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Academic year: 2021

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Title <モビリティ>社会におけるボランティア・ツーリズムの研究 [論文内容及び審査の要旨]

Author(s) 依田, 真美

Citation 北海道大学. 博士(観光学) 甲第13191号

Issue Date 2018-03-22

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/70672

Rights(URL) https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/

Type theses (doctoral - abstract and summary of review)

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File Information Mami̲Yoda̲review.pdf (審査の要旨)

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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学位論文審査の要旨

博士の専攻分野の名称:博士(観光学) 氏名:依

審査委員

主査 教授 副査 教授 副査 教授 西 副査 教授

学位論文題名

<モビリティ>社会におけるボランティア・ツーリズムの研究

本論文は、人・モノ・情報の移動が常態化した<モビリティ>社会におけるコミ ュニティのあり方について理論的に整理したうえで、そうした社会における観光の 持つ意味と役割について事例を通して検証したものである。具体的には「小樽雪あ かりの路」のOKOVOと「越後妻有大地の芸術祭」の<こへび隊>という、10年以上 活動を継続している二つのボランティア団体を事例として取り上げ、インタビュー やアンケートといった社会調査を通し、観光者が「非日常」という観光実践におけ る共在の時と、「日常」という不在の時を行き来しながら、訪問地域の人びとと一 方向的ではない、対話的な関係性を継続的に築いていくプロセスを丁寧に記述する ことに成功している。そしてそうした記述を踏まえ、活動が継続する重要な要件と して、非日常性や場所の魅力など、現場の体験を通した個々人の参加継続への関心 の構築が重要であることを明らかにするとともに、観光に欠かせない身体的移動と その結果としての自然や地域の人びととの出会いが、個々人を特定の場所へと接続 し、一つの新たな実体的コミュニケーション・コミュニティを形作っていると結論 付けている。

本論文は、社会的にも学術的にも注目が高まっているボランティア・ツーリズム に着目したものであり、第一義的には観光研究分野におけるボランティア・ツーリ ズム研究の系譜に位置づけられるものであるが、大きく以下の四点で優れた独自性 を有するものとして評価できる。

すなわち、第一に、ボランティア・ツーリズムという比較的新しい観光現象の中 でも、ほとんど先行研究が存在しない「特定地域を継続的に訪問し、自律的に活動 する」事例を発掘したパイオニア的研究である点。従来のボランティア・ツーリズ ム研究では、期間限定的に地域外の人びとが地域に関わることによる地域社会への

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負の影響が多く指摘されてきた。本研究はボランティア・ツーリスト団体の継続性 に着目することで、こうした問題点を解決する糸口となるボランティア・ツーリズ ムのあり方を実証的に明らかにすることに成功している。

第二に、ボランティア・ツーリズムに関する内外の先行研究を網羅的かつ堅実に 参照・整理しており、論考の客観性・信頼性に一定の担保を与えている点。さらに、

社会学分野や地理学分野の研究成果にも着目し、モビリティ論や、モビリティ社会 におけるコミュニティのあり方としてのコミュニケーション・コミュニティ論とい った、モビリティとコミュニティに関する議論を丁寧に整理し、こうした理論をボ ランティア・ツーリズム事例の分析に援用することで、同ツーリズムの持つ新たな 側面を分析するうえでの理論的枠組みを構築した点。

第三に、丁寧な参与観察やアンケート調査によって、膨大なデータを収集し、ボ ランティア・ツーリスト団体の変化を時系列的に分析・考察した、資料価値の高い 稀有な論文となっている点。

そして第四に、事例の長期にわたる丁寧な社会調査によって把握された、組織 的・個人的な活動継続要因を、経営学における組織論や動機論、ループ図分析とい った手法を援用することで、仮説的にではあるが、動的なシステムとして提示する ことに成功している点、である。

一方で、審査委員会においては、本論文の限界性として、大きく以下の三点につ いて指摘がなされた。すなわち、第一に、本研究の独自性でもあるモビリティ社会 論・コミュニティ論・組織論という三つの論点が、ボランティア・ツーリズムの事 例研究を通して、どのように有機的に繋がるのかについて、俯瞰的な視点がやや乏 しく、十分な考察にまで至っていない点である。とりわけ、組織論に関する分析が 他の二点と比して弱いため、全体的に議論のまとまりを欠いてしまった感がある点 は惜しまれる。第二に、現代社会においてコミュニケーション・コミュニティが場 所と結び付かなければならない必然性が如何にして生まれてくるのかという点に ついて、既往研究を援用して一応の論述が試みられているものの、十分に説得力の ある議論にまでは至らなかった点である。そして第三に、昨今、旅行者と地域社会 との協働事例が、ボランティア・ツーリズム分野以外でも数多く報告されるように なっているが、その点についての言及・考察がほとんどなく、本研究で得られた知 見の一般化の可能性が十分に検討できなかった点である。

このように、本論文は理論構築の面において、今後の課題をいくつか残している 部分は否めない。しかしながら、本論文は博士論文として十分な水準を満たす質を 持つものであり、提示したデータならびに考察結果、理論的枠組みも、今後のボラ ンティア・ツーリズム研究ならびに近接する研究分野に新たな視座を先駆的に提示 したものとして、高く評価され得るものである。

以上を踏まえ、著者は、北海道大学博士(観光学)の学位を授与される資格があ るものと認める。

参照

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