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表面形状を表現できるテキスタイルCADシステムの開発

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Academic year: 2021

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Title

表面形状を表現できるテキスタイルCADシステムの開発(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

池口, 達治

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第279号

Issue Date

2006-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2976

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本籍) 学 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 池 口 達 治(愛知県) 博 士(工学) 甲第 279 号 平成18 年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 表面形状を表現できるテキスタイルCADシステムの開発 (DevelopmentofCADSystemforRepresentationofTbxtileSur払ce Con丘guration) (主査)教 授 岡 村 政 明 (副査)教 授 三 輪 賓 教 授 野 方 文 雄

論文内容の要旨

現在のテキスタイルCADシステムは,織物を平面として捉えており,色柄を確認する には有効であるが,組織図をもとに表面形状を予測して画像を表示することはできない. したがって,新しい織物を開発する場合,繰り返し試織を行い表面形状を確認する作業が 不可欠であり,試織に要する時間とコストが織物メーカーの大きな負担になっている. 本論文は,従来のテキスタイルCADシステムでは不可能とされてきた,織物の表面形 状を予測し,表示する機能を有するテキスタイルCADシステムの開発に関する研究につ いてまとめたものである.課題としては,諸要因と表面形状との関係を明らかにすること と,織物を厚みのある立体構造物として捉える考え方を導入した画像生成プロセスを開発 することである. 第2章「織物組織に基づく表面形状シミュレーション」では,織物の表面形状に影響を 及ぼす要素として織物組織に注目し,組織と表面形状との関係について明らかにした.織 物の表面形状は,糸の物性,織物の規格,仕上条件など多くの要因の影響を受けるが,織 物の構造を決定する最も重要な要因は組織であり,それ以外の要素は織物構造に対して2・ 次的な変化をもたらすものとして位置づけられる.したがって,織物表面形状を予測する 手法を構築するにあたり,まずは諸要因を排除し,組織と織物表面形状との関係を明らか にした.組織と織物表面形状との関係について,従来は糸の浮き長さが最も大きな因子で あると考えられていたが,実験の結果,その影響は小さく,むしろ組織点周辺における糸 の浮き沈みの組み合わせが糸の高さに及ぼす影響が大きいことが明らかになった.得られ た知見を応用して,織物中の糸の高さを導く手法を構築した.この手法による予測結果と 実際の織物の表面高さとの相関係数はおおむね0.7以上であり,実用上十分な精度を有し ていることを確認した. 第3章「表面形状に基づく織物組織の特徴量表現」では,組織図から導いた織物中の糸 高さに関する情報をもとに,織物表面における凹凸量を数値で表現することを検討した.

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-55-糸高さの変動係数は織物表面の粗さを表現でき,組織の特徴を示す指標となるため,組織 図を分類する手法として有効であることが明らかとなった.従来は組織を種類やサイズに 基づいて分類するしか方法がなかったが,組織を凹凸量に基づいて分類することにより, 表面形状が類似する組織を検索することが可能となる.さらに,組織図の図形的特徴量に 基づく組織検索手法についても述べた.すなわち,組織図を画像として扱い,画像特徴量 のひとつであるランレングスを適用することにより,類似する組織図パターンを検索する ことが可能となる. 第4章「撚数および織密度を考慮した表面形状シミュレーション」では,織物の構造は 組織図によって基本的に決定づけられるが,糸の物性,織物の規格,仕上条件など多くの 要因の影響を受け,2次的な変化が生じる.これらの要因のうち,糸の撚数と織密度は, 表面形状に及ぼす影響が大きいことが知られているが,その関係は明らかでなかった.撚 数および織密度が異なる試料の断面形状を計測し,これらの要素が織物形状に及ぼす影響 について明らかにした.撚数と織密度による表面形状の変化を予測するアルゴリズムを織 物表面形状シミュレーションシステムに付加して,糸高さ予測の高精度化を図った. 第5章「新しいテキスタイルCADシステム」では,織物表面形状に関係する要素とし て,糸高さとともに重要である織物中における糸の移動について考察を加えた.ある特定 の条件が重なると,経糸または緯糸どおしが収束したり,ねじれて入れ替わったりするこ とがある.糸が浮きから沈みに変わる箇所においてこのような糸の移動現象が発生すると いうこれまでの定説を発展させ,平織構造の隙間が拡張する方向に糸移動が発生するとい う考え方に基づいた新たなアルゴリズムを構築した.この結果,経曲がり構造,緯曲がり 構造,多層構造などの織物においても糸移動の予測が可能となった.また,糸の移動を抑 制する要素を糸移動計算処理に加えることにより精度の高い予測が可能となった.これら の知見をもとに作成した糸の移動を予測するアルゴリズムを加えて,表面形状を表現でき るテキスタイルCADシステムを開発した. 第6章「結論」では,各章で得られた結果をまとめて結論とした.

論文審査結果の要旨

現在のテキスタイルCADシステムは,織物を平面として捉えており,色柄を確認する には有効であるが,組織図をもとに表面形状を予測して画像を表示することはできない. したがって,新しい織物を開発する場合,繰り返し試織を行い表面形状を確認する作業が 不可欠であり,試織に要する時間とコストが織物メーカーの大きな負担になっている. 本論文は,従来のテキスタイルCADシステムでは不可能とされてきた織物の表面形状 を予測し,表示する機能を有するテキスタイルCADシステムを開発することを目的とし た.課題としては,諸要因と表面形状との関係を明らかにすることと,織物を厚みのある 立体構造物として捉える考え方を導入した画像生成プロセスを開発することである. 各章の概要は次のようである. 第2章では,織物の表面形状に影響を及ぼす要素として織物組織に注目し,組織と表面 一56一

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形状との関係について明らかにした.織物の表面形状は,糸の物性,織物の規格,仕上条 件など多くの要因の影響を受けるが,織物の構造を決定する最も重要な要因は組織であり, それ以外の要素は織物構造に対して2次的な変化をもたらすものとして位置づけられる. 織物表面形状を予測する手法を構築するにあたり,まずは諸要因を排除し,組織と織物表 面形状との関係を明らかにした.得られた知見を応用して,織物中の糸の高さを予測した 結果,実際の織物の表面高さとの相関係数はおおむね0.7以上であり,実用上十分な精度 を有していることを確認した. 第3章では,組織図から導いた織物中の糸高さに関する情報をもとに,織物表面におけ る凹凸量を数値で表現した.従来は組織を種類やサイズに基づいて分類するしか方法がな

かったが,組織を凹凸量に基づいて分類することにより,表面形状が類似する組織を検索

することが可能となった. 第4章では,織物の構造は糸の物性,織物の規格,仕上条件など多くの要因の影響を受 け,2次的な変化が生じる.これらの要因のうち,糸の撚数と織密度は,表面形状に及ぼ す影響が大きいことが知られている.そこで,撚数,織密度が異なる試料の断面形状を計 測し,これらの要素が織物形状に及ぼす影響について明らかにした.撚数と織密度による 表面形状の変化を予測するアルゴリズムを織物表面形状シミュレーションシステムに付 加して,糸高さ予測の高精度化を図った. 第5章では,織物表面形状に関係する要素として,糸高さとともに重要である織物中に おける糸の移動について考察を加えた.糸が浮きから沈みに変わる箇所において糸の移動 現象が発生するというこれまでの定説を発展させた糸移動に関する新たなアルゴリズム を前章までに得られた知見に加える■ことによって,精度の高い表面形状を表現できるテキ スタイルCADシステムを開発した. 本研究では,織物組織を基にしたCADシステムに表面形状に及ぼす影響が大きい糸の撚数及 び織密度の影響と糸の移動を組み込んだ表面形状を表現できるテキスタイルCADシステムを開 発した.これにより,従来のCADシステムでは不可能とされてきた織物の表面形状を予測でき, 時間とコストの面で織物メーカーの大きな負担になっている試織,表面形状の確認という作業をパ ソコン上でおこなうことができるようになる.これら一連の研究の一部は平成17年度日本繊維機 械学会技術賞を受賞した.また,本研究で得られた結果を基にして,織物の表面形状を表現するソ フトウエアが作られ,250以上の企業,教育機関で使われている.以上のように,本研究で得ら れた成果は学術的,工学的に優れており,学位論文に催するものであると判定された.

最終試験結果の要旨

学位論文の内容および関連する専門分野に関する口頭試問を行った結果,学位申請者は 学位授与に相応した高い学力を有することが認められたので,最終試験を合格と判定した.

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