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The Japanese Association for Crystal Growth (JACG) 日本結晶成長学会誌特集 : 機能性単結晶の最近の進展 Vol. 42, No. 2 (2015) 総合報告 異種基板上の -Ga 2 O 3 の HVPE 成長 大島祐一 1* ガルシアビジョラ 1

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日本結晶成長学会誌 Vol. 42, No. 2, 2015 – 35 – 141

異種基板上の-Ga

2

O

3

の HVPE 成長

大島祐一

1*

・ガルシア ビジョラ

1

・島村清史

1

HVPE of

-Ga

2

O

3

on Foreign Substrates

Yuichi Oshima

1*

, Encarnación G. Víllora

1

, and Kiyoshi Shimamura

1

We demonstrate the high-speed growth of (2̅01)-oriented -Ga2O3by halide vapor phase epitaxy, and the orientation control of the -Ga2O3 layers by using off-angled sapphire (0001) as the substrates.The -Ga2O3 layers were grown using GaCl and O2 as source gases. The growth rate monotonically increased with increasing the partial pressures of the source gases, reaching over 250 m/h. X-ray pole figure measurement of a -Ga2O3 layer grown on a sapphire (0001) substrate with no off angle indicated the presence of six in-plane rotational domains, in accordance with the substrate symmetry, and some minor (310) domains. By using off-angled substrates and thick layer growth, one of the in-plane orientations was strongly favored and the incorporation of the (310) domainswas effectively suppressed. These results showthatthe HVPE technique is promising for the growth of -Ga2O3 layers for the cost-effective production of -Ga2O3 based devices.

1. はじめに

-Ga2O3は酸化物半導体の一種であり,そのバンドギ ャップは 4.7-4.9eV と報告されている1-3).結晶構造は単 斜晶系に属し,-gallia 構造と呼ばれる(Fig.1).その大 きなバンドギャップの故に紫外光領域に至るまで高い透 明度を示すことに加え,Si などの不純物添加によって導 電性の制御が可能という特長がある 4,5).これらの特長か

ら,-Ga2O3はGaN 系 LED 用の透明導電性基板6,7)やソ

ーラーブラインド紫外線検出素子8)などへの応用が期待さ れている.また,最近ではパワーデバイス材料としても 注目を集めており,GaN や SiC を凌ぐ高耐圧・高効率パ ワーデバイスの実現が期待されている9-11) -Ga2O3が他のワイドバンドギャップ材料に比べて有 利な点の1つは,融液から FZ(Floating Zone)法 12) EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法 13),あるいは CZ(Czochralski)法 14)によりバルク単結晶が成長可能で あり,単結晶基板を製造できることである.現状では, EFG 法による 2 インチ基板が市販されている.しかしな がら,EFG 法による-Ga2O3単結晶の育成には高価なイ リジウム製のルツボやダイが必要であり,基板が大口径 化するほどコストが急増するという問題がある.その1 つの解決策は,-Ga2O3の単結晶膜をサファイアのよう な安価で大口径な基板上に形成し,-Ga2O3のテンプレ ート基板として用いることである.しかしながら,後述 するように異種基板上の-Ga2O3の成長は面内回転ドメ インの問題があり,これまで単結晶膜の成長に成功した 例は無い. また,どのようなデバイスを作るにしても,多くの場

総合報告

1 国立研究開発法人物質・材料研究機構光学単結晶グループ 〒305-0044 茨城県つくば市並木 1-1

1 Optical Single Crystals Group, National Institute for Materials Science, 1-1 Namiki, Tsukuba, Ibaraki, 305-0044, Japan *Corresponding author (E-mail: OSHIMA.Yuichi@nims.go.jp)

Fig. 1 Crystal structure of -Ga2O3. [010] [001] [100] Ga O 103.83

(2

_

01)

(2)

合エピタキシャル成長技術が必要となる.これまで, -Ga2O3 の 気 相 エ ピ タ キ シ ャ ル 成 長 技 術 と し て は , MBE(Molecular Beam Epitaxy)15-17) ,MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)18-21),PLD(Pulsed L aser Deposition)22,23)HVPE(Halide Vapor Phase Epitaxy)24-27)などについて報告例がある.パワーデバイ ス研究には主に MBE が用いられている.HVPE を除い て,これらの手法による典型的な成長速度は概ね 1m/h 程度であり,真空を必要とする場合がほとんどである. パワーデバイスにおいては,充分な耐圧を確保するため に厚膜成長が必要なことも考えられ,成長速度はより大 きいほうが望ましい.また,量産性を考慮すると,真空 が不要であることがさらに好ましい.HVPE 法は, -Ga2O3についての報告数は非常に限られるが,常圧下で の高速成長が可能であり,魅力的な選択肢の1つである. 本報告では,異種基板上の-Ga2O3の HVPE 成長に関 して,筆者らの最近の取り組みを中心に述べる.

2. HVPE 法について

HVPE 法は CVD の一種であり,GaN や GaP 等の III-V 族化合物半導体の高速・厚膜成長で工業的にも広く実 績を有する手法である.Fig. 2 を用いて,HVPE の原理 を説明する.ここでは,GaN の例を示した.反応管には 主に石英が用いられ,管状炉等により全体を加熱するホ ットウォール式の加熱方式がとられる.反応管の上流部 には Ga 融液の入ったボートが設置され,これに HCl ガ スを吹き込むことで GaCl ガスを発生させる.H2の副生 成を避けたい場合には,HCl の代わりに Cl2を用いるこ ともある.この GaCl と,別途供給される NH3とが反応 することで基板上にGaN が成長する.-Ga2O3を成長さ せる場合には,NH3の代わりにO2などの酸素原料を用い ればよい. HVPE 法の特徴の1つは,気相成長としては非常に大 きな成長速度が得られることである.GaN では結晶性の 劣化を伴わず 2mm/h 程度の成長速度が得られている 28) 高速成長が可能なのは,ホットウォール式のために原料 輸送経路を含めて炉内が高温であり,原料の蒸気圧を高 くできることと,結晶析出反応の平衡定数が他の成長法 に比べて小さいために,高濃度原料を供給しても気相反 応が起こりにくいことによる.

なお,HVPE 法は,GaAsxP1-x等のIII-V 族化合物半導

体の成長方法として1966 年に米国 RCA のグループによ り最初に報告された 29).あらかじめ所定の割合で混合し た固体原料を 1 つの媒介物質によって気化・輸送するこ とでGaAsxP1-xを成長させていた従来法に対し,V 族原料 として AsH3や PH3のような水素化物をそれぞれ独立供 給することで組成の制御性を格段に向上させた点が画期 的であり,それゆえHydride Vapor Phase Epitaxy と名 づけられた.

今日では原料に水素化物を用いるのは HVPE に限らな

いので,Ga などの原料をハロゲン化物の形で輸送する点 を表現したHalide Vapor Phase Epitaxy のほうがその特 徴がわかりやすいようにも思われるが,いずれも市民権 を得ている.我々の場合,-Ga2O3の HVPE 成長の原料 はGaCl と O2であり,水素化物を用いていないので,本 稿では後者を用いている.

3. HVPE による

-Ga

2

O

3

の高速成長

3.1 これまでの報告 -Ga2O3の HVPE に関連する報告は,筆者の知る限り 1974 年の松本らによる報告が最初である 24).松本らは Ga と HCl を反応させて得た GaCl と O2ガスとの反応に より-Ga2O3を成長させた.基板は用いず,石英反応管 の内壁に針状もしくは板状の微結晶を得ている.また, 最近になって,野村らはGa と Cl2との反応で得たGaCl と O2ガスとの反応により-Ga2O3の(001)基板上でホモ エピタキシャル成長を報告している.また,同成長の熱 力学解析により,高速成長のための指針を明らかにして いる25) 3.2 成長装置と成長条件 我々の実験結果を示す前に,成長に用いた装置と条件 について述べておく.成長装置は,Fig.2 に示したのと同 様な横型の大気圧炉を用いた.ただし,原料の酸素に触 れる可能性のある部分は全て石英で構成した.GaCl の発 生には HCl ガスを用いた.酸素原料は酸素ガスである. 主な成長条件を Table 1 にまとめた. 3.3 (2̅01)面-Ga2O3の高速成長 サファイアc 面上には(2̅01)配向の-Ga2O3が成長しや すいことがMBE, MOCVD 等を用いた製膜において報告

Fig. 2 Schematic of HVPE reactor for GaN.

Growth pressure Atmospheric pressure Growth temperature 1050°C

Carrier gas N2

HCl supply 0.1 – 1.25 kPa O2 supply 0.5 – 5.0 kPa Substrate Sapphire (0001),0°-10° off Table 1 Growth conditions for HVPE of -Ga2O3.

(3)

さ れ て い る 15-18,22,23). こ れ は , サ フ ァ イ ア c 面 と -Ga2O3(2̅01)面とで面内の酸素原子配置が似通っているこ とが一因と考えられる(Fig. 3).

Fig. 4 に HVPE 法により成長した-Ga2O3膜のX 線

-2スキャンの結果を示す.成長に際し,バッファ層等は 用いていない.サファイアc 面からの回折ピークの他は -Ga2O3の(2̅01)面が支配しており,HVPE でもやはり (2̅01)が得られやすいことがわかった. Fig. 5 は,サファイア基板上に成長させた(2̅01)面 -Ga2O3の成長速度の原料分圧依存性である.成長速度は O2分圧および HCl 分圧の増大に伴って単調に増加し, 250m/h を超える成長速度が得られることがわかった. これは GaN の HVPE に匹敵する成長速度であり,融液 成長よりも安価で大面積な-Ga2O3基板の実現可能性を 示すものである.ただし,成長速度の増大に伴って表面 が荒れる傾向があり,今後改善が必要である.

4. 異種基板上の

-Ga

2

O

3

の成長

4.1 これまでの報告と問題点 これまで,様々な成長法により様々な異種基板上に -Ga2O3の製膜が試みられている.それらのうち,代表的 と思われるものを Table 2 にまとめた.基板としては主に サファイアやMgO が用いられ,それぞれ単一の面外配向 が得られている.しかし,面内配向は単一ではない.例 えば,MgO(110)基板には(1̅02)配向の-Ga2O3が成長す るが,(1̅02)面はその法線まわりに回転対称性を有さない のにも関わらず,X 線回折のスキャンプロファイルには 180°おきに 2 本のピークが現れ,面内で 180°回転した ドメインの混在を示している.他の基板においても事情 は同様で,それぞれ基板の回転対称性に応じた数の回転 ドメインが混在している.なお,MgO(111)およびサファ イア c 面は面内の回転について三回対称性を有するが, 各面内の酸素配置のみに着目すれば六回の回転対称性を 有するとみてよいであろう.そのため,6 種類の面内配向 が現れると考えられる. 4.2 傾斜サファイア基板による面内配向制御 原理的には,成長させようとする膜と回転対称性が同 じかより低い基板面を用いれば,面内回転ドメインは生 じないはずである.しかし-Ga2O3は(010)面を除いて回 転対称性を有さないので,基本的には対称性の無い基板 が必要である.そこで,我々は基板面に適切なオフ角度 を与えることで面内の回転対称性を低減することを考え た.今回は,サファイアの c 面オフ基板を用いた.サフ ァイアは大型で高品質な基板が大量生産されている.ま た,特に c 面基板は既に述べたように(2̅01)配向の -Ga2O3を容易に成長できる.サファイアc 面に適切なオ Sapphire (0001) -Ga2O3 (2̅01)

20

40

60

80

100

2

[deg.]

Int

e

ns

it

y [a

rb.

un

it

s]

2̅ 01 ̅ 02 ̅ 0 20 ̅ 0 000 000 12 0 0.5 1.0 1.5 P(HCl) [kPa] 0 1 2 3 4 5 6 0 100 200 300 P(O2) [kPa] G row th r a te [  m /h] P(HCl) = 0.25 kPa P(O2) = 5 kPa Fig. 3 In-plane oxygen arrangement of -Ga2O3 and

sapphire.

Fig. 4 X-ray -2 scan profile of a -Ga2O3 film grown on sapphire (0001) with no off angle.

Fig. 5 Growth rate of (2̅01) -Ga2O3.

Table 2 Crystal orientation of -Ga2O3 grown on foreign substrates. Substrate -Ga2O3 surface plane -scan profile Ref. MgO (110) (1̅02) 2 peaks 19) MgO (100) (100) 4 peaks 15) MgO (111) (2̅01) 6 peaks 20) MgAl6O10 (100) (100) 4 peaks 21) c-sapphire (2̅01) 6 peaks 15-18,23)

(4)

フ角度を与えれば,(2̅01)配向の-Ga2O3が成長するだけ の原子配置の類似性を残しつつ基板面の回転対称性を低 減でき,面内回転ドメインの発生を抑制できるのではな いか…というのが本研究のアイデアである(本当にその ような理屈によるかは別として).本節では,サファイア c 面オフ基板上の HVPE 成長の結果について述べる. 4.2.1 オフ角度による表面モフォロジ変化 Fig. 6 はオフ角の異なるサファイア c 面基板上に育成し た-Ga2O3膜の表面SEM 像である.図中の矢印は,その 方向にオフ角度aだけサファイアの c 軸が傾いているこ とを示している.a=0°(いわゆるジャスト基板)のと き,表面にはモザイク状のランダムなパターンが見られ る.aの増大とともにそのようなモフォロジは不鮮明と なり,かわりにオフ方向と垂直方向に走る筋状のモフォ ロジへと変化し,何らかの配向変化が起こったことを示 唆している.

Fig. 6 Surface SEM images of -Ga2O3 layers grown on sapphire (0001) substrates with various off-angles. c-axis of sapphire is inclined toward the direction of the yellow arrow. asap and msap denote <112̅0> and <1̅100> , respectively.

Fig.7 (002) pole figures of (a) single crystal -Ga2O3 wafer, (b)-(e) -Ga2O3 layers grown on sapphire (0001) substrates with various off-angles a. Yellow arrows show the direction of off-angle.

(a) a = 0° (b) a = 2° (e) a = 10° (c) a = 3° asap msap (d) a = 5° 30 m 30 m 30 m 30 m 30 m [102] [010] msap asap msap msap

(a) Single crystal -Ga2O3

asap asap msap (b) a = 0° (c) a = 2° (d) a = 3° (e) a = 5° asap =30° =60° (002) (2̅02)

(5)

4.2.2 オフ角による面内配向の変化 Fig. 7 は様々なオフ角度のサファイア c 面基板上に成長 させた-Ga2O3膜の X 線極点図である.図中の矢印は, その方向にオフ角度aだけサファイアの c 軸が傾いてい ることを示している.比較のために,Fig.7(a)に EFG 法 による(2̅01)-Ga2O3単結晶基板の結果も示してある.極 点図の測定は(002)回折について行ったが,ブラッグ角が ほぼ同じである(2̅02)回折によるスポットも同時に現れて いることに注意されたい.単結晶基板の場合,回折スポ ットは1 組だけ現れている.これは,-Ga2O3の(2̅01)面 が面内の回転に対して対称性を持たないからである.一 方,サファイアジャスト基板上の場合(Fig.7(b))は,60° おきに 6 組のスポットがほぼ同じ強度で現れており, MBE などの他の成長方法の場合と同様に 6 種類の面内回 転ドメインが概ね同じ割合で混在していることがわかっ た.-Ga2O3膜とサファイア基板との配向関係は次のよ うであり,これも従来の報告と同様である15-18, 23) (2̅01) -Ga2O3 (0001) sapphire 〈102〉 -Ga2O3 〈112̅0〉 sapphire ところが,オフ基板の場合は様相が異なる.オフ角度 a=2°の場合(Fig. 7(c))を見てみると,まずピークの数 が 3 組に減少している.また,オフ方向に沿った位置に 現れているピークの強度が増大し,逆にその他のピーク は強度が減少している.この傾向はオフ角度の増大に伴 って促進され,a=5°になると,単結晶基板の極点図と ほとんど見分けがつかない(Fig. 7(e)).実際には微小な ピークがなお存在し,完全に単一配向ではない.それぞ れのスポットの位置はオフ方向にオフ角度の分だけ移動 しており,オフ基板の場合であっても先述の配向関係が 維持されているようである. ここで,面内配向の度合いの便宜的な指標として,極 点図中に現れた(002)ピークの強度の総和に対する最大ピ

ーク強度の比,すなわちI(002)max/I(002)totalを導入し, これにより面内配向変化をより明確に表現することを試 みる.例えば,ジャスト基板上の場合には,6 つのピーク が同じ強度で現れるから,I(002)max/I(002)total=1/6 で ある.また,単結晶の場合にはピークが1つしか現れな いので,I(002)max/I(002)total=1 になる.I(002)max/ I(002)totalのオフ角度aに対する変化を Fig. 8(a)に示す. 面内配向はa=3°付近までは急激に改善し,a=5°付 近で概ね飽和することがわかった.面内配向は膜を厚く しても改善することはなかった(Fig. 8(b)).これは,面内 回転ドメインは面内の配向は異なるが成長方向は概ね同 じであり,特定のドメインが優勢になり他のドメインを オーバーグロースするようなことが起こりにくいためと 考えられる. 以上のような配向変化の理由を考えてみると,まず, ジャスト基板の場合にはサファイア c 面内の酸素原子配 列が六回対称的であるために 6 種類の-Ga2O3の面内回 転ドメインが形成されるが,オフ基板の場合には,サフ ァイア本来の三回対称性が反映されるためにドメインが3 種類に減少すると考えられる.オフ角度が小さい場合に はそれらの 3 方向はまだ概ね等価とみなせるので,極点 図における3 つのスポットの強度は大きくは違わない. 0 5 10 10-3 10-2 10-1 Off-angle [deg.] I(02 0)to ta l / I(0 02 )tota l 0 5 10 15 20 Thickness [m] t ~ 5 m a= 10 (a) (b) 0 5 10 15 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Off-angle [deg.] I( 00 2)ma x / I( 00 2)to ta l 0 5 10 15 20 Thickness [m] t ~ 5 m a= 10 (a) (b)

Fig. 9 X-ray (020) pole figure of a -Ga2O3 film grown on c-plane sapphire (a=0°).

Fig. 8 The ratio I(002)max / I(002)total as a function of (a) the off-angle a, and (b) film thickness.

Fig. 10 The ratio I(020)total / I(002)total as a function of (a) the off-angle a, and (b) film thickness.

asap

msap =30°

=60°

(6)

しかし,オフ角度の増加に伴ってそのような等価性は失 われ,オフ方向に〈102〉が向くようなドメインが次第に 優勢になっていったと考えている. 4.2.3 異種配向ドメインの抑制 今回作製した一連の試料は,(2̅01)以外の面外配向ドメ インを含むことがわかった.Fig.9 はジャスト基板上に成 長した-Ga2O3膜の(020)極点図である.=37.5°付近 に 6 つのスポットが見られる.しかし,もしこの膜が純 粋に(2̅01)配向のみからなるであれば,この位置にピーク は現れない.(010)は(2̅01)に対して垂直な面だからであ る.このような位置にスポットが観測されるということ は,異なる面外配向のドメインの存在を示唆している. 実は,Fig.4 の-2スキャンプロファイルをよく見ると, 僅かだが(620)の回折ピークが見られる.この結果と,他 の幾つかの極点図測定とから,混在しているのはこの (310)配向ドメインであることがわかった.(310)ドメイ ンが成長しやすいのは,この面もまた酸素原子配列がサ ファイア c 面と類似した三角配列になっているためと考 えられる. そのようなドメインの混入の程度は,オフ角度や膜厚 に依存する.その程度を表現するための便宜的な指標と し て , (020) 極 点 図 に 現 れ た ピ ー ク の 強 度 の 総 和 I(020)totalと,(002)極点図に現れたピークの強度の総和 I(002)totalとの比I(020)total/I(002)totalを用い,そのオフ 角度や膜厚に対する依存性をプロットしたのが Fig.10 で ある.Fig.10(a)はオフ角度に対する依存性である.オフ 角度が3°付近までは(310)ドメインの混入が増えるがその 後減少に転じ,10°ではジャスト基板の場合より改善す る.なお,15°ではさらに第 3 の配向が現れたことから, 10°を大きく超えるオフ基板を用いることは,本研究で 用いた成長条件ではあまり得策ではないようである.ま た,Fig.10(b)に示すように,膜厚を増加させることでも 改善が見られた.この原因としては,(310)ドメインの成 長速度が(2̅01)に比べて遅く,最初は基板表面に(310)ド メインが生じるが,その後(2̅01)ドメインのオーバーグロ ースによって埋め込まれることが考えられるが,今後確 認が必要である.また,今後成長初期過程の最適化を進 めることで,そもそもそのようなドメインが最初から混 入しないようにすることも可能になると考えている.

5. おわりに

HVPE 法により(2̅01)-Ga2O3の高速成長が可能である こと,およびサファイア c 面オフ基板を用いることで面 内回転ドメインの発生が効果的に抑制可能であることを 述べた.ただし,面内回転ドメインが完全に消えたわけ ではなく,さらなる改善が必要であるし,そのためには 回転ドメイン抑制の具体的な機構にも踏み込む必要があ る.また,そもそも結晶構造の大きく異なる基板上の成 長であり,X 線ロッキングカーブ半値幅は Tilt,Twist と もに現状では 0.5°程度と非常に広い.今後,成長初期過 程の適切なコントロールやバッファ層の導入等,欠陥低 減の対策が必要である.ただし,あまりプロセスが複雑 になってバルク基板よりコストが高くなると意味が無い ので注意が必要である.様々な対策が仮に奏功してもな お,その品質が融液成長によるバルク基板に追いつくこ とは容易ではないであろう.ただ,どのような品質が要 求されるかはデバイスにより様々であり,窒化物デバイ スではGaN 基板が登場してもサファイア基板や SiC 基板 上の薄膜が用いられているように,用途による住み分け になる可能性もあると想像している. 謝辞 本研究はJSPS 科研費(研究課題番号 25420307)の助 成を受けた.

参 考 文 献

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113 (1966) 724

Fig. 2    Schematic of HVPE reactor for GaN.
Fig. 4    X-ray -2 scan profile of a -Ga 2 O 3  film grown  on sapphire (0001) with no off angle
Fig. 6    Surface SEM images of -Ga 2 O 3  layers grown on sapphire (0001) substrates with various off-angles
Fig. 9    X-ray (020) pole figure  of a  -Ga 2 O 3  film grown  on c-plane sapphire ( a =0°)

参照

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