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フィリピン研修を終えて

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Academic year: 2021

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15 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 10, 2020 1.はじめに  2019年11月10日から23日までの2週間、フィリ ピンのマニラにあるRITM(Research Institute Tropical Medicine)に研修に行く機会を頂いた。  私がフィリピン研修に行くことを志望したのは、 日本とは生活環境・住環境が大きく異なるフィリピ ンで、どのような疾患がどのように治療されている のかを見たかったからだ。RITM は熱帯地域での感 染症の研究・治療を行っている施設であるため、日 本では見ることのない感染症の治療を見ることがで きることを期待して研修に出発した。 2.病棟での研修  一日の流れとして、朝、RITM のフェロー達のカ ンファランスに参加し、病棟の回診に同行した。 病棟の患者は、主にデング熱の患者とAIDS で結 核などの感染症にかかっている患者で、N95マスク を着用して入らなければいけない陰圧室も何室か あった。中でもデング熱の患者が最も多く、重症化 と関連するデング熱の患者の見落としてはいけない Warning signs や、治療の流れに関して詳しく教え て頂いた。Warning signs として挙げられている患 者所見には、腹痛・持続する嘔吐・肝腫大・粘膜出 血・血小板減少・倦怠感があり、入院していた患者 では、腹痛が当てはまる例が多いように感じた。デ ング熱の治療は基本的には対症療法だが、血小板が 1万台まで低下するような例もあり、適宜トラネキ サム酸など使用して治療介入していた。また、デン グ熱は重症化すると血管外への血漿の漏出により、 デングショック症候群という病態となる事がある。 これは発熱のピークがすぎた頃に発症し、放置され た場合の致死率は20〜30%と言われている。そう いう理由もあって、Warning signs のある患者の点 滴の管理は厳重になされていた。  研修の最終日には、日本からきていた研修医と RITM のフェロー達に向けて、2週間の研修の中で 印象に残った症例として、デング熱の一例と日本で のデング熱の疫学について発表する機会を頂いた (図1)。今までデング熱の患者をみたことがなかっ たため、日本で診断される症例で、輸入される国と して最も多いのがフィリピンであることなど、発表 の準備をしていた際に初めて知ったことも多くあっ た。 3.外来での研修  外来は、ARG clinic(AIDS 外来)(図2)、 Animal bite clinic(動物咬傷外来)、TB dots clinic (結核の患者に目の前で内服させる外来)などを主 に見せて頂いた。  どの外来も日本では見る機会がなかったため、新 鮮な気持ちで見学することができた。中でも印象に フィリピン研修を終えて

海外研修報告

フィリピン研修を終えて

熊谷優里 国立病院機構仙台医療センター 初期研修医 2 年次 図 1 発表の様子

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16 仙台医療センター医学雑誌 Vol. 10, 2020 フィリピン研修を終えて 残っているのはARG clinic だった。フィリピンで は1時間に一人が HIV 感染の診断を受けていると 聞き、衝撃を受けた。ARG clinic でカウンセラー として働いている男性が、自らもHIV 感染者であ り、最初に診断を受けた時はとてもショックだった が、HIV 治療薬で、希望を持つことができたと話 してくれたことが印象に残っている。 4.最後に  私が2週間の研修を通して考えていたのは、日 本とフィリピンでは、日常の診療でみるcommon disease が異なっているが、東京オリンピックなど で海外からの観光客が増え、それらの疾患の患者が 日本で自分の診察室にきた際、自分はそれを診断で きるのかということだった。RITM でフェローが診 療している姿を見学していて、RITM では行うこと ができる検査が限られているため、できるだけ詳細 な問診を取ることや、身体所見を取ることをとても 大事にしていた。その姿勢を学んで、それらの疾患 の患者を日本でみた際や、また普段の診療において も、海外渡航歴や、生活歴などの詳細な問診を取る ことを大切にしようと改めて考えるきっかけとなっ た。  今回のフィリピン研修のような、貴重な経験をさ せて頂く機会を下さった、西村先生をはじめとす る当院の関係者の方々や、ご指導いただいたRITM の方々に感謝を申し上げ、末尾の言葉とさせて頂く。 図 2 ARG clinic 図 3 フェローとの食事会

参照

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