安全保障における脅威認識 : 新しい脅威の共有に向けて
24
0
0
全文
(2) 50. (402). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). 1.安全保障における脅威認識分析. を政策決定者や自国民が持つことが難しく,脅 威はまったくないか低く見積もってしまう,ま. 国が何を脅威と認識するのかによって安全保. たは高く見積もってしまう状態に陥りがちであ. 障政策は大きな影響を受ける.例えば冷戦期に. る.前者の例としては,クリントン政権時から. おける日本では,脅威対象国を旧ソ連と考え,. テロへの脅威は認識されていたのにも関わら. 防衛政策は北海道を中心とする北方重視の姿勢. ず,米国同時多発テロ発生予防につながる対策. をとっていたが,冷戦終了後は拉致問題や弾道. が講じられていなかったこと,後者の例として. ミサイル(テポドンミサイル等)の脅威が認識. は,大量破壊兵器拡散とイラク政権を安易に脅. され始め,それにより脅威対象国は北朝鮮に置. 威と結びつけてしまい,イラク戦争に突入して. き換えられ,防衛政策の重点が徐々にミサイル. しまった米国の安全保障政策が挙げられる.ま. 防衛やゲリラ・コマンドー対策におかれるよう. た今日の新しい脅威といわれる脅威を認識する. になった.このことは内閣府で実施されている. ためには,国際社会のグローバル化現象も考慮. 「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」における. に入れる必要がある.今日の安全保障環境は,. 「日本の平和と安全の面から,あなたが関心を. 冷戦期にもまして,不確実性の脅威にさらされ. 持っていることがありましたら,この中から 3. ている.これは冷戦期の米ソの対立という明確. つまであげてください. 」についての回答が,昭. な軍事的脅威ではなく,顕在化を把握し難く,. 63 年 2 月5)までは「米ソ関係」が最上位に,平. 政策側も対応を検討し辛い.この非伝統的脅威. 6). 成 3 年 2 月 からは湾岸戦争の影響から中東情. とは,核拡散問題,テロ,感染症など「はっき. 勢が最上位にきつつも第 2 位が「米ロ関係」で. りとは認識しにくいものの,脅威が現実になれ. あったが, その後平成 6 年 1 月7)からの調査では,. ば,手の打ちようがなくなる問題」であり,し. 「朝鮮半島情勢」が上位を占めるようになり,平. かも急速に増えてきている.これらの問題が. 成 18 年 2 月8)の調査では 63.7% の第 1 位にまで. やっかいなのは,専門家の目には明らかに脅威. 上りつめたことからも伺える. (図 1~4). と映っても,市民がその認識を共有しづらく,. このように脅威認識は常に推移している.ま. その結果政治的対応も事後的になることだ.し. た現在の国際社会においては,脅威は多様化の. かも脅威認識に各国間でばらつきがある場合,. 一途をたどっている.冷戦期には脅威は軍事的. 国際協調を取りまとめるのも難しくなることで. なもののみであったが,今はそれ以外の脅威の. ある10).脅威認識を的確に捉えることができな. 増大が顕著となりつつある.軍事的なものに主. ければ的確な政策判断を講じられず,国内や国. 眼をおいた「脅威」は,従来から国家防衛の基. 際的な不安・不信の増大,または安全保障観の. 礎的な要件を構成してきたものであり,脅威を. 欠如を招き,より不安定な国際社会となってし. 質・量の両面から分析して,この脅威が顕在化. まうであろう.脅威認識は,安全保障の概念,. する場合のシナリオを考察し,それに対応する. 制度,政策を規定する重要な決定要因であり,. ことが国家防衛を含む国家安全保障政策の基本. 安全保障問題がグローバル化するなか,こ の. 戦略,基本計画と国家防衛力整備計画の基礎と. 「脅威」をどう認識し,対応していくのかとい. なってきた9).いわば脅威対象を質・量の両面. うことが安全保障政策全般に関わっていく事. からの「能力」と,脅威が顕在化するシナリオ. 項であると考える.. 分析という脅威対象の「意図」の分析を通じ, 脅威を明確に認識することができた.しかし今. 2.安全保障における脅威区分. 日の新しい脅威とは,従来の意図や能力の判. 従来の軍事的脅威を主体にした「伝統的(従. 断では分析することができず,的確な脅威認識. 来型)脅威」と 9.11 米国同時多発 テ ロ 以降認.
(3) ࿑㧝 ᤘ 63 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ ࿑㧝 ᤘ 63 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ㪊㪊㪅㪉. ☨䉸䈱ァ䊋䊤䊮䉴 䉟䊤䊮㩷䊶㩷䉟䊤䉪ᚢ ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ᦺ㞲ඨፉ䈱ቯ 㪈㪐㪅㪌 ☨䉸䈱ァ䊋䊤䊮䉴 ਛ䉸ኻ┙䈫☨ਛ㑐ଥ 㪈㪍㪅㪊 䉟䊤䊮㩷䊶㩷䉟䊤䉪ᚢ 䊚䉰䉟䊦䋬᠄ᯏ╬䈮䉋䉎ᭂ᧲䉸ㅪァ䈱Ⴧᒝ 㪈㪍 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ 䉝䊤䊑㩷䊶㩷䉟䉴䊤䉣䊦㗴 㪍㪅㪉 ☨䉸䈱ァ䊋䊤䊮䉴 ᦺ㞲ඨፉ䈱ቯ 㪈㪐㪅㪌 ᰷Ꮊ䈱ᚢၞᩭ㗴 㪌㪅㪎 䉟䊤䊮㩷䊶㩷䉟䊤䉪ᚢ ਛ䉸ኻ┙䈫☨ਛ㑐ଥ 㪈㪍㪅㪊 䉝䊐䉧䊆䉴䉺䊮㗴 㪋㪅㪌 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ 䊚䉰䉟䊦䋬᠄ᯏ╬䈮䉋䉎ᭂ᧲䉸ㅪァ䈱Ⴧᒝ 㪈㪍 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪈 ᦺ㞲ඨፉ䈱ቯ 㪈㪐㪅㪌 䉝䊤䊑㩷䊶㩷䉟䉴䊤䉣䊦㗴 㪍㪅㪉 ☨䉸䈱ァ䊋䊤䊮䉴 ਛኻ┙䈫᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ 㪉㪅㪎 ਛ䉸ኻ┙䈫☨ਛ㑐ଥ 㪈㪍㪅㪊 ᰷Ꮊ䈱ᚢၞᩭ㗴 㪌㪅㪎 䉟䊤䊮㩷䊶㩷䉟䊤䉪ᚢ 䉒䈎䉌䈭䈇 㪈㪇㪅㪐 䊚䉰䉟䊦䋬᠄ᯏ╬䈮䉋䉎ᭂ᧲䉸ㅪァ䈱Ⴧᒝ 㪈㪍 䉝䊐䉧䊆䉴䉺䊮㗴 㪋㪅㪌 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ․䈮䈭䈇 㪈㪍㪅㪍 䉝䊤䊑㩷䊶㩷䉟䉴䊤䉣䊦㗴 㪍㪅㪉 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪈 ᦺ㞲ඨፉ䈱ቯ 㪈㪐㪅㪌 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌 ᰷Ꮊ䈱ᚢၞᩭ㗴 㪉㪅㪎 㪌㪅㪎 ਛኻ┙䈫᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ਛ䉸ኻ┙䈫☨ਛ㑐ଥ 㪈㪍㪅㪊 䉝䊐䉧䊆䉴䉺䊮㗴 㪋㪅㪌 㪈㪇㪅㪐 䉒䈎䉌䈭䈇 䊚䉰䉟䊦䋬᠄ᯏ╬䈮䉋䉎ᭂ᧲䉸ㅪァ䈱Ⴧᒝ 㪈㪍 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪈 㪍㪅㪉 ․䈮䈭䈇 㪈㪍㪅㪍 䉝䊤䊑㩷䊶㩷䉟䉴䊤䉣䊦㗴 ਛኻ┙䈫᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ 㪉㪅㪎 㪌㪅㪎 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌 ᰷Ꮊ䈱ᚢၞᩭ㗴 䉒䈎䉌䈭䈇 㪈㪇㪅㪐 䉝䊐䉧䊆䉴䉺䊮㗴 㪋㪅㪌 ․䈮䈭䈇 㪈㪍㪅㪍 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪈 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌㪉㪅㪎 ਛኻ┙䈫᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ 䉒䈎䉌䈭䈇 㪈㪇㪅㪐 ․䈮䈭䈇 㪈㪍㪅㪍 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌. 㪋㪉㪅㪈. 㪊㪉㪅㪐. ࿑㧝 ᤘ 63 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ 㪋㪉㪅㪈 安全保障における脅威認識(中島). ࿑㧝 ᤘ 63 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ 㪊㪊㪅㪉. 㪇. 㪈㪇. 㪇. 㪉㪇. 㪋㪉㪅㪈 㪊㪊㪅㪉 㪊㪉㪅㪐. 㪊㪇 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪋㪇. 㪈㪇. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪇. 㪈㪇. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪌㪍㪅㪉. 㪋㪋 㪌㪍㪅㪉. 㪋㪋. 㪈㪎㪅㪊. ࿑㧞 ᐔᚑ㪌㪅㪈3 ᐕ 2㪈㪏㪅㪉ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. 㪇. 㪏㪇. 㪉㪌㪅㪎. 㪈㪏㪅㪉 ࿑㧞 ᐔᚑ 3 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ਛ䉸㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ ਛ᧲ᖱ ᚢ⇛ེᷫᷤ䋨㪪㪫㪘㪩㪫䋩╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ᰷Ꮊᖱ ☨䉸㑐ଥ ᦺ㞲ඨፉᖱ 䉦䊮䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ਛ᧲ᖱ ਛ䉸㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ᚢ⇛ེᷫᷤ䋨㪪㪫㪘㪩㪫䋩╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ☨䉸㑐ଥ ᰷Ꮊᖱ 䉒䈎䉌䈭䈇 ᦺ㞲ඨፉᖱ ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ 䉦䊮䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ․䈮䈭䈇 ਛ䉸㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ ᚢ⇛ེᷫᷤ䋨㪪㪫㪘㪩㪫䋩╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 䈠䈱ઁ ᰷Ꮊᖱ ᦺ㞲ඨፉᖱ 䉒䈎䉌䈭䈇 䉦䊮䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ਛ䉸㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ ․䈮䈭䈇 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ᰷Ꮊᖱ 㪈 䈠䈱ઁ 䉒䈎䉌䈭䈇 䉦䊮䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ․䈮䈭䈇 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ 䈠䈱ઁ 䉒䈎䉌䈭䈇. 㪎㪇. 㪍㪇 㪌㪇. ࿑㧞 ᐔᚑ図1 昭和 3 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ ☨䉸㑐ଥ 63 年 2 月内閣府調査. ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ਛ᧲ᖱ ᚢ⇛ེᷫᷤ䋨㪪㪫㪘㪩㪫䋩╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ☨䉸㑐ଥ ᦺ㞲ඨፉᖱ. 㪍㪇. 㪌㪇. 㪇. ࿑㧞 ᐔᚑ 3 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ ਛ᧲ᖱ. 51. 㪋㪉㪅㪈. 㪊㪉㪅㪐. 㪉㪇. 㪈㪇. (403). 㪊㪊㪅㪉 㪊㪉㪅㪐. 㪉㪌㪅㪎. 㪈㪊㪅㪌. 㪈㪎㪅㪊. 㪌㪅㪈 㪈㪊㪅㪌. 㪊㪅㪏 㪌㪅㪈 㪊㪅㪏 㪈. 㪈㪎㪅㪊. 㪇. 㪈㪈㪅㪎 㪈㪊㪅㪌 㪌㪅㪈 㪎㪅㪎 㪌㪅㪈. 㪋㪋 㪉㪌㪅㪎. 㪈㪏㪅㪉 㪈㪎㪅㪊. 㪈㪊㪅㪌. 㪈㪈㪅㪎 㪈㪇. 㪊㪅㪏 㪌㪅㪈. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪍㪇. 㪎㪅㪎. 㪌㪅㪈 㪈. 㪌㪍㪅㪉. 㪈㪏㪅㪉. 㪎㪅㪎. 㪌㪅㪈. 㪌㪍㪅㪉 㪋㪋. 㪉㪌㪅㪎. 㪈㪇. 㪊㪅㪏. 㪈㪈㪅㪎. 㪎㪅㪎. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 㪋㪇 㪈 ࿑䈠䈱ઁ 3㪇 ᐔᚑ 6 ᐕ 1 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ ․䈮䈭䈇. 㪈㪈㪅㪎. 図 2 平成 3 年 2 月内閣府調査 㪋㪇. 㪇ᦺ㞲ඨፉᖱ 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 ࿑ 3 ᐔᚑ 6ᐕ ☨䊨 㑐ଥ1 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. ࿑ 3 ᐔᚑ 6 ᐕ 1 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. 㪇 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 ᦺ㞲ඨፉᖱ ࿑㧠 ᐔᚑ 18 ᐕ. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪌㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪋㪇. 㪌㪇 㪌㪇. 㪋㪇 㪋㪇. ࿖㓙䊁䊨⚵❱䈱ᵴേ ᄢ㊂⎕უེ䉇䊚䉰䉟䊦䈭䈬䈮㑐䈜䉎ァ▤ℂ 㪉㪐㪅㪍 䊶㩷ァ❗ಽ㊁ᦺ㞲ඨፉᖱ ☨࿖㩷䊶㩷ਛ࿖㑐ଥ 㪉㪎㪅㪌 ࿖㓙䊁䊨⚵❱䈱ᵴേ ਛ᧲ᖱ 㪉㪎㪅㪋 ᄢ㊂⎕უེ䉇䊚䉰䉟䊦䈭䈬䈮㑐䈜䉎ァ▤ℂ 㪉㪐㪅㪍 ᦺ㞲ඨፉᖱ 䊶㩷ァ❗ಽ㊁ 㪈㪌 ᣣᧄ䈱ㄝၞ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ☨࿖㩷䊶㩷ਛ࿖㑐ଥ 㪉㪎㪅㪌 ࿖㓙䊁䊨⚵❱䈱ᵴേ ർᣇ㗔䈻䈱䊨䉲䉝ァ䈱㈩ 㪈㪋㪅㪉 ᄢ㊂⎕უེ䉇䊚䉰䉟䊦䈭䈬䈮㑐䈜䉎ァ▤ℂ ਛ᧲ᖱ 㪉㪎㪅㪋 㪉㪐㪅㪍 㪈㪈㪅㪎 ᦺ㞲ඨፉᖱ 䊶㩷ァ❗ಽ㊁ ☨࿖䊶䊨䉲䉝㑐ଥ 㪈㪌 ᣣᧄ䈱ㄝၞ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ☨࿖㩷䊶㩷ਛ࿖㑐ଥ 㪉㪎㪅㪌 㪈㪈 ᧲ධ䉝䉳䉝䈱ᖱ ࿖㓙䊁䊨⚵❱䈱ᵴേ ർᣇ㗔䈻䈱䊨䉲䉝ァ䈱㈩ 㪈㪋㪅㪉 ᄢ㊂⎕უེ䉇䊚䉰䉟䊦䈭䈬䈮㑐䈜䉎ァ▤ℂ ਛ᧲ᖱ 㪉㪎㪅㪋 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌 㪉㪐㪅㪍 䊶㩷ァ❗ಽ㊁ ☨࿖䊶䊨䉲䉝㑐ଥ 㪈㪈㪅㪎 㪈㪌 ᣣᧄ䈱ㄝၞ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ․䈮䈭䈇 㪍㪅㪐 ☨࿖㩷䊶㩷ਛ࿖㑐ଥ 㪉㪎㪅㪌 㪈㪈 ᧲ධ䉝䉳䉝䈱ᖱ ർᣇ㗔䈻䈱䊨䉲䉝ァ䈱㈩ 㪈㪋㪅㪉 㪊㪅㪊 䉒䈎䉌䈭䈇 ਛ᧲ᖱ 㪉㪎㪅㪋 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌 ☨࿖䊶䊨䉲䉝㑐ଥ 㪈㪈㪅㪎 㪈㪌 ᣣᧄ䈱ㄝၞ䈮䈍䈔䉎☨࿖䈱ァᘒ ․䈮䈭䈇 㪍㪅㪐 㪈㪈 ᧲ධ䉝䉳䉝䈱ᖱ 㪈㪇 㪈㪋㪅㪉 㪉㪇 㪊㪇 ർᣇ㗔䈻䈱䊨䉲䉝ァ䈱㈩ 㪇 䉒䈎䉌䈭䈇 䈠䈱ઁ 㪊㪅㪊 㪇㪅㪌 ☨࿖䊶䊨䉲䉝㑐ଥ 㪈㪈㪅㪎 図4 平成 18 年 2 月内閣府調査 ․䈮䈭䈇 㪍㪅㪐 ᧲ධ䉝䉳䉝䈱ᖱ 㪇 㪈㪇 㪈㪈 㪉㪇 㪊㪇 㪋㪇 㪊㪅㪊 䉒䈎䉌䈭䈇 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪌. 㪇 㪇. 㪊㪅㪊. 㪎㪇. 㪍㪇. 㪏㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪌㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪌㪇. 㪍㪇 㪍㪊㪅㪎 㪎㪇. 㪏㪇. 㪍㪊㪅㪎 㪋㪍㪅㪉. ࿑㧠 ᐔᚑ 18 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. ․䈮䈭䈇. 㪍㪇. 㪋㪍㪅㪉. ࿑㧠 ᐔᚑ 18 ᐕ 2 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. 䉒䈎䉌䈭䈇. 㪏㪇. 㪍㪇. 㪋㪇. 㪉㪇 㪊㪇 ࿑㧠 ᐔᚑ 18㪇 㪇㪅㪍 ᐕ 2㪈㪇 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ 䈠䈱ઁ. 㪎㪇. 㪌㪇. 㪊㪋㪅㪉 㪊㪈㪅㪉 㪊㪈 㪊㪋㪅㪉 㪊㪈㪅㪉 㪊㪈 㪊㪋㪅㪉 㪊㪈㪅㪉 㪊㪈 㪊㪋㪅㪉 㪊㪈㪅㪉 㪊㪈. ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ᦺ㞲ඨፉᖱ ᚢ⇛ེᷫᷤ㩿㪪㪫㪘㪩㪫㪀╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ 㪈㪐㪅㪊 ☨䊨 㑐ଥ ਛ᧲ᖱ 㪈㪏㪅㪈 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ᦺ㞲ඨፉᖱ 㪈㪍㪅㪌 䉦 䊮 䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ᚢ⇛ེᷫᷤ㩿㪪㪫㪘㪩㪫㪀╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ☨䊨 㑐ଥ ਛ䊨 㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ 㪈㪈㪅㪍㪈㪐㪅㪊 ਛ᧲ᖱ 㪈㪏㪅㪈 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ᰷Ꮊᖱ 㪌㪅㪊 ᦺ㞲ඨፉᖱ 㪈㪍㪅㪌 㪈㪐㪅㪊 䉦 䊮 䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ᚢ⇛ེᷫᷤ㩿㪪㪫㪘㪩㪫㪀╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎 ☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪊 ☨䊨 㑐ଥ ਛ䊨 㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ 㪈㪈㪅㪍 ਛ᧲ᖱ 㪈㪏㪅㪈 䉒䈎䉌䈭䈇 㪐 ർᣇ㗔䈻䈱䉸ㅪァ䈱㈩ ᰷Ꮊᖱ 㪌㪅㪊 㪈㪍㪅㪌㪈㪐㪅㪊 䉦 䊮 䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ․䈮䈭䈇 ᚢ⇛ེᷫᷤ㩿㪪㪫㪘㪩㪫㪀╬䈱ァ▤ℂ㩷䊶㩷ァ❗ᷤ 㪈㪐㪅㪊 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎 ☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪊 ਛ䊨 㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ 㪈㪈㪅㪍 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪍 ਛ᧲ᖱ 㪈㪏㪅㪈 䉒䈎䉌䈭䈇 㪐 ᰷Ꮊᖱ 㪌㪅㪊 㪈㪍㪅㪌 䉦 䊮 䊗䉳䉝⚗䋬ਛ㑐ଥ╬᧲ධ䉝䉳䉝ᖱ ․䈮䈭䈇 㪈㪐㪅㪊 㪉㪇 㪊㪇 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎 ☨࿖䈱ァᘒ 㪇 㪊㪅㪊 㪈㪇 ਛ䊨 㩷䊶㩷☨ਛ㑐ଥ 㪈㪈㪅㪍 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪍 䉒䈎䉌䈭䈇 㪐 ᰷Ꮊᖱ 㪌㪅㪊 ․䈮䈭䈇 㪈㪐㪅㪊 ᄥᐔᵗ䈮䈍䈔䉎 ☨࿖䈱ァᘒ 㪊㪅㪊 㪇 㪈㪇 㪉㪇 㪊㪇 䈠䈱ઁ 㪇㪅㪍 䉒䈎䉌䈭䈇 㪐 図 3 平成 6 年 1 月内閣府調査 ․䈮䈭䈇 㪈㪐㪅㪊. ࿑ 3 ᐔᚑ 6 ᐕ 1 ౝ㑑ᐭ⺞ᩏ. 㪍㪇. 㪍㪊㪅㪎 㪋㪍㪅㪉 㪍㪊㪅㪎 㪋㪍㪅㪉. 㪋㪇. 㪌㪇 㪌㪇. 㪍㪇 㪍㪇. 㪎㪇 㪎㪇. 㪏㪇 㪏㪇. 㪍㪅㪐. 㪈㪇. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇. 㪈㪇. 㪉㪇. 㪊㪇. 㪋㪇. 㪌㪇. 㪍㪇. 㪎㪇. 㪏㪇.
(4) 52. (404). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). 識されている「新しい脅威」については,脅威. ⑵ 新しい脅威. そのもの捉え方が違っているため,再整理を行. 9.11 事件により国際テロ組織の脅威が国際社. い後のアクター間の脅威認識の概観を捉える手. 会に認知され,米国ではテロの脅威への対処を. がかりとする11).. 国家の最優先課題として安全保障の重要な位置 づけとしている14).国連開発計画(UNDP)で. ⑴ 伝統的(従来型)脅威. はこのような国際テロの脅威の他,近年安全保. 安全保障における脅威とは,本来ある主体が. 障問題のグローバル化に伴う人間の安全保障に. 対象となる相手のもつ基本的な機能・目的・役. 代表される脅威について,人口爆発・経済的不. 割などを阻害しようとする意図・能力・手段・. 平等・人口移動(難民流出)・環境悪化・薬物. 12). 行動を,対象の側から総称したものを言う .. などを主要な脅威とし,経済・食糧・健康・環. 冷戦期までの国家を主体にした軍事的脅威につ. 境・個人・地域社会・政治の 7 つの分野別安全. いては,まさにこれが当てはまる.冷戦期,米. 保障が提起されている.このような「新しい脅. ソ双方は核兵器による相互確証破壊を基本戦略. 威」は,認識レベルで先の伝統的な脅威とは性. とした国際関係構造の中,軍事的脅威削減と均. 格を異にしており,さしあたり次の 2 義がある.. 衡を保つように安全保障政策を推進していた.. 第一に,従来からその脅威源および脅威性の存. このような軍事を中心とする脅威認識の特徴. 在は認識されていたが,近年の国際環境の変化,. は,現実に起こっている事象と脅威を結び付け. 脅威源の側のさまざまな政治的・経済的事情の. やすく,国内,国際社会にも認識されやすいこ. 変化,軍事技術面での新展開などによって,そ. とである.軍事的脅威については,兵器,兵員,. の脅威の性質がいわば「更新」されたもの.第. 部隊の配備状況などの情報が各国の情報収集活. 二に,従来はその脅威性が認識されていなかっ. 動・公開データ等によって共有され,それに基. たか,あるいは認識が弱かったが,冷戦終結以. づく交渉や対応により,相手国の軍事力の削減. 後になっていわば「新顔」の脅威として登場し. や自国の増強といった安全保障政策のオプショ. てきたものである15).この新しい脅威の特質と. ンがとりやすい.交渉相手(国家)が存在し,. しては,伝統的脅威と反して,現実に起こって. 脅威が目に見える形での数値や能力として顕在. いる事象と脅威が直接結び付きにくく,国内,. 化しており,戦争や紛争という形で危機が生じ. 国際社会に対しても認識されにくいことが挙げ. た場合,比較的短期の内に国家に多大な損害を. られる.しかし今日,環境問題などをはじめと. 与えるであろうことを,多くの人が明確に理解. する人々の地球規模の問題に対する認識は世論. することができる.近年の例を挙げれば,2006. 調査16)の回答結果からも向上している様子が. 年 7 月の北朝鮮による複数のミサイル発射,同. 伺える.(図 5 参照)また 2006 年秋イギリスの. 年 10 月の核実験に対する国際社会の懸念や批. ベケット外相は,「気候が不安定化すれば,政. 判,中国国防費 の 増額(2007 年度国防予算 が. 府の国民に対する基本的な責任である,経済・. 前 年 比 17.8% 増 の 3509 億 2100 万 元(約 5 兆. 貿易・移民問題・紛争処理・貧困などへの対応. 3340 億円) )と国防費の透明性の低さに対する. が十分果たせなくなる」として,気候安全保障. 日米双方の懸念の表明などがそれである13).. をイギリス外交の重要課題とすることを明言し. このような伝統的脅威は,冷戦が終結して約. た.これは国際安全保障の主要なアクターであ. 15 年が経過した現在でも,国際的な安全保障. るイギリスの外相が,国際テロ以外の,地球温. における中核的要因として認識されているので. 暖化による気候安全保障を新たな脅威と指摘し,. ある.. 伝統的な安全保障問題と同格の位置に置く17)と いう趣旨の発言であり,益々新たな脅威に対す.
(5) 安全保障における脅威認識(中島). ࿑㧡 ⷙᮨ㗴ᗧ⼂⺞ᩏ. (405). 53. 地球温暖化 環境破壊 テロ・紛争 感染症(エイズ, マラリア,結核,SARS など) 国際組織犯罪(麻薬,人身取引など) 人権侵害(差別,虐待) 武器・兵器などの密輸 国際的な難民問題 その他 わからない 出所: 「地球規模問題に関する意識調査(平成 17 年 2 月)」http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/i_chosa.html. ᚲ㧦ޟⷙᮨ㗴ߦ㑐ߔࠆᗧ⼂⺞ᩏ㧔ᐔᚑ 17 ᐕ 2 㧕 ޠhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/i_chosa.html. 図 5 地球規模問題意識調査. 㧝 ಄ᚢᓟߩ☨࿖ߩ࿖㒐ᚢ⇛ᚢജ᭴ᚑߩ⋥ߒߩ⚻✲ⷰ ᐕ ઍ. ᮭ. ᚢ ⇛ ฬ. ౝ ኈ. る認識が強化される方向に進んでいることを示 れていた.この冷戦期に一触即発で核戦争が勃 ᣂ㒐ⴡᚢ⇛ ࿖㒐⸘↹ߩ㊀ὐࠍ࠰ㅪߩ⢿ᆭ߆ࠄၞ⢿ ᐕ ࡉ࠶ࠪࡘ している. 発しかねないという脅威を国際社会の共有の認 㧔0GY&GHGPUG5VTCVGI[㧕 ᆭ߳⒖ⴕ 識にまで広げたのが,キューバ危機であった. 㧔ῳ㧕 ၮ⋚⊛ᚢജ㧔6JG$CUG(QTEG㧕 ಄ᚢᦼᲧ 㧑ߩᚢജᷫߣ 㧑ߩ࿖㒐੍ ᐕ 3.安全保障における脅威認識の変遷 この時点で米国は,核戦争の脅威を敵対するソ ▚ᷫࠍ⋡ᮡ ၞ 㒐 ⴡ ᚢ ⇛連と共有でき,それをコントロールする手段や 㧔 4GIKQPCN ᄢ㊂⎕უེᢔߦኻᔕ㧚ലᨐ⊛ᚢ⇛ᛥ 脅威認識は,先で述べたように時代や国家が ᐕ &GHGPUG5VTCVGI[㧕 ᱛ㧘೨ᣇዷ㐿㧘ෂᯏኻᔕ⢻ജ㧘ᚢജౣ᭴▽ おかれている国際環境によって変化していく. 理論を模索していた.それが「相互確証破壊」 ⢻ജࠍ㊀ⷞ 特に冷戦終焉から現在に至る米国の国防政策を 理論 MAD:Mutual Assured Destruction であ ࡏ࠻ࡓࠕ࠶ࡊࡆࡘ㧔$74㧦 ߶߷หᤨߦ↢ߔࠆ /4%㧔/CLQT4GIKQPCN ᐕ ╙৻ᰴࠢࡦ 概観すると,国家が何を脅威と認識するかが国 る.キューバ危機以前は,核戦争に事実上の勝 6JG$QVVQO7R4GXKGY㧘 㧕 %QPHNKEV㧘ᄢⷙᮨၞ⚗㧕ߦኻᔕߔࠆߩ ࠻ࡦᮭ 防政策の決定に大きく影響していることが見て 者はいないのだから,米ソ間の戦略的な膠着状 ߦᔅⷐߥᚢജࠍⓍߺߍᣇᑼߢ▚ቯ 取れる.そこで脅威認識が大きく変化した,冷 態は一般的に考えられているよりはるかに安定 ᐕ Ფ ߩ ࿖ 㒐 ⸘ ↹ ߩ ⋥ ߒ 㑐ਈ㧔GPICIGOGPV㧕ߦࠃࠅ☨ߩᜰዉജᓇ ᐕ 㧕 ╙ੑᰴࠢࡦ 㧔3&4 ᐕ㧕 㗀ജ⛽ᜬ㧚ో㓚ⅣႺࠍޟᒻᚑ 戦期と冷戦後の米国の国防政策における脅威認 した状態であると,多くの専門家が明言してい ࠻ࡦᮭ 㧔UJCRKPI㧕ޠ㧘ෂᯏߦޟኻಣ㧔TGURQPFKPI㧕ޠ 㧘 識に焦点をあて,脅威認識が国防政策に対しど た.キューバ危機をかろうじて乗り越えた後, ᚢߦޟḰ㧔RTGRCTKPI㧕ޠ㧚/4%U ኻಣ のように影響するのかについて考察を行う. 米国防長官ロバート・マクナマラは思いきって ⢻ജ⛽ᜬ㧔$74 ߩ /4% ࠍ /69㧔/CLQT6JGCVGT 「相互確証破壊」理論 MAD をアメリカの戦略 9CT㧘ᄢⷙᮨᚢၞᚢ㧕ߦ↪⺆ᄌᦝ㧕 㧚/69 ߆ࠄ 55%㧔5OCNNGT5ECNG%QPVKPIGPEKGU㧘 ⑴ 冷戦時の脅威認識(米ソ冷戦構造の概観) 核計画における基本と位置づけた.当時のアメ ዊⷙᮨ✕ᕆᘒ㧕 ߦ⥋ࠆᄙ᭽ߥછോㆀⴕ⢻ 冷戦時の脅威認識は,核戦争の脅威を主眼に リカ人にとって, 「MAD」という略称はいろ ജࠍⷐ᳞ߒߟߟ㧘ࠄࠁࠆಽ㊁ߢ․ߥߊ おいた,米国とソ連の冷戦である.両超大国が いろな意味で的を射たものだった.これらの武 ▵⚂ല₸ൻࠍଦㅴ㧚᰷Ꮊࠕࠫࠕᄥᐔᵗ 核戦争に突入した場合,米ソ両国のみならず, 器をどちらも絶対に使わないと信じるのは,あ ߦฦ ਁߩജ⛽ᜬ 西側,東側諸国が巻きこまれ,ひいては地球そ まりにもばかげたことだった.人間が自分たち ᐕ Ფ ߩ ࿖ 㒐 ⸘ ↹ ߩ ⋥ ߒ ᣣߩో㓚⼂㧦 㧝ᐕ ࡉ࠶ࠪࡘ 㧔3&4 ᐕ㧕 の発明した武器を使用しないことはなかったの 㕖ኻ⒓⊛⢿ᆭ㧘ਇቯᕈࠍߔࠆၞ㧘ァ のものに生物が住めなくなるという危機感が国 ߦ߅ߌࠆ㕟㧔4/#㧕㧚 際社会の共有の認識であり,米ソ両国が相互に で,核兵器の使用が後にも先にも広島と長崎 ޟ⢿ᆭኻᔕဳ㧔VJTGCVDCUGF㧕ࠄ߆ޠ㧘 お互いを脅威と認識していた.そのため脅威対 への原爆投下だけになるとはとても考えられ ࠅᓧࠆᢜߩ᠄ᣇᴺߦኻಣߔࠆޟ⢻ജኻᔕ 象を常に意識し,相手国からの脅威をどのよう なかった18).しかし相互確証破壊理論(MAD) ဳ㧔ECRCDKNKV[DCUGF㧕ߦޠᄌᦝ㧚 に回避し,対抗するかということが常に考えら により冷戦は継続されたのである.この理論を ࠬࠢ▤ℂ㧔TKUMOCPCIGOGPV㧕㧦 ᄌ㕟㧔VTCPUHQTOCVKQP㧕 ࿖㒐ⴡ㧔JQOGNCPFFGHGPUG㧕㧦 㕖ኻ⒓ᚢኻಣ㧔CU[OOGVTKEYCTHCTG㧕 ᚲ㧦ᄖോ⋭ HP㧦QDR2001㧔4 ᐕᲤߩ☨࿖㒐⸘↹ߩ⋥ߒ㧕ႎ๔ࠃࠅᚑ.
(6) 54. (406). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). 確実なものとするため,米国と旧ソ連は,1972. いわゆる「脅威基盤戦略」が国防計画を策定す. 年 5 月 に ABM 条 約( Anti-Ballistic Missile. る際の基本としていた.ところが冷戦の終焉に. Treaty)を締結した.これは戦略弾道ミサイ. より「ソ連」という脅威が消滅したため,米国. ルを迎撃するミサイル・システムの開発・配. は国防計画を根底から見直さざるを得なくなっ. 備を厳しく制限し,配備は各国とも当初 2 ヶ所. た20),21). 「ソ連との戦いに勝利する」ために存. (74 年 7 月の議定書により 1 ヶ所に限定) ,1 基. 在していた国防総省と軍産複合体は,冷戦が終. 地当たりの発射基及び迎撃ミサイルを 100 基以. 了したためにその存在意義が脅かされ22),特に. 下とすること等を規定するもので,いわば双方. 米軍指導部は深刻な「アイデンティティー・ク. の「楯」を制限し,防御態勢を敢えて脆弱なも. ライシス」に陥る一方, 「平和の配当」を求め. のに保つことにより核攻撃を相互に抑止しよう. る国民の声の強まりから国防予算削減はやむな. と す る「相互確証破壊」 (MAD)の 考 え 方 の. しという雰囲気が一気に醸し出されることと. 19). 基礎をなすものといわれていた .この抑止戦. なった.国防関係者のなかでも国防予算削減派. 略は,ソ連が崩壊し冷戦構造が崩れてからも約. が圧倒的多数を占める中23),チェイニー国防長. 10 年間続き,米国同時多発テロが起きた年の. 官が唯一反対派として国防力の現状維持を訴え. 2001 年 12 月 13 日,やっと 米 国 は ABM 条 約. ていた24).国防総省内部でも,陸・海・空・海. から脱退する旨を露(旧ソ連)に対して正式に. 兵隊同士が他所よりも予算を削減されないよ. 通告し,2002 年 6 月 13 日に同条約から正式脱. う,内部で争いをおこしていた.こうした状. 退した.これにより,米国や国際社会は,相互. 況 を 見 た パ ウ エ ル 統合参謀本部議長 は,統合. 確証破壊理論(MAD)による抑止戦略の効果. 参謀本部 J-5(戦略計画及 び 政策部)の ジョー. がない新たな脅威への対処が求められるように. ジ・バトラー将軍に,米国の安全を脅かすソ連. なり,2002 年 9 月に発表された米国の国家安. 以外の脅威に焦点をあて,大規模な軍備温存を. 全保障戦略では「脅威が大きいほど,行動を取. 考慮した新たな軍事体制のあり方を研究するよ. らないことのリスクは大きく,また敵の攻撃の. う命じた25).しかしソ連は解体の最終局面にあ. 時間と場所が不確かであっても,自衛のために. り,ソ連から分離した諸国はどれも脅威になる. 先制攻撃を行う論拠が強まる.敵によるそのよ. 見通しはなく,その他の主要国は米国の同盟国. うな敵対行為を未然に防ぐために,米国は必要. か友好国であった.国防総省の戦略的基準に十. ならば先制的に行動する. 」として先制攻撃理. 分見合う脅威を持つ国は一つもなく,大規模な. 論を掲げた.しかし相互確証破壊理論(MAD). 米国の軍事力を正当化するほどの力を持つ明確. の抑止理論のように,国際社会のコンセンサス. な敵は見あたらなかったのである.そこで国. を必ずしも得られているわけではなく,それに. 家以外に基礎を置いた「低強度紛争 LIC(Low. 代わる新たな戦略理論の構築を現在模索してい. 26) Intensity Conflict)の シ ナ リ オ」 と「未知 の. る状況である.. 27) 敵のシナリオ」 が検討されたが,これらは条. 件に合わず見送られた28).1990 年 3 月,ついに ⑵ 冷戦後の脅威認識(新たな脅威の模索). サム・ナン上院議員に「脅威の空白」を埋める. 冷戦の終焉により,特に旧ソ連の軍事的脅威. よう警告され,軍の政策立案者たちは具体的な. がなくなった米国においては,米軍の存在意義. 「敵」を考えねばならなくなった29).国防総省. が議論検討されるようになり,米国は旧ソ連に. は明確な敵を抽出する作業においてアンゴラ,. 変わる新たな脅威を見つけ出すことに主眼を置. キューバ,ベトナムといったソ連の旧同盟国を. くこととなった.冷戦期間中は,旧ソ連という. 考えたが,冷戦後はソ連とは無関係な規準をた. 明確な脅威を基に国防計画の見積もりを行う,. てなければならなかった.そこで,国防総省は.
(7) 安全保障における脅威認識(中島). (407). 55. 1990 年代 は じ め,第三世界 で の 兵器拡散 の 脅. 院議員のティモシー・ワースを据え,人口,麻. 威を取り上げ始めた.大量破壊兵器(WMD:. 薬問題,人口移動,環境問題 な ど の 非軍事的,. weapon of mass destruction)と そ れ を 遠方 に. 非伝統的脅威に対応することになった.このこ. 発射する手段を持った攻撃的な「ならず者国家」. とはクリントン政権が,これらの非伝統的・非. (rogue state)と呼ばれる諸国がそれであった.. 軍事的脅威を今後重視していこうとする姿勢の. こうして「ならず者国家」がソ連の脅威に代わ. 反映とも取れるが,見方を変えれば,当時のク. るものとして国防総省の戦略計画の基礎となっ. リストファー国務長官がこうした非伝統的な脅. たが,これらのなかで最も強力な軍事力を持つ. 威にはあまり興味がなく,もっぱら伝統的外交. 国に対してでも 100 万人未満の米国兵力で対応. に専念したいがため「それ以外」の問題を他者. でき,場合 に よって は 米軍 の 半分以下 の 兵力. に担当させるべくグローバル・アフェアーズ局. で勝利できることから,1 ヶ国との戦闘では冷. がつくられたと解釈する向きもある34).しかし. 戦時代よりもはるかに小規模な軍隊しか必要. クリントン政権の新たな脅威への取り組みとは. とされなくなる.そこで,潜在的な敵が散在. 裏腹に,米国民には新たな脅威への認識がまだ. している状況で複数の敵国が徒党を組む可能. 十分浸透していなかった.国際情勢の不安定要. 性を考え,同時に「2 つの敵と戦う力」が必要. 因の顕在化により,政府・軍のみならず民間専. になるという想定がなされた.それに基づく. 門家が,大量破壊兵器,テロ等による「非対称. と,①冷戦時代に配備されていたおよそ四分. 脅威」への警告を発し,対応も訴えていたが,. の三の規模の軍隊が必要となり,②米軍の「戦. 米国民の間ではそうした脅威は米本土以外の場. 力投入」能力の増強が求められることとなっ. 所での問題であり,本土は絶対に安全であると. た30),31).こうしてイラクと北朝鮮を仮想敵国. いった誤った認識が定着していた.元米国務長. とした 「二正面戦略」が 「地域的防衛戦略」 (1990. 官シュレジンジャーの言葉を借りれば,「ロン. 年)として発表された.この 2 つの地域で同. ドン,パリ,ローマや東京はテロ攻撃を受ける. 時に生起する大規模紛争に勝利する「二正面戦. 可能性はあるが,米国民はなぜかこの国だけは. 略」は「BUR(The Bottom-Up Review) 」 (1993. 35) 大丈夫だと信じてきた」 のである.. 年) , 「 QDR( quadrennial defense review) (4. このように冷戦後の米国の安全保障政策にお. 年ごとの国防計画の見直し) 」 (1997 年)へ継. いては,ソ連という強大な脅威の消失にともな. 承 さ れ,ブッシュ政権発足 か ら 9.11 テ ロ ま で. い,安全保障政策を根本的に見直さなければな. のあいだは,中国が次の仮想敵国として浮上. らない状況にきていたが,軍部及び国務省など. していた.QDR2001 では,アジアで強大な軍. の対外政策を実施する機関は,今までの伝統的. 事的競争相手が出現する可能性を指摘し, 「ア. (従来型)脅威を主眼とした安全保障政策を大. ジア重視」を鮮明にしている.QDR2001 では,. 幅に変更することには困難が伴い,また新たな. アジア地域では「ベンガル湾から日本海へ至る. 脅威への対応も一筋縄にはいかなかったことが. 「東アジア沿岸部」が特に注意すべき地域であ. 理解できる.そして,米国民の脅威認識の低下. 32). ると指摘し ,その脅威に対応するための海軍. による安全保障問題の無関心さが浮き彫りにさ. 力増強などが盛り込まれている.そして,名指. れた状態となっていたと考える.. しこそは避けているが中国を暗に脅威の対象国 にあげていた33).. ⑶ 米国同時多発テロ後の脅威認識. また新たな脅威への対応として,クリントン. 米国同時多発テロは国際社会の安全保障観を. 政権は発足当時の機構改革で,国務省にグロー. 一新し,特に米国の脅威の目を国際テロへと向. バル・アフェアーズ局を設置した.局長に前上. けさせることとなった.9.11 米国同時多発テロ.
(8) 56. 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). (408). 表1 冷戦後の米国の国防戦略・戦力構成の見直しの経緯概観 年 代. 政 権. 90 年 8 月 91 年 9 月. 戦 略 名. 内 容. 新防衛戦略 (New Defense Strategy) ブッシュ (父). 国防計画の重点をソ連の脅威から地域脅 威へ移行. 基盤的戦力(The Base Force). 冷戦期比 25% の 戦力削減 と 10%の 国防 予算削減を目標. 大量破壊兵器拡散に対応.効果的戦略抑 地域防衛戦略(Regional Defense 止,前方展開,危機対応能力,戦力再構 Strategy) 築能力を重視. 92 年 2 月. ほ ぼ 同 時 に 生 起 す る 2MRC( Major 第一次クリン ボトムアップ・レビュー(BUR: Regional Conflict,大規模地域紛争)に 93 年 9 月 トン政権 The Bottom-Up Review) 対応するのに必要な戦力を積み上げ方式 で算定 関 与( engagement)に よ り 米 の 指 導 力・影響力維持.安全保障環境 を「形成 (shaping) 」 ,危機に 「対処(responding) 」 , 挑 戦 に「準 備( preparing )」.2MRCs 対 処 能 力 維 持( BUR の MRC を MTW 第二次クリン 4 年 毎 の 国 防 計 画 の 見 直 し (Major Theater War,大規模戦域戦争) 97 年 5 月 トン政権 (QDR1997) に用語変更) .MTW から SSC(SmallerScale Contingencies,小 規 模 緊 急 事 態) に 至 る 多様 な 任務遂行能力 を 要求 し つ つ,あらゆる分野で特例なく節約・効率 化 を 促進.欧州・ア ジ ア 太平洋 に 各 10 万の兵力維持. 2001 年 10 月. ブッシュ. 今日の安全保障認識: 非対称的脅威,不安定性 を 有 す る 地域, 軍事における革命(RMA). 「脅威対応型(threat-based)」か ら,あ 4 年 毎 の 国 防 計 画 の 見 直 し り得る敵の攻撃方法に対処する「能力対 (QDR2001) 応型(capability-based)」に変更. リスク管理(risk management): 変革(transformation) 国土防衛(homeland defense): 非対称戦対処(asymmetric warfare). 出所:外務省 HP:QDR2001(4 年毎の米国防計画の見直し)報告より作成. 発生直後 に 発表 さ れ た36)米国 の 安全保障政策. く戦略そのものの革新であったこと,そのため. 文書 の 2001 年 QDR や ブッシュド ク ト リ ン で. 今日の安全保障の認識として具体的に「非対称. あ る 2002 年 の「国家安全保障戦略」で は,米. 的脅威」「不安定性を有する地域」「軍事におけ. 国に対する最大の脅威を国際テロ組織としてお. る革命(RMA)」の 3 つを挙げ,それぞれに対. り,大規模地域紛争における対処として,具体. 応する戦略について説明している.(表 1 参照). 的な数字を挙げて将来の兵力や国防費を論じて. QDR2006 では,米国が今日の不確実な安全. いた QDR1997 とは対照的に,ほぼ全面が抽象. 保障環境において直面すると予想される課題. 的な戦略で埋め尽くされていた.その理由は,. と し て,「伝統型課題」「非正規型課題」「壊滅. ブッシュ政権が目指したのが兵力構成だけでな. 型課題」「混乱型課題」の 4 つを挙げ,「テロ・.
(9) (409) 安全保障における脅威認識(中島) ࿑㧢 㧽㧰㧾2006 ߦ߅ߌࠆ㧠ߟߩ⺖㗴ߣ㊀ὐಽ㊁߮ᚢജ᭴ᚑߩ⠨߃ᣇ ࿑㧢 㧽㧰㧾2006 ߦ߅ߌࠆ㧠ߟߩ⺖㗴ߣ㊀ὐಽ㊁߮ᚢജ᭴ᚑߩ⠨߃ᣇ. 57. 伝統的な課題に対処する能力を維持しつつ,非正規型,壊滅型, 混乱型の課題にも対応できるよう,能力をシフト. ᚲ㧦ᐔᚑ 18 ᐕᐲ㒐ⴡ⊕ᦠ 出所:平成 18 年度防衛白書. ᚲ㧦ᐔᚑ 18 ᐕᐲ㒐ⴡ⊕ᦠ. 図6 QDR2006 における4つの課題と重点分野及び戦力構成の考え方. ࿑㧣 ࠹ࡠઙߦࠃࠆ⼂ޟଔ୯ⷰߩޠᄌൻ ࿑㧣 ࠹ࡠઙߦࠃࠆ⼂ޟଔ୯ⷰߩޠᄌൻ ,. 出所:柿原国治「9.11 パラダイム・シフト:対テロ戦争の行方と米国の新国防戦略」財団法人世界平和研究所 IIPS ᚲ㧦ᩑේ࿖ᴦ ޟ9.11 ⽷ޠ࿅ᴺੱ⇇ᐔ⎇ⓥᚲ IIPS Policy Policyࡄ࠳ࠗࡓࠪࡈ࠻㧦ኻ࠹ࡠᚢߩⴕᣇߣ☨࿖ߩᣂ࿖㒐ᚢ⇛ Paper 287J June 2002, p9. Paper 287J June 2002p9. ᚲ㧦ᩑේ࿖ᴦޟ9.11 ࡄ࠳ࠗࡓࠪࡈ࠻㧦ኻ࠹ࡠᚢߩⴕᣇߣ☨࿖ߩᣂ࿖㒐ᚢ⇛ ⽷ޠ࿅ᴺੱ⇇ᐔ⎇ⓥᚲ IIPS Policy. Paper 287J June 2002p9. . 図7 9.11 テロ事件による「認識・価値観」の変化. 㧞 ☨࿖᳃ߩ⼂ߦ߅ߌࠆࡄ࠳ࠗࡓߩᄌㆫ 㧞 ☨࿖᳃ߩ⼂ߦ߅ߌࠆࡄ࠳ࠗࡓߩᄌㆫ ಄ᚢᤨઍ ࡐࠬ࠻಄ᚢᤨઍ 9.11 ࠹ࡠᓟ. ワーク 打倒」 ಄ᚢᤨઍ 9.11 ࠹ࡠᓟ ネット , 「大量破壊兵器 ま た 9.11 米国同時多発 テ ロ は,米国 の 市民 ⢿ᆭ⼂ 㜞 の 拡散防 ࡐࠬ࠻಄ᚢᤨઍ ༚ᄬૐ 㜞 止」 , 「本土防衛」 , 「戦略的岐路にある国家の選 のみならず他の国の人々の認識や価値観も変化 ⢿ᆭ⼂ 㜞 ༚ᄬૐ 㜞 ࠹ࡠࡀ࠶࠻ࡢࠢᄢ㊂⎕უེ ⢿ᆭኻ⽎ ࠰ㅪ↥ਥ⟵⻉࿖ ᮨ⚝ᄙ᭽ൻ 択肢の形成への対処」を行う必要性を示してお さ せ た.朝日新聞社・東亜日報社共同 の 世論 ᢔ ᔨ࿖ ࠹ࡠࡀ࠶࠻ࡢࠢᄢ㊂⎕უེ ⢿ᆭኻ⽎ ࠰ㅪ↥ਥ⟵⻉࿖ ᮨ⚝ᄙ᭽ൻ ࠹ࡠߣߩᚢ り,それに必要な戦力構成をそれぞれ定めてい 調査結果における「9.11 テロ事件が, ものの見 ᢔ ᔨ࿖ ᦨఝవ⺖㗴 ኻ࠰⢿ᆭ߳ߩኻᔕ ⚻ᷣ╷ ᄢ㊂⎕უེ⢿ᆭ߳ߩኻᔕ ࠹ࡠߣߩᚢとの質問に対 る. (図 6 参照) 方や考え方をどの程度変えたか」 ᦨఝవ⺖㗴 ኻ࠰⢿ᆭ߳ߩኻᔕ ⚻ᷣ╷ ㆊᷰᦼ ☨㧝ᄙ࿖㑆ද⺞ ᄢ㊂⎕უེ⢿ᆭ߳ߩኻᔕ ⇇ࠪࠬ࠹ࡓ ☨࠰㧞ᭂ ☨㧝ᄙᭂ ㆊᷰᦼ ☨㧝ᄙ࿖㑆ද⺞ ⇇ࠪࠬ࠹ࡓ ☨࠰㧞ᭂ ᚲ㧦ᩑේ࿖ᴦޟ9.11 ࡄ࠳ࠗࡓࠪࡈ࠻㧦ኻ࠹ࡠᚢߩⴕᣇߣ☨࿖ߩᣂ࿖㒐ᚢ⇛ ⽷ޠ࿅ᴺੱ⇇ᐔ⎇ⓥᚲ IIPS Policy ☨㧝ᄙᭂ. Paper 287J June 2002p11. ᚲ㧦ᩑේ࿖ᴦޟ9.11 ࡄ࠳ࠗࡓࠪࡈ࠻㧦ኻ࠹ࡠᚢߩⴕᣇߣ☨࿖ߩᣂ࿖㒐ᚢ⇛ ⽷ޠ࿅ᴺੱ⇇ᐔ⎇ⓥᚲ IIPS Policy. Paper 287J June 2002p11.
(10) 58. 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). (410). 表2 米国民の認識におけるパラダイムの変遷 冷戦時代. ポスト冷戦時代. 9.11 テロ後. 高. 喪失・低. 高. 脅威認識 脅威対象. ソ連・共産主義諸国. 模索・多様化. テロ・ネットワーク大量破壊兵器 拡散懸念国. 最優先課題. 対ソ脅威への対応. 経済政策. テロとの戦い 大量破壊兵器脅威への対応. 世界システム. 米ソ2極体制. 過渡期 米1超・多極. 米1超・多国間協調. 出所:柿原国治「9.11 パラダイム・シフト:対テロ戦争の行方と米国の新国防戦略」財団法人世界平和研究所 IIPS Policy Paper 287J June 2002, p11. し,米国 で は, 「大 い に 変 え た」が 35%, 「あ. パラダイム」においては,大量破壊兵器,テロ. る 程度変 え た」が 35% で あ り,日本 は,各々. 等の予測不可能な「非対称脅威」認識の共有を. 26%,46%,韓国は,7%,49%,中国は,22%,. 基盤とし,「テロとの戦い」を最優先課題と位. 45% であった(図 7 参照) .国によって認識の. 置づけている.脅威の対象こそ異なるが,意識. 程度の差はあるものの, 「大いに・ある程度」. 面においては冷戦への回帰であり,冷戦時代対. を合わせると 6~7 割の人が価値観を変えたと. ソ脅威への対応が全てに優先されたように「テ. の 認識を示しており37),9.11 テロによって生. ロとの戦い」「大量破壊兵器拡散への戦い」が. じた最大の変化は, 「認識・価値観」にあると. 全てに優先されるようになる.「こうしたブッ. 言ってもよいと考える.. シュ政権の外交政策,世界認識は,まさに冷戦. 特に米国においての 9.11 後の認識の変化と. 時代と何ら変わる所はない」との指摘もある. は,米本土の安全神話(非脆弱性)の崩壊と外. 39). 交・安全保障意識の活性化であり,取りも直さ. した方向へと進むことを支える国民的コンセン. ず,米本土・米国民に対する「非対称脅威」意. サスが形成されたのであり,ブッシュ政権の「テ. 識の明確化と言える.前述した冷戦期から米国. ロとの戦い」への取り組みは国民の連帯感に. 同時多発テロまでの脅威認識は, 冷戦期は高く,. よって支えられている.この方向性は,奇しく. ポスト冷戦時代は脅威の喪失がおき,米国同時. もブッシュ政権が政権発足当初から描いていた. 多発テロで再び非国家アクターによる非対称. 「21 世紀の新たな秩序構築」構想と合致すると. 脅威に対し高くなっていることが読み取れる.. ころであり,9.11 テロは,その後のテロとの戦. (表 2 参照). .いずれにせよ 9.11 テロを機に米国がこう. いを通して,将来的な米国優位の態勢作りが本. ポスト冷戦期における認識・価値観は,根拠. 格化する契機となったと見ることが出来るかも. のない安全意識と「楽観的な思考」であった.. しれない.逆に,一時代の転換を画するような. 9.11 テ ロ は,米戦略国際問題研究所(CSIS). 政府 の 方針,政策 の 転換 は,「大戦争」遂行時. 上級副所長キャンベルが言うように「90 年代. のように政府と国民が「脅威認識」を共有し,. の楽観的な思考に基づく見通しは誤りであり,. 一体と成り得る国民の連帯感がなければならな. 予測不可能な世界へと突入した」38)ことを知ら. い.その意味では,米国においては,9.11 テロ. しめるものであった.換言するならば,9.11 テ. がポスト冷戦時代の終焉をもたらした転換点と. ロは, 「脅威認識」を覚醒するための転換点と. 見做すことができるであろう40).. なったと言うことであろう. 「9.11 後の新しい. また 2006 年 3 月 16 日ホワイトハウスから,.
(11) 安全保障における脅威認識(中島). (411). 59. ブッシュ政権 2 度目 と な る「米国 の 国家安全. ⑴ 欧米諸国の脅威観. 保 障 戦 略」( National Security of the United. ア)米 国. States of America, NSS) 」が 発表 さ れ た.こ. 国家安全保障戦略においては,テロリストに. の 2006 年 の 国家安全保障戦略(06NCC)は,. よる攻撃と大量破壊兵器の拡散を最大の脅威と. 2002 年国家安全保障戦略(02NCC)と 比較 し. して捕らえている.しかし近年中国の軍事力に. 02NSS は,国際テロリストと大量破壊兵器が. 警戒感を傾注しており 2006 年 6 月 4 日シンガ. 結びつく恐れがある場合,国際社会において伝. ポールで開かれた「アジア安全保障会議」(英. 統的に正当視されてきた先制攻撃の要件を緩和. 国際戦略研究所主催)においてラムズフェルド. して,先制行動を起こすことが許されるべきと. 国防長官は,「脅威となる国がないのに,なぜ. いう主張が注目を集めた.この主張とこれに依. これほど軍備増強をする必要があるのか」と発. 拠したと一部で受け取られたイラクに対する戦. 言し中国の軍備増強に強い懸念を表明し政治的. 争によって,ブッシュ政権第 1 期の対外行動に. 自由を求めるなど,異例に厳しい表現で中国政. 対 し て,国際協調 を 軽視 し,一国主義的 で あ. 府を批判した.(※ 2006 年 6 月 7 日スウェーデ. るという強い国際的な批判が生まれた.06NSS. ン の ス トック ホ ル ム 国際平和研究所(SIPRI). では,米国が世界をリードする必要が謳われつ. が発表,2004 年の世界の軍事費が推計で前年. つ,06QDR 程ではないが,国連等の国際機関. 比実質 5% 増 1 兆 350 億ドル(約 110 兆円)上. との協力や他の諸国とのパートナーシップの重. 位 5 カ国は,米,英,仏,日本,中国). 要性が記述され,同書簡において, 「自由な国. イ)英 国. 家は平和を指向する傾向があり,自由の前進は. 1998 年 の「戦 略 防 衛 見 直 し」( SDR:. 米国を安全にする」という確信を述べるととも. Strategic Defense Review)を 防衛政策 の 基礎. に, 「我々は,テロリスト・ネットワークに攻. としている.これまでは軍の任務として①平時. 勢をかけ続け,敵は弱体化したが,まだ,完全. の 治安維持(テ ロ 対処支援) ,②海外領土 の 保. に打ち負かすまでには至っていない」と続けて. 全,③軍備管理・交流 な ど の「防衛外交」 ,④. いる.テロとの戦いと民主主義の拡大を結ぶも. より広範囲な国益の確保に対する支援(5 カ国:. の は, 「思想 の 戦 い(a battle of ideas) 」で あ. 英,豪,ニュージーランド,マレーシア,シン. る41)としている.. ガポールへの防衛協力支援) ,⑤ NATO 域外の. 5 主要各国及びグローバルアクターの脅威観. 地域紛争・危機対処,⑥ NATO 地域 で の 侵攻 対処,⑦ NATO への戦略的攻撃対処とされて. 脅威認識は,各国のおかれている地理的環境. きたが,9.11 米国同時多発テロを受けて,2002. や社会環境などによって一様ではなく,それぞ. 年 7 月には SDR に国際テロリズムへの対処方. れに違った認識を持っている.国家安全保障政. 針を追加策定した.また 2003 年 12 月には, 「変. 策において,各国の脅威認識を表現しているの. 動する世界における安全保障」を発表し,この. が各国の国防政策であり,それらを概観42)す. 中で,SDR で定義された任務を文民組織への. ることにより,政策上の脅威認識を浮き彫りに. 軍事的支援,海外領土の防衛,平和維持などの. 出来るのではないか.また国際社会におけるグ. 18 の軍事任務に再構成している.また,国際テ. ローバルアクターとして,国際連合,EU,世. ロリズム,大量破壊兵器の拡散および破綻国家. 界経済フォーラムを挙げ国際社会が抱えている. を大きな脅威として位置付けた上で,海外展開. 脅威認識についても捉えていく.. 能力の強化や即応性の向上など軍のさらなる変 革の必要性を強調している43). (表 3 参照).
(12) 60. 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). (412). 表3 英・独・仏の脅威認識 イギリス 従来型脅威. 大規模な従来型脅威は消滅. ドイツ. フランス. ドイツ領土に対する明白な従来型 国境地域に直接的な軍事脅威を受 の脅威は消滅 けない状況. 新たな脅威. (最も直接的な脅威) ○ 大量破壊兵器拡散 ○ 国際テロリズム. ○ 大量破壊兵器の更なる発達・ ○ 大規模テロという脅威の出現 ○ 大量破壊兵器・弾道ミサイル 拡散 の開発 ○ 国際テロリズムと結びついた ○ 非対称的脅威(情報系等 に 対 過激主義・狂信主義の存在 ○ 情報・通信システムに対する する攻撃,増加する組織犯罪) 攻撃 の存在. 出 典. 「変動する世界における安全保障」「防 衛 政 策 指 針」( 03 年 公 表)な 「2003 年─2006 年軍事計画法」(03 (03 年公表)など ど 年議会承認)など. 出所:平成 18 年度防衛白書. ウ)ドイツ. 合作戦,戦略機動,情報などを重視しつつ,総. 2003 年 5 月 に 新 た な「防衛政策指針」が 発. 兵力や主要装備品の数量を全体として削減する. 表され, ドイツの領土に対する従来型の脅威は,. などの改革を行っている.2003 年 1 月に議会承. 消滅したものの,テロや大量破壊兵器の拡散な. 認された「2003 年─2008 年軍事計画法」におい. ど新たな脅威が拡大しているという認識の下,. ては,欧州防衛体制の構築に貢献し,軍の専門. 国連や NATO,EU の枠組みの中で行う紛争予. 職化を強化することを基本方針とし,指揮・情. 防・危機管理を連邦軍の任務の重点として位置. 報能力の強化,展開・機動能力の向上,防護能. づけている.その後,同指針に基づく計画の具. 力の強化などに重点的に投資するとされた45).. 体化作業が進められており,迅速かつ効果的に. (表 3 参照). 諸外国の軍隊と合同で作戦を遂行するため,軍. オ)ロシア. を介入部隊,安定化部隊,支援部隊という 3 つ. ロシアの安全保障全般の方針と原則に関する. 44). の機能別の統合部隊に再編する方針である .. 規定としては,2000 年 1 月に改定された「ロ. また,2010 年までに総兵力を 28 万 5,000 人か. シア連邦国家安全保障コンセプト」がある.こ. ら 25 万人に削減する方針であり,連邦軍改革. こでの国内外の脅威として,国際テロ,国連な. の一環として連邦軍の国内駐屯地・施設の再配. どの役割を低下させようとする動き,北大西. 置,師団・艦隊の再編も構想されている. (表. 洋 条 約 機 構( NATO:North Atlantic Treaty. 3 参照). Organization)の東方拡大や多極化世界の中心. エ)フランス. の 1 つとしてのロシアの弱体化,また独立国家. 1996 年にシラク大統領が発表した 「2015 年. 共同体(CIS:Commonwealth of Independent. までのフランス軍の近代化計画」を防衛政策の. States)統合プロセスを弱体化させる動き,ロ. 基礎としている.軍の任務としては①死活的国. シアに対する領土要求などを指摘している.こ. 益の防衛,②欧州と地中海地域の安保・防衛へ. のような認識の下,あらゆる規模の侵略を未然. の貢献,③平和と国際法の尊重への貢献,④公. に防止,抑止のための措置を講じ,そのために. 共の秩序維持としている.防衛戦略としては核. 核戦力を保有するとしている.この「コンセプ. 抑止,紛争予防,海外への戦力展開や国土防衛. ト」の下,ロシア国防政策の基本理念として同. (テロ対処など)を中心に位置付けており,統. 年 4 月に策定された「ロシア連邦軍事ドクトリ.
(13) 安全保障における脅威認識(中島). (413). 61. ン」の中では,大規模戦争発生の危険性と直接. ウ)オーストラリア. 侵略の脅威は低減しているが,潜在的な国内外. 2000 年 12 月今後 10 年 の 国防方針 を 提示 し. の脅威は存続し,一部ではむしろ増大する傾向. た「国防 2000─将来 の 国防力」を 発表 し 以下. にあるとし,その上で侵略の抑止,戦争・武力. の項目を挙げている.①自国を防衛すること,. 紛争の未然防止,国際安全保障と全面的平和の. ②隣国の安全保障へ貢献すること,③隣国を超. 維持を国防の目的と位置付けている.さらに,. えた領域で危機に対処するための国際的な合同. 上記「コンセプト」および「ドクトリン」の方. 軍へ効果的に貢献し,これによりオーストラリ. 針を具体化した文書と位置付けられた 2003 年. アの広範な利益を守り目的を達成すること,④. に発表された「ロシア連邦軍整備の緊急課題」. 中核任務を損なわない範囲でサイバー攻撃や組. では,軍の運用について,テロ対策には主体的. 織犯罪への対処などの平時における様々な任務. には対処しないとする一方,平時におけるさま. を遂行するとしている.. ざ ま な 作戦. 46). の 実施 な ど,国家防衛以外 に も. 軍が使用される可能性を示している.. 米国同時多発 テ ロ や 2002.10 の イ ン ド ネ シ ア・バリ島での爆弾テロ事件の影響を踏まえ 2004.2『オーストラリアの国家安全保障:国防. ⑵ アジア太平洋諸国の脅威観. 最新報告 2003』を 発表.テ ロ と 大量破壊兵器. ア)韓 国. の拡散という『双子の脅威』は過去 2 年間の世. 2003 年 7 月 の 国防部 か ら 発刊 し た「参与政. 界戦略における大きな変化であり,オーストラ. 府の国防政策」によると,韓国は対北朝鮮抑止. リアにとっても現実的で緊急を要する課題であ. に重点を置くべきであり,自らを強固に守り,. ると強調.また,近隣諸国において,政治・経. 国民の自信を回復するためには,①北朝鮮の攻. 済・社会的に不安定な状態が継続していること. 撃を抑止できる戦力構築,②国防改革による軍. への懸念も示している.本土防衛のための国防. の組織と運用体制の改善,③米韓連合指揮体制. 軍の活動の必要性は将来的には低下し,近隣地. の発展を充足する方向で自主国防を追求しなけ. 域の安定確保のための軍事活動やテロや大量破. ればならないとし,また「外部の軍事的脅威と. 壊兵器に対処するために国防軍が遠隔地におい. 侵略から国家を保衛し,平和的統一を裏付け,. て合同軍作戦に参加する機会が増える見通しを. 地域の安定と世界平和に寄与する」との国防目. 示している.2005 年 12 月には,2000 年白書お. 標を定めている.この「外部の軍事的脅威」の. よび 03 年最新報告において示された戦略原理. 1 つとして,これまでは北朝鮮が「主敵」と位. を基に「オーストラリアの国家安全保障:国防. 置付けられてきたが「2004 国防白書」におい. 最新報告 2005」を発表した.同報告は,テロ,. て は, 「北朝鮮 の 通常戦力,大量破壊兵器,軍. 大量破壊兵器の拡散,破綻国家への対応がオー. 事力の前方配置などの直接的な軍事脅威」との. ストラリアの安全保障戦略の優先課題であると. 表現に変更されている.. して,オーストラリアが通常型の軍事的脅威に. イ)中 国. 直面する可能性は引き続き低いとしつつ,国際. 「2004 年中国の国防」によると伝統的,非伝. 的安全保障問題に対処する軍事的能力の必要性. 統的安全保障問題が交錯し,安全保障上の非伝. は継続するだろうとの見通しを提示している.. 統的脅威が日増しに深刻になっているとしてい. また,同報告は,グローバル化の進展が安全保. る.また「台湾独立」の分裂活動は中国の主権. 障政策上の意思決定に大きな影響を与えている. と領土保全を損ない,台湾海峡両岸及びアジア. こと,北東アジアをはじめとするアジア太平洋. 太平洋地域の平和と安定を脅かす最大の現実的. 地域諸国が軍事能力を拡大していることなどを. 脅威となっていると指摘している.. 踏まえ,オーストラリアは,多機能で柔軟,か.
(14) 62. (414). 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). つ,政府の他の部門と容易に連携し得る防衛力. 間の認識の共有を図るために,報告書は,「安. を構築すること,及び,国際貢献を通じ,地域. 全保障上の新たなコンセンサス」を求めてい. と地球規模の双方において強力な安全保障関係. る.諮問委は,国際秩序への今日的課題の相互. を構築することが必要であるとしている.. 依存と多国間的側面を強調して,安全保障をよ. エ)インド. り広義に解釈した.脅威については,一方で貧. 国家安全保障の目的として,防衛,国民の生. 困や伝染病そして環境悪化などの「社会経済的. 命・財産の保護の他,大量破壊兵器の脅威に対. 脅威」を取り上げつつ,他方ではテロや大量破. する最小限の抑止力の保持などを挙げている.. 壊兵器も列挙した.内戦には特に注意が払われ,. インドは,国家安全保障政策として,国益を守. 同時に組織犯罪が国境の内外を問わず秩序を損. るための軍事力および最小限の核抑止力の保. なっていると指摘した.諮問委が列挙した「脅. 持,テロおよび低強度紛争から通常戦争および. 威群」は,9.11 以後の米国の関心と,途上国を. 核戦争までの多様な脅威への対処,テロや大量. 中心とする広範な加盟国固有の関心の双方を満. 破壊兵器などの新たな脅威に対処するための国. たすべく,明確に抽出されている.そうするこ. 際協力の強化などをあげている.. とによって報告書は,いかに異なる脅威同士が 絡み合っているかを示そうとしている.また,. ⑶ グローバルアクター. いかに今日の脅威が無境界であるか,その結果. ア)国際連合:ハイレベル委員会. として「単独で立ち向かう」ことがいかに選択. アナン事務総長が 2003 年,国連の役割の抜. 肢たり得ないかを示そうとした.相互の関連付. 本的な見直しを指示し, 「脅威・課題・改革に. けを行う作業は多大な努力が傾けられたが,多. 関するハイレベル諮問委員会」 (Report of the. 少説得力を欠くものもあった.例えば,報告書. High-level Panel on Threats, Challenges and. は,再生可能なエネルギー源の開発と「環境に. Change)の設立を発表した47).諮問委の課題は,. 有害な補助金」の段階的削減を提唱し,また,. 将来の平和と安全保障に対する脅威についての. 大量犠牲者を伴うテロと伝染病撲滅運動との関. 綿密な分析, 集団的行動の上げ得る効果の評価,. 連の指摘を試みているが,これらすべてが安全. そして既存の国連の主要組織を含むアプロー. 保障への脅威となり得るかは,はっきりしない.. チ,手段,仕組みの厳密な評価に基づき,効果. しかし,全体として報告書の分析には説得力が. 的な集団行動を確保するための明確かつ実際的. ある.核拡散の危険及び国際的に高度に拡散し. な方策を勧告することにあるとした.アナン元. てしまった兵器級ウランの削減と管理の失敗に. タイ首相を座長とする 16 人の有識者で構成す. 関する個所に最も顕著に示されるように,報告. る委員会で検討され,その中には日本の元国連. 書ではいくつかの例を用いて,合理的に疑う余. 高等弁務官の緒方貞子氏もメンバーとして含ま. 地がないほど「自己防御の限界」が来ているこ. れていた.諮問委は 2003 年末に活動を開始し,. とを提起している.9.11 以後,米国の安全保障. 2004 年 12 月 3 日に報告書を提出した48).報告. 上の中心的課題となった核・化学・生物兵器の. 書では,現下の国際社会が直面する脅威は⑴貧. 問題について,報告書が率直かつ明快にそれが. 困・感染症・環境悪化,⑵国家間紛争,⑶国内. 使用される可能性を確認したことを,特に米国. 紛争,⑷大量破壊兵器(核,生物,化学兵器等) ,. は歓迎すべきだろう49)と示されている.. ⑸テロ,⑹国際組織犯罪の 6 つに分類されると. イ)EU. し各々の脅威に対し,それぞれの対応が必要で. EU の 安全保障 の 基盤 と なって い る の は,. あると指摘している.. 2003 年 12 月の欧州理事会が採択した「よりよ. 国連の変わり行く役割と目的に関する加盟国. い世界における安全な欧州」と題される安全.
(15) 安全保障における脅威認識(中島). (415). 63. 保障戦略文書50)である.この文書をハビエル・. ウ)世界経済フォーラム. ソ ラ ナ 欧州連合(EU)共通外交・安全保障政. 2007 年 1 月スイスのダボスで開かれた世界経. 策( CFSP:Common Foreign and Security. 済フォーラム年次総会において,「 グローバル. Policy)上級代表が取りまとめることになった. リスク 2007」 と題する報告書が発表された 52).. 背景としては,①米国の安全保障戦略文書に匹. この報告書は経済,環境,安全保障,社会,技. 敵する文書を EU が持つ必要性があること,及. 術の五項目に分け 23 のグローバルリスクを分. び②イラクに対する政策やこれに直結する対. 析したもので,こうしたリスクに対し世界の関. 米関係について EU の内部に亀裂が生じてお. 心が低く現状に満足しがちだと警告を発してい. り,これを修復し,統合的な施策を打ち出すた. る.23 のグローバルリスクの項目は以下のと. めの何らかの措置が必要だったことが指摘でき. おりである.. る.本文書は加盟国政府間の交渉によらない方. ●経済:○石油危機○米ドルの暴落○中国の景. 式で策定された.ソラナ代表の下で理事会事務. 気の失速○財政危機○資産価格の暴落. 局が起案し,これに加盟国,欧州院会及び安全. ●環境:○気候変動○水不足○自然災害:台風. 保障問題の専門家からのコメントを勘案して最. ○自然災害:地震○自然災害:都市部の洪水. 終案がまとめられた.序論部分では,いかなる. ●安全保障:○国際テロリズム○大量破壊兵器. 国も今日の複雑な問題に単独で立ち向かうこと. 拡散○地域紛争(内戦)○失敗国家・破綻国家. はできないとする認識が示され,4 億 5 千万の. ○国境を超えた犯罪・違法行為○グローバル化. 人口を有し,世界の GNP の 4 分の 1 を算出す. の挫折○中東の不安定. る EU は,世界における「グローバル・プレー. ●社会:○感染症の大流行○途上国の感染症○. ヤー」であり,よりよい世界を建設する上で責. 途上国の慢性病○レジームの不具合. 任を共有すべきであると表明している.EU の. ●技術:○重要な情報基盤の崩壊○ナノテクノ. 安全に対する挑戦及び主要な脅威として,第一. ロジーによる物質の性質変化. にテロリズム,第二に大量破壊兵器(核兵器,. この 「 グローバルリスク 2007」 は,ペンシル. 生物・化学兵器)の拡散,第三に地域紛争,第. ベニア大学ワートンスクール,ロンドン(2 回),. 四に破綻国家,第五に組織犯罪が挙げられてい. ニューヨークでそれぞれ開かれたワークショッ. る.組織犯罪は統治機構の弱い国家ないしは破. プ内で,多くの研究者及び実務家を交え検討さ. 綻国家と結びついていることから,欧州に入っ. れた報告書である.上記の 23 のグローバルリ. てくるヘロインの 90% はアフガニスタンから. スクに関する事象が発生する可能性と人的・経. きており,その収益が民兵のために用いられて. 済的損失の割合,及び各リスクへの結びつきの. いること,バルカンの犯罪ネットワークはヘロ. 度合いが分析されており,政策提言として,カ. インの流入や婦女子の人身売買に責任があるこ. ントリー・リスク・オフィサー(CRO)を置き,. となどを挙げている.EU が直面しているのは,. 企業のリスク管理責任者のように多種多様なリ. 冷戦期のような軍事侵略による脅威ではなく,. スクを総合的に管理し,戦略策定や行動の中心. 純軍事的な性格を持たない「新しい脅威」であ. 的存在としておくこと,また,グローバルリス. るとし,防衛の最前線は外国にあることが多. クの対応において有志連合を創設することを挙. いこと,これには,非軍事的な手段(インテリ. げている.. ジェンス,警察力,経済的手段,人道的手段など). 以下の図では,(図 8 ~ 9 参照)可能性が高. の組み合わせによる対処が求められており,EU. く経済的損失の最も高いものは「資産価格の暴. は多様な手段を持っている利点があること 51)を. 落」「石油危機」「中国 の 景気 の 失速」「重要 な. 示している.. 情報基盤 の 崩壊」「途上国 の 慢性病」で あ り,.
(16) ౖ ో㓚ޠ㧔03 ᐕ㧕ߥߤ. ߥߤ. 㧔03 ᐕ⼏ળᛚ㧕ߥߤ ᚲ㧦ᐔᚑ 18 ᐕᐲ㒐ⴡ⊕ᦠ. 64. (416). ࿑㧤 ⚻ᷣ⊛៊ᄬߩᐲวߣน⢻ᕈ. 横浜国際社会科学研究 第 12 巻第 3 号(2007年 9 月). 出所:Global Risks 2007 A Global Risk Network Report p8 より作成. ᚲ㧦Global Risks 2007 A Global Risk Network Report p8 ࠃࠅᚑ. 図8 経済的損失の度合いと可能性. ࿑㧥 ੱ⊛៊ᄬߩᐲวߣน⢻ᕈ 可能性が高く人的損失の最も高いものは「途上 国 の 感染症」 「地域紛争(内戦) 」 「途上国 の 慢. まとめ:考察. 性病」となっている.. 冷戦終了後から今日に至る脅威認識の変遷を. またリスク同士の関係性については,23 の. 概観し,冷戦当時と比較してみると,不確実性,. グローバルリスクの内半数以上である 12 のリ. 予測不可能性とグローバル化の影響が色濃く反. スクが,強い結びつきを示している. (図 10 参. 映され,国家安全保障に対しても純然たる脅威. 照). が明確化されていないのが現状である.このよ うな状況は今後将来にわたり続いていくであろ う.また脅威は,1 つの脅威が国家や国民に対.
(17) 安全保障における脅威認識(中島). (417). 65. 出所:Global Risks 2007 A Global Risk Network Report p. 9 より作成. ᚲ㧦Global Risks 2007 A Global Risk Network Report p9 ࠃࠅᚑ. 図9 人的損失の度合いと可能性. ࿑ 10 ࠣࡠࡃ࡞ࠬࠢߩ⚿߮ߟ߈. して顕在化するのではなく,複合的・同時多発. ることが見て取れる.国家においては伝統的(従. 的に顕在化する可能性を秘めており,ひとたび. 来型)脅威を主体にした認識であるのに対し,. これが顕在化した場合, 国際社会に与える人的,. グローバルアクターは新しい脅威を主体にした. 経済的被害は計り知れないものになるだろう.. 認識である.国際社会が認識している脅威は多. しかし,先ほど見てきたように,各国の安全保. 種多様であり,この脅威認識を整合させるため. 障上の脅威認識の優先順位は一様ではなく,ま. には,なんらかの国際的政策のてこ入れが必要. た伝統的(従来型)脅威に傾斜しつつ,新たな. となってくると考える.この整合性を高めるた. 脅威への対応を模索する中で,国際社会の認識. めには,脅威に対する多角的,学際的アプロー. の整合性は取れていないのが現状である.脅威. チによるリスク概念を基盤にした認識力の向上. 認識には, アクター間で色濃く違いが出ており,. と,各国政府及び国際社会における脅威認識の. 前文までの各アクター間の脅威認識の概観をま. 整合性に向けた組織作りという,ソフト面(思. とめると以下のようになる. (表 4 参照). 考・認識)とハード面(組織作り)の充実が望. これによると,国家とグローバルアクターに. まれる.ソフト面に関しては,国際社会,国家,. おける国際社会の脅威認識には大きな相違があ. 社会経済,人に至る地球的規模のものから人間. . ᚲ㧦Global Risks 2007 A Global Risk Network Report p13 ࠃࠅᚑ.
関連したドキュメント
脅威検出 悪意のある操作や不正な動作を継続的にモニタリングす る脅威検出サービスを導入しています。アカウント侵害の
䇭䊶㪥㪢⸽ᦠ⊒ⴕ䈮ᔅⷐ䈭ᦠ㘃䈱 㩷㩷㩷㩷ឭଏ 䇭䊶㪡㪞ឭ㪥㪢䊧䊘䊷䊃䊄䊤䊐䊃 㩷㩷㩷㩷ᚑଐ㗬 㩷㩷㩷䋨䈰䊐䊤䉾䉫䊋䉾䉪䈱䋱ㅳ㑆
㩿㫋୯㪀 㩿㪍㪅㪍㪋㪋 㪁㪁 㪀 㩿㪍㪅㪌㪏㪊 㪁㪁 㪀 㩿㪍㪅㪍㪎㪊 㪁㪁 㪀 㩿㪍㪅㪌㪏㪊 㪁㪁 㪀 㩿㪍㪅㪍㪍㪉 㪁㪁 㪀 㩿㪍㪅㪉㪐㪏 㪁㪁 㪀 㩿㪌㪅㪋㪌㪍 㪁㪁 㪀
協⼒企業 × ・⼿順書、TBM-KY、リスクアセスメント活動において、危険箇所の抽出不⾜がある 共通 ◯
アジアにおける人権保障機構の構想(‑)
・ RCIC 起動失敗,または機能喪失時に,RCIC 蒸気入口弁操作不能(開状態で停止)で HPAC 起動後も
㪉㪘㪄㪌㪇㪄㪌㪈 㪄 ⛮㔚ེ 䉪䊤䉴㪈 㪘㫊 㪤㪆㪚㩷㪎㪜㪄 㪄 ⛮㔚ེ 䉪䊤䉴㪈 㪘㫊
•