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看護学科における学生生活支援に対する学生評価 : アドバイザー制度に関する調査票の分析から

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Academic year: 2021

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は じ め に

現在の看護学生は,学習面,経済面,友人・家族関 係において様々な問題を抱えて入学し,入学後は,新 たなストレスが生じ学習継続が困難になる場合がある といわれている1)。そのため,学生が心身ともに安定 した学生生活を送れるよう支援が望まれており,本学 では,2007 年の看護学科開設当初より,学生生活支 援を目的にアドバイザー制度を設けている。本学にお けるアドバイザー制度は,学生の修学,学生生活,健 康,進路,人間関係など大学生活に関わる諸問題につ いて,担当のアドバイザー教員が相談できる機会と時 間を保証する制度である。 アドバイザーグループの編成は,学部生に対しては 1学年 10 名前後(4 学年で 40 名程度)の学生に教員 が 3 名,編入生に対しては編入 2 年生および 3 年生を 教員 2 名で担当している。そして,この編成および教 員は基本的には 4 年間持ち上がりとすることで,入学 から卒業まで継続した支援をすることを目指してい る。また,複数のアドバイザー教員を配置すること で,多角的な視点からのアドバイスを可能にするとと もに,学生が相談相手を選ぶ権利も同時に保障してい る。 これまで学生の支援は,教員が一方的に相談に応じ るのではなく,定期的な個人面談やグループ単位の懇 親会を実施し,学生の顕在的,潜在的な問題状況の把 握に努めてきた。また,同学年のグループ間交流のみ ならず,学年を超えた交流の機会を設け,先輩から後 輩に学生生活のアドバイスを気軽に受けられるよう配 慮してきた。 今回,学生のアドバイザー制度活用の実態やアドバ イザー制度に対する意見など明らかにすることを目的 にアンケート調査を行った。この結果は,今後の本学 の学生支援の在り方を検討し充実するための基礎資料 になると考える。 資 料

看護学科における学生生活支援に対する学生評価

──アドバイザー制度に関する調査票の分析から──

大 森 裕 子・江 島 仁 子・西 村 美登里

原 田 江梨子・吾 妻 知 美

Student’s Level of Satisfaction with the Student Life

Support System in a Nursing Program

OHMORI Hiroko, EJIMA Hitoko, NISHIMURA Midori,

HARADA Eriko and AZUMA Tomomi

抄録:甲南女子大学看護学科では,2007 年の開設当初よりアドバイザー制度を設けている。今回, 学生のアドバイザー制度活用の実態やアドバイザー制度に対する意見を明らかにする目的でアンケー ト調査を行った。結果,学生はアドバイザー制度を必要としているが,アドバイザー教員を十分に活 用できていない,学年によりアドバイザー制度の活用状況は異なる,アドバイザーグループ毎に開催 される懇親会は,メンバー交流の機会として有効に機能していることが明らかになった。 キーワード:学生生活支援,看護学生,アドバイザー制度 57

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必要である 214(71.3) 不必要である 3(1.0) どちらでもない 69(23.0) 無回答 14(4.7)

Ⅰ.研 究 方 法

1.調査対象とデータ収集期間 対象者:本学看護学科全学生 データ収集期間: 平成 24 年 2 月 21 日∼3 月 28 日。平成 23 年度後期 終了後に行われた教務課オリエンテーション時にアン ケート用紙を配布し,10 分程度アンケートを記入す るための時間を設けた。 2.データ収集内容および分析方法 1)アドバイザー制度の必要性については,「必要」 「不必要」「どちらでもない」の回答を設けた。 2)アドバイザー教員との関わりについては 4 項目 (①勉強の相談ができた,②学生生活の悩みの相談が できた,③進路の相談ができた,④就職の相談ができ た)の質問に対し「必要なかった」「全くできなかっ た」「あまりできなかった」「かなりできた」「できた」 の回答を設けた。 3)アドバイザーグループメンバー間の交流について は懇親会に関する 5 項目,①(懇親会)は有意義だと 思う,②(懇親会は)同学年の交流に役だった,③ (懇親会は)先輩との交流に役だった,④(懇親会は) 後輩との交流に役だった,⑤(懇親会は)教員との交 流に役だった)の質問に対し「全く思わない」「あま り思わない」「少し思う」「かなり思う」の回答を設け た。 4)アドバイザー教員との関わりについては,「必要な かった」「全くできなかった」との回答にはその理由 を尋ねた。 5)分析は,量的データは単純集計を行った。自由記 述に関しては文脈の意味内容を考慮しながら類似した 内容についてカテゴリー化を行った。分類の妥当性は 研究者が数回の協議を重ねることで確保した。 3.倫理的配慮 アンケートの質問内容は,看護学科全教員と倫理委 員会委員長に図り同意を得たうえで作成した。またア ンケートの実施及び結果について看護学科全教員に同 意を得た。 対象者には文書及び口頭にて研究の目的と方法およ び結果公表時の匿名性の保証と強制ではないことにつ いて説明した。アンケートは無記名とし,回収は,記 入後にその場で回収箱に投函することを依頼した。ま た,調査への参加・中止は自由で参加の拒否や中止に よる不利益のないことを説明した。

Ⅱ.結

1.調査対象と回収率 1年生 107 名,2 年生 91 名,3 年生 101 名,4 年生 69名に対し実施し た 結 果 , 回 収 率 は 1 年 生 94 名 (87.9%),2 年生 45 名(49.5%),3 年生 93 名(92.1 %),4 年生 68 名(98.6%)であった。 2.アドバイザー制度の必要性について アドバーザー制度の必要性については,全学年でみ ると「必要である」は 214 名(71.3%),「不必要であ る」は 3 名(1.0%),「 ど ち ら で も な い 」 が 69 名 (23.0%),無回答 14 名(4.7%)であった(図 1)。 学年別にみると,全学年で 60% 以上の学生がアド バイザー制度は必要であると回答しており,3, 4 年生 になると 80% 弱の学生が必要としていた。不必要と 回答した学生はごく少数であり,1, 3 年生はゼロ,2 年生 1 名(2.2%),4 年生 2 名(2.9%)であった。ど ちらでもないと回答した学生は 1, 2 年生が約 30% で あり,3 年生 14 名(15.1%),4 年生 13 名(19.1%) であった(図 2)。 3.アドバイザー教員との関わりについて 1)「教員に勉強の相談をすることができた」(図 3) 1年生と 2 年生では「できなかった(全くできなか った・あまりできなかった)」とする割合が 80% 弱と 高く,「できた(かなりできた・できた)」とする割合 は 10% 程度であった。3 年生,4 年生と学年進行とと もに「できなかった」とする割合は減少し(3 年生: 図 1 アドバイザー制度の必要性(全学年 n=300) 甲南女子大学研究紀要第 7 号 看護学・リハビリテーション学編(2013 年 3 月) 58

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0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 2 (2.9) 1 (2.2) 13(19.1) 14(15.1) 14(31.1) 28(29.8) 53(77.9) 73(78.5) 28(62.1) 60(63.8) 6 (6.5) 2 (4.4) 6(6.4) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 必要なかった 全くできなかった あまりできなかった かなりできた できた 9(13.2) 7(7.5) 5 (11.1) 10(10.6) 9(13.2) 21(22.6) 13(28.9) 30(31.9) 23(33.8) 36(38.7) 22(48.9) 44(46.8) 9(13.2) 13(14.0) 3(6.7) 2(2.1) 18(26.5) 16(17.2) 2(4.4) 8(8.5) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 必要なかった 全くできなかった あまりできなかった かなりできた できた 15(22.1) 14(15.1) 5 (11.1) 18(19.1) 9 (13.2) 18(19.3) 14(31.1) 30(31.9) 21(30.9) 38(40.9) 24(53.3) 40(42.6) 6 (8.8) 11(11.8) 1(2.2) 1 (1.1) 17(25.0) 12(12.9) 1(2.2) 5(5.3) 61.3%,4 年生:47.0%),「できた」とする割合は増 加した(3 年生:31.2%,4 年生:39.7%)。「必要なか った」は学年間で差はなく,10% 前後であった。 2)「教員に学生生活の悩みを相談することができた」 (図 4) 1年生と 2 年生は「できなかった(全くできなかっ た・あまりできなかった)」とする割合が高く(1 年 生:74.5%,2 年生:84.4%),「できた(かなりでき た・できた)」とする割合は低かった(1 年生:6.4%, 2年生:4.4%)。3, 4 年生と学年が進むにつれ「でき なかった」とする割合は減少し(3 年生:60.2%,4 年生:44.1%),「できた」とする割合(3 年生:24.7 %,4 年生:33.8%)と,「必要なかった」とする割合 (3 年生:15.1%,4 年生:22.1%)が増加した。 図 2 学年別アドバイザー制度の必要性 図 3 教員に勉強の相談をすることができた 図 4 教員に学生生活の悩みを相談することができた 大森裕子 他:看護学科における学生生活支援に対する学生評価 59

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0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 必要なかった 全くできなかった あまりできなかった かなりできた できた 14(20.6) 6 (6.5) 5(11.1) 13(13.8) 9 (13.2) 21(22.6) 12(26.7) 28(29.8) 13(19.1) 43(46.2) 23(51.1) 42(44.7) 14(20.6) 13(14.0) 0 3 (3.2) 18(26.5) 10(10.7) 5(11.1) 8 (8.5) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 必要なかった 全くできなかった あまりできなかった かなりできた できた 18(26.5) 9(9.7) 7 (15.6) 19(20.2) 10(14.7) 23(24.7) 14(31.1) 31(33.0) 12(17.6) 46(49.5) 23(51.1) 39(41.5) 10(14.7) 8 (8.6) 0 1 (1.1) 18(26.5) 7(7.5) 1(2.2) 4 (4.3) 3)「教員に進路の相談をすることができた」(図 5) 1年生と 2 年生は似たような傾向にあり,「できな かった(全くできなかった・あまりできなかった)」 とする割合が高く(1 年生:74.5%,2 年生:77.8%), 「できた(かなりできた・できた)」とする割合は 10 %程度であった。3 年生では「できなかった」とする 割合が 68.8%,「できた」とする割合が 24.7%,4 年 生では「できた」とする割合が 47.1% になり「でき なかった」とする割合(32.3%)を上回った。「必要 なかった」とする割合は 4 年生が 20.6% と最も高か った。 4)「教員に就職の相談をすることができた」(図 6) 1∼3 年生は「できなかった(全くできなかった・ あまりできなかった)」とする割合が高かった(1 年 生:74.5%,2 年生:82.2%,3 年生:74.2%)。4 年生 では「できた(かなりできた・できた)」とする割合 が 41.2% になり「できなかった」とする割合(32.3 %)を上回った。「必要なかった」とする割合は 4 年 生が 26.5% と高く,1 年生は 20.2%,2 年生は 15.6 %,3 年生は 9.7% であった。 4.アドバイザーグループメンバー間の交流について 毎年アドバイザーグループ毎に,教員を交えた懇親 会を開催しており,教員や学年を超えたグループ間で の交流を図っており,開催の時期,場所,方法などは グループに一任されている。この懇親会を学生がどの ように捉えているのかを調査した結果である。 1)「懇親会は有意義だと思う」(図 7) 懇親会を有意義と捉えている(少し思う・かなり思 う)学生の割合は高く,1 年生 78.8%,2 年生 86.7%, 3年生 78.5%,4 年生 67.6% であった。 2)「(懇親会は)同学年との交流に役立ったと思う」 (図 8) 学年間にほとんど違いはみられず,「役立った(少 し思う・かなり思う)」と答えた割合が全学年で 90% 近くみられた。 3)「(懇親会は)先輩との交流に役立ったと思う」(図 9) 「役立った(少し思う・かなり思う)」と答えた割合 は 1, 2, 3 年生では 80% 以上であった。4 年生では 63.2% と高いながら,他の学年と比較すると低く, 図 5 教員に進路の相談をすることができた 図 6 教員に就職の相談をすることができた 甲南女子大学研究紀要第 7 号 看護学・リハビリテーション学編(2013 年 3 月) 60

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0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 6 (8.8) 0 1 (2.2) 3 (3.2) 16(23.5) 20(21.5) 5 (11.1) 17(18.1) 27(39.7) 49(52.7) 27(60.0) 51(54.3) 19(27.9) 24(25.8) 12(26.7) 23(24.5) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 3 (4.4) 3(3.2) 1(2.2) 3 (3.2) 7 (10.3) 8(8.6) 4(8.9) 8(8.6) 25(36.8) 44(47.3) 24(53.3) 43(46.2) 33(48.5) 38(40.9) 16(35.6) 39(41.9) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 9(13.2) 1(2.2) 1(1.1) 1(1.1) 16(23.5) 11(12.1) 4 (8.9) 15(16.1) 23(33.8) 43(47.3) 25(55.6) 51(54.8) 20(29.4) 36(39.6) 15(33.3) 26(28.0) 「役立ったと思わない(全く思わない・あまり思わな い)」が 36.7% と高い傾向にあった。 4)「(懇親会は)後輩との交流に役立ったと思う」(図 10) 1年生以外への質問である。「役立った(少し思う ・かなり思う)」と答えた割合は 2 年生 77.8%,3 年 生 73.9%,4 年生 56.7% と全学年で 50% を超えて高 いが,4 年生が他学年に比べ低い傾向にあった。 5)「(懇親会は)教員との交流に役立ったと思う」(図 11) 「役立った(少し思う・かなり思う)」と答えた割合 は高く,1 年生 81.7%,2 年生 77.8%,3 年生 82.6%, 4年生 72.0% であった。 図 7 懇親会は有意義だと思う 図 8 同学年との交流に役立ったと思う 図 9 先輩との交流に役立ったと思う 大森裕子 他:看護学科における学生生活支援に対する学生評価 61

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0% 20% 40% 60% 80% 100% 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 11(16.4) 3(3.3) 1 (2.2) 18(26.9) 21(22.8) 9 (20.0) 22(32.8) 54(58.7) 23(51.1) 16(23.9) 14(15.2) 12(26.7) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1年生(94 名) 2年生(45 名) 3年生(93 名) 4年生(68 名) 人数(%) 全く思わない あまり思わない 少し思う かなり思う 5 (7.4) 2 (2.2) 2 (4.4) 2 (2.2) 14(20.6) 14(15.2) 8(17.8) 15(16.1) 29(42.6) 53(57.6) 28(62.2) 60(64.5) 20(29.4) 23(25.0) 7(15.6) 16(17.2) 5.アドバイザー教員との関わりができなかった理由 (表 1) 1)各カテゴリーと学年の傾向 アドバイザー教員との関わりについて「必要なかっ た」「全くできなかった」理由として,すべての学年 で 4 つの共通する以下のカテゴリーが抽出された。 【教員に相談する事柄がなかった】は,特に悩みが なかった,必要なかったなどであった。【教員との相 談の機会がない】は,関わる機会がなかった,時間が なかったなどであった。【教員に相談しづらい】は, 話しづらい,行きにくいなどがあった。【アドバイザ ー教員以外に相談した】は,友人に相談した,他の教 員に相談したなどであった。 4つのカテゴリーで,1 年生は,【教員に相談する事 柄がなかった】が最も多く,2 年生以降は【教員との 相談の機会がない】が最も多かった。 2)【アドバイザー教員以外に相談した】について 1年生の相談相手は友人のみであった。しかし,2 年生以降はアドバイザー教員以外の教員に相談するこ とができていた。アドバイザー教員以外の相談者とし ては,各看護学領域の教員,実習担当教員,授業科目 の教員,自身の希望する領域や病院を知っている教員 であった。 3)【教員との相談の機会がない】について 1年生は,関わる機会がないことを理由とする学生 が多いが,2 年生は教員が多忙であることや教員がい る時間がわからないことを理由としていた。また,3, 4年生は,学生自身が多忙になり,学生と教員共に時 間がないことを理由としていた。また,教員との連絡 の取り方がわからないといった理由もあった。 4)【教員に相談しづらい】について 1, 2, 3年生では,教員との関係ができていないこと から,話しづらい,行きにくいといった理由が挙げら れた。さらに,3, 4 年生では,教員が忙しそうや怖く て距離がある,他の教員に伝わるのではないかなどの 教員側の理由が挙げられた。4 年生では,アドバイザ ー教員が交代したことを理由としていた。 図 10 後輩との交流に役立ったと思う 図 11 教員との交流に役立ったと思う 甲南女子大学研究紀要第 7 号 看護学・リハビリテーション学編(2013 年 3 月) 62

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Ⅲ.考

1.アドバイザー制度の活用 アドバイザー制度としてのアドバイザー教員を活用 できなかった学生の割合が「勉強」「学生生活」「進 路」「就職」のいずれにおいても高かった。 ここで問題となるのは「できなかった」とする学生 である。「できなかった」の選択には,アドバイザー 教員への相談が必要であった,相談したいという欲求 があったにも関わらず何らかの事情で叶わなかったと 読み取ることができる。また,1 年生の具体的な相談 事がない時期であっても,相談する機会を求めている ことがわかった。 大学生となり生活環境や学習方法の変化に適応して いく上で,一人で対処するには困難な状況にある場 合,第 3 者に相談するという行為は必要不可欠なもの である。ただ青年期にある学生の相談相手として最も 多いのは友人であり,教員が相談相手としてあげられ ることは少ない2),3)とされているが,現実には相談相 手としての教員へのニーズは高いことが示された。近 年の学生は対人関係をもつことが苦手で,学生間のコ ミュニケーションが不足している4) ため,本来は友人 間の交流や支え合いで解決していく内容でも,友人の 代わりとして教員を必要としていることが考えられ る。そのためにも,教員は学生の相談相手として求め られていること,その一方で学生からコミュニケーシ ョンをもつことが苦手であることを察し,入学初期か らアドバイザー学生と話をしやすい関係づくりをする ことが必要であると考える。 しかし,学年が進むに従って「できなかった」とす る学生の割合は減少し,4 年生ではすべての項目にお いて「できなかった」とする割合は 30∼40% となり, 「できた」もしくは「必要なかった」とした学生が半 数以上を占めた。「進路」「就職」など友人間では解決 できない問題が生じてくれば,学生は自らアドバイザ ー教員に相談している。また,「必要なかった」とす る割合が下の学年に比べ高い。このことは,学生がア ドバイザー教員に限定せず,適切な場所,適切な人物 に相談するという対処能力を身につけて行動に移して いると考えられる。1, 2 年生に対しては教員側からの 積極的なアプローチが求められているが,3, 4 年生に 対しては学生の主体性を育成するという視点に立った 姿勢で学生の活用ニーズに応じることも大切である。 さらに,学年を追うごとに学生と教員共に多忙であ り,時間を取りにくいことが理由であったため,教員 との時間調整やメールなどの具体的な手段を伝えるこ とも必要であると考えられた。 2.アドバイザーグループメンバー間の交流 アドバイザーグループ毎に開催される懇親会は,同 学年,先輩,後輩,教員との交流に役立っているとし ている学生が多数を占めた。開催時期は決められてい ないが,前期実習が始まる前の 4 月に実施しているグ ループがほとんどである。新たな学年が始まる時期に 行われることで,後輩にとっては先輩から学業や実習 表 1 各学年のアドバイザー教員との関わりができなかった理由 データ(件数) カテゴリー 1年生 2年生 3年生 4年生 教員との相談の機会 がない(49) ・関わる機会がない ・機会を作ることができなか った ・面談してほしい /(12) ・関わる機会がない ・交流がない ・教員がいない ・時間がない /(10) ・時間がない、タイミングが ない ・学生が機会を作れない ・関わる機会がない ・相談の仕方がわからない /(13) ・時間が合わない ・教員がいない ・面談してほしい ・実習で忙しく時間がない /(14) 教員に相談しずらい (30) ・話しづらい ・言い出せなかった ・人間関係を作れない ・行きにくい /(11) ・したいと思わない ・教員との間に距離がある ・行きにくい /(4) ・自分から訪れることがない ・話せる関係ができていない ・気を使う /(7) ・自分が原因で話づらい ・アドバイザー教員が交代し た ・教員が原因で話しづらい /(8) 教員に相談する事柄 がなかった(29) ・必要がなかった ・悩みがなかった ・話すことがない /(13) ・相談事がない ・就職のことは考えていない /(2) ・悩みがなかった ・普段から交流がある ・進路や就職のことは考えて いない /(11) ・相談することがない ・相談する内容でない /(3) アドバイザー教員以外に相談 した(18) ・友人に相談した /(2) ・周りにいる人に相談した ・授業科目の教員に相談した ・友人に相談した /(4) ・他の教員に相談した ・友人に相談した /(5) ・実習の教員に相談した ・非常勤の教員に相談した ・友人に相談した /(7) 大森裕子 他:看護学科における学生生活支援に対する学生評価 63

(8)

のことなどをきき,今後の心構えに備える貴重な情報 収集の機会になっている。特に 1 年生にとっては,新 たな環境に馴染み,ネットワーク作りを助ける機会と なっている。 しかし,懇親会開催には異なる学年間での開催日時 の調整や開催場所の確保など様々な問題も生じてい る。今後はアドバイザーグループ毎の情報交換を行 い,より有意義な懇親会が開催できるよう工夫してい くことが望ましい。

お わ り に

学生はアドバイザー制度を必要としており,アドバ イザー教員に対する様々なニーズの高さが明らかにな った。活用状況は学年によって異なっており,教員は 学生の状況に応じた働きかけが必要である。また,ア ドバイザーグループ毎に開催される懇親会は学生間, 学生・教員間の交流に役立っていることが明らかにな った。 文 献 1)松本京子,萩原一美:学生が望む学習者支援.医療 2009 ; 63(10):637−640. 2)池田望,澤田いずみ他:学生生活実態調査からみえ てきたもの−学生支援ワーキンググループ活動報告−. 札幌医科大学保健医療学部紀要 2005;第 8 号:59−65. 3)倉田真由美:高校生・大学生の相談状況と自己肯定 感との関係.思春期学 2008 ; 26(2):257−260. 4)前掲書 3) 甲南女子大学研究紀要第 7 号 看護学・リハビリテーション学編(2013 年 3 月) 64

参照

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