• 検索結果がありません。

佛教大學研究紀要 76号(19920314) L155渡辺千壽子「貧困の女性化について : アメリカの母子世帯を中心として」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "佛教大學研究紀要 76号(19920314) L155渡辺千壽子「貧困の女性化について : アメリカの母子世帯を中心として」"

Copied!
25
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

'貧 困 の女 性 化 につ い て

ア メ リカ の 母 子 世 帯 を 中 心 と して

千 壽 子

は じ め に 貧 困 の 女 性 化(feminizationofpoverty)と よば れ る 現 象 が ・ ア メ リカ の 貧 困 問 題 の 新 し い 特 徴 と し て 深 刻 化 し つ つ あ る 。 ア メ リカ の 貧 困 層 の 変 遷 と 変 質 くユラ を 象 徴 す る言 葉 と して,し ば しば用 い られ る 「貧 困 の女 性 化 」 とい う言 葉 は, 2つ の意 味 を もつ 。厳 密 な意 味 で は,そ れ は,自 己 の生 計 を維 持 し又 は被 扶 養 者 の生 活 を 支 え る立場 に あ る女 性 が,貧 困 者 の 大 多 数 を 占 め て き て い る とい う 事 実 を述 べ て い る。 ア メ リカ で は,こ れ は 明 白 な事 実 で あ り,女 性 を世 帯 主 と す る世 帯 は 貧 困世 帯 の過 半数 を 占 め,な か で も18歳 未 満 の 子 ど もを もつ 女性 世 くわ 帯 主 世 帯(以 下,母 子 世 帯 とす る)は 有 子 貧 困世 帯 の5分 の3を 占め る。 ア メ リカの 家 族 の 多様 化 の進 行 と女 性 ・児 童 の経 済 的 困窮 福 祉 依 存 との 関 連 は, 今 や 等 閑 視 で きぬ 問題 とな って い る。 また,よ り広 い観 点 か ら貧 困 の女 性 化 の 意 味 を考}xて み る こ と も重 要 であ る。 ス コ ッ ト(Scott)は,貧 困 の 女 性 化 に は,自 らが 独 立 生 計 維 持 者 の立 場 に なれ ば 貧 困 に陥 るで あ ろ う全 て の女 性 を 含 め る こ とを 提 唱 し,夫 の 被 扶 養者 とし て の立 場 を 失 い,家 計 支 持 者 と して独 立 せ ね ば な らな い状 況 にお か れ た場 合,自 分 と扶 養 家 族1人 の生 活 を支 え る こ と に な れ ば 労 働 年 齢 に あ る女 性 の うち3分 の2か ら4分 の3は 貧 困 に 陥 るだ ろ う と推 計 し 建。 近 年 は夫 婦 世 帯 に お い て も共働 きが 急増 し,2つ の賃 金 の 必 要 度 が 高 ま っ て い る とは い え,同 様 の 境 遇 に な って も貧 困 に 陥 る 男性 は は るか に 少 な い。 この こ とは,女 性 が一 家 の生 計 維 持 者 と して 男 性 の よ うに家 族 を 扶 養 し 難 い経 済 的 社 会 的 環 境,現 在 の社 会 構 造 を 反 映 して い るの で あ る。

(2)

佛教大學研究紀要通卷76號 伝 統 的 な貧 困 は,高 い失 業 率 や 経 済 変 動 とい っ た純 粋 な経 済 的 要 因 か ら生 じ くの る もの で あ った 。 しか し,貧 困 の女 性 化 は これ とは対 照 的 に,高 度産 業 化社 会 に共 通 してみ られ る家 族 の形 態 の 多 様 化,両 性 の経 済 力 お よび 役 割 の 変化 とい っ た複 雑 な関 係 に 起 因 す る もの で あ る。 高齢 者 の貧 困 も非 常 に 「女性 化 」 して き て い るが,こ こで は 労働 ・出産 年 齢 に あ る,子 ど もの い る女 性世 帯 主 に 中心 を お いて 貧 困 の 女 性 化 を分 析す る。 この理 由の 一 つ は,高 齢 女性 の経済的状態 は,家 庭 や 労働 市 場 で の そ れ ま で の経 歴 か ら主 と して派 生 す る と考 え られ るか らで あ る。 ま た,母 子 世 帯 の貧 困 は貧 困 児 童 の増 加 と密 接 に関 連 し,児 童 の 福 祉 に及 ぼす 影 響 は きわ め て大 き い。 児 童期 の貧 困 の拡 が りは,そ の直接的影 響 の み な らず,貧 困 階 層 な い し貧 困 文 化 の再 生 産 を もた ら しか ね ず ,重 大 な社 会 問題 とみ な され て い る。 貧 困 の女 性 化 に は 多様 な 背 景,要 因が 混 合 ・連 鎖 して お り,問 題 を扱 うに も 包 括 的 ア プ ロー チが 必 要 と され る。 しか し,小 論 で これ らを相 互 に関 連 させ つ つ 包 括的 に と りあ げ る こ とは不 可 能 で あ るの で,ア メ リカの母子世帯を とお し て,厂 貧 困 の女 性 化 」 現 象 とそ の深 刻 化及 び 当面 して い る 問題 の一 端 を 考xて み た い。 以 下 で は,先 ず ア メ リカに お け る母 子世 帯 の増 加 とそ の貧 困 の 現 状 を 検 証 し,次 に貧 困 の 女 性 化 の 理 由 を考 察 す る。 第 三 に,ア メ リカに お い て この 現 象 を 拡 大 させ て い る諸 要 因 を検 討 し,最 後 に,高 度産 業 化社 会 に共 通 す る貧 困 の 女 性 化 の基 底 に あ る 問題 に つ い て若 干 の 分 析 を試 み る。 1ア メ リ カに お け る母 子 世 帯 と貧 困 1母 子 世 帯 の 増 加 と その 要 因 貧 困 の 女 性 化 の拡 大 は,女 性 世 帯主 世 帯 の増 加 と密 接 に 結 び つ い て い る。 か つ て 貧 困 層 の大 部 分 を 占 め て い た貧 困男 性 に とって 代 って,女 性世帯主世帯が 貧 困 者 の 間 で圧 倒 的 多 数 に な り,現 代 ア メ リカの貧 困 の大 きな特 微 とな って き た の で あ る。1987年 に は1千 万 以 上 の 女 性 世 帯主 世 帯 が あ り,こ れ は1960年 以 くあ 後 ほ ぼ6百 万 の増 加 で あ る。 この中 に は 高齢 女性 が 世 帯 主 であ る世 帯 や,子 もの な い若 年 女 性 世 帯 主 も含 ん で い るが,以 下 の分 析 で は18歳 未 満 の子 ど もを 一156一

(3)

もつ 母 子 世 帯 に 中 心 を お く。 また,他 の世 帯 の下 位 家 族 として 生 活 して い る母 子 を 除 外 し,独 立 の世 帯 を 維 持 して い る ものだ け を と (s) りあ げ る。 母 子 世 帯 数 は1960年 の 190万 か ら1987年 に は510万 世 帯 に増x,有 子 世 帯 に 占 め る比 率 は7.4%か ら19.7 %に 上 昇 し,5世 帯 に約1 世 帯 を 占 め る よ うに な った (表1)。 毎 子 世 帯 の増 加 貧 困の 女性 化 に つ い て 表1L有 子 世 帯 に 占め る母 子 世 帯 の比 率 1960-1987年(単 位:%) 人種 別 年 白 人

黒 譖

ヒ スパ ニ ツ ク 総 計 1960年 6.0 21.3 一 7.4 1965 7.3 25.2 一 9.2 1970 7.8 30.6 一 10.2 1975 11.4 39.8 一 14.7 ・:1 13.4 46.9 22.0 17.5 1985 15.0 49.9 24.7 19.3 ':・ 15.5 .; 25.5 19.7 注:1970年 以 前 は,人 種 別 は 白 人 と 非 白 人 の2分 類 で あ っ た 。 そ し て,非 白 人 の 中 に は,黒 人 の ほ か,他 の 人 種 的 少 数 民 族 も 含 ま れ て い た 。 出 所:Goldberg,G.S.,&Kremen,E.(eds・),Femini-nationofpoverty,NewYork,Preager,1990, p.37. 率 は1960年 代 に は37.8%,1970年 代 に は72.5%で あ り,1980年 代 の7年 間 に は 11.9%上 昇 した 。 近年 は,増 加 率 の 伸 び は 鈍 って きて い るが,な お 上 昇 傾 向は つ づ い て い る。 人 種 別 で は,母 子 世 帯 の比 率 は 黒 人 が 白人 の3倍 多 く,母 子 世 帯 期 間 も長 期 に わ た る。 ま た,母 子 世 帯 の数 と割 合 の増 加 に加}て,婚 姻 上 の 地 位 に も著 しい変 化 が あ った(表2)。 死 別 母 子 世帯 は1960隼 以 降,母 子 世 帯 に 占 め る比 率 の み な ら ず 実 数 に お い て も下 降 し,1960年 代 の約3分 の1か ら,1987年 に は7.5%に 低 表2婚 姻 上 の地 位 別18歳 未 満児 の い る母 子 世帯1960-1987年 C%) 婚姻上の 地 位 未 婚 離 婚/別 居 死 別

196019701975198019851987 196019701975198019851987 196019701975198019851987 全 人 種 4.48.011.716.422.125.1 63.669.970.571.168.967.4 32.022.117.812.59.97.5 白 人 1.93.35.88.411.614.8 63.371.574.477.178.877.4 34.825.119.913.99.57.9 (注) 黒 人 11.518.724.732.743.846.6 64.466.061.657.949.346.8 24.115.613.79.36.96.6 ヒスパニ ック 一 一 一23 .123.427.8 一 一 一66 .868.765.8 一 一 一9 .97.96.4 注:表1に 同 じ。 出 所:Ibid.,p.39.

(4)

佛教大學研究紀要 通卷76號 下 した。 一 方,未 婚 の母 は1960年 以 後5.7倍 に 上 昇 した。 現 在,無 配偶 の母 の ・4人に1人 は未 婚 で あ り,独 立 世 帯 を構7i..ていな い 者 も含 め れ ば,そ の数 は さ らに増 加 す る6 母 子 世 帯 の 急速 な増 加 は,離 婚率 の上 昇 と婚 姻 率 の 低 下,な らび に婚 姻外 出 産 に よる児 童 数 の増 加 に 関 連 し て い る。 既 婚 夫 婦1,000組 に対 す る離 婚 率 は (7) 1986年 で21.2,白 人 対 黒 人 の比 率 で は ほ ぼ1対2の 比 率 で あ る。 現 在 の離 婚 率 が 続 け ば,1980年 代 の全 婚 姻 の うち半 数 以 上 が 離 婚 に終 わ り,全 児 童 の半 数 以 上 が18歳 に な る迄 に,一 度 は母 子 世 帯 で 生 活 す る こ とに な る だ ろ う と推 計 され て い る。 未 婚 率 お よび 婚 姻 外 出産 率 の増 加 も,母 子 世 帯 の 増 加 と 関連 して い る。1987年 に は非 嫡 出 子 は4人 に1人 の 割 合 で あ る 。 こ の 率 は特 に 黒 人 で 高 く,白 人 で は約6人 に1人 で あ るの に 対 し,黒 人 で は10人 中6人 余 が婚 姻 外 で 生 ま れ て い る(表3)。 この よ うに 黒人 と白人 で は,母 子 世 帯 の形成 要 因 に差 が あ り,白 人 で は 離 婚 が 主 な要 因 で あ る の に対 し,黒 人 で は未 婚 お よび婚 姻外 出産 の増 加 が 主 要 因 とい}る 。 表3婚 姻外出産率の推 移1960-1986年 i 年 1960 1970 ・i1 1985 1986 婚 姻 外 出 産 率 (全出産につ きの%) 総 計 白 人 黒 天年) 5.3 2.3 21.6 10.7 5.7 37.6 18.4 11.0 55.2 22.0 14.5 60.1 23.4 15.7 61.2 未 婚 女1生1,000人 当 り婚 姻 外 出 産 率 (%o) 総 計 白 人 黒 天注) 21.6 9.2 98.3 2.6.4 13.8 95.5 29.4 17.6 81.4 32.8 21.8 78.8 34.2 23.0 :1・ 注:そ の 他 の 非 白 人 人 種 集 団 も 含 む 。 出 所:Reischauer,R.D.,"TheWelfareReformLegislation,"inCottingham,P.H. &EIIwood,D.T.(eds.),WelfarePolicyinヱ990s,HarvardUniveresity Press,1986,p.16よ り 作 成 。 母 子 世 帯 増 加 の 原 因 につ いて は,多 く の 論 者 が 幾 つ か の 仮 説 を あ げ て い る が,そ の主 要 な も の に は以 下 の も の が あ る。 マ レー(Murray)や ギル ダ ー   ラ (Gilder)は,母 子 世 帯 に対 す る公 的 扶 助 の受 給 可 能 性 や福 祉 給 付 金 の 増 加 が, 母 子 世 帯 の増 加 を導 い た とい う見解 の主 な代 表 者 で あ る。 この 見解 に は他 の研 一158一

(5)

貧 困 の女 性 化 につ い て 究 者 に よ る 批 判 も 多 い 。 た と え ば,グ リ ー ン ス タ イ ン(Greenstein)は,1970 年 代 中 頃 以 降,福 祉 給 付 の 実 質 的 価 値 は か な り低 下 し た に も か か わ らず 母 子 世 (9) 帯 が 増 加 し つ づ け て き た こ と を 指 摘 し,エ ル ウ ッ ド(EIlwood)は,AFDC

(「要 扶 養 児 童 家 族 扶 助 」AidtoFamilieswithDependentChildren:AFDC) の 支 給 額 が 最 低 の 州 で 女 性 世 帯 主 世 帯 の 児 童 の 割 合 が 最 も 高 い こ と が 散 見 さ ロり れ,単 親 で あ る こ と と福 祉 給 付 金 の増 加 とは 関 係 が な い と主 張 した 。 そ の う}x 1972年 か ら1984年 の 間 に,AFDC受 給 黒人 児 童 数 は15%低 下 した が,母 子 世 ゆ 帯 に 生 活 す る黒 人 児 童 数 は25%以 上 も増 加 した こ とを あ げ て い る。 また,母 子世 帯 数 の増 加 は女 性 が 独 立 した 世 帯 を構}xる 傾 向 とも関 連 し てい る。 ガ ー フ ィ ン ケル(Garfinkel)と マ ク ラナ ハ ン(McLanahan)は,子 ど も の い る無 配 偶 女 性 が独 立 の生 活 準 備 を 整xる 傾 向 が母 子世 帯 数 増 加 の一 因 を な なの す と述 べ て い る。 ウ ィル ソ ン(Wilson)は,黒 人 の 間 に 無 配 偶 や 未婚 の親 の率 が 高 いの は,高 率 の 失 業 とそ の結 果 と して の 「結 婚 可能 な」(就 労 して い る)男 性 の減 少 等 の ロの 経 済 的 不 利 の結 果 と考 え る。 しか し,黒 人 男 性 の 「結 婚 可 能 性 」 論 は,低 所 得 の 黒 人 男 性 が結 婚 しな い か又 は 結 婚生 活 の継 続 を期 し難 い理 由を 説 明 して い る か も しれ な いが,黒 人 女 性 の間 の 失 業 や不 完 全 雇用 を考 慮 に入 れ て いな い。 教 育 水 準 が 低 く,雇 用 機 会 が 限 られ て い る た め,よ り安 定 した 社 会 的 に 承 認 され る 役 割 実 現 の手 段 に乏 しい 若 い 黒人 女性 に とっ て,母 親 にな る こ とは 最 も 価 値 を お か れ る可 能 性 を もつ とい うブ レイ ク ら(Blake&delPinal)の 調 査 お 結 果 もあ る。 未 婚 の母 にな る理 由が 何 で あ払 .失 業や低賃金は若 い黒人 女性に とっ て深 刻 な問 題 で あ り,貧 困 を 回避 す るた め に は二 つ の 賃 金 を 必要 とす る家 族 に お け る婚 姻 関 係 の不 安 定 さの源 とも い}る 問 題 であ る。 これ に 関連 して, 黒 人 や ヒス パ ニ ッ ク系 の夫 婦 の 間 で は妻 の就 労 は貧 困 の減 少 に寄 与 し,婚 姻 の ロの 安 定 性 に プ ラス の結 果 を もた らす とい う調 査 結 果 もあ る。 白人 母 子 世 帯 の大 多 数 は 離婚 ま た は別 居 に よる も ので あ る。離 婚率 の上 昇 は 女 性 の経 済 的 自立 等,産 業 化 の 進展 に 関連 す る要 素 が あ る。 白人 女 性 の 間 で は,妻 の就 労 の 増 加 は 女 性 の 自立 性 の高 ま り と伝 統 的 な 性 別 役割 分 担 に対 す る 批 判 的 意 識 の 成 熟 を 促 し,家 庭 内 で の性 別 役 割 に つ い て伝 統 的 考 え を もつ 夫 婦

(6)

佛歡大 學研究紀要通卷76號 ロの に は ネ ガ テ ィヴ な結 果 を もた らす こ とが 多 い とされ る。 黒 人 の 場 合 と相 反 す る よ うな結 果 は,経 済 的 理 由か ら妻 の就 労 が 必 要 不 可 欠 で あ った 黒 人夫 婦 に は, そ う した 伝 統 的 価 値 観 を もつ もの が少 な い こ とに よ る と思 わ れ る。 また,十 代 の若 者 の 妊 娠 ・出 産 の 上昇 も母 子 世 帯 の 増 加 に 強 く影 響 して い る。 と くに,十 代 未 婚 女 性 の望 ま ざる妊 娠 ・出産 に よる単 親 は,全 国的 で ユ ニ バ ーサ ル な健 康 保 険 制 度 の ない こ とや,貧 しい十 代 の 若 者 へ の 産 児 制限 サ ー ビ ロみ メ の対 応 の 不 備 に 関連 を もつ 。 そ の影 響 を 最 も受 け る これ らの 若 者 層 の 聞 に, 未 婚 の母 が 急 増 して い る。 母 子 世 帯 形成 の理 由 は 複 雜 で あ り,対 象 とす る階 層,人 種 そ の他 に よ り種 々 の仮 説 が 可 能 で あ るが,こ れ ら母 子世 帯 が 問 題 とな るの は,貧 困 の 女性 化 の原 因 と直 結 し てい るか らで あ る。 2貧 困 の 「女 性 化 」 の 拡 が り 連 邦政 府 の公式 の貧 困 基 準 は,毎 年,連 邦 社 会 保 障 庁 が 最 低 限 度 の衣 ・食 ・ 住 ・医療 サ ー ビス を 得 るの に 必要 な所 得 に つ い て,家 族 規 模,世 帯主 の年 齢, 表44人 世 帯 の所 得 中位 値 と比 較 した 貧 困 線1959-1986年 非農業4人 世帯 世 帯 所 得 の 世 帯 所 得 中 消 費 者 物 価 API-X10 年 の貧困線① 中 位 値 ② に対す る貧困線の割合 指 数(1967年=100) (1967年=100) (1) (2) (3) (4) (5) ドル ドル 1959 2,973 5>417 .55 87.3 87.3 1965 3,223 6,957 .46 94.5 94.5 ・ ・: 3,553 8,632 .41 104.2 103.7 1973 4,540 12,051 .38 133.1 129.7 1979 7,412 19,587 .38 217.7 203.6 1985 10>989 27,735 .40 322.7 293.1 ・:. 11,203 29,458 .38 328.4 298.3 注:① 農 業 ・非 農 業 の 区 別 は,1981年 に 除 去 さ れ た 。 ② 親 族 で な い 者 は こ の 中 位 値 に は 含 ま れ な い 。 ③1981年 以 後 の 消 費 者 物 価 指 数(持 家 費 用 よ りむ し ろ 家 賃 を く み 入 れ た も の) が,1965年 か ら 実 施 さ れ て い た と した 場 合 の 物 価 変 動 を 示 して い る 。 出 所:Danziger,S.,FightingPovertyandReducingWelfareDependency,in Cottingham,P.H.,&D.T.Ellwood,op,cit.,p.64. 一160一

(7)

貧困の女性化について 18歳 未 満 の 児 童 数 に 合 わ せ て算 定 してお り,こ れ を 所 得 の貧 困基 準,貧 困線 と 呼 ん で い る(1981年 まで は,こ の基 準 には 世 帯 主 の 性 別 お よび農 業 ・非 農 業 世 帯 別 を考 慮 に 入 れ て い た)。 こ の貧 困 基 準 は1965年 以 来 同 じま ま で,物 価 変 動 を反 映 して 改 訂 され て い るにす ぎ な い。1965年 に4人 世 帯 の貧 困線 は,4人 世 帯 の所 得 中 位値 の 約半 分 で あ っ たが,1986年 には そ の38%に 低 下 した(表4)。 1950年 以降,女 性 の 労働 力率 は急 上 昇 した に もか か わ らず,女 性 とそ の家 族 の貧 困化 は 顕 著 で あ る。1987年 には,母 子 世 帯 の46.1%が 貧 困 であ った 。 また 1960年 に は 母 子 世 帯 の 貧 困 率 は両 親 世 帯 のそ れ の3.6倍 であ っ た が,1987年 に は5.6倍 に な っ て い る(表5)。 表5世 帯 類型 ・子 ども の有 無 別貧 困 率1960-1987年 (%) 年 全 世 帯 婚姻夫婦世帯 男性世帯主 妻な し 婚姻夫婦世帯 男性世帯主① 女性世 帯主 夫 な し 全 1960 18.1 一 一 15.4 42.4 世 1970 10.1 一 一 7.2 32.5 1980 10.3 6.2 11.0 6.3 32.7 帯 1987 10.3 6.0 12.5 6.3 34.3 有 1960 19.7 冖 冖 15.7 56.3 子 1970 11.6 一 一 1・ 世 ・:1 14.7 7.7 18.0 8.9 42.9 帯 1987 16.2 7.8 17.6 8.3 46.1 注:①1972年 以 前 は,デ ー タ は 全 世 帯 と母 子 世 帯 に 関 して の み 入 手 可 能 で あ っ た 。 残 りの 世 帯 は,夫 婦 世 帯(大 部 分),又 は 妻 の い な い 男 性 世 帯 主 世 帯 で あ る と 推 計 さ れ る 。 出 所:U.S.BureauoftheCensus,PovertyintheUnitedStates:1987,Current PopulationReports,SeriesP-60,No.163.,U.S.GovernmentPrintingOffice, 1989,p.11. `母 子 世 帯 の貧 困 の一因 として低賃金 とただ一つ の賃金収入 しかない ことが考 え られ るが,表6の 二 組 み の比 較 は この影 響 を 実 証 して い る。 上 部 は世 帯類 型 と世 帯主 の性 別 及 び 人 種,下 部 は配 偶 関 係,性 別 及 び 親 の 就 労 状 態 に 中心 を お い て い る。 母 子 世 帯 の貧 困 率 は,父 子 世 帯 の そ れ の約2.6倍 で あ り,ほ ぼ 同程 度 の差(2.3倍)が 母 親 の就 労 して い る母 子世 帯 と両 親 の うち1人(orに は 父 親)が 就 労 して い る世 帯 との 間 に み ら れ る。 共 働 き世 帯 は最 も貧 困率 が 低

(8)

佛教大學研究紀要通卷76號 く,こ れ と比 べ る と母 子世 帯 の貧 困 率 は8.5倍 であ る。 少 数 民 族 の 女 性 の貧 困 率 は,白 人 女 性 と比 較 して も高 い 。 しか し女 性 世 帯 主 及 び 母 子 世 帯 主 は 人種 ・ 出 身 地域 や立 場 を 同 じ くす る男 性 の 貧 困率 の2倍 以上 で あ る。 さ らに,こ の 関 係 は 女 性世 帯主 世 帯 と婚 姻夫 婦 世 帯 の 貧 困率 を比 較 す る と一 層 明瞭 で あ る。 た とえば 黒 人 の 問 で は,黒 人 母 子 世 帯 の 貧 困率 は 黒 人 の両 親 世 帯 のそ れ の 約5倍 で あ る。 これ らの デ ー タ は,少 数 民 族 女 性 の二 重 の不 利 を考 慮 す る必 要 性 を示 して い る。 表6世 帯 類 型 別 ・人 種 及 び ヒスパ ニ ッ ク系 別 貧 困 率1987年 C%) 世帯類型 子 ども 種 の有無 (1) 女 性 世 帯 主 (z) 男 性 世 帯 主 (3) 婚 姻 夫 婦 白人 黒人 ニ ッ クヒスパ 全体 白人 黒 人 ニ ッ クヒスパ 全体 白人 黒人 ヒ スパニ ッ ク 全体 有子 ・無子 世 帯 有子世帯 26.7 38.7 51.8 59.5 51.8 60.7 34.3 46.1 10.3 15.1 24.3 29.6 15.7 一 12.5 17.6 5.2 7.D 12.3 12.3 18.1 一 6.0 7.8 無配偶の母親 無配偶の父親 婚姻夫婦世帯 就 業 者 無配偶の母親 夫 又 は妻 のい ず れ か 夫婦共働 き 貧 困 率 46.1 17.6 7.8 33.1 14.7 3.9 出所:Ibid.,pp.11-14,88,90. 1960年 以 降,離 婚 率 や 婚 姻 外 出産 率 の上 昇 に つ れ て,生 計 維 持 者 と して家 族 を扶 養 せ ね ば な らな い立 場 に お か れ る女 性 の数 ・比 率 が 増 し,高 い貧 困率 を も つ 層 が 数 の 上 で2倍 以 上 にな った 。夫 婦 世 帯 の貧 困率 は1987年 に は1960年 の半 分 以 下 の率 に 低 下 した が,こ れ と対 照 的 に子 ど も の有 無 を 問 わ ず 女 性世 帯主 世 帯 で は,貧 困 率 の低 下 は20%未 満(表5)で あ り,1980年 以 後 は 女 性世 帯主 世 帯 の増 加 速 度 は落 ち て きて い るが,そ の貧 困率 は上 昇 を示 して い るの で あ る。 貧 困 の女 性 化 の顕 著 な現 象 は,1970年 代 半 ば に は じめ て認 め られ る(表7)。 1975年 には 女 性 世 帯 主 世 帯 は 貧 困 世 帯 の約45%を 占 め,母 子 世 帯 は 有 子貧 困世 帯 の過 半 数 を 占 め て い た。 さ らに1987年 に は 前 者 は貧 困 世 帯 の51.5%を 構 成 し,後 者 は 有 子 貧 困 世 帯 の60%を 占 め る に至 っ て い る。 一16z一

(9)

貧困の女性化につ いて 表7子 ど も の有 無 別,全 貧 困世 帯 に 占め る女 性 世 帯 主 世帯 の数 と割 合1960-1987年 (単位:1,000) 年 全 貧 困 世 帯 数 貧困女性世帯主世帯数 女性 世帯 主世 帯 の割合(%) 有 子 1960 1965 8,243 6,721 1,955 1,916 23.7 28.5 ■ 1970 5,260 1,952 37.1 無 1975 5,450 2,430 44.6 子 1980 6,217 2,972 47.8 世 1985 7,223 3,474 48.1 丗 冊 1987 7,059 3,636 51.5 1960 5,328 1,476 27.7 有 1965 4,379 1,499 34.2 子 1970 3,491 1,680 48.1 1975 4,172 2,252 54.0 世 1980 4,822 2,703 56.1 帯 1985 5,586 3,131 56.1 1987 5,516 3,296 60.0 出 所:Ibid.,p.11.

H貧

困の女性化の理由

母子世帯を中心に

貧 困 の女 性 化 は,女 性 世 帯主 世 帯 の増 加 と平 行 して拡 大 して きた ので あ り2 な か で もユ8歳未 満 の 子 ど もの い る母 子 世 帯 は 貧 困 者 の 中 の 顕 著 な存 在 とな っ た。 この主 要 な 理 由 と して 次 の三 つ が あ げ られ る。第 一 に,生 別 母 子 世 帯 が 急 増 して い るが,非 監 護 親 か らの養 育 費 が 不 十 分 で あ る こ と,第 二 に,女 性 が 受 け とる賃 金 が 相 対 的 に 低 く,就 労 して も貧 困 を 免 れ 得 な い こ と,第 三 に,公 的 な所 得移 転 プ ログ ラ ムが 母 子世 帯 の貧 困 か らの脱 却 に有 効 で な い こ とで あ る。 ・ 以 下,そ の各kに つ い て 検 討 す る 。 1生 別 母 子 世 帯 の 急 増 と不 十 分 な 養 育 費 両 親 揃 って い る世 帯 にお いて は,当 然,貧 困状 態 に性 差 は ない 。 なぜ な ら, 家族員の各収入 は共 同管理下におかれ,家 族員は共通 ρ躰産を共有す る傾 向に あ るか らで あ る。 親 が別 居 し て も,同 居 して い た時 と同 じ稼 得 を 得 て い る限

(10)

佛教大學研究紀要通卷76號 り,家 族 員i人 当 りの平 均 所 得 は 同 じで あ る。 に もか か わ らず,次 の こ との 結 果 と して経 済 的 困難 が 生 じる。 第 一 に,所 定 の生 活 水準 を達 成 す る費 用 は,一 一 世 帯 で生 活 す る よ りも,世 帯 分 離 す る と高 くつ く。 第二 に,非 監 護 親(ほ とん どが 父 親)の 所 得 は,通 常,監 護 親 の所 得 よ り高 い。 第 三 に,非 監 護 親 の 労働 意 欲 を 保 持 させ る必 要 が あ るた め,養 育 費裁 定 は生 活水 準 を均 等 化 す る作用 を 制 限 す る こ とが 挙 げ られ る。 ロロ 図1は これ を 説 明 し て い る。1年 に父 親 が12,500ド ル,母 親 が5,500ド ル (1986年 の 男 女 の 所 得 中 位値 の約75%)を 稼 く・2子 の い る夫 婦 の 場 合 を 考 え る。単 一 の単 位 と して この世 帯 の 所 得 は18,000ド ル で,4人 家族 の貧 困線 の 1.64倍 に 相 当 す る。 夫 が 妻 と2子 を残 して そ の 世 帯 か ら去 った場 合,両 世 帯 を 貧 困線 を64%上 回 る水 準 に到 達 させ る た め に 必 要 な 所 得 は約27,000ド ル に な る。 したが っ て,親 の所 得が 増 加 す る場 合 に の み,こ の2世 帯 は生 活 水 準 の 低 下 を 回避 で き る。 児 童 養 育 費 の支 払 い に よ り,世 帯分 離 に よる損 失 を均 等 化 す る こ とは 困難 で あ る。 養 育 費 の支 払 い が 全 くな け れ ば,父 親 の生 活 水 準 は貧 困 線 の2.33倍 に 上 年間世帯所得(ドル) 匚=1共 同の所得 囮 母子世帯 匚:コ 父親 のみ 11,337 両 親 世 帯 養 育 費 な し 児 童 養 育 費 あ り 完 全 な 配 分 図1と り う る配 分 パ タ ー ソ の 下 で の 世 帯 所 得 出 所:Lerman・R・1・,`℃hildSupPortPolicies,"inCottingham,P.H.,& D.T.Ellwood,op,cit.,p,222. 一164一

(11)

貧困の女性化について 昇 す るが,他 方,母 親 と2子 のそ れ は貧 困 線 の60%に お ち こむ 。 父 親 が 彼 の 所 得 の25%を 養 育費 に支 払 う とす る と,母 親 と2子 は貧 困 線 の95%で 生 活 す るに 足 る所 得 を 有 し,父 親 の所 得 は貧 困 線 を75%上 回 る生 活 を維 持 で きる。2世 帯 の生 活 水 準 を 均 等 化す るに は,父 親 はそ の所 得 の47%を 母 子 に支 払 い,手 許 に 6,663ド ル 残 す と,両 世 帯 は貧 困 線 を24%上 回 る生 活 を維 持 で き る。 だ が,実 際 には,こ の程 度 の年 収 の父 親 に対 して,裁 判 所 が この よ うな多 額 の養 育費 支 払 いを 命 じ る こ とは 稀 で あ る。 また,仮 りに そ うした として も,そ れ は逆 効 果 を生 む 可 能 性 が あ る。47%の 児 童 養 育 費,15%の 連 邦 所 得 税7% の社 会 保 障 税 は,69%の 限 界 税 率 に 累積 し,父 親 の虚 偽 の所 得 申告 や 養 育費 支 払 い不 履 行 を招 きか ね な い。 さ らに,根 本 的 な問 題 と して,家 族 崩 壊 は,父 親 が 子 ど も の た め の消 費 に費 や す 金 銭 を,養 育費 履 行 命 令 に よ り強 制 され る一種 の税 とし て 作用 さ せ,父 親 に(子 に も)満 足 感 を もた らす 力 を失 うので あ る。 した が っ て,家 族 崩 壊 は規 模 の経 済 の観 点 か らそ の世 帯 に損 失 を 負 わ せ るば か りで な く,そ の損 失 の分 布 が 均 等 で な いか,ま た は 多額 の養 育 費 支 払 い義 務 が 非 監 護 親 の 労働 意欲 を 阻 害す るか の ど ち らか で あ る。 こ う した 意 味 で,離 婚 率 の上 昇 と婚 姻 外 出産 の増 加 は 貧 困 の 女性 化 に 明確 な 関連 を もつ 。 離 婚 に よ って 母 子 世 帯 の所 得 は大 き く低 下 す る。 ダ ンカ ン(Dun・ aw can)ら に よる と,婚 姻崩 壊 後1年 間 に再 婚 しな か った 女 性 と子 ど もの世 帯 所 得 は,そ の 前 年 の70%に 低 下 し,5年 後 で も71%と ほ とん ど停 滞 して い る。 離 婚 に よ り特 に深 刻 な 打 撃 を うけ るの は 黒人 女 性 であ り,そ の所 得 は婚 姻時 の54 %に 低 下 し て い る。 親 が 共 に 生 活 せ ず,所 得 を 共 同利 用 す る こ とを選 ぽ な い とき,そ の 経済 的 負 担 は しば しば監 護 親 とそ の子 に 不 公 平 に 課 せ られ る。 未 婚 の母 の平 均 世 帯収 入 は,不 在 の 父 の世 帯 収 入 の半 分 にす ぎな い 。21∼29歳 の未 婚 の母 の貧 困 率 は約 60%で あ る が,同 年 齢 層 の不 在 の父 の貧 困 率 は 約25%で あ る。 離 婚 した 親 の 間 で は一 層 顕 著 な差 が あ り,そ の貧 困 率 は母 親 の50%以 上 に及 ぶ が,父 親 のそ れ にゆ は12%に と ど ま る。 そ れ故,と くに低 所 得 の 母 子 世 帯 で は,養 育 費履 行 強 制 制 度 が 子 ど も の養 育 費 負担 の 不公 平 を どの程 度 軽 減 し得 る こ とに 成 功す る か は重 要 で あ る。

(12)

佛教大學研究紀要 通卷76號 さて,理 屈 の上 で は,離 婚 ・別 居 に 際 して 非 監 護 親 か ら児 童 養 育 費 が 支 払 わ れ るの が 当然 の よ うに考axら れ るが,実 際 に は,た とえ ば1986年 に児 童 養 育 費 を 受 け て い る の は61%だ け であ り,養 育 費裁 定 を うけ た全 母 親 の半 数 近 くしか   養 育費 の全 額 を受 け と って いな い 。 白 人 の 父 親 の40%,黒 人 の父 親 の19%だ け    が,養 育 費 を 支 払 っ て い る と概 算 され る 。未 婚 の母 の場 合,養 育 費 を 得 るた め ゆの の第 一 ス テ ップで あ る父 親 の 認 知 さxも,4分 の1足 らず しか 受 け て い な い。 養 育 費 の給 与 か らの天 引 きや,徴 収 ・裁 定 の厳 格 化,父 親 認 知 手続 きの法 律 化 等 を盛 り こんだ1984年 の 養 育費 履 行 強 制 制 度 の 改 正 及 び1988年 の 家 族 援 助 法 (ChildSupportEnforcementAmendmentsof1984;FamilySupportAct of1988)の 効 果 は,貧 しい 多 くの 父 親 の支 払 能 力 の な さや 養 育 費 徴 収 機 関 の 人 手 不足 等 に よ って,実 効 の ほ どは限 られ た も の に な りか ね な い。1988年 法 は 数 年 間 か け て段 階 的 に 導 入 され る の で,そ の効 果 の ほ どは 今後 に待 たね ば な ら ず,容 易 に判 断 で きな い し,ま た実 施 責 任 は州 にあ るの で州 間格 差 も大 き い も の と思わ れ る。 しか し,た とえば ニ ュ ー ヨ ー ク州 の2地 方 で は88年 法 施 行 後 の 養 育費 支 払 い履 行 強 制 の結 果 を 分 析 し,こ れ はAFDCを 受 給 して いな い世 帯 に は役 立 っ て い るが,貧 困世 帯 の生 活 向 上 に は ほ とん ど効 果 を 及 ぼ して い な い こ と,児 童 養 育 費 支 払 いだ け で は平 均 的母 親 にAFDC受 給 を 不 要 と させ るに ゆロ 不 十 分 で あ り,AFDC受 給 世 帯 の貧 困克 服 に は成 功 して い な い と報 告 して い る。 2女 性 の 低 賃 金 と不 安 定 雇用 ・失 業 1960年 以 後,多 数 の ア メ リカ女 性 が 労 働 市 場 に参 加 した が,そ め多 くに とっ て 賃 金 労働 は経 済 的 自立 を意 味 しなか った 。 今 日,大 半 の女 性 が 働 い て い る に もか かわ らず,多 くは貧 困 を免 れ るに足 る賃 金 を 得 て い な い。 18歳 未 満 の子 どもを もつ 女 性 の 労 働 力 率 は1987年 で65.6%,う ち 無 配 偶 の母 親 の労 働 力率 は69.2%,有 配 偶 の母 親 で は63.2%で あ る。6歳 未満 児 の い る母 親 の半 数 以 上(死 別 ・未 婚 を 除 い て)が 働 い て い る。 配 偶 関 係 別母 親 の 労働 力 率 は表8の 通 りで あ る。 女 性 の 労 働 供 給 に影 響 を 及 ぼす 要 因 は,女 性 のお か れ て い る社 会 的,経 済 的 一166一

(13)

貧 困 の 女性 化 に りい て 表8配 偶 関係 別 ・末 子 の年 齢 区分 別 母親 の労 働 力率1960-1987年(%) 配偶関 年 係漁 年齢区分 1960 1970 ・:1 ・:. 1987 0 0 全 母 親 30.4 52.9 56.6 62,8 64.7 6歳 未満 18.6 30.3 45.0 53.4 ・ 有 配 偶 末子6歳 以上 39.0 49.2 ・ .: 70.6 6歳 未満 一 45.4 52.2 57.4 55.1 別 居 末子6歳 以上 一 ● ・1・ 66.6 70.6 72.6 盤 'b、 、 6歳 未満 冖 63.3 .: 73.8 70.5 離 婚 末子6歳 以上 一 82.4 82.3 ., ., 配 6歳 未満 一 n,a, 44.1 47.5 ,.. 未 婚 末子6歳 以上 一 n,a, 67.6 65.9 64.1 偶 6歳 未満 一 36.8 44.7 46.4 38.5 死 別 末子6歳 以上 一 55.3 60.7 57.5 60.1 注:① 未 婚 の 女 性 を 除 く 。 出 所:Reischauer,R.D.,"TheWelfareReformLegislation:Directionsforthe Future,"Cottingham&Ellwood(eds.),op,cit.,p.17. 状 態 に関 連 して 多様 で あ る。 しか し,主 と して貧 困 女性 に 関す る議 論 にお い て は,働 く女 性 の 約3分 の2は,死 別,離 婚,別 居,未 婚 或 い は夫 の所 得 が 年 間   15,000ド ル 未 満 で あ る とい う労 働 省 婦 人 局 の推 計 に 注 目 した い。 女 性 は依 然, 補 助 的 労 働 者 とみ られ て い るが,そ の賃 金 は本 人 とそ の 家 族 に と って最 も重 要 な の で あ る。 女 性 の 仕 事 と して 製 造 業 よ りも雇用 機 会 の開 か れ て い るサ ー ビス産 業 の仕 事 は,戦 後 め ざ ま し く成 長 した。1970年 か ら1984年 の期 間 に は サ ー ビス産 業 にお け る 雇用 の増 加,中 で も著 し く低 賃金 のサ ー ビス 業(小 売 業 や個 人 業)が 多 く の 女 性 労 働 者 を雇 用 した の で あ った 。 1987年 に は女 性 労 働 者 の27%が パ ー トタ イ ム で雇 用 され て いた 。 が,こ れ は 臨 時 の ゜一 トや2つ のパ ー トタ イA職 を もつ人kの 実 数 を除 いて い るの で,女 性 のパ ー トタ イ マ ー比 率 は実 際 に は これ 以上 に な る。 幼 い子 ども のい る母 親 の 就 業 率 が 急速 に高 ま っ て は い るが,労 働 時 間 に制 約 の あ る こ とも多 く,多 数 の 女 性 を 雇 用 したサ ー ビス産 業 で は,パ ー トタ イ ム の雇 用 率 は きわ めて 高 くな っ

(14)

佛 教大學硯究紀要逋卷76號 て い る 。 パ ー トタ イ マ ー の 週 賃 金 中 位 値 は フ ル タ イ マ ー よ り40%低 く,ま た42   %は 健 康 保 険 の適 用 を 受 け て いず,約7割 に は退 職 金 が ない 。 フル タ イ ムの 女 性平 均賃 金 は1982年 に は 男 性賃 金 の63%で あ った が,そ の後 徐 々 に 上 昇 し,1988年 に は66%で あ る。 上 昇 傾 向 にあ る とは い え, 、年 間 フル タ イ ム で働 く女 性 の賃 金 が 男 性 の そ れ の約3分 の2で あ る。 フル タ イ ム 以外 も含 め た 女 性 の平 均 飴 ば ・987年に は 男性 賃 金 の53%で あ っ瓮 ・白人 と默 の女 性 の賃 金 格 差 はそ れ ほ ど大 き くは な いが,1987年 には 黒 人 フル タ イ ム女 性 の賃 金 は 白人 女 性 の賃 金 の91%で あ った。 そ の差 が 比 較 的 小 さい こ とは,労 働 市 場 で は人 種 以 上 に性 差 が 決 定 的不 利 に な っ て い る こ とを示 して い る。 女 性 の低 賃 金 の 一 因 と して,女 性 労 働 力へ の新 参 入 者及 び再 参 入 者 の多 数 が 相 対 的 に熟 練 度 の 低 い 労働 力 で あ る こ と,低 賃 金 分 野 に 女性 が 集 中 して い る こ と等,教 育,技 能,経 験 等 の差 や 性 別 職 業 分 離 と密 接 に 関連 して い る。 また, 1980年 代 に ほ とん ど最 低 賃 金 が 引 き上 げ られ な か った こ とも影 響 して い る。 連 邦 最 低 賃 金 は1981年1月 か ら1990年 の 間,時 間 当 り3.35ド ル に 据 置 か れ て お  ほ り,そ の 実 質 価値 は か な り低 下 し た 。1986年 に最 低 賃 金 以 下 の 稼 得 で あ った 670万 人 の 労 働 者 の うち,ほ ぼ3分 の2が 女 性 で あ る。 母 子 世 帯 の母 親 は,相 対 的 に低 学 歴 で稼 得 能 力が 低 く,最 低 賃 金 の 停 滞 に よ り,と くに 不利 な立 場 に 立 た せ られ る。 さ らに,1987年 には300万 人 以上 の女 性 が 失 業 して お り,そ の失 業 率 は6.2% で あ る。 女 性 世 帯 主 の失 業 率 は 全 国 の 女 性 平均 を上 回 って お り,1985年 に は有 配 偶 既 婚 女 性 の全 国平 均 即 ち公 式 の 失 業 率 よ り1.5倍 な い し2倍 高 い失 業率 で  な あ っ た。 政 府 の失 業 統 計 は,非 自発 的 パ ー トタ イ マ ーや 求 職 活 動 を 諦 め て い る 人kを 除 いて い る ので,実 質 的 な 失業 率 は公 式 の失 業 率 の2倍 に の ぼ る。 女 性 の多 くが 就 業 す るサ ー ビス 産 業 の 雇用 成 長 が続 い て い る とは い え,母 子 世 帯 主 の極 端 に高 い 失 業 率 は,1世 帯 に2人 以上 の働 き手 が い て 失 業 に対 して備xる こ とので き る世 帯 以 上 に 深 刻 な 問題 とい え よ う。 黒 人 女 性 の 失 業 率 は,1972年 一1987年 で 白人 女 性 の2倍(1987年 で は2.5倍) だ が,若 年 女 性 の 間 で は そ の 差 は 更 に大 きい。1987年 に は20∼24歳 の黒 人 女 性 ゆ は,同 年齢 の 白 人 女 性 の3倍 の失 業 率 で あ る。 黒 人 若年 女性 の労 働 市 場 参 加 率 一168一

(15)

貧困の女性化にういて の低 さは,彼 女 らの きわ め て高 い 失 業 の結 果 と もい}xる 。 若 年 の 黒人 男性 の失 業 に は 多 くの注 目が 払 わ れ て い るが,そ れ と同 じか そ れ 以 上 に 高 い若 年 の黒 人 女 性 の 失 業 に は殆 ん ど関 心 が払 わ れ て な い。 3母 子 世 帯 に対 す る公 的 所 得 移転 の対 貧 困効 果 の 低 下 職 場 に お い て不 利 な立 場 に お か れ て い る の で,自 ら生 計 を 維 持 せ ね ば な らな い女 性 は貧 困 を免 れ るた め に公 的所 得移 転 を必 要 とす る。 貧 困 母 子 世 帯 に対 す る主 た る 金 銭 援 助 プ ログ ラ ム はAFDCで あ るが,そ の低 い給 付 水 準 は ア メ リ カ女 性 の 貧 困 の大 きな一 因 とな っ て い る。AFDCの 給 付 は食 糧 ス タ ンプの 金 おお 銭 的 価 値 を 計 算 に 入 れ て も,全 て の州 で 貧 困 線 を下 回 る。41州 で は両 給 付 を 合 おの わ せ た価 値 は,1987年 の 貧 困 基 準 の75%足 らず であ った 。1970年代 か ら80年 代 初 め に記 録 され た 高 イ ン フ レに,州 政 府 はAFDCの 給 付水 準 を上 昇 で き なか っ た た め,低 所 得 の 母 子 世 帯 が依 存 して い る給 付 の価 値 は 低 下 して い き,AFDC おの だロ の 対 貧 困 効 果 は1979年 の19%か ら1986年 に は11%に 低 下 して い る。 次 に,社 会 保 障 に よ る移 転 所 得 の対 貧 困効 果 につ いて 少 し詳 細 に検 討 す る。 表9は,父 子 世 帯 と母 子 世 帯 に 関 して,貧 困率 トレ ン ドと主 要 な 所 得 移転 プ ロ グ ラ ムの 対 貧 困効 果 を 示 して い る。現 金 給 付 の社 会 保 険(4欄)及 び 現 金扶 助 (5欄)の 対 貧 困 効 果 は,移 転 所 得 の 受給 に よっ て貧 困 か ら脱 却 した 移転 所 得 受 給 前 貧 困者(1欄)の 割 合 に よ って測 定 され る。 貧 困 率 は,父 子 世 帯 よ り母 子 世 帯 に お い て世 帯 員 数 に関 して は ほ ぼ5倍 高 いが,貧 困率 トレ ン ドは 同様 で あ る。 貧 困率 の低 下 は1960年 代 遅 くか ら1970年 代 終 わ り頃 まで に 生 じ,そ れ 以 後 は 上 昇 して い る。 そ の結 果,1985年 の貧 困率 は両 世 帯 とも1967年 の 率 に非 常 に 類 似 し て い る。 移 転 所 得 の うち,社 会 保 険 給 付 の 対 貧 困 効果 は どの年 も公 的 扶 助 給 付 よ り大 き い。 そ の理 由 は,移 転 所 得受 給 前 の 貧 困 者 の うち 多数 が社 会 保 険 給 付 を 受 給 し,か つ 平均 給 付額 が 公 的 扶 助 と比 べ て 高 い か らで あ る。 これ と同 じ理 由で, 社 会 保 険 給 付 の対 貧 困効 果 は,'母 子 世 帯 よ り父 子 世 帯 の 方 が大 き い。 両 タイ プの 移転 所 得 の対 貧 困効 果 は,1960年 代 後半 か ら1970年 代 中頃 まで 上 昇 して い た が,最 近10年 間 に わ た っ て低 下 して き て い る。 貧 困児 童1人 当 り

(16)

佛 歡 大 學 研 究紀 要 通 卷76號 裘9母 子世 帯 員,父 子世 帯 員 の 貧 困 率お よび現 金 移 転 の対 貧 困 効 果 1967-1985年. 幕 移転所得受 給前貧困率 公的扶助受 給前貧困率 0 公式貧困率 対 貧 困 効 果 ② 主 の 性 別 年 (1) (2) (3) 社会保険の現金給付 (4) ④ 現 金 扶 助 (5) % % i % % 1967 11.5 10.3 10.0 10.4 2.6 父 1972 9.6・ 1 7.4 16.7 6.3 子 1977 10.2 7.9 7.2 22.6 6.9 世 1979 9.6 7.8 7.2 18.8 6.3 丗 1982 14.5 11.8 1-1.3 18.6 3.5 田 1985 12.6 10.7 10.2 15.1i4.° 1967 58.8 X2.4 49.1 1・.gi5.6 母 1972 60.9 55.3 47.9

9'2-2'2

5 子 1977 57.2 51.4 45.3 10.重io.7 世 1979 53.5 48.6 43.3 9.210.0 畳 1982 58.5 r 54.2 51.3 7.415.0 布 1 1985

54.51.50.7

.・ 7.OI4.4i 笥 注:① 移転 所 得 受給 前 の所 得 に全 て の社 会 保 険現 金 移 転 が加 算 され て72欄 の公 的扶 助受 給 前 貧 困 率が 算 定 され る。 次 に 公的 扶 助 の 移転 所 得 が 加Z..られ て,3欄 の 公 式 貧 困 率 とな る。 ② 移転 所 得 受給 前 には 貧 困 であ った が,そ の 受 給 に よ り貧 困 を克 服 した 者 の割 合 。 ③ 社 会 保 険 の現 金 移 転 に ほ,OASDI,鉄 道 退 職制 度,失 業 保 険,労 働 者 災害 補 償 保 険,公 務員 退 職 年 金,退 役 軍 人 年金 及 び 手 当 を含 む 。 ((2欄 一1欄)/1欄)×100と して示 され た 数字 。 ④ 公 的 扶 助 の現 金 移 転 に はゴ 要 扶 養児 童家 族 扶 助,補 足 的保 障所 得,一 般 扶 助を 含 む ρ((3欄 一2欄 ン1欄)×100と して示 され た数 字 。 出所:Danziger,S.,op.CZt.,P.49. の,現 金 移転 に食 料 ス タ ン プを加 算 した 給 付 額 は,1975年 か ら1983年 の 間 に約 12%低 下 した 。表9の5欄 は,1972年 か ら1985年 の 間 に,母 子世 帯 に対 す る現 金 扶 助 め対 貧 困 効 果 が 特 に著 し く低 下 した こ とを 示 し て い る。 即 ち1972年 に は,こ の 範 疇 の7.4%が 貧 困 か ら脱 却 した が;1985年 には 僅 か2.4%だ けが 貧 困 おロ を 克 服 した に す ぎな い ご 図2は,母 子 ・父 子世 帯 に対 す る 全 で の 現 金 移転(表9の4欄;5欄 の合 計)の 対 貧 困効 果 を,高 齢 者 のそ れ と対 照 して い る。 高齢 者 に対 す る対 貧 困 効 果 は 単親 世 帯 と比 べ て は る か に大 き く,全 期 間 を 通 じて上 昇 して い る。 近 年 は 一170一

(17)

貧 困の女性化について ほ ぼ 全 て の 高 齢 貧 困 者 が 現 金 移 転 を 受 け て い る が,高 齢 者 で な い 貧 困 者 の 約3 分 の1は 何 も 受 け て い な い 。 さ ら に,社 会 保 障(OASDI:01d・Age,Survivors, andDisabilityInsurance)か ら の 高 齢 者1人 当 り移 転 所 得 は,高 齢 者 以 外 の 人 々 に 対 す る1人 当 り移 転,と く にAFDCか らの 移 転 所 得 よ りは る か に 大 き い 。 (%) 100 QO 80 70 60 50 40 30 20 10 0ぐ ワcnワ1ワ つ7民 ワワ ワQQIQ2臾 只 有之 図2母 子 世 帯,父 子 世 帯 お よ び 高 齢 者 に 対 す る 移 転 所 得 の 対 貧 困 効 果 (1967-1986年) 出 所:GeorgeSlotsve,"ASupplementtotheTrendinPoverty,1967-1985Tables fromtheCurrentPopulationSurvey."(Madison,WI:UniversityofWis-cousin,InstituteforResearchonPoverty,June1986) 母 子 世 帯 が 受給 で き る主 要 な 現 金 及 び 現物 の ミー ンズ ・テス トを 伴 う給 付 の 実 質 価 値 は,1970年 代 中 頃 に ピー クに達 し,以 後 は低 下 し た(表10,パ ネ ル ②)。1986年 に は,そ れ らは10年 前 の 水 準 を ほ ぼ15%下 回 っ て い る。 実 質 的 な 給 付 水 準 が 低 下 した の み で な く,そ の受 給 率 も低 下 した。1973年 に は母 子 世 帯 の約63%が 何 らか のAFDC給 付 を 受 給 して い た が,1986年 に は受 給 率 は44% に低 下 した(表10,パ ネ ル①)。 受 給 率 の低 下 は,母 子 世 帯 の ニ ー ド発 生 率 の 減 少 に よ る も の とは 言 い難 い。1973年 当 時 と比 べ て母 子世 帯 の貧 困率 は上 昇 し

(18)

佛歡大學研究紀要通卷76號 表10福 祉 受 給 率,給 付 水 準,受 給 者 数,予 算額1969-1986年 年 度 1969 1973 1979 1981 1983 1985 ・:. % % k% i % % % 受 ・ AFDCO セ 42 ・63 57 53 45 43 44

給 AFDCと 食 糧ス タ ンプ 22 43 42 n,a, 38 n,a, n,a,

率 メ デ ィ ケ イ ド 88 89 85 ' 76 74 70 69 実 ドル トル トル ドル ドル ドル ドル 質 AFDC 515 ,・ 485 410 387 396 401 毎 月 食 糧 ス タ ンプ ③ 233 218 246 221 244 237 234 給 付 メ デ ィ ケ イ ド ④ 111 140 147 i30 114 113 112 額 0 総 額 ⑤ 705 .・: 733 638 629 627 627 一 X AFDC,基 礎 .. 10,481 10,449 10,279 9,515 9,sss 9,890 給 AFDC-U 336 JJ7 659 881 1,144 1,129 1,101 者 食 糧 ス タ ン プ n,a, 12,200 17,100 22,400 23,000 21,300 20,900 数 ⑥ メ デ ィ ケ イ ド ⑦ 9,330 12,725 14,463 14,768 14,885 14,939 15,678 ドル ドル ドル ドル ドル ドル ドル 予 AFDC 10,638 17,546 19,800 17,510 10,934 17,107 17,575 算 食糧 ス タ ンプ ⑧ 652 5,089 9,243 13,716 13,725 12,797 ユ2,540 額 メ デ ィケ イ ド ⑨ 5,492 9,060 11,170 10,626 10,100 9,850 10,102 注:パ ネル ① 基礎 的 なAFDCプ ロ グラ ムに お け る女 性世 帯 主 世 帯 の受 給 率 。 人 口統 計 の下 位 家 族 コー ド化 の誤 差 を調 整 した。 ② 個 人 消 費支 出又 は 消 費者 物 価 指 数 の 医療 費(MCPI)に,物 価 変動 に よ る 調 整 を 施 した1982年 の 、ドルで の修正 数 値 。 ,③ 他 に 何 の所 得 も ない4人 貴 帯 に対 す る支 給 最 高額 。 ④MCPIで デ フ レー トした 大 人1人 当 りの非 高 齢 ・非 障 害 の大 人 と子 ど もに 対 す る平均 支 給 額 。 ⑤ 食 糧 ス タ ンプ+・AFDCり70%+メ デ ィケ イ ド。 .・ ⑥ 会 計 年 度 別 の毎 月 平均 受給 者 数 。単 位:1,000。 ⑦ 要 扶 養 児 童 の い る世 帯 に 治 け る,要 扶 養児 童 と大 人 の重 複 し な い 数 。 単 位:1,000。 ⑧ 個 人 消 費 支 出で デ フ レー トした,':.年 の ドル で の連 邦 と州 の給 付 費 及 び 行 政 費 。 単位:1,000。 .⑨MCPIで デ フ レー トした,':.年 の ドルで の要 扶 養 児 童 の い る世 帯 の要 扶 養 児 童 及 び大 人 に 対 す るメ デ ィケ イ ドの費用 。 出所:Reischauer,R.D.,op.C2t,,P.15. て い るの で あ り,む しろ実 質 的 な給 付 水 準 の 低下 そ の他 の要 因が 受 給 率 の低 下 を 説 明 して い る とい え よ う。 現 在 の公 的 扶 助 の給 付額 や適 用 範 囲 は,州 が 給 付 を イ ン フ レに歩 調 を合 お ぜ 一17乞 一

(19)

貧 困の女性化について て 引上 げ な か った こ と や,連 邦政 府 が1981年 に 福 祉 受 給 要 件 を厳 格 化 した こ と等 に よ り損 わ れ て き て い る。1981年 の 総 合予 算 調 整 法(OmnibusBudget RecσnciliationAct)で の公 的 扶 助 予 算 削 減 の結 果,AFDCは 最 も明 確 かつ 直 接 的 な 費 用 抑 制 効 果 を 生 ん だ。AFDCの 受 給 資 格 要 件 の 強 化,制 度 運 営 の厳 格 化,い わ ゆ る ワー ク フ ェア等 の ワー ク ・プ ロ グラ ムへ の 参 加 の 義 務 づ け 等 の 大 改 革 が 実 施 され,,母 子 世 帯 な ど働 く貧 困 者 層が 排 除 され た の で あ る。 この連 邦 基 準 の変 化 に対 応 して,つ多 くの州 で支 出費 用 とケ ース 数 の 低 下 が み られ た 。 全 国的 に は 資 格 要件 の厳 格 化 の た め75万 世 帯 がAFDC給 付 を 受 給 で き な くな おの っ た とさ れ る。 この 状 態 は1982年 の租 税 の公 平及 び財 政 責 任 法(TaxEquity andFiscalResponsibilityAct)に よ って 翌年 の連 邦 予 算 が 更 に削 減 され た た め 一 層 悪 化 した 。 レー ガ ン政 権 に よる政 策 転 換 は,家 族 の貧 困 と くに母 子 世 帯 の 貧 困 が 増 大 した 同 じ時 期 に始 め られ,経 費 削減 の結 果 と して,過 去10年 以 上 に わ た り福 祉 受 給 者 名 簿 や 実 質 福 祉 予 算 総 額 は ほ と ん ど 増 加 を 示 して い な い (表10,パ ネ ル③ ・④)。 これ らは 全 て 母 子世 帯 の経 済 状 態 の 悪 化 に つ な が っ て い る の で あ る。1983年 に は貧 困 世 帯 の わ ず か4%がAFDC受 給 後 に 貧 困線 を こえた に す ぎな い。 ・."は そ の 後1984年 にODRA(総 合 赤 字 縮 小 法: OmnibusDe丘citReductionAct)に よ り多 少 改 正 され たが,AFDCは そ の 受 給 者 間 の 貧 困 を 軽 減 す るの に僅 か な影 響 しか 及 ぼ さ な か っ た 。 そ の うえ, AFDCは 以 前 は4人 世 帯 の貧 困 基 準 の64%を カ・ミー して い たが,1985年 に は  ぱ 43%た 低 下 し,AFDC受 給 者 の 生 活 状 態 は さ らに悪 化 した 。 皿 ア メ リカに お け る 「貧 困 の 女 性 化 」 の諸 要 因 に つ い て 母 子 世 帯 を 中 心 に,貧 困 の 女 性 化 現 象 の 拡 が りと そ の 理 由 を 考 察 して きた が,貧 困 の 女 性 化 は 殆 ど全 ての 高 度 産 業 化 社 会 に お い て生 じて い る も の の∴ ア おロ メ リカほ ど深刻化 していない ところもあ る。それは労働市場政策 と社会保障 ・ 社会福 祉政策の くみあわせが,'貧困の女性化 の抑制要因 として有 効に機能 して いるか らであ る。 ここではアメ リカにおいて この問題を とくに顕著化 させてい る諸要因 につ いて検討す る。"

(20)

佛教大學研究紀要通卷76號 女 性 世 帯 主 世 帯 の所 得が 貧 困線 を上 回 るに は,賃 金 は きわ め て重 要 であ る。 低所 得 の 女 性が 就 労 に よ り自立 可 能 な 賃 金 を 得 る こ とが で き る よ うにす るた め には,雇 用 政 策 お よび 教 育 ・訓 練 政 策 は 不 可欠 の前 提 条 件 で あ る。1988年 の 家 族援 助法 は,低 所 得 の母 子 世 帯 に適 切 な 職 業訓 練 や 児 童 保 育,医 療 が 必 要 で あ る と し,こ れ に 基 づ き職 業 機 会 ・基 礎技 能 訓 練 プ ログ ラ ム(JOBS)と よばれ る全 国的 な プ ログ ラ ムが つ く られ た 。 この プ ログ ラ ムを 通 じ,AFDC受 給 者 は就 労 で きる よ うに教 育 ・職 業 訓 練 プ ロ グ ラム に参 加 す る こ とが 必 要 と され て い る。 ま たAFDCの 現 金 扶 助 が 所 得 要 件 に よって 停 止 した 後1年 間 は,児 童 にの 保 育 及 び メデ ィケ イ ドに つ い て経 過 的 扶 助が 与xら れ る。 こ うした施 策 は貧 困 母 子 世 帯 を 援 助 す る もの として 必要 な も ので は あ るが, そ れ だ け で は十 分 で な い。 労働 市場 で の 性 別 職 業 分 離 と 差 別 待 遇 の結 果 と し て,女 性 の大 半 は 低 賃 金 労働 者 で あ る。 最 低 賃 金 法 や 雇用 に お け る平 等 化 政 策 は,女 性 の低 賃 金 や 性 別 職 業 分 離 を 余 り解 消 して いな い 。AFDCは そ の低 い 給 付 水 準 で 貧 困 を永 続 化 さ せ て い る ぽ か りか,大 半 の女 性 が余 儀 な くされ て い る低 賃 金 を 所与 の も の と して い る と批 判 され て い る。 貧 困 の女 性 化 現 象 は 労 働 市 場 に お け る 男 性 と比 較 した 女 性 の待 遇 の格差 の反 映 で あ っ て,最 低 賃 金 の 大 幅 な 引 上 げ や性 別 職 業 分 離 の改 善 が 望 め な い現 状 で は,女 性 の労 働 参 加 の 高 ま りは貧 困 の 女性 化 傾 向 を強 め こそ す れ 弱 め る こ とに はな らな い であ ろ う。 労働 分 野 で の働 き か け に加 え て,貧 困 の女 性 化 を 抑 止 す べ き適 切 な 社会 保 障 ・社 会 福 祉 政 策 も重 要 で あ る。 しか し,ア メ リカの 場 合 と りわ け この 面 の施 策 が 不 備 で あ る。 ア メ リカで は この 問題 に対 す る取 り組 み の多 くは,「 福祉 」 を改 革 す る こ とに,即 ち貧 困母 子 世 帯 に対 す る主 要 な 制 度 で あ るAFDCに 主 とし て 中心 が お か れ て きた 。 この 制度 の 改革 は も とよ り重 要 で あ るが,AFDC の給 付 水 準 の大 幅 引上 げ,全 州 均 一化 とい った 提 案 が な され る一 方 で,そ の種 の提 案 の 実 現 可能 性 を疑 問視 す る 向 き も多 い。AFDCに 付 随 す る ス テ ィグ マ や 福 祉 へ の 長期 依存 を減 ら し,適 切 な生 活 水 準 を保 障 す る た め に は,む しろ, 働 く貧 困 層 ・低 所 得層 の た め の施 策 が 余 りに も少 な い こ と が 問 題 だ と思 わ れ る 。 家 族 援 助 法 に よ る教 育訓 練,保 育,医 療 扶 助 の拡 大 も,そ の受 給 資 格 は AFDC受 給 者 に限 定 され て い る。 だ が,AFDC受 給 者 は 貧 困 母 子 の 一部 分 一174一

(21)

貧困の女性化について で しか な い の で あ る。 そ の一 方 で,有 子 世 帯 の生 活水 準 低 下 の予 防 的 施 策 と し て,他 の 先 進 工 業 諸 国全 て にみ られ る施 策 が 存 在 しな い。 た とえ ば,児 童 養 育 費 の一 部 を 社 会 的 に補 償 す る ユ ニバ ーサ ル な 給 付,児 童 手 当が な い こ とが あ げ られ る。 低 所 得世 帯 に対 す る勤 労 所 得 税 ク レデ ィ ッ トは,世 帯 内 の子 ど も数 に 関 係 な く最 高額 は 一 定 で あ る。 また 就 労 して いな い 長期 失 業 中 の親 に は何 の給 付 も な い。 労 働 者 本 人 の 賃金 の他 に,社 会 保 障 制 度 か ら得 られ る社 会 的賃 金 の 適 切 さ は,貧 困 の 女 性 化 が生 ず る か否 か を左 右 す る重 要 な要 因 の 一 つ で あ る。 ま た,母 親 の 就 労 に よ って生 じる ニ ー ズ へ の施 策 が 十 分 で な い 。 全 国 的 な有 給 の 出産 休 暇,親 休 暇 ・育 児 休暇 が存 在 せず,保 育 ニ ーズ に応 じ るに足 る適切 か つ利 用 可 能 な公 的 保 育 施設 も不 十 分 で あ る。 市 場 で 購 入 で き る保 育 の 中 か ら 良 質 の もの を 利 用 す る とす れ ぼ,就 学 前 の子 ども を もつ 母 子 世 帯 の 中 位 所 得 の ゆ 半 分程 度 の 費 用 を 要 す るの で あ る。 さ らに,生 別 単 親 世 帯 の 子 ど もの生 活保 障 を 目的 とす る養 育 費 立 替 制 度 の よ ゆ うな,政 府 が 単 親 の子 ど もの 最低 生 活費 を保 証 す る施 策 が,一 つ の 州 を 除 いて 存 在 しな い 。 近 年 は ア メ リカに お い て も児 童 養 育費 に関 す る公 的 関 与 が 急 速 に 強 化 され つ つ あ るが,そ の論 議 の多 くは 非 監護 親 の養 育 費 履 行 強 制 策 に関 す る もの で あ り,そ れ が どの程 度AFDCの 経 費 節 減 効果 を もつ か 一 貧 困 を 減 ら す か で は な い に主 た る関 心 が 向 け られ て い る 。 最 低 養 育 費 の政 府 保 証 やAFDCに 対 す る否 定 的態 度 は,従 来,ア メ リカで は 家 族 に 対 す る 国家 の介 入 は 家 族 の 自立 権,プ ライバ シ ー権 の侵 害 とみ な され て きた とい う歴 史 的 事 実 に加}て,経 済 的 不 安 定 を個 人 の責 任 とす る個 人 主 義 の イデ オ ロギ ー に強 く影 響 され て い る。 厳 格 な個 人主 義 又 は反 国 家 統 制 主 義 は,政 府 の所 得移 転 を貧 困防 止 に 用 い る こ とに他 の福 祉 国家 と比 べ て乗 り気 で な い 理 由 の一 つ で あ る。 そ の うえ,低 賃 金 や不 就 労,或 い は 私 的 な 養 育費 支 払 い不 履 行 の結 果 とし て,AFDCを 受 給 して い る世 帯 の過 半 数 が 黒人 や ヒス パ ニ ッ ク系 で あ る とい う事 実 を 考}xる と,ア メ リカの 少 数 民 族 女 性 の経 済状 態 に反 映 され て い る人 種 的 ・民 族 的 不 平 等 もまた,こ の 国 に お け る貧 困 の 女性 化 の重 要 な一 要 因 と考}x られ る。

(22)

佛數大學研究紀要逋卷76號 お わ り に 貧 困 の女 性 化 は特 に ア メ リカに顕 著 にみ られ るが,こ の 問 題 は 多 くの点 で高 度 産 業 化 社 会 に 典型 的 な もの で あ る。 し たが って,労 働 市 場 政 策 を通 じて,ま た社 会 保 障 ・社 会 福 祉 政 策 を通 じて貧 困 の女 性 化 を 抑 止 す る努 力 が不 十 分 で あ り,か つ 母 子 世 帯 の 増 加 の 著 しい 国 で は,こ の問 題 は ど こに で も出 現 す る と予 想 され る。 ア メ リカで は,こ の 両 方 の 条件 が 満 た され て い るに す ぎな い。 高度 産 業 化 社 会 の 特 徴 の 一 つ と して,サ ー ビス 産 業 の 成 長,女 性 の 雇用 機 会 の拡 大 そ して女 性 の 労 働 力 率 の上 昇 が あ げ られ る。 そ こで は 伝 統 的 家 族が 前 提 と して きた 女 性 の あ り方(専 業主 婦 で,経 済 的 に は 夫 の 被 扶 養 者)か らの著 し い乖 離 が み られ る。 しか し,伝 統 的 家族 に お いて 女 性 の 仕 事 として 当 然視 され て きた 家 事 責 任 の た め,女 性 は,性 別 分 業 の上 に 成 立 して い る労 働 市場 に 男性 と平 等 な立 脚 点 に 立 って 参 加 す る こ とは 困難 で あ る。 女 性 と くに 既 婚 女性 や 母 子 世 帯 主 に と って,男 性型 労 働 生 活 はr・ には不 可能 で,パ ー ト労働,雇 用 の 中断 を 余 儀 な くされ る。 女 性 の二 重 の役 割 は,労 働 市場 に お い て 女 性 が受 け と る低 賃 金 と密 接 に 関連 し,間 接 的 に貧 困 の女 性 化 に つ な が って い る の で あ る。 い ま一 つ の特 微 と して,晩 婚 化,非 婚 化, ,離婚率の上 昇,単 親 家族 の増加等 が あ げ られ る。貧 困 の 女性 化 は女 性 世 帯 主 世 帯,と くに母 子世 帯 の増 加 を 直 接 的 な主 要 因 と して顕 在 化 して きた 。 女 性 は 育 児 に 関す る主 た る責 任 を負 って い る ので,婚 姻 関 係 が 崩壊 した り,全 く形 成 され な か っ た場 合,監 護 親 或 い は単 親 とな る こ とが 多 い。 女 性 が 独 立 生 計 維 持 者 と して 家族 を扶 養 し難 い現 在 の社 会 構 造 にお いて,母 子世 帯主 は唯 一 の働 き 手 と し て 子 女 を扶 養 せね ば な らな い。 低 賃 金 とい う女 性 労働 者 一 般 の特 徴 は,有 配 偶 女 性 に とっ て は追 加 収 入 と して 家 族 を 貧 困 か ら脱 却 させ る手 段 とも な り得 る が,そ れ は母 子 世 帯 を して 直 ち に低 所 得 層(貧 困 層)に 至 ら しめ るの で あ る。 した が って母 子世 帯 が 貧 困 に 陥 りや す い こ とは,い ず れ の 国 に も共 通 した 事 実 とい え るが,そ の増 加 が 著 し い ア メ リカで は貧 困 の女 性 化 の拡 が りは よ り深 刻 で あ る とい え る。 さ らに,社 会 保 障 制度,な か で も継 続 的 な 賃 金 労働 の成 果 を前 提 とす る社 会 Y-17s一

(23)

貧 困の女性 化について 保 険 制 度 は,こ うした 女 性 の 生 活 保 障 と して は大 き な限 界 が あ る。 そ の た め, 従 来 の社 会 保 障制 度 が 前 提 として きた 性 別分 業 の家 族 モ デル か ら最 も乖 離 し, か つ 男性 型 労 働生 活 も不 可 能 な母 子 世 帯 主 は,所 得保 障 制度 に お い て,低 所 得 層(貧 困層)と して無 拠 出 の ミー ンズ ・テ ス ト下 の最 後 の安 全 網 に専 ら依 存 せ ざ るを 得 な い 状 況 に お かれ る。 社 会 保 険 制 度 は諸 種 の公 的 扶 助,社 会 サ ー ビス を与 件 と し,そ れ に補 足 され る の で なけ れ ば な らな い が,伝 統 的 家族 生 活 の維 持 を主 要 関 心 とす る社 会 保 障制 度 にお いて は,そ の 家 族 モ デ ル か らの異 端 の程 度 が大 きい ほ ど,制 度 上不 利 益 に扱 わ れ 懲 罰 的処 遇 を 受 け て きた 。 女 性 の生 涯 に お け る就 業 パ タ ー ンの 変 化 や 多様 な家 族 形 態 の 発 生 に もか か わ らず,伝 統 的 家 族 モ デ ル に も とつ く社 会 保 障 制 度 もま た,貧 困 め 女 性 化 の一 因 を な して い る と}L`x.よ う 。 註 (1)「 貧 困 の 女 性 化 」 と い う言 葉 は,1970年 代 後 半 に ダ イ ア ナ ・ピ ア ー ス(DianaPearce) に よ つ て 初 め て 造 語 さ れ た 。DianaPearce,"FeminizationofPoverty:Women,Work andWelfare,"WomenandSocialChangeReview,11,1&2(1978):28-36. (2)U:S.BureauoftheCensus,PovertyintheUnitedStates:1987.Current PopulationReports,Series,P-60,No.163,Washington,DC:1989.U.S.Govern-meritPrintingOffice,1989,p.11. (3)Scott,H.,WomenandtheFutureofWork,Cambridge,M.A.,1986,pp.3-4. (4)マ ー サ ・N・ オ ザ ワ 「ア メ リ カに お け る 貧 困 の 女 性 化 」 『季 刊 社 会 保 障 研 究 』Vol・ 26,No.3,社 会 保 障 研 究 所,1990,P・228・ (5)U.S.BureauoftheCensus,op,cit.,p.11. (6)1987年 に は 母 子 家 族 数 は,母 子 世 帯 主 世 帯 の 数 を150万 ・ 即 ち2・3%だ け 上 回 っ て い た 。 ま た,他 世 帯 に 同 居 す る 母 子 は 未 婚 の 母 が 圧 倒 的 で あ る の で ・ 婚 姻 上 の 地 位 別 構 成 に お い て も,無 配 偶 の 母 の 総 人 口 で み る 場 合 と母 子 世 帯 主 総 数 で み る 時 と で は 異 な っ て く る 。 量 的 な 面 で も よ り少 数 の 母 子 世 帯 主 と い う範 畴 を こ こ で 用 い る 最 も 重 要 な 理 由 は,貧 困 に つ い て の デ ー タ が 世 帯 別 に 集 計 さ れ,全 て の 母 子 家 族 に つ い て は 入 手 で き な い こ と で あ る 。 (7)社 会 保 障 研 究 所 編 『ア メ リ カ の 社 会 保 障 』,東 京 大 学 出 版 会,1989年,305頁 。 (8)Murray,C.,LosingGround:AmericanSocialPolicy,.1950-1980,New.York, B"asicBooks,1984.Gilder,G.,WealthandPoverty,NewYork,BasicBooks, 19si. (9)Greenstein,R.,"LosingfaithinLosingground,"TheNezvRepublic,March

(24)

佛歡 大 學 研 究 紀要 通 卷76號 25,1985,pp.12-17. ⑩AFDCは 社 会 保 障 法 タイ トル】V(A) .に規 定 され,親 の不 在,障 害,死 亡,失 業 に よ っで 養 育 を欠 く18歳 未 満 の貧 困 児 童 の援 助 を 目的 とす る 世 帯 単 位 の 現 金 扶 助 制度 であ る 。 ⑪Ellwood,D.T.,PoorSupportPovertyintheAmericanFamily,NewYQrk, BasicBooks,1988,p.61. ¢勿IbZa.,pp.59-60. ⑬G・ ・丘・k・1・1・andS・S・M・L・n・h・n,SingleM・thersandTheirChildren:A NewAmericanDilemma,Washington,DC:TheUrbanInstitutePress,1986, p.53. α今Wilson,W.J.,TheTrulyDisadvantaged:TheInner('ity,theUnderclass andPublicPolicy,Chicago,UniversityofChicagoPress,1987. ⑮Blake,J.,andJ.H.delPinal,"Thechildressoption:RecontAmericanviews ofnonparenthood,"inG.E.HendershotandP.J.Placek,eds.,PredictingFertility: DemographicStudiesofBirthException,Lexington,MA:LexingtonBooks, 1981. (16jDanziger,S.etal.,"Workandwelfareasdeterminantsoffemalehousehold headship,"QuarterlyJournalofEconomics,August,1982,pp.521-534. ⑰Garfinkel,1.,andS.S.McLanahan,op.C2t.,P.68.・ 、 ⑱Weatherly,R.A.,"Teenagepregnancy,professionalagendasandproblemde丘 一 nitions,"JournalofSociologyandSocialWelfare,14(2),1987,pp.26-27. ⑲ 以 下 の 数 字 は,Lerman,RI.,"ChildSupPortPolicies,"inCottingham,.P.H., &D.T.Ellwood(eds・),WelfarePolicyforthe1990s,HarvardUniversityPress, 1989,PP.221-223.を 参 照 。 ⑳Duncan,G.J.,andS.D.Hoffman,"AReconsiderati6noftheEconomicConse・ quencesofMaritalDissolution,"Demography,22(4),pp.485-497. ⑳1985年 の 数 字 。 未 婚 の 母 の 大 部 分 は 親 か 親 戚 た 同 居 す る こ と で,貧 困 を 免 れ て い る 。 ㈱'Children'sDefenseFund,A.VisionforAmerican'SFuture:An∠496π ぬfor theヱ990s.Washington,DC:Children,sDefenseFund,1989,PP.19-20. ⑳Gar丘nke1,1.,&S.S.McLanahan,op.Ctt.,p.24. ⑳Childre11'sDefenseFund,op.CZt.,p.20.噛 (25jGlass,B.L.,"ChildSupportEnforcement:AnImplementationAnalysis,"Social ServiceReview,Vol.64,No.4,Dec.1990,p.555. 鱒U.S.Dept.ofLabor,Women,sBureau,FlexibleWorkstyles:AkookatCon. tingentLabor:ConferenceSummary.Washington,DC:U.S.Dept,ofLabor, Women'sBureau,1988. ⑳Levitan,S.A.,andI.Shapirs,"Part・timers:Livingonhalfrations,"('hallenge 一178一

(25)

貧 困の女性化について 31(3):ユ988,9-26. 鱒Goldberg,G.S,&F.Kremen,The.FeminizationげPoverty,Preager,1990, p.24. (29)Reischauer,R.D.,"TheWelfareReformLegislation:DirectionsfortheFuture," inCottinghamP.H.&D.T.EIIwood(eds.),WelfareP∂ 露oッfortheヱ990s, HarvardUniversityPress,1989,p.20. (30)Goldberg,G.S.&E.Kremen,op.cit.,p.23. ⑳U.S.Dept.ofLabor,BureauofLaborStatistics,LaborForceStatisticsDerived fromtheCurrentPopulationSurvey,ヱ.,,Bulletin2307,U.S・Government PrinitingOffice,1989,pp.-514-537. ㈱AFDCの 実 施 責 任 は 各 州 に あ り,最 高 支 給 額 に つ い て い え ば 州 に よ り大 幅 に 異 な る 。 1986年 で4人 家 族 のAFDC受 給 世 帯 に 対 す る 州 の 支 給 額 は,ミ シ シ ッ ピ ー の144ド ル か ら ニ ュ ー ヨ ー ク の706ド ル ま で 広 範 な 差 が あ っ た 。 鱒CenteronSocialWelfarePolicyandLaw,Analysisof1987BenefitLevelsin theProgramofAFDC.Washington,DC:CenteronSocialWelfarePolicyand Law,1987,pp.1-6. ㈱ 対 貧 困 効 果 とは,移 転 所 得 を 受 け 取 る 前 に は 貧 困 で あ っ た が,そ の 受 給Y'よ っ て 貧 困 か ら脱 却 した 人kの 占 め る パ ー セ ン テ ー ジ と定 義 さ れ る 。 ⑳Goldberg,G.S.,&E.Kremen,op.CZt.,p.23. (36)1972年 は55.3%-47.9%=7.4%,1985年 は50.7%-48.3%=2.4%と な る 。 鋤Side1,R.,WomenandChildrenLastTheplightofpoorwomeninaffluent America,NewYork:VikingBooks,1986,p.86. 鮒Dominelli,L.,WomenAcrossContinents,HarvesterWheatsheaf,NewYork, 1991,p.132. ㈲ ス ウ ェ ー デ ンの 場 合 が そ の 一 例 で あ る 。 ㈹ マ ー サ ・N・ オ ザ ワ 「前 掲 論 文 」p.239. ㈹ 保 育 費 用 に 関 し て は,扶 養 児 童 保 育 税 ク レ デ ィ ッ ト と し て,保 育 費 用 の20%を 限 度 に 必 要 経 費 認 定 さ れ る 。1982年 よ り低 所 得 者 に 対 して の 限 度 額 は30%に 引 き 上 げ られ た 。 ㈲ ウ ィ ス コ ン シ ン州 の 最 低 養 育 費 保 証 制 度 の 実 験 的 実 施 を さ す 。

参照

関連したドキュメント

少子化と独立行政法人化という二つのうね りが,今,大学に大きな変革を迫ってきてい

(5) 子世帯 小学生以下の子ども(胎児を含む。)とその親を含む世帯員で構成され る世帯のことをいう。. (6) 親世帯

⑧ 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金事業 0

 母子保健・子育て支援の領域では現在、親子が生涯

女子の STEM 教育参加に否定的に影響し、女子は、継続して STEM

1人暮らし 高齢者世帯 子世帯と同居 独身の子と同居 長期入所施設 一時施設 入院中 その他

自由報告(4) 発達障害児の母親の生活困難に関する考察 ―1 年間の調査に基づいて―

世紀転換期フランスの史学論争(‑‑)