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<投稿論文 研究論文>大学英語教師のモチベーション研究-教師にとってのやりがい・困難・その具体的解決法とは-

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(1)研究論文. 大学英語教師のモチベーション研究 教師にとってのやりがい・困難・その具体的解決法とは. Study of University English Teachers Motivation: Rewards, Obstacles, and Coping Strategies. 堤 理英. キーワード Key Word. 教師モチベーション、英語教育、大学教育、教育心理学 Teacher Motivation, English Education, Tertiary Education, Educational Psychology. 要旨 本研究の目的は、大学における英語教育における教育の質の向上と職場環境における質の向上に向け、 英語教師のワークモチベーションとそのメカニズムについて探求していくことである。今日、モチベー ション研究は英語教育において非常に人気のある研究分野であるが、多くは学習者のモチベーションに 関するものであり、教師モチベーションに関する研究は数少ない。本研究では、日本の首都圏における 私立大学で勤務している 15 名の英語教師にワークモチベーションに影響を与えているのかその要因、 職 務を通した仕事のやりがい、困難、その具体的解決法に焦点をあて、質問調査紙を使いて調査を実施し 結果分析を行った。結果として、内発的要因である学生の成長、学生の学習意欲・モチベーションの向 上、教師としての自己成長が教師のモチベーションに影響を与える主要な要因であること、また学生の 学習に対する意欲、モチベーションの低さ、受け身な態度、授業経営が最も困難な点であること、それ ぞれの教師がその困難に対する明確な解決法を見出していることが明らかになった。. Abstract Motivation is one of the most popular topics on language teaching and learning. However, teacher motivation is easily overlooked in the area of TESOL and applied linguistics fields. The aim of this questionnaire study on teacher motivation is to gain a better understanding of what we face in reality at work and to promote better teaching and working conditions. The questionnaires included the teachers’ demographic information such as gender and teaching experiences. Seven open-ended questions were made as a pilot study to identify what kinds of factors enhance university English teachers’ motivation. The questions include what the reward, obstacles, and specific approaches to solve the problematic aspects are. 15 English teachers at private universities in Japan participated in this study. All the participants were part-time teachers. The study vividly shows what the most significant obstacles are as well as approaches to solve the problem. Overall, it clearly gives us ideas. 82.

(2) of what motivates teachers and how it is closely related to their productivity in their daily teaching life. It analyzes what motivates these educators, factors such as daily rewards and successes throughout their career, while looking at what kinds of obstacles teachers face in their professional lives. 1. はじめに 今日のグローバル社会において、大学生の内向き志向の傾向が強まっていると言われる。英語教育分 野において、学習者のモチベーション研究が人気であることも、このことが関連しているのではないだ ろうか。英語教師は今後の日本において英語教育をより充実させていくことのできる重要な役割を担っ ている。同時に大学生に英語という国際的コミュニケーションにおけるツールとして利用されている英 語という言語のみならず、異文化に対する興味・関心を持つことができるよう、そのきっかけを与える ことが可能な重要な存在である。ワークモチベーションの高い教師は日常から多くの時間やエネルギー を教育活動にあて、学習者の興味レベル、モチベーションレベルに良好な影響を与えることが可能であ る。しかしながら、英語教育おける教師モチベーション研究はわが国においては浸透しておらず、まさ に未踏の地であると言える。 本稿は大学英語教師という職業全体像を概観し、どのような要因が大学英語教師のモチベーションに 影響する要素となるのか特定し、その職場における現状を分析し、よりよい職場環境を整備していくこ とを目指す研究である。 本研究では日本の首都圏における私立大学で勤務している 15 名の英語教師にワ ークモチベーションに影響を与えているのかその要因、職務を通した仕事のやりがい、困難、その具体 的解決法に焦点をあて、質問調査紙を使いた調査を実施し結果の分析を行った。大学という教育現場で 勤務する英語教師の生の声を反映させ、今後の英語教育に貢献できるよう、実践的な研究をめざし本研 究を行った。英語教育における主体はもちろん学習者であるが、日本における英語教育において多大な 影響を与える存在として英語教師が存在することもまた事実である。 研究対象を英語学習者のみならず、 英語教師のワークモチベーションに関して研究していくことは今後の教育において貢献する貴重な材料 となるであろう。 また本研究は教師自身が自らの英語教師としてのワークモチベーションについて、客観的にその心理 的プロセスを把握し、教師ひとりひとりが自らの英語教師という職業についてのモチベーションマネジ メントに貢献できるような研究行う為の初期段階の研究である。今後、本研究の結果を参考にリカート スケールを用いた質問調査紙を作成し教師モチベーションに関する本格的調査を行うことを目指して実 施された。具体的に本研究では以下の研究課題を設定した。 1. 大学英語教師のモチベーションに影響を与えるのはどのような要因か特定する。 2. 大学の英語教師にとって職務を通して得られるやりがい、困難、その解決法とは具体的にどのよう かものかを特定する。 2.先行研究の概観 (1)教師モチベーション 英語教師は英語学習者のモチベーションにおいて非常に大きな影響力を持っているということが明 らかになってきている。 (Nikolov, R.C. 2001) 実際に、Deci, Kasser, Ryan (1997) の研究から、教師と生 徒とのモチベーションはポジティブにもネガティブにも相互に影響を与え合っていることがふれられて. 83.

(3) いる。Martin (2006)の研究においては、教師モチベーションと学習者モチベーションが双方向に深く関 連していることが明らかになり、その複雑な関係性についても言及している。しかし実情としては英語 教員自身のモチベーションに関する研究は限定されており、明らかになっていない側面が多く存在する 分野である。Kassabgy , Boraie, Schmidt (2001) が指摘するように、多くのモチベーション研究は英語学習 者に関する研究である。特に日本においてはこれまで大学英語教員に関してのモチベーション研究は数 少なく、比較的新しい領域の研究であるといえる。Johnson (1997) 、Kassabgy, Boraie, and Schmidt (2001: 227)は、英語教師のモチベーションに影響する要因、また教師にとってのゴール、教師としての教える ということに対するそれぞれの視点に関する研究がこれまで十分になされていないことを指摘している。 さらに、Alexander(2008)は、特に教師モチベーションに関する先行研究が数少ないため、そのコンセプ トを系統だて、理論化し、日々の英語教師の実践から長い目で英語教師としてのプロフェッショナルを 養成するためのキャリア育成を行う上でのワークモチベーションとキャリアモチベーションその両方に 関して探求し、その全体像を明らかにしていく必要性を説いている。 (2)モチベーションの定義 本稿で扱っていくテーマであるモチベーションとは何かというその定義から述べていきたい。様々な 定義が存在するが、その代表的なものをいくつか上げていくと以下のようになる。Steers and Porter (1991) はモチベーションとは 1.人間の行動に活力を与えるもの、2.そのような行動をとらせるもの、3.そ の行動を維持させるものの 3 つを挙げている。モチベーションには、行動を引き起こすエネルギーの方 向性、強さ、持続性の3つの要素がある。仕事場面におけるモチベーションのことをワークモチベーシ ョンと言う。モチベーションを大きく2つに分類すると、intrinsic motivation(内因的動機) と extrinsic motivation(外因的動機)に分けられる。教師にとっての intrinsic motivation とは何かというと、Ellis(1984) によって以下のように定義されている。Self-respect of accomplishment 達成に関する個人的尊重、個人と しての成長と定義している。また Lathan (1998) は英語教師にとっての intrinsic motivation とは学生の成 長を目にすること、知的好奇心を満たし、それをさらに強化する活動を指すという。一方、extrinsic motivation に関して Herzberg et al. (1993) は、報酬、福利厚生、仕事の安定性、昇給、仕事量、職務に関 わる設備施設へのアクセスと定義付けている。 (3)英語教師モチベーションに関する先行研究 Ames & Ames (1984)は英語教員モチベーションを 3 つの要素に分類した。はじめに自己肯定感に関す る能力システム (ability system)があり、次に仕事の達成感に関わるシステム(task mastery system)があ る。そして最後に学生たちが快適な学生生活を送ることができるようサポートするシステム (moral responsibility system) の要素が不可欠であると述べている。さらに、3 つの職業満足必要条件要素として、 Barnabe & Burns (1994) は仕事を価値のある体験とみなすこと、結果に対しての責任を負うことができる こと、 自らがどの程度仕事を効率的にこなしているか理解されていることをあげている。 また、言語 教師にとっての良い仕事とはどのようなものか Kassabgy, Boraie, Schmidt. (2001) が 4 つの要素を紹介し ている。 1 つめに、きちんと管理され運営されている職場における仕事、2 つ目にプロフェッショナル としてのステイタスを与える仕事、 3つめに仕事のやりがいを主として学生や教室内から得られる仕事、 4つめに刺激的な雰囲気でさらに教育者としての知的好奇心を高めるやりがいのある仕事と定義をして いる。同時に Kassabgy, Boraie, Schmidt (2001)は教員にとっての 5 つの基本的ニーズについても言及して いる。 人間関係(relationship orientation) 、外的要因モチベーション(extrinsic motivation) 、自律の要求 (autonomy needs) 、自己認識要因(self-realization factor) 職場から得られる援助に関する要求(institutional support needs) に分けて教員のモチベーションに関して具体的に様々な観点から定義付けている。 さらに、. 84.

(4) 教師モチベーションには 4 つの側面があることを Dornyei & Ushioda (2011:160) は以下のように説明して いる。 1. 教師モチベーションには主要な構成要素として顕著に内因性要素を含んでいる。 2. 教師モチベーションは組織、制度上の要求や職場における制約条件、職業に関する顕著な社会にお ける側面の関連要素と密接に関わりがある。 3. 教師モチベーションは他のすべてのキャリアモチベーションタイプと同様に、教師モチベーション とは長期にわたり生涯を通してみられる主要な時間軸(キャリア構造や昇進の可能性などに関して もっとも明確に反映される事柄)に関して調査すること。 4. 教師モチベーションは特にもろく壊れやすく、潜在的に教員という職業に存在していることから 様々な否定的影響にさらされていることが明らかになってきている。 (4)教員モチベーション内因的要因の重要性 これまでの研究で明らかになっている特徴的な内容として挙げられるのが、英語教師のモチベーショ ンは一般的に内的要因に関しては満足度が高いという点である。一方、外的要因、具体的に述べるとワ ーキングコンディション、給与、職の安定性、昇進の機会を含む事柄に関する不満足度が高いというこ ともこれまでの研究で明らかになっている。(Pennington 1991, Pennington and Riley 1991, McKnight 1992, Pennington and Ho 1995, Johnson 1997, Waites 1999, Kassabgy, Boraie, and Schmidt 2001, Senior 2006)内的要因 に関して、Csikszentmihalyi (1997)は教員にとっての報酬を2つに分類した。1 つ目が教育プロセスそのも のの中にあり、それは学生との日々のやりとりを通して教師自身の行動の影響で学生のパフォーマンス や行動に変化が見られ、それを実感できることが挙げられる。2 つ目に教科に関する事項が挙げられる。 それは、 評価されている領域で新しい情報を継続的に統合し、専門的スキルや知識の向上をしていく取 組みに関する内容である。Deci & Ryan(1985)の内的要因に動機付けられる行動に関する 3 つのニーズ (1985)については以下の 3 つに区分されている。自律(人間の行動の基となる経験をすること) 、関連 性(他の個々人と関わっていることまた心理的距離の近さを感じること) 、能力(有能感・やりがいを感 じること)に分類されている。 (5)英語教師にとっての挑戦 英語教師という職業における困難な点に関して、Dornyei & Ushioda(2011:168)は以下のように説明 している。そもそも英語教師という職業は一般的に極めてストレスレベルの高い職業であること、さら に今日教師の自律性に関する規制が増えていること(設定されたカリキュラム、テスト、教授法などに 関する指示を含む) 、 クラスマネージメントやグループリーダーシップに関する研修を十分に受けていな い教員のもろい自己肯定感、日々の連続的・反復的教室内での活動において知的挑戦を維持していくこ との困難さ、明確なキャリア構造が存在しないこと、経済的なコンディションが他の専門職(医者や弁 護士)と比較すると劣悪なことが具体的に挙げられた。 3.方法 (1)研究協力者 国内関東圏の私立大学で教鞭を取っている英語教師30名に質問調査紙を配布し15名から回答を得た。 研究協力者の内訳は以下のようになる。男性 6 名、女性 9 名、日本人 9 名、英語母語話者 5 名、その他 (アフリカ)1 名で構成されており、研究協力者全員が非常勤講師であった。大学英語教師経験に関し ては、1 年~5 年(4 名) 、6 年~10 年(2 名) 、11 年から 15 年(3 名) 、16 年~20 年(3 名) 、21 年以上 (3 名) 、教職歴は 2 年から 40 年にわたり、研究協力者の平均教職年数は 14 年である。本研究への参加 は完全に自由意思に基づくこと、研究参加者の匿名性が完全に守られることをインフォームドコンセン. 85.

(5) ト配布した上で、研究を行った。本研究は教師ひとりひとりの大学英語教師としと職業に関する個人的 視点、経験、そのキャリア全体を調査する研究であるため倫理的観点からの配慮も十分考慮した。 (2)質問調査紙 本研究を行うにあたり、大学英語教員のワークモチベーションを探るため、質問調査紙を作成した。 大学英語教師の仕事を通して得られるやりがい、困難、その解決法を含むオープンエンディッドクエス チョンとその研究参加者のバックグラウンド情報(性別、日本人・ネイティブ、常勤・非常勤、教師歴 を含む)を作成し調査のために使用した。本研究は次の研究におけるリカートスケールクエスチョン を 作成するための予備研究として行われた。質問調査紙を配布した時期は、10 月の中旬である。学期の始 め、中間テスト、期末テスト前後の多忙な時期を避け教師たちが回答する時間が十分に持てる時期を考 慮して配布をした。配布の方法は、本研究を行った研究者の同僚職場に設置されたメールボックスに配 布をし、研究者のメールボックスに入れるよう伝えた。さらに研究者の知人、また同僚の知人には e メ ールで送受信を行った。 4.結果 (1)仕事のやりがい 教師はやりがいのある職業であると一般によく言われるが、実際に教師自身にとって職業を通して得 られるもっともやりがいを感じる点とは、どのような事柄なのであろうか。教師のモチベーションを高 める事柄とは何かを探るために質問を設定した。また英語教師たちはどの程度職務を通してやりがいを 感じているのかリカートスケールクエスチョンで尋ねたところ、英語教師 15 名中 5 名(33%)が強くそ う思う、9 名(60%)がそう思う、1 名(7%)がどちらともいえないと回答した。そう思わない、まったくそ う思わないと回答した者は 1 名もおらず、この結果から研究協力者全員がやりがいを感じながら大学英 語教師という職業に携わっていることがわかった。そのうち、最もやりがいを感じている教師たちはど のような教師であるのか見ていくと、その教師たちの背景はさまざまであった。日本人の女性 3 名(教 歴、5 年、26 年、40 年) 、ネイティブの男性 2 名(教歴 2 年、31 年)であった。一方、どちらとも言え ないと答えた 1 名の教師は日本人の女性で研究協力者の中で最も教師歴の短い教師であった。 次に教師のモチベーションにポジティブな影響を与える構成要素とはという質問に対し、様々な点が 挙げられた。まず、最も多くの教師がコメントした内容から順にみていくと(表 1 参照) 、7 項目挙げら れた中で 6 つの項目が内的要因モチベーションに関連しており、ひとつの項目のみが外的要因となって いる。学生から感謝されること、学生の成長を目にすること、学生のモチベーション、興味レベルが上 がることを目にすること、といように直接的な学生との日々のやりとりから日々職務に対してやりがい を感じていることがわかる。 表 1. 職務を通して得られる具体的なやりがい カテゴリー 研究参加者回答数 4 学生からの感謝 4 学生の成長 4 個人的成長 3 学生の学習に対する意欲・モチベーションの向上 2 自分の興味のある事柄を学び続け教えられる 1 学生とのつながり、助けているという実感 1 比較的長い休暇. 86.

(6) (2) 職務における困難な点 一方、大学英語教師にとって最も困難だと感じている点に関しても様々な点が挙げられた。困難な点 に関しても、やりがいと同様に学生に関わる事項に関してのコメントが回答の大部分を占めた。それぞ れの教師の回答を具体的に見ていくと、日本人からも英語母語話者からも学生のモチベーション、学習 における受け身な態度、学生自身が授業内・授業外において責任を持って取り組むべき課題を遂行する 能力の欠如が挙げられた。他方、一名の教師が、職場に通勤することが何よりも困難な点であることを 指摘した。本研究における研究参加者は全員が非常勤講師であったが、いくつかの大学で授業を担当し ていることが一般的であることから、このような外的要因、つまり労働環境労働条件に関するコメント も見られたのではないだろうか。 (3) 困難な点における具体的解決法 学生のモチベーションを上げるための様々な具体的な取り組みとして、大学英語教師たちは以下のこ とを日々の職務において実行していることが明らかになった。(表 2 参照)学生のモチベーションを向上 させるためのアプローチとして、定期的にアクティビティーの内容を変え意識的に変化を持たせる、学 生のレベルや興味に合わせてアクティビティーの難易度を調整する、授業のペースが適切か定期的に確 認をする、意味のあるフィードバックをする、入念な授業準備が具体的に挙げられた事項である。学生 の学習に対する受け身な態度に関する対応策としては、教室を快適な場所にする、積極的学生が発言し やすい授業雰囲気作りという心理的配慮、どの学生にも公平に英語を使う機会を提供することが挙げら れた。学生自身が授業内・授業外において責任を持って取り組むべき課題を遂行する能力の欠如に関し ては、学生が授業を受けた後に意味のあることを学習したという実感を持たせる授業経営を行うことを 実践することが挙げられた。また経験の浅い新人教師はクラスルームマネジメントをより円滑に行って いくのに、学生のレベル・興味・関心に関するニーズ分析と授業におけるルールつくりを実践している ことがわかった。このようにそれぞれの教師が取り入れるアプローチは様々で日々の仕事をよりよいも のにして、より学生の興味や好奇心を刺激して学生自身が多くを学ぶことができるよう日々工夫を凝ら し授業を行っていることがわかる。一名の非常勤講師が通勤の移動に時間がかかることを挙げたが、労 働環境に関わる問題に関しての解決法は見つかっていない。 表 2.教師の困難とその具体的解決方法 具体的挑 具体的解決法 戦・困難 学生のモチ 定期的にアクティビティーの内容を ベーション 変え意識的に変化を持たせる 学生のレベルや興味に合わせてアク ティビティーの内容・難易度を調整 授業のペースが適切か定期的に確認 意味のあるフィードバックを提供 入念な授業準備 学生の学習 教室内を快適な場所にする に対する受 積極的に学生が発言しやすい授業雰 け身な態度 囲気作り どの学生にも公平に英語を使う機会 を与える. 87.

(7) 課題遂行能 学生が授業を受けた後意味のある内 力の欠如 容のある何かを学習したという実感 を持たせる授業経営 授業経営 学生のレベル・興味・関心に関する ニーズ分析 授業におけるルールを作る 通勤. 解決策は見つかっていない. 5. 考察 以下のように大学英語教師のキャリア、モチベーションに関しての考察を行った。設定された 2 つの 研究課題に対してそれぞれ以下のように考察を行った。. (1)研究課題 1. 研究課題 1 に対しての考察から触れていくと、モチベーションに影響を与えるポジティブな要因とし て、学生の成長や学生から感謝されることを含む学生に直接関わることと教師としての自らの成長が主 として大学英語教師の職務を通して得られるやりがいであるということが明らかになった。それぞれの 教師が英語教師という日々の教えるという活動を通してやりがいを感じていることが明らかになった。 しかしながら外的要因に関してのコメントには触れられることがなかった。実際に多くの研究が示して いるように内的要因が教師のモチベーションに大きな影響を与えているという結果はこれまでの先行研 究の示している結果(Pennington 1991, Pennington and Riley 1991, McKnight 1992, Pennington and Ho 1995, Johnson 1997, Waites 1999, Kassabgy, Boraie, and Schmidt 2001, Senior 2006)と類似した結果となった。同時 に、教師のモチベーションにネガティブな影響を与えるのもまた学生である。学生のモチベーションレ ベルの低さ、学習に対する受け身な姿勢、学生たちの英語や学習全般に対する態度が教師に影響を与え ることがわかった。 研究課題 2 次に、研究課題2に関してそれぞれ項目ごとに分析を行った。 (2) 職業を通して得られるやりがい (Rewards) 職務を通して得られるやりがいとしては、本研究においても多くの先行研究が示すような類似した結 果を得た。やりがい・教師という職業を通して得られることはやはり、内的要因から得られるものが非 常に大きいということが明らかになり、Deci(1985)の内的要因理論と合致する結果が得られた。外から 得る報酬だけではなく、内側から湧き出るモチベーションの影響が大きいこと。さらに、Herzberg(1993) の成長欲求、教師として生涯を通じて成長し学び続けていきたいという欲求が教師の意識の中に存在す ることを本研究で改めて確認できた。 結果として、本研究における研究協力者・教師たちのモチベーションレベルが高く、大学英語教師と いう職業を非常にやりがいのある職業であるととらえている層であることが明らかとなった。様々な視 点、姿勢を持っている研究協力者からデータを取ることが心理学、教育学における研究において重要視 されるが、本研究でこのような結果になったことにはいくつかの理由があると考えられる。その理由と して考えられる点は、教師研究という分野が新しく、まだ日本の教育機関において浸透していないこと から、 教員自身が研究対象となることに教師によっては何らかの心理的抵抗感があることが考えられる。. 88.

(8) さらに、Brown (2001)が指摘しているように、回収される質問調査紙の多くは仕事熱心な者や任務に情 熱を傾けている者が多い傾向にあるということが影響していることが考えられる。 (3) 困難な点 (Obstacles) 職務における困難な点に関しては、Dornei & Ushioda(2011)上記のような指摘している様々な観点から の回答を得ることはできなかった。困難な点として上がった項目は一点をのぞきすべて教室内で直面す る困難であった。一名の新人教師がクラス経営の大変さについて触れ、その解決法としてルールを作る ことが挙げられた。 これは Deci and Ryan (1985) は新任教師の崩れやすい自己肯定感についての説明と一 致する。新任の教師たちが日々の教室内での生活の現実にもっとも激しくうちのめされていることは、 “リアリティーショック”と呼ばれ、多くの新人教師たちは始めに取り入れていた学習者主体型の教授法 を変更し、より権威的なアプローチを取り入れる傾向にあるという。 今回の研究参加者は全員が非常勤講師であったということを考慮する必要性がある。非常勤講師は学 期中いくつかの職場に通勤する必要があること、そこから派生する事象として、職の安定に関する問題 や教師自身のライフスタイルに関する事柄に関しても今後の研究において考慮していく必要がある側面 であるということに改めて考えさせられる回答であった。Dorneyi & Ushioda (2011)が指摘しているよう に、英語教師にとって明確なキャリア構造が存在しないこと、経済的なコンディションが他の専門職(医 者や弁護士)と比較すると劣っていることが関連しているのではないだろうか。 (4) 具体的解決方法 (Coping Strategies) 研究参加者は各々にそれぞれの職場における困難、学生のモチベーション、学習態度、クラスルーム マネジメント、通勤に対する具体的解決法をそれぞれに挙げた。教師自身はそれぞれ、独自の解決法を 試行錯誤しながらも見出しているようであった。今回の調査で共有された教師たちの直面している困難 な点の多くは教室内における直接的にティーチングに関わる事項であったため、その解決法も教師が 日々の英語授業において実践している内容であった。一方、労働環境・状況に関しての解決法は見つか っていない。 6. 結論 教師たちはそれぞれに教室内での困難に直面しながらも自らの解決方法を試行錯誤しつつ見つけだ し、日々の授業をよりよいものにしていく工夫を凝らしながら授業を行っている様子が本研究を通して 伝わってきた。日々の教室内での生徒の成長を目にすることにより、教師という仕事におけるやりがい を感じ、その経験からモチベーションを高め、教えるという行為に対する意欲を高めるというポジティ ブなスパイラルが全般的に多く見られた。 また本研究全体を概観して、得られた教師モチベーションに関するデータは内的要因に関わる事象に 関しては十分に取ることはできたが、外的要因に関しては触れられることがなかったため、大学英語教 師というその職務のキャリアの全体像を捉えることができなかった。しかし、今後の研究に生かせるモ チベーションに関するリサーチを始める手がかりとなる気付き、洞察を得られたことも確かである。教 員モチベーションに影響を与える要因の全体像を概観することができるよう、本研究から得られたこと を十分に生かして次の研究におけるアンケートを作成・実施を行いさらに詳細なその教師モチベーショ ン要因分析をしてその内容を検証していくことが今後の研究課題である。また今後の研究において、質 問調査紙による調査を行った後、フォローアップインタビューを行い、さらに詳細なデータを得ること によってさらに研究の質を上げていくことができるのではないだろうか。 このワーク・モチベーション研究を行うことによって、この事象に関して様々な要因が複雑に絡み合 いながら構成されている要素だということに改めて気付かされた。Martin (2006)が教師モチベーション. 89.

(9) 研究における社会心理学的観点の複雑性について触れているように、教師各々にとっての理想、目標、 短期的・長期的キャリアゴール、仕事に関する意味付け・意義など考慮すべき事項が多く存在すること に改めて気付かされた。次の研究においては、このような点を踏まえた研究を行っていくことを目指し ていきたい。 数多くの学習者モチベーションは英語教育において非常に大きな貢献をしているが、同時に教師のモ チベーションを多角的な視点から研究を発展させていくことは、今後の英語教育においての質を向上さ せていく上において大きな意義のあることなのではないだろうか。このような教師研究を今後徐々に定 着させることができればこの分野の研究もさらに発展させていくことができるのではないだろうか。今 後期待できる新たな研究分野であることを予感している。 参考文献 Alexander, P.A. (2008). Charting the course for the teaching profession: The energizing and sustaining role of motivational forces. Learning & Instruction, 18(5), 483-491. Ames, C., & Ames, R. (1984). System of student and teacher motivation: Toward a qualitative definition. Journal of Educational Psychology, 76, 535-556. Barnabe, C., & Burns, M. (1994). Teachers’ job characteristics and motivation. Educational Research, 36, 171-185. Brown, J.D. (2001). Using surveys in language programs. Cambridge, UK: Cambridge University Press. Carbonneeau, N., Vallerand, R.J., and Guay, F. (2008). The role of passion for teaching in intrapersonal and interpersonal outcomes. Journal of Educational Psychology, 100, 977-987. Csikszentmihalyi, M. (1997). Intrinsic motivation and effective teaching: A flow analysis. In Bess, J.L. (ed.), Teaching Well and Liking It: Motivating Faculty to Teach Effectively. Baltimore, MA: John Hopkins. University Press: 72-89. Deci, E. L., Kasser, T., & Ryan, R.M.(1997). Self-determined teaching in colleges and universities:Possibilities and obstacles. In J. Bess (Ed), Teaching well and liking it: Motivating faculty to teach effectively (pp. 57-71). Baltimore: The Johns Hopkins University Press. Deci, E.L. and Ryan, R.M. (1985). IntrinsicMotivation and Self-Determination in Human Behavior. New York: Plenum. Dornyei, Z. and Ushioda, E. (2011). Teaching and Researching Motivation, Harlow: Longman Ellis, T. I. (1984). Motivating Teachers forExcellence. ERIC Clearinghouse on Educational Management:ERIC Digest,Number 6. ERIC Document ReproductionService, No: ED259449. Herzberg, F and et al. (1993). The Motivation to Work. New Jersey: Transaction Publishers. Johnson, B. (1997). Do EFL teachers have careers? TESOL Quarterly, 31, 681-712. Kassabgy, O., Boraie, D., Schmidt, R. (2001). Values, rewards, and job satisfaction in ESL/EFL. In Z. Dornyei & R. Schmidt (Eds.), Motivation and second language acquisition (Technical Report #23, pp.213-237). Honolulu: University of Hawaii, Second Language Teaching and Curriculum Center. Latham, A.S. (1998). Teacher Satisfaction. Educational Leadership, Vol.55, 82-83. Martin, A.j. (2006). The relationship between teachers’ perceptions of students motivation and engagement and teachers’ enjoyment of and confidence in teaching. Asia Pacific Journal of Education 34: 73-93.. 90.

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