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微量分析およびスペシエーション分析への固相の応 用

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

微量分析およびスペシエーション分析への固相の応 用

薩仁其其格

https://doi.org/10.15017/1441027

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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氏名: 薩仁其其格

論文名: AnalyticalApplication of Solid Phase to Micro and Speciation Analysis 

(微量分析およびスペシエーション分析への固相の応用)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

環境や産業界での無機成分の分析には、原子スペクトル分析のような機器分析法が主流となって いる。ただし、装置そのものが高価であり運転費用も含めると費用対効果は決して高くない。毒性 は化学形により異なるため、スペシエーション分析(溶存状態別分析)法のニーズは高まっている が、原子スペクトル分析でそれを行うためには前処理が必要となってくる。一方、固相抽出法は前 濃縮やスペシエーション分析のための前処理法として普及してきたが、一旦濃縮した分析対象成分 を脱着しなければならず、高感度分析の観点からは改善の余地があった。そこで、薩仁其其格氏は、

超微量成分スペシエーション分析のために固相を反応場、計測場とする比較的安価で簡便な新規分 析法の方法論の確立を目指した。博士論文は

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部から構成されている。

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部では、固相を計測場とする固相分光法のために開発された簡易分光光度計をオンサイト分 析へ適用するための方法論について検討した。この装置を用いて精度よく分析を行うには克服すべ き問題点が残されていた。微少量の固体粒子の充填を容易に行うためには光路長 10m m、光路幅2 m mのマイクロブラックセルを改造することで、透過散乱光測定の際の光量確保には光源とセルと の聞に球あるいは凸レンズを挿入することで、さらにLEDの温度変化に伴う輝度の揺らぎの影響の 克服には固相充填セルとほぼ同程度の減光度の対象セルを用いることで、オンサイトでμgdm‑3レ ベルのFe(II、)Cr(VI)およびPの定量を行うことができた。とくに、大気と十分に接している渓流水 中においても数時dm‑3レベルのFe(II)が溶存することを実証したことは、天然水中の鉄循環に関す る新たな知見を得る契機となった。さらに、環境分析ばかりでなく、ポータブル分光光度計を用い た回相分光法が超微量成分のオンサイト分析に有効であることを

i

大規模蒸気発電プラントのボイ ラ系統水中の鉄分析に適用することで明らかにした。本法を用いることで、加熱濃縮により 16倍 濃 縮後に定量を行う従来法より分析時間を大幅に短縮できた。

2

部では、固相を反応場、濃縮場、分離場とする超微量Cr(VI)の新規HPLC法を提案した。わ ずか

1

cmの陽イオン交換カラムに、 Cr(VI)に対して選択性の高いジフェニルカルバジドを導入する と、カラムに吸着濃縮され高濃度の反応場を作ることができる。そこに試料を導入するだけでカラ ム中において反応が進行し、生成した呈色錯体はそのままカラムに吸着される。その後、 LaCh一プ ロパノール溶液を導入してカラムから溶離された錯体を吸光検出することで、試料量4cm3でlng  dm‑3のCr(VI)の定量が可能となった。また、 pH3.4の条件で、低圧水銀ランプを用いて 185nmの紫 外線を照射するだけでCr(III)を Cr(VI)に定量的に酸化できることを見出した。水銀ランプに密着す るように石英管を配置した酸化装置を自作し、クロムの超高感度スベシエーション分析法を確立し た。本法を超える高感度は他の分析法では得られていない。本法の有効性を実証するために、ステ ンレスからのクロムの溶出の追跡を行った。 Cr(III)の溶出は擬ゼロ次反応であるのに対じ、 Cr(VI)  濃度は Cr(III)濃度に依存した。 Cr(VI)の存在は Cr(III)が溶存酸素、により酸化されるためであること を初めて実験的に明らかにした。

以上の結果ば、環境試料中の超微量成分(とくに不安定化学種)のオンサイトスペシエーション 分析を可能にしたばかりか、産業界でのニーズにも応えるこ主のできるオンサイト高感度分析法を 提供するものであった。同氏の開発した方法論の汎用性は高く、他の多くの微量成分のスペシエー ション分析に貢献するものと期待され、分析・環境化学の分野において価値ある業績と認められる。

よって、本研究者は博士(理学)の学位を受ける資格があるものと認める。

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