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コンテナターミナル物流制御システムの開発に関する研究

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Academic year: 2021

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全文

(1)

修 士 論 文 の 和 文 要 旨

研究科・専攻

大学院 情報理工学研究科 知能機械工学専攻 博士前期課程

氏 名

井本 廉

学籍番号

1332005

論 文 題 目

コンテナターミナル物流制御システムの開発に関する研究

要 旨

近年の新興国の急速な経済発展にともない海上輸送コンテナの取扱量が増加し続けている。し

かし、国内ではコンテナ取扱量の増加への対応が遅れてしまい、コンテナターミナルの荷役能力

不足によってターミナルゲートでトレーラが長い待機列を作る問題が発生している。コンテナ輸

送全体の効率を考えた場合には本船荷役のリードタイムの短縮に加えて陸送トレーラのリードタ

イムの短縮も求められる。そこで、これまで積極的に取り組まれてこなかった陸送トレーラのリ

ードタイム短縮に主眼をおいた効率的なコンテナターミナル物流制御システムの構築を目指すこ

ととなった。本研究ではヤードにてコンテナをハンドリングするヤードクレーンの無駄な動きに

トレーラのリードタイムが延びる主たる原因があると考え、シミュレーションによってその無駄

を明らかにする。

ヤードクレーンの荷役効率を上げるためには、クレーンのスケジューリング(クレーンの動か

し方)に加え、コンテナのスタッキング(蔵置のアレンジメント)が重要となり、それらの運用

戦略の兼ね合いも考える必要がある。そこで本研究ではこれらの問題に様々なディスパッッチン

グルールを適用し、ヤードクレーンが効率的に荷役を行うことができるルールの組み合わせを検

証した。実験では、適用するルールの違いや、ヤードクレーンの台数の違い、車両到着台数と船

の接岸席数の違いなど、様々な指標を用いてヤードクッレーンのリードタイムに関する比較およ

び考察を行った。その結果、ヤード占有率(元々蔵置してあるコンテナ数)がヤードクレーンの

平均リードタイムと強い相関があり、単位時間当りのヤードへの車両流入台数とヤードクレーン

の平均リードタイムにも強い相関があることがわかった。また、提案したディスパッチングルー

ルの適応範囲に関する知識の収集や、ヤードクレーンの台数に対する感度の特定を行うための手

法の提案も行った。

(2)

平成

26

年度 修士論文

コンテナターミナル物流制御システムの

開発に関する研究

学籍番号

1332005

氏名

井本 廉

所属

情報理工学研究科

知能機械工学専攻

研究室

情報基盤センター 高田研究室

指導教員 高田 昌之

提出日

平成

27

2

4

(3)

目 次

第 1 章 はじめに

1

1.1

背景 . . . .

1

1.2

目的 . . . .

2

1.3

アプローチ

. . . .

2

第 2 章 コンテナターミナルの荷役の流れ

4

2.1

コンテナターミナルの役割 . . . .

5

2.1.1

バース . . . .

5

2.1.2

エプロン . . . .

5

2.1.3

コンテナヤード . . . .

6

2.1.4

レーン . . . .

6

2.1.5

ゲート . . . .

6

2.2

荷役機械の役割 . . . .

7

2.2.1

ガントリークレーン

. . . .

7

2.2.2

ヤードクレーン . . . .

7

2.2.3

IT:Internal Trailer . . . .

7

2.2.4

XT:External Trailer . . . .

8

2.3

荷役の流れ

. . . .

8

2.3.1

海側の荷役の流れ . . . .

8

2.3.2

陸側の荷役の流れ . . . .

8

第 3 章 コンテナターミナル実験モデル

9

3.1

コンテナターミナルのモデル

. . . .

9

3.1.1

コンテナターミナルの設備規模 . . . .

11

3.1.2

荷役機械の速度 . . . .

12

3.2

コンテナの蔵置のプロセス . . . .

14

3.2.1

ブロック選択問題に適用するディスパッチングルール . . . .

15

3.2.2

位置決定問題に適用するディスパッチングルール . . . .

16

3.2.3

荷役割当て問題に適用するディスパッチングルール . . . .

18

i

(4)

第 4 章 実験内容

20

4.1

入力データ

. . . .

20

4.2

初期状態 . . . .

20

4.3

実験の種類

. . . .

21

4.3.1

ルールの組合せ違いによるリードタイムの変化を見る実験 . . .

21

4.3.2

ヤードクレーン台数の違いによるリードタイムの変化を見る実験

21

4.3.3

入力データおよび初期状態の違いによるリードタイムの変化を見

る実験 . . . .

22

第 5 章 実験結果

23

5.1

荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係性 . . . .

23

5.2

ヤード占有率とクレーンの平均リードタイムの関係性

. . . .

25

5.3

荷役車両台数とクレーンの平均リードタイム . . . .

30

第 6 章 評価および考察

35

6.1

点拡がり関数を用いたプロット点の明るさの算出 . . . .

35

6.2

ルールの信頼区間の算出 . . . .

39

6.3

ルールの優劣の付け方 . . . .

44

6.3.1

ルールのクレーン台数に対する感度の特定 . . . .

44

6.3.2

ルールの適応範囲の特定 . . . .

44

6.4

考察 . . . .

49

6.4.1

ブロック選択のルールの違いに対する考察 . . . .

49

6.4.2

位置決めのルールの違いに対する考察

. . . .

49

6.4.3

荷役割当てのルールの違いに対する考察 . . . .

49

6.5

結論 . . . .

50

第 7 章 おわりに

51

謝辞

53

参考文献

54

付録 A 実験結果

56

A.1

荷役車両の台数とヤードクレーンの総稼働時間 . . . .

56

A.2

リハンドリング回数とヤードクレーンの平均リードタイム . . . .

56

A.3

ヤード占有率とリハンドリング回数 . . . .

56

A.4

ヤード占有率とヤードクレーンの平均リードタイム . . . .

56

A.5

単位時間当りの荷役車両台数とヤードクレーンの平均リードタイム . .

56

(5)

A.6

実験結果の評価 . . . .

56

付録 B ソースコード

57

B.1

入力データ作成用プログラム

. . . .

57

B.2

シミュレーションメインプログラム . . . .

60

B.3

他のルール

. . . .

80

B.3.1

Row Marshalling Stacking(RMS) . . . .

80

B.3.2

Column Scattering Stacking(CSS) . . . .

84

B.3.3

Random Layer-stacking(RL) . . . .

87

B.3.4

Width-direction Flat-stacking(WF) . . . .

92

B.3.5

Width-direction Layer-stacking(WL) . . . .

93

B.3.6

Length-direction Flat-stacking(LF) . . . .

94

B.3.7

Length-direction Layer-stacking(LL)

. . . .

94

(6)

第 1 章

はじめに

1

1

はじめに

1.1

背景

近年、アジアを中心とした新興国の経済発展にともない海上輸送コンテナの取扱量

が増加してきている。この増加にともないコンテナ船は大型化し、船の大型化に比例し

てコンテナターミナルは大規模なものへと発展してきている。しかし日本においては

コンテナ取扱量の増加への対応が遅れ、コンテナターミナルの荷役能力不足によって

ターミナルゲートでトレーラが長い待機列を作る問題が発生している

[

1

]

。コンテナ陸

送事業者にとっては待機列の発生によってコンテナ輸送のリードタイムが延び、輸送

効率が低下してしまう。また、この異常な渋滞が周囲の交通に悪影響を与えることや、

トレーラのアイドリングによって CO

2

排出量が増加することなども問題視されている

[

1

],[

2

]

。これらのことから、コンテナ輸送全体の効率を考えた場合、船舶荷役のリード

タイムの短縮に加えて陸送トレーラのリードタイムの短縮も求められる。

これまでに船舶荷役のリードタイム短縮に関する研究は積極的に行われてきた。例え

ば、効率的なトランシップ(船から降ろしたコンテナを別の船に積み替えること)のた

めのコンテナ蔵置計画に関する研究 [3](西村ら, 2004)やヤードクレーンの移動量を最

小にするように蔵置計画を行った研究 [4](星野ら, 2005)、遺伝的アルゴリズムを用い

てコンテナの船積プランの最適化を行った研究 [5](Nguyen ら, 2008)など, 多くの研究

が存在する。一方で、トレーラのリードタイムを短縮することに着目した研究はあまり

取り組まれていない。その理由として、年間のコンテナ取扱数(annual throughput

[

6

]

や船舶の荷役効率(berth productivity

[

7

]

)がコンテナターミナルの荷役能力を評価す

るために一般的に用いられており、現在のコンテナターミナルでは船舶の接岸時には

船舶の荷役スケジュールを最優先する傾向にあることが挙げられる。また、トレーラ

のゲート待機時間の長短を調整することによってターミナルの円滑な運営を維持して

いる側面もある。このように、コンテナを船舶からおろした後の輸送効率については

評価されていないのが現状である。

本研究では、コンテナ陸送事業者側へのサービス向上の観点からも船舶荷役のリー

(7)

第 1 章

はじめに

1.2

目的

2

ドタイムの短縮と陸送トレーラのリードタイムの短縮の両立が望ましいと考え、トレー

ラのリードタイム短縮に主眼を置くことにした。

1.2

目的

本研究では船舶荷役のリードタイムの短縮と陸送トレーラのリードタイムの短縮の

両立を図るために、コンテナターミナルを離散事象モデルで表現し、トレーラのリー

ドタイムが延びる原因をシミュレーションによって明らかにする。また、シミュレー

ションによって得られた結果を基に、トレーラのリードタイム短縮を考慮した効率的

なコンテナターミナル物流制御システムを開発することを目的としている。

近年、人件費やクレーン操縦士育成・プランナー育成の手間といった問題を解決す

るために、AGV(Automated-Guided Vehicle)の利用やヤードクレーンの半自動化に

よるコンテナターミナルの自動化が推し進められている。本研究においても、自動化

されたコンテナターミナルの効率化手法を設計できることが最終目標であるが、最終

目標までのステップとして次に示す段階が必要である。

[第 1 段階] トレーラのリードタイムが延びる原因をシミュレーションによって試行

錯誤して経験的に求める段階

[第 2 段階] 経験的に得られた結果をシミュレーションによって体系的にまとめる段階

[第 3 段階] コンテナターミナルの理論的なモデルを確立し、コンテナターミナルの

特性に応じて効果的手法を設計する段階

本研究の位置づけは、効率化手法を設計するための基礎実験(先述の第 1 段階)にあ

たる。

1.3

アプローチ

本研究ではコンテナヤード内の荷役を担うヤードクレーンのハンドリングオペレー

ション(荷役作業の順番や移動経路)の無駄がトレーラのリードタイム延伸の主たる

原因であると仮定し、クレーンの作業効率化によってトレーラのリードタイム短縮を

図ることを考える。ここで、トレーラのリードタイムとはゲート待機列に列び始めて

から荷役を終えてゲートを出るまでの時間のことを指す。また、リードタイムが延び

る要因として

• トレーラの走行経路

• コンテナの積上げ方

(8)

第 1 章

はじめに

1.3

アプローチ

3

• クレーンの動かし方

の3つが挙げられるが、本研究ではコンテナの積み方とクレーンの動かし方の兼ね合

いによってトレーラのリードタイムを大きく変動すると考えたため、コンテナの蔵置

位置が決まればトレーラの経路は一意に定まるものとしている。

トレーラのリードタイム短縮を考えた類似の研究として、ヤードクレーンにディス

パッチングルールを適用してクレーンの荷役作業効率化を図る手法が日野ら

[

8

]

によっ

て提案されている。文献 [8] では「船の荷役スケジュールを順守することを最優先し、

その制約下でトレーラのリードタイムをできるだけ短縮する」という要求仕様の下で、

船の荷役スケジュールの進捗具合いによって船の荷役を優先するディスパッチングルー

ルとトレーラの荷役を優先するディスパッチングルールを切り替える手法を提案して

いる。ここで、クレーンの作業は

(1)トレーラからコンテナをピックアップしてヤードにコンテナを積上げる動作

(2)ヤードに積上げているコンテナをトレーラに積出す動作

(3)積上げてあるコンテナの配置を替える動作(リハンドリング)

(4)移動

の4つに分類することができる。(1)、(2)は荷役作業に必要不可欠な時間であるが、

(3)、(4)については、無駄に費やした時間で荷役効率が低下する原因であるといえ

る。また、コンテナのアレンジメント(積上げ方)が上手くなかった場合には、リハ

ンドリングの回数や移動距離が増えることでトレーラのリードタイムが延びてしまう

ことが予想される。しかしながら、日野らによる提案手法

[

8

]

ではトレーラが搬入出す

るコンテナの蔵置位置は予め決められており、コンテナのアレンジメントについては

議論されていない。トレーラのリードタイムを短縮するためには、コンテナのアレン

ジメントを場面に応じて柔軟に変えることが必要となってくる。そこで本研究では

• コンテナのスタッキング問題

[

9

]

(コンテナの積上げ方)

• ヤードクレーンのスケジューリング問題(ヤードクレーンの動かし方)

の2つを解く。これらの兼ね合いによってトレーラのリードタイムが大きく変動する

と考えたため、それぞれの問題にディスパッチングルールを適用し場面に応じた最適

なルールの組合せや、ヤードクレーンの数に応じた最適なルールの組合せを導くこと

でトレーラのリードタイムが延びる原因を明らかにする。

(9)

第 2 章

コンテナターミナルの荷役の流れ

4

2

コンテナターミナルの荷役の

流れ

Nils

は文献 [10] において、用いる荷役機械の種類によってコンテナターミナルを次

の3つに分類している。

• ストラドルキャリア方式:

コンテナ1個を車体内に抱えてコンテナの搬送と保管等の作業を行う荷役機械(ストラ

ドルキャリア)を主に用いるコンテナターミナル(

Fig. 2 - 1(a)

)を指す。

• ラバータイヤ・ヤードクレーン方式:

コンテナを高く積上げて蔵置することができる門型の荷役機械(ヤードクレーン)を主

に用いるコンテナターミナル(

Fig. 2 - 1(b)

)を指す。ヤードクレーンはストラドルキャ

リアに比べて自走速度が遅いためコンテナの搬送はトレーラが担うが、ストラドルキャ

リアキャリア方式よりもコンテナの蔵置可能な数が飛躍的に増える。

• レールマウント・ヤードクレーン方式:

敷かれたレール上のみで移動可能なヤードクレーンを主に用いるコンテナターミナル

Fig. 2 - 1(c)

)を指す。ラバータイヤ・ヤードクレーン方式ではトレーラがクレーンの

下にコンテナを搬送するが、レールマウント・ヤードクレーン方式ではヤードクレーン

がトレーラの下にコンテナを取りに来る。

本研究でモデルの対象とするコンテナターミナルは、日本国内の主要コンテナターミ

ナルで一般的に採用されているラバータイヤ・ヤードクレーン方式である。本章では

ラバータイヤ・ヤードクレーン方式のコンテナターミナルにおける荷役機械の役割と

荷役の流れを説明する。

(10)

第 2 章

コンテナターミナルの荷役の流れ

2.1

コンテナターミナルの役割

5

(a)スライドキャリア方式 (b)ラバータイヤ・ヤードクレーン方式

(c)レールマウント・ヤードクレーン方式

出典:Nils Kemme, Design and Operation of Automated Container Storage System (2013)

Fig. 2 - 1:

荷役機械の種類によるコンテナターミナルの分類

2.1

コンテナターミナルの役割

2.1.1

バース

バースとはコンテナ船が接岸するエリアを指す(Fig. 2 - 1 中の ship-to-shore に該当

する)。特にバース総延長(岸壁の長さ)やバース最大水深(船の許容喫水)はコンテ

ナターミナルの規模を表す尺度の1つとして一般的に使われている。バース総延長が

長く、水深が深いバースには、より多くの船舶が同時に接岸でき、より大型のコンテ

ナ船が接岸できるため、世界中の主要港湾では総延長が長く水深の深いバースを有し

たコンテナターミナルの整備に力を入れている。

2.1.2

エプロン

エプロンとはコンテナ船からコンテナの積卸しを行う荷役エリアを指す(Fig. 2 - 1

中の waterside horizontal transport に該当する)。エプロンでは非常に大型で荷役機械

(11)

第 2 章

コンテナターミナルの荷役の流れ

2.1

コンテナターミナルの役割

6

であるガントリークレーンが荷役作業を行うため、他のエリアよりも強固な舗装を施

している。

2.1.3

コンテナヤード

コンテナヤードとはコンテナを積上げて蔵置(保管)しておくエリアを指し、単に

「ヤード」と呼ばれることが多い(Fig. 2 - 1 中の storage に該当する)。通常、コンテ

ナヤードではコンテナの規格(大きさ)や貨物の種類、行先などの違いを考慮して整

理して蔵置している。ヤードではヤードクレーンがコンテナを積上げたり、積み出し

たりする作業を行う。また、ヤードに蔵置可能なコンテナの数やヤードの面積がコン

テナターミナルの規模を表す尺度に使われることもしばしばある。

2.1.4

レーン

車両が走行するレーンには次の 4 種類が存在する。

• IT 専用走行レーン:IT がヤード内を移動するためのレーン

• XT 専用走行レーン:XT がヤードを移動するためのレーン

• 荷役レーン:ヤードクレーン、ガントリークレーンの荷役を行うためのレーン

• 追越しレーン:荷役レーンで作業中の停車車両を追い越して移動するためのレーン

コンテナターミナルの内のみでコンテナの搬送を行う車両:IT(Internal Trailer ※

2.2.3

で後述)の専用走行レーンと、コンテナターミナルの外からコンテナを搬入出し

にやってくる車両:XT(External Trailer ※ 2.2.4 で後述)の専用走行レーンが存在す

る。荷役レーンは XT も IT も共通であり、荷役レーンにて荷役作業中である場合は追

越しレーンを使って停車車両を回避して走行が可能となる。

2.1.5

ゲート

コンテナターミナルの車両の出入り口であり、XT がコンテナターミナルから搬入/

搬出するコンテナの船名や目的地、コンテナの識別番号などを確認するエリアを指す。

(12)

第 2 章

コンテナターミナルの荷役の流れ

2.2

荷役機械の役割

7

2.2

荷役機械の役割

2.2.1

ガントリークレーン

ガントリークレーンとはエプロンでコンテナの船卸・船積を行う荷役機械を指す。特

に橋脚型の構造を持ったガントリークレーンはコンテナターミナルの象徴的な存在で

あり、

「キリン」の愛称で呼ばれる。ガントリークレーンの荷役作業には次の2つが存

在する。

• 船卸作業:コンテナを船からおろす作業

• 船積作業:コンテナを船に積込む作業

また、コンテナターミナルの荷役能力を表す尺度として、ガントリークレーン 1 台の

1時間当りのコンテナ取扱い量や、バースの 1 時間当りのコンテナ取扱い量などが用

いられるため、ガントリークレーンの操縦士には経験と技量が求められる。

2.2.2

ヤードクレーン

ヤードクレーンとはコンテナヤードにてコンテナの蔵置作業を行う荷役機械を指す。

コンテナを多段に積上げることで土地の利用効率をあげる(蔵置可能なコンテナ数を

増やす)ことができるため、ヤードクレーンには門型の構造を持つものが多い。ヤー

ドクレーンの荷役作業には次の3つが存在する。

• 積入れ作業:トレーラが積載しているコンテナをピックアップしてヤードに蔵置

する荷役作業

• 積出し作業:ヤードに蔵置しているコンテナをトレーラに積む作業

• リハンドリング作業:荷役の対象でないコンテナの蔵置位置を動かす作業

2.2.3

IT

Internal Trailer

IT

とはコンテナターミナルの内のみでコンテナの搬送を行う車両を指し、主にコン

テナヤードとエプロン間のコンテナの搬送を行う。

「ハウストレーラ」や「構内シャー

シ」などとも呼ばれる。ただし、本研究では IT を作業内容によって次のように呼び分

ける。

• 船卸 IT:エプロンからヤードへ船卸されたコンテナを搬送している IT

• 船積 IT:ヤードからエプロンへ船積するコンテナを搬送している IT

(13)

第 2 章

コンテナターミナルの荷役の流れ

2.3

荷役の流れ

8

エプロンからヤードに船卸されたコンテナを搬送し、エプロンへ片輸送(復路はコン

テナを積載せずに走行)する車両を船卸 IT と呼び、エプロンからヤードへ片輸送し、

エプロンへ船積するコンテナを搬送する車両を船積 IT と呼ぶ。

2.2.4

XT

External Trailer

XT

とはコンテナターミナルの外からコンテナを搬入出しにやってくる車両を指し、

ゲートとヤード間のコンテナの搬送を行う。

「外来シャーシ」や単に「トラック」など

とも呼ばれる。ただし、本研究では IT 同様に XT も作業内容によって呼び分ける。

• 搬入 XT:ゲートからヤードへ船積するコンテナを搬入する車両

• 搬出 XT:ヤードからゲートへ船卸したコンテナを搬出する車両

船積するコンテナ(輸出コンテナ)をヤードに搬入し、ヤードからゲートへ片輸送す

る車両を搬入 XT と呼び、ゲートからヤードへ片輸送し、船卸したコンテナ(輸入コ

ンテナ)をヤードから搬出する車両を搬出 XT と呼ぶ。また、本研究では船積コンテ

ナを搬入し、かつ船卸コンテナを搬出する車両は損存在しないものとして扱っている。

2.3

荷役の流れ

ここでは海側の荷役の流れと陸側の荷役の流れに分けて説明する。

2.3.1

海側の荷役の流れ

まず、コンテナ船がバースに接岸すると、ガントリークレーンによってコンテナの船

卸作業が行われる。船からおろされたコンテナは船卸 IT によってエプロンからコンテ

ナヤードへと搬送され、ヤードではヤードクレーンによって蔵置作業が行われる。船

卸作業が完了すると、コンテナの船積作業が行われる。ヤードクレーンによって船積

IT

に積載されたコンテナはヤードからエプロンへと搬送され,ガントリークレーンに

よる船積作業が完了すると船は出港時刻を迎る。

2.3.2

陸側の荷役の流れ

一方、搬入 XT は船積するコンテナを事前にヤードへ搬入し,搬出 XT が船卸され

たコンテナをヤードから搬出する。ただし、XT はコンテナターミナルに出入りする際

にゲートで輸入出に必要な手続きを行う。

(14)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

9

3

コンテナターミナル実験モデル

本章ではコンテナターミナルの実験モデル(Fig. 3 - 1)について述べる。また、本

研究で提案するディスパッチングルールを用いたコンテナの蔵置のプロセスについて

述べる。

3.1

コンテナターミナルのモデル

IN

ゲート

ブロック

OUT

ゲート

コンテナ船

ガントリークレーン

  

バース

  

エプロン

                                              

ヤード

−→

行方向

列方向

IT

専用走行レーン

◀ ◀

XT

専用走行レーン

◀ ◀ ◀ ◀ ▲ ▼ ◀ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶ ▶▶     ' ' & & & & & $ $ % % % % % ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ' ' ' ' ' $ $ $ $ $   HH HHH

Fig. 3 - 1:

モデルの平面図

2.1.3

で述べたように、コンテナには 20ft コンテナや 40ft コンテナといった規格や、

ドライコンテナ(通常のコンテナ)やリーファコンテナ(冷蔵/冷凍ユニットを持った

コンテナ)といった貨物の種類に加え、北米や欧州といったコンテナの行先などによっ

て蔵置されることが多い。しかしながら、実際のコンテナターミナルにおける 40ft コ

(15)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.1

コンテナターミナルのモデル

10

ンテナと 20ft コンテナの割合や、貨物の種類によるコンテナの内訳等を再現するのは

非常に困難である。そのため本研究では簡略化のためにすべてのコンテナを 40ft・同

重量のコンテナとして扱い、コンテナを

• どの船に積むコンテナか

• どの船からおろされたコンテナか

と船舶の ID によって分類する。さらに、同じ船舶から船卸される、あるいは同じ船舶

に船積するコンテナを

• 出港日の何日前に搬入される船積コンテナか

• 出港日の何日後に搬出される船卸コンテナか

によってより詳細に分類する。

実際のコンテナターミナルではコンテナを船舶からおろしてから輸入許可がおりる

までに短くても 1 日要する。また、おろされたコンテナを期間内にひきとりにこなかっ

た場合には超過料金が課せられる。そのため本研究では、船卸されたコンテナは船卸

された日の翌日から 5 日間ですべて搬出され、船積するコンテナは船積する前日まで

の 5 日間ですべて搬入されるものとしている。また、船 i から船卸されたコンテナ N

i

個のうち j 日後 (j = 1, 2, ..., 5) に搬出されるコンテナの割合を

n

i1

: n

i2

: n

i3

: n

i4

: n

i5

= 3 : 3 : 2 : 1 : 1

(3.1)

(

N

i

=

5

j=1

n

ij

)

と定めた。船 i に船積されるコンテナ M

i

個のうち j 日前 (j = 1, 2, ..., 5) に搬入される

コンテナの割合も式(3.1)と同様に

m

i1

: m

i2

: m

i3

: m

i4

: m

i5

= 3 : 3 : 2 : 1 : 1

(3.2)

(

M

i

=

5

j=1

m

ij

)

と定める。

次に、本研究ではシミュレーションの単位距離および単位時間を Tab. 3 -1 ように定

める。

Tab. 3 -1:

シミュレーションのパラメータ

単位距離

単位時間

2.6 [m]

3.5 [s]

(16)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.1

コンテナターミナルのモデル

11

なお、Tab. 3 -1 の値はコンテナの規格と荷役機械の荷役速度からそれらの単位速度

が整数比となるように定めている。ここで、コンテナの規格および車両の荷役速度、ガ

ントリークレーンの荷役速度、ヤードクレーンの荷役速度のパラメータについて、そ

れぞれ Tab. 3 -2 から Tab. 3 -6 に示す。

3.1.1

コンテナターミナルの設備規模

本研究では、Tab. 3 -2 に示したコンテナの長さ方向に 11 個、奥行き方向に 5 個、高

さ方向に 5 個のコンテナを連続して積上げることができるエリアを1つのブロックと

定義し、そのブロックが Fig. 3 - 1 中に示した行方向に 5 個、列方向に 5 個並べられ、

ヤードに蔵置可能なコンテナ数が 6875 個となるコンテナターミナルをモデルとしてい

る。また、Tab. 3 -3 はヤードの仕様をまとめたものである。

Tab. 3 -2:

コンテナの大きさ

実距離

単位距離

コンテナの長さ (Length)

約 12 [m] (40ft)

5

コンテナの奥行き (Width)

約 2.4 [m] (8ft)

1

コンテナの高さ (Height)

約 2.6 [m] (8ft6inch)

1

Tab. 3 -3:

コンテナヤードの蔵置可能コンテナ数

ブロックの長さ (Length)

コンテナの長さ× 11 個

ブロックの奥行き (Width)

コンテナの奥行き× 5 個

ブロックの高さ (Height)

コンテナの高さ× 5 個

1ブロック当りのコンテナ数

275

総ブロック数

25

ブロック

蔵置可能コンテナ数

6875

(17)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.1

コンテナターミナルのモデル

12











































































































































width

-





6

?

heig

ht







*















leng

th

























































































































































































































































































































































































































Handl

ing

lane

T /C

mov

ing

lane

T r

ail

er

passing

lane

Fig. 3 - 2:

ブロックの概略図

2.1.4

でも述べたように、コンテナターミナルには IT 専用走行レーン(Fig. 3 - 1 中

の赤色のレーン)と XT 専用走行レーン(Fig. 3 - 1 中の青色のレーン)を設けており、

Fig. 3 - 2

に示すブロックの概略図のように荷役レーンと追越しレーンも設けている。

そのためヤードクレーンが走行するレーンと干渉することはない。ここで、IT および

XT

の移動はの平均移動速度(単位距離/単位時間)で表し、その平均移動速度は実最

高速度の半分であるものとして扱う。(Tab. 3 -4)

Tab. 3 -4:

車両(XT および IT)の荷役速度

実最高速度

実平均移動速度

平均移動速度

車両の移動速度

約 20 [km/h]

約 10 [km/h]

8

3.1.2

荷役機械の速度

本研究ではクレーンの荷役を、クレーンの移動速度およびスプレッダ(コンテナを

把持する装置)の横行速度と巻上速度のみを用いて表現し、クレーンの動特性は考慮

しないものとする。ただし、移動速度および横行速度、巻上速度とは次に示す通りで

ある。

• 移動速度:荷役機械がレーンを自走する速度(ブロックの長さ方向の移動速度)

• 横行速度:ブロックの奥行き方向にスプレッダが動く速度

• 巻上速度:ブロックの高さ方向にスプレッダがコンテナを巻き上げる速度

また、各クレーンについては作業者の熟練度に起因する荷役速度の個体差はないもの

として扱い、その荷役速度は Tab. 3 -5、Tab. 3 -6 に示す通りである。

(18)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.1

コンテナターミナルのモデル

13

Tab. 3 -5:

ガントリークレーンの仕様

実速度

単位速度

ガントリークレーンの

移動速度

45 [m/min]

1

ガントリークレーンの

横行速度

360 [m/min]

8

ガントリークレーンの

巻上速度

180 [m/min](無負荷時)

4

90 [m/min](負荷時)

2

Tab. 3 -6:

ヤードクレーンの仕様

実速度

単位速度

ヤードクレーンの移動

速度

180m/min

4

ヤードクレーンの横行

速度

90m/min

2

ヤードクレーンの巻上

速度

90m/min(無負荷時)

2

45m/min(負荷時)

1

また、次に示す条件の下でシミュレーションを行う。

• ヤードクレーン以外の荷役機械(ガントリークレーン、IT、ゲート)の数は無限

に存在するものとする。

• 積卸するコンテナ数に関わらず、すべての船について 1 隻当り 4 台のガントリー

クレーンによる荷役作業が行われるものとする。

• ガントリークレーンが船卸/船積作業の最中に移動することはなく、コンテナ1

つ当りの船積/船卸にかかる時間は一定であるものとする。

• すべてのブロックにおいてヤードクレーンの台数は同じである。

• コンテナを船卸/船積する順番は船の接岸時に確定するものとし、その順番を予

測して蔵置することはできない。

• XT が到着する台数は既知であるものとして扱うが、XT の到着する順番を予測

して蔵置することはできない。

これらの条件は、ガントリークレーンのコンテナ荷役能力の不足やゲートのトレーラ

処理能力の不足によって、ヤードへのトレーラ流入量が制限されボトルネックになる

といった現象を排除するためであり、純粋なヤードのコンテナ処理能力を評価するこ

(19)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

14

とを本研究では考える。また、本研究ではヤードクレーンがブロック間を移動するよ

うなスケジュールは考えない。ただし、1 ブロック当りのヤードクレーン台数がトレー

ラのリードタイムに与える影響はシミュレーションによって確認する。

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

Fig. 3 - 3

に本研究で考えたコンテナ蔵置の流れを示す。ここでは船卸 IT と搬入 XT

の荷役要望があった場合と、船積 IT と搬出 XT の荷役要望があった場合に分けて説明

する。

車両の荷役要望

ブロック選択問題

位置決め問題

位置照会

-船卸/搬入 船積/搬出

-

クレーンの荷役

割当て問題

Fig. 3 - 3:

コンテナ荷役のプロセス

• 船卸 IT と搬入 XT の荷役要望があった場合

(1)蔵置するブロックのみを決定する。(ブロック選択問題を解くプロセス)

(2)ブロック内の詳細な蔵置位置を決定する。

(位置決め問題問題を解くプロセス)

(3)車両の荷役を担当するヤードクレーンを決定する。

(クレーンの荷役割当て

問題を解くプロセス)

船卸 IT と搬入 XT の荷役要望があった場合、コンテナは3つのプロセスを経て蔵置さ

れる。まず、蔵置するブロックのみを決定し、搬送車両がブロックに到着した時にブ

ロック内での詳細な蔵置位置を決定する。その後、車両の荷役を行うヤードクレーン

を決定する。(1)と(2)が 1.3 で述べたコンテナのスタッキング問題に相当し、(3)

が T/C のスケジューリング問題に相当する。本研究ではブロック選択問題に適用する

ディスパッチングルールを 3 通り、位置決定問題に適用するディスパッチングルール

を 6 通り、荷役割当て問題に適用するディスパッチングルールを 2 通り提案し、それら

の組合せである 36 通りのルールを用いてシミュレーションを行う。ただし、適用する

ルールをシミュレーション中に場面に応じて切り替えることはせず、単一のルールで

シミュレーションを行う。

• 船積 IT と搬出 XT の荷役要望があった場合

(20)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

15

[1]

コンテナの蔵置位置を照会する。

[2]

車両の荷役を担当するヤードクレーンを決定する。

船積 IT と搬出 XT の荷役要望があった場合、コンテナは2つのプロセスを経て搬出さ

れる。まず、蔵置されている ブロックを照会し、搬送車両がブロックに到着した時に

ヤードクレーンの荷役割当てを行う。

3.2.1

ブロック選択問題に適用するディスパッチングルール

ここではブロック選択問題に適用するディスパッチングルールとその概要を述べる。

また、ルールの詳細として付録 B にプログラムソースコードを添付する。

1) Free Stacking(FS):

コンテナの分類を考慮せずに、一番空いているブロックに蔵置するルールを提案

し、このルールのことを本研究においては Free Stacking(FS)と呼ぶ。ルール:

FS

では船が接岸した場合、コンテナがおろされた時点で一番空いてるにブロッ

クに IT が搬送する。XT が到着した場合も同様に、ゲートに到着した時点で一番

空いてるブロックに搬送する。このルールはコンテナの蔵置をすべてのブロック

に分散させることによるヤードクレーンの負荷の分散を狙ったものである。

2) Row Marshalling Stacking(RMS):

搬出日が同じ船卸コンテナや、搬入日が同じ船積コンテナを、行方向のブロック

に分割数が最小となるように蔵置するルールを提案し、このルールのことを本研

究においては Row Marshall Stacking(RMS)と呼ぶ。ルール:RMS では船舶 i

からおろされる

5

j=1

n

ij

個のコンテナを、まず搬出日が同じ n

ij

個の船卸コンテナ

ごとに蔵置するブロックを決定していく。またそれぞれについて、n

ij

個の船卸コ

ンテナを1つのブロックにまとめて蔵置できるブロックを選択し、1つのブロッ

クにまとめて蔵置できない場合は同じ列方向の複数個のブロックを選択する。た

だし、選択したブロックの数が最小となるようにする。XT が到着した場合は、

船舶 i に積む

5

j=1

m

ij

個のうちの搬入日が同じ m

ij

個の船積コンテナについて、最

初の 1 個のコンテナを積んだ XT がゲートに到着した時点で m

ij

個の船積コンテ

ナの蔵置するブロックを同様に選択する。このルールは搬出日が同じコンテナを

1ヵ所にかためて置くことで IT もしくは XT の一方の引き取りが 1ヵ所に集中す

ることを狙ったものである。そうすることで船接岸時に IT と XT 両方の荷役が

ヤードクレーンに集中する状態を回避できると考えている。

(21)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

16

3) Column Scattering Stacking(CSS):

搬出日が同じ船卸コンテナや、搬入日が同じ船積コンテナを、列方向の複数のブ

ロックに均等分割して蔵置するルールを提案し、このルールのことを本研究にお

いては ColumnScatteringStacking(CSS)と呼ぶ。ルール:CSS では船舶 i から

おろされる

5

j=1

n

ij

個のコンテナのうち搬出日が同じ n

ij

個の船卸コンテナを列方

向の複数のブロックに均等に蔵置する。ただし、本実験では n

ij

個のコンテナを

5個のブロック(行の数)に均等に分割し、各行から 1 番空いてるブロックを選

択することとした。XT が到着した場合は、船舶 i に積む

5

j=1

m

ij

個のうちの搬入

日が同じ m

ij

個の船積コンテナについて、最初の 1 個のコンテナを積んだ XT が

ゲートに到着した時点で m

ij

個の船積コンテナを均等に蔵置する5つのブロック

を同様に選択する。このルールはコンテナの蔵置を分散しつつ、船接岸時に IT

と XT 両方の荷役がヤードクレーンに集中する状態を回避することを狙っており、

前者2つのルールの間を取ったルールである。

3.2.2

位置決定問題に適用するディスパッチングルール

ここでは位置決定問題に適用するディスパッチングルールを列挙する。各ルールは

蔵置の優先度(priority)を持っており、ここでは「Top priority」を用いても蔵置位置

を決められなかった場合に「2nd priority」を用い、それでも決められなかった場合に

「3rd priority」 を用いるものとする。また、ルールの詳細として付録 B にプログラム

ソースコードを添付する。

i) Random Flat-stacking(RF):

ブロックの高さを平滑化するようにランダムに蔵置するルールを提案する。この

ルールは、次のように優先度(priority)を1つしか持たせない。

[Top priority]

凹地(高さの 1 番低い位置)があれば蔵置する。

ただし、候補が複数ある場合でも優劣をつけずにランダムに蔵置する。ブロック

の高さを平滑化することによって、リハンドリングの回数が全体的に少なくなる

ことを狙っている。

ii) Random Layer-stacking(RL):

同じ分類のコンテナを積上げるようにランダムに蔵置するルールを提案する。次

のように優先度を1つしか持たせない。

(22)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

17

ただし、候補が複数ある場合でも優劣をつけずにランダムに蔵置する。同じ分類

のコンテナを積上げることによって、他の分類のコンテナの荷役を行う際に邪魔

にならないことから、リハンドリングの回数が少なくなることを狙っている。

iii) Width-direction Flat-stacking(WF):

ブロックの高さを平滑化するようにブロックの奥行き方向に優先度をつけて蔵置

するルールを提案する。このルールは、次のような優先度を持たせている。

[Top priority]

凹地があればに蔵置する。

[2nd priority]

真下に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[3rd priority]

ブロックの奥行き方向に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

まず、凹地に優先的に蔵置し、候補が複数ある場合に真下に同じ分類のコンテナ

があればその位置に蔵置する。また、奥行き方向に同じ分類のコンテナが蔵置

することによって、ヤードクレーンが移動することなく荷役する状況が生まれ、

ヤードクレーンの行方向の移動量が少なくなることを狙っている。

iv) Width-direction Layer-stacking(WL):

同じ分類のコンテナを積上げるように奥行き方向に優先度を持たせて蔵置する

ルールを提案する。このルールは、次のような優先度を持たせている。

[Top priority]

真下に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[2nd priority]

ブロックの奥行き方向に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[3rd priority]

周囲に同じ分類のコンテナが 1 番多いところに蔵置する。

まず、同じ分類のコンテナを積上げることを優先し、奥行き方向に隣接した位置

にコンテナを積上げる。さらに候補が複数ある場合には周囲に同じ分類のコンテ

ナが 1 番多いところに蔵置することによって、同じ分類のコンテナを同じヤード

クレーンが荷役する状況が生まれ、ヤードクレーンの行方向の移動量が少なくな

ることを狙っている。

v) Length-direction Flat-stacking(LF):

ブロックの高さを平滑化するようにブロックの長さ方向に優先度をつけて蔵置す

るルールを提案する。このルールは次のような優先度を持たせる。

[Top priority]

凹地があればに蔵置する。

[2nd priority]

真下に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[3rd priority]

ブロックの長さ方向に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

(23)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

18

まず、凹地に優先的に蔵置し、候補が複数ある場合に真下に同じ分類のコンテナ

があればその位置に蔵置する。ブロックの奥行き方向ではなく長さ方向に優先

度を持たせることによってヤードクレーンの作業負荷を分散させる効果を狙って

いる。

vi) Length-direction Layer-stacking(LL):

同じ分類のコンテナを積上げるように長さ方向に優先度を持たせて蔵置するルー

ルを提案する。このルールは、次のような優先度を持たせている。

[Top priority]

真下に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[2nd priority]

ブロックの長さ方向に同じ分類のコンテナがあれば蔵置する。

[3rd priority]

周囲に同じ分類のコンテナが 1 番多いところに蔵置する。

まず、同じ分類のコンテナを積上げることを優先し、長さ方向に隣接した位置に

コンテナを積上げる。同じ分類のコンテナを積上げて蔵置し、かつ長さ方向に配

置することでヤードクレーン同士が密集して荷役作業をする状況を作る効果を

狙っている。

3.2.3

荷役割当て問題に適用するディスパッチングルール

ここでは荷役割当て問題に適用するディスパッチングルールとその概要を述べる。ま

た、ルールの詳細として付録 B にプログラムソースコードを添付する。

a) Distance-based Scheduling(DS):

一番距離の近いヤードクレーンに荷役を割当てるルールを提案する。このルール

は、次のような優先度を持たせている。

[Top priority]

一番距離が近いヤードクレーンに割当てる。

[2nd priority]

最も荷役回数が少ないヤードクレーンに割当てる。

[3rd priority]

最後に作業が完了してからの経過時間が長いヤードクレーンに

割当てる。

一番距離の近いヤードクレーンに割当てることでヤードクレーンの行方向の移動

量を少なくする効果を狙っている。

b) Operating time-based Scheduling(OS):

最後に作業が完了してからの経過時間が長いヤードクレーンに割当てる。この

ルールは、次のような優先度を持たせている。

(24)

第 3 章

コンテナターミナル実験モデル

3.2

コンテナの蔵置のプロセス

19

[Top priority]

最後に作業が完了してからの経過時間が長いヤードクレーンに

割当てる。

[2nd priority]

最も荷役回数が少ないヤードクレーンに割当てる。

[3rd priority]

一番距離が近いヤードクレーンに割当てる。

最後に作業が完了してからの時間が長いヤードクレーンに割当てることでヤード

クレーンの負荷を分散する効果を狙っている。

(25)

第 4 章

実験内容

20

4

実験内容

4.1

入力データ

本研究では Tab. 4 -1 に示すように、1日当りの船舶の接岸隻数と XT の到着台数の

基準値を設定し、1200 日分の入力データを作成した。ただし、一般的なコンテナター

ミナルの実体に沿い、船がバースに接岸可能な時間帯(バースオープン時間)と XT が

ゲートに到着可能な時間帯(ゲートオープン時間)を設け、船舶も XT もそれぞれの

オープン時間の間でポアソン到着するものとした。ただし、船から積卸するコンテナ

の数は基準値からの標準偏差が正規分布に従うこととした。また、本研究では船積す

るコンテナと船卸するコンテナの数は同じものとして扱っている。

Tab. 4 -1:

入力データの基準値

船接岸隻数

2[隻/日] 到着間隔

(指数分布)

積卸コンテナ数

600[個/隻] 標準偏差

(ポアソン分布)

XT

到着台数

1000[台/日] 到着間隔

(指数分布)

バースオープン時間

00:00-24:00 (24h)

ゲートオープン時間

08:00-18:00 (10h)

サンプル数

1200

4.2

初期状態

1

日の XT の到着台数や船の接岸数が多い場合、ヤードクレーンが多忙になることで

XT

のリードタイムが延びることが容易に考えられる。しかし、前述の入力データの違

いだけではなく、ヤードに元々蔵置してあるコンテナの数によってヤードクレーンの

リハンドリング回数が変動し、XT のリードタイムが延びる原因になると考えた。そこ

(26)

第 4 章

実験内容

4.3

実験の種類

21

で本研究では初期状態としてヤード占有率を次式のように定義する。

(ヤード占有率) =

(元々ヤードに蔵置してあったコンテナ数)

(蔵置可能コンテナ数)

[%]

(4.1)

ただし、元々ヤードに蔵置してあったコンテナ数を分子にとるため、ヤード占有率は

変動する値とはならない。

4.3

実験の種類

4.3.1

ルールの組合せ違いによるリードタイムの変化を見る実験

3.2.1

から 3.2.3 で述べたディスパッチングルールの組合せの違いが XT のリードタ

イムにどのような変化をもたらすか明らかにする。Tab. 4 -2 にルールの組合せ全通り

を列挙する。

Tab. 4 -2:

ルールの組合せの違いによるリードタイムの比較実験

実験番号

ブロック選択

位置決定

荷役割当

1

FS

RF

DS

2

RL

3

WF

4

WL

5

LF

6

LL

7

RMS

RF

8

RL

9

WF

10

WL

11

LF

12

LL

13

CSS

RF

14

RL

15

WF

16

WL

17

LF

18

LL

実験番号

ブロック選択

位置決定

荷役割当

19

FS

RF

OS

20

RL

21

WF

22

WL

23

LF

24

LL

25

RMS

RF

26

RL

27

WF

28

WL

29

LF

30

LL

31

CSS

RF

32

RL

33

WF

34

WL

35

LF

36

LL

4.3.2

ヤードクレーン台数の違いによるリードタイムの変化を見る実験

1

ブロックあたりのヤードクレーンの台数を Tab. 4 -3 に示すように 11 台から 1 台ま

で減らして実験を行い、XT のリードタイムにどのような変化をもたらすか明らかにす

る。また、Tab. 4 -2 に示した 36 通りのルールすべてについて Tab. 4 -3 の実験を行う。

(27)

第 4 章

実験内容

4.3

実験の種類

22

Tab. 4 -3:

ヤードクレーン台数の違いによるリードタイムの比較実験

実験番号

ヤードクレーンの台数

i

11

ii

8

iii

5

iv

3

v

2

vi

1

本研究ではブロック1つの長さをコンテナ 11 個分としているが、通常ヤードクレー

ンはコンテナの長さよりも大きいため実際のコンテナターミナルで 11 台のヤードク

レーンが 1 ブロックに連続して並ぶことは物理的に考えにくい。しかしながら、本研

究では 1 ブロックに 11 台のヤードクレーンを用いて荷役を行うことができれば、XT

のリードタイムが最短になる理想的な状態を作り出せると考えた。そのため本研究で

はヤードクレーンが 11 台で荷役を行った時のリードタイムを基準として台数の違いに

よるリードタイムの比較を行う。

4.3.3

入力データおよび初期状態の違いによるリードタイムの変化を

見る実験

Tab. 4 -1

で示したように、入力データ 1200 サンプルについてヤード占有率(初期状

態)の高低を算出し、入力データとヤード占有率の関係が XT のリードタイムにどの

ような変化をもたらすか明らかにする。

(28)

第 5 章

実験結果

23

5

実験結果

本章では前章で述べた実験の結果を示す。ただし、ルールの組合せの違いの結果や

ヤードクレーンの台数の違いの結果をすべて載せることはせず、代表的な実験結果の

みをここでは示す。本章で示すことができなかった実験結果については付録 A に添付

する。

5.1

荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係性

横軸に荷役を行った車両(IT と XT)の台数の総数をとり、縦軸にヤードクレーン

の総稼働時間(各ヤードクレーンの稼働時間の総和)をとり、ヤードクレーンの台数

ごとにまとめたグラフを Fig. 5 - 1 から Fig. 5 - 3 に示す。

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC11 XT and IT ] f(x)=25.8x+-4850.2 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC08 XT and IT ] f(x)=26.4x+-5032.8 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC05 XT and IT ] f(x)=27.2x+-5165.1 r=1.00

(a)11

台のとき

(b)8

台のとき

(c)5

台のとき

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC03 XT and IT ] f(x)=28.3x+-5354.5 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC02 XT and IT ] f(x)=29.5x+-5572.3 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers FS-RF-DS1 [sample 00 to 60 TC01 XT and IT ] f(x)=32.8x+-5546.6 r=1.00

(d)3

台のとき

(e)2

台のとき

(f)1

台のとき

Fig. 5 - 1: FS-RF-DS

適用時の荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係

(29)

第 5 章

実験結果

5.1

荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係性

24

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC11 XT and IT ]

f(x)=24.1x+-2832.4 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC08 XT and IT ]

f(x)=28.3x+-1112.6 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC05 XT and IT ]

f(x)=28.7x+121.0 r=0.99

(a)11

台のとき

(b)8

台のとき

(c)5

台のとき

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC03 XT and IT ]

f(x)=28.5x+655.5 r=0.99 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC02 XT and IT ]

f(x)=28.5x+824.5 r=0.99 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers RMS-WF-OS [sample 00 to 60 TC01 XT and IT ]

f(x)=28.4x+910.8 r=0.99

(d)3

台のとき

(e)2

台のとき

(f)1

台のとき

Fig. 5 - 2: RMS-WF-OS

適用時の荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC11 XT and IT ]

f(x)=25.2x+-4758.6 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC08 XT and IT ]

f(x)=31.3x+-5666.8 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC05 XT and IT ]

f(x)=32.6x+-5506.2 r=1.00

(a)11

台のとき

(b)8

台のとき

(c)5

台のとき

0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC03 XT and IT ]

f(x)=32.8x+-5338.0 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC02 XT and IT ]

f(x)=32.8x+-5283.2 r=1.00 0 50000 100000 150000 200000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

Total operating time of YC

number of trailers CSS-LL-OS [sample 00 to 60 TC01 XT and IT ]

f(x)=32.8x+-5258.9 r=1.00

(d)3

台のとき

(e)2

台のとき

(f)1

台のとき

Fig. 5 - 3: CSS-LL-OS

適用時の荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係

また最小二乗法を用いて算出した近似直線 f (x) = ax と相関係数 r も同じグラフに

記載している。Fig. 5 - 1 から Fig. 5 - 3 より、ヤードクレーンの総稼働時間は荷役車両

台数に比例して増加することがわかる。しかし、ルールの違いやヤードクレーンの台

数の違いによって分散(総稼働時間のばらつき)が大きくなる傾向が読み取れる。さ

らに、どのルールにおいてもヤードクレーンの台数が少ない場合には近似直線の傾き

が大きくなる傾向が読み取れる。近似直線の傾き a(総稼働時間/荷役車両台数)はク

レーンが車両 1 台の荷役に費やした平均時間であるため、傾きの値が小さければ小さ

Fig. 5 - 5: FS-RF-DS 適用時のヤード占有率とヤードクレーンの平均リードタイム
Fig. 5 - 6: RMS-WF-OS 適用時のヤード占有率とヤードクレーンの平均リードタイム
Fig. 5 - 7: CSS-LL-OS 適用時のヤード占有率とヤードクレーンの平均リードタイム
Fig. 5 - 8: FS-RF-DS 適用時の荷役車両台数とヤードクレーンの総稼働時間の関係
+7

参照

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