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教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発

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Academic year: 2021

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(1)Title. 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. Author(s). 三橋, 功一. Citation. 教科教育学研究, 13: 39-61. Issue Date. 1995. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1762. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 教材研究・授業設計に焦点をあてた 初等算数教育法のプログラムの開発. 三橋功一(北海道教育大学函館校). 1.課題とその背景. これまでの教員養成のカリキュラムは、教師は広い一般的教養と深い学問的 教養を身につけたものであるべきとするアカデミズムの立場から編成されてき. た。これにより教科専門科目が重視され、教員養成における教育内容の科学化 と専門化が進展し、充実してきた。 現在の教師教育の動向は、教師としての完成教育から生涯教育の基礎教育と. しての教員養成となってきており、そこにおいて達成すべき資質能力として、. 人間的側面としてのappropriatepersonality、専門的・学問的知識としてのknow-. legecompetency、とそれらを基礎とした実践的能力としてのperformancecompetencyが提案されている。また、UNESCOのヘンドレイ(J.A.Hend-. rey、1979)は、教師教育に対して、「教えられることから一Learn量ngby. Doing一為すことによって学ぶへ」と、即ちこれまでの「講義中心の方法か ら学習者の主体性や課題に基づく自己学習へ」と、さらに、完成された教員の 養成から教師の生涯にわたる継続的な学習を中心とした教師教育を生涯教育と して位置づけ、教師の実践的能力に関わる訓練の必要性に関してその方策を提 案している。 これまでの日本における教師の実践的能力に関する研究として、教育実習指 39.

(3) 導では、小金井正巳ら(東京学芸大学)、藤岡完治(横浜国立大学)、また、教. 育実習事前・事後指導では、高橋哲郎(福井大学)、大学の「教育工学」、「教 育の方法及び技術」等の授業では、近藤勲(岡山大学)、山川信晃(京都教育 大学)の事例があり、さらに、教科教育では、望月善次(岩手大学・国語科教 育)、佐伯卓也(岩手大学・数学科教育)、飯島康男(当時:福井大学・数学科. 教育)らをあげることができる。これらの研究では、教師の実践的能力として 教授スキルに焦点をあて、マイクロティーチングの手法を用いてそれを育成す るプログラムの開発と試行がなされてきた。これらの実証的研究から、マイク ロティーチングは、教授スキル訓練に焦点をあてるのみではなく、授業実施の 事前の準備活動である教材研究や授業設計と組み合わせることにより効果があ. るとの知見を得ることができ、このことは実践的能力の育成に関する研究に示. 唆を与えている。さらに、近年の行動主義的な研究の枠組みから認知科学的な 研究の枠組みへの変化に伴い、授業研究においても教師の授業における教授行. 動と学習者の学習行動及び学力に関わる研究から、教師の思考過程とその教授 行動及びその効果へと焦点があてられるようになってきた。 しかしこのような課題が生じても、これまで教材の分析・解釈とそれに基づ く授業設計については、大学の教育方法や教科教育の授業においては殆どが講 義のみの扱いであり、具体的な教材に基づく演習に関しては、教育実習におい. て各学校の指導教官と一対一の手作業にて行うことに依存してきた。これは、 教材研究の手法とその指導に関する方法がじゅうぶん確立しているとは言え. ず、大学における講義だけではこれらに関わる技術の移転が難しいことに由来 している。. だが、授業の内容を決定しそれを如何に構成していくかという教材研究とそ. れに基づく授業設計は、授業における教師の実践的能力に大きく関わり、新し. い学力観の視点に立つ学習指導を将来教師として創造していくためには、教員 養成段階における基幹の一つである教科教育において、新たに解決を要請され てきた課題である。 40.

(4) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. 2.教科教育の授業プロゲラムに関する基本構想. 教科教育科目(算数・数学科教育法)は、児童・生徒が算数・数学科の内容 を学ぶときに指導者がどのように関わるのかという、この三者が相互に関連し た総合的な科学であると考えられる。そのプログラムは、目標論、内容論、指. 導論・方法論、評価論等の諸分野から構成される。このことから、多くの分野 の知見を集成した総合的な科学と考えられる教科教育科目の授業においては、 学生の学習・研究方法studyskillsにも焦点をあてる必要がある。 教師の実践的能力に焦点をあてた授業として、従来の講義による方法に併せ てマイクロティーチングの導入や"双方向の学生参加型"及び"学習者の主体. 性や課題に基づく自己学習"の方法を取り入れることが必要であると考える。 つまり、将来教師として授業を実施していく上で、必要な資質・能力の育成 は、自らの学び方を対象化する過程で子どもの学習とは何かを考察することか ら始まるであろう。. 教師の実践的能力は、かなり広範なものであり定義することは難しいが、こ. こでは、教員養成から現職教育まで継続的な教師教育を構想する。教員養成段. 階とりわけ教科教育における教師の実践的能力の育成は、教育実習と関連し て、授業実施のための準備段階すなわち教材研究、教材教具作成、学習指導案. 作成の活動に焦点をあてて行うこととした。即ち、教科教育の授業において考 える実践的能力は、マイクロティーチングの手法による教授スキルの訓練によ. り習得するものに焦点をあてて行うのではなく、その前提である「教材研究・ 教材教具作成・検討→学習指導案作成・検討→授業準備→実地授業」のプロセ ス、すなわち授業設計段階における内容の理解、方法論の獲得に重点をおく必 要があるだろう。. 本学・函館校では、「初等算数教育法」は、2年次生を対象(小学校課程だ けでなく、小学校教諭免許取得希望者も含めて)としており、2名の担当者で 前・後期2つずつ(年間4つ)の授業を開設しており、1つの授業の受講者数. は40~60名程度である。「初等算数教育法」(半期2単位)の授業プログラムと 41.

(5) 上記の領域・分野との関連は表に示すとおりである。この授業において、学生 の自己学習及び小集団による課題解決活動により、教材研究とそれに基づくマ イクロティーチングの授業設計に焦点をあてたサブプログラムを開発してき た。. 表「初等算数教育法」の授業プロゲラムと関連分野 関連分野. 単元回授業の概要指導論. 目標論内容論評価論 方法論. ①・2つの授業の特徴とそこにおける教授行動の分析 ・授業に関するモデル(ストラッサーの教授の概念的モデル. 1,授業のしくみと発問過程の意思決定モデル等) 指導計画の立案及び②・指導計画の立案と目標分析○◎ 教材研究の方法・教材研究の方法. ・マイクロティーチングの意義とその方法 ◇教材研究の分担と班構成 ③・授業観察とその記録の方法. 皿.授業研究法と授業分析の方法'[灘難工驚灘法鴛離○◎ ・OSIAの授業分析カテゴり一と教授・学習行動の分析. 皿.算数・数学教育の目標④・明治~終戦までの教育(算数・数学教育)の変遷 ◎○ 学習指導要領の変遷・戦後の教育(算数・数学教育)と学習指導要領の変遷. IV.教材研究の発表と⑤・⑤~⑪の7回の授業は,1テーマ2~3名の教材分担によ. マイクロティーチング.り実施◎◎ ⑪・1時間あたりの授業は,図1に示す手順で実施. V.外国における算数指導⑫・Ari量h皿eticTeacher(N㏄M)の論文講読とレポート作成○◎. VI.算数授業の具体的事例⑬・算数授業の具体的事例とその指導方法及び教材研究の方法㍉ とその指導方法,(⑬~⑮の3回は,教員養成実地指導講師による授業)○○○○ ⑮. *上記の表は,前期(半期2単位く15回〉)の授業のプログラムである。. *前期と後期の授業の内容は同一であるが,教員養成実地指導講師の関係で順序が異なる。. 3.教材研究とマイクロティーチングの実施上の具体的方策. 教材研究、マイクロティーチングに関するサブプログラムの流れは図1に示 すとおりである。. 42.

(6) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. 事前の研究 ・教材研究(文献、資料等による調査等) ・教材作成、 シミュレーション、授業設計 教材研究、マイクロ 教材研究発表. ティーチングに関す. マイクロティーチングの. る相談. 授業設計・準備 発表内容の確認. 1回(90分)の授業一一・・1. iゲループ1 ①教材研究の発表 ②マイクロティーチング ③検討 ゲループ2 ①教材研究の発表 ②マイクロティーチング ③検討 ゲループ2 ①教材研究の発表 ②マイクロティーチング ③検討. 25. ~30分. 25. ~30分. 25. ~30分. まとめ. 事後のまとめ レポート作成一一レ提出. 図1教材研究とマイクロティーチンゲに関する手順 43.

(7) (1)教材研究・マイクロティーチングの課題とグループ編成について 同じ課題を選択した2~3名でグループを構成し、共同で教材研究とマ. イクロティーチングの準備を行う。その結果に基づき授業において、1 テーマ25~30分で教材研究の発表とマイクロティーチングを行う。1回の 授業(90分)では3テーマの発表となり、従って、7回の授業で、約20 テーマについて教材研究の発表とマイクロティーチングを行う。テーマ. は、「乗法」「除法」「長さ」「重さ」「合同」・…・・等小学校算数の教材に基 づいて選択し、この課題で扱う教材と併せて15回の授業全体で、小学校に おける内容を包括するようにした。 (2)文献・ビデオテープ等の資料について. 教材研究に関しては、原則として図書館に所蔵の文献・資料を活用させ る。必要な文献を探し出す検索能力も教材研究の能力であり、この授業に おける実践的能力の向上につながると考えられる。 また、教材研究やマイクロティーチングを行うにあたって、とりわけビ. デオによる授業観察は、モデリングとして重要な役割をもっていると考え られる。そこで、講義では、毎回小学校の授業をビデオテープで観察させ る。観察の方法は、授業をコミュニケーションの視点から捉えられるよう. に、45分全体を視聴するのではなく、その授業の課題設定に関わる教師の 働きかけや教師と学習者の相互作用が活発に行われている部分を取り出. し、10~15分程度とする。さらに、授業視聴後、 ・その授業に関する感想や意見の交換を行う. ・授業記録(筆記)に基づき、2~3人のグループでシミュレーション を行う. のような方法をとる。これは、授業の枠組みを捉えるために、視聴と併. せて行うと効果があると考えられる。 さらに、教材研究やマイクロティーチング準備等の課題追求に、教材か ら学習場面の設定など授業に関する具体的なイメージの必要な学生のため 44.

(8) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. に、数学演習室にある小・中・高校の算数・数学の授業の収録ビデオ約 200本を公開する。 (3)教材研究活動に関する相談(学生指導)について. 学生は、教材研究については、これまでの教科教育の授業からその概要 は知っているだろうが、マイクロティーチングの授業設計を前提に、具体 的な教材研究の活動を行うのははじめてであり、手探りの状態であると考. えられる。教育実習における教材研究とそれに基づく授業設計は、実習生 と指導教官がほぼ一対一で対応して行うことにより進めている活動であ. る。教材研究に関する学習方法、研究方法が確立していない教育実習前の 学生を対象とするので、教材研究の進め方、マイクロティーチングの授業 設計・準備等についての相談の時間を設定する。(具体的には、昼休みと 夕方にそれぞれ毎日1時間程度) ここでは学生の教材研究の活動に対して、学習者の意欲と主体性を尊重. し、教材研究の方向と具体的な活動を示唆する。しかし、教材研究の手が かりのつかめていないグループには、具体的な教材・教具の作成や教材の 問題を解決する具体的な活動に基づき、担当した教材の意味を自らが捉え. るプロセスを通して教材研究という活動にアプローチする方法をとる。ま た、発表内容(教材研究・マイクロティーチング)の最終確認を、発表の 前の週に行う。 ④教材研究の発表、マイクロティーチングについて 授業における教材研究の発表・マイクロティーチングの手順は、前述の. 通りである。発表は、「教材研究の発表、マイクロティーチング、討議・ 検討」とし1グループ合計25~30分とする。 教材研究の発表では、調べたことをいかにわかりやすく伝えるかという. 説明法のスキルだけでなく、発表内容の系列化、構造化が求められ、さら に掲示物、OHP、教材モデル等の作成について発表者は考慮し工夫する必 要がある。この発表も大学生を対象としたマイクロティーチングであると 45.

(9) 考えられる。 教材研究に基づきマイクロティーチングの授業設計を考える際、次の4. 点を課題とする。 ①その教材において重要と思われる場面を選択する. ②中心となる発問(主発問)は、「開かれた質問」とする ③課題追求のための学習活動があり、その予想される児童の活動あるい は反応・応答は、4~5通りある ④その4~5通りの子どもの反応・応答に対する教師の対応行動を考え る. ②の「開かれた質問」に対する応答は、一つに限られることなく、また 正答・誤答というよりは質問の意図に対してより適切かどうかを判断した. り、応答の独創性を評価したりすることになる。この質問に対する応答 は、学習者自身がそれを組み立て創り出す必要がある。その結果、次の ③、④の課題を解決することができる。. ③、④の学習者の行動とそれに対する教師の対応行動に関しては、スト ラッサーの「教授の概念的モデル」(図2)に基づいて考えると次のよう になる。. 発問に対する学習者の反応・応答を観察・解釈・診断の結果、"計画さ れたタクテクス"が、教師の意図に従って順調に進められていると判断さ. れれば、そのまま進めることになる(4b「タクテクスの継続」)。しかしな がら、その時点で最初に意図したねらいが達成できていないと判断されれ. ば、そのタクテクスの一部を修正したり(4c,「タクテクスの修正」)、そ の教師のレパートリーの中から別のより適切な対応策を選び出したりして. (4c、「新しいタクテクス」)、その"計画されたタクテクス"を変更するこ とが必要となる。そのタクテクスをマイクロティーチングの指導計画立案 の際、教材研究の成果として予め考えておくことである。 このことは、児童役の学生に対しても教師のねらい(4b「タクテクスの 46.

(10) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. T↓4d' 1)計画の作成 〈目標〉←→〈教授方略〉←→ 〈計画されたタクテクス>. ll)きっかけを与える教授行動 〈計画されたタクテクスの実施>. F==一幌 皿)学習者の反応の観察・解釈・診断 〈教師の対応のたあの意思決定〉. ↓一洲鑑欝ド lV)影響され,影響を与えるものとし ての教師の行動 〈意思決定に基づく教授行動:反応 的タクテクス〉. 一一 4a4b. 4c4d. 4・,「6「・c2. 婁璽灘の〕〔1鰯 〔鷺〕〔響ク〕〔鵜〕 ⊥. _」占. 図2教授の概念的モデル(ストラッサーによる) 47.

(11) 継続」)に沿った反応・応答だけでなく、教師が「タクテクスの修正 (4c1)」や「新しいタクテクス(4c,)」が必要となる反応・応答をすること を要請している。 なお、マイクロティーチングにおいては、その討議に基づいて再設計、. 及び再レッスンを繰り返すことにより教授スキルを中心とした実践的能力. の習得に効果があがることが認められている。しかし、ここでは時間的な 理由から再設計、再レッスンを行わず、教授スキルの習得については、教. 育実習やその事前指導に譲ることとした。 (5)発表後のまとめについて. 発表後、各個人でレポートにまとめて提出する。発表時に時間の都合等 で発表しなかったこと、発表時に疑問として出されたことについても調べ て記載するようにしている。また、前述のマイクロティーチングについて の検討とそれに基づく再設計についてもこのレポートに記載することとし た。. 4.教材研究とマイクロティーチンゲの授業設計活動の実際とその考察 (1)学生の教材研究の方法・過程. この授業における学生の教材研究活動は、教材研究の相談、教材研究の 発表及びその後に作成されたレポートから分析しまとめると図3に示すよ. うな過程を辿っている。. 学生の教材研究の活動は、次の3つの段階で行われていると考えられ る。. 第1段階:小学校指導書算数編を手がかりとして教材の概要を知る 第2段階:"文献"による調査. ア)心理学、教材研究、数学等の専門書や教材に関わる参考資料. ・その教材の定義やキーとなる概念等を明確にする ・教材と子どもの心理的発達との関わり 48.

(12) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. ◎教科書. ●小学校指導書`算数編'(文部省作成). ○学習指導要領. し. 文献による調査一 ◎教科書〔複数の出版社の比較分析). ・一・・一・一教材研究の発表内容・………一一一一一一一・・・・・・…. i◆小・中学校における教材の指導の系統. i◆教材・単元における目標と内容の概要. ・指導書(教科書出版社作成). ◎教科教育関係図書 (算数・数学科教育法の参考図書等) ◎教材研究,授業研究に関する参考図書 ○辞典(教育学,心理学,百科辞典等) ○心理学関係(発達心理). ◆教材において育む算数・数学的な概念. i・数学的な定義,学問的な意義. i・小学校における教材の概念・定義. i・概念を獲得するために必要な活動 i・教材の学習における子どもの思考 ◇子どもの心理的発達と教材の関わり. ・数学. i◆該当学年における指導について i・ねらいは何か. ○雑誌(算数教育,授業研究等) ↓. i・指導内容とその系列. 教材・教具等の作成による調査 ◎教材・教具の作成 ○日常生活における教材例(教具)の調査. ・指導の素材と学習方法(学習活動). i◇子どもの発達と教材との関わり ◇日常生活における教材例(教具)の調査. 問)・応答)の予測. ↓. ↓. ↓. 学習のシミュレーション ・学習課題の設定 ・子ともへの働きかけ(発問) ・子ともの学習活動(反応・応答)の予測. マイクロティーチンゲの準備・教科書の分析(目標,内容,学習方法等の明確化)・教材において重要な学習場面の選択・教材・教具等の作成 :. i◆マイクロティーチングの指導計画(指導案)作成i. 図3学生の教材研究活動とその発表内容. ・その教材の指導上の問題点 イ)算数の教科書(5~6社)の教材内容の比較・分析. ・教科書を比較・分析することにより、教材内容、学習の素材、 学習過程、問題・発問、解決のための学習活動等の具体的な 内容を捉える. なお、レポートの参考文献欄から教材研究の活動における学生の調べた. 文献数を算定すると、一人平均12冊である。内訳は、小学校指導書"算数 編"と小学校算数の教科書が5~6冊占めているので、専門書等の文献は 6~7冊である。 第3段階:教材による学習の具体的な活動(シミュレーション)等 ア)教科書の問題を多様な考え方で解く 49.

(13) ・教科書の問題を多様な考え方で解く活動とさらに、問題の数値 や解き方等を分類し学習課題を階層構造化 イ)教材・教具の作成、作図等の活動. ・合同な図形の作図、四角すい等のモデルの作成などにより、子 どもの課題追求の過程のシミュレーション. まず小学校指導書"算数編"を手がかりとして、文献・資料と教科書に よる調査をすすめ、それに基づいて、教材・教具等の作成とそれを使った 学習活動のシミュレーションを行い、その教材における子どもの考え方を. 予測し、自らの教材に関する分析・解釈を行う手続きをとっている。 (2)教材研究の活動の具体的事例. 学生の教材研究の具体的な活動を分析してみる。「異種の二量の割合」 (小学校5年の教材)の学生のレポートに記載された教材についての教科. 書分析の一部(単位量あたりの大きさの導入部分)を図4に示す。学生 は、この図に合わせて次のような記述をしている。 『これらの教科書の単位量あたりの大きさの導入部分の流れの傾向はほ. とんどが同じであった。速さについてもその導入の流れは同じであった。. しかし、単位量あたりの大きさの導入とほとんど形式的には変わらないの であるが、どちらか一方の単位量をとって比べる際に考えなければならな いこと(単位量の時間1秒に進む距離で比べるときには、進む距離が長 い。単位量の距離1mを進むときにかかる時間で比べるときには、かかっ. た時間の短い方が速い。……)が載せられていない。また、km←→m、時. ←→分←→秒、の変換の操作が加わり、複雑になっている。単位量あたり の大きさの導入では、比較対象が3つであったのに対して、速さの導入で は比較対象が2つ(A社、B社)、比較対象が3つ(C社、D社、E社、. F社)と二種類であった。 単位量あたりの大きさの導入部分の流れをまとめた形で図(図4)にし. てみた。導入部分では、どの教科書も「比べ方を考えましょう」としてい 50.

(14) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発 ●. 状況説明. 面積(㎡)こ数(こ). 表. 問いかけ. ・一こみぐあいをくらべましょう。. ↓. (A社・F社) ・一がこんでいるでしょうか?. (B社・C社・D社・E社). ①懇45 ②蟹惇塾演・㌦・≒ご. ・・数値を具体的・. 視覚的にとらえ やすい。. ③8懇 ※C社の数値を利用。. 1.①と②ではどちらがこんでいるか? 〈面積が同じです:B社・C社> 2.②と③ではどちらがこんでいるか? 〈こ数が同じです:B社・C社〉 ※比較する対象である一方の量が既にそろっている場合。 もう一方の量の大小だけで単純に比較することができる。 ↓. 3①と③ではどちらがこんでいるか?. 〈面積もこ数もちがいます:B社・C社・E社〉. (あ)1㎡あたりのこ数でくらべる。 ①…45(こ〉÷10(mう=・4.51m'あたり4.5こ ③…42(こ)÷8(㎡)`61㎡あたり6こ 〔い)1こあたりの面積でくらべる。 ①…10(M')÷45(こ)=0.22……1こあたり0.22㎡ ③…8(㎡)÷42(こ〉=0.191こあたり0.19m` ※どちらか一方を単位量におきかえたときのもう一方の大きさ(割合)で 比較する。. 1㎡あたりのこ数でくらべるときは、こ数の多い方がこんでいる。 1こあたりの面積でくらべるときは、面積の小さい方がこんでいる。 ↓. 4.とれがいちばんこんでいますかワ. 図4学生の教科書分析(「異種の2量の割合」単位量あたりの大きさの導入部分}. るが、その考え方(2パターン)をすぐ教科書の中に見つけることができ. てしまう。これは考えるヒントや方向づけになるかもしれないが、子ども たちの自由な発想の妨げになるかもしれない。教科書のページ割にもう少. し配慮があればと感じた。 単位量あたりの大きさで取り上げる、こみぐあい、密度、単価、収穫. 高、比重、仕事量、速さなどの問題がほとんどの教科書で扱われていた。』 学生は、教科書を比較・分析する過程で、 ①学習過程. ②発問・問題から学習課題の構造(比較対象の数) 51.

(15) ③単位量あたりの比較方法(教材の構造) ④単位量あたりの指導における量とその素材. (込みぐあい、密度、単価、収穫高、比重、仕事量、速さ等) ⑤教材と日常生活との関連 ⑥教科書の文章表現・記述法. について注目している。. ここで、③単位量あたりの比較方法について、「どちらか一方の単位量 をとって比べる際に考えなければならないこと(単位量の時間1秒に進む. 距離で比べるときには、進む距離が長い。単位量の距離1mを進むときに. かかる時間で比べるときには、かかった時間の短い方が速い。……)が載 せられていない。」と指摘している。 単位量あたりの大きさにおける課題では、次の6つの解決方法が考えら れる。 ア)一定の面積に植えてある本数で比べる. イ)一定の個数を植えてある面積で比べる ウ)単位面積に植えてある本数で比べる. エ)単位個数(1本)を植えてある面積で比べる. オ)面積の最小公倍数で比べる カ)個数の最小公倍数で比べる. この単位量あたりの教材の内容とし℃「速さ」があり、教科書では、 ウ)、エ)の2つを取り上げているものが3社、ウ)のみを取りあげてい るものが3社ある。. 「速さ」を比べる方法と根拠は、 ・1mあたりに進む時間で比べる→時間の短い(数値の小さい)方が速 い. ・1秒あたりに進む距離で比べる→距離の長い(数値の大きい)方が速 い. 52.

(16) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. というように逆になるので、計算で得た数値の大小の比較だけでなく、 その根拠を子どもたちに明確にしていく必要性を指摘している。この速さ を単位量あたりの考えを生かした指導として考えるならば、1秒あたりの. 考え方のみでよいと考えられる。しかし、この「単位量あたりの大きさ」 の教材は、長さ、面積、体積、重さ等の外延量と異なり、2つの量の比の 数値によって表される内包量であり、前者のように直接比較や間接比較が. できない抽象的な量であるので大小比較は格段に難しい。さらに、マラソ ン、100m走等の陸上競技をはじめ、日常生活でのはやさは、東京・博多. 間のようにある地点間の移動に要する所要時間で表すことが多い。しか. し、物理学をはじめとした学問では、「単位時間に進んだ距離」で比べる 方法となっている。つまり、速さの学習では「単位時間に進んだ距離」に 如何に子どもの考え方を追い込んでいくかがポイントとなり、その数値を. 比べる根拠を明確にしなければならない。つまり、この教材の構造と児童 が理解していく上での難しさとその指導上の留意点を分析の活動の中から 見つけだしたといえる。 ③マイクロティーチングの授業設計. これまでの学生の教材研究・指導案作成においては、算数・数学の教科. の内容を生のまま子どもに与え、考えさせようとする傾向が強い。彼らの 算数・数学の授業に対して持っているイメージは、知識や計算の結果等い つも問われた答えは一つであり、いわゆる知識の伝授型であり、そこにお. ける教師の役割は、「内容を如何に上手に説明するか」が中心であること に由来していると思われる。つまり、複数の答えを要求される問いかけを された経験が極めて少なく、さらに授業における主体を学習者におき、学 習活動を中心とし子どもが概念を形成していく授業についてはほとんどイ. メージを持っていないからであろう。 それが、マイクロティーチングの授業設計の課題、. ②主発問は、「開かれた質問」 53.

(17) ③学習活動が、4~5通り. を考えることを難しくしているようである。 マイクロティーチングの授業設計の事前のチェックでは、すべてのグ. ループがこの点で再検討となっている。先ず彼らが設計する学習過程は、. 「課題の提示・発問→問題を解く→発表一教師の説明」となり、教師の役 割は、説明に重点がおかれることになる。再設計、再々設計した段階での. 学習過程は、「課題の提示・発問→学習活動・問題を解く→発表・討議→ まとめ」へと変化してくる。つまり、学習者が問題を解く活動と、自らの 考えと他の者との考えを突き合せる討議に授業の重点がおかれ、教師の役. 割も、知識の伝達から学習活動の設定と討議をどのように進めるのか、つ. まり学習者の考えをどのように整理していくかに変わってくる。 前述の「単位量あたりの大きさ」の学生のマイクロティーチングの授業 設計(図5)に基づいて考えてみる。この授業の課題は、「この表は、学 校の花だんの面積と植えてある花の本数を表しています。どの花だんの花 が、一番こんでいるでしょうか。」と、教科書分析をした数社の教科書と. ほぼ同じ課題である。彼らの当初の設計では、「課題の提示・発問→問題 を解く→発表→教師の説明」という学習過程になっており、教材研究や教 科書分析の成果はでていなかった。そこで、. ①「授業において、教えるべきことは、教えてはならない」という言葉 があるが、教師の説明を最小限にするための方策 ②提示する課題・発問に対する子どもの考えを4~5通り. ③もし、子どもの考えが4~5通りないならば、課題・発問の再検討 を指示した。それに対して、 ①問題を解くプロセスで多様な考え方を導くために、「チューリップと. すいせん、すいせんとすみれでは、簡単に比べられるのに、チュー リップとすみれは、どうして簡単に比べることができないの?」の補 助の問いかけ 54.

(18) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. ②マイクロティーチングの計画と実際 発問. この表は学校の花だんの面積と植えてある花の本数をあらわしています。 どの花だんの花が一番二んでい るでしょうか。. 面積(㎡)本数(本) チューリップ1050. すいせん1040 すみれ540. 〔子どもから考えられる応答〔答え)。〕 発問に対する応答は大きくわけると2つ 方法としては5つが考えられる。. 一 ①面積をそろえる。. ②花の本数をそろえる。. 「」一一一一一一 (ア)面積を1㎡〔イ)面積を10㎡(ウ)面積を5㎡ .にそろえる。にそろえる。にそろえる。. 一 (ア)花の数を1本 にそろえる。. (イ)花の数を200本 にそろえる。. ※10本に そろえる. 50÷10=5〔本)5×2=10(m置)10÷2=5(㎡). 10÷50=O.2(m:). 10×4=40(m'). ことも可. 40÷10漏4(本}:」. 10÷40=G.25(m;). 10x5=50C■'). 能。. 40÷5=8(本)40×2=80(本)・50÷2呂25(本). 5÷40=0.125(MZ). 5x5=25(m;). 公約数で. ・40÷2=20(本). あぼ,モil瓢疇島匿,モiil「. 論モi;翫. 一40m'. ぎ騎±1無. どうしてこうなるの?※解明行動を繰り返してい. 面積あたり〔1m:最小公倍数を. あたり)で求める。求める。 ・1単位量あたり・数の共通化. 公約数を求める。 ・数の共通化. 花の本数あたり(1本最小公倍数を求める。 あたり)で求める。 ・数の共通化 ・1単位量あたり. ※この場合は考えられにくい。. 図5学生のマイクロティーチンゲの計画(単位量あたりの大きさ). ②図5の5通りの子どもの考えの予測. ③上の5つの考えに対して「どうしてこうなるの?」という解明行動 を提案してきた。. ①は、チューリップとすいせんは、面積、すいせんとすみれは、本数が 共通であるが、面積、本数どちらも共通でないチューリップとすみれのこ 55.

(19) みぐあいを比べる方法は、チューリップ、すいせん、すみれの3つを比較 する方法につながる。これは、面積あるいは花の本数の公倍数を求めて比. べるか、単位量あたりで比べることになる。つまり、主発問に対する補助 の発問として、有効であると考えられる。この補助発問は、次の子どもの 考えのシミュレーション過程で見つけ出したようである。学生には、子ど もへの問いかけである発問と、そこにおける子どもの反応・応答とセット. にした発問過程として捉えさせていく必要があるだろう。 ②の授業計画段階におけるシミュレーションでは、子どもの考えを5つ 想定している。その考えを、 1)面積をそろえる. 2)花の本数をそろえる の2つの視点から、 1一ア)1㎡あたりの本数 1一イ)10㎡あたりの本数 1一ウ)5㎡あたりの本数 2一ア)1本あたりの面積 2一イ)200本あたりの面積. と考え方とその意味(判定の根拠)に基づいて分類している。. これは、前述の教材研究におけるア)~カ)の6つの解決方法がべ一ス になっている。授業設計において子どもの考えを予測することは学生に とって難しいが、教材の論理等教材分析・研究における成果と結びつける ことも手段の一つであろう。. ③授業では、教師が子どもに説明しながら進めることが多いが、子ども に考える機会を与えずに教師の説明だけに終始してしまうことが多い。教. 師の「どうしてこうなるの?」という解明行動は、②において想定した子 どもの考えを基盤として、その根拠をさらに子どもに考えさせる方策であ る。このようにマイクロティーチングの再設計の段階では、教材研究の成 56.

(20) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. 果に基づき教材・教具を作成し、それを用いての課題提示の発問とそれに 対する児童の活動を考えたグループが多かった。このことからも教材・教 具を作成し、学習活動のシミュレーションを行うことが授業の具体的なイ メージをつくり、教材の内容を理解する手だてとして重要な役割をもつと いえよう。. 城戸幡太郎(1946)は、教材は、教科書に文字で書かれているものでな. く、現象のメカニズムそのものであると指摘しているが、学生は、教科書 に載っているから「教材」であると考えることがほとんどである。教材の 価値はあらかじめ決まっているのではなく、授業で子どもに何を考えさせ るか等の教師の解釈を経てはじめて教材となる。学生の教材研究は、まさ. にその教材に関する「学習」であると考えられる。教材研究は、教材に関 わる参考文献からその内容を捉え、授業の基盤となっている教科書の記載 と突き合わせること、即ち、教科の論理と指導の具体事例を対応させ、そ. れを考察することも教員養成段階では一つの手法であろうと考える。 (4)学生の教材研究活動の観察から. はじめて具体的な教材研究とそれに基づく授業設計を行うサブプログラ. ムにおける具体策について、 ・文献を調べ、整理しまとめていく活動においては、1人でなく2~3人. のグループにより相談しながら進めていくことは有効である。. ・相談の時間を設けたが、学生の活動の推進に有効であった。 相談内容は、教材研究のはじめの段階では、何をどのように調べていく のか活動の方向性、具体的な資料の読み方、教材・教具による学習の具体. 的な活動(シミュレーション)であり、発表前の最終段階では、調べたこ とのまとめ方や、マイクロティーチングの授業設計のシミュレーションが. 中心となった。 この2つの具体策が初期段階において手がかりのつかめていないグルー. プでは、有効であったと考えられる。 57.

(21) しかし、教科書の"教師用指導書"に頼りきったり、先を急ぎすぎて授 業設計を先行させたり等、文献・資料等での調査等を怠ったグループは、 結局最後まで悩んだり行き詰まったりしており、改めて授業設計における. 教材分析・解釈の重要性を認識した。 教材研究の発表では、発表内容を図や表にまとめたり、さらに模造紙や. OHP等のメディアを活用したり、説明用の教材・教具等を作成したり、 各グループが工夫している。発表時間が短いために調べた内容を如何に要. 領よくまとめるか工夫した成果であろう。また、自らの手で調べまとめた 教材研究の成果であるから、どの発表者も自信を持って発表している。 マイクロティーチングでは、教師役をした学生から「発問や教材提示に ついては、用意していたものを何とか意図通りに用いることができても、 学習者からの反応に予想していたように対応ができなかった」という声が. 多い。. 7回の授業でマイクロティーチングを行うが、前半は教師役、子供役の 双方がぎこちなく、授業の相互作用としてのシミュレーションがうまくで. きない。後半は、既に発表を終えたグループの学生が子ども役の役割を活 発に演じてくれマイクロティーチングが積極的になる。教育実習を終えた 3、4年生が受講生にいるとさらに積極的になる。これは、子ども役の学 生が子どもがどのように考えるのかを予測しその役割を演ずることの難し. さがあり、今後モデリングの活用やマイグロティーチングを何回か繰り返 し行うなどの工夫により、まさしく授業をシミュレーションする能力を高 める必要があるだろう。. 教材研究発表、マイクロティーチング終了後に作成されたレポートのボ リュームは、A4版レポート用紙で平均30ページ程度であり、それに要し. た時間は、7~10日程度である。教材研究の発表、マイクロティーチング の時点で問題とされたことを再び調査・検討する活動を行ってレポートを. 作成してあると思われるものが半数以上あった。教材研究とその発表、さ 58.

(22) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. らにマイクロティーチングの活動とそれをまとめるレポート作成を併せる. ことにより、学生に教材研究の活動を対象化させることができ、一連の活 動としての意味を持ってくるように考えられる。. 5.まとめと今後の課題. 城戸は、「大学のカリキュラム改造」を論じるなかで、「教育は特殊な技術で ある」、したがって「その目的におうじて必要な科学を総合しなければならな. い」「技術としての教育の独自な研究が必要となってくる」、そしてここから 「教員養成を目的とする大学では、このような技術を中心とした専門教育が行. なわれなければならない」と教員養成カリキュラムについて指摘している。さ らに、「学芸大学では専門教育といえば、むしろ教職課程であって、教科に関 する専門的知識は教科教育法の教材内容として研究されなければならないので ある。皮肉なことには教育の研究と教員の養成を専門とする大学においていち. ばん欠けているのは教員養成のためのカリキュラム研究である」とも指摘して いる。. また、斎藤喜博(1964)は、『問題点を見つけたり、授業の方向を見つけた り、授業の方法を組み立てたりするのは、あくまでも専門職としての教師の仕 事である。教師が専門家として教材と対面し、その結果を子どもとつなげ、授 業の方向や方法をつくり出しておかなければならないことである。そういう教. 師としての解釈や方向や方法を強くはっきりと持って授業にのぞんだとき、教 師の発問も、反問も、説明も強いものになり、子どもを動かしていくことがで. きるわけである』と、教材解釈や授業の方向や方法をはっきり持ち、その構想 を「指導案」として結晶させることが専門職としての教師の仕事であると指摘 している。. この授業終了後の学生の感想である。. ・今まで教師なんて教科書に書いてあることだけを教えればいいんだと安易 に考えていましたが、教師になることの難しさを感じました。 59.

(23) ・「指導書があれば授業ができる」と今まで持っていた甘い考えを思いきり. 考えさせられました。……責任持って子どもの概念づくりができるように ならないといけないですね。. ・自分が持っていた「授業」というものが、受ける立場から自分がする立場 になってみて、バクゼンとしていたのが、急に眼の前に現実として見えて. きて、自分たちがやらなければならないことが自覚できたと思う。 マイクロティーチングという授業のシミュレーションではあるが、教材研究 とそれに基づく授業設計という活動により、学生の授業、教材そして教師の仕 事等に対する見方に変容のあることが認められる。多くの人数を対象とする教. 科教育ではあるが、教材研究や授業設計では、一斉形式の講義だけでなく、小 集団の演習形式による対応が必要と考える。また、教師の実践的能力の育成に 関して教育実習と教科教育が連携し、お互いにその役割分担を考える必要があ ろう。. さらに、教育における技術として一般化した形で移転が可能となる教材研究 や授業設計に関する独自の研究が今後さらに必要であると考える。併せて、学 生の教材研究・授業設計を支援するためのシステムの開発と整備が急務であろ う。. 本研究の一部は、文部省科学研究費補助金「教科教育学における教材研究・. 授業設計法の開発」(一般研究(C):課題番号06680196代表三橋功一)によ るものである。記して謝意を表する。. 〔参考文献〕. 藤岡完治(1982)、教育実習生の意思決定過程の研究一教育実習生の主体性に対応できるシ ステムの構成一、横浜国立大学教育実践研究センター年報No.3.pp.139-166 飯島康男(1983)教育実習事前学習にマイクロティーチングを取り入れる試み、日本教育工. 学雑誌、VoL8No.2.pp.87-96. 60.

(24) 教材研究・授業設計に焦点をあてた初等算数教育法のプログラムの開発. J.A.Hendrey(1979)、TowardsSelf-lnstructioninTeacherEducaition、西之園晴夫訳(1984) 教師教育についての討論資料pp.45-50、京都教育大学教育実践研究指導センター 海後宗臣編(1971)教員養成(戦後日本の教育改革第8巻)、東京大学出版会 城戸幡太郎(1946)生活技術と教育文化、萬里閣. 小金井正巳他(1980)マイクロティーチングによる教育実習プログラムの開発と評価、日本 教育工学雑誌、VoL4No.3,pp.113-126 近藤勲(1980)、教材開発をくみこんだ模擬授業とその評価、日本教育工学雑誌、VoL4No.3. pp.85-96. 三橋功一(1992)実践的能力に焦点をあてた教科教育プログラム開発一初等算数教育法にお いて一、日本教育工学会第8回大会講演論文集、pp.388-389. 三橋功一(1993)授業科目「初等算数教育法」の授業法の改善一実践的能力の育成をめざす プログラムの構想、教師教育研究の実践と課題第3章、pp.43-57、北海道教育大学函 館分校. 三橋功一(1993)実践的能力向上をめざした初等算数教育法の授業プログラムの開発一教材. 研究とマイクロティーチングを組み込んだプログラムー、教育情報科学第21号、 pp.81--98、北海道教育大学函館分校 三橋功一(1994)教科教育の授業と教師の実践的能力の関連について一教材研究と授業設計. に焦点をあてて一、福島大学教育実践研究紀要第25号別冊その2、pp.3-12、福島大学 教育実践研究指導センター 望月善次(1984)国語科教師教育におけるマイクロティーチングーリレー式マイクロティー. チング、その複数クラスの同時展開の試み一、教育工学研究第6号、pp.7-20、岩手大 学教育学部教育工学センター. 斎藤喜博(1964)授業の展開、p.164、国土社 佐伯卓也(1980)マイクロティーチングによる教材翻案スキルの訓練、日本教育工学雑誌、 VoL4No.3.pp.97-101. 高橋哲郎(1987)教育実習事前学習プログラムの開発とマイクロティーチングの改善に関す. る研究、日本教育工学雑誌、VoLllNos.2・3.pp.57-70 山川信晃(1987)自己学習方式による教育実践基礎訓練プログラムの開発と試行、日本教育 工学雑誌、Vol.11Nos.2・3.pp.45-56. 61.

(25) 教科教育学研究第13集 定価4000円(本体3884円} 平成7年3月31日発行. 編集日本教育大学協会第二常置委員会 〒184東京都小金井市貫井北町4-1-1 東京学芸大学内TelO423-25-2111(代). 発行第一法規出版株式会社 〒107東京都港区南青山2-11-17 TelO3-3404-2251(代). ISBN4-474-00499-XC2037(4). 定価はカバーに表示してあります。.

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