養成 イ シガ キ ダイか らの採 卵 ・人 工 ふ化 *
‑ 梓 にふ 化 に及ぼす水温 お よび比 重 の影響 ‑
原田輝雄 ・宮下 盛 ・横山達雄**
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*本報告の‑部は昭和4
+*近松大学水産研究所 ( lV S Wakayama649‑22J.apan)
44 近畿大学農学部紀 要 第12号 (1979)
Ⅰ 緒 言
イ シガキ ダイ(砂Iegnathuspunctatusは, わが国本州 中部 以南 か ら韓 国 お よび南 中国の沿 岸 に分布 1)して お り,イ シダイ と共 にイ シダイ科 に属 して い るが,共 に美味 で 商品価値 が高 く, また,磯 釣 の対象魚 と し て珍 重 されてい る。筆 者 らは,1954年 か らブ リの養 殖 試験 を行 なった際, その中 に混入 して い るイシガ キ ダイの成長 が イシダイよ りもは るかに速 い ことを 認 め,養殖 対象魚 と して有望 で あ ると考 えて いたが,
その天 然種苗 が少 ないため,本種 の単独 養殖 まで に は発展 せず , その人工ふ化養殖 の報告 も見 当 らなか った。本種 の親 魚 の漁獲量 はは 封 土だ少 な く, した がって天然親 魚 か ら卵 が採取 され る機会 は きわめて まれで あ ると考 え られ る。 そ こで筆者 らは1963年 よ り,和歌 山県 にある近畿大学水産研 究所 白浜 実験場 において ブ リ幼 魚 の中 か らイ シガキ ダイのみ を選別 し, ブ リと別の網 い けす に収容 して飼育 し, その成 長 を調査 す ると共 に,親 魚 まで 養成 して卵 を採 取 し, 人 工ふ化す る実験 を行 なった。 その結果,卵 が採取 され る魚体 の大 きさ,年令 ,ふ化 に及ぼす海水 の温 度 お よび比 重の影響 等 がほぼ明 らか となった。
皿 実験材料 と方法
養成 実験 に用 いたイ シガキ ダイの種苗 は1963年以 後毎 年 4月か ら 6月の間 に紀伊 半島沿 岸で流 れ藻 に つ いて い るところをブ リ幼魚 と共 に探捕 した もので あ る。 それ らの種苗 は白浜 実験場へ 輸送 し,選別 し て イ シガキ ダイのみ を網 い けす に収 容,初期 の餌 料 と して, イカナゴ, カ タクチ イワ シ,マ ア ジ, マサ バ,サ ンマ等の冷凍 魚 を粉砕 した もの を与 え,成 長 に応 じて切断 した ものや姿 の ま まの もの を与 えて飼 育 した。網 い けす は合成繊維 製で 田辺湾 の畠島南西 海域 に設置 し,最初,縦 3.6m,横3,6m,深 さ3.0m の小 さい もの を使 用 したが,成 長 に応 じて縦 7.2m, 横7.2m,深 さ3.5mの よ り大 きをい けす に換 えた。
外部形態 の観 察 ,腹部の圧迫 ,生殖巣 の切 開等 の 方法 によ り成熟 を判断 し,成熟期 に入 った と思 われ る雌 雄 を陸上水槽 に収容 し,排水 口に集卵網 を設置 して 自然産卵 による採卵 を試 み る一方,網 いけすで 養成中 の雌雄 を時 々 と り上 げて腹部 を手で圧迫 し, 持 出法 によ る採 卵 と人工授精 を試 みた。
自然産卵 に用 いた水槽 は,1970年の場 合直径 8m, 深 さ1.5m(水容量70m) の ナイロ ン水槽 ,1971年 に は直径 10m,深 さ1.5m(100mう のナ イロ ン水槽 で, 1972‑1974年 には縦 4m,横 5m,深 さ 1m(15mう,
1957年 お よび1977年 には縦 8m,横 87,n深 さ16.m (1007うn,1 79 8年 には縦 4m, 横 6帆, 深 さ12.m (25mつ の それ ぞれ コ ンクリー ト水槽 で あった。集 卵網 は0.5267mAの 目合のナ イロ ン製網地 で,縦 ,横 , 深 さ, それぞれ70cmにつ くったいけす網 で, これ を 水槽 の オーバー フロー に取 りつ けた もので ある。
雌 魚 の腹部 を圧迫 して得 た卵 には,同様 に して イ シガキ ダイ または イ シダイの堆魚 か ら得 た精液 を注 ぎかけ,乾導法 で 人工授精 を行 なった。 その10‑20 分後 に卵 をよ く洗 い,ふ 化槽 に移 して, 8細胞期前 後 まで発 生 が進 ん だ時,発生 してい る卵 を拡 大鏡 下 で 計数 して,総採卵 数 に対す る百分率 を出 し受精率 と した。20倍 に拡 大 した投影機で, 8細胞 期前後 の 卵 10個 を測 定 して その平均値 を求 め,受精卵 の直径
と した。
ふ化 に及ぼす水温 の影響 を調べ るため,1971年 に 自然産卵 した受精 卵 を10‑12段 階の所 定温度 に調節 した水槽 に収容 してふ化の状 態 を観 察 した。確 実 を 期 す るため実験 は 3回, 5月31日, 6月 2日および 6月11日に生 まれた卵 につ いて各段 階別 の比較 を行 なった。初期 発生 を続 けてい る受精 卵約50個 を海水 12と共 に合 成樹脂製水槽 に収 容 し, それ を30
捌
く槽 に浮 かべ, その30P水槽 の温 度 を調節 して,ふ 化槽 の水温 が所 定温 度 に保 たれ る仕組 み と した。生存 し て い る卵 が全部ふ化 を終 了 して か ら,各水槽 のふ化 状 態 を詳細 に点検 ,正常仔魚 ,奇形仔魚 ,死 卵 など を計数 し, それ らの合計 か ら収容卵 数 を逆算 した。これ らの実験 か ら本種 のふ 化 に適 当な温度範 囲 を推 定 した。
ふ化 に及ぼす海水 の比 重の影響 を言周べ るため に, 1971年 に 自然産卵 によって得 た受精卵 を, 11段 階 お よび15段 階の比 重 に調節 した水槽 に収容 してふ化の 状 態 を観 察 した。確 実 を期 す るため実験 は 2回, 6 月
1
日お よび 6月 4日に生 まれた卵 につ いて,各段 階別 に比較 を行 なった。 田辺湾 の天 然海 水 を基 に し て,低 比 重の方 は, ハ イポで脱塩 素 した上水道水 を 加 えて所 定の比 重 と し, 高比 重の方 は, 人工海水 を 加 えて所 定の比 重 と した。 この よ うに所定 の比 重 に 調整 した海水 1上目こ発生初 期 の受精 卵約50個 を加 え て合 成樹 脂 製 の水槽 に収容 し,水温 をふ 化適温 に保 ってふ化状 態 を観 察 した。生存 してい る全部の卵 が ふ化 を終 了 して か ら,各水槽 のふ化状 態 を詳細 に点 検 し, 正常仔 魚 ,奇形仔魚 ,死卯 などを計数 し, そ れ らの合 計 か ら収 容卯 数 を逆算 した。 これ らの実験 か らふ 化 に適 当 な海水比 重の範 囲 を推 定 した。0
年の親 魚 の大 きさは,任 意抽 出
?,3, 5 原 田 ・宮下 ・横 山 :養成 イ シガキ ダイか らの採卵 ・人工ふ 化 4
0 5 3 ,
?,3 0 5 8 ,
Ⅱ
実 験 結 果 精卵 が得 られた1で10尾 の体重 を測 定 した結果,3 3
7 9
受精率 の低 い原 因の 主なもの は雄 の精液 にあった と 採卵 用親魚 の養成 紀伊 半島沿 岸で探捕 した稚
魚 を田辺湾 に設置 した網 いけす に収容 して小魚 を与
年 5月24日に,幼魚 か ら養成 した イ シガキ ダ
8 7 9 年 か ら1 0 7 9 1
,500?,
?,2 ?,2 で あった。
0 5 6 ,
年 まで の搾 出法 による採卵 と人工授精 の結果 を年毎 にまとめてTablelに示 した。
8.
7 9 7 9 1 ears ey 0‑1
5 2 0 10. 1 11.. 36.
0 0 50, 6 1
6
May 2 7
‑ 75
9 June 5 June 7 9 1
?,2
搾 出法 による採卵 と人工授精 0 5 8 , 7,2 0 5 9 ,
?,2 3007で平均 .
,3,150 9
0 5 24,
0 5 3
ダイの精 液 を使 用 した場合 , 高 い受精率 が得 られ る 0?
4 29,
採 取 す るこ とがで きた。 自然産卵 によ り9 %の受
R eggo gbys pnigfrom rearedspottedp 47.
i trp ii
tann b d f ecorso
1. arrotfishinth
%
精 率 は きわめて低 く, わず か に過 ぎなかった。
9
考 え られ る。 イシガキ ダイは雄 も成熟 し難 く, 多量 イの親魚 か ら初 めて搾 出法 によ り採 卵 す ることがで
9
36. 01, 5 07. 7 9 25.
8 7 80.
き, その翌 日も同様 に採卵 す ることがで きたが,受 の精液 を得 るこ とが困難 な場 合 が 多かった。本種 の
7 le b
次 いで12年で は %,1 年 には %と漸 次 受 精 率 が向上 し,1 年 には3 %とな り, その中で ち,Ta 2に示 す よ うに,1
した場合 には6 %とい う高 い受精率 が得 られた。
Toatl ihs
f Parent えて飼育 した ところ,探捕 当時 全長約 5m ,体重約 4?の稚魚 の大部分 は,6年後 には全長40cm以上,
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May 25 le
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0 Ye
97 1
2 7 9 1
精 液 が十分 にあ る場 合 や,本種 の代 りに多量 の イ シ 25.
0 4 36, 4 5 3 9
32 2 00 2..
0 7 9 1
傾 向 がみ られた。 なお 4‑ 8細胞期 の受精 卵 の直径
8.
7
f tero ( s ia d erage
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4 10. i
18. 4 0
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10. ‑1 7mnで あったO
4 10. 38.
0 0 66, 8 1 2 1
05. 2
0 10. 19.
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0 0 04, 8 2 2 3 2
42. 2
10. 1 10. 80.
6 0
0 20, 1 4 4 2
42. 2
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近畿 大 学 農学 部紀 要 6
4
9 1. 3 1.
36.
36. 8 0
0 83. 6 1. 73.
まで 発生 した卵 を約5個 づつ 1 ℃か ら2 ℃の 間 に10段 階 に設 定 した水槽 に収容 して,ふ 化の状 態 を 観 察 した と ころ,1 ℃‑2 ℃の水槽 で はふ 化 し た 正常形 の仔魚 は約8%あ ったが,低温側 で正 常仔 魚 が得 られ たの は1 ℃の水槽 まで で あ り,高温 側 で は2 ℃以上 となると奇形 が激増 した。 最 高のふ 化率 が得 られたの は水温2 ℃の水槽 で あ った。
第 2回実験 は 6月2日1時 噴 自然産卵 して,桑 実 4
7 9 35.
イ よ り容易で ない と考 え られ る。1 年 の受精 率 は わず かに %で,極端 に低 か った。 この原 因 は雄 が
8 1 回行 なった。
第 1回実験 は 5月3日1時 頃 自然 産卵 し,桑実期 を除 いて 1 年 まで毎 年実施 して きた。採卵 はいず
れの年 も可能で あったが, その中で好 成績 の もの を 8
7 9
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0
〜 113. 10. ( s 58. 1
Ag mb
mm) egg egg
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22 0
7 27, e
7
0 1 12. 1.
‑ 0 〜
% in l ttoa belr tt umoa Nf o
6 7 9
特 に成熟状 態 が顕著 と思 われ るもの を,陸上 の水槽 僅 か に 2尾 で少 な過 ぎたため と考 え られ る。
年 に初 めて行 なって受精 卵 を得 てふ化飼 育 したが, その後 1 年
‑ 35. 0 0 80, 1 3 0
2 3
‑
∫ fih o rs PTaeeaTn rsgteih AV
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7 1 9 4 51, 0
55, .4 3
5
‑ 8
43. 9 0 2 06, 4 37, 3
9 1 1 0 4 29,
4 e
7
4.0 4
期 まで発 生 した卵 を,約5個 づつ, 水温 1 ℃ か ら
℃ まで の間 を10段 階 に設定 した水槽 に収 容 し, 同 日2時 に実験 を開始 した。 その結 果 をTabl に Wa
〜226. t peraure ) ter
12. ZFoe
2
〜22 07. 2
.1 5〜6.
4 2
〜 .4
〜2 8 3. 5ー1. 0 97.
1 19.′
2 May 1 May 2e 8
May 2e 9 7 6 1 e2 May l 7 0
8 3
〜 Jun Jun J lut 0 7 9 1
1 7 9 1
3 7 9 1
4 7 9 1
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T ba ・ Egg h g atd ttmp n J e parrtfh atte s iif 01
16. 9.
2 1 3 4 4 5 4 8 4 6 4 9 4 0 5 7 4 4 4 3 4 4 4
75. 5.
2 39. 9 2 2
2.
2 0) 16. 3
00. 9.
1 61. 1 47.
1 1 2
1 10.
0
産卵 数 も20万粒 と推 定 して い るが,これ に比 べ る と 本種 は受精 率 が低 く産卵 数 も少 な く,採 卵 が イ シダ
17. )
われ る。 しか し, イ シダイの 自然産卵 の場 合,福 所 ら3は平均 受精 率 が8 %とい う高 さで 1尾 当 りの に示 した。 これ か らわか るよ うに 自然 産 卵 l 3e
b a T
52. 97.
の行 なわれ た水温 は, 1 ‑2 ℃で ,産卵適温 は この範 囲 にあ ると考 え られ る。受精 卵 の直径 は
・ 3
・ 0 7 に移 して 自然産卵 をはか る試 み を19
5
・ 5 2 ) 5 lto2 ty
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12.
‑
ふ化 に及 ぼす水温 の影 響 種 々の段 階 にふ 化槽 の温 度 を設定 して,ふ 化の状 態 を比較 す る実験 を 3 自然産卵 を利 用 した卵 の採 取 成熟 年令 に達 し
た と思 われ る 5‑ 6年以上 の イ シガキ ダイの うち,
nnLで,持 出法 によるよ りもやや大 きい傾 向 が 伺 われ る。採 取 した受精 卵 の 数 も搾 出法 よ りも 多か った。 十分 成熟 した親魚 を水槽 に収 容 す れば,受精 率 も高 く, ま とまった数の受精 卵 が入手 され ると思
c)
05 04 5 2 16 2 2 38 23 4 23 4 00 4 23 01 3 00
9 3 1 2 7 6 4 5 7 9 2 4 4 4
7 原 田 ・宮下 ・横 山 :養 成 イ シガキ ダイか らの採 卵 ・人 工ふ 化 4
示 した。 これ か らわか るよ うに,8/ott上の 正常ふ ‑2 ℃ に保 った。 その結 果,ふ 化 は どの水 化仔 魚 が得 られた水槽 は水温 2 ℃ か ら2 ℃ まで
の間で あ り,2 ℃で最 高の 正常仔 魚 のふ 化率 が得 の は海水比 重200.と300.の間で あった。正 常ふ 化率 28.
226. 39.
0 0 0 0, 39.
は
槽 で も認 め られた が, 正常形 のふ 化仔魚 が得 られた
段 階 に設定 した水槽 に収 容 し,同 日
ふ化 に及 ぼす比 重の影響 ふ化槽 の海 水 の比 重 がイ シガキ ダイの卵 のふ 化 に及ぼす 影響 を調 べ るた め, 2回貴験 を行 な った0
近縁 種 の イ シダイ にお ける養 成親魚 の成熟 につ い は雄 は満1年で1部 が成熟 し,潤
00. 4 20. 3 t aure
300. 80. 2 60. 2
65.
4
最 高の比 重 は2 , そのふ 化率 は7 %で あ るが,
60. 69. 3 5 20.
220.
37. 80
‑2 5 %
比 重 .で は 以上 の正常 ふ 化率 が得 ら れた。 また,受精 後 1時 間 に卵 の浮沈 を調べ た とこ
2 ,2
ろ,比 重 以 下 で は, 全部卵 が沈 下 し で は 7 %1 1% 1%
浮 上 卵 , 中層卵 ,沈下 卵 で あ った。 全 2
卵 が浮 上 して いたの は 以上 の水槽 で あ った。
37. 14. le
b a
験 を開始 した。実験 中の水温 は2 ‑2 ℃で あっ た。 その結 果 は T 5に示 した通 りで,正常ふ 化
00.
・ 6 1
, 0か ら4 までで あ るが,
30. 22 0. 00.
8 20.
仔魚 が得 られた比 重 は
中で も7%以 上 の 高 いふ化率 が得 られた比 重 は か ら3 まで の間で あった。 なお,受精 後 8時 間半 の卵 は比 重2 以 下 で は全部 が沈下 , と2 で 00. 2 ,
83 21 41 4 81 4
0
・ 4
l l 3 2 3
7cm 熟 す るこ とを認 めて い る。 体 重500ァ,全長2 程度
,
Ⅳ 考
察 の イ シダイの雌 は成熟 す るが,同年令 の体 重1,000g 00 5 0
第 2回実験 は 6月4日2時3 分頃 自然 産卵 した受
℃以上 で は,奇形 ふ 化率 が増 力ロした。 精 卵 を比 重 5か ら40まで1段 階 に設定 した水槽 に, 受精後 6時 間 半の時 約5個 づ っ収容 して,ふ 化の実
40,
は中層 にあ り,2 以上 で は全部 が浮上 して いた。
ふ 化時 間 につ いて は,比 重 によ る差 は認 め られ なか 20. った。
00.
第 1回実験 は 6月 1日1時頃 自然産卵 によって得 た受精 卵 を,海水比 重 (cT15)1 か ら3 まで を
8
0
0段 階 に設定 したふ 化槽 にそれ ぞれ約5個 づつ収 容 して 6月 2日 4時 に実験 を開始 した。 実験 中の水温 1
られた。 また,水温 1 ℃以 下 お よび2 ℃以上 で は, 正常形 の仔 魚 は 1尾 も得 られ なかった。
9 1. 6 1.
第 3回 実験 は 6月11日21時30分頃 自然 産卵 して, 4‑ 8細胞 期 まで 発生 した卵 を,水温 146.℃ か ら34.
3℃ まで の 間 を1
時 に実験 を開始 した。 その結 果
℃の水槽 で8 %以上 の正常形仔 魚 のふ 化率 が得 ら 2
0 1
れ,2
以上 の 3実験 を総 合 す る と, 正常形仔 魚 の得 られ た温 度 範 囲 は182.‑29 1.℃で あ り, ほぼ8 %0 以上 の
42.
正 常形 ふ 化仔 魚 が得 られ る温度 範囲 は2‑2℃ とい うこ とにな るO受精 か らふ 化 まで の所 要時 間 は水温
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℃ お よび22.
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‑226.℃で3 ‑30 5時 間 と推 定 され る。
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C.
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3 2
2cm
全 長3 程 度 の イシガキダイの雌 は まだ成熟 しない。
本実験 か ら, イ シガキ ダイは イ シダイ よ り成 長が速 )
て,熊井 ・中村2
2年で ほ とん どが成熟 す る と述 べ,雌 で は満 2年で い に も拘 らず,成熟 は満 5‑ 6年 か らと推 定 され るo 一部 が成 熟す る と述 べ て い る。筆者 らもイ シダイ を この原 因 は本種 の特性 で あ るの か, イ シガキ ダイ養 人工ふ 化 して 田辺湾 の網 い けすで飼 育 して い るが, 成上 の餌 料的要 因 か, あ るい は環 境 的要 因 かその起 成育 の速 い雌 は満 2年で, 大部分 の雌 は満 3年で成 因 す る ところが明 らかで をいo筆 者 らは, イ シガキ
48 近畿 大学 農学部紀 要
ダイの特性 に関す る ところが 多い と推察 して い るが, 今後 この点 につ いて検討 し, よ り若 い年令 で採 卵 す る研 究 が望 まれ る。
卵 を採 取 で きた期 間 は, 全実験 を通 じてみ る と, 5月17日か ら 7月 5日までで あるが, 多 くは 5月中 旬 か ら 6月下旬 までで あって,水温 は22‑24℃ を中 心 に,20‑27℃の範囲 にあ る と推察 された が, これ は イ シダイの産卵期 とほぼ‑一致 す る3)。
採 卵 につ いて は,搾 出法 と自然産卵法 とによった が,持 出法 は成熟 した推親 の 入手 が容 易で ない上 に, 熟卵 を得 る機会 が少 ないので,大量 の受精 卵 を得 る こ とは イ シ ダイ に比 べ て非常 に困難 で あ る と考 え ら れ る。 また, 自然産卵 につ いて福 所 ら3)は イ シ ダイ で平均 浮 上卵率81.7%と報 告 して お り,雌 1尾 当 り の産卵 数 につ いて も,魚 体 重 1,000‑2,0007の親 魚 の 産卵 数 を200万粒 と推 定 して い る。本 実験 において は, 親 魚 の収 容時期 が適 当で な く,未成魚 の親 魚 を用 い た り,雌 雄比 が適 当で ない等 の理 由 か ら, 1尾 当 り の採 卵量 は イ シ ダイに比 しは るか に少 をか った が, 自然 産卵 法 は搾 出法 よ り経 済 的 に大量 の卵 が採 取 さ れ る と思 われ る。 今後 は本種 の雌 のみ な らず ,雄 の 成 熟 につ いての検 討 が必要 で あ る。
ふ 化が環 境 条件 か ら受 け る影響 の大 きい こ とは, 他 の 多 くの魚種 につ いて知 られて い る。 この環 境 条 件 の 中で,通 常 の海水 中で は,水温 と比 重 が最 も大 きな要因で あ る と思 われ る。水温 の実験 か ら, ほぼ 70%以 上 の 正 常 ふ 化 率 が得 られた温 度 範 囲 は19‑
26℃で,80%以上 が得 られた温 度範 囲 は20‑24℃で あ った が,ふ 化時 間 と ともに,熊井 ・中村4)が イ シ ダイで行 なった実験 結 果 とほぼ一致 す るO比 重 に対 す る第1回実験 と第2回実験 の結 果 を比較 す る と, 第
1
回実験 の方 が全般 にふ 化率 が低 く, また,正 常 な 仔 魚 が得 られた比 重 の範 囲 は,第 1回で は20.0‑30.0 で あ った が, 第 2回で は16.0‑40.0で, 第 1回の 方 が狭 か った。 この よ うなこ とか ら, 第 1回実験 の卵 質 が, 第 2回実験 に劣 って いた と考 え られ る。 この よ うに卵 質 の如何 で比 重 か ら受 け る影響 は相違 が あ る もの と考 え られ る。 しか し, 第 1回,第 2回の実 験 を通 じ, 正常 ふ化率 の高 い比 重 はほぼ一 致 して おり,22.0‑28.0が最適 比 重 と考 え られ る。
塩 分 がふ 化 に及ぼす影響 につ いて は, イ シダイに 比 べ若干 の相違 点 が あ る。す なわ ち, イ シダイで は 桑 実期 以降 の卵 を低 比 重 の海 水 中 に収 容 した場 合 , 比 重5・0以上 で90%以上 のふ 化率 を得 た4)とい うが, イ シガキ ダイで は良質卵 を用 いた と思 われ る第
2
回 実験 において も,16.0‑20.0以上で か すれ ば高 いふ第12号 (1979)
化率 は得 られ なか った。 また,正 常ふ化率70%以上 が得 られ る海 水比 重 の下 限 は22.0前後 と推 定 され る こ とな どか ら, イ シガキ ダイは イ シダイ に比 べ て, 低比 重海水 のふ 化 に及ぼす悪影響 がは るか に大 きい
と考 え られ る。
Ⅴ 要 約
1.1963年 か ら1978年 まで毎 年紀伊 半島沿 岸で採 補 した イ シガキ ダイの稚 魚 を白浜 実験 場 で飼 いつ け て親 魚 まで養成 し,採 卵 と人 工ふ化の実験 を行 なった。
2.イ シガキ ダイの稚魚 を田辺湾 に設置 した網 い けす に収 容 し,小魚 を餌 料 と して飼育 した ところ, 6年後 には全 長40cm以上 ,体重2,000g以上 に成 長 し, 6‑ 9年魚 か ら卵 を採 取 し, 人工ふ 化す る こ とがで きた。
3.採 卵 は,1970年 か ら1978年 まで の 問 に搾 出法 と自然 産卵法 とを試 み,いず れ も卵 が採 取 されたが, 自然産卵 法 の方 が,容 易 に 多量 の卵 を採 取す る こ と がで きた。
4.産卵 は 5‑ 6札 水温 22‑24℃ を中心 に,20
‑27℃の 間で 行 なわれた。卵 は直径 1.0‑1.2m7nの浮 性 卵 で ,水温22.2‑22.6℃で は受精 後30‑35時 間で ふ 化 した。
5.水温 がふ化 に及 ぼす影響 を調べ る実験 の結 果 , 正常 射 子魚 がふ化 した水温 は18‑29℃で あった が, 80%以 上 の高率 で 正常 な仔 魚 がふ化 した水温 の範 囲
は20‑24℃で あ った。
6.海水 の比 重 がふ 化 に及ぼす影響 を調べ る実験 の結 果, 良 質卵 を用 いた実験 で は,正 常 射 子魚 がふ 化 した比 重 ( ・5o1)は1.‑ 0060 4.で あ り,708/川 上o の 高率 で ふ化仔 魚 が得 られ た比 重の範 囲 は,20.0‑
32.0で あった が,質 がやや劣 る卵 で の実験 と総合 す る と,ふ化 の最適 比 重 は22.0‑28.0で あ る と考 え ら れ る。
本 実験 を進 め るに当 り, 本学 水産研 究所 の教職員 諸氏 には,1963年以 来現 在 に至 るまで, 多年 に亘 り 供試魚 の飼 育管 理 と採 卵 人工ふ 化の業務 に尽 力 され ま した。 また, 本研 究所 か ら転 出 された タキ イ水産 セ ンター主任水野兼 八郎氏 お よび高知大 学助 教授 楳 田晋 氏 には, 在職 中供試魚 の飼育 に並 々 な らぬ御協 力 をい ただ きま した。白浜漁 業協 同組 合 の諸 氏 には, 飼育 海 面の使 用 につ いて御協 力 をいただ き,本学 水 産研 究所 の海水増殖 学専攻 学生 には,採 卵 ・ふ 化 ・ 飼 育 の実験 に種 々御協 力をいただ きま した。 上 記の 諸氏 に厚 くお礼 申 し上げます。
原 田 ・宮下 ・横 山 :養成 イ シガキ ダイか らの採 卵 ・人工ふ 化 49
(3)福所邦彦 ・神田高司 ・与賀 田稔 久 ・藤 田矢郎 :
引 用 文 献
長崎県水産試験場研究報告 1,35(1)阿部宗明:原色魚類検索図鑑