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経鼻ワクチンの挙動と安全性評価技術の開発

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Academic year: 2022

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(1)

厚生労働科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業) 

平成 25 年度  代表研究者報告書   

経鼻ワクチンの挙動と安全性評価技術の開発 

 

研究代表者:  幸  義和  (東京大学医科学研究所  炎症免疫分野) 

協力研究者:  原田典弘  (浜松ホトニクス株式会社  中央研究所 PET センター) 

  片貝祐子  (予防衛生協会  研究支援企画部)    福山賀子  (東京大学医科学研究所  炎症免疫分野) 

 

研究要旨:  経鼻ワクチンは上気道感染症病原体であるウイルス、細菌の防御免疫を誘導するもっと も有効な方法の一つであり、その制圧に経鼻ワクチンの開発が不可欠であるが、日本でライセンスさ れた経鼻ワクチンは皆無で、世界的にも米国で製造販売されている弱毒型インフルエンザ経鼻ワクチ ン FluMist のみである。その原因として考えられるのはスイスでの不活化インフルエンザワクチンと アジュバントである大腸菌易熱性毒素(LT)の同時経鼻投与で一部の被験者に現れた顔面麻痺による中 枢神経系への影響等の安全性の問題に起因すると考えられる。そこで本課題では、経鼻ワクチンを開 発する上での安全性を試験する方法の確立を目指す。そのために、本年度はマウスで効果のあったア ジュバントを含まないナノゲル化 PspA 肺炎球菌経鼻ワクチンを使って(1)サルでの経鼻ワクチンとし ての肺炎球菌感染防御効果の確認(2)投与されたワクチンの中枢神経系等への挙動を含めた18F‑PspA 標識 PET による吸収、分布、代謝、排泄(ADME)試験を、マウスを用いたイメージング技術により解析 を行った。 

 

A.  研究目的 

経鼻投与は最も効果的な粘膜ワクチン投与 方法の一つとして知られ、実際弱毒型インフル エンザ経鼻ワクチンである FluMist は現在米国 をはじめ世界で使用されている。しかし一方で、

2004 年スイスで不活化インフルエンザワクチン に経鼻アジュバントとして大腸菌易熱性毒素

(LT)を含む製剤が投与された被験者のなかに 顔面麻痺が現れたことから(N Engl J Med, 350: 

896‑903, 2004)、製造販売が中止になった。こ れに関連して我々は 2000 年にワクチンである破

傷風トキソイド(TT)を粘膜アジュバントであ るコレラ毒素(CT)と同時に経鼻投与すると、

TT は嗅球には移行しないが CT は一部(1%以下) が嗅球に移行することを報告し、中枢神経系へ の 影 響 を 懸 念 し て い た (J.  Immunol.  165: 

4778‑4782, 2000)。経鼻投与されたワクチンや アジュバントの挙動は鼻腔を覆う上皮細胞にお いてマウスとヒトの解剖学的差異に依存すると 考えられる。嗅覚系上皮細胞は嗅覚受容体を発 現する一種の神経細胞であり、それらが嗅球を 形成しシナプスを介して大脳に嗅覚情報を伝え

(2)

ている。したがって経鼻ワクチンやアジュバン トのヒト臨床試験のための吸収、分布、代謝、

排泄(ADME)に関する安全性薬理試験はげっ歯類 のみならず、サル等の高等動物での試験も必要 と考えられる。我々は最近 PET を用いてサルの ような大動物にも適応した生きたまま中枢神経 へのワクチンの移行を追跡するシステムを開発 した (J. Immunol. 185: 5436‑5443, 2010)。さ て一方で、投与された経鼻ワクチンが鼻腔の嗅 覚上皮・神経に吸着することでの嗅覚へ影響も 懸念されるが、この点での研究は皆無である。

本課題では 3 年間で、まず、初年度は、経鼻投 与された抗原が嗅覚上皮の神経細胞に吸着した 際の嗅覚への影響及び嗅球での嗅覚神経の活動 イメージング(Odor mapping)解析を、マウス を使って実施した。経鼻投与された抗原/アジュ バンドの嗅覚神経系への影響を見るための陽性 コントロールとして CTB と CT を用いて、両者は 嗅覚上皮の軸索の中を通って嗅球へ移行するが、

CT は嗅覚上皮及び嗅球の糸球体を破壊し、投与 24‑72時間での嗅球の活動イメージングが 誘導不全になり、CT の経鼻投与 72 時間でマウス の嗅覚行動を完全に抑制すること突き止めた

(論文準備中)。そこで本年度は、(1)アジュ バンドを加えないナノゲル化 PspA 経鼻ワクチン がサルでの PspA に対する全身系及び鼻腔内、並 びに気管支内中和抗体及びサイトカインの誘導 及びそれらの血清及び鼻腔粘膜での miRNA の促 進誘導効果を発揮することで肺炎球菌に対する 防御効果を調べた。(2)昨年度 PET に使用可能 な18F 標識に成功したナノゲル化18F‑PspA の経鼻 投与での PET を用いた脳内移行を含む体内動態

(ADME)を、まずマウスを用いて示すことで、

ナノゲル化によるワクチンの鼻腔上皮細胞への 長時間吸着、取り込み効果等を検討した。 

 

B.  研究方法  1)材料 

肺炎球菌ワクチンは東大医科研で、肺炎球菌の表 面抗原の大腸菌発現組換え PspA を高純度に精製 して用いた。 

 

2)18F-PspA の合成と PET 解析 

  浜松ホトニクス社の協力を得て、昨年度報告した 方法で肺炎球菌の組換え PspA のアミノ基(18F-Ly s)を介して18F-PspA を合成、マウスに 1.06 MBq 投 与し、PET 解析及び嗅球への移行を調べた。 

 

3)ナノゲル化 PspA 経鼻ワクチンの調製とサルへ の免疫 

  サル一頭あたりに投与したナノゲル化 PspA は、

分子あたり平均 20 のアミノ基を有する 20 mg/ml ナ ノゲル 55.5 µl に濃度 6.3 mg/ml の組換え PspA 3.95  µl (最終濃度 25 µg)を加えて 46℃、1 時間反応させ て調製した。2 週間おきに 5 回経鼻免疫を行い、最 終免疫から 8 ヶ月後、追加免疫を行った。コントロー ル群として、PspA 25µg または PBS のみを投与し た。 

 

4)免疫応答の評価 

  初回免疫の前、各免疫の 1 週間後、最終免疫か ら 2,  4,  6 及び 8 カ月後、追加免疫から 2 週間後の 計 11 回、血清、鼻腔洗浄液および気管支肺胞洗浄 液を採取した。これらの PspA 特異的抗体価は ELISA 法にて測定した。 

  中和抗体価測定(感染防御効果の判定)では、最

(3)

終初回免疫の血清(

(Xen10: 7.5 x 10 した後 BALB/c 判定を行った。

  サイトカイン測定には追加免疫後サルの か ら Ficoll

(PBMC)を用いた。

し、抗原提示細胞(

理したもの)ならびに 5  %  CO2

上清を回収し、

IFN-、IL  

5)  マイクロRNA(

R) 

 追加免疫後、血清、鼻腔粘膜組織および肺組織 を回収し、

与する miR real-time PCR  

C.  研究結果 1)18F‑PspA 与後の PET  18F-PspA

は鼻腔内には保持されず、すぐに排泄されるが、

ノゲル化された F-PspA は鼻腔内に 経鼻投与された

胃を経由して排泄された。

18F-Lys と推定される低分子分解体が血中を介して 尿に排泄されことが確認された。

終初回免疫の血清(

Xen10: 7.5 x 103 CFUs

BALB/c マウスに腹腔内投与し、

判定を行った。 

サイトカイン測定には追加免疫後サルの Ficoll に よ り 分 離 さ れ た

)を用いた。PMBC し、抗原提示細胞(CD4 理したもの)ならびに PspA

2の条件下のもと

上清を回収し、Monkey  Singleplex  Bead  Kit IL-4、IL-17 の濃度を測定した。

マイクロRNA(miRNA)の定量

追加免疫後、血清、鼻腔粘膜組織および肺組織 を回収し、miRNA の抽出を行った。

miR-181a ならびに time PCR 法にて測定した。

研究結果  PspA ならびに

PET による体内動態 PspA 単独をマウスに

鼻腔内には保持されず、すぐに排泄されるが、

ノゲル化された18F-PspA は鼻腔内に 6 経鼻投与された18F-PspA 胃を経由して排泄された。

と推定される低分子分解体が血中を介して 尿に排泄されことが確認された。

終初回免疫の血清(10 µl)に 90  CFUs)を加え、37 マウスに腹腔内投与し、

サイトカイン測定には追加免疫後サルの に よ り 分 離 さ れ た 末 梢 血 単 核 細 胞

PMBC から CD4 CD4-CD8-  T 細胞に

PspA  5 µg/ml

の条件下のもと 5 日間培養した。培養後、

Monkey  Singleplex  Bead  Kit の濃度を測定した。

iRNA)の定量

追加免疫後、血清、鼻腔粘膜組織および肺組織 の抽出を行った。

ならびに miR- 法にて測定した。 

ならびにナノゲル化 体内動態解析  単独をマウスに経鼻投与

鼻腔内には保持されず、すぐに排泄されるが、

PspA の経鼻投与を行うと、

6 時間以上保持された PspA の一部は

胃を経由して排泄された。18F の排泄の主な経路は と推定される低分子分解体が血中を介して 尿に排泄されことが確認された。 

90 µl の肺炎球菌 37℃で 30 分培養 マウスに腹腔内投与し、1 週間生死

サイトカイン測定には追加免疫後サルの末梢血 末 梢 血 単 核 細 胞 CD4+  T 細胞を分離 細胞に照射で処 /ml を加え、37 日間培養した。培養後、

Monkey  Singleplex  Bead  Kit にて の濃度を測定した。 

iRNA)の定量(real-time 

追加免疫後、血清、鼻腔粘膜組織および肺組織 の抽出を行った。免疫原性に関 -326 の発現量を  

ナノゲル化 18F‑PspA 経鼻投  

投与後、18F-PspA 鼻腔内には保持されず、すぐに排泄されるが、

経鼻投与を行うと、

保持された(図 の一部は鼻腔から食道、

の排泄の主な経路は と推定される低分子分解体が血中を介して

 

の肺炎球菌 分培養 週間生死

末梢血 末 梢 血 単 核 細 胞 分離 照射で処 37℃、

日間培養した。培養後、

にて

time  PC

追加免疫後、血清、鼻腔粘膜組織および肺組織 免疫原性に関 の発現量を

経鼻投

PspA 鼻腔内には保持されず、すぐに排泄されるが、ナ 経鼻投与を行うと、18

(図 1)。

食道、

の排泄の主な経路は と推定される低分子分解体が血中を介して

図 1 投与  

2)ナノゲル

特異的

肺胞洗浄液中の 洗浄液中の

ロール群に比べはるかに高いレベルを示した。これ らの抗体価は徐々に下がる傾向にあったが、追加 免疫を行うと、初回最終免疫後のレベルまで回復し た(図

追加免疫後の 行った結果、

びに Th17 た(図

混合させてマウスに腹腔内投与すると、全てのマウ スが生存し完全に感染防御効果を示したが、

群や

に腹腔内投与すると、マウスは 亡した

miRNA

1. 18F‑PspA ならびに 投与後の PET による

ナノゲル化 PspA ナノゲル化 Psp 特異的 IgG 抗体 肺胞洗浄液中の 洗浄液中の PspA

ロール群に比べはるかに高いレベルを示した。これ らの抗体価は徐々に下がる傾向にあったが、追加 免疫を行うと、初回最終免疫後のレベルまで回復し た(図 2A)。  抗体価の上昇が認められたことから、

追加免疫後の PMBC 行った結果、ナノゲル

びに IL-17 の産生が有意に認められ、

Th17 細胞の免疫応答

(図 3)。 

また、ナノゲル

混合させてマウスに腹腔内投与すると、全てのマウ スが生存し完全に感染防御効果を示したが、

や PBS 群の血清を肺炎球菌と混合させてマウス に腹腔内投与すると、マウスは

亡した(図 2B)。 

さらに免疫前と miRNA の発現量

ならびにナノゲル化 による体内動態

PspA 経鼻ワクチンの免疫応答誘導 PspA 免疫群では、血清中の 抗体価が有意に増加し、さらに気管支 肺胞洗浄液中の PspA 特異的

PspA 特異的分泌型

ロール群に比べはるかに高いレベルを示した。これ らの抗体価は徐々に下がる傾向にあったが、追加 免疫を行うと、初回最終免疫後のレベルまで回復し 抗体価の上昇が認められたことから、

PMBC を用いてサイトカイン測定を ナノゲル化 PspA

の産生が有意に認められ、

免疫応答が誘導される

ナノゲル化 PspA 群の血清と肺炎球菌を 混合させてマウスに腹腔内投与すると、全てのマウ スが生存し完全に感染防御効果を示したが、

群の血清を肺炎球菌と混合させてマウス に腹腔内投与すると、マウスは

 

免疫前と追加免疫 の発現量を調べたところ、

ナノゲル化18F‑PspA 体内動態解析 

経鼻ワクチンの免疫応答誘導 免疫群では、血清中の が有意に増加し、さらに気管支

特異的 IgG 抗体価及び鼻腔 特異的分泌型 IgA 抗体価もコント ロール群に比べはるかに高いレベルを示した。これ らの抗体価は徐々に下がる傾向にあったが、追加 免疫を行うと、初回最終免疫後のレベルまで回復し 抗体価の上昇が認められたことから、

を用いてサイトカイン測定を PspA 群において

の産生が有意に認められ、Th2

が誘導されることが確認でき

群の血清と肺炎球菌を 混合させてマウスに腹腔内投与すると、全てのマウ スが生存し完全に感染防御効果を示したが、

群の血清を肺炎球菌と混合させてマウス に腹腔内投与すると、マウスは 3 日以内に全て死

追加免疫後の血清中における を調べたところ、追加免疫後の

  PspA 経鼻

経鼻ワクチンの免疫応答誘導  免疫群では、血清中の PspA が有意に増加し、さらに気管支 及び鼻腔 抗体価もコント ロール群に比べはるかに高いレベルを示した。これ らの抗体価は徐々に下がる傾向にあったが、追加 免疫を行うと、初回最終免疫後のレベルまで回復し 抗体価の上昇が認められたことから、

を用いてサイトカイン測定を において IL-4 なら Th2 ならびに ことが確認でき

群の血清と肺炎球菌を 混合させてマウスに腹腔内投与すると、全てのマウ スが生存し完全に感染防御効果を示したが、PspA 群の血清を肺炎球菌と混合させてマウス 日以内に全て死

後の血清中における 追加免疫後のナ

(4)

ノゲル化 miR-326 加免疫後の ゲル化 PspA の発現が

 

図 2.  A)

抗体価の測定結果  

図 3.  サイトカイン

(#2, #5 のサルでは  

ノゲル化 PspA 投与群の血清中で 326 の発現が有意に

加免疫後の鼻腔粘膜組織および肺組織 PspA 投与群において

が有意に増加し

)PspA 特異的抗体価の測定結果 抗体価の測定結果 

サイトカイン測定結果 のサルでは PMBC

投与群の血清中で 有意に増加した(図 鼻腔粘膜組織および肺組織

投与群において miR- 増加した(図 4)。 

特異的抗体価の測定結果  

測定結果 

PMBC が分離出来なかった。)

投与群の血清中で miR-181a た(図 4)。また、追 鼻腔粘膜組織および肺組織でも、

-181a や miR-  

特異的抗体価の測定結果  B)中和

が分離出来なかった。)

a や

)。また、追

、ナノ -326

 

)中和

 

が分離出来なかった。) 

図 4 A)血清 Pre: 

a : PspA   D.  考察   (1)

ナノゲル

の保持効果があることが確認できた。

ル化

(standardized  uptake  value

球および脳への移行が認められなかった。このこと から、

ンであることが証明された。

サルに投与し、脳内への移行の有無を検討する 定である

 (2)

ならびに気道粘膜中の

導出来ることが明らかとなった。さらに血清中の PspA

とがわかった。この抗原特異的な抗体産生は 産生による

4. miRNA 発現量の測定結果

)血清  B)鼻腔粘膜組織 Pre:  初回免疫前、

: PspA-nanogel vs PspA

考察 

(1)マウスにおける ナノゲル化を行うことで

の保持効果があることが確認できた。

ル化18F-PspA を経鼻投与後 standardized  uptake  value

球および脳への移行が認められなかった。このこと から、ナノゲル化

ンであることが証明された。

サルに投与し、脳内への移行の有無を検討する 定である。 

(2)ナノゲル化 ならびに気道粘膜中の

導出来ることが明らかとなった。さらに血清中の PspA 特異的 IgG

とがわかった。この抗原特異的な抗体産生は 産生による Th2

発現量の測定結果

)鼻腔粘膜組織  C 初回免疫前、Post:  追加免疫後

nanogel vs PspA/PBS

マウスにおける PET での体内動態解析により、

化を行うことで PspA

の保持効果があることが確認できた。

を経鼻投与後 standardized  uptake  value) 

球および脳への移行が認められなかった。このこと ナノゲル化 PspA は安全性の高い経鼻ワクチ ンであることが証明された。次年度は、

サルに投与し、脳内への移行の有無を検討する

ナノゲル化 PspA の経鼻投与により、血清中 ならびに気道粘膜中の PspA

導出来ることが明らかとなった。さらに血清中の IgG 抗体により感染防御効果を示すこ とがわかった。この抗原特異的な抗体産生は

Th2 細胞の免疫応答の誘導であること 発現量の測定結果 

C)肺組織  追加免疫後、 

/PBS, *p < 0.05, **

での体内動態解析により、

PspA ワクチンの鼻腔内で の保持効果があることが確認できた。また、

を経鼻投与後各臓器を摘出し   を測定したところ、嗅 球および脳への移行が認められなかった。このこと は安全性の高い経鼻ワクチ

次年度は、18F- サルに投与し、脳内への移行の有無を検討する

の経鼻投与により、血清中 PspA 特異的抗体産生を誘 導出来ることが明らかとなった。さらに血清中の 感染防御効果を示すこ とがわかった。この抗原特異的な抗体産生は

細胞の免疫応答の誘導であること  

**p < 0.01 

での体内動態解析により、

ワクチンの鼻腔内で また、ナノゲ 各臓器を摘出し SUV  を測定したところ、嗅 球および脳への移行が認められなかった。このこと は安全性の高い経鼻ワクチ -PspA を サルに投与し、脳内への移行の有無を検討する予

の経鼻投与により、血清中 特異的抗体産生を誘 導出来ることが明らかとなった。さらに血清中の 感染防御効果を示すこ とがわかった。この抗原特異的な抗体産生は IL-4 細胞の免疫応答の誘導であること

(5)

が確認できた。また、肺炎球菌の増殖抑制には IL-17 の産生による好中球やマクロファージの活性 が必要であることが報告されており、ナノゲル化 PspA をサルに経鼻投与後 IL-17 の産生が上昇した ことは、肺炎球菌ワクチンを開発していく上で非常 に重要である。 

  一方で、T 細胞や B 細胞の分化に関連性のある miR-181a 、 Th17 細 胞 の 分 化 に 関 連 性 の あ る miR-326 の発現量がナノゲル化 PspA 免疫群で上 昇されたことから、Th2 細胞ならびに Th17 細胞の免 疫応答をサポートしており、今後、経鼻ワクチンの 免疫応答に対するバイオマーカーとなることが期待 される。 

  E.  結論 

次世代ワクチンであるアジュバンドを含まない ナノゲル型経鼻肺炎球菌PspAワクチンの効果と 安全性を評価することを目標とし、PET を用いてそ の動態を明らかにするためのナノゲル化18F-PspA 及び 18F-PspAのマウスでのPET解析を行いその デリバリー効果、嗅球・脳等への移行有無から安全 性を評価した。またサルを用いナノゲル化PspA経 鼻ワクチンの血清、上気道、下気道での抗体の誘 導、肺炎球菌中和効果、サイトカインの誘導、及び miRNA による誘導制御効果を検討し、ナノゲル化 PspA 経鼻ワクチンのサルでの有効性が評価できた。

来年度はサルの頭部PET解析でサルでの安全性 及びデリバリー評価を行う。 

 

F.  健康危険情報  なし。 

 

G.  研究発表 

1.  論文発表 

1) D. Tokuhara, B. Álvarez, M. Mejima, Y.

Takahashi,  S.  Kurokawa,  T.  Hiroiwa,  M. 

Kuroda  M.  Oyama,  H.Kozuka-Hata,  T.Nochi,  H.  Sagara,  F.Aladin,  H. 

Marcotte,  L.  Frenken,  M.Iturriza-Gómara, H. Kiyono, L.

Hammarström, Y.  Yuki.  Rice-based  orally  administered  antibody  fragment  prophylaxis  and  therapy  against  rotavirus infection. J. Clin. Invest. 123: 

3829-3838, (2013)   

2) S. Kurokawa, R. Nakamura, M. Mejima, H. 

Kozuka-Hata, M. Kuroda, N. Takeyama,  M.Oyama,  S.  Satoh,  H.  Kiyono,  T. 

Masumura,  R.  Teshima,  Y.  Yuki. 

MucoRice-cholera  toxin  B-subunit,  a  rice-based  oral  cholera  vaccine,  down-regulates  the  expression  of  α-amylase/trypsin  inhibitor-like  protein family as major rice allergens. J. 

Proteome Res.12:3372-3382 (2013)    3) S.  Kurokawa,  M.  Kuroda,  M.  Mejima,  R. 

Nakamura,  Y.  Takahashi,  H.  Sagara,  N. 

Takeyama,  S.  Satoh,  H.  Kiyono,  R. 

Teshima, T. Masumura, Y. Yuki. Change  in  localization  of  cholera  toxin  B-subunit  expressed  in  rice  upon  RNAi-mediated  suppression  of  endogenous  storage  proteins  leads  to  down-regulation  of  the  rice  allergen  protein  RAG2.  Plant  Cell  Reports  33:75-87 (2014)  

(6)

4) M. Abe, Y. Yuki, S. Kurokawa, M. Mejima,  M.  Kuroda,  EJ.  Park,  J.  Scheller,  U. 

Nakanishi,  H.  Kiyono:  A  rice-based  soluble form of a murine TNF-specific ll  ama  variable  domain  of  heavy-chain  antibody  suppresses  collagen-induced  arthr  itis  in  mice. J.  Biotechnol.  175: 

45-52 (2014)   

5) Y. Yuki, T. Nochi, IG. Kong, H. Takahashi,  S.  Sawada2  K.  Akiyoshi,  &  H.  Koyono. 

Nanogel-based antigen delivery system  for  nasal  vaccines. Biotechnology  and  Genetic Engineering Reviews 29:61-72  (2013)   

6) 幸  義和:  経口ワクチン  日本統合医 療学会誌  6: 44-49 (2013) 

7) 幸  義和:粘膜ワクチン製剤のDDS技 術の動向と実用化の可能性― 

「DDS製剤の開発・評価と実用化手法」

(技術情報協会) 178-185(2013)   

2.学会発表 

1) Y.  Yuki,  M.  Mejima,  S.  Kurokawa,  T. 

Hiroiwa, Y. Tkahashi, Y. Takatai, M,    Kuroda,  N.  Takeyma,  K.  Kashima,  H. 

Kiyono.  Molecularly  Uniform  Rice-based  Oral  Cholera  Toxin  B  Subunit  Vaccine  without  Plant-associated  Sugar  Modification  induces  toxin-specific  neutralizing  immunity  in  mice  and  macaques.  15th  International  congress  of  immunology,  Milan, Italy (2013) 

2) Y.  Fukuyama,  Y.  Yuki,  Y.  Katakai,  S. 

Takahashi,  S.  Sawada,  H.  Shibata,  M. 

Mejima,  S.  Kurokawa,  K.  Akiyoshi,  H. 

Kiyono.  Nanogel-based  PspA  nasal  vaccine  induces  S. 

pneumoniae-specific  neutralizing  antibody  immune  responses  in  non-human primates. 15th International  congress  of  immunology,  Milan,  Italy  (2013) 

3) I.  Kong,  A.  Sato,  Y.  Yuki,  T.  Nochi,  H. 

Takahashi,  S.  Sawada,  M.  Mejima,  K. 

Okada,  K.  Akiyoshi,  H.  Kiyono. 

Nanogel-based  pneumococcal  surface  protein  A  (PspA)  intranasal  vaccine  prevents  invasive  disease  and  nasal  colonization  by  pneumococcus.  15th  International  congress  of  immunology,  Milan, Italy (2013) 

4) N.  Takayama,  Y.  Chen,  Y.  Tohya,  K. 

Oroku,H. kiyono, Y. Yuki. Establishment  of murine norvirus S7 infection system  for  vaccine  development.  15th  International  congress  of  immunology,  Milan, Italy (2013) 

5) Michiyo  Abe,  Y.  Yuki,  M.  Mejima,  S. 

Kurokawa,  E.  Park,  J.  Schellr,  U. 

Nakanishi,  H.  Kiyono.  Production  of  TNF-specific  monovalent  and  bivalent  variable  domain  of  Ilama  heavy-chain  antibody  fragment  in  transgenic  rice. 

15th  International  congress  of  immunology, Milan, Italy (2013) 

(7)

6) Y.  Yuki,  Y.  Fukuyama,  H.  Kiyono: 

Cholera  toxin  as  a  mucosal  adjuvant  impairs  olfactory  nerve  system  when  administered via nasal route in mice. 日 本免疫学会  千葉  (2013) 

7) EJ Park, Y. Yuki, H, Kiyono: Regional T  memory  and  miRNA  biomarkers  revealed  by  oral  vaccination  with  MucoRice-CTB 日本免疫学会  千葉  (2013) 

8) Y.  Fukuyama,  Y.  Yuki,  H.  Kiyono: 

Nanogel-based  PspA  nasal  vaccine  induces  S.  pneumoniae  -specific  neutralizing antibody immune responses  in  nonhuman  primates 日本免疫学会  千葉  (2013) 

9) N. Takayama, Y. Yuki, H. Kiyono: In vivo  evaluation of murine norovirus mucosal 

vaccine  against  challenge  with  Japan  isolated strain  S7日本免疫学会  千葉  (2013) 

10) 幸  義和、清野  宏:経鼻投与された粘 膜アジュバントであるコレラトキシンは 嗅覚神経を破壊する  日本ワクチン学 会    津、三重  (2013) 

H.  知的財産権の出願、登録状況 

1)         幸  義和,  野地  智法,  秋吉一成,  清野  宏:カチオン性ナノゲルを用いる粘膜ワク チン特許第 5344558 (登録日  平成 25 年 8 月 23 日) 

2)         幸  義和、清野  宏、澤田晋一、秋吉一 成:肺炎球菌経鼻ワクチン  特願 2014-  27205(出願日  平成26年2月17日) 

 

 

参照

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