著者 井上 多津男, 長尾 敬介, 田崎 和江, 川谷 芳弘

島根県東部に分布する中新世意東火山岩類のK‑Ar年 代

著者 井上 多津男, 長尾 敬介, 田崎 和江, 川谷 芳弘

著者別表示 Inoue Tatuo, Nagao Keisuke, Tazaki Kazue, Kawatani Yoshihiro

雑誌名 地球科学

巻 53

号 1

ページ 75‑80

発行年 1999‑01‑25

URL http://doi.org/10.24517/00061689

doi: 10.15080/agcjchikyukagaku.53.1_75

The Association for the Geological Collaboration in Japan (AGCJ)

NII-Electronic Library Service

The 　Assooiation 　for 　the 　Geologioal 　Collaboration 　in 　Japan 　（AGCJ _｝

地球科学53巻

，

⁷⁵

〜

_{SO （1999f}

［

_11）

EarLh　Science〔Chikyu　Kagaku）、

・

_ol

．

53

、

75

．

₈₀

．

1999

島 ^根 県東部

^に

^分 布 ^{す る} 中新 ^世 意東 ^{火 山岩類}

^の

K ^{− Ar} 年 代 井 ^上 多 津 男

 

長 尾敬 介 ^零

^・

田 崎和 il

^［

^{＊ ＊ ＊}

^・

川谷芳 弘

^＊

K ⁻ Ar



^ages

^of

the



Miocene



Ito

volcanic rocks 

in



the

eastern 

part

^of

Shimane

　

Prefecture

_，

　　　　　　　

^southwest

Japan

Tatuo



Inoue

^＊_，

Keisuke



Nagao

^{・ ・}_，

Kazue



Tazaki ^”’

and 

Yoshihiro



^Kawatani

^＊

1

（θア words ：

K ⁻ Ar

　

dat

弖ng

，



Early

　to　

Middle

　

Miocene ，

^{volcanic 　rocks}

，



Hata

　

Fomlation

_，　

Kawai Formation

_，

Ito

volcanic 　rocks

は じ

めに

　 Ll陰^{地 方 中}部^地域の日本^{海 沿いに分布 してい}る中新 統 下 部 は 下位^の非海成層^とこれ を不 整合^{に お お}う海成層^か らな り

，

鹿野 ほ か （

1991

_）の

N

↓に相 当す る

．

前者は波多層

，

後者^{は 川}合 層

・

_{久利層と呼ばれ る}

．

前期 中新 匱^の波多層^は， 安山岩質^{か ら} 珪長^{質の噴 出}物^{を主体 と し}， 溶 結

・

_{非溶 結の}珪 長 質火 砕 流 堆 積 物を多 く含^む （通 商 産業省 1967 ；山陰 グリ

ー

_ン

・

_{タフ団体研} 究グ^ル

ー

_{プ ／}

979

；沢 田

1978

；井^上

1980

；松本

1986

）

．

^これ ら火砕岩類^は広範^な分布^{を もち}， 分布^{域 周辺に はコ}

ー

_{ル ドロ ン}

あるい は陥 没 盆 地 を形成 して^いる （山 陰 グ リ

ー

_ン

・

_{タフ団体 研}

究 グ^ル

ー

_{プ 1979；沢田 1978　：高 安ぼか 1992＞}

．

　松江市^の南東方^に分布する意東火山岩類 （井^上

1994

_）は溶 岩^主体^の噴 出物^{である こ と}， 岩質^は玄武岩^から流紋岩^{まで の}幅 広^い組 成 を も^っが主体^は玄 武 岩 質 安 山 岩^{か ら}安 山 岩^で あ^{る こ} と_， ま た^コ

ー

_{ル ド}ロ ン構 造は なく地 溝 構 造を もつ こと

，

^{な どの} 特徴を も^つ

．

意東火山岩類^は後期 白^亜紀

一

_{古第三紀火成岩類を} 不整合^に覆^い

，

中期中新世^の海成層^に不^整合^に覆^{わ れ る}陸成^の 火 山 岩 層^である^こ と^か ら， 本 火 山岩 類は^これま^で前期 中新 世^の 波 多 層 ^に対 比 さ れ^て き た 〔西 山

・

_三浦

1964

；高 安 ^ほか

1992

；鹿野ほ か

1994

；井^上

1994

な ど）

．

　 本^地域^の前期 中新世^{と さ れ る}火^山岩層^{から は}

3

点^{の放 射}年代

が公表^{さ れ てい る （}鹿野^ほか 1994）

．

^{1つ は井 上 （1994＞が}

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ろ

ユ

いな し

先 意 東 火 山 岩類 と した 飯 梨溶 結凝 灰 岩であ り

，

²⁰

．

^{4Ma の}

FT

年代値^が報告^され^た

．

他^の

2

つ は意東火山岩類^に属^{す る}溶 岩^で

あ り

，11．

⁹

．

^Ma お よび

92Ma

^の

KAr

年 代 値が報告さ れ た

．

後者^は巾期^中新 世^{か ら後 期 中新 世の}年代^{を 示 すことにな り}， こ れ は変 質 や 水 和^に起因 する若返りに よ る と解釈^{さ れ ている （}鹿 野

1

まカ^》　

1994

）

．

　このよ う に意 東 火 山岩 類^の噴 出年代^{につ い て は}信頼^{でき るデ}

ー

_{タ は まだ ない}

．

そ^こで本 火 山岩 類^の噴出年代^を明ら か に す る こ とを 目 的^とし^て

，

系統的^な

K ． Ar

年代 測定^{をおこなっ たの}

で報告 する

．

地 質概 ^説

　松江 市 南東 方地域^{に は 三}郡変成岩類

，

白^亜紀^{お よび古 第三紀} 火 山 岩類

，

^{お よび 古}第^{三紀の花 崗岩 類からなる基}盤岩を不整合

に お おっ て中新統^が分布^する

．

中新 統^は下 位^{よ り}飯 梨溶結^{凝 灰} 岩， 意 東火rIi岩 類

，

^および中部中新統^の地層群^{か らな り}， 相^互

の関係^は不整合^{であ る} （井

．

卜

1994

）

．

なお， 山陰 地 方 中部 地域

にお け る堆積^{盆 地は西から大田湾入 部}

，

出雲湾入部

，

松江湾入 部， 荒島湾^入部， および米 子 湾 入部と呼 ばれて お り （^三位

・

_吉

谷

1972

， 第 1図 ）， 本 地域^は荒島湾入部^である

．

　荒 島 湾入 部^の中新統^の大半^を占^{め る}意 東 火 山岩 類 は

，

長 径

15 km ，

短径

3 〜5km

の

NE − SW

方 向^に伸び た長 円形^の分 布を 示す （第^{ユ図 ）}

．

意 東 火 山 岩 類の活 動 は

，

凝 灰質砂 岩^{と そ の}直 下の軽 石凝 灰 岩 を境^に

，

^それら の下位^の前期噴^出物 ^{（下部 層 〉}

と上 位^の後 期 噴 出物 （^上部 層）^{と に分け ら れ る}

．

凝 灰 質砂岩^の 分 布は地域北半部^に限^{られ るが}， 凝 灰 質砂 岩^の直 下^に く^る鍵層

（軽石凝 灰岩^{）によっ て同層 準 はほ ぼ全}域 追跡^{で き る}

．

前期^に

　 ^／998年7月27日受付

．

ユ998年11月

16H

受 理

．

　

’

_山

陰^{支 部}， 島根 県 立^工業^{技 術セ ンタ}

ー

_{浜 トII工業 技術 指 導 所}

，

浜 田 市 下府^田

f388 −

₃

．

　 Institute^QfIndustrialScienceandTechnologyofShimanePrefecture

，

^{Hamada　Branch}

，

³

−

₃₈₈

Shimokou，

Hamada 697

−

_OOO6

Japan

”

ma

山大学固体地球研究^{セ ン タ}

ー

_{（現東京大学理 学部）}

， 鳥 取県東伯 郡 三 朝 町827 　 ^1nstitutefor

Study

^oftheEarth

’

_s

　Interior

，

Okayama University

，

827Misasa682

−

_DIOO

Japan

　^（Faculcy　of　Science

，



University

^ofTokyo

，

Bunkyo

−

_ku

，

Hongo

，

Tokyo

， Japan

^）

’ ＊ ＊

北 陸 支 部

，

金 沢 大学理 学 部地球 学教室

，

金沢市 角聞町

　 1）epartment ofEarthSciences

，

KanazawaUniversity

，

Kakuma

，

Kanazawa92^〔〕

−

₁₁₆₄

Japan

（

75

）

N工 工

一

_{Eleotronio 　Library}

76

_井

1

多 津 男

・

_{長 尾 敬 介}

・

_{出崎 和 江}

・

_{川谷 芳弘}

／

　 　 　 　^第1図

．

意束火^{山 岩 類の地}質略区^{お よび}試料採 取位置

．

　井上 （19

．

90

，

^1994）

，

井^上

・

_lrl

’

A

’

（1995）^を簡 略 化 ならびに

・

_{部 修止し}

，一

部 加 筆 して作 成し た

．

挿 人 図の綱 掛け部は中新 統の分 布 を示 す

．

中部 中新続 駟 系

黷

蠶 岩類 断層 資料採 取地 　 　 数字^ぱ資料 番号

は無 斑 晶質 岩が卓越 し， 後 期には斑状岩^が多^い

．

前期

，

後期^と も活動初期^に顕著^な斑 状 岩^の噴 出^がある

．

第

2

図は意東^火山岩 類^の地域別層序^である

．

縦^の太 線は現地で層 序関 係 が 分かっ た もの， 点線^は対^比に有効^な火砕岩^を表す

．

　^{中 部 中新 統は久利 層の黒色泥}岩

・

_{流紋岩類等}

，

大 森 層

，

^{お よ}

び布 志 名 層か ら な り

，

意 東 火 山 岩 類 を不 整合^{に お お}う　（井^上 1994；井^上

・

_{川谷 1995）}

．

意東火 山 岩 類 直 上の久 利 層 泥 岩 は 化石^の保 存状態^が悪 く

，

八雲 村 持 山の同層^泥岩^{か ら は}膠着 質有 孔虫

HiPPocrepine

〃asp

．

のみ が検出され た

．

^これ は久利層^泥 岩中^に

一

_{般 的に}

見^{ら れ る もの で}あ^る （島根 大学^野村律夫^氏の鑑 定 ）

．

試 料

　^{年 代 測 定}試料^{は前 期}噴出物^の

5

_種^の_溶岩か ら

6

点

，

後 期か ら は

5

_種の溶 岩から

7

点， 計

13

点^である

．

^{こ の}内

10

試 料^は岡 山 大学固体地 球 研究^センタ

ー

_{で測 定 し}

， 3

試料^{は蒜 山地}質年代研 究 所に測定^を依頼^した

．

　^{試 料は}

，

先 ず4

．

5mm 以

．

ド^に粉^{砕し た}後， 変 質^や風 化 部 分^を 極力取 除^いた

．

^{そ れ を}吏^に粉 砕 し^て

6

｛｝

〜

_{80メッ シュ にそろえ}

，

カ リ^{ウ ム お} よ び アル ゴン分析 試 料^とした

．

^カ リ ウ^{ム の}分析^は浜 山 工業技術指導所^の蛍 光

X

線 分 析 装 置 （理学 電 機 製

3270E

型） で， ガ ラ ス ビ

ー

_{ドを用い た検量線法}に よ り お こ なっ た

．

^{アル ゴ}

ン分析^と年代^言騨 ^は， 蒜山^地質年代研究所^{で の}分析^{につ いては} 長 尾^{ほ か} （1984）

，

^{ltaya　et　al}

．

（1991）

，

また 岡山大 学 固体 地 球 研究^{セ ンタ}

ー

_{で の分 析にっ い て は}

Nagao

et　al

．

（

1996

）^に 従っ て お^こなっ た

．

_{試料採取位置}は第

1

_図に， 採取試料^の層準

は第

2

図に そ れ ぞ れ示し た

．

試 料^の強 熱 減 率は

0． 7〜1． 2

％^で あっ た

．

試料^の採取^地点^の位置^と鏡下^の特 徴^を第

1

表^に示す

．

結 果

^と

考察

1

．

年価 則定結果

　年代 測 定 結 果を第

2

表お よび 第

2

，

3

図に示 す

．

^{そ れにみ ら}

れるよ う^に

，

^3つの溶 岩につ い て は年代^測定^を

2

回お^こなっ

た

．

す な^{わ ち}

，

高丸 溶 岩^お よび経 塚 溶 岩に^ついては それ ぞれ，

ほ ぼ同

．

_地

点^{か ら}独^立に採取し た試料^{につ い て}

，

車 山溶岩^は地 点^を変^{え て}採取^{し た}試料^{にっ い て}， そ れ ぞ れ異^{な る}機関^で測定

を行^{っ た}

．

^その結 果

，

^これ ら3試 料^{にっい て}異 なる年 代 値^が得 ら れ た

．

経^{塚 溶}岩^の

N

〔〕

． 11

と

No ．12

は誤差^の範 囲内^で

一

_致

The Association for the Geological Collaboration in Japan (AGCJ)

NII-Electronic Library Service

The 　Assooiation 　for 　the 　Geologioal 　Collaboration 　in 　Japan 　（AGCJ _｝

島根 県 東 部に分 布す る中 新 世 意東 火 山岩 類のKAr _{年 代}

77

南 端 蹴 ） 南 西 部 　 　 　 　 　南 　 部 　 　 　 　 　中 　 部 　 　 　 　 　 北 　 部

　　　　　　　

ll

：

1

圭

8

：

1

＿

郎谷 D　　　　　　久 白D 　燕 　D 　 　 　 雉 了谷 B 経塚B

・

A　　　　　　日白A 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　二本栃 2P

圏 幽 圏 幽． ■． ． ．

大 谷D 彳菱

期 噴 出 物

9

上 音 匡 層

・ ・

_{本 栃1P}

岩坪A　 　 　 　15

．

8± （1

．

4

車 山Bi §：

1

手

1

：

1

匱 亟

i

］^⊥5

．

3± ・

、

4 _{面 子}A 面了A 　　　　　　l5

．

6±0

、

5

岩舟 R 岩舟 R

L

春日B 山^口谷A大成A 　　 　高庭 R

鐸 ！ 虚’’ ■ 層F　 　 　 ’ 霹F岬 ’

5

’ 即F ’ 一 ノ ， 醒ノ

5

〆

8

〆 醒”置ノ 營ノ ，， π〆 置”8’ 曁 一■凾 匐 ’’ 8’ 一 置’ ． 悍 ． 一 願 7

豊生 R 川^Ll乙B 　 15

，

3↓0

，

4

＿

^の谷八　 　 　 葦谷 D

． ． ． ． ． ． ． 　 ． 　 ． 　 ． 　 ． 　 ■ 　 ■ 　 ． 　 ■ 　 ■ 　 ■ 　 圏 　 ■ 　 ． 　 ■ 　 ■ 　 ■ 　 ■ 　 ■ 　 ■ ■ 騨 r　 r　 ．■■ ■

_{奥 宮}

　　　　　　■

_尾P

膠 ■ ■ ■ 圏■■ ． ． ■ ■ ■ ■

二 の谷^帆 大薮D 意

東

火

匡⊥ 」

岩

類

四^の谷A 紙 屋 谷A

深原 A 　 　 板橋 A 　 　日谷A

紙屋谷P　

・ ・ ・ … ． 　 卩 　 ■ 　 ． 　 ■ 幽 噸 ． 甼 冒 　 ■ ● ， 昌 ■

_{藤 原 A 藤原 A}

畑 A

祖父 谷A 金刀 比 羅B 　 15

．

8± 〔1

．

4 秋 吉A

P臨 齟 一 ． ＿一 ． 一 ． 一 齟 一 ． ．

前 期

卩貢 出 物

　，

．

ド 音 区 層

鍋 谷A　 　 　 　 左 谷A 崎 山A

面谷A 横地 A

尼 笠 D

桑 原 B 　 　 　 L51二〇

．

3

家村B 西奥 B

． ． ， ， 聾 ． ． ． ． ． ． ． 噂． ， ， ， ， ・ ． ． 巳 ． ■ 鹽 ■ ■ ■ ■ ．

喜 吾郎 B 　 16

，

4⊥0

．

4

落合 B 高 丸B

博：繝 ：薯

堂額 B

． ． ． ． ■ 齟 幽 ■ ． ．

^黒谷B

． ．

伏 見 B

． ■ 匿 ． 　 ． 　 卩 　 ． 　 ． 　 ． 　 ． 　 ■ 　 ． 　 ．

．． ． ． 卩 卩 隔 騨 卩 卩 鹽 卩 鹽 ． P． 鹽 ． ． ． ． 1． ・ ． ． 1−■ ， ■ 響 ．． ． ． ． ． ． ． ． ． ■ ． 「 ・ ． 「 「 「 ． 暫 膠 ． 「 ． ． ■ ． ． ． ． ． ・ ． ． ・ 膠 ． ． ． 巳 ． ． ． ． ． ． ． ． ． ． ． ． ． ． 卩 ， ． の ． ．

　

’ 一 ’ 一 ’ 一 ’ 曹 ’ 一 ’ 一 ’ 一 ’ 圏 「 一 ’ 一 ’ 一 ’ 一 ’

₁

：

’ 一 ’ 冒 …’ 層 ’ 一 ’ 一 ’ 一 ’ 「 ． 　　　　■ 層 ． ■ ． 一 ． ． ． 冒 暫 「 暫 一 圏 ． ■ 鬮 ¶ ． 胴 ・・， ． ． ■ ， 卩 卩 ． 呷 ■ ■ 暫 暫 「 一 鵜

^{岩 泥岩互層}

^{・ 一一}

^{高尾 谷半場 P八}

^・

^D

先 意 東 火 山 岩 類

（不 整 合）

　　　　　一 ． 一 ． 一 ． 一 1旧 「 冖 1 ． 一 L−． ．

：飯 梨溶結凝灰岩

120 ．

4・肝

　 　 　 第

2

図

．

意 東 火 山 岩 類の層 序

．

太 線 枠^は斑 状 岩

，

細 線 枠^は無 斑 晶 質 岩 〔A ：安 山 岩

，

^{B ：}玄 武 岩 質 安 山 岩

，

^{1）：デイ サ イ ト}

，

^{R ：流 紋 岩 ）}

．

　 　 　^は珪 長 質 火 砕 岩

，

　 　 　 ^は凝 灰 質砂岩^を表^わす （p：火砕岩

，

^{wt ：}溶結凝灰 岩〉

，

上下 方向0）太線^は野 外^で層序関係が分^かった もの

．

横^の並 びはほぼ同じ層 準 を 示 す

．

は安 山 岩 質 火 砕 岩

， 編 髀

^岩

判¹庭P

灘

し^{て い}る^が， 他^の

2

つ は異 な^る値 を示 す

．

後 者^{の そ}れ^ぞれ^の若

い方 （

No ．

2と

No ．

8）^の年代^は

2

_度の アル ゴ ン測定^で良^い再 現性^が確認^{さ れ てい るこ と}， お よび， 他^の

11

試料^の年代 値^が

／

6Ma

を中^心に集 中^{してい ること から}， 以 下の議 論では見かけ 上 古^い年 代 を示 す

No ．1

と

No ．

7につい て は言及し ない

，

　前 期^の平 均 値^は

15．

6±0

．

5Ma で あ り， 後期^{の そ れ は ／}

6． 2

±

0． 4Ma

である

．

前期火 山活 動^の時期^と後期活動^{と は}，　

K −Ar

年代測定^{で は ほ とん ど}同時^{期であっ たこ とが 明 らかとなっ た}

（第2図 ）

． 2 ．

対比^{につ いて}

　鹿野^{ほ か} （

1993

）^は， 従来^{か ら}前期 中新 世^の波多層^と考^え られ てきた松^{江 市 南 方の火 山岩 層 （由陰 グ リ}

ー

_ン

・

_{タフ団体 研}

究グ^ル

ー

_{プ （1979）の大東 累層）を再検 討し た結果}

，

次^の結 論 を得^た

．

（

1

＞^それ^は下 部^の陸成層^と上部^の海成層^{か ら な り}， 両 者^の関係^は不整合^であ^る

．

従^{っ て}， （

2

_）下部は波多層 （^その最^上

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 うしtt

部^{はデイサ イ ト質 溶}結^{凝 灰 岩}

，

後 述 す る海 潮溶 結 凝 灰 岩 ）^に

，

上部^{はこれ を お お}う海 成の川 合 層に対 比^で きる

．

（

3

_）川合層^の某 底の年代^は

18〜20Ma

^であ り

，

^この頃^に山陰^地方^{で の}海^{進 が} 始^{まっ た}

．

　上 記大 東 累 層^に近接^{し て}分布^する意東^{火 山岩類も}

，

前 述^の よ うに

，

^{こ れ ま で}波多^{層に対 比 されてきた}

．

^{し か し}今回得^{られ た} 年代値^{は意 東 火 山岩 類が}

，

波多層^{にで はな く川}合層^に対^{比 され}

る^{こ と}を示^{して いる} （

Otofuji

et　a1

．

¹⁹⁹¹；高安^{ほ か} 1992）

．

意 東 火 山岩 類^には， 珪長質火砕^岩の発^{達 とコ}

ー

_{ル ドロン の形成}

とい う波多層^に共^{通 した}特^{徴が見 られ ない}

．

本地域^で波多層^に 対 比さ れ る の は

，

放射 年代^および層序関係^から判断 して， 意 東 火 山 岩類^に不 整 合^に覆^{わ れ る}飯梨溶結^{凝 灰岩と考 える ことがで}

き る

，

　

飯梨^溶結^{凝 灰 岩の起 源と対 比にっいて}考察^{す る}

．

飯梨溶結^凝 灰岩^{は斜長 石 斑 晶 をも ち}

，

初 生の石英^{斑晶 を含まない}

．

^{こ の}点 で本^{岩に類 似 した}溶結凝 灰岩^{を周 辺 地 域に求め る と}

，

本 地域^の 東

，

米 子湾^入部に分布^{す る絹 屋 デ イサイ ト層 （守 岡ほ か}

1992

）

（77 ^）

N工 工

一

_{Eleotronio 　Library}

78

_井 ヒ多沖 男

・

_{長 崔敬 介}

・

_{田崎 和 江}

・

_{川 谷芳 弘}

と本地域の西

，

松江湾入部^に分 布 す^る海 潮溶 結 凝 灰 岩 （山 陰^グ リ

ー

_{ンタフ団体 研 究 グル}

ー

_{プ ユ}

979

）とが あ る

．

前 者^は波 多 層

の最 下 部 層準^に産 出する （守岡^{ほ か}

1992

）

．

後 者^は波多層最^上 部^を構成^し， 海成層^からな る川 合 層に不整 合に お お わ れ る （鹿 野｝まカ^tS　

1993

）

．

　^{井 上 （}1994）は， 絹 屋 デイ サ イ ト層分布^地と飯梨^との間^に 位置 す る独松 山に飯 梨溶 結 凝 灰 岩 が分布^{すること を重}視^{し て}同 溶結凝灰岩^を米子湾入 部に噴出源があ ると推 定 した

．

また， 鹿 野 ほか （1994）は海潮溶^{結 凝灰}岩^と飯梨 溶結凝 灰 岩^が共^に角 閃 石 を含^{む とい} う共通点^{か ら}， この両者^を対^{比し た}

．

^{し か し}，

これ ら

3

_地域の溶 結 凝 灰 岩 は^いず れ も有^色鉱物^は変質^{し て お} り， 有^色鉱物^{に よ る}比較^は困難^であ る

． 一

方

，

斜 長 石斑 晶^の量

か ら判 断する と， 海 潮 溶 結 凝灰岩^と飯梨溶結凝 灰 岩が ほ ぼ同程 度^に多 く^の含 有 量 を もつの に比べ て， 絹^{屋 デイ サ}イ^トに含^{ま れ}

る斜長石^{の 量 は}明^{ら かに}少^ない

．

^{こ の ことか} ら， 飯梨溶結^{凝 灰} 岩は海潮溶結凝 灰岩^と同源 （鹿野ほか 1993

，

¹⁹⁹⁴）^と考え^ら れる

．

よ^っ て

，

飯 梨 溶結^{凝 灰 岩は}波多層^に対^{比 さ れる}

．

　^{本 地 域 西 方に位}置^する松^{江 湾 入}部， 出雲湾^入部^{お よ び}大^山湾

入部^{で はい}ず^{れ も}波 多期^にコ

ー

_{ル ドロ ンあ るい は陥没構造が 形}

成 さ れ， 海 成層^{を主とす る川}合層^{は その}同^じ位置^の北 部^{か ら}北 方^に， つま り波多層^{に オ フ ラップし な が ら}発達^{して い}る

．

^{い い}

か え れ ば川合 期^の陥 没 あ る^いは沈降^が波^多期^の構造^に引^き継^が れてい る

． 一

_方

， 本地域^{で は}波多期^の陥 没^はな く

，

そ^こは溶 結

凝 灰 岩が お^お う台 地で あっ た

．

溶結凝 灰 岩^のそのほと ん どが削

剥^され た 後， 川合 期^にな^っ ても陸 域は続 き， この地 域 は火 山 活 動^の場と なっ て意 束火 山岩類が堆 積した

．

　本地域^の東隣^にある米子湾入 部^に も波多期^にコ

ー

_{ル ドロ ンが} 形^{成さ れ ている が}

，

^{そ こ に は}松江湾^入部^以西^に見^{ら れ る ような} 川 合 期^の海 成 層は分 布し て^いない

．

川 合 期は本^{地 域 だけ で な}

く

，

^{こ の}東 方

一

_{帯も陸域であ}

っ た と推定^され^る

．

謝 ^辞

　 本 論^の作 成^にあ^{たっ て}愛 媛 大 学田崎耕 市 教 授^{お よ}び 島根 大 学 沢 田 順 弘 教授^との議論^が有意義であ^っ た

．

また 田崎教 授には原 稿^の不備^を指摘^{し てい た だいた}

．

島根大学^の野村律 夫教授^には 有^{孔 虫の鑑 定 を していただいた}

．

^これらの方^{々 に}深^く感謝^{し ま}

す

．

文 献

j

］⊥^多津 男 ^（1980）　 ^{島 根 県 中 部}， 仁 摩 町 地 域の下 部 中 新 統， と 　くに波多累 層安 山 岩質 火砕岩^の噴 出源^につ いて

．

地質 雑

， 86

^：

　T83797

．

井

L

多津男 （1994）　 ^松江市南^方

，

^前期中新 世意束 火山岩類^の形 　成 史

．

　t也質雑

，

　100：600

−617．

井 ^ヒ多津 勇

・IF

［谷芳^弘 （1995）　 荒 島湾^人部 南部 地 域^に分布す^る

　前^期中新 世^意東火^山岩^類の層序 （荒島湾^入部^の

．

ド部中新統， 第3 　^報）

．

島根県

・ Z ．

L業技術^センタ

ー

_{研 究報告}

，　Ilo

． 32

^：18

−

₂₇

． Itaya

　

T ．

　

Nagao

　K

，



lnoue

　K

，

^{Ilonjou　Yt　Okada　T　and 　Ogata} 　

A

（1991）

Argon

lsotope analysls 

1

〕y^a　newlydevelopedmass

　spectrometric systemfor

K



Ar



dating ．



Minera1．



Jour ，

^15：

試料 No ^． （ 溶岩

名 ）

中 期 中 ^{新 世} 　　　　　　 前 期 中 新 世

後 期 噴 出 物

13

（滝 山 ）

12

＆

11

（経 塚 ）

10 （ 岩

^{坪 ）}

9 （

^{面 子}

）

8

^邑

⁷

（車 山〉

　 　 　

細



匹 1． 漣



bヴ 旃’ じ 1Ψ1｛“ 卯ヒ

騰 嶷講 難 繋 驚

、

繋 繋 ^{黛 纔}

灘鰭轟鞍 ^∴

前 期 噴 出 物

6 （

川 平 ）

5

_（金刀比羅 ）

4

（桑原）

3 （ 喜

吾

郎）

2

^＆

1 （ 高

丸

〉

濕 ^讖 蠶 蠶 鑛 _、

蹇覊 騰覊^鋤

韆 懿

鑞 舘 盟 轟 　 ^幽

飯 梨 溶 結 凝 灰 岩

「

14 15 ^{16 17 18} 19 ^{20 21}

　 　 　 　第3図

．

意 東火 山岩 類の K

−

_{Ar年 代 値}

．

ア ミ掛^{け の}部 分^は11デ

ー

_{タ の誤 差 を含む時 間 幅 を示 す}

．

飯 梨 溶 結 凝 灰岩は鹿 野ほ か （1994）に よ るFT 年代値

．

2223 （ ha）