都市部における特殊学級の最近の傾向と今後の課題
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(2) 寄. 166. 島. 佳. 子. 表1精神薄弱特殊学級在籍者数・学級数の推移(全国) (カツコ内は学級数) 度 年 (昭和). 党. 50. 童. 数. 67, 823. (10,775) 51. 66, 536. (10, 884) 52. 64, 466. (10, 964) 53. 62, 699. (ll,006) 54. 58, 069. (10, 728) 55. 56, 479. (10, 744) 56. 55, 369. (10, 779) 57. 54, 253. (10, 776). 生. 徒. 数. 合. 計. 45, 782. 113, 605. (6,798). (17,573). 43, 746. 110, 282. (6,678). (17, 562). 42, 152. 106, 618. (6,559). (17,523). 39, 724. 102, 423. (6,430). (17, 436). 35, 639. (6, 109) 33, 629. (5,987) 32, 130. (5,884) 31, 360. (5,837). 93, 708. (16,837) 90, 108. (16,731) 87, 499. (16,663) 85, 613. (16,613). の周辺地域でほ,全国状況とは逆に,学級数ならびに在籍者数の増加値向がみられる。ま た,これらの地域の特殊学級には,本来ならば養葺学校の対象とすべき中度・重度のレベ ルの子どもがかなり入級してきている。 このように,養護学校と普通学級のまさに狭間におかれているといってよい特殊学級は, 今その両方から様々な面で教育的ゆさぷりをかけられており,そこにほ数多くの問題が山 積している。本研究では,特に都市部にある特殊学級在籍者の実態調査を踏まえながら, 特殊学級がかかえている今日的な問題をより明らかにするとともに,今後の特殊学級のあ るべき方向について検討する。 2. 神奈川県下における特殊学級の現状. -3市の調査よt)〟 上でも述べたように,近年の傾向として,都市部の特殊学級は重度化債向に,過疎地域 でほ軽度化憤向がみられる。神奈川県の場合,横浜市,川崎市といった大都市をかかえる 東部には特殊教育語学校ならびに特殊学級が多いが,西部はそれと対照的に教育行政面で はたちおくれているoその意味で一口に神奈川県といってもその地域差ほ大きいし,特殊 学級在籍者の懐向も異なるものと考えられる。本詞査でとりあげた神奈川県下の3市は, いずれも県内中部に位置し,横浜,川崎と接する中規模都市である。人口の自然増,社会.
(3) 都市部における特殊学級の最近の傾向と今後の課題 表2. 県下3市における特殊学寂在籍者数・学級数 (カ.2コ内ほ学級数)昭和58年度 児. S. 童. 数l生. Y. 徒. 計. 数[合. 188. 101. 289. (37). (14). (51). 市. 162 F. 167. 30. 192. 市. (13). (5). 72. 31. (12). (6). (18) 103. 市. (18). 増も著しいこれら大都市周辺地域の特殊学級でほ,大都市とほまた違った教育面での新し 3市の特殊学級数および い動きや課題をかかえているのではないだろうかと考えられる。 特殊学級在籍者数は表2の通りである。ただし, S市, F市の数の中には精神薄弱児学級. 以外のものも含まれているので,ここでは精神薄弱児学級のみであるY市の状況を中心に 見ていきながら,必要に応じてS市,. F市の状況もあわせて見ていくことにする.なお,. 資料の入手にあたっては,当該教育委員会の協力を得,藤江みゆき*が労をとったことを 付言しておく。 (注 *神奈川県立ゆうかり養護学校). (1)児童・生徒数 国1は,. Y市における過去6年間の特殊学級在籍児童・生徒数の推移について示したも. のである。これから明らかなように,. Y市の場合,小学校特殊学級における在籍児童数は. 年々増加していく傾向がみられる。昭和53年度36名であったものが,昭和58年度にはその 倍の72名になっている。人口の増加率等を考えあわせても,在籍者数が2倍になっている ことは注目に値しよう。これは,昭和54年度から開始された養護学校の義務制実施と閑適 があるのではないかと考えられる。すなわち, をもっているところでは・. F市やS市のように市内に県立の養護学校. Y市にみられるような在学児の急増ぶりほみられないことから,. 養護学校を市内にもたない市の場合は,本来ならば養護学校に措置されるべき児童が,小 学校段階では多数特殊学級に入級してきているのではないだろうか。特殊学級在籍者の人 数の増加は,市内に養護学校があるか否かというような事情とが密接に関係しているよう に思われる。一方,中学校の場合は(図1■),小学校にみられたような在籍者の増加とい う債向ほない。これは,小学校特殊学級卒業者がすべて中学校特殊学級に進むというわけ ではなく,障害が中・重度になればなるほどやほり養護学校-措置されるケースも出てく るであろうし,また,中学校卒業後の進学状況などを反映して,父母の中軒こは中学校の特.
(4) 福. 168. 遠望霊芝. 7O 60. L一一●ノ. S¢ 40 30. 印 18. s35455565758. 数 年度. 回1.Y市における特殊学級在籍者赦の移動. 殊学級を敬遠して,普通学級に籍を置くことを希望するケースもかなりあることかなどか ら,中学校の場合は,はぼコソスタントに人数が保たれているのではないかと考えられるo (2)障書の程度 y市における過去6年間の特殊学級在籍児童・生徒の障害の程度を人数別に表わしたも のが表3,表4であるoなお,障害の程度については,学校教育法施行令第22免の2およ びそれを受けた文部省初等中等教育局長通達(「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒 の教育措置について+)を参考KLて・軽度・中度・重度の3段階に分類したo 表3 年 程. 度. 度. Y市における小学校特殊学級在籍者の障害程度別人数 56. 53. 54. 55. 15. 13 く2>. 14. く2>. <3>. 15 <4>. 19 <4>. <7>. 16. <1>. 14. 29. 57. 14. 58. 23. <4>. <2> 37. <4>. 47. 163. <30> 16. 2. 往. く. (. 36. (58.3). 31. (58.1). >ほ新入学児の数な示す。 )ほ中・重度児の割合を示す。. 35. (60.0). 45. (68.9). 53. (73.6). 93. <13>. <10>. <2>. <2>. 計. 計. 72. (68.1). 272. (65.8).
(5) 169. 都市掛こおける特殊学級の最近の頗向と今後の課題 表4. 年 程. 度. 度. Y市における中学校特殊学級在籍者の障害程度別人数 53. 25. <11>. 26. <4>. 4. 計 注. く. (. 56. 23. 17. <5>. く4> 7. <3>. <3>. 55. 54. 11. 12. <6>. く3>. 57. 18. <6>. 18. <5>. 127. <35>. 13. 11. <4>. 計. 58. <7>. 58. <26>. 2. 6. く2>. く2>. 31. (19.4). 35. (25.7). 37. (37.8). 28. 29. 31. (39.3). (37.9). (41.9). 191. (33.5). >ほ新入学生徒の数を示すo )は中・重度児の割合を示すo. 障害の程度がどのように変化してきているか年度を追ってみると,小・中学校とも,本 来特殊学級の対象とされている軽度児が横ばいないし減少の債向にあり,教育措置の手続 きからすれば養護学校の対象とされている中度児が非常に多くを占めるようになってきて いる。すちみに,重度児をあわせると,小学校の場合,昭和53年度の時点ですでに50%を 越えており,年度がすすむつれてますますその債向は強まり,昭和5留年度は在籍者の68% が中・重度児(中度児のみだと65%)で占められていることがわかる。中学校特殊学級に ぉいても,中・重度児の割合は.昭和53年度は19.4%であったものが,昭和58年度には I Q20ないし25以下のいわゆる重度児の割合は,小学校で数名の 41.9%にのぽっている. 横ばい,中学校でほ昭和56年度からは0名といずれも少ないが.これは,障害の程度がか なり重度になってくるとやほり養護学校の方-の措置されることが多くなるためであろうo っまり,特殊学級の重度化傾向の中身は中度児が多数入級してきていることによるもので・ この僚向ほ今後も続くものと予想される。 このような特殊学級在籍者の重度化傾向は,. F市やS市にもみられる現象である。たと. えば,. F市のある小学校特殊学級では,この数年軽度児の割合が20数%にとどまっており・ 中虎児の占める割合が非常に高く,中・重度児をあわせると70数%にも達しているo中学 校の場合もY市とほぼ同様で,中・重度児をあわせて約40%を占めている。そしてその中 にほ,身辺自立がほとんど出来ていない者や,言語が-・二語といった老,また対人的な. コミュニケーションがほとんどとれない老などが含まれており障害の多様化,重複化がう かがえる。. ところで,特殊学級へ入ってくる新入学児(1年生)の障害の程度を見てみると(表3), この重度化の頗向はいっそう明らかである。. Y市の場合,新入学児の中で,中・重度児の. 占める割合は近年70%を越している。中学校特殊学級においても,小学校ほどでないが・ 新入学生徒の中・重度化債向が認められる(蓑4)。表5はS市内の小学校特殊学級の新 入学児の障害程度別人数を過去3年間についてみたものであるが,ここでもY市と同様,.
(6) 170. 高 表5. 島. 佳. 子. S市における小学校特殊学級新入学児の障害産別人数. 程. 年. 度. 度. 軽. 度. 中. 度l. 重. 度. 56. 58. 17. 計 注(. 57. 17. 23. 16. (87.0). 22. (68.8). (90.9). )ほ中・重度児の割合を示す。. 新入児童の重度化債向が目立っているoこれによよと,中度児が圧倒的に多く,. 昭和58年. 度の新入児童の約90%が中・重度児で占められているのが現状である。 (3)兼聾学校および普通学級との関係 特殊学級に入級した後でも・その手どもの教育的ニードやその他の事情で,養護学校も しくは普通学級に措置替えをすることがあるが・ y市の特殊学級の場合,養護学校もし くは普通学級との関係ほどうであろうかo図2・図3は各々,昭和53年から昭和5締まで の6年間について・小学校特殊学級ならびに中学校特殊学級を中心にしてみた移動状況を 示したものであるo小学校の場合,特殊学級卒業後,養護学校(うち1名ほ聾学校)へ移 つた児童10名(いずれも中・重度)・途中または特殊学級卒業後普通学級へ移った児童10 名(いずれも軽度)・途中で普通学級から特殊学級へ移ってきた児童40名(いずれも軽・ 中度)・途中で養護学校から特殊学級へ移ってきた児童1名(中度)である。中学校の場 合は・途中で養護学校もしくは普通学級へ移った生徒は0名,途中で養護学校から特殊学 級へ移ってきた生徒1名(軽度)・途中または小学校普通学級卒業後特殊学級へ入ってき た生徒24名(いずれも軽・中度)であるoこのように,いったん特殊学級に措置されても 9年間の義務教育期間中に,かなりの移動があることが知られた。判別のむつかしさや就. 養準学校. 国2・. 葺讃学攻. A 「づ. 1(I. 特殊学叔. ---・う. ←諒叫. 菅漣学叔. Jlt学校特殊学叔からみた移動状況 (数字比人数を示す. ). 十⊥. 「. づ. 特殊学戟. -_+→. ぐ丁. 団8・中学攻特殊学級から一みた移動状況 (数学比Å数を示す。 ). 普愚挙叔.
(7) 都市部における特殊学級の最近の傾向と今後の課曳. 171. 学指導委員会のあり方とも深くかかわってくる問題であるが,特に,小・中学校とも,特 殊学級から普通学級へ移る老に比べて,避に普通学級から特殊学級へ入ってくる暑が多い のが注目されるoこれは,いったんは普通学級をこ措置されたものの,そこに適応若きない 子どもが少なくないことを物語るものであろう。特殊学級は普通学級で適応できない児童 ・生徒を受け止める棟能は果し得ているとしても,特殊学級の子どもを積極的に普通学級 の中へ適応させていくという面では十分機能していないのではないかと考えられる。 3. 特殊学級の今後の方向. (1)特殊学級の評注 前章ではY市を中心にして特殊学級の現状を見てきたが,それを踏まえてここでは今日 の特殊学級がかかえている様々な問題に対する施策のあり方をめく小って検討しよう. ① 教育措置の再検討 特殊学級に対する制度上の検討すべき問題の一つは,そこに入級してくる児童・生徒の. 教育措置に関するものである.現行の教育措置の基準についてほ,学校教育法施行令第22 条の2とそれの解説と運用について述べられた文部省初等中等丑育局長通達「教育上特別 な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について+に明示されている。この中には,盲著 および弱視者,聾者および難聴者,精神薄弱者,肢体不自由者,病弱着,身体虚弱者,言 語障害者,情緒障害者,重複障害者の教育措置と心身の故障の種類,程度等の判断にあた っての留意事項が明記されており,上記施行令の表に競定する故障の程度の者ほそれぞれ の該当するいずれかの特殊教育語学校に就学する義務を負うことになっている。また,同 施行令の表に達しない軽度の者については,特殊学級か通常の学級で留意して指導するよ うに示唆している。要約すれば,障害の重い子どもは養護学校(もしくほ盲学校か聾学 校)で,障害の軽い子どもは特殊学級か普通学級で,それぞれ教育することになっている。 このように,特殊学級と養護学校の対象ほ,行政的には障害の種類と程度によって分けら れるわけであるが,現実にはこの規定通り整然と分かれておらず,その基準は極めて流動 的である。とりわけ,本研究の対象とした神奈川県下でもみられたように,本来なら養護 学校の対象であるべき中度,重度児が特殊学級に入級するケースが多くなっている.一般 に都市部においては,地域保証という意味で特殊学級が重い子どもを対象にすべきである. との考えが高まっており,こういった子どもを療極的に受け入れていこうとする歯向が強 いoたとえば川崎市のたんぽぼ学級などほその典型的な例で,これなどほ重度,重複児を 主として対象にした特殊学級であるo こういった状況に対して,現行の教育措置の基準ほもはや対応しきれなくなっている。 すなわち従来のような精神薄弱とか肢体不自由といった障害別の縦割りの教育措置でほ対 処しきれなくなってきている上に,障害の多様化,重度化に呼応して,中度とほ,重度と ほ具体的に何がどの程度のものをいうのか,社会的適応性のキ社会的寸とはいったい何を さすのか,といった点の問題も出てきており,現行の基準ほ抜本的に再検討されなければ.
(8) 福. 172. 島. 佳. 子. ならなくなっているo教育措置の決定にあたって重要なことは,養護学校か特殊学級かと いった択一的,榛械的な決定ではなくて,障害の程度や発達の様相,父母の考え,受け入 通学の便等地域や生活の実態に基づいて,その子どもの最も適した教育の場. れ側の尭軌. を弾力的に検討していくことだろう。養護学校と特殊学級の間に融通性のある教育措置が ほかられるべきであるし,必要によっては多重籍も認められるようなシステムが早急に整 えられるべきであろう。. ②. 教育課程の充実. 特殊学級の教育課程は.小・中学校の学習指導要領を基準に,特殊教育諸学校の学習指 導要領を参考にして編成することになっているが,実際にほ,障害の状態に応じてかなり 自由な教育課程が編成できる。また,重い子どものためには,必要であれば幼稚園教育要. 領や保育所保育指針なども活用されてよいだろう。 かって,特殊学級の教育内容・方法といえば,生活単元学習,作業学習などがその中心 であったが,近年の入級児童・生徒の重度化という債向に伴って,それに対応した教育内 容・方法が求められるようになってきている。障害の程度が重くなってくるはど,敏育内 容の重点は教科よりもむしろ生活科や養護・訓練,あるいは食事・排港などの日常生活の 自立にむけてのものが中心になってくるであろう.しかしながら,何を,どのように指導 していくかという具体的な問題になると,試行錯誤の域を出ていないように思われる。全 般的に見て,重い子どもに対する教育実践が本格的に開始されたのが,国立久里浜養護学 校が設置された昭和48年あたりからであるが,重い子どもの教育内容と指導方法の確立に はまだしばらく時間がかかりそうである. 今後の基礎的な研究と実践にまつところが大き. い。. ③. 特殊学級の条件整備. 今後,特殊学級における中庭児・重度児に対する対応をもっと積極的におしすすめてい かざるを得ない状況にきているが,このような重い子どもに適切に対処できる条件が特殊 学級そのものに整えられていない。子どもの質の変化に応じきれない特殊学級の状況が, 担任教師の負担を非常に大きなものにしているとい-bれている.特殊学級では,たとえば, 這ったりころがったりするスペースが少ない,幸いすで使用できるトイレットがないなど 施設,設備の面でたち遅れているし,個別指導が十分実施できるだけの教員の確保や,義 護・訓練のような専門領域に精通している熟練教員の配置などあらゆる点で養護学校とほ 大きな開きがある。特殊学校が今後,障害の重い子どもを積極的に受け入れていこうとす れば,施設,設備の拡充,教職員の定数や配置など,特殊学級の教育条件を整備,改善し ていかねばならないだろうoそのためにほ,特殊学級にも養護学校に準じた予算措置が行 われるべきである。. また,特殊学級と養護学校の教員の自由な交流や移動も弾力的に検討されてよい。対象 児としてほとんど変らない程度の子どもを教育していながら,両者の接触ほはとんどないo このようなことがスムーズに運ばない理由の一つにほ,養護学校の多くが都道府県立,特. 殊学級が市町村立という設置主体のちがいが大きな陸路になっている。特殊学級と養護学.
(9) 173. 都市蕃における特殊学級の最近の傾向と今後の課題. 校の教員間の組織的な協力体制をつくるためには,まず設置主体である行政レベルでの緊 密な連携が望まれるところであるo一方,普通学級との関係においてもこのことほいえる わけで,障害児教育に対する普通学級の教員の理解と協力を得るための体制づくりも重要 である。ともすると,特殊学級は普通学校の片すみに置かれていて物理的隔離とでもいう べき状態をしいられており,それに加えて全職員の理解が得られず孤立無援の状態にある ところも少なくない。特殊学級が学校経営全体の中で正しく位置づけられるとともに,普. 通学級に対しても養護学校に対しても開かれた学級になっていくことが望まれる。 (2)特殊学級の見直し一交兼敏育と特殊学級の役割一 前章でも見てきたように,主として軽度児を対象に発展してきた特殊学級が,特に都市 部では重度化してきている債向がはっきりわかった。また新入学児童・生徒についてみる とこの懐向はいっそう明らかで,今後もこのような債向が続くものと予想される。こうい った現象の背景にほ大都市およびその周辺地域における教育的ニードの多様化,教育と福 祉をめく小る障害者運動の高まり,養護学校義務化政策の歪み等様々な要田が考えられる. しかしもっと具体的にほ,都道府県下という広範囲の地域の子どもを対象に設置されてい る養護学校が通学に大きな支障をきたしており子どもの重度,重複化が進行する状況では, 単にスクールバスの配車や寄宿舎の設置だけでは根本的な解決にはなり得ないといった事 態の中で,地域に密着した小規模な教育の場としての特殊学級が見直されつつあるという ことである。 さらにまた,特殊学級が再認識されつつある理由の一つにmainstreamingをめ(oる世. 界的な動きがあろう。これほ,地域社会の中で障害児(普)を可能な限り,健常な人々の 生活と変わらないものにしていこうという思潮である。学校教育においてこれは,従来の 障害児教育が通常の教育や地域社会から分離され,隔離された形で発展してきた状況に対 する強い反省の上に立って,できる限り両者を交涜させていこうという主張となって現わ. れてきている。交洗教育は,障害児教育と普通教育のそれぞれの特徴や役割を認めあった 上で,その長所を生かし,短所を補いあって教育を高めていこうとする学習形態である. このような交流教育という観点から見ると,特殊学級は養護学校に比べてはるかに有利で あろう。特殊学級ほ特別に編成された学級であるが,あくまでも小・中学校の中に併設さ れた学級であり,完全分離の養護学校に対して,部分的統合の場としての位置づけがなさ れているからである.ただ一口に交流といっても,障害の種規や程度によって,その内容, 形態,頻度などに大きな違いがみられるのが実情である。実際にほ,単に教育の萄をとも にするだけの形式的な変淀であったり,軽度児だけを対象にしたいわゆるキュリートイン チグレーショソ寸にとどまっている場合が非常に多い。特殊学級に重い子どもが入級して きている今の状況を考えるとき,こういった子どもの交流のあり方についても議論される べき時期にきているのではないだろうか。障害の種類や程度を無視した安易な交流はむし ろマイナスの影響を及ぼしかねないけれども,障害の重い子ども-の交溌が困難だからと いって,交洗の効果がない,交流が不要であるということにはならないからである。障害.
(10) 174. 福. 島. 佳. 子. 児の交涜が学校教育の枠内で終始するのではなく,究極的にほ両者の社会的統合へとつな がっていくた捌こは,重度児の交流も無視することは出来ないからである。今日,交流教. 育の推進は特殊教育の当面する重要な課題の一つになっているが,特殊教育と普通教育と の交涜という点において,開かれた特殊学級の果す役割ほ今後ますます大きくなるものと 考えられる。 参. 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7). 考. 文. 献. 高山佳子「日本の特殊教育+,石部,溝上編『世界の特殊教育』第8章,福村出版, 1982. 日本精神薄弱者福祉連盟『精神薄弱者問題自書』 (1980年版, 1981年版, 1982年版, 1983年版) 日本文化科学社. 日本特殊教育学会「心身障害児教育の望ましいあり方-インテグレーションをめぐって-+ 日本特殊教育学会第11回大会シンポジウム要約集, 1973. 藤原正人『障害児教育の今日的課題7.学級・学校経営』,福村出版, 1976. 宮崎直男「精神薄弱特殊学級の課題と展望+,特殊教育36, 2-7, 1982. 官本茂雄他「誌上シンポジウム・.特殊学級を見直すJ,精神薄弱児研究, 6-49, 271, 1981. 文部省『特殊教育百年史』,東洋館出版社,. 1978..
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