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とっきょの話:ビジネス関連発明の動向

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Academic year: 2021

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(1)5 特許庁特許審査第四部電子商取引. [email protected]. 「ビジネス関連発明」とは何かご存じですか? 最近,. いるのです.. 新聞・雑誌で「ビジネス特許」の話題を見かけない日は. なお,ビジネス方法の特許という言葉から,事業方. ないくらいですから,名前くらいは聞いたことがある. 法や営業方法そのものが特許の対象となったと受け止. と思います.. める方も少なくないようです.しかしながら,従来か. 1998 年 7 月に米国で「『ビジネス方法』に該当するから. らも「発明」には該当しないとして保護対象ではなかっ. といって直ちに特許にならないとはいえない」とする判. た「ビジネスのやり方(人為的取決め)」が,新たに特許. 決(ステート・ストリート・バンク判決☆ 1)が出された. 制度の保護対象となったわけではありません.. ことなどを契機として,ビジネス方法の特許が注目を. 今回は,どのようにビジネス関連発明の審査を行っ. 集めています.. ているかを中心に紹介させていただくことで,ビジネ. 背景には,情報技術(IT)の発達があります.IT の進歩. ス関連発明の概要を把握する参考となればと思います.. により,ソフトウェアの応用可能性が広がってきた結. なお,本稿においては,「ビジネス方法の特許」や「ビジ. 果,ビジネス上のアイディアを汎用コンピュータや既. ネスモデル特許」等を総称して「ビジネス関連発明」と. 存のネットワークを利用して実現する事例が多く見ら. 呼ぶことにします.. れるようになってきました.ソフトウェア特許自体は, 今日ビジネス方法の特許と呼ばれているものも含め, 以前より存在していましたが,広告,流通,金融その 他のサービス分野などこれまで特許制度との関係が希 -1 ☆ 2 に示します.. 薄であった分野,業種においても,こうした事例が見. 最近の公開公報発行件数を. られるようになってきたのです.. 2001 年の公開件数が急増しています.我が国の出願. このような事例においては,コンピュータやネット. 公開制度☆ 3 を考慮すると,冒頭で説明しましたステー. ワークそのものには技術的特徴が乏しいため,その発. ト・ストリート・バンク判決を契機として,ビジネス. 明により,どのようなビジネス(アイディア)を実現し. 関連発明に注目が集まり,出願件数が増加したもので. ようとしているかという側面に注目が集まりがちです.. あると推測されます.参考までに,ビジネス関連発明. このため,これらはビジネス方法の特許とも呼ばれて. が急増するまでの,ソフトウェア関連発明の特許の取. 908. 43巻8号 情報処理 2002年8月. −1−.

(2) ☆1 ☆2 ☆3. State Street Bank & Trust Co. v. Signature Financial Group Inc., 149 F. 3d 1368, 47 USPQ2d 1596(Fed. Cir. 1998).たとえば, http://www.ll.georgetown.edu/Fed-Ct/Circuit/fed/opinions/97-1327.html 特許庁HPに掲載されている特許情報検索データベースの特許電子図書館(IPDL)から公開件数を抽出しました. 出願公開制度とは,通常,特許出願の日から 1 年 6 カ月を経過したときには,出願公開(「公開特許公報」の発行)をしなければならな いとする制度(特許法第 64 条)のことです.図-1 を例にみると,2001 年の公開件数は,1999 年 7 月から 2000 年 6 月までの間に出願され た特許出願であると推測されます.. 連載. Series. 6,000 各種業務システム 5,000. 金融・保険業 電子商取引. 公 開 件 数. 支払い・決済. 4,000. 要素技術 3,000. 2,000. 1,000. 0 1998. 1999. 2000. 2001. 公開年. -1. 特許取得パターン 70年代半ば頃. 典型的特許 電卓,キーボード,論理回路等. 電卓型特許 ・装置 (ハード) の特許. 80年代初め頃. マイコン制御の電気釜. マイコン型特許 ・装置,機器の特許 (マイコン制御) ・プログラムはハード制御用. 80年代半ば頃. ワープロ. ワープロ型特許 ・装置の特許 (プログラムの持つ機能に特徴) ・プログラムはハード制御用に限らない. 96∼97年. ソフトウェア媒体型特許. (ワープロのROMに格納 されたプログラムが かな漢字変換を実現). かな漢字変換 プログラム. かな漢字変換プログラム (CD-ROM). ・媒体 (CD-ROM等) の特許 (プログラムの持つ機能に特徴) 媒体 ・プログラムはハード制御用に限らない 今般. (マイコン回路が釜の 温度制御を実現). 制御用マイコン. (FDに記録されたプログラムが パソコンでかな漢字変換を実現) 媒体に記憶された プログラム. ネットワーク型特許. サーバ. ・ネットワーク上で流通するプログラムの特許 ネットワーク. (サーバからネットワークを 介してダウンロードされた プログラムがパソコン上で 動作). -2. -2 に示します.このように,時代. また,どのようなものであれば,特許の取得が可能な. とともに「発明」に占めるソフトウェアの割合が大きく. のでしょうか.特許庁の HP で掲載している「特許にな. なってきています.. らないビジネス関連発明の事例集」の例と,実際に特許. 得パターンの動向を. それでは,従来のソフトウェア関連発明とビジネス. となった事例を例に,従来のソフトウェア関連発明と. 関連発明は,どのように異なっているのでしょうか.. ビジネス関連発明とを比較してみたいと思います. IPSJ Magazine Vol.43 No.8 Aug. 2002. −2−. 909.

(3) ☆4. 特許法では,発明の定義を「自然法則を利用した技術的思想のうち高度なもの」 (特許法第 2 条)としていることから,「アンケート実施者」という「人」の 精神的活動に基づく行為である各ステップは物理的な法則などの自然法則を利用したものではありませんから,全体として「自然法則を利用した技術的 思想」に該当しないと判断します.そして,この審査実務における判断は,この連載の 3 回目で掲載されました「コンピュータ・ソフトウェア関連発明の 審査基準の概要」のように, 「審査基準」に従っています.. 対象者抽出, 質問項目作成. アンケート実施. 分析・提示. 顧客リスト 氏名 年齢 職業. 20 15 10 5 0. 家族用アンケート 質問1 質問2 質問3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10. 端末. コンピュータネットワーク. 客層2 (新婚). 客層1 (家族). 客層3 (学生). -3. では,なぜ特許にならないのでしょうか. この事例は,コンピュータネットワークは,市場調 査・分析をしようとする人(アンケート実施者)がアン ケートの送付と回収を実施するための道具として用い ているにすぎません.そして,この市場調査・分析方 まず,特許にならない事例について説明します.次. 法を行う一連のステップをコンピュータが行うもので. -3 に示す事例は,ビジネス関連発明で比較的多く見. はありません.このため,この発明は全体として自然. の. 法則☆ 4 を利用しているものとはいえないことになりま. られるものです.. す.図-3 のコンピュータネットワークの部分を,電話や FAX に置き換え,顧客台帳を見ながら,アンケート実. 「【特許請求の範囲】 市場調査対象となる商品と調査目 的を入力するステップと,顧客管理情報に基づいて,. 施者が電話や FAX でアンケートを実施している様子を. アンケート対象者を客層ごとに抽出するステップと,. 思い描いてみると,直感的なイメージが沸くのではな. 客層ごとに,その客層と調査目的に対応する質問項目. いでしょうか.すなわち,この事例は,コンピュータ. を決定するステップと,抽出された各客層のアンケー. を電話や FAX と同じように単なる道具として使ってい. ト対象者に対して,コンピュータネットワークを介し. るにすぎないのです.また,ソフトウェア特許とも内. て対応する質問項目からなるアンケートを送付し,コ. 容が相違していることも,直感的に理解していただけ. ンピュータネットワークを介して回答を回収するステ. るのではないでしょうか.. ップと,回答について客層ごとにかつ質問項目ごとに. 上述しましたが,急増したビジネス関連発明は,こ. データ集計するステップと,集計結果を,客層ごとに. のような事例が多く,特許にならない案件が少なくな. かつ質問項目ごとに端末に表示するステップと,から. いのも,この分野の特徴かもしれません.. なるコンピュータネットワークを利用した市場調査・. 3145667. 分析方法.」. それでは,実際に特許になった事例(. -4)を紹介し. ます.. 簡単に説明をしますと,アンケート実施者が,コン ピュータを利用して,アンケートを作成し,アンケー トを実施し,その回答を客層ごとに集計を行うという. 「【特許請求の範囲】 ネットワークに接続され,当該ネ ットワーク上に複数のコンテンツにより形成される電. ものです.. 910. 43巻8号 情報処理 2002年8月. −3−.

(4) ☆5. 連載. http://www.jpo.go.jp/techno/tt1303-090_kouhyo.htm. Series. (g) 復号完了通知 (f) 復号鍵 (e) 鍵要求 (贈答番号) 3. (b) 与信 (クライアント1). サーバ システム. クレジット 与信/ 決済サーバ (i) 決済 (クライアント1). クライアント. (h) 課金. 4. 2 (c) 暗号化コンテンツ および贈答番号. (a) 贈答要求. クライアント (d) 贈答 (暗号化コンテンツおよび贈答番号) 1. -4. 子市場を仮想的に構築して前記電子市場を通じてコン. された贈答コンテンツを復号化するための復号鍵を転. テンツ販売およびその課金を制御するサーバシステム. 送するというものです.. と,前記ネットワークに接続され,前記電子市場にア. この事例は,特許にならない事例と比較をした場合,. クセスしてコンテンツ購入を制御する複数の端末装置. サーバシステムと端末装置からなるシステム(コンピュ. と,を備え,前記サーバシステムに対して贈答元の前. ータ)の動作が規定されているものと理解していただけ. 記端末装置から贈答要求が行われた場合,前記サーバ. ると思います.すなわち,前述した「特許にならない事. システムから前記贈答元の端末装置へ,当該贈答元の. 例」と異なり,利用者がシステムを単なる道具として利. 端末装置が要求する暗号化された贈答コンテンツと,. 用したものではありません.. 前記複数の端末装置のいずれか 1 つの贈答先となる端末. 今回,誌面の都合上,多くの事例を紹介できません. 装置に対して前記暗号化された贈答コンテンツを復号. でしたが,ご興味のある方は,特許庁 HP に掲載されて. 化するための復号鍵を転送するために前記サーバシス. いる「特許にならないビジネス関連発明の事例集」☆ 5 を. テムが認識可能な情報であって,前記贈答コンテンツ. 参照されてはいかがでしょうか.なお,この事例集に. および前記復号鍵データに対応する情報である贈答情. 該当しなければ必ず特許を取得できるというものでも. 報とが転送され,その転送後に前記贈答先となる端末. ないことを付言しておきます. 最後になりますが,広辞苑にもあるように「ビジネス」. 装置から前記サーバシステムに対して前記贈答情報を 用いて復号要求が転送されてきた場合,前記サーバシ. とは「商業上の取引」一般を意味するものですから,か. ステムから前記贈答先となる端末装置に対して前記暗. なり広範なものが対象となります.そして,これまで. 号化された贈答コンテンツを復号化するための復号鍵. 特許との関係の薄かった広範な業界が,「ビジネス関連. を転送することを特徴とするオンライン贈答システ. 発明」をきっかけに特許に関心を持つことで,「ビジネ. ム.」. ス」と「技術」が融和し,これまでには見られなかった IT と融合した新たな商取引の方法が提案され,その商 取引の方法に改良を加えた方法が生み出されるなど,. 簡単に説明をしますと,セキュリティを確保した上 での贈答を実現できるようにするために,サーバシス. さまざまな視点からアイディアが提案されていき,こ. テム 2 から贈答元のクライアント 1 へ暗号化された贈答. れらのアイディアが,それを実現するための新技術の. コンテンツとその贈答番号とが転送された後,贈答先. 開発につながっていくなど,産業の活性化に大きく寄. となるクライアント 4 からサーバシステム 2 に対して贈. 与する可能性を秘めていると思われます.. 答番号を用いた復号要求が行われた場合,サーバシス. (平成14 年6月10日受付). テム 2 から贈答先となるクライアント 4 に対して暗号化 IPSJ Magazine Vol.43 No.8 Aug. 2002. −4−. 911.

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参照

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