1 税効果会計
第 1 回 :税 効果会 計の意義と計算構 造
2010.08.06 (2012.04.23 更新) 新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行貴久 1.はじめに 平 成 10 年 10 月 に企 業 会 計 審 議 会 より、税 効 果 会 計 に係 る会 計 基 準 が、同 年 に会 計 制 度 委 員 会 報 告 として、個 別 財 務 諸 表 及 び連 結 財 務 諸 表 における税 効 果 会 計 に関 する実 務 指 針 が公 表 され、平 成 11 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する事 業 年 度 から適 用 されています。 本 解 説 シリーズでは税 効 果 会 計 の適 用 に当 たっての留 意 事 項 を解 説 します。なお、文 中 の意 見 に関 する部 分 は私 見 であることをお断 り申 し上 げます。 また、平 成 23 年 の税 制 改 正 では、法 人 税 率 変 更 (引 き下 げ)、復 興 特 別 法 人 税 の創 設 、さらに欠 損 金 の繰 越 控 除 制 度 の見 直 しが行 われています。これらの改 正 が税 効 果 会 計 に与 える影 響 は、「 第 5 回 平 成 23 年 税 制 改 正 における税 率 変 更 等 の影 響 」にて詳 しく解 説 します。 2.税 効 果 会 計 の意 義 ・対 象 税 効 果 会 計 とは、企 業 会 計 上 の収 益 又 は費 用 と、課 税 所 得 計 算 上 の益 金 又 は損 金 の認 識 時 点 が異 なることから、会 計 上 の資 産 ・負 債 と課 税 所 得 計 算 上 の資 産 ・負 債 の額 に相 違 がある場 合 に、法 人 税 その他 所 得 を課 税 標 準 とする税 金 を適 切 に期 間 配 分 することにより、法 人 税 等 (法 人 税 、住 民 税 、所 得 を課 税 標 準 とする事 業 税 及 び地 方 法 人 特 別 税 )を控 除 する前 の税 引 前 当 期 純 利 益 と税 金 費 用 を 合 理 的 に対 応 させることを目 的 とする会 計 手 法 です。 税 効 果 会 計 の対 象 となる税 金 (法 定 実 効 税 率 の算 定 に含 められるもの)は、利 益 に関 連 する金 額 を課 税 標 準 とする税 金 です。法 人 税 、住 民 税 (市 町 村 民 税 ・道 府 県 民 税 )、地 方 法 人 特 別 税 や、事 業 税 (所 得 割 )が対 象 となります。したがって、たとえば、収 入 金 額 その他 利 益 以 外 のものを課 税 標 準 とする 事 業 税 (外 形 標 準 課 税 )等 は含 められません。 3.繰 延 税 金 の計 算 方 法 と会 計 処 理 (1)一時差異の把握 会 計 上 の収 益 及 び費 用 と、税 務 上 の益 金 及 び損 金 の認 識 時 点 が相 違 することから両 者 の間 に差 が 生 じます。この差 のうち、将 来 解 消 されるものを一 時 差 異 と呼 び、税 効 果 会 計 の対 象 となります。一 時 差 異 には、将 来 減 算 一 時 差 異 と将 来 加 算 一 時 差 異 の 2 種 類 があります。また将 来 の課 税 所 得 と相 殺 可 能 な繰 越 欠 損 金 は、繰 越 外 国 税 額 控 除 も含 めて、一 時 差 異 に準 ずるものとして扱 われます。永 久 差 異 は交 際 費 の損 金 不 算 入 額 、受 取 配 当 金 の益 金 不 算 入 額 などをいい、会 計 上 は費 用 及 び収 益 と なりますが税 務 上 は永 久 に損 金 及 び益 金 とはなりませんから税 効 果 会 計 の対 象 とはなりません(図 表 1)。2 図 表 1 将 来 減 算 一 時 差 異 とは、課 税 所 得 の計 算 上 、差 異 が生 じたときに加 算 され、将 来 解 消 するときに減 算 されるものです。税 効 果 会 計 の適 用 において最 も取 り扱 う機 会 が多 いのが将 来 減 算 一 時 差 異 です。貸 倒 引 当 金 の損 金 算 入 限 度 超 過 額 、賞 与 引 当 金 及 び退 職 給 付 引 当 金 の額 、減 価 償 却 費 の損 金 算 入 限 度 超 過 額 、棚 卸 資 産 等 に係 る評 価 損 などが該 当 し、回 収 が見 込 まれる期 の実 効 税 率 を乗 じて繰 延 税 金 資 産 を計 上 します。 将 来 加 算 一 時 差 異 とは、課 税 所 得 の計 算 上 、差 異 が生 じたときに減 算 され、将 来 解 消 するときに加 算 されるものです。剰 余 金 の処 分 によって積 み立 てられた租 税 特 別 措 置 法 上 の諸 準 備 金 等 が該 当 し、 支 払 いが見 込 まれる期 の実 効 税 率 を乗 じて繰 延 税 金 負 債 を計 上 します。なお、実 効 税 率 は次 のように 算 定 します(注 1)。 (注 1) 平 成 24 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する事 業 年 度 から 3 年 間 の実 効 税 率 は、平 成 23 年 税 制 改 正 で創 設 された、法 人 税 額 の 10%を税 額 とする復 興 特 別 法 人 税 が課 されるため、以 下 の算 式 により算 定 します。 なお、税 務 上 の繰 越 欠 損 金 は一 時 差 異 ではありませんが、繰 越 欠 損 金 のうち、将 来 の課 税 所 得 と相 殺 可 能 な部 分 は、一 時 差 異 と同 様 な税 効 果 が生 じるため、一 時 差 異 と同 様 に取 り扱 います。一 時 差 異 と税 務 上 の繰 越 欠 損 金 を総 称 して一 時 差 異 等 といいます。 (2)繰延税金資産(負債)の算定 別 表 5 の利 益 積 立 金 額 で一 時 差 異 に該 当 する項 目 が計 算 対 象 です。ただし未 払 事 業 税 も一 時 差 異 に該 当 するため計 算 に含 めます。一 時 差 異 の合 計 金 額 に法 定 実 効 税 率 を乗 じたものが繰 延 税 金 資 産 (負 債 )で、期 首 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )と期 末 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )との差 額 が損 益 計 算 書 の法 人 税 等 調 整 額 となります。
3 図 表 2 では、期 首 から期 末 までの一 時 差 異 及 び繰 延 税 金 を一 覧 する表 としたもので、一 時 差 異 に法 定 実 効 税 率 を乗 じたものが繰 延 税 金 であり、期 首 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 )と期 末 の繰 延 税 金 資 産 (負 債 ) との差 額 が損 益 計 算 書 の法 人 税 等 調 整 額 となることが理 解 できると思 われます。 図 表 2 (3)表示方法の検討 貸 借 対 照 表 における繰 延 税 金 資 産 及 び繰 延 税 金 負 債 は、流 動 資 産 と流 動 負 債 、固 定 資 産 と固 定 負 債 を相 殺 して表 示 します。流 動 と固 定 の分 類 は貸 借 対 照 表 に計 上 した資 産 又 は負 債 との関 連 に基 づ く分 類 のほかに、税 効 果 の実 現 する時 期 が 1 年 以 内 であるか否 かによる分 類 (1 年 基 準 )があります。 つまり貸 借 対 照 表 の資 産 ・負 債 と関 連 性 が認 められる繰 延 税 金 資 産 ・繰 延 税 金 負 債 は当 該 資 産 ・負 債 の表 示 区 分 に従 い、貸 借 対 照 表 の資 産 ・負 債 と関 連 性 が認 められない繰 延 税 金 資 産 ・繰 延 税 金 負 債 は 1 年 基 準 によって流 動 ・固 定 の区 分 を行 います。 図 表 3 では、図 表 2 における繰 延 税 金 の期 末 残 高 につき、流 動 固 定 分 類 を行 っています。 図 表 3
5 税効果会計
第 2 回 :繰 延税金 資産 の回 収可能 性
2010.08.06 1.繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 判 断 繰 延 税 金 資 産 は、将 来 の課 税 所 得 を減 少 させることにより、将 来 の税 負 担 を軽 減 することが認 められ ることを条 件 に資 産 計 上 が認 められる資 産 です。よって将 来 の課 税 所 得 を減 少 させ、税 負 担 を軽 減 す ると認 められる範 囲 での計 上 が要 求 されており、繰 延 税 金 資 産 の計 上 は、将 来 減 算 一 時 差 異 のスケ ジュ-リングなど、慎 重 かつ十 分 な検 討 を行 い決 定 することが必 要 です。以 下 では、その判 断 要 件 及 び 留 意 事 項 についてご説 明 いたします。 (1)回収可能性の判断要件 ①収 益 力 に基 づく課 税 所 得 の十 分 性 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 において、まず収 益 力 に基 づく課 税 所 得 の十 分 性 が問 題 とされま す。収 益 力 に基 づく課 税 所 得 の十 分 性 は、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 ないし税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の繰 越 期 間 において課 税 所 得 が発 生 する可 能 性 が高 いと見 込 まれるか否 かにより判 断 されることと なります。 課 税 所 得 が発 生 する可 能 性 が高 いかどうかを判 断 するためには、過 年 度 の業 績 及 び将 来 の業 績 予 測 等 を総 合 的 に勘 案 し、課 税 所 得 の額 を合 理 的 に見 積 る必 要 があります。実 務 においてこの将 来 の課 税 所 得 を合 理 的 に見 積 ることが最 も難 しいと考 えられます。 なお、ここで言 うところの「課 税 所 得 」とは、一 時 差 異 のうち解 消 が見 込 まれる各 年 度 の解 消 額 を加 算 ないしは減 算 する前 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 を控 除 する前 の繰 越 期 間 の各 年 度 の所 得 見 積 額 であ り、税 法 上 の課 税 所 得 と異 なる点 に注 意 してください。 ②タックス・プランニングの存 在 タックス・プランニングとは、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 や税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の繰 越 期 間 におい て、具 体 的 な課 税 所 得 を発 生 させることを計 画 することをいいます。含 み益 のある固 定 資 産 または有 価 証 券 を売 却 するなどタックス・プランニングが存 在 することにより、将 来 減 算 一 時 差 異 等 の減 算 が生 じる 年 度 における課 税 所 得 を確 保 することで繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 が確 実 なものとなります。 ③将 来 加 算 一 時 差 異 の十 分 性 (イ)将 来 減 算 一 時 差 異 に係 る税 効 果 の認 識 将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 に将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 が見 込 まれること。 (ロ)税 務 上 の繰 越 欠 損 金 に係 る税 効 果 の認 識 繰 越 期 間 に税 務 上 の繰 越 欠 損 金 と相 殺 される将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 が見 込 まれること。 2.繰 延 税 金 資 産 の計 上 限 度 額 と回 収 可 能 性 の見 直 し6 将 来 減 算 一 時 差 異 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 に係 る繰 延 税 金 資 産 は、回 収 可 能 性 の判 断 要 件 を考 慮 した結 果 、当 該 将 来 減 算 一 時 差 異 (複 数 の将 来 減 算 一 時 差 異 が存 在 する場 合 には、それらの合 計 ) 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 が将 来 の課 税 所 得 を減 少 させ、税 金 負 担 額 を軽 減 することができると認 め られる範 囲 を超 える部 分 が生 じることがあります。当 該 超 過 部 分 については、評 価 性 引 当 額 として繰 延 税 金 資 産 を計 上 しないことになります。 また、繰 延 税 金 資 産 の計 上 額 は会 社 の決 算 日 ごとに見 直 し、回 収 可 能 性 の判 断 要 件 を満 たさなくなっ た場 合 には、計 上 されていた繰 延 税 金 資 産 のうち過 大 となった金 額 を取 り崩 さなければなりません。 3.将 来 年 度 の課 税 所 得 による繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する判 断 指 針 将 来 の課 税 所 得 の見 積 りの問 題 は、監 査 委 員 会 報 告 第 66 号 「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に関 する監 査 上 の取 扱 い」(以 下 、委 員 会 報 告 66 号 )が公 表 されているためこれに従 った対 応 が要 求 されます。 「委 員 会 報 告 66 号 」では、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 は、多 くの場 合 、将 来 年 度 の会 社 の収 益 力 に 基 づく課 税 所 得 に基 づいて判 断 することになりますが、将 来 年 度 の会 社 の収 益 力 を客 観 的 に判 断 する ことは実 務 上 困 難 であるとした上 で、過 去 の業 績 等 の状 況 を主 たる判 断 基 準 として、会 社 の状 況 を代 表 的 な五 つの場 合 に分 け、回 収 可 能 性 を判 断 するに当 たっての考 え方 を示 しています。 ① 期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社 将 来 減 算 一 時 差 異 を十 分 に上 回 る課 税 所 得 を毎 期 計 上 している会 社 で、その経 営 環 境 に著 しい変 化 がない場 合 は、将 来 においても一 定 水 準 の課 税 所 得 を発 生 させることが可 能 であると考 えられます。 ② 業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社 過 去 の業 績 が安 定 していて、当 期 及 び過 去 (概 ね 3 年 以 上 )連 続 してある程 度 の経 常 的 な利 益 を計 上 している会 社 は、将 来 においても同 水 準 の課 税 所 得 の発 生 が見 込 めると判 断 します。この②分 類 に属 する会 社 は、一 時 差 異 等 のスケジューリング結 果 に基 づいて、それにかかる繰 延 税 金 資 産 につき、回 収 可 能 性 があると判 断 します。 ③ 業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社 過 去 の経 常 的 な損 益 が大 きく増 減 しているような会 社 の場 合 は、通 常 、長 期 にわたる安 定 的 な課 税 所 得 を見 積 ることができないと考 えられます。よって合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の 見 積 額 を限 度 として、当 該 期 間 内 の一 時 差 異 等 のスケジューリング結 果 に基 づいて計 上 した繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 と判 断 します。 ②分 類 と③分 類 との相 違 点 は、③分 類 においては、スケジューリング期 間 を見 積 り可 能 な 5 年 間 と限 定 していますが、②分 類 においては、そのようなスケジューリング期 間 の限 定 はないということにありま す。 ④ 重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社 税 務 上 の繰 越 欠 損 金 に重 要 性 が存 在 する会 社 、過 去 (概 ね 3 年 以 内 )に重 要 な税 務 上 の欠 損 金 が期 限 切 れとなったような会 社 または当 期 末 において重 要 な税 務 上 の欠 損 金 の繰 越 期 限 切 れが見 込 まれ る会 社 は、通 常 、将 来 の課 税 所 得 を合 理 的 に見 積 ることは困 難 であると判 断 されます。従 って、そのよ うな会 社 においては、翌 期 の課 税 所 得 の発 生 が、確 実 に見 込 まれる場 合 であって、かつその範 囲 内 に
7 おいて、翌 期 の一 時 差 異 のスケジューリング結 果 に基 づき繰 延 税 金 資 産 を計 上 している場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 に回 収 可 能 性 があるものと判 断 します。 しかし、税 務 上 の繰 越 欠 損 金 が、リストラを実 施 したなどの特 別 な要 因 に基 づいて発 生 したものであり、 それを除 けば課 税 所 得 を毎 期 計 上 しているような場 合 は、将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 ) 内 の課 税 所 得 を限 度 に繰 延 税 金 資 産 を計 上 することができると考 えられます。 ④分 類 と③分 類 との相 違 点 は、重 要 な税 務 上 の繰 越 欠 損 金 が存 在 する点 であり、④分 類 本 則 と④分 類 ただし書 きとの相 違 点 は、税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の発 生 原 因 です。③分 類 と④分 類 ただし書 きは、い ずれも 5 年 間 の課 税 所 得 の見 積 りと一 時 差 異 等 のスケジューリングによりますが、④本 則 では、翌 期 の 課 税 所 得 の確 実 な見 積 りと一 時 差 異 等 のスケジューリングによるということになります。 ⑤ 過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社 過 去 連 続 して重 要 な税 務 上 の欠 損 金 を計 上 している会 社 や、債 務 超 過 又 は資 本 の欠 損 が長 期 間 続 いているような会 社 は、通 常 、将 来 の課 税 所 得 の発 生 を合 理 的 に見 積 ることができないと考 えられるた め、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 はないものと考 えられます。また、債 務 超 過 の状 況 にある会 社 や資 本 の欠 損 の状 況 が長 期 にわたっている会 社 で、かつ、短 期 間 に当 該 状 況 の解 消 が見 込 まれない場 合 に は、これと同 様 に取 り扱 うものとされます。 4.違 法 配 当 の危 険 性 について 繰 延 税 金 資 産 は、その後 の事 業 年 度 に回 収 不 能 が明 らかになり、取 り崩 しがなされることがあります。 繰 延 税 金 資 産 が計 上 されている事 業 年 度 に繰 延 税 金 資 産 に相 当 する金 額 が、配 当 の原 資 として使 わ れている場 合 には、繰 延 税 金 資 産 計 上 時 点 にさかのぼって繰 延 税 金 資 産 計 上 の妥 当 性 を問 われるこ とがあり、当 時 の配 当 決 議 が違 法 配 当 と判 断 される可 能 性 があることに十 分 留 意 する必 要 がありま す。
8 税効果会計
第 3 回 :連 結財務 諸表と税効 果会計
2010.08.06 連 結 財 務 諸 表 に税 効 果 会 計 を適 用 するには、連 結 消 去 仕 訳 の段 階 で次 のような連 結 固 有 の税 効 果 を認 識 します。 1.未 実 現 損 益 の消 去 に関 する事 項 連 結 会 社 間 の物 品 販 売 取 引 等 で、当 該 物 品 がグループ企 業 外 に販 売 されず、連 結 会 社 内 に在 庫 とし て残 っている場 合 、当 該 在 庫 に対 して販 売 元 が計 上 した損 益 を未 実 現 損 益 といいます。以 下 特 に断 り のない限 り未 実 現 利 益 を前 提 にします。 税 効 果 会 計 の考 え方 には財 産 的 なアプローチによる資 産 負 債 法 と損 益 的 なアプローチによる繰 延 法 の二 つがあります。税 効 果 会 計 の導 入 は、国 際 財 務 報 告 基 準 でも採 用 されている資 産 負 債 法 を基 本 に制 度 化 されたものですが、未 実 現 利 益 の消 去 には繰 延 法 の考 え方 が採 用 されています。資 産 負 債 法 と具 体 的 な相 違 として以 下 のようなものが挙 げられます。 上 図 のような場 合 において、親 会 社 の個 別 財 務 諸 表 ですでに課 税 済 みとして処 理 した 200 の利 益 (売 却 価 格 1,000-製 造 原 価 800)は連 結 上 未 実 現 として消 去 されます。ここで個 別 財 務 諸 表 上 の簿 価 と、 連 結 財 務 諸 表 上 の簿 価 に一 時 差 異 が生 じるため税 効 果 を認 識 するわけですが、税 金 を計 上 した親 会 社 に税 効 果 が生 じるのか、一 時 差 異 を有 する子 会 社 に税 効 果 が生 じるのかが問 題 となります。資 産 負 債 法 の考 え方 からは、将 来 の税 金 費 用 を軽 減 する効 果 を有 している子 会 社 の実 効 税 率 を使 って繰 延 税 金 資 産 を計 上 するということになりますが、国 際 的 にも未 実 現 損 益 については例 外 的 な方 法 で繰 延9 法 を採 用 していることや実 務 動 向 に配 慮 して、販 売 元 の実 効 税 率 を使 って繰 延 税 金 資 産 を計 上 すると いう繰 延 法 の考 え方 を採 用 することとしました。 仕訳 (借方)繰延税金資産 80 (貸方)法人税等調整額 80 親 会 社 の実 効 税 率 を 40%とすると 80=未 実 現 利 益 200×40% 翌 期 の開 始 仕 訳 仕訳 (借方)繰延税金資産 80 (貸方)利益剰余金期首 80 この考 え方 は個 別 財 務 諸 表 で計 上 した税 金 費 用 (販 売 元 で納 付 済 みであり確 定 している)を連 結 上 将 来 に繰 り延 べるものであるため、税 率 が変 更 になった場 合 でも繰 延 税 金 資 産 の見 直 しを行 わないこと に留 意 する必 要 があります。また、個 別 財 務 諸 表 で計 上 し、納 付 した税 金 費 用 を繰 り延 べるため将 来 の回 収 可 能 性 について検 討 する必 要 はありませんが、個 別 財 務 諸 表 で計 上 した税 金 費 用 以 上 に繰 延 税 金 資 産 を計 上 することはできません。 ※100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 の税 効 果 会 計 平 成 22 年 度 の税 法 改 正 において、100%グループ内 の内 国 法 人 間 における一 定 の資 産 の譲 渡 損 益 に ついては、100%グループ内 の会 社 へ譲 渡 した段 階 では、譲 渡 損 益 を認 識 せず、再 譲 渡 したときに、そ の移 転 を行 った法 人 において譲 渡 損 益 を計 上 するという、いわゆる 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが導 入 されました。ここに一 定 の資 産 とは、1,000 万 円 以 上 の固 定 資 産 、土 地 、 有 価 証 券 (売 買 目 的 有 価 証 券 を除 く)、金 銭 債 権 及 び繰 延 資 産 であるとされます。 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 の税 効 果 会 計 の適 用 は以 下 のとおりです。 ① 繰り延べられた譲渡損益に係る税効果 100%グループ内 の法 人 間 の資 産 の譲 渡 損 益 の繰 延 べが適 用 される場 合 、対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 で譲 渡 益 が計 上 される場 合 には、譲 渡 益 に係 る法 人 税 等 が繰 り延 べられることになるので、当 該 対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 の個 別 財 務 諸 表 において繰 延 税 金 負 債 が計 上 されます。譲 渡 益 を 200、法 定 実 効 税 率 を 40%とすると、仕 訳 は以 下 のとおりです。 仕訳 (借方)法人税等調整額 80 (貸方)繰延税金負債 80 ② 未実現利益の相殺消去と税効果の修正 当 該 対 象 資 産 が、連 結 グル-プ内 にとどまっている場 合 には、当 該 対 象 資 産 の譲 渡 益 200 は未 実 現 利 益 として、連 結 手 続 において相 殺 消 去 されます。 仕訳 (借方)譲渡益 200 (貸方)対象資産 200
10 一 方 で、対 象 資 産 を譲 渡 した会 社 において計 上 された繰 延 税 金 負 債 も、税 効 果 がなかったものと考 え、 反 対 仕 訳 を行 います。 仕訳 (借方)繰延税金負債 80 (貸方)法人税等調整額 80 なお、企 業 集 団 内 での投 資 (子 会 社 株 式 または関 連 会 社 株 式 )を売 却 した場 合 は、上 記 とは取 扱 いが 異 なる点 に留 意 する必 要 があります(連 結 財 務 諸 表 における税 効 果 会 計 に関 する実 務 指 針 30-2)。 2.債 権 債 務 の消 去 に伴 い減 額 修 正 される貸 倒 引 当 金 に関 する事 項 連 結 会 社 間 の債 権 債 務 の消 去 に伴 い減 額 修 正 された貸 倒 引 当 金 は、個 別 財 務 諸 表 上 では損 金 算 入 されますが、連 結 上 、債 権 の消 去 に伴 い貸 倒 引 当 金 が減 額 修 正 されるので、個 別 財 務 諸 表 上 の簿 価 と連 結 財 務 諸 表 上 の簿 価 に一 時 差 異 が生 じるためこれに対 して税 効 果 を認 識 します。 例 えば、連 結 会 社 が他 の連 結 会 社 に対 する債 権 1,000 を有 しており連 結 手 続 上 50 の貸 倒 引 当 金 を計 上 (損 金 算 入 )していたとすると、連 結 上 以 下 の消 去 仕 訳 とともに 50 に対 して税 効 果 を認 識 します。 連結消去仕訳 (借方)買掛金 1,000 (貸方)売掛金 1,000 (借方)貸倒引当金 50 (貸方)貸倒引当金繰入 50 税効果の仕訳 (借方)法人税等調整額 20 (貸方)繰延税金負債 20 20=50×実 効 税 率 40% 翌期の開始仕訳 (借方)利益剰余金期首 20 (貸方)繰延税金負債 20 (借方)貸倒引当金 50 (貸方)利益剰余金期首 50 なお、上 記 のように無 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 ではなく、有 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 がある場 合 は注 意 が必 要 です。無 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 は、減 額 修 正 された段 階 で将 来 加 算 一 時 差 異 が 発 生 するため繰 延 税 金 負 債 を計 上 しますが、有 税 で処 理 された貸 倒 引 当 金 は、減 額 修 正 された段 階 で、個 別 財 務 諸 表 において認 識 した将 来 減 算 一 時 差 異 が消 滅 するため、これに対 して計 上 した繰 延 税 金 資 産 を取 り崩 すことになります。 次 のように子 会 社 に対 する債 権 の回 収 可 能 性 に懸 念 があり、税 務 上 の損 金 算 入 限 度 額 以 上 に貸 倒 引 当 金 を計 上 したような場 合 は無 税 で処 理 されている部 分 と有 税 で処 理 されている部 分 に分 けて税 効 果 の仕 訳 を行 います。
11 親会社の損金算入限度額 800 → 無税 有税引当額 200 → 有税 個別財務諸表上の税効果認識額 80(=200×実効税率 40%) 親会社の個別財務諸表上の仕訳 (借方)繰延税金資産 80 (貸方)法人税等調整額 80 連結消去仕訳 (借方)買掛金 1,600 (貸方)売掛金 1,600 (借方)貸倒引当金(無税) 800 (貸方)貸倒引当金繰入 800 (借方)貸倒引当金(有税) 200 (貸方)貸倒引当金繰入 200 税効果に影響する仕訳 (借方)法人税等調整額 320 (貸方)繰延税金負債 320 (借方)法人税等調整額 80 (貸方)繰延税金資産 80 無 税 部 分 の税 効 果 : 320=800×実 効 税 率 40% 有 税 部 分 の税 効 果 : 80=200×実 効 税 率 40% 業績が悪化した連結子会社に対する貸倒引当金の減額修正 連 結 会 社 相 互 間 の債 権 債 務 の相 殺 消 去 に伴 い減 額 修 正 された貸 倒 引 当 金 が、税 務 上 損 金 算 入 され たものであれば、減 額 修 正 により将 来 加 算 一 時 差 異 が発 生 し、この将 来 加 算 一 時 差 異 に対 して連 結 手 続 上 、原 則 として繰 延 税 金 負 債 を計 上 しますが、債 務 者 である連 結 子 会 社 の業 績 悪 化 に伴 い、債 権 者 が個 別 財 務 諸 表 上 で貸 倒 引 当 金 を計 上 し、税 務 上 損 金 算 入 した場 合 には、当 該 将 来 加 算 一 時 差 異 につき税 効 果 を認 識 しないことになります。これは、税 務 上 の損 金 算 入 が認 められる貸 倒 引 当 金 が、債 権 債 務 の相 殺 消 去 に伴 い減 額 修 正 されても、債 権 が回 収 されない限 り、将 来 加 算 一 時 差 異 に 係 る税 金 は将 来 においてその支 払 いが見 込 まれないと考 えられるからです。
12 3.新 規 連 結 と税 効 果 会 計 親 会 社 がある会 社 の支 配 を獲 得 した場 合 には、新 規 連 結 となりますが、新 規 連 結 の場 合 には、支 配 獲 得 日 において、子 会 社 となる会 社 の資 産 及 び負 債 の全 てを支 配 獲 得 日 の時 価 により評 価 する方 法 (全 面 時 価 評 価 法 )により評 価 します(連 結 基 準 20)。時 価 評 価 に伴 い、子 会 社 の資 産 及 び負 債 の時 価 による評 価 額 と当 該 子 会 社 の税 務 上 の資 産 ・負 債 の帳 簿 価 額 に乖 離 (かいり)が生 じますが、この 乖 離 が一 時 差 異 となり繰 延 税 金 の計 上 の検 討 が必 要 になります。以 下 、設 例 により説 明 します。 <条 件 > (1)3 月 決 算 会 社 である P 社 (公 開 企 業 )は、×1 年 3 月 末 に A 社 の株 式 の 80%を 2,500 で買 収 し子 会 社 化 した。 (2)×1 年 3 月 末 における P 社 、A 社 の個 別 貸 借 対 照 表 は、以 下 のとおりである。 (3)A 社 の個 別 財 務 諸 表 上 、時 価 評 価 すべき資 産 は土 地 であり、支 配 獲 得 時 の時 価 は、3,000 であ る。 (4)実 効 税 率 を 40%とする。 <支 配 獲 得 時 の連 結 仕 訳 > (1)土地の時価評価替え (借方)土地 600 (貸方)評価差額 600 (2)評価差額に係る税効果の認識 (借方)評価差額 240 (貸方)繰延税金負債 240 計算 式=600×40%=240 評 価 差 額 は、一 時 差 異 であることから、税 効 果 が認 められるため繰 延 税 金 負 債 が計 上 されます。 評 価 替 え後 の A 社 貸 借 対 照 表
13 (3)資本連結
14 税効果会計
第 4 回 :その他 有価証 券の評価差 額に対する税効果 会計
2010.08.06 その他 有 価 証 券 の時 価 評 価 に伴 い発 生 する評 価 差 額 は、税 効 果 会 計 適 用 上 の一 時 差 異 に該 当 し、 これについて繰 延 税 金 資 産 又 は繰 延 税 金 負 債 が認 識 されます。 1.原 則 的 な処 理 評 価 差 額 を、評 価 差 損 と評 価 差 益 に区 分 し、銘 柄 ごとに繰 延 税 金 資 産 又 は繰 延 税 金 負 債 を認 識 しま す。 2.許 容 される処 理 ①その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 のうちスケジューリング(一 時 差 異 の将 来 解 消 見 込 年 度 のスケジューリ ングをいいます)が可 能 なもの 原 則 的 な処 理 と同 様 に、評 価 差 額 を評 価 差 損 と評 価 差 益 に区 分 し、銘 柄 ごとに評 価 差 損 (将 来 減 算 一 時 差 異 )については回 収 可 能 性 を検 討 した上 で繰 延 税 金 資 産 を認 識 し、評 価 差 益 (将 来 加 算 一 時 差 異 )については繰 延 税 金 負 債 を認 識 します。 ②その他 有 価 証 券 の評 価 差 額 のうちスケジューリングが不 能 なもの 評 価 差 額 を評 価 差 損 と評 価 差 益 に区 別 することなく、各 合 計 額 を相 殺 した後 の純 額 の評 価 差 損 又 は評 価 差 益 について、繰 延 税 金 資 産 又 は繰 延 税 金 負 債 を認 識 します。 (ア)純 額 で評 価 差 益 の場 合 純 額 で評 価 差 益 の場 合 には、繰 延 税 金 負 債 を認 識 します。ただし、当 該 評 価 差 益 はスケジューリン グ不 能 な将 来 加 算 一 時 差 異 ですので、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の判 断 に当 たっては、評 価 差 額 以 外 の将 来 減 算 一 時 差 異 とは相 殺 できないものとして取 り扱 います。 (イ)純 額 で評 価 差 損 の場 合 純 額 の評 価 差 損 はスケジューリング不 能 な将 来 減 算 一 時 差 異 ですので、原 則 として当 該 繰 延 資 産 の回 収 可 能 性 は無 いものとして取 り扱 います。ただし、その他 有 価 証 券 は、通 常 は随 時 売 却 が可 能 であり、長 期 的 には売 却 が想 定 される有 価 証 券 ですので、会 社 の業 績 等 の状 況 を回 収 可 能 性 の判 断 基 準 とすることができるとされます。業 績 等 の状 況 を判 断 基 準 とするということは、「委 員 会 報 告 66 号 」における①分 類 ~⑤分 類 への当 てはめにより、回 収 可 能 性 の判 断 基 準 とするものであり、以 下 の場 合 には、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 についても回 収 可 能 性 があると判 断 されま す。15 (1)①(期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社)分類及び②(業績は安 定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社)分類の場合 純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 につき、回 収 可 能 性 があると判 断 します。 (2)③(業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社)分類及 び④(重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社)分類のただし書きの会社 将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 からスケジューリング可 能 な一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 を限 度 として、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 しているときは、 当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があると判 断 します。 <設例> 1.原則的な処理 仕 訳 A 株 式 (借方) 投資有価証券 1,000 (貸方) 有価証券評価差額金 600 繰延税金負債 400 B 株 式 (借方) 有価証券評価差額金 300 (貸方) 投資有価証券 500 繰延税金資産 200 C 株 式 (借方) 投資有価証券 300 (貸方) 有価証券評価差額金 180 繰延税金負債 120 D 株 式 (借方) 有価証券評価差額金 300 (貸方) 投資有価証券 300 ※回 収 不 能 として繰 延 税 資 産 は計 上 しない
16 まとめ (借方) 投資有価証券 500 (貸方) 有価証券評価差額金 180 繰延税金資産 200 繰延税金負債 520 2.許容される処理 (1)スケジューリング可 能 なものとスケジューリング不 能 なものが混 在 している場 合 ※ ① スケジューリング可 能 であり回 収 可 能 であると判 断 された銘 柄 仕 訳 A 株 式 (借方) 投資有価証券 1,000 (貸方) 有価証券評価差額金 600 繰延税金負債 400 B 株 式 (借方) 有価証券評価差額金 300 (貸方) 投資有価証券 500 繰延税金資産 200 ② スケジューリング不 能 と判 断 された銘 柄 仕 訳 (借方) 投資有価証券 100 (貸方) 有価証券評価差額金 60 繰延税金負債 40 スケジューリング不 能 と判 断 された銘 柄 については、純 額 で評 価 差 益 となるので、繰 延 税 金 負 債 を認 識 します。 ①と②の合 計 仕 訳
17 (借方) 投資有価証券 600 (貸方) 有価証券評価差額金 360 繰延税金資産 200 繰延税金負債 440 (2)全 てスケジューリング不 能 であり、純 額 で評 価 差 損 となる場 合 ア.委 員 会 報 告 66 号 5.(1)の①及 び②に該 当 する会 社 の場 合 仕 訳 (借方) 有価証券評価差額金 540 (貸方) 投資有価証券 900 繰延税金資産 360 委 員 会 報 告 66 号 の①及 び②分 類 に該 当 する場 合 には、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 につき、 回 収 可 能 性 があると判 断 します。 イ.委 員 会 報 告 66 号 5.(1)の③及 び④のただし書 きに該 当 する会 社 の場 合 前 提 :将 来 5 年 間 の課 税 所 得 の見 積 額 2,000 仕 訳 (借方) 有価証券評価差額金 700 (貸方) 投資有価証券 900
18 繰延税金資産 (※5)200 ※5.純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 の総 額 =500×40%=200・・・・・・ ① 委 員 会 報 告 66 号 の③及 び④分 類 ただし書 きに該 当 する場 合 には、将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 からスケジューリング可 能 な一 時 差 異 の解 消 額 を加 減 した額 を限 度 として、純 額 の評 価 差 損 に係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 することとなります。
19 税効果会計
第 5 回 :平成 23 年税制 改正 における税率変 更等 の影響
2012.04.23 新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行貴久 1. 改 正 の概 要 平 成 23 年 税 制 改 正 のうち、税 効 果 会 計 に特 に影 響 を与 える改 正 として、以 下 のものが挙 げられます。 これらは、平 成 23 年 12 月 2 日 に公 布 され、平 成 24 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する事 業 年 度 から適 用 され ます。また、これらの改 正 をうけて、「税 効 果 会 計 に関 する Q&A」(日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 計 制 度 委 員 会 )も平 成 24 年 2 月 14 日 に改 正 されています。 (1)法人税率の引き下げと 3 年間の復興特別法人税の創設 法 人 税 率 が従 来 の 30%から 25.5%へと引 き下 げられました。また、平 成 24 年 4 月 1 日 から平 成 27 年 3 月 31 日 内 に最 初 に開 始 する事 業 年 度 開 始 の日 から同 日 以 後 3 年 を経 過 する日 までの期 間 内 の 日 の属 する事 業 年 度 において、法 人 税 額 (基 準 法 人 税 額 )の 10%を税 額 とする復 興 特 別 法 人 税 が新 たに創 設 されました。 (2)欠損金の繰越控除制度の見直し 繰 越 期 間 の延 長 現 行 の欠 損 金 繰 越 期 間 は 7 年 ですが、平 成 20 年 4 月 1 日 以 後 終 了 の事 業 年 度 に発 生 した欠 損 金 は、繰 越 期 間 が 9 年 になります。 欠 損 金 の控 除 限 度 額 事 業 年 度 の所 得 から控 除 できる欠 損 金 の限 度 額 は、平 成 24 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する事 業 年 度 より、 繰 越 控 除 前 の所 得 の 80%となります。この改 正 は中 小 法 人 等 には適 用 されませんが、大 法 人 の 100%子 法 人 である中 小 法 人 には適 用 されます。 2. 税 制 改 正 による会 計 上 の影 響 (1)法定実効税率の変更 法 人 税 率 が引 き下 げられたこと、および 3 年 間 の復 興 特 別 法 人 税 の創 設 により、各 年 度 の法 定 実 効 税 率 は図 表 1 のように算 定 されます(東 京 都 、資 本 金 1 億 円 超 、3 月 決 算 会 社 を前 提 とします)。 図表 120 法 定 実 効 税 率 は、復 興 特 別 法 人 税 を含 めた以 下 の式 で算 定 します。 改 正 税 法 の公 布 日 は平 成 23 年 12 月 2 日 です。改 正 税 法 が決 算 日 までに交 付 されている場 合 は、改 正 後 の税 率 を適 用 することとされています(個 別 税 効 果 実 務 指 針 18 項 )。改 正 により、実 効 税 率 が年 度 によって異 なることとなりましたので、一 時 差 異 および税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の回 収 または支 払 のス ケジューリングにもとづき、回 収 または支 払 が見 込 まれる事 業 年 度 の税 率 を用 いて繰 延 税 金 資 産 およ び繰 延 税 金 負 債 を計 算 します。 監 査 委 員 会 報 告 第 66 号 における①分 類 の会 社 (第 2 回 参 照 )においても、一 時 差 異 解 消 のスケジュ ーリングを実 施 して、回 収 または支 払 の見 込 まれる年 度 の実 効 税 率 で繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 を計 算 します(「税 効 果 会 計 に関 する Q&A」Q14)。 スケジューリングが不 能 な一 時 差 異 については、復 興 特 別 法 人 税 が課 税 される期 間 に解 消 するとは見 込 めないことから、復 興 特 別 法 人 税 が課 税 されない年 度 の税 率 (図 表 1の平 成 28 年 3 月 期 以 降 の税 率 )を用 いて繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 を計 算 します。また、その他 有 価 証 券 評 価 差 額 金 のう ちスケジューリングが不 能 なものについて、評 価 差 益 と評 価 差 損 の純 額 について繰 延 税 金 資 産 および 繰 延 税 金 負 債 を計 上 している場 合 も、同 様 の考 え方 により復 興 特 別 法 人 税 が課 税 されない年 度 の税 率 を用 います(「税 効 果 会 計 に関 する Q&A」Q14)。 (2)既に計上された繰延税金資産および繰延税金負債の再計算 既 に当 期 首 までに計 上 されていた繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 についても同 様 に、回 収 又 は支 払 が見 込 まれる年 度 の、改 正 後 の税 率 により再 計 算 し、繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 の金 額 を 修 正 します。この修 正 差 額 は損 益 計 算 書 の法 人 税 等 調 整 額 に計 上 します。ただし、その他 有 価 証 券 評 価 差 額 金 など、直 接 に純 資 産 の部 に計 上 される項 目 にかかる繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 の修 正 差 額 は、評 価 差 額 に直 接 に加 減 (連 結 上 はその他 包 括 利 益 に表 示 )します。
21 (3)欠損金の繰越控除制度の見直しによる影響 欠 損 金 の繰 越 期 間 が 9 年 に延 長 されること、および所 得 から控 除 できる欠 損 金 の限 度 額 が繰 越 控 除 前 の所 得 の 80%となることは、図 表 2 のように税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の回 収 のスケジューリングに影 響 を与 えます。 図表 2 改 正 前 改 正 後 改 正 後 の規 定 にもとづいて税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の回 収 スケジュールを見 直 し、一 時 差 異 と同 様 に回 収 又 は支 払 が見 込 まれる年 度 の改 正 後 の税 率 により繰 延 税 金 資 産 を計 算 します。 3. 税 制 改 正 に伴 う注 記 に関 する留 意 事 項 (1)税率変更の影響額の注記 税 率 の変 更 により繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 の金 額 が修 正 されたときは、その旨 および影 響 額 (繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 の金 額 の修 正 額 )を注 記 する必 要 があります(財 務 諸 表 等 規 則 8 条 の 12③、連 結 財 務 諸 表 規 則 15 条 の 5③)。この影 響 額 は、期 末 における一 時 差 異 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 の残 高 について、改 正 前 の税 率 で計 算 した金 額 と、新 税 率 で計 算 した金 額 との差 額 とし て算 出 します(「税 効 果 会 計 に関 する Q&A」Q14)。 期 末 時 点 の一 時 差 異 等 について影 響 額 を算 出 するため、改 正 税 法 公 布 日 を含 む四 半 期 ( 3 月 決 算 会 社 の場 合 は、第 3 四 半 期 末 (平 成 23 年 12 月 31 日 ))において算 出 ・注 記 した影 響 額 と、事 業 年 度 末 において算 出 する影 響 額 とは、当 然 には一 致 しないことになります。 また、会 社 法 計 算 書 類 については、会 社 計 算 規 則 には税 率 変 更 に関 する注 記 の規 定 はありませんが、 会 社 の財 産 ・損 益 の状 況 を正 確 に把 握 するために必 要 な事 項 として、追 加 情 報 としての注 記 を記 載 す ることが考 えられます(会 社 計 算 規 則 98 条 I⑮、116 条 )。
22 (2)税率差異の注記 税 率 差 異 の注 記 (法 定 実 効 税 率 と損 益 計 算 書 における法 人 税 等 の負 担 率 との差 異 の内 訳 の注 記 )に おける法 定 実 効 税 率 は、当 年 度 の税 率 を指 します(財 務 諸 表 等 規 則 8 条 の 12②、連 結 財 務 諸 表 規 則 15 条 の 5②)。すなわち、繰 延 税 金 資 産 および繰 延 税 金 負 債 の計 上 に用 いた、将 来 年 度 の税 率 ではな く、当 年 度 の法 人 税 等 の計 算 に適 用 される税 率 を指 します。