線虫C. elegansのmig-17遺伝子による細胞移動制御機構の研究
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(2) 2012 年度 修士論文要旨. 線虫 C. elegans の mig-17 遺伝子による 細胞移動制御機構の研究 関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 西脇研究室 山岡 理絵 線虫 C.elegans が一生の間に多数の子孫を残すためには、幼虫期に器官伸長のリーダー細 胞として機能する DTC が U 字型の生殖巣の形態形成を行うことが重要である。MIG-17 は 分泌型の ADAMTS ファミリープロテアーゼをコードしており、体壁筋細胞から分泌され、 生殖巣表層の基底膜に局在する。mig-17 変異体では DTC が正しく移動できず、生殖巣の 形成異常を引き起こすことから、MIG-17 は DTC の方向性を持った移動および器官形成過 程に必要であると考えられている。当研究室において、mig-17 変異の生殖巣形成異常を抑 圧する変異体のスクリーニングとその原因遺伝子の同定から、MIG-17 の下流で機能するい くつかの基底膜分子が明らかにされている。しかしながら、MIG-17 による DTC 移動制御 機構の解明はいまだ不十分である。本研究では mig-17(k174)変異体(ナンセンス変異)の 抑圧変異体の一つである saf-4(tk73)変異体の原因遺伝子を同定しその機能を明らかにする ことで、器官形成過程における細胞移動のメカニズムの一端を解明することを目的とする。 遺伝解析の結果、saf-4(tk73)はヘテロでも mig-17 変異を抑圧できる半優性の抑圧変異であ った。このことから、saf-4 変異は遺伝子量依存的に mig-17(k174)の表現型を抑圧している と予想した。saf-4(tk73); mig-17(k174)変異体の次世代シーケンス解析の結果、先行研究で 遺伝学的に限定された領域内において rpl-20 遺伝子にのみアミノ酸置換が見いだされた。. rpl-20 遺伝子はゲノムデータベースより、リボソームタンパク質 L18 をコードしているこ とがわかっており、rpl-20 遺伝子の 82 番目のグリシンがアルギニンに置換していた。. saf-4(tk73); mig-17(k174)変異体のゲノムから PCR で増幅した rpl-20 変異遺伝子を mig-17(k174)変異体に導入すると、mig-17 変異体の生殖巣形成異常がレスキューされたの で rpl-20 遺伝子が saf-4 変異の原因遺伝子であると結論した。saf-4 がどのようなメカニズ ムで mig-17 を抑圧するかについて、ストップコドンをリードスルーして機能的な MIG-17 を産生している可能性を考えたが、saf-4(tk73)は mig-17 のナンセンス変異のみでなくミス センス変異も抑圧できた。saf-4 による mig-17 の抑圧がリボソームの機能異常による翻訳 ミスに起因するものなのかを明らかにするために、既知の他の変異体を抑圧できるのかど うか調べたところ、mig-17 と同じ pathway で働くとされる mig-18 は抑圧したが、その他 の変異体は抑圧しなかった。このことから、saf-4 が mig-17 特異的に働く可能性が示唆さ れたため、 mig-17 の下流で働くと考えられている nid-1 依存的であるか調べたところ、saf-4.
(3) の抑圧は nid-1 依存的である可能性が考えられた。さらに、rpl-20 遺伝子産物の局在につい て GFP 融合遺伝子を用いて、共焦点レーザー顕微鏡を用いて野生型での局在を調べたが、 基底膜や coelomocyte での局在が見られなかったことから、RPL-20 が分泌されている可能 性はないと考えられた。.
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