205 (74) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ムギ シマ マ リ理(昭和30
医学博士 乙第1073号平成2年2月16日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 脊髄小脳変性症における自律神経障害一特に血圧脈拍のcircadian rhythmについて一
(主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 橋本 葉子,重田 帝子論 文 内 容 の 要 旨
目的 近年,高血圧症患者の自律神経機能評価法の1つと して血圧,脈拍の定日リズム(circadian rhythm:CR)が注目され,神経内科領域では脳血管障害,Shy
Drager症候群(SDS)等の限られた疾患についての研 究報告が散見される.脊髄小脳変性症(SCD)は種々 の病型に分類されているが,自律神経障害の有無とそ の程度が重要な鑑別点となっている.著者は血圧,脈拍のCRとSCDの自律神経障害の関連性,並びに
SCDにおける自律神経障害の病態把握に際してCR
の有用性を検討した. 対象および方法 対象はSCD 23例で,その内訳はSDS 4例,オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)8例,晩発性小脳萎縮症
(LCCA)5例, Menzel型遺伝性失調症(Menzel type)
3例,Holmes型遺伝性失調症(Holmes type)1例, 線条体黒質変性症(SND)1例, Friedreich失調症1 例である.対照には血圧異常,自律神経症状をみない 20例を用いた. 方法は携帯型非観血的血圧連続測定装置を用いて, 30分間隔で24時間連続で血圧,脈拍の測定記録を行い, 覚醒時,睡眠時の収縮期血圧,拡張期血圧,脈拍それ ぞれの平均値,ならびに標準偏差,変動係数を算出し 比較検討した.この他,交感神経機能の評価には,Shel- Iong testおよびその際の血中のcatecholamine測定, 寒冷昇圧試験,指先容積脈波を,副交感神経機能の評 価には,心電図R-R間隔変動,膀胱機能検査をそれぞ れ用いた. 結果 1)正常対照群のCRでは,夜発睡眠時に血圧の低下 と脈拍数の減少とがみられ,いずれも午前2時を最低 として午前10時頃まで徐々に血圧は上昇し脈拍数は増 加した.2)SDS,及びOPCAでCRの異常を認め睡眠 時に血圧が上昇して血圧,脈拍の変動幅も大であった. 3)CR異常群では自律神経症状,もしくは機能異常が 交感神経系,副交感神経系ともに著明で,かつCR異常 と関連があった.4)CR正常群のうち, SND, LCCA では自律神経障害,特に起立性低血圧など軽度の交感
神経機能障害はあったが,Menzel type, Holmes type, Friedreich失調症では自律神経症状は認められな かった. 考察 近年,動物実験により,視床下部視交叉上核が,睡 眠覚醒リズムならびに関連する生理機能の中枢である ことが示唆されている.また,血圧のCRには中枢神経 系循環調節機能の関与が想定され,正常対照例では, 血圧が日中覚醒時に上昇し夜間睡眠時には下降する
CRを,またSDSでは夜間血圧が上昇するCRをそれ
ぞれ呈していた.SCDにおけるCRは,病変の主座が 脳幹,及び視床下部にあるとされる病型で異常な場合 が多く,また血圧,脈拍のCRの異常と自律神経障害, 特に交感神経機能障害の程度との間に明らかな関連が 認められ,臨床的に重要な所見と考えられた. 結語 一807一206 血圧,脈拍のCRの検討は, SCDの自律神経機能障 害の病態を臨床的に解析する上で,有用な方法の一つ と考えられる.