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インフルエンザ経鼻ワクチンの体内動態評価

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Academic year: 2021

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(1)

厚生労働科学研究費補助金(創薬基盤推進研究事業) 

平成 24‑26 年度  分担者研究報告書   

インフルエンザ経鼻ワクチンの体内動態評価 

 

分担研究者:長谷川秀樹 (国立感染症研究所  感染病理部) 

協力研究者:原田典弘 (浜松ホトニクス株式会社 中央研究所 PET センター) 

相内  章 (国立感染症研究所  インフルエンザウイルス研究センター)  鈴木忠樹 (国立感染症研究所  感染病理部) 

齊藤慎二 (国立感染症研究所  感染病理部)   

研究要旨:   現行インフルエンザワクチンは皮下に注射されるため、全身性の IgG 抗体を誘導で きるが、ウイルスの侵入部位である気道に粘膜免疫を誘導できない。インフルエンザウイルスの 感染防御には、粘膜免疫の中でも上気道粘膜上への分泌型 IgA 抗体誘導が特に重要であることが、

マウスを用いたモデル実験等で明らかにされている。この粘膜免疫を誘導するためには、インフ ルエンザワクチンを鼻腔領域内に噴無する経鼻インフルエンザワクチンが有効である。我々は、

経鼻インフルエンザワクチンの実用化に向けた研究を行っている。しかしながら、不活化抗原を 鼻粘膜に投与するワクチンは、インフルエンザワクチンに限らず未だにヒトでは実用化されてお らず、その安全性については十分な評価がされていない。そこで本研究では、PET を用いて次世 代ワクチンである経鼻不活化インフルエンザワクチンの体内動態を明らかにし、その安全性を評 価することを目的としている。 

 

A. 研究目的 

インフルエンザの大流行を抑制するには効 果的なワクチンが必要不可欠である。しかし ながら、変異を繰り返し毎年のように抗原性 を変化させるインフルエンザウイルスにおい ては、ワクチン株と実際に流行するウイルス 株の抗原性が大きく乖離することで、ワクチ ン効果が著しく低くなる場合がある。そのた め、現行のワクチンより有効性の高いインフ ルエンザワクチンの開発が求められている。 

有効性の高いワクチンを開発するためには、

生体内におけるインフルエンザウイルスの感 染様式と感染防御に寄与する免疫を正しく理 解する必要がある。インフルエンザウイルス 感染の標的細胞は気道粘膜上皮細胞であり、

感染防御に最も大きな役割を果たすのは気道 粘膜上に多量に存在する分泌型 IgA 抗体であ ると考えられている。注射により皮下に接種 される現行の季節性インフルエンザ HA ワクチ ン(エーテルおよび界面活性剤処理によりイ ンフルエンザウイルスを破砕し、ヘマグルチ ニンを主要抗原とするワクチン)では、ウイ

(2)

ルスに対する IgG 抗体が血液中のみに誘導さ れ、気道粘膜上の分泌型 IgA 抗体の誘導は認 められない。経鼻インフルエンザワクチンは、

血液中の IgG 抗体に加えて感染の場となる上 気道粘膜上に分泌型 IgA 抗体を誘導すること が明らかになっている。さらにこの分泌型 IgA 抗体は、抗原性が変化したウイルスに対して も感染阻止効果が高いこと(交叉防御能)が マウスを用いた実験から明らかになっており、

現行ワクチンより有効性の高いワクチンであ ると考えられる。 

我々は、不活化全粒子インフルエンザウイ ルスを抗原とした経鼻インフルエンザワクチ ンの開発研究を行っている。近年では、健康 成人ボランティアを募った臨床介入試験を実 施し、経鼻不活化インフルエンザワクチンの 実用化に向けて着実に研究を進めている。現 在までの所、動物やヒトにおいてワクチン接 種に伴う重大な副反応は見られておらず、こ のワクチンの安全性も高いと考えられる。し かしながら、多人数に接種されて初めて露見 する副反応を事前に適切に評価することは非 常に困難である。さらに、現在、ヒトで認可 され使用されている経鼻噴無により接種され る不活化ワクチンは存在しないことから、こ の投与ルートにおける安全性評価の指標も存 在しない。一般に医薬品の安全性を評価する 上では、製剤の体内動態を把握しておくこと が非常に重要であるため、本研究では経鼻不 活化ワクチンの安全性評価の基礎を築くため に PET 検査用に放射性同位体で標識したワク チン製剤をマウスもしくはサルに経鼻投与し、

その体内動態を科学的に明らかにすることを

目的としている。そこで本研究では、標識製 剤作成のための精製条件の検討、不活化全粒 子インフルエンザワクチンの18F 標識条件の検 討を行った後に 18F 標識を行った経鼻インフ ルエンザワクチンを使用して、アカゲザル及 びマウスを用いたモデル実験を実施した。同 時に、臨床試験に用いている添加剤カルボキ シビニルポリマー(CVP)の製剤体内動態への 影響も検討した。 

 

B. 研究方法  1)材料 

不活化全粒子インフルエンザワクチンは、

一般財団法人阪大微生物病研究会観音寺研究 所より供与して頂いた新型インフルエンザ不 活化全粒子ワクチン H5N1(NIBRG‑14 株)、3 価 不 活 化 全 粒 子 イ ン フ ル エ ン ザ ワ ク チ ン

(A(H1N1)株として A/California/7/09 由来の ワ ク チ ン 製 造 株 X‑179A 、 A(H3N2) 株 と し て A/Victoria/361 /11 由来の IVR‑165、B 型株と して B/Wisconsin/1/ 10 由来の BX‑41A を含む)、 ならびに濃縮単価不活化全粒子インフルエン ザワクチン A‑179A を用いた。 

 

2) Cellufine Sulfate カラムを用いたアフィ ニティー精製 

ワクチン製剤のアフィニティー精製は FPLC クロマトグラフィーシステム AKTAprime plus を用いた。サンプルを 0.45 μm フィルターで ろ過することにより清澄化を行った。500ul の サンプルを結合バッファー(0.01M リン酸バッ フ ァ ー pH7.4 ) で 平 衡 化 し た Mini  column  Cellufine Sulfate (ver2.1) 1ml にアプライ

(3)

し、25ml の洗浄バッファー(0.01M リン酸バ ッファーpH7.4、0.18M NaCl)で洗浄を行った。

その後、20ml 

の溶出バッファー(0.01M リン酸バッファー pH7.4、3M NaCl)を送液し、溶出液を 0.5ml ずつ分取した。全ての送液は 0.5ml/min で行 った。 

 

3)ゲル濾過クロマトグラフィーカラムを用い たワクチン製剤の精製 

ワクチン製剤のゲル濾過クロマトグラフィ ー精製は FPLC クロマトグラフィーシステム AKTAprime plus により行った。サンプルを 0.45 μm フィルターでろ過することにより 清澄化を行った。500ul のサンプルを溶出バッ ファー(0.01M リン酸バッファーpH7.4)で平 衡化したゲルろ過クロマトグラフィーカラム

(Superose 12 10/300 GL, GE)にアプライし、

さらに 36ml の溶出バッファーを送液し、溶出 液 を 0.5ml ず つ 分 取 し た 。 全 て の 送 液 は 0.5ml/min で行った。 

 

4)SDS‑PAGE 

クロマトグラフィー分画後のサンプルを2

‑メルカプトエタノールを加えたサンプルバ ッファーと混ぜ、95°C、5 分のインキュベー ション行う事で変性させたものをサンプルと し、12%ゲルで SDS‑PAGE を行った。 

 

5)電子顕微鏡観察 

分画後のサンプルの固定は 4%グルタール アルデヒド、2%リンタングステン酸によるネ ガティブ染色を実施した。観察は、透過型電

子顕微鏡 JEM‑1400(日本電子)で行い、撮影 は付属の CCD カメラを用いた。 

 

6)HA 含量の定量 

分画前後のサンプルに含まれる A(H1N1)、

A(H3N2)および B 型ウイルスの HA 含量を一元 放 射 免 疫 拡 散 試 験 ( Single  Radial  Immunodiffusion、SRD 試験)にて測定した。

SRD 試験は、現行季節性インフルエンザ HA ワ クチンに関する国家検定の手順に従い実施し た。SRD 試験直前に、各サンプルに関して界面 活性剤 Zwittergent 処理を実施し、希釈を行 った(希釈倍率;1.0、0.75、0.5 および 0.25 倍)。各ウイルスに対する参照抗血清を含む 1%

アガロースゲルに直径 4mm の穴をあけ、界面 活性剤処理済みのサンプルを添加した。サン プルがゲルに吸収されたのを確認し、ゲルを 洗浄後、20℃で 18 時間インキュベートした。

ゲルを乾燥させ Coomassie Brilliant Blue 染 色を行い、沈降輪の直径を測定した。測定し た沈降輪の直径をもとに平行線定量法により、

各サンプルに含まれる HA 量を算出した。なお、

HA 含量既知の各ウイルス抗原を標準抗原とし て使用した。 

 

7) ワクチンの 18F 標識 

不活化全粒子インフルエンザワクチンを 18F 標識するための、[18F]SFB 標識体の合成 を行った。その後、不活化ワクチンとのカッ プリング反応を行い、18F 標識を行った。標識 された不活化ワクチンは、上述の則り、ゲル ろ過クロマトグラフィーカラム(Superose 12  10/300  GL,  GE ) に ア プ ラ イ し 、 未 反 応 の

(4)

[18F]SFB void volume  

8) PET 及び ける 18F

上述 2)

全粒子インフルエンザワクチンを

非添加の条件にてマウス鼻腔領域内に滴加し

(片鼻 小型動物用

定し解析を行った。また、接種したマウスの 解剖を継時的に行い、摘出した各臓器の放射 線量をγ

は 6 週齢の雌

の処置は国立感染症研究所および浜松ホトニ クス株式会社の定める動物実験実施規定に則 り、苦痛を与えないように考慮した。

 

9) PET を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析

上述の手順で回収された 粒子インフルエンザワクチンを

添加の条件にてアカゲザルの鼻腔領域内に噴 霧し(片鼻

後より

カゲザルは浜松ホトニクス株式会社により飼 育されているサルを用いた。動物への処置は 国立感染症研究所および浜松ホトニクス株式 会社の定める動物実験実施規定に則り、苦痛 を与えないように考慮した。

 

C. 研究結果

1)ワクチン製剤のアフィニティー精製 [18F]SFB 標識体を除去した標識ワクチンを void volume に回収した。

及びγカウンターを用いたマウスにお 18F 標識ワクチンの動態解析

2)の手順で回収された 全粒子インフルエンザワクチンを

非添加の条件にてマウス鼻腔領域内に滴加し

(片鼻 2.5µL、両鼻で計

小型動物用 PET によりその動態を継時的に測 定し解析を行った。また、接種したマウスの 解剖を継時的に行い、摘出した各臓器の放射 γカウンターにより測定した。マウス 週齢の雌 BALB/c

の処置は国立感染症研究所および浜松ホトニ クス株式会社の定める動物実験実施規定に則 り、苦痛を与えないように考慮した。

を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析

上述の手順で回収された 粒子インフルエンザワクチンを

添加の条件にてアカゲザルの鼻腔領域内に噴 霧し(片鼻 250µL、両鼻で計

後より PET を用いてその動態を解析した。ア カゲザルは浜松ホトニクス株式会社により飼 育されているサルを用いた。動物への処置は 国立感染症研究所および浜松ホトニクス株式 会社の定める動物実験実施規定に則り、苦痛 を与えないように考慮した。

研究結果 

)ワクチン製剤のアフィニティー精製 標識体を除去した標識ワクチンを

に回収した。 

カウンターを用いたマウスにお 標識ワクチンの動態解析

の手順で回収された 全粒子インフルエンザワクチンを

非添加の条件にてマウス鼻腔領域内に滴加し

、両鼻で計 5µL)、接種直後より によりその動態を継時的に測 定し解析を行った。また、接種したマウスの 解剖を継時的に行い、摘出した各臓器の放射 カウンターにより測定した。マウス BALB/c マウスを用いた。動物へ の処置は国立感染症研究所および浜松ホトニ クス株式会社の定める動物実験実施規定に則 り、苦痛を与えないように考慮した。

を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析 

上述の手順で回収された 18F 粒子インフルエンザワクチンを

添加の条件にてアカゲザルの鼻腔領域内に噴

、両鼻で計 500µL

を用いてその動態を解析した。ア カゲザルは浜松ホトニクス株式会社により飼 育されているサルを用いた。動物への処置は 国立感染症研究所および浜松ホトニクス株式 会社の定める動物実験実施規定に則り、苦痛 を与えないように考慮した。 

)ワクチン製剤のアフィニティー精製 標識体を除去した標識ワクチンを

カウンターを用いたマウスにお 標識ワクチンの動態解析 

18F 標識不活化 全粒子インフルエンザワクチンを CVP 添加・

非添加の条件にてマウス鼻腔領域内に滴加し

)、接種直後より によりその動態を継時的に測 定し解析を行った。また、接種したマウスの 解剖を継時的に行い、摘出した各臓器の放射 カウンターにより測定した。マウス マウスを用いた。動物へ の処置は国立感染症研究所および浜松ホトニ クス株式会社の定める動物実験実施規定に則 り、苦痛を与えないように考慮した。 

を用いたアカゲザルにおける 18F 標識

18F 標識不活化全 粒子インフルエンザワクチンを CVP 添加・非 添加の条件にてアカゲザルの鼻腔領域内に噴 500µL)、接種直 を用いてその動態を解析した。ア カゲザルは浜松ホトニクス株式会社により飼 育されているサルを用いた。動物への処置は 国立感染症研究所および浜松ホトニクス株式 会社の定める動物実験実施規定に則り、苦痛

 

)ワクチン製剤のアフィニティー精製  標識体を除去した標識ワクチンを

カウンターを用いたマウスにお

標識不活化 添加・

非添加の条件にてマウス鼻腔領域内に滴加し

)、接種直後より によりその動態を継時的に測 定し解析を行った。また、接種したマウスの 解剖を継時的に行い、摘出した各臓器の放射 カウンターにより測定した。マウス マウスを用いた。動物へ の処置は国立感染症研究所および浜松ホトニ クス株式会社の定める動物実験実施規定に則

標識

標識不活化全 添加・非 添加の条件にてアカゲザルの鼻腔領域内に噴

)、接種直 を用いてその動態を解析した。ア カゲザルは浜松ホトニクス株式会社により飼 育されているサルを用いた。動物への処置は 国立感染症研究所および浜松ホトニクス株式 会社の定める動物実験実施規定に則り、苦痛

Cellufine 

ウイルスの精製については過去に報告があり、

その方法に準じて精製を行った。しかしなが ら、今回用いた不活化全粒子インフルエンザ ワクチンは、同条件ではカラムへ吸着せず、

精製を行うことが出来なかった(図

エンザウイルスの精製  

2)ゲル濾過クロマトグラフィーによるワクチ ン製剤の精製

全粒子不活化ワクチンは、ウイルス粒子の 形態が保たれたまま不活化されており、その 粒径は

ような巨大な分子を高速で分画できるゲル濾 過クロマトグラフィーカラムは存在しないこ とから、小分子である放射性同位体を排除す ることを目的として

たゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を 行った。クロマトグラムには、ワクチン製剤 と考えられるピークが

た(図2)。ピーク分画のサンプルを により解析したところ、

のバンドが確認された(図

分画の電子顕微鏡観察では、精製前のサンプ Cellufine sulfate

ウイルスの精製については過去に報告があり、

その方法に準じて精製を行った。しかしなが ら、今回用いた不活化全粒子インフルエンザ ワクチンは、同条件ではカラムへ吸着せず、

精製を行うことが出来なかった(図

図 1.  Cellufine sulfate エンザウイルスの精製

)ゲル濾過クロマトグラフィーによるワクチ ン製剤の精製 

全粒子不活化ワクチンは、ウイルス粒子の 形態が保たれたまま不活化されており、その 粒径は 100nm を超え、粒径分布も広い。この ような巨大な分子を高速で分画できるゲル濾 過クロマトグラフィーカラムは存在しないこ とから、小分子である放射性同位体を排除す ることを目的として

たゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を 行った。クロマトグラムには、ワクチン製剤 と考えられるピークが

た(図2)。ピーク分画のサンプルを により解析したところ、

のバンドが確認された(図

分画の電子顕微鏡観察では、精製前のサンプ sulfate を用いたインフルエンザ ウイルスの精製については過去に報告があり、

その方法に準じて精製を行った。しかしなが ら、今回用いた不活化全粒子インフルエンザ ワクチンは、同条件ではカラムへ吸着せず、

精製を行うことが出来なかった(図

Cellufine sulfate エンザウイルスの精製 

)ゲル濾過クロマトグラフィーによるワクチ  

全粒子不活化ワクチンは、ウイルス粒子の 形態が保たれたまま不活化されており、その を超え、粒径分布も広い。この ような巨大な分子を高速で分画できるゲル濾 過クロマトグラフィーカラムは存在しないこ とから、小分子である放射性同位体を排除す ることを目的として Superose12

たゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を 行った。クロマトグラムには、ワクチン製剤 と考えられるピークが Void

た(図2)。ピーク分画のサンプルを により解析したところ、input のバンドが確認された(図

分画の電子顕微鏡観察では、精製前のサンプ を用いたインフルエンザ ウイルスの精製については過去に報告があり、

その方法に準じて精製を行った。しかしなが ら、今回用いた不活化全粒子インフルエンザ ワクチンは、同条件ではカラムへ吸着せず、

精製を行うことが出来なかった(図 1)。

Cellufine sulfate を用いたインフル

)ゲル濾過クロマトグラフィーによるワクチ

全粒子不活化ワクチンは、ウイルス粒子の 形態が保たれたまま不活化されており、その を超え、粒径分布も広い。この ような巨大な分子を高速で分画できるゲル濾 過クロマトグラフィーカラムは存在しないこ とから、小分子である放射性同位体を排除す Superose12 カラムを用い たゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を 行った。クロマトグラムには、ワクチン製剤 Void volume に見られ た(図2)。ピーク分画のサンプルを SDS

input サンプル のバンドが確認された(図 3)。さらにピーク 分画の電子顕微鏡観察では、精製前のサンプ を用いたインフルエンザ ウイルスの精製については過去に報告があり、

その方法に準じて精製を行った。しかしなが ら、今回用いた不活化全粒子インフルエンザ ワクチンは、同条件ではカラムへ吸着せず、

)。   

    を用いたインフル

)ゲル濾過クロマトグラフィーによるワクチ

全粒子不活化ワクチンは、ウイルス粒子の 形態が保たれたまま不活化されており、その を超え、粒径分布も広い。この ような巨大な分子を高速で分画できるゲル濾 過クロマトグラフィーカラムは存在しないこ とから、小分子である放射性同位体を排除す カラムを用い たゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を 行った。クロマトグラムには、ワクチン製剤 に見られ SDS‑PAGE サンプルと同様

)。さらにピーク 分画の電子顕微鏡観察では、精製前のサンプ

 

(5)

ルと同様に明瞭なオルソミクソウイルス粒子 が観察された(図

チン製剤はゲル濾過クロマトグラフィーによ り Void 

分子と明瞭に分離できることが明らかになっ た。 

図 2. 

クチン製剤の精製

図 3.  ゲル濾過分画の

図 4.  ゲル濾過分画の電子顕微鏡解析  

3) ワクチンの

上述の精製方法を用いて

子不活化インフルエンザワクチンに対する標 識の検討をおこなった。最初に、現行の季節 ルと同様に明瞭なオルソミクソウイルス粒子 が観察された(図 4

チン製剤はゲル濾過クロマトグラフィーによ  volume に分画され、数百

分子と明瞭に分離できることが明らかになっ

  ゲル濾過クロマトグラフィーによるワ クチン製剤の精製 

ゲル濾過分画の

ゲル濾過分画の電子顕微鏡解析

ワクチンの 18F

上述の精製方法を用いて

子不活化インフルエンザワクチンに対する標 識の検討をおこなった。最初に、現行の季節 ルと同様に明瞭なオルソミクソウイルス粒子 4)。以上の結果より、ワク チン製剤はゲル濾過クロマトグラフィーによ

に分画され、数百

分子と明瞭に分離できることが明らかになっ

ゲル濾過クロマトグラフィーによるワ  

ゲル濾過分画の SDS‑PAGE

ゲル濾過分画の電子顕微鏡解析

18F 標識  上述の精製方法を用いて PET

子不活化インフルエンザワクチンに対する標 識の検討をおこなった。最初に、現行の季節 ルと同様に明瞭なオルソミクソウイルス粒子

)。以上の結果より、ワク チン製剤はゲル濾過クロマトグラフィーによ に分画され、数百 KDa 以下の 分子と明瞭に分離できることが明らかになっ

ゲル濾過クロマトグラフィーによるワ

  PAGE 

ゲル濾過分画の電子顕微鏡解析 

PET に用いる全粒 子不活化インフルエンザワクチンに対する標 識の検討をおこなった。最初に、現行の季節 ルと同様に明瞭なオルソミクソウイルス粒子

)。以上の結果より、ワク チン製剤はゲル濾過クロマトグラフィーによ 以下の 分子と明瞭に分離できることが明らかになっ

  ゲル濾過クロマトグラフィーによるワ

 

 

に用いる全粒 子不活化インフルエンザワクチンに対する標 識の検討をおこなった。最初に、現行の季節

性インフルエンザワクチンと同じく インフルエンザワクチン(

および ンに関して、

ゲルろ過クロマトグラフィーを実施し、

volume 試験を実施し

HA 含量を測定した。

量として 時、

ョン(

および 59.6 µg

ることが明らかになった。しかしながら、

ウイルスに関しては、かなりの損失が見られ た。

収できないものの、

関しては、現行インフルエンザワクチンの接 種量(

を回収できることが明らかになった。そこで、

この

標識を試みた ことが出来たものの

回収率となることが判明した ゲルろ過操作により回収できる

ルスにより異なってしまうこと、また濃度が 薄く

たため、

の PET HA/mL

を試みた。その結果、放射線量ならびに回収 タンパク量として、

X‑179A

性インフルエンザワクチンと同じく インフルエンザワクチン(

および B 型)を含む

ンに関して、Superose 12 10/300 GL ゲルろ過クロマトグラフィーを実施し、

lume に溶出されるサンプルに関して、

試験を実施し A(H1N1) 含量を測定した。

量として 90 µg 時、溶出される ョン(No.15 と および A(H3N2) 59.6 µg となり、

ることが明らかになった。しかしながら、

ウイルスに関しては、かなりの損失が見られ た。B 型ウイルスに関しては十分な

収できないものの、

関しては、現行インフルエンザワクチンの接 種量(15 µg HA/500 µL/dose

を回収できることが明らかになった。そこで、

この 3 価不活化全粒子ワクチンに関して 標識を試みたが、標識されたワクチンを得る ことが出来たものの

回収率となることが判明した ゲルろ過操作により回収できる

ルスにより異なってしまうこと、また濃度が 薄く PET 実施には不十分であることが判明し たため、A(H1N1)

PET 実施に切換え、濃縮することで HA/mL とした不活化全粒子ワクチンの

を試みた。その結果、放射線量ならびに回収 タンパク量として、

179A ワクチンを回収できることが明らかに 性インフルエンザワクチンと同じく

インフルエンザワクチン(

型)を含む 3 価全粒子不活化ワクチ Superose 12 10/300 GL

ゲルろ過クロマトグラフィーを実施し、

に溶出されるサンプルに関して、

A(H1N1)、A(H3N2) 含量を測定した。その結果、

90 µg をゲルろ過カラムに添加した 溶出される void volume

と 16 の計 1mL)に関して、

A(H3N2)の HA 量はそれぞれ

となり、44〜63%の回収率で分画でき ることが明らかになった。しかしながら、

ウイルスに関しては、かなりの損失が見られ 型ウイルスに関しては十分な

収できないものの、A(H1N1)

関しては、現行インフルエンザワクチンの接 15 µg HA/500 µL/dose

を回収できることが明らかになった。そこで、

価不活化全粒子ワクチンに関して が、標識されたワクチンを得る ことが出来たものの PET を行うには不十分な 回収率となることが判明した

ゲルろ過操作により回収できる

ルスにより異なってしまうこと、また濃度が 実施には不十分であることが判明し A(H1N1)単身不活化全粒子ワクチンで 実施に切換え、濃縮することで

とした不活化全粒子ワクチンの

を試みた。その結果、放射線量ならびに回収 タンパク量として、PET 実施に十分な

ワクチンを回収できることが明らかに 性インフルエンザワクチンと同じく 3

インフルエンザワクチン(A(H1N1), A(H3N2) 価全粒子不活化ワクチ Superose 12 10/300 GL を用いた ゲルろ過クロマトグラフィーを実施し、

に溶出されるサンプルに関して、

A(H3N2)および その結果、各ウイルス をゲルろ過カラムに添加した void volume ピークフラクシ

)に関して、

それぞれ39.6 µg の回収率で分画でき ることが明らかになった。しかしながら、

ウイルスに関しては、かなりの損失が見られ 型ウイルスに関しては十分な HA

A(H1N1)および A(H3N2) 関しては、現行インフルエンザワクチンの接

15 µg HA/500 µL/dose)と同等の を回収できることが明らかになった。そこで、

価不活化全粒子ワクチンに関して が、標識されたワクチンを得る

を行うには不十分な 回収率となることが判明した。 

ゲルろ過操作により回収できる HA 量がウイ ルスにより異なってしまうこと、また濃度が 実施には不十分であることが判明し 単身不活化全粒子ワクチンで 実施に切換え、濃縮することで

とした不活化全粒子ワクチンの

を試みた。その結果、放射線量ならびに回収 実施に十分な 18F ワクチンを回収できることが明らかに

3 種類の A(H1N1), A(H3N2) 価全粒子不活化ワクチ を用いた ゲルろ過クロマトグラフィーを実施し、void 

に溶出されるサンプルに関して、SRD および B 型の 各ウイルス HA をゲルろ過カラムに添加した ピークフラクシ

)に関して、A(H1N1) 39.6 µgと の回収率で分画でき ることが明らかになった。しかしながら、B 型 ウイルスに関しては、かなりの損失が見られ HA 量を回 A(H3N2)に 関しては、現行インフルエンザワクチンの接

)と同等の HA 量 を回収できることが明らかになった。そこで、

価不活化全粒子ワクチンに関して 18F が、標識されたワクチンを得る を行うには不十分な

量がウイ ルスにより異なってしまうこと、また濃度が 実施には不十分であることが判明し 単身不活化全粒子ワクチンで 実施に切換え、濃縮することで 1.5 mg 

18F 標識 を試みた。その結果、放射線量ならびに回収 18F 標識 ワクチンを回収できることが明らかに

(6)

なった(

mL)。   

4) PET 及び ける 18F

マウスにおいて

ンフルエンザワクチンの動態解析及び 添加による影響の評価を実施した。

た動態解析はワクチン接種後 タを採取した。ワクチンは接種 て鼻腔、咽頭及び胃で、

鼻腔、腸及び膀胱で検出された。鼻腔及び腸 におけるシグナルは時間と共に減衰した。測 定時間内においては肺で検出されることはな かった。また、

ワクチンは

ナルが確認された。

態解析(図

強いシグナルが検出された。鼻腔及び は接種直後の

少した。一方、尿では接種後

グナルが増加し、その後減少に転じた。嗅球 及び大脳において、シグナルは確認できなか った。また、

CVP 添加ワクチンは経時的なシグナル減少が 遅くなった。

 

5) PET を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析

アカゲザルにおいて

化インフルエンザワクチンの動態解析及び CVP の添加による影響の評価を実施した。

を用いた動態解析は、マウスと同様にワクチ なった(想定値として約

及びγカウンターを用いたマウスにお 18F 標識ワクチンの動態解析

マウスにおいて[18F]

ンフルエンザワクチンの動態解析及び 添加による影響の評価を実施した。

た動態解析はワクチン接種後 タを採取した。ワクチンは接種 て鼻腔、咽頭及び胃で、

鼻腔、腸及び膀胱で検出された。鼻腔及び腸 におけるシグナルは時間と共に減衰した。測 定時間内においては肺で検出されることはな かった。また、CVP 非添加と比較して

ワクチンは 6 時間後において鼻腔で高いシグ ナルが確認された。

態解析(図 5)では、鼻腔、

強いシグナルが検出された。鼻腔及び

は接種直後の 10 分をピークとし、経時的に減 少した。一方、尿では接種後

グナルが増加し、その後減少に転じた。嗅球 及び大脳において、シグナルは確認できなか った。また、CVP 非添加ワクチンと比較して 添加ワクチンは経時的なシグナル減少が 遅くなった。 

を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析

アカゲザルにおいて

化インフルエンザワクチンの動態解析及び の添加による影響の評価を実施した。

を用いた動態解析は、マウスと同様にワクチ 想定値として約 300 MBq/0.3 mg HA/1 

カウンターを用いたマウスにお 標識ワクチンの動態解析

[18F]標識全粒子不活化イ ンフルエンザワクチンの動態解析及び

添加による影響の評価を実施した。

た動態解析はワクチン接種後 6 タを採取した。ワクチンは接種 て鼻腔、咽頭及び胃で、1 時間以降

鼻腔、腸及び膀胱で検出された。鼻腔及び腸 におけるシグナルは時間と共に減衰した。測 定時間内においては肺で検出されることはな

非添加と比較して

時間後において鼻腔で高いシグ ナルが確認された。γカウンターを用いた動

)では、鼻腔、NALT 強いシグナルが検出された。鼻腔及び

分をピークとし、経時的に減 少した。一方、尿では接種後 3

グナルが増加し、その後減少に転じた。嗅球 及び大脳において、シグナルは確認できなか 非添加ワクチンと比較して 添加ワクチンは経時的なシグナル減少が

を用いたアカゲザルにおける ワクチンの動態解析 

アカゲザルにおいて[18F]標識全粒子不活 化インフルエンザワクチンの動態解析及び

の添加による影響の評価を実施した。

を用いた動態解析は、マウスと同様にワクチ 300 MBq/0.3 mg HA/1 

カウンターを用いたマウスにお 標識ワクチンの動態解析 

標識全粒子不活化イ ンフルエンザワクチンの動態解析及び CVP 添加による影響の評価を実施した。PET を用い

6 時間までデー タを採取した。ワクチンは接種 10 分後におい 時間以降 6 時間まで、

鼻腔、腸及び膀胱で検出された。鼻腔及び腸 におけるシグナルは時間と共に減衰した。測 定時間内においては肺で検出されることはな 非添加と比較して CVP 添加 時間後において鼻腔で高いシグ カウンターを用いた動 ALT、尿において 強いシグナルが検出された。鼻腔及び NALT

分をピークとし、経時的に減 3 時間まではシ グナルが増加し、その後減少に転じた。嗅球 及び大脳において、シグナルは確認できなか 非添加ワクチンと比較して 添加ワクチンは経時的なシグナル減少が

を用いたアカゲザルにおける 18F 標識

標識全粒子不活 化インフルエンザワクチンの動態解析及び

の添加による影響の評価を実施した。

を用いた動態解析は、マウスと同様にワクチ 300 MBq/0.3 mg HA/1 

カウンターを用いたマウスにお

標識全粒子不活化イ VP の を用い 時間までデー 分後におい 時間まで、

鼻腔、腸及び膀胱で検出された。鼻腔及び腸 におけるシグナルは時間と共に減衰した。測 定時間内においては肺で検出されることはな 添加 時間後において鼻腔で高いシグ カウンターを用いた動

、尿において NALT で 分をピークとし、経時的に減 時間まではシ グナルが増加し、その後減少に転じた。嗅球 及び大脳において、シグナルは確認できなか 非添加ワクチンと比較して 添加ワクチンは経時的なシグナル減少が

標識

標識全粒子不活 化インフルエンザワクチンの動態解析及び の添加による影響の評価を実施した。PET を用いた動態解析は、マウスと同様にワクチ

ン接種後

に近縁の霊長類において、鼻腔内に存在する ワクチンの経時的変化を観察できた。マウス と同様に、経時的に

CVP

の有無にかかわらず、鼻前庭でのシグナルは 測定時間内において変化が見られなかった。

図 18F   D. 

経鼻インフルエンザワクチンは鼻腔内にワ クチン

ならびに嗅神経をへて 意見が

エンザワクチン接種に伴う安全性を検証する ことを目標とし、

霧したワクチンの動態を明らかにすることを ン接種後 6 時間までデータを採取した。ヒト に近縁の霊長類において、鼻腔内に存在する ワクチンの経時的変化を観察できた。マウス と同様に、経時的に

VP の添加によりその減少は抑えられた。

の有無にかかわらず、鼻前庭でのシグナルは 測定時間内において変化が見られなかった。

図 5. γカウンターを用いたマウスにおける 18F 標識ワクチンの動態解析

D. 考察 

経鼻インフルエンザワクチンは鼻腔内にワ クチンを接種するワクチンであるため、嗅球 ならびに嗅神経をへて

意見がある。本研究課題では、経鼻インフル エンザワクチン接種に伴う安全性を検証する ことを目標とし、

霧したワクチンの動態を明らかにすることを 時間までデータを採取した。ヒト に近縁の霊長類において、鼻腔内に存在する ワクチンの経時的変化を観察できた。マウス と同様に、経時的にシグナルは減少するが、

の添加によりその減少は抑えられた。

の有無にかかわらず、鼻前庭でのシグナルは 測定時間内において変化が見られなかった。

カウンターを用いたマウスにおける 標識ワクチンの動態解析

経鼻インフルエンザワクチンは鼻腔内にワ を接種するワクチンであるため、嗅球 ならびに嗅神経をへて脳への影響を危惧する 本研究課題では、経鼻インフル エンザワクチン接種に伴う安全性を検証する ことを目標とし、PET を用いて鼻腔領域内に噴 霧したワクチンの動態を明らかにすることを 時間までデータを採取した。ヒト に近縁の霊長類において、鼻腔内に存在する ワクチンの経時的変化を観察できた。マウス シグナルは減少するが、

の添加によりその減少は抑えられた。

の有無にかかわらず、鼻前庭でのシグナルは 測定時間内において変化が見られなかった。

カウンターを用いたマウスにおける 標識ワクチンの動態解析 

経鼻インフルエンザワクチンは鼻腔内にワ を接種するワクチンであるため、嗅球 脳への影響を危惧する 本研究課題では、経鼻インフル エンザワクチン接種に伴う安全性を検証する を用いて鼻腔領域内に噴 霧したワクチンの動態を明らかにすることを 時間までデータを採取した。ヒト に近縁の霊長類において、鼻腔内に存在する ワクチンの経時的変化を観察できた。マウス シグナルは減少するが、

の添加によりその減少は抑えられた。CVP の有無にかかわらず、鼻前庭でのシグナルは 測定時間内において変化が見られなかった。 

カウンターを用いたマウスにおける

経鼻インフルエンザワクチンは鼻腔内にワ を接種するワクチンであるため、嗅球 脳への影響を危惧する 本研究課題では、経鼻インフル エンザワクチン接種に伴う安全性を検証する を用いて鼻腔領域内に噴 霧したワクチンの動態を明らかにすることを

(7)

目的とした。研究期間の 3 年間で不活化全粒 子ワクチンの 18F 標識および精製に関する検 討と、マウス、サルを用いた試験を実施した。 

試験の結果、マウスに経鼻接種された標識 ワクチンは、接種 10 分後において鼻腔、咽頭 及び胃のみで検出され、1 時間以降では、腸及 び膀胱でも確認された。ワクチンは生体内に おいて、まず主要な量が鼻腔内に貯留し、経 時的に飲み込まれ消化器系に分布し、代謝さ れ排泄系に移行するものと考えられる。また、

測定時間内において肺でワクチンが検出され ることはなかったため、上気道に接種する経 鼻ワクチンにおいて懸念される呼吸器系への 蓄積の可能性が非常に低いことを示唆する。

γカウンターを用いた動態解析においても、

同様に肺においてワクチンの蓄積は認められ なかった。そして、γカウンターを用いた動 態解析において、嗅球及び大脳でのワクチン の検出は出来なかった。経鼻ワクチンにおい て、脳を含む中枢神経系への影響が最も危惧 されているが、ワクチンが中枢神経系へ影響 を及ぼす可能性は低いことを裏付ける科学的 知見と考えられる。以上の結果を纏めると、

γカウンターを用いた従来の動態解析法と比 較して、PET を用いた動態解析法は同様の結果 が得られた。故に、本方法は安全性を評価す る上で従来法において不可能であったリアル タイムの変化という時間的情報を得ることが でき、非常に有用であると考えられる。 

アカゲザルに経鼻接種された標識ワクチン は、主要な免疫応答の場である鼻腔に注目し 解析された。接種後鼻腔に存在するワクチン は、マウスと同様に経時的にシグナルは減少

した。CVP をワクチンに添加した場合、鼻腔内 での貯留性に改善が認められた。同様の結果 が、マウスにおいても得られた。近年、鼻腔 粘膜上に接種したワクチンの流動性を抑え保 持時間を長くすることで、ワクチン効果が増 強することが示されている。これらをまとめ ると既に市販薬において使用されている CVP は、経鼻ワクチンにおいてもワクチンの保持 時間を長くすることでワクチン効果の増強に 寄与することが期待できる。鼻前庭でのシグ ナルは測定時間内において変化が見られなか った。これは鼻前庭の上皮細胞は繊毛運動を 行わないために起こったものと考えられる。 

以上の結果より、経鼻不活化全粒子インフ ルエンザワクチンは、経鼻投与後に脳内に移 行することはなく、数時間で体内に吸収され 代謝されていると考えられた。 

 

E. 結論 

次世代ワクチンである経鼻不活化全粒子イ ンフルエンザワクチンの安全性を評価するこ とを目標とし、PET を用いてその動態を明らか にするための 18F 標識の検討を行った。マウ ス及びサルを用いた試験により経鼻不活化全 粒子インフルエンザワクチンは、経鼻投与後 に脳内に移行することはなく、数時間で体内 に吸収され代謝されていると考えられ、皮下 接種では起こらない経鼻接種特異的な安全性 に関わる問題が起こる可能性は低いと考えら れた。 

 

F. 健康危険情報  なし。 

(8)

 

G. 研究発表  1. 論文発表 

1) Sasaki  I,  Hoshino  K,  Sugiyama  T,  Yamazaki C, Yano T, Iizuka A, Hemmi H,  Tanaka T, Saito M, Sugiyama M, Fukuda  Y, Ohta T, Sato K, Ainai A, Suzuki T,  Hasegawa H, Toyama‑Sorimachi N, Kohara  H,  Nagasawa  T,  Kaisho  T.  Spi‑B  is  critical  for  plasmacytoid  dendritic  cell function and development. Blood. 

2012 Dec 6;120(24):4733‑43. Epub 2012  Oct 11.  

2) van Riet E, Ainai A, Suzuki T, Hasegawa  H.  Mucosal IgA responses in influenza  virus infections; thoughts for vaccine  design.  Vaccine.  2012  Aug  31;30(40):5893‑900. Epub 2012 Jul 24. 

3) Senchi  K,  Matsunaga  S,  Hasegawa  H,  Kimura  H,  Ryo  A.  Development  of  oligomannose‑coated  liposome‑based  nasal  vaccine  against  human  parainfluenzavirus  type  3.  Front  Microbiol. 2013 Nov 26;4:346.  

4) Ainai A, Tamura S, Suzuki T, van Riet  E, Ito R, Odagiri T, Tashiro M, Kurata  T, Hasegawa H. Intranasal vaccination  with  an  inactivated  whole  influenza  virusvaccine  induces  strong  antibody  responses in serum and nasal mucus of  healthy  adults. Hum Vaccin Immunother. 

2013 Sep;9(9):1962‑70.  

5) Niikura  K,  Matsunaga  T,  Suzuki  T, 

Kobayashi  S,  Yamaguchi  H,  Orba  Y,  Kawaguchi    A,  Hasegawa  H,  Kajino  K,  Ninomiya  T,  Ijiro  K,  Sawa  H.  Gold  nanoparticles as  a  vaccine platform: 

influence  of  size  and  shape  on  immunological responses in vitro and in  vivo.  ACS  Nano.  2013  May  28;7(5):3926‑38.  

6) Sakai  K,  Ami  Y,  Tahara  M,  Kubota  T,  Anraku M, Abe M, Nakajima N, Sekizuka  T, Shirato K, Suzaki Y, Ainai A, Nakatsu  Y, Kanou K, Nakamura K, Suzuki T, Komase  K,  Nobusawa  E,  Maenaka  K,  Kuroda  M,  Hasegawa  H,  Kawaoka  Y,  Tashiro  M,  Takeda  M.  The  host  protease  TMPRSS2  plays  a  major  role  in  in  vivo  replication  of  emerging  H7N9  and  seasonal influenza  viruses.  J  Virol. 

2014 May;88(10):5608‑16. Epub 2014 Mar  5. 

7) van Riet E, Ainai A, Suzuki T, Kersten  G, Hasegawa H. Combatting infectious  diseases; nanotechnology as a platform  for rational vaccine design. Adv Drug  Deliv Rev. 2014 Jul 30;74:28‑34. Epub  2014 May 23.  

8) Hasegawa H, van Reit E, Kida H. Mucosal  immunization  and  adjuvants.  Curr Top  Microbiol Immunol. 2015;386:371‑80. 

 

2.学会発表 

1) 長谷川 秀樹  次世代ワクチンとしての 経鼻インフルエンザワクチン  第 60 回日

(9)

本 ウ イ ル ス 学 会 学 術 集 会   大 阪  2012.11 

2) 山本 典生、浅沼 秀樹、佐藤 佳代子、中 内 美奈、高橋 仁、許斐 奈美、相内 章、

長谷川 秀樹、田代 眞人  細胞培養もし くは鶏卵で製造されたインフルエンザワ クチンの品質管理試験および免疫応答へ の影響  第 60 回日本ウイルス学会学術集 会  大阪  2012.11 

3) 川口 晶、鈴木 忠樹、相内 章、佐藤 由 子、信澤 枝里、田代 眞人、長谷川 秀樹  喘息発作誘発モデルを用いたインフルエ ンザウイルス感染症の病態解析  第 60 回 日 本 ウ イ ル ス 学 会 学 術 集 会   大 阪  2012.11 

4) 池田 千将、伊藤 良、相内 章、鈴木 忠 樹、田村 愼一、田代 眞人、浅沼 秀樹、

長谷川 秀樹  基礎免疫を有する個体に 対する経鼻投与型インフルエンザワクチ ン効果  第 60 回日本ウイルス学会学術集 会  大阪  2012.11 

5) 泉地 恭輔、相内 章、鈴木 忠樹、浅沼 秀 樹、長谷川 秀樹  経鼻投与型インフルエ ンザワクチンによるマウス母子免疫の解 析  第 60 回日本ウイルス学会学術集会  大阪  2012.11 

6) 鈴木 忠樹、川口 晶、相内 章、田村 愼 一、伊藤 良、小田切 孝人、田代 眞人、

長谷川 秀樹  インフルエンザワクチン 経鼻接種により鼻腔内に誘導される分泌 型 IgA 抗体の性状解析  第 16 回日本ワク チン学会学術総会  横浜  2012.11  7) 相内 章、池田 千将、伊藤 良、鈴木 忠

樹、泉地 恭輔、田村 愼一、田代 眞人、

浅沼 秀樹、長谷川 秀樹  感染あるいは ワクチン接種歴が経鼻投与型インフルエ ンザワクチンにより誘導される抗体応答 に対して与える影響  第 16 回日本ワクチ ン学会学術総会  横浜  2012.11 

8) Elly van Riet, Ainai A, Ito R, Senchi  K,  Suzuki  T,  Tamura  S‑I,  Tashiro  M,  Hasegawa  H   Characteristics  of  IgA  versus  IgG  human  monoclononal  antibodies  cloned  from  human  plasma  cells  induced  upon  intranasal  H5N1  vaccination. 第 16 回日本ワクチン学会 学術総会  横浜  2012.11 

9) Hasegawa H, Ainai A, Suzuki T, Tamura  S‑I, Tashiro M, Kurata T  Analysis of  protective  immune  responses  after  intranasal  administration  of  an  inactivated  whole‑virion  influenza  vaccine in human. 第 16 回日本ワクチン 学会学術総会  横浜  2012.11 

10) 浅沼 秀樹、相内 章、佐藤 佳代子、許斐  奈美、岸田 典子、長谷川 秀樹、山本 典 生、田代 眞人  野外株より細胞培養イン フルエンザワクチンの種候補株を選定す る基準の検討  第 16 回日本ワクチン学会 学術総会  横浜   2012.11 

11) 山崎 達也、二宮 大輔、長島 麻里亜、荒 井 由佳、手嶋 保智、長谷川 秀樹、相内  章、藤本 陽、千葉 丈  インフルエンザ 中和抗体発現プラスミドを用いた受動免 疫法の応用研究〜長期的なウイルス防御 効果と免疫不全マウスへのウイルス防御

(10)

効果の検討〜第 16 回日本ワクチン学会学 術総会  横浜  2012.11 

12) 岡田 清吾、 長谷川 俊史、 長谷川 秀樹、 

相内 章、 池本 健三、 佐々木 功典、 戸 田 昌一、 調 恒明、 市山 高志  インフ ルエンザ A/H1N1 2009 感染による気管支 喘息モデルマウスの気管支肺胞洗浄液解 析   日 本 小 児 科 学 会 学 術 集 会   広 島  2013.4 

13) 長谷川 秀樹  ワクチン研究の最前線 次 世代ワクチンとしての経鼻インフルエン ザワクチンの開発  日本薬剤学会  第 28 年会  名古屋  2013.5 

14) 長谷川 秀樹  良く効くインフルエンザ ワクチンを目指して. 第 54 回日本臨床ウ イルス学会 倉敷 2013. 6 

15) 長谷川 俊史、 岡田 清吾、 脇口 宏之、 

市山 高志、 長谷川 秀樹、 相内 章、 調  恒明、 戸田 昌一、 熱田 了  喘息モデ ルマウスを用いたインフルエンザ感染に よる気管支喘息発作重症化の病態解析  新型と季節性インフルエンザの比較  第 45 回日本小児感染症学会総会・学術集会  札幌  2013.10. 

16) 脇口 宏之、 岡田 清吾、 長谷川 秀樹、 

相内 章、 戸田 昌一、 調 恒明、 長谷 川 俊史  気管支喘息(病態)・免疫不全  喘息モデルマウスを用いた新型インフル エンザ感染における気管支肺胞洗浄液中 ケモカインの検討  第 45 回日本小児感染 症学会総会・学術集会  札幌  2013.10  17) 中島 典子、佐藤 由子、片野 晴隆、佐多 

徹太郎、長谷川 秀樹  重症インフルエン

ザウイルス肺炎におけるサイトカイン・

ケモカインの発現  第 61 回日本ウイルス 学会学術集会  神戸  2013.11 

18) 泉地 恭輔、相内 章、鈴木 忠樹、浅沼 秀 樹、梁 明秀、長谷川 秀樹  母子免疫に よるインフルエンザウイルス感染防御効 果の解析  第 61 回日本ウイルス学会学術 集会  神戸  2013.11 

19) 池田 千将、伊藤 良、相内 章、鈴木 忠 樹、田村 愼一、荒尾 雄二郎、田代 眞人、

浅沼 秀樹、長谷川 秀樹  経鼻インフル エンザワクチンで誘導される抗体応答に 基礎免疫が与える影響  第 61 回日本ウイ ルス学会学術集会  神戸  2013.11  20) 相内 章、  浅沼 秀樹、鈴木 忠樹、原田 

勇一、田村 愼一、田代 眞人、長谷川 秀 樹  経鼻インフルエンザワクチンにおけ るワクチンの組み合わせが抗体応答に与 える影響  第 61 回日本ウイルス学会学術 集会  神戸  2013.11 

21) 川口 晶、  鈴木 忠樹、相内 章、佐藤 由 子、永田 典代、田代 眞人、長谷川 秀樹  Nc/Nga マウスを用いた喘息発作によるイ ンフルエンザ感染症重症化モデルの炸裂  第 61 回日本ウイルス学会学術集会  神戸  2013.11 

22) Hideki Hasegawa, Akira Ainai, Tadaki  Suzuki, Elly van Riet, Shi‑ichi Tamura,  Kazuyuki,  Ikeda,  Takato  Odagiri,  Masato  Tashiro,  Takeshi  Kurata. 

Antibody responses in serum and nasal  mucus  induced  by  the  intranasal  vaccination  with  a  whole‑virion 

(11)

inactivated vaccine of A(H5N1)virus in  healthy naïve human adults. Keystone Symposia  on  Molecular  and  Cellular  Biology.    Keystone,  Colorado  USA,  January 2014. 

23) Kazuyuki Ikeda, Ryo Ito, Akira Ainai,  Tadaki  Suzuki,  Shin‑ichi  Tamura,  Yujiro  Arao,  Masato  Tashiro,  Hideki  Asanuma,  Hideki  Hasegawa.    Antibody  responses  induced  by  intranasal  vaccination  of  a  whole  inactivated  influenza  virus  in  mice  previously  infected  or  vaccinated.    Keystone  Symposia  on  Molecular  and  Cellular  Biology.    Keystone,  Colorado  USA,  January 2014. 

24) Tadaki Suzuki, Akira Kawaguchi, Akira  Ainai,  Shin‑ichi  Tamura,  Ryo  Ito,  Masato  Tashiro,  Hideki  Hasegawa.  

Impact of the quaternary structure of  human Secretory‑IgA on neutralization  potency to Influenza A virus in upper  respiratory tract.  Keystone Symposia  on  Molecular  and  Cellular  Biology.  

Keystone, Colorado USA, January 2014. 

25) Hideki  Hasegawa   Pathology  of  influenza virus infection and the role  of  secretory‑IgA  antibodies  in  influenza virus infection.  第 62 回日 本 ウ イ ル ス 学 会 学 術 集 会   横 浜  2014.11 

26) Tadaki  Suzuki,  Hideki  Hasegawa  Pathology and pathogenesis of emerging 

and re‑emerging viral infections.  第 62 回日本ウイルス学会学術集会  横浜  2014.11 

27) 齊藤  慎二、Elly van Riet、相内 章、

鈴木 忠樹、池田 千将、伊藤 良、泉地 恭 輔、高橋  宜聖、浅沼 秀樹、小田切 孝 人、田代 眞人、田村 愼一、竹山  春子、

長谷川 秀樹  高病原性鳥インフルエン ザ A(H5N1)ウイルスの経鼻不活化全粒子 ワクチンにより誘導されたヒトモノクロ ーナル抗体の特性解析  第 62 回日本ウイ ルス学会学術集会  横浜  2014.11  28) 大原  有樹、鈴木  忠樹、中野  哲郎、

齊藤  慎二、相内  章、秋元  和憲、長 谷川 秀樹  低毒性型合成二重鎖 RNA uPIC を用いた経鼻インフルエンザワクチンの 開発  第 62 回日本ウイルス学会学術集会  横浜  2014.11 

29) 長谷川 秀樹、相内 章、鈴木 忠樹、川口  晶、田村 愼一、小田切 孝人、田代 眞人、

倉田 毅  経鼻不活化全粒子インフルエ ンザワクチンと現行皮下接種ワクチンの 抗体応答の比較  第 18 回日本ワクチン学 会学術集会  福岡  2014.12 

30) 齊藤  慎二、van Riet Elly、相内 章、

鈴木 忠樹、大原  有樹、池田 千将、伊 藤 良、泉地 恭輔、高橋  宜聖、浅沼 秀 樹、小田切 孝人、田代 眞人、田村 愼一、

竹山  春子、長谷川 秀樹  経鼻インフル エンザワクチンにより誘導されたヒトモ ノクローナル抗体の特性解析  第 18 回日 本 ワ ク チ ン 学 会 学 術 集 会   福 岡  2014.12 

(12)

31) 相内  章、鈴木  忠樹、齊藤  慎二、田 村愼一、幸  義和、小田切  孝人、田代  眞人、清野  宏、長谷川  秀樹 経鼻イン フルエンザワクチンの動態と抗体応答  第 18 回日本ワクチン学会学術集会 福岡  2014.12 

32) 森山  美優、竹山  春子、長谷川  秀樹、

一戸  猛志  インフルエンザウイルス特 異的 CTL 誘導のための経鼻ワクチン投与 法の検討  福岡  2014.12 

33) 鈴木 忠樹、大原  有樹、中野  哲郎、齊 藤  慎二、寺内  芳彦、相内  章、長谷 川 秀樹  合成二本鎖 RNA uPIC をアジュ バントとする経鼻不活化インフルエンザ ワクチンの開発  第 18 回日本ワクチン学 会学術集会  福岡  2014.12 

34) Hideki  Hasegawa  Induction  of  Neutralizing Antibodies by Inactivated  Intranasal  Influenza  Vaccine  and  Characteristic  of  Induced  Secretory‑IgA  Antibodies  in  Human.  

Third isirv Antiviral Group Conference,  Tokyo, Japan, June 2014 

35) Hideki  Hasegawa    Mucosal  Influenza  Vaccines.   The  17th  International  Conference  on  Emerging  Infectious  Diseases (EID), Taipei, Taiwan January  2015 

 

H. 知的財産権の出願、登録状況  なし。 

                                  

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(3).  Sasaki,  T.,  Setthapramote,  C.,  Kurosu,  T.,  Nishimura,  M.,  Asai,  A.,  Omokoko,  MD.,  Pipattanaboon,  C.,  Pitaksajjakul,  P.,  Limkittikul, 

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