ く生 きる た め に は、 何 らか の社 会 的 責 任 を伴 う仕 事 か 、周 囲 に 公 言 す る生 活 の 目標 を持 ち 、 人生 にお け る 「真 の生 きが い」 を見 出す こ と が 、 い か に大 切 で あ るか とい う こ とで あ る。

今 まで 、 英 文学 にの み持 っ て きた 関 心 を生 涯 教 育 に も向 け 、 か つ 英 文 学 の 中 に書 か れ た作 中 人 物 の生 き方 に 、 生 涯 教 育 の大 切 さ を見 出 して い きた い と試 み た。 これ が 本 稿 を書 く動 機 で あ る。

2高 齢 者 の 生 き が い

生 きが い とは具体 的 に ど うい う こ と を意 味す るの か 。 「生 きが い を持 つ こ とは良 い こ とだ」 と口 で は簡 単 に言 え るが 、 実 際 に は、 そ の 生 きが い を見 出 す こ とは難 し く、 特 に高 齢 期 に は い っ た 人 々 に とっ て は 、 なか なか 見 つ か りに くい もの で あ る 。 高齢 期 に な っ て 、 生 きが い が 見 つ か らな い ま ま生 きて い る の は、 母 の場 合 も含 め 、 悲 しい ば か りか、 精 神 的 に もそ の 人 を だ め に して い く。 生 きが いが ない こ とが 原 因 とな っ て 、 家 に 引 きこ も りが ち とな れ ば、 身体 の 機 能 は衰 えて い くで あ ろ う し、 寝 た き りに な る とい う こ と も考 え られ る。 自分 以 外 の 人 との会 話 が 少 な くな れ ば な る ほ ど、 脳 の 働 きは鈍 くな り、 そ れ が 原 因 で廃 用 型 痴 呆1(脳 を使 わ な くな る こ とに よ る老 人 の ボ ケ)に な りや す くもな る。 現 在1世 間 で 言 わ れ て い る痴 呆 の ほ とん

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どが 、 脳 を使 わ な い こ とに よ って 生 じる この 廃用 型 痴 呆 で 、 全 体 の約90%

を 占 め て い る。 残 りの10%が 血 管 性の病 気 に よ る痴 呆(4.8%)と 二 次性 痴 呆(2.4%)、 側 頭 葉 性 健 忘 症(1.7%〉 な どで 、 世 間が 心 配 す る ア ル ツハ イ マ ー病 は、 僅 か1.1%に す ぎ ない2。 単 に脳 や 身 体 を使 わ な い こ とに よ る老 人性 痴 呆 が 多 くな る こ とは大 きな社 会 問 題 で あ る。

現 在 、 日本 人 の平 均 寿 命 は伸 び続 け、 人生80年 時 代 を迎 え た 。 この 半 世 紀 で、30年 以 上 寿 命 が 伸 び た。 国連 の 定 義 に よ る と、65歳 以上 の 人 口が 全 体 の7%を 超 えた 社 会 を高齢 化 社 会 とい うが 、 「厚 生 労 働 省 の 人 口動 態 統 計 に よ る と、 日本 の65歳 以 上 の 人 口が2010年 に は20%に 近 づ き、 しば ら くは 3000万 人 前 後 を維 持 す る こ とに な る とい う。 しか も、100歳 以 上 が1995年 に6378人 で あ っ た の が 、2000年 に は13036人 ま で伸 び て い る3」。 ま さに 高 齢 化 社 会 とい う よ り、 「高 齢 社 会 」 で あ る。

この 高 齢 社 会 に お い て は 、60歳 か ら65歳 で 定 年 を迎 え 、 あ とはお まけ の 人生 と考 え るの は、 人生50年 の 時代 な ら と もか く、今 の 時 代 に は向 か ない 。 そ れ な ら定 年 や 子 育 て終 了 後 の 人 生 を どの よ うに生 きた ら よい か 、 何 に生

きが い を見 出 す べ きか 。 これ が 本 論 の テ ー マ で あ る。 子 育 て 、 あ る い は家 族 の た め に働 くとい った 重 責 で は な く と も、 社 会 との 関 わ りを何 らか の 形 で持 っ た 第 二 の 人生 を送 るべ きで あ ろ う。 関 わ りを持 つ とい う こ と は大 な り小 な り、 権 利 義 務 の 関 係 を生 じた り、 ル ー ル を守 る な どの社 会 的 制 約 を 受 け た りす る。 なぜ そ こ に制 約 が 必 要 な の か。 制 約 が あ れ ば 、 そ れ を守 る た め に 人 間 は努 力 す る し、 そ の た め に は 身体 も脳 も使 う。 社 会 と関 わ る こ とに よっ て 、 使 わ な けれ ば急 速 に衰 えて い く人 間の 身体 や 脳 の老 化 を 防 ぐ こ と もで きる。

しか し、 今 、60歳 以 降 か らの 長 い 人生 を、 い きい き と生 きて い る人 の 数 は、 まだ ま だ少 ない 。 急 速 に高 齢 化 が 進 ん だ た め、 高 齢 者 に とって どの よ うな生 き方 をす るの が 、 満足 の い く人 生 を送 る こ とに な るの か 、社 会 も個

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて57

人 も戸 惑 っ た ま ま、 試 行 錯 誤 の状 態 が続 い て い るの が 現状 だ と考 え られ る。

電 車 の 中 で交 わ され る高齢 者 同士 の会 話 を時 々耳 にす るが 、 「次 の旅 行 は ど こに 行 こ うか」 や 「日本 経 済 の 立 て直 しは ど う した ら よい か 」 な ど前 向 きな話 題 よ りも、 「か らだ の調 子 が 悪 い」 話 や 、 高 齢 期 にな っ て痴 呆 に な る こ とを恐 れ る あ ま り、 「周 りの 人 々 に迷惑 をか け な い うち に死 ん だ ほ うが 良 い 」 な ど とい っ た後 向 きの 会 話 が 多 い の が気 に な る。 「生 きが い」 な ど、 そ の会 話 の なか に見 出す こ とは難 しい。

ス ケ ジ ュ ー ル が ぎっ し り詰 ま っ た、 ど ち らか とい う と、 余 暇 を見 出す こ とが 困 難 な ほ どの忙 しい生 活 を送 っ て い た 人 た ち が 、 子育 て を終 了 した 頃 か ら、 また は退職 した そ の 翌 日か ら、「24時間す べ て あ な た の もの です か ら、

自由 に使 い な さ い」 と言 わ れ た 時 、 仕 事 、 子 育 て に代 わ る生 きが いが 急 に 見 つ か らず戸 惑 っ て しま う。

若 い 時 か ら、 仕 事 と余 暇 をバ ラ ンス 良 く こ な し て きた 人 は別 で あ るが 、

「大 変 だ」 とい い なが ら も、 仕 事 や子 育 て が気 づ か な い うち に、 「生 きが い」

に な っ てい た 人 た ち は多 い 。忙 しい 仕 事 の 合 間 を見 つ け て 、趣 味 や 楽 しみ を持 つ こ とは喜 び につ なが るが 、 丸0日 す べ て の 時 間 を趣 味 だ け で生 きる の は楽 しみ とい う よ りもむ しろ苦 痛 に な る 時 さ え あ る。 学 生 時 代 の 定 期 試 験 の 際 に、 この 試 験 が 終 わ っ た ら、 「あ れ も し よ う」、 「これ も し よ う」 と思 い なが ら、 終 わ っ て し ま う と、 「いつ で もで きる」 とい う こ とか ら、 や ろ う と思 っ て い た こ とが 、 ど うで も良 くな っ て し ま っ た とい う経 験 と、 相 通 じ る よ うに思 わ れ る。

さて、 「24時間が 自由 に使 え る」 とは、 忙 しい 立場 に身 を置 い て い る 人 に は、 う らや ま し く聞 こ え る言 葉 で あ る が 、 何 の社 会 的 制 約 も な い た め に、

自分 で 自分 を コ ン トロー ル しな け れ ば な ら ない 。 そ れ も1週 間 や1ヶ 月 な ら ま だ し も、 生 きて い る間 ず っ とで あ る 。 制 約 が な け れ ば 、 と もす る と、 自 分 に甘 くな り、規 則 正 しい健 康 的 な生 活 が 送 れ な くな る可 能性 もあ る。 仮

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に趣 味 を多 く持 ってい ると して も、毎 日を趣味 だけで埋 め るのは難 しい。

社会 の一員 と して何か社会 の役 に立 つ こと、結 果 と して社 会 か ら何 らか の評価 を受 け るこ とが 出来 る ものが あれ ば、それが社 会的制約 とな り、 そ れ を行 うための向上心 も高 まる とい う利 点があ る。 同 じ人間の一生 な ら自 分 に とって 「 何 が真 の幸せ か」 を考 え、 自分 な りに幸福 を追求 し歩 む こ と が 出来 る よ うに なれ ば、 それが 生 きが い とな る。加 えて時代 と共 に生 き、

新 しい時代 を作 り上 げ る側 に立 って生 きる ことが 出来 れ ば、 それ はなお有 意義 な、生 きがいあ る入生 となるであ ろ う。

ブ ッシュ米 国大統 領が票 集め のため に、高齢 者が多 く住 む フロ リダに行 った こ とは記憶 に新 しい 。ア メ リカ退職者協 会が 「ダメ」 と圧力 をかけ て い る法案 はめ ったに議会 を通過 しない ため、政治家 は高齢 者 の意 向 を無視 出来 ない。 す なわち高齢 者の意見 が政治 に よ く反映 されてい る とい うこと であ る。 自分た ちの居場所 は 自分 たちの力 と考 えで守 る とい う姿勢 であ る。

またケ ネデ ィ元大統領の言葉、 「 社会が 自分 たちのために何か をやって くれ るの を待 つの では な く、 自分 た ちが社 会 のため に何 をす る こ とが 出来 るか を考 えよ う」 も、 自分 の人生 を有意 義 に過 ごす ための大切 な基 本姿勢 を述 べ た言葉 として思 い出され る。

3日 本 に お け る 平 均 的 な 高 齢 者 の 生 き 方

さ て60歳 以 上 の半 数 が テ レ ビ は必 需 品 で あ る と考 えて い る。 高 齢 者の 生 活 意 識 に 関 す る1995年 総 務 庁(現 総 務 省)の 調 査 に よる と、 「約2500人

(65歳 以 上 、 うち80歳 以 上286人)の う ち女 性77、8%、 男性81:4%が テ レ ビ を見 る こ と を楽 しみ と して い る。 次 い で、 新 聞 、 雑 誌 を読 む こ と(そ れ ぞ れ 、28.4%/47.2%)、 旅 行(29.5%/31.8%)で あ る4。 ま たNHK放 送 文 化 研 究 所 の 最 新 の 資 料 か ら 日本 人 の 平 均 的 テ レ ビ視 聴 の実 態 を調 べ た 結 果 を 見 る と、 「NHKの 総 合 は60代 で2時 間弱 、70代 以 上 で、2時 間20分 程 度 、民

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて5g 放 テ レビ系 は60代 、70代 以 上 と もに、3時 間前 後5」 で あ る。単 純 に計 算 す る と、NHKと 民 放 を合 わせ て 総 計5時 間 か ら5時 間20分 とな っ て い る。 こ の統 計 を見 る 限 りで は 、高 齢 者 に と っ て テ レ ビ を見 る こ とは、 生 活 の大 き な一 部 に な っ て い る よ うに思 わ れ るが 、 か な らず し も喜 ん で 見 て い る人 ば か りで は な く、 テ レビが つ い て い る と、 自分 以 外 の 人 の 動 きを感 じられ る の で安 心 とい う人 もい る。

この 他 に、 カ ルチ ャー セ ン ター に行 っ た り、 ボ ラ ンテ ィア活 動 に参 加 し た り、 シルバ ー 人 材 セ ンター に名 前 を登 録 した りと、 い ろ い ろ 参加 して は み る もの の 、 仕 事 一 筋 に生 きて きた 人 々 に とっ て(特 に 男 性 の場 合 で あ る が)、 そ れ らは緊 張 感 が 伴 わ ないせ い か 、必 ず し も満足 で きる もの で は な い よ うで あ る。場 を提 供 す る側 に も試 行 錯 誤 の面 が あ り、 高 齢者 の真 の 生 き が い に ど うつ な げ る か 考 慮 不 足 の 点 も見 られ る。 高 齢 者 側 も、 た だ興 味 本 位 で 、 何 を学 び 、 そ れ を どの よ うに 自分 の 生 きが い につ な げ て い くか 意 識

して い な い場 合 も多 い。

上 記 の よ うな 定 年 後 の 高齢 者 の生 活 状 況 は 、 日本 人 の 国民 性 に起 因 す る もの と も考 え られ る。 日本 人 の性 格 の特 徴 を表 す もの と して、 興 味 深 い記 事 を読 ん だ こ とが あ る。 客 船 が 沈 没 しか け た時 、 乗 客 の 数 だ け の救 命 ボ ー トが な い こ とに気 づ い た 船 長 が 、 乗 客 に 「救 命 ボ ー トに は全 員 は、 乗 れ な い た め 何 人 か は 海 に飛 び 込 み 、 助 け を待 つ 必 要 が あ る」 旨 を伝 え よ う と し た。 そ れ ぞ れ の乗 客 の 国民 性 に あ った 説 得 の仕 方 を試 み た 。 日本 人 に対 し て は、 「他 の 皆 さんが 飛 び込 まれ ます よ」 とい っ て、 納 得 させ よ う と した と い う笑 い話 で あ る。 これ か ら もわ か る よ うに、 日本 人 は確 か に皆 と同 じ行 動 を して い れ ば安 心 とい っ た 国 民性 が あ る。 定 年 を 間近 に ひ か え た 人 、 定 年 退職 後 問 もない 人 は 口 をそ ろ え て 「定 年 後 は悠 悠 自適 の生 活 を送 りたい 」

と言 う。 上 記 の 数 字 が示 す よ うに 、 テ レビ を見 て0日 の 大 半 を過 ごす こ と も、皆 と同 じ行 動 な の で あ る。 カル チ ャー セ ン ター に行 っ た り、 ボ ラ ンテ

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イア活動 を した りす るの も同様 であ ろ う。社 会 に もそ うした状 況 を肯 定す る傾 向が あ る。 いつ まで もこ う した状 況 を続 け てい て良い ので あ ろ うか。

これか らは高齢者 がそれぞ れの真 の生 きが い を追求 で きる社 会 の実現 をめ ざすべ きであ ろ う。 国や 自治体 の計 画の なかにい ろいろ な生 き方 を支援す る具体 的 な施策 が織 り込 まれ る こ とを期 待 したい。 また高齢 者 自 らが、 そ の計画 を立 てる段 階か ら積極 的に参加 してい くことが望 まれ る。

ここで、 よ り豊か な高齢 期 の過 ごし方 を研 究す る学問 「 老年学」 につい て簡単 に触 れてみたい。

4老 年 学 と は

老年学 とは、 日本社 会の高齢化 よ り一足先 の1970年 に高 齢化社 会 を迎 え たアメ リカで、 ミシガ ン大 学の大学院博士課程 に、 「 教育老 年学」 とい う講 座が 開かれたのが始 ま りであ る。

アメ リカの教 育老 年学 の第一 人者 とされ てい るデ ビ ッ ド ・ピー ター ソ ン (Peterson,D.A.)に よれ ば、 「1980年に教 育老年学 を、 高齢者 の生 活 を向 上 させ るた めにエ イジ ング(加 齢 、老化)と 教 育 に関す る知識 を拡 張 ・応 用 してい く試 み として とらえるよ うになった6」 とい う。教育老 年学 の中で 研究 されるべ きものは、「 高齢者 の置かれ てい る状況 を理解す る」「 高齢者 の 置かれてい る社 会的不利益 状況 に関す る一般市 民の認識 を深 める」 「 学校教 育 にお ける高齢 者問題 のプ ログ ラム開発」 「 マ スメデ ィアを通 しての高齢者 に対す るス テ レオ タイプの是正」 「 家族員 に対す る高齢者 問題 に関す る情報 提供」「 高齢 者へ のサー ビスやプ ログ ラム開発 に必要 な知識 ・技能 の把握 」7 な どとされ ている。

人間の一生 を幼年期 、青年期 、 中年期 、老年期 と、4期 に分 けてみ る。幼 年期 は措 くとして、それぞれの期 にあ わせ た教 育 につい て考 えてみ よ う。

青年期の教育 は、 「 知識 や経験 の不 十分 さを知 って、 それ らを補 い身 につ

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サ イ ラス ・マ ー ナ ー 』 の 主 人 公 か ら学 ぶ 高齢 期 の生 きが い につ い て61

け て い こ う とす る ・・… ・将 来 へ の準 備8」 の た め の教 育 であ る。 中年 期 の教 育 で は 「個 々 の 生 活 環 境 に応 じた社 会 的 役 割 に よ る 課 題 の ウ ェ イ トが 増 し・・… ・当面 の 課 題 に結 びつ く9」勉 強 が 必 要 で あ る。現 在 自分 の お か れ て い る状 況 を 自分 な りに把 握 し、 そ れ を充 実 させ 、 更 な る発 展 を学 ぶ こ とを 目的 とす る。 す な わ ち 、青 年期 、 中 年期 の 教 育 は、 そ の 教 育 内容 を生 か し、

実 社 会 にお い て実 践 応 用 を可 能 にす るた め の教 育 で あ る。

人生50年 の 時 代 で は 、 こ う した 青 年 期 や 中年 期 まで の教 育 内 容 を生 か し て い く過 程 で 、 人 生 が 終 わ っ て い た。 そ の た め 、 老 年 期 の 教 育 は必 要 な か った 。 しか し、 医学 の 進 歩 と共 に寿 命 が 延 び た今 で も、 教 育 は、 中年 期 ま で の 内容 に と ど ま り、 そ れ か ら先 の教 育 が な さ れ て い な い 。 そ れ か ら先 の 老 年 期 は、 「お つ りの 人生 」 と考 え られ て い たか らであ る。

高 齢 期 に入 りか か っ た 、 ま た は高 齢 期 に あ る人 々 に対 す る、 生 きが い の あ る人 生 を送 るた め の教 育 は、 日本 の社 会 で は まだ 準 備 が 始 ま っ た ば か り で あ る。

時 期 が 来 れ ば 、 子 供 は成 長 し、 子 育 て は終 了 す る。 よ っ て子 育 て 終 了 時 期 は人 生50年 の時 代 とあ ま り変 わ っ て い な い。 また 仕 事 に お い て も、 定 年 退 職 制 度 が しか れ て い る 日本 の社 会 で は 、暦 年 齢 だ け の理 由 で 、 第 一線 を 退 か ざ る を得 な い 。 そ の定 年 退 職 年 齢 も、 以 前 とあ ま り変 わ っ て い な い 。

む しろ 昔 の 方 が 人 生 が 短 か っ た分 だ け、 生 きて い る 間 は ほ ぼ仕 事 につ い て い る こ とが 出 来 た と言 え よ う。

ダ ク ラス ・H・ パ ウ ェ ル(Powell ,D.H.)は 「最 適 の老 化 とは 、 肉体 認 知 能力 ・ 社 会 性、 心 理 状 態 を、 出 来 る だ け長 期 に わ た っ て 、維 持 す る こ と に他 な らな いlo」「さ ま ざ ま な体験 を 自 ら進 んで 受 け入 れ る こ とが 出来 る 高 齢 者 は・ 変 わ り映 え の しな い 日 々 を送 って い る高 齢 者 よ り、 認 知 能力 テ ス トにお い て高 い得 点 を得 る こ とが 出来 る11」 とい う。 さ ら に彼 は、 まだ 機 能 を若 返 らせ る こ とが で きる能 力 を持 っ た 高齢 期 前 期 、 な らび に高 齢 期 後

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期 の 入たちの一部 に対 して 「こ うした人 々が必要 と して い るの は、労働 の 機 会 と動 機づ け と、意欲 に他 な らない。高齢 であ りなが らなお働 くこ とは、

困難 な こ とか も しれ ない。 だが、 そ うす る ことによって、私 たちは、人生 の最後 の4分 の1を 精一杯生 き抜 く可能性 を高め る ことが出来 る12」と説 明 してい る。す なわち、心 身 ともに健 康 な人 は意 欲 を持 って働 きな さい と言 ってい るのであ る。確 か に、 ア メ リカでは、年齢 を理 由 に した解 雇 は法律 に よって禁 止 されてお り、仕事 を辞 め る時期 は、必 ず しも問題 が ないわ け で はないが、会社 や社 会が決 め るので はな く、 本人が、辞 めたい、辞 め な

くて は と判断 した ときに辞め る とい う社 会通念 にな ってい る。

青年 期、 中年期 の教育 が実社会 におい て実践応 用 を可 能 にす る こ とが 出 来 る ように計画 された教育 で あ るよ うに、 老年期の教育 は、高齢者 に とっ て人生最後 の部 分 を どの よ うに生 きが い を持 って生 き抜 くか 、そ して 自分 が抱 いて きた 目標 の 自己達成(自 己実現)を 目指 して学ぶ ための教育 とし て位 置づけ られ よ う。

人 間 の 生 き方 、 特 に高 齢 者 の 生 きが い あ る生 き方 に つ い ての 示 唆 の ひ と つ を、19世 紀 の イ ギ リス の作 家 ジ ョー ジ ・エ リオ ッ ト(GeorgeEliot)の

作 品 『サ イ ラス ・マ ー ナ ー 』(Spas‑Marraer)13の 主 人 公 サ イ ラス の生 涯 に 見 出す こ とが 出 来 る。 サ イ ラス の 変 化 に富 ん だ 人生 の 中 か ら、現 代 社 会 に 生 き る高 齢 者が 生 きが い を探 る た め の 指針 を引 き出 す こ とが 出 来 れ ば と考 え て い る。

5ジ ョ ー ジ ・ エ リ オ ッ ト に つ い て

『サ イ ラ ス ・マ ー ナ ー 』(1861年)の 著 者 ジ ョー ジ ・エ リ オ ッ トは 本 名 を メ ア リ ・ア ン ・エ ヴ ァ ンス(MaryAnnEvans)と い う。 当 時 、 女 性 と い う だ け で 作 家 と し て は 軽 く見 られ て し ま う た め 、 男 性 名 ジ ョー ジ を 名 乗 っ

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ポサイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生 きがいについて63 た 。

エ リ オ ッ ト は1819年 に イ ギ リ ス 中 西 部 地 方 の ウ ォ ー ウ ィ ッ ク 州 (Warwickshire)の 北 部 ナ ニ ー ト ン(Nuneaton)の 近 くの ア ー ベ リ ー ・ フ ァー ム(ArburyFarm)に 生 れ る 。 父 親 は 土 地 管 理 人 で 、 前 妻 と の 問 に2人 、 後 妻 との 間 に3人 の 子 を も う け た 。 エ リ オ ッ トは 後 妻 と の 間 に 生 れ た 末 っ 子 で あ る 。

彼 女 が9歳 の 時 に転 校 し た 学 校 で は 福 音 主 義 者 の ミス ・マ ラ イ ア ・ル イ ス(MissMariaLewis)の 影 響 を 強 く受 け 、 熱 心 な 信 仰 者 で あ っ た 。 し か し大 人 に な っ て か ら 、 キ リ ス ト教 に 疑 問 を 持 ち 始 め る 。

エ リ オ ッ トの 母 は18歳 の 時 に 死 に 、 そ の 翌 年 に は 姉 が 結 婚 し た の で 家 の 中 の 仕 事 の 一 切 を エ リ オ ッ トが や っ て い た 。 そ し て 一 方 で は 家 庭 教 師 に つ

き 、 ドイ ツ 語 、 イ タ リ ア 語 な ど を 学 ぶ 。 こ の 間 に ワ ー ズ ワ ス(WiUiam Wordsworth)の 詩 集 を 読 み 、 ワ ー ズ ワ ス の 自然 を愛 す る 心 に 影 響 を 受 け る 。 『サ イ ラ ス ・マ.̲̲̲ナー 』 の 本 の 扉 に 、 ワ ー ズ ワ ス の 詩 が 載 っ て い る 。

幼 な児 こそ 、老 い ゆ く人 に と りて、

この世 の与 う るいず れ の賜 に も まさ り、

希 望 と明 日の 日待 つ 思 い を もた らす もの なれ 。

「マ イ ケ ル」14とい う題 の こ の 詩 は生 きが い を も た ら して くれ る もの と し て 幼 児 を挙 げ て い る 。 ワ ー ズ ワス の 詩 の 愛 読 者 で あ っ たエ リオ ッ トが 『サ イ ラス ・マ ー ナ ー』 の 中 で 、 「生 きが い あ る人生 とは」 を テ ー マ と して書 き 進 め てい くの に、 この 詩 か ら大 きな力 を得 た こ とが 窺 え る。

エ リ オ ッ トが21歳 の 時 に兄 が 結 婚 し父 の 後 を継 い だ た め 、 父 と共 に コベ ン トリー(Coventry)の 近 くに移 り、 父 と二 人 で暮 ら し始 め る。 そ の 後 、 無 神 論 者 の チ ャー ル ズ ・プ レイ(CharlesBray)と 知 り合 い 、彼 の仲 間 の

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知 識 入 た ち と も付 き合 う よ うに な る。 彼 らの 影 響 もあ っ てか 、 そ の 後 エ リ オ ッ トは キ リス ト教 に疑 問 を持 ち始 め る。 作 品 の 中 で 、 サ イ ラ ス は神 に 対 して不 信 を抱 い て い る人物 と して描 か れ て い る が 、 エ リ オ ッ トの考 えそ の もの を主 人 公 に投 影 して い る こ とに な る。

父親 はエ リオ ッ トが29歳 の時 に亡 くな り、 エ リ オ ッ トの 落 胆 振 りは大 変 な もの で あ った 。 しか しそ の 後 、 ロ ン ドンに 出 て、 以 前 か ら寄 稿 して い た 定 期 刊 行 物 の 『ウ ェ ス ト ミ ン ス タ ー ・レ ヴ ュ ー 』(TheWes亡mfηs亡er Review)誌 の副 主 筆 に な り、執 筆 活動 を始 め る。

彼 女 は 『ミ ドル マー チ 』 の 中で 人 間 の活 動 を織 物 にた とえ てお り、 「この

「特 別 な織 物 」 の糸 とな る の は個 々 の 人 間 で あ り、織 物 とな るの はそ の 人 々 の 生 き ざ ま で あ る15」。 人 間が 生 きて い く上 で、 他 の 人 と関 わ りを持 つ事 に よ って織 りなす 人 生 は、 そ の 関 わ り具 合 が 複 雑 に な れ ば な る ほ ど、深 み の あ る豊 か な 入生 とな る 。他 人 と関 わ り を持 つ 人 の 人生 は、 他 人 と没 交 渉 の ま ま 自分 の 殻 の 中 に 閉 じ こ もっ て 生 きる 人 の 人 生 とは比 較 出 来 な い ほ ど・

味 の あ る人生 とな る。 人間 同士 の糸 の絡 み に よ り、 そ の 人生 は光 沢 を帯 び・

そ れ ぞ れ の 人 間 の持 つ カ ラー の 交 わ り具 合 に よ って は 、美 しい 模 様 を織 り なす こ とが 出来 る。 こ う した 人生 は、 そ の 人の 生 きる姿 勢 に よっ て異 な り・

面 白い 人 生 と もな れ ば 、 つ ま らな い 人 生 と もな る。 作 者 エ リ オ ッ トは まだ 35歳 とい う若 さ で、 面 白 み の あ る 人生 、 そ れ と は反 対 の暗 い 人 生 を作 品 の

中 に描 き、 サ イ ラス とい う主 役 に、 そ の二 通 りの 人生 を生 きさせ た 。

今 の社 会 に生 きる高齢者 の生 き方 に も、大 き く分 けて この二通 りの生 き

方が見 られ る。 ひ とつ は、定年退職 後、社会 との関わ りを持 たず に家 の中

に閉 じこも りが ちにな る生 き方、 もうひ とつ は、 自 ら進 んで地域 や社会 に

飛 び込 んでい き、今 まで会社 人間 であ った時、 あ るい は子 育 てに没頭 して

いた時 には味 わ うこ ともなかっ た世界 のい ろい ろな こ とを、多 くの 人々か

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生 きがいについて65 ら学 び 、 自分 を磨 い て い く生 き 方 で あ る 。

6サ イ ラ ス の 生 き が い

『サ イ ラス ・マ ー ナ ー 』 は、 ジ ョ.̲̲̲ジ・エ リオ ッ トが43歳 の と きに 書 い た 小 説 で あ る 。 主 人 公 はサ イ ラス と ゴ ッ ドフ リー(Godfrey)で あ るが 、

こ こで はサ イ ラス の生 き方 に焦 点 を絞 り、 彼 の 生 きが いが 小 説 の 中 で どの よ うに表 現 され て い るか を考 察 して み た い。

人 間 は考 え る脳 を持 っ た動 物 で あ る。 そ の た め 青 年 期 、 中年 期 、老 年 期 とい っ た・ そ れぞ れ の 時 期 に 、 い ろ い ろ な心 理 的 な課 題 を抱 え るが 、 そ の 課 題 を克 服 しなが ら、 人 間 は成 長 して い く。 そ れ ぞ れ の 時 期 にお い て、 生 きが い の対 象 とな る もの が 、 異 な る場 合 もあ れ ば 、 初 め か ら終 わ りま で、

一貫 して 変 わ らぬ場 合 もあ る

サ イ ラス の 人 生 で は 時期 に よ って 生 きが いが 変 わ っ て い く。 彼 は環 境 が 変 わ る ご とに、 上 手 に 自分 の 生 きが い を見 出 し、 そ の 生 きが い を全 う しな が ら生 きて い く男 と して描 か れ て い る。 そ の生 きが い の な か に は本 心 か ら の生 きが い で は な いが 、真 の生 きが いが 見 つ か る ま で の仮 の 生 きが い と な っ て い る もの もあ る。

まず 彼 の 青 年 期 で あ るが 、 彼 は宗 教 活 動 に、 また仕 事 に、 そ して 恋 に 自 分 の 人生 の 生 きが い を見 つ け、 毎 日 を有 意 義 に過 ごす が 、 この青 年 期 の 途 中 で ・ 自分 が 見 つ け た生 きが い が信 頼 して い た 友 デ ー ン(WilliamDane)

と恋 人 セ ア ラー(Sarah)の 二 人 の裏 切 りに よっ て崩 され て しま う。

中年 期 に は この 裏 切 り行 為 が きっ か け とな っ て、 住 み慣 れ た場 所 で あ る ラ ン タ ンヤ ー ド(LanternYard)か らラ ヴ ィロ ウ(Raveloe)村 に居 を移 す 。 そ して慣 れ な い土 地 で 、 孤 独 な さ び しい 生 活 を送 るが 、 こ う した 環境 の 中 で ・彼 は新 た な生 きが い を見 出 そ う と試 み る。 そ れ は金 貨 を貯 め る こ

とで あ る。何 故 ・ 金 貨 を貯 め るの か 。 セ ア ラー との結 婚 は、 「お 金 が も う少

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した ま っ て か ら」 とい う理 由 で 、 先 延 ば しに して い た 。 しか しそ の結 果 ・ サ イ ラス が 信 用 して い た友 人 に セ ア ラ を奪 わ れ て しま う。 この こ とが 遠 因

とな っ た 金 貨 を貯 め る行 動 は 、 彼 の 真 の 生 きが い と言 え る もの で は な く・

自分 が 生 きて い く上 で の 生 活 の 目標 と して 、彼 が 仮 に 立 て た生 きが い で あ る。 しか し この 中年 期 の 生 きが い も心 無 い 何 者 か に よ っ て崩 され る。 彼 の た め て い た 金 貨 が そ っ く り盗 まれ て しま うの で あ る。 彼 の 落胆 は とて も大 きい 。 毎 日、 金 が戻 っ て くるの で は ない か と、戸 口 を 開 け放 して お く。 数 週 間 が 経 っ た時 、 エ ピ ー(Eppie)と い うか わ い い 女 の 子 が ・ 開 け 放 した 戸 口か ら入 って くる 。 この 子 が 彼 の 最 終 の 時 期 、 老 年期 に彼 の 生 きが い の 対 象 とな る。彼 は この子 を育 て る こ とに、彼 の 人生 のす べ て をか け る。

そ れ で は、 ス トー リー の 筋 を追 い なが ら、 サ イ ラス の 生 きが い につ い て考 え て み た い。

サ イ ラス は リ ンネ ル織 工 で あ る。 織 工 とい う と、 当時 は長 い リ ンネ ル の 反 物 を入 れ た重 い 袋 を背 負 っ て 、腰 をか が め 、 青 白 い顔 を した 人 とい う イ メ ー ジが 強 か っ た。 彼 もこ多 聞 に漏 れず 青 ざめ た顔 を した 人物 で あ る。 ラ ヴ ィロ ウ村 に来 る以 前 の ラ ン タ ンヤ ー ドで の生 活 は、 「行 動 と旺 盛 な精 神 力 と緊 密 な友 情 とに満 た され た」(第1章)も ので あ っ た。 彼 はそ の 頃・ あ る 宗 教 団体 に加 わ っ て お り、 模 範 的 な生 活 を送 る信 仰 の厚 い 人 間 で あ っ た 。 根 は正 直 な男 で 、 悪 い こ とな どで きる タイ プ の 人 間 で は な か った 。 織 工 と

して の 生活 に満 足 して い た。 また婚 約 者 が お り、 二 人 の 問 で は、 「貯 金 が 今 よ り増 えた段 階 で 結 婚 し よ う」 とい う約 束 が交 わ され て い た。 彼 の 友 人 に ウ ィ リ アム ・デ ー ン とい うサ イ ラス よ り少 し年 上 の青 年 が お り、 サ イ ラス は 「自分 の 考 え方 や 性 格 とは ま る で反 対 の 者 に頼 りた い」 とい う気 持 が あ っ て 、 こ の デ ー ンの や る こ とに 疑 い を持 たず 、 彼 との友 情 を保 っ て い た 。

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて67 しか しサ イ ラス が友 人 と思 って い た この デ ー ン は、 実 は した た か な悪 党 で あ り、 サ イ ラス は彼 の罠 に嵌 め られ て しま う。 あ る執 事 の 殺 人事 件 をめ ぐ っ て 、 サ イ ラス は殺 人犯 に され た上 、 金 を盗 ん だ とい う濡 れ 衣 まで 着 せ ら れ て しま う。 実 の犯 人 は サ イ ラス が 親友 と思 い 込 ん で い た デ ー ンそ の 人 で あ り、 自分 が 犯 した 罪 をサ イ ラス に なす りつ け た の で あ る。 そ の 上 、 サ イ ラス の 婚 約 者 の セ ア ラー まで奪 っ て しま う。 デ ー ン を悪 人 と して 、 訴 え た い気 持 ちは あ っ たが 、 キ リス ト教 徒 に対 して法 律 上 の手段 に訴 え る こ とは、

禁 じ られ て い た の で あ る。 そ こ で 当 時 の村 人 は 、 事 件 の真 相 の 発 見 につ い て は 、祈 祷 し、 お み く じを引 き決 議 した。 お み くじの結 果 は サ イ ラ ス に不 利 に 出、 結 果 と して は、 教 会 員 と して の資 格 を停 止 され た上 、 金 の 返 済 ま で命 令 され た。

サ イ ラス は神 も人 も信 じ られ な くな る。 機 織 りに励 む こ とに よ っ て 、 無 信 仰 の 苦 しみ か ら逃 れ よ う とす るが 、 セ ア ラー か らの 一 方 的 な婚 約 破 棄 が 引 き金 とな り、 サ イ ラス は今 ま で住 ん で い た土 地 に嫌 気 が さ し、 ラ ヴ ィロ ウ村 に転 居 す る。彼 の青 年 期 後 半 か ら中年 期 が 始 ま る時期 で あ る。 この よ うに して仕 事 に 、 恋 に、 そ して 宗 教 に、 彼 の生 きが い を感 じて い た時 期 も 終 わ る。 青 年 期 の彼 の生 きが い は無 残 に も打 ち壊 され て し まっ た わ け で あ る が 、 何 も生 きる は りを持 た な い ま ま生 活 す る こ とは 苦 しい こ とで あ る。

サ イ ラス は この状 況 を乗 り越 え、 次 の生 きが い探 しを始 め る。

次 の 生 きが い の対 象 は、 金 貨 を集 め る こ とで あ っ た 。 友 に裏 切 られ、 恋 人 まで と られ て しま った つ らさ を紛 らす ため に 、 機 織 りに打 ち 込 ん だ。 仕 事 をす れ ばす るほ ど、 彼 の壷 に金 貨 が た まっ て い っ た 。 金 貨 に触 れ 、 金 貨 を 眺 め る。 何 か特 別 な使 い 途 な どな い 。 金 貨 が 増 え て い くこ とだ け に喜 び を 感 じ、 そ れ を貯 め て い くの に生 きが い を感 じた の で あ る。 青 年期 の生 き が い を失 っ た時 、 そ して金 貨 を集 め る喜 び に生 きが い を転 じて い っ た彼 の 様 子 が 、 次 の よ うに書 か れ て い る。

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国境 の 山 を こ え て、 生 まれ た土 地 の 神 の 支 配 を うけ な い と ころへ ゆ く こ とが で きる。 … … 頼 りに して い た けれ ど もつ い に報 い られ る こ と の なか っ た神 の力 は、 彼 の 逃 れ て きた この 土 地 か らは 、 は る か遠 い存 在 の よ う に思 われ た。 … … あ の ひ どい打 撃 を う け てか ら、 彼 が まず 第0に とっ た行 動 は や は り織 り機 を織 っ て働 くこ とで あ っ た。 ・・… ・ な ん の た め に働 くか を反省 す る こ と も な く、 し ば しの休 み も と らず に 働 きつ づ け た 。 … … こ う して そ の仕 事 をす る とい う こ と 自体 が 目的 に な っ て し ま うこ とが よ くあ る。 そ して 彼 の0生 の索 漠 と した 空 隙 を うめ て ゆ く こ とに な る で あ る。 ・… ・・いつ まで織 り機 を織 りつ づ け た と こ ろ で、 そ の 先 な に も心 に希 望 の な い 彼 に 、 金 貨 が い っ た い何 の役 に た つ とい うの で あ ろ う。 … … そ っ く り自分 の もの で あ るそ の ぴ か ぴ か光 った 面 を眺 め た りす る こ とが 、愉 しか っ た の で あ る。 … …1 枚1枚 数 え た 。 そ して つ い に は、 そ の形 や 色 は、 彼 に とっ て は 渇 き を 癒 す 清 水 の よ うに さえ な っ た。(第2章)

す べ て の生 きが い を失 っ た サ イ ラス が 最 初 に とっ た行 動 は、 織 工 と して の仕 事 に は げ む こ とで あ っ た。 仕 事 に は責 任 が あ り、 自分 の都 合 で 休 ん だ り辞 め た りす る こ とが 出 来 な い。 仕 事 をす る こ とに よっ て 、 悲 しい 嫌 な 出 来 事 につ い て考 え る時 間 を少 な くす る こ と も出 来 る し、 ま じめ な 良 い 仕 事

をす る こ とが 当 人 の生 きが い に な る こ と もあ る。

彼 は さ しあ た っ て 、 大 きな心 の 空 洞 を仕 事 に よ っ て、 埋 め る こ とが 出 来 た 。 仕 事 をす る こ とに よっ て 、 結 果 と して 金 貨 は た ま っ て くる 。 今 度 は 、 そ の 金 貨 が どの位 た ま って い くか を見 るの に喜 び を持 つ よ うに な り、 そ の 金 貨 を貯 め るそ れ 自体 が 、 彼 の生 きる 目的 や 生 きが いへ と変 わ っ て行 っ た の で あ る。

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて69 マ ー ナ ー は 、 十 枚 の 貨 幣 の 山が 早 く十 倍 に な り、 そ れ が ま た さ らに何 千 倍 に もな る こ とを望 ん だ。 一 ギ ニ ー 、一 ギ ニ ー とふ え て ゆ くこ とが 、

も うそ れ だ け で満 足 で あ っ たが そ れ は織 り機 を織 っ た り、 空 腹 をみ た す こ と と同 じよ うに 、 今 で は ま っ た く縁 の な くな っ た信 仰 や 愛 の生 活 か ら、 か け は なれ て存 在 して い る生 活 の0つ の 要 素 だ っ た の で あ る。 … … 二 十 年 のあ い だ この不 思 議 な 金 とい う もの は 、彼 に とっ て は地 上 の幸 の 象 徴 で あ り、働 くこ との 直 接 の 目的 と な っ て い た の で あ る。 … … す べ て の 目的 を見 失 っ て し ま っ た今 は、 金 を念 頭 にお い て働 き、 自分 の 努 力 の か い が あ っ た とい う気 持 ち で 金 を握 る習 慣 が 、 欲 望 の 種 子 をつ ち か うの に充 分 の 深 さの あ る沃 土 とな って い た。 そ う

して サ イ ラス は、 黄 昏 の 野 を とお っ て 家 の方 へ 歩 きな が ら、 金 貨 を と りだ して み た 。 金 は次 第 にせ ま っ て くる夕 闇 の 中 で、 い っそ う光 りを ま して くる よ うに思 わ れ る の で あ っ た。(同2章)

これが 彼 の 中年 期 の生 きが い で あ る。

しか し相 手 は金貨 で あ り、 会 話 が 出 来 る もの で は ない 。 そ うい うわ けで 、 誰 と も話 さな い 日が続 く。 お 金 を貯 め る こ とに生 きが い を見 つ けた もの の 、 彼 の心 は ど こか暗 く閉 ざ され た ま まで あ っ た。

ふ つ うの 正 気 の 人 な らす る よ う に、 袋 を踏 み 段 の 上 に お か ず 、 そ の重 い 袋 を背 負 っ た ま ま、 踏 み段 に よ りか か っ てい るの を見 た。 … … マ ー ナ ー の 顔 や 姿 は ち ぢ ま り、 前 か が み に な っ て 、 … … 人 を信 じ、夢 見 る よ うな眼 つ きで、 い つ も もの を見 て い た あ の とび で た 眼 は、 今 で は小 さな砂 粒 の よ うな微 細 な もの だ け しか 見 えず 、 ・・… ・まだ 四 十 に は 間が あ ろ う とい うの に、 ひ ど く しわ が よっ て黄 色 くなっ て い た の で 、 子 供 た ち は い つ も彼 の こ とを 「マ ー ナ ー爺 さん」 と呼 ん だ もの で あ っ

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た。(同2章)

金貨 を貯 め る こ とが生 きが い と言 っ て も、 そ れ は 本 当 の 人生 の 目標 で は ない 。 金 そ の もの とい う よ りは 金 を貯 め る過 程 に、 彼 は生 きが い を見 出 し て い る。 生 きが い を求 め て い く対 象 が 、 話 しか け て も答 え て くれ な い無 生 物 の 場 合 よ りも、 話 しか けれ ば 答 え て くれ る 人 間 の ほ うが 、 は る か に喜 び は大 きい はず で あ る。 仮 とは い え彼 の生 きが い の対 象 とな っ てい た金貨 が 、 あ る 日、 何 者 か に よ っ て盗 まれ て しま う。 これ が 彼 の 中 年 期 に お け る生 き が い の喪 失 で あ る。

金 を盗 まれ た こ と 自体 は彼 に と って は大 きな不 幸 で はあ っ た が 、 そ の代 償 と して 、 次 の 生 きが い に巡 り会 う。 巡 り会 え た とい う よ りは む しろ、 次 の生 きが い を捜 し求 め て い た時 にエ ピ ーが 現 れ 、 彼 女 を育 て る こ とに新 た な生 きが い を見 つ け よ う とす る。 これ は 、 サ イ ラス 自 らが 掴 み取 っ た機 会 で あ る。

エ ピー とい う小 さ な女 の子 を育 て る生 きが い を彼 が 見 つ け る まで は 、 青 年期 も、 中年 期 も、 商売 上 の用 事 や 日用 品 を求 め に行 く以 外 に は、 誰 と も 付 き合 い の ない 生 活 を送 っ て い たサ イ ラス で あ った が 、 エ ピー を育 て る よ うに な っ て か らは 、 彼 の 生 活 は一 変 す る。 子 育 て を した経 験 の な い サ イ ラ ス に は、 子 育 て経 験 者 か らの ア ドバ イ ス は不 可 欠 の もの で あ り、 彼 の 周 辺 はだ んだ ん と賑 や か に な っ て ゆ く。

真 の生 きが い を追 求 して い く場 合 に は、 ひ と りで は 、 目的 は達 成 で きな い場 合 が 多 い。 自分 以外 の 誰 か と接 す る こ とに よっ て、 入 間 の輪 が 広 が る。

人 間 関係 は複 雑 に な っ て い くで あ ろ うが 、 自分 を取 り巻 く世 界 は広 が る。

そ して社 会 とい う歯 車 の 一 員 と して の活 動 が 始 ま る。 こ れが 「真 の 生 きが い」 で あ る と、 筆 者 は解 釈 して い る。

エ ピー が 現 れ た と き、 彼 が 、 この 子 を育 て る こ とに生 きが い を感 じ始 め

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『サイラス ・マーナー』の主人公か ら学ぶ高齢期の生 きがいについて71 て い る様 子 を 表 し て い る 部 分 を 抜 粋 し て み よ う。

そ の古 い 昔 の生 活 か ら、 彼 の も と につ か わ され た、 な にか の使 い で あ るか の よ うな、夢 の よ うな気 持 ち を覚 え るの で あ った。(第12章)

エ ピー の母 親 は、 雪 の 中 で、 ア ヘ ン中毒 の た め に死 に絶 え るが 、 エ ピ ー は母 親 の 腕 を離 れ 、 サ イ ラス の家 か ら もれ て くる光 を求 め て家 の 中 に入 っ て くる。 サ イ ラス はエ ピ ー に気 づ き、 彼 女 を抱 き上 げ る。 そ して そ の子 の 母 親 であ る死 ん だ女 性 の こ と を町 の 医 者 に知 らせ る た め に 、村 人 の 集 まっ て い る と ころへ 行 くの だが 、 そ こ に集 ま っ て い る女 性 の 一 人 が 、 サ イ ラ ス が 困 っ て い る と思 い 、 親切 に も、 「そ れ な ら、 この子 を こ こに お い て い った らい い じゃ な い の、 マ ー ナ ー さん」(第13章)と 勧 め る と、 サ イ ラス はは っ き りと 「い え一 い け ませ ん 、 わ た く しは この子 を手 ば なす こ とは で き ませ ん」(同13章)と い う。 そ の段 階 で、 す で にサ イ ラス は 自分 の手 でエ ピー を 育 て よ う と思 っ て い る の で あ る。

エ ピー は、 サ イ ラ ス の死 ん だ妹 の幼 か っ た こ ろ に そ っ く りで あ っ た 。 そ の こ と もサ イ ラス が 自分 の 手 で 育 て よ う と考 え た理 由 の ひ とつ とい え よ う。

さ らに サ イ ラス は激 しい言 葉 で 「誰 の 手 に も渡 し ませ ん」 「この 子 は わ た く しの とこ ろへ 来 た の で す一 わ た く しに は この 子 を手 も とに お い て お く権 利 が あ るの で す 」(同13章)と 述 べ る。

エ ピー をか わ い が る サ イ ラス の 気 持 ち は エ ピ ー に も伝 わ る。 エ ピー が 困 っ た時 に発 す る言 葉 「母 ち ゃ ん」 か ら も判 る よ うに、 自分 を大 切 に思 っ て くれ る 人 の こ と は 良 くわ か る の で あ ろ う。 この か わ い い 子 に 心 が ひ か れ 、 大 人 た ちが 彼 女 を取 り囲 む。 そ の 時 、 エ ピ ー は何 か に不 安 を感 じて サ イ ラ ス に しが み つ く。 サ イ ラス が 母 親 の代 わ りに 自分 を守 っ て くれ て い るの が わ か っ てい る ので あ る。

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子 供 は、 も う明 るい 光 に も、 婦 人 た ち の 笑顔 に も気 を ひか れ な くな っ て い たが 、 と う と う泣 き出 して 、 「か あ ち ゃ ん」 と呼 び は じめ た。 そ う し なが ら も、 あ くまで マ ー ナ ー を頼 りとす るか の よ うに、 彼 に しっ か りと しが みつ い て い た。(同13章)

サ イ ラ スが どん な に大 切 に思 った と して も、 金 貨 はサ イ ラ スの や さ しさ、

思 い や りに応 えて くれ る とい うわ けで は な い 。 金 貨 を貯 め る こ とを生 きが い に 思 っ て い た 時 の サ イ ラス は老 人 と言 え る よ う な風 貌 で あ っ た 。 然 し、

毎 日毎 日成 長 して い くエ ピー を育 て る の は大 仕 事 で あ っ て も、 明 日は どん な新 しい発 見 が 出 来 るか わ か らない 楽 しみ 、喜 び を見 出す 生 きが いが あ る。

真 の幸 せ を見 つ け て幸 せ の頂 点 に あ るサ イ ラス で はあ った が 、青 年期 に は、

彼 の生 きが い で あ っ た恋 人 や 自分 の 信 じて い た神 を奪 わ れ 、 中 年 期 に も、

彼 の生 きが い で あ っ た金 貨 を奪 い取 られ て い る。 エ ピー を育 て な が ら最 高 の 生 きが い を持 っ て暮 ら して い る と き、 そ の生 きが い の 対象 で あ るエ ピー を奪 われ る の で は な い か とい う不 安 が サ イ ラス をお そ う。あ る と き、 「君 は・

明 日 この 子 を教 区 の養 育 院 に連 れ て ゆ くの か ね 」(同13章)と 聞 か れ、 「誰 が そ ん な こ とをい うので す 」 「み な さんが わ た く しに 、 この子 を連 れ て ゆか せ よ う とい うの です か」 「誰 か、 この子 を引 き とって ゆ く権 利 が あ る、 とい って 出 て くる ま で は」(同13章)と サ イ ラ ス は言 う。 な ん と して もエ ピー を 育 て た い とい う気 持 ちが 伝 わ っ て くる。

や が て 、 子 育 て を経 験 した村 の 女 た ち は 、何 も子 育 て につ い て 知 らな い サ イ ラス に助 言 を与 え る。 彼 女 ら も見 ず 知 らず の子 供 を育 て る こ とに興 味 を持 ち、 そ れ が 生 きが い と もな る。 村 の女 た ち は子 育 て のベ テ ラ ン と して、

また 主 婦 と して 自分 の 家 庭 内 の や るべ き仕 事 を朝 の10時 ご ろ ま で に終 え、

そ れ 以 降 の 閑 な 時 間 を、 エ ピー を育 て て い るサ イ ラ ス の手 伝 い をす る こ と に、 生 きが い を感 じて い る。 誰 か の役 に立 つ こ と、 そ れ は、 人 間 に とっ て

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生きがいについて73 大 きな喜 び で あ る。 世 話 を して くれ る村 の 女 た ち の な か で 、 サ イ ラス が 一 番 信用 して い る ドリー もエ ピー を育 て る こ とに生 きが い を感 じて い る一 人

で あ る。

うち の子 供 た ち の 一 人 が 女 の 子 だ った ら、 どん な に よ い か と思 い ます ね 。 … … つ くろ い もの や 編 物 や 、 い ろ ん な こ と を教 えて や れ た らね え 。 … … 朝 早 く起 きれ ば、 お 昼 の した くに と りか か る まで とい う も の は 、 ま る で時 計 が 十 時 で と ま っ て し ま っ た の か 、 と思 わ れ る こ とが あ ります か らね 。 で す か ら くどい よ うです が 、 わ た しは きっ と子 供 の お世 話 を します よ。喜 ん で や っ て き ます と も。(第14章)

この よ う に言 われ る と、 サ イ ラス の心 は複 雑 とな り、 育 児 の経 験 者 か ら い ろ い ろ な助 言 を も ら え る こ とに感 謝 しつ つ も、 自分 の 生 きが い を と られ て し ま うの で は ない か とい う不 安 に駆 られ る。

い ろ い ろ教 え て い た だ け ば、 そ れ で け っ こ うで す 。 … … で す が 、 私 は 自分 で して ゆ きた い の で す 。 そ う し ない と、 こ の子 は他 の 人 が 好 き に な っ て し ま って 、 私 を好 きに な らな い か も しれ ませ ん か ら。 私 は う ち で、 自分 だ け で や っ て ゆ くこ と に は な れ て い ます 。一 な ん で もわ か

ります よ。 わ か ります と も。(同14章)

せ っか く捕 ま えた 幸 せ 、 自分 の生 きて い る証 の た め に、 エ ピー を育 て た い とい う、 今 まで何 度 か失 った 生 きが い に対 す る サ イ ラス の こ だ わ りが 読 み 取 れ る。 人 間 は、 何 か生 き る 目標 を見 つ け た 時 、 そ れ を全 うす る た め に 努 力 す る。 そ の 時、 真 の生 きが いが 見 つ か るの で あ る。

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7む す び

ハ ンセ ン氏 病 患 者 の研 究 者 の 一 人、 神 谷 美 恵 子 は 患 者 の生 活 全 般 を通 し て 、 「人 間が い きい き と生 きてい くた め に は 、生 きが い ほ ど必 要 な もの は な い 。 人 間 か ら生 きが い を奪 うほ ど残 酷 な こ とは な く、 人 間 に生 きが い を与

え る ほ ど大 きな愛 は ないlfi」とい う。

仕 事 が あ り、 家 族 が あ り、 健 康 で 、 ま た 生 活 に 困 らな い程 度 の お 金 が あ り、 時 々、 遊 ぶ 時 間 もあ る とい った 生 活 を送 っ て い る人 に は、 「生 きが い を 失 った状 態 」 は、 も しか した ら理 解 しに くい か も しれ な い 。 何 事 もそ うで あ る よ うに 、 生 き るた め の 目標 を失 っ た 時 初 め て 、 生 きが い を持 っ て い る こ とのす ば ら しさ を悟 る よ うで あ る。

有 り余 る時 間 を持 て余 して い る 人 た ち に と っ て、0日 の始 ま りは、 希 望 とい う よ り、 む しろ苦 痛 とさ え な る。 ま して や 高 齢 期 に な る と、 健 康 、気 力 、 体 力 、 財 産 な ど失 う もの が増 えて い く0方 で、 閑 な 時 間ば か りが増 え、

何 事 に も神 経 が 過 敏 に な り、 今 まで の よ う に、 忙 し くして い る時 に は・ 気 に しな か っ た こ とや 、気 にす る 必 要 も なか っ た こ と まで が気 に な っ て し ま う。 気 の滅 入 る よ う な マ イ ナ ス 面 ば か り考 えて 一 日 を過 ごそ う とす る時 ・ そ の 人 に とっ て は 、 朝 か ら闇 の 生 活 が始 ま る よ うな もの で あ る。 ひ どい場 合 に は 、 朝 起 き出 す 気 力す らな くな る で あ ろ う。 高 齢 期 に欝 状 態 に な る人 が 多 い とい うの は、 こ う した環境 に置 か れ て い る こ と と大 い に 関係 が あ る。

時間 の使 い途が見 つか らない人 々の 目先 の時 間のつぶ し方が テ レビを見

る こ とで あ り、 そ の テ レビ も皆 喜 ん で 見 て い るの か とい う と、 必 ず し もそ うで は ない 。 しか し、 なぜ テ レ ビ をつ け る の か とい う と、 一 人暮 ら しの 高 齢 者 で 、特 に仕 事 を もたず に 家 に い る人 の場 合 、 他 の 人 と言葉 を交 わ す こ とな く一一日 を過 ごす 。 そ の寂 し さ を紛 ら して くれ る ものが テ レ ビな の で あ る。 疲 れ た心 を癒 す た め に、 テ レビ を見 る。 そ れ が 数 時 間 に わ た る とい う

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サ イラ ス ・マ ー ナ ー』 の主 人 公 か ら学 ぶ 高 齢 期 の 生 きが い につ い て75

場 合 で も、 テ レ ビ をつ け て お け ば、 空 間 に 人 の気 配 を感 じる こ とが で きる か ら安 心 とい うの であ れ ば、 納 得 が い く。 しか し、 そ れ 以外 の 理 由 と して 、 何 もす る こ とが な い か ら、 テ レビ を見 る とい うの で は非 生 産 的 で あ り、 そ

こか らは 、 テ レ ビ とい う、 言 わ ば マ イ ン ドコ ン トロー ラー に よ っ て毒 され た 、 ス テ レオ タ イ プ 的 で 皆 と同 じ考 えや 表 現 をす る、 金 太 郎 ア メの よ う な 個 性 の な い 人 間 が 生 れ るだ け で は なか ろ うか 。 テ レビ以外 の 、 もっ と個 々 の 人 間性 を高 め て くれ る よ うな もの に時 間 を費 や したい もの で あ る。

「人 間 は、た だ、真 空 の 中 に ぽつ ん と生 きて い る の は、耐 えが た い もの で、

生 きる 目的 を持 ち 、 自分 の生 きて い る こ とに対 し、 自分 を取 り巻 く世 界 か ら、 何 か手 ご た え を感 じない と心 身 と もに生 きて い きに くい もの ら しい17」

と神 谷 は言 う。

出来 れ ば い く らか の 報 酬 が あ り、 従 っ て何 らか の義 務 や制 約 が とも ない 、 少 々 の 手 抜 き は別 と して、 大 き くは手抜 きが 許 され な い もの、 そ して、 そ れ が 生 活 して い く上 で の規 律 とな って い る の が 、 高 齢 期 の 人 間 に とっ て望

ま しい 生 きが い とい う こ とで あ ろ う。

サ イ ラス の 人生 か ら判 る よ うに、 青 年期 に は、 青 年 期 の 生 きが い あ る人 生 が あ り、 中年 期 に は、 中年 期 の 、 そ して、 老 年期 に は、 一 生 の総 ま とめ をす る よ うな生 きが い が あ る 人生 が あ る はず で あ る。 そ れ ぞ れ の 時 期 に 自 分 を取 り巻 く環 境 が 変 わ る と共 に、 生 きが い も変 わ って い く場 合 が あ る し、

また0貫 して 同 じ生 きが い を持 ち続 け る場 合 もあ る。

自己 の 目標 を しっか り と定 め、 周 囲 との調 和 を と りなが ら、 自分 の 生 き て い る存 在 価 値 を 自他 共 に認 め る こ とが 出 来 た 時初 め て 、 そ の 人 の 人生 の、

そ の時 期 に、 生 きが い の あ る生 き方 が 出 来 た とい え よ う。 もち ろ ん 、 生 き が い あ る人生 は、 人 に よっ て そ の 捉 え方 が 異 な る。 あ る 人 に とっ て は 、 さ ほ どの 生 きが い を感 じない 人生 で あ っ て も、 あ る人 に は、 そ れ は最 高 の生 きが い あ る人生 と言 い切 れ る場 合 もあ る。

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7fi

生 きが い とは、別 の表現 をす るな らば、社 会 とい う歯車 の 中のひ とつ と して参加す る ところ に生 きる喜 び を見出 し、 人 々 との相互 関係 の中で生れ て来 るもの であ る。他人 に受 け入 れ られ る ことな く孤独 に生 きるの は寂 し い もので あ り、小 さな社会 の 中で も、人 々に存 在 を認 め て も らうこ とは喜 びであ り、張 り合い にな る。 それが、大 きな社会 の中で あれば、 なお さ ら 生 きる張 り合 い は大 きくなるであ ろ う。 自己達 成感、す なわち 自己実現 と は、社会 と調和 で きた喜 びが ともなって最 高の もの となろ う。

これ まで生 きがい につ いて筆者 の考 えを述べ て きた。世 の なか には、 な に も生 きが い を取 り立 てて考 えな くとも、 ただ生活 して いる こ とだけで楽 しい と言 う人 もい る。 こ うした人 々はす で に、毎 日の どう とい うこ との な い些細 な生活 の中に、生 きる喜 び を上手 に見 つけてい る。

最後 に、 つね に生 きが い を見 つ けてい な くて はい られ ない サ イラスの言 葉で、 この小論 を しめ く くりたい。

そ の昔 、 長 い あ い だ彼 の 愛 して い た金 貨 、 そ れ だ けが た っ た一 つ の 楽 しみ で あ っ た 頃 、 … … 自分 が 毎 晩 の よ う にそ のお 金 をか ぞ えて い た こ とや 、 エ ピ ーが 自分 に授 か る まで 、 どん な に 自分 の 心 は さび しい も の で あ っ た か とい う こ とを、 話 して 聞 かせ てい た の で あ った 。 … …

「も しお 金 が 戻 っ て きて も、 そ の た め にお 前 が わ しの とこ ろ にい な くな っ て し ま うの だ っ た ら、 一 大 事 だ 、 と考 え る よ うに な っ た の だ 。 なぜ って 、 わ し に は、 お 前 の顔 や 、 お 前 の 声 や 、 お 前 の 指 に さわ っ て も ら った り しな くて は、 ど う して も、 片 時 も生 きて ゆ け な い、 とい う気 が す る よ うに な って しま っ て い た ん だ よ。 … … も しわ しに、 お 前 とい う もの が 授 か らな か っ た ら、 わ しは さ び しい気 持 ち の ま ま、 お 墓 の 中 に はい って ゆか な け りゃ な らな か った ろ う。 … … お 金 なん か に心 を 奪 われ ない よ。 ・・… ・も し、 エ ピ ー、 お前 が い な くな る よ うな こ とが

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『サイラス ・マーナー』の主人公から学ぶ高齢期の生 きがいについて77 あ っ た ら、 そ う い う こ と に な る か も しれ な い 。」(第19章)

(1)安 藤 進 ・本 間 昭 ・高 橋 龍 太 郎 『ボ ケ を 嘆 く な ボ ケ を 責 め る な 』、KKロ ン グ セ ラ ー ズ 、 1998年 、34頁 。

東 京 都 老 人 総 合 研 究 所 が 進 め て い る 特 別 プ ロ ジ ェ ク ト研 究 老 人 性 痴 呆 に 関 す る 総 合 的 研 究 」 に 属 す る3人 の 医 学 博 士 に よ っ て ま と め ら れ た も の で あ る 。

(2)雑 毎 日が 発 見 』、 フ ァ ン ケ ル 出 版 、16号 、2000年 、19頁

浜 松 医 療 セ ン タ ー 脳 外 科 の 臨 床 デ ー ター を 分 析 ・測 定 し た 結 果 で あ る 。

(3)樋 口 恵 子 女 性 が 握 る 「シ ニ ア と い う 難 問 」 の カ ギ 」、 村 上 義 男 編 著 『定 年 後 世 代 の 生 き 方 ・暮 ら し方 』、 平 凡 社 、2001年 、8‑9頁

(4)村 上 、 前 掲 書 、94頁 (5)村 上 、 前 掲 書 、160‑161頁

(6)堀 薫 夫 『教 育 老 年 学 の 構 想 』、 学 文 社 、1999年 、2頁 。 (7)堀 、 前 掲 書 、4頁 。

(8)(9)倉 内 史 郎 「生 涯 学 習 社 会 の 展 望 」、 倉 内 史 郎 ・鈴 木 眞 理 編 著 『生 涯 学 習 の 基 礎 』、 学 文 社 、1998年 、11‑12頁

(10)D.H.Powell,TheNlneIVIithsofAging(W.H.FreemanandCompany:New

York,1988)久 保 儀 明 ・楢 崎 靖 人 訳 、 『〈 老 い 〉 を め ぐ る9つ の 誤 解 』(青 土 社 、2001年) 21頁 。

パ ウ エ ル は 認 知 能 力 に 関 す る 分 析 方 法 の 開 発 を 目 的 と し た 専 門 家 チ ー ム の リ ー ダ ー を 務 め 、 ま た 、 地 域 社 会 に 住 む 高 齢 者 を 日常 診 察 す る 臨 床 医 。

(11}Poweil,ibid.,p.24 (12)Powell,ibid.,p.25

(13)テ ク ス トは 「ペ ン ギ ン版(SilasMarner、1996)」 を 使 用 し 、 作 品 の 引 用 は 土 井 治 訳 『サ イ ラ ス ・マ ー ナ ー 』(岩 波 書 店 、1998年)に よ る 。

(14)ワ ー ズ ワ ス(1770‑一 一一1850)のMichael,146‑147行 、 土 井 治 訳 マ イ ケ ル 」、8頁 。

(15)荻 野 昌 利 「ジ ョ.一ジ ・エ リ オ ッ ト と ヴ ィ ク ト リ ア 朝 文 学 」、 海 老 根 宏 ・内 田 能 嗣 共 編 著

『ジ ョー ジ ・エ リ オ ッ トの 時 空 』、 北 星 堂 書 店 、2000年 、30頁

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78

(16)神 谷 美 恵 子1『生 き が い に つ い て 』、 み す ず 書 房 、1998年 、11頁 。 (17)神 谷 、 前 掲 書 、15頁

参考文献

・内 田 能 嗣 『ジ ョ ー ジ ・エ リ オ ッ トの 前 期 の 小 説 』、 創 元 社 、1994年 。

・海 老 根 宏 ・内 田 能 嗣 共 編 著 『ジ ョ ー ジ ・エ リ オ ッ トの 時 空 』、 北 星 堂 書 店 、2000年 。

・子 安L増 生 『生 涯 発 達 心 理 学 の す す め 』、 有 斐 閣 、1996年 。

・山 本 節 子 『ジ ョ ー ジ ・エ リ オ ッ ト』、 旺 史 社 、1998年 。

・Rowe

,JohnW.arilKahn,RobertL..5ロccessfu∬Aging.InternationalCreative ManagementInc.:NewYork,1998.

・KarLFrederickR ..GeorgeEliot,VoiceofaCentury;AIBfograp蝕W.W.Norton&

CompanyInc.:NewYork,199fi.

・Teacher

,JanetBukovinsky.WomenofWords.RunningPress:Philadelphia,1994.

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