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よい体育授業を行うための教師の力量に関する研究-「教育素材を見抜く力(教育内容に関する知識)」と「子どもを見抜く力(子どもに関する知識)」に着目して-

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Academic year: 2021

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(1)よい体育授業を行うための教師の力量に関する研究 _『教育素材を見抜くカ(教育内容に関する知識)』と                 『子どもを見抜くカ(子どもに関する知識)』に着目して_                            専 攻  教科・領域教育学                            コース  生活・健康・総合内容系.                            学籍番号 M07241A                            氏 名  野津 一浩 I.目 的  本研究では,児童の体育授業に対する愛好的態 度(態度得点)を高めている授業をよい授業とお さえ,態度得点を恒常的に高めている教師の授業 計画の内容を分析することから,はい体育授業」 を行える教師の「教育内容に関する知識」と「子 どもに関する知識」の内実を見出そうとした。  すなわち,「よい体育の授業」を行うことができ. る教師の力量をr教育素材を見抜くカ」とr子ど もを見抜くカ」を中心に,構造的に把握しようと した。. 皿.方 法. 11分析対象教師の選出 (1)対象.  高学年児童担当の岐阜・兵庫県下の20小学校に 所属する担任教諭78名(男:37名,女:41名) (2)方法及ぴ手続き.  平成20年3月に,上記78名の教師が担当する 児童を対象に態度測定法を用いて,体育授業に対 する授業診断を実施し,態度得点を高めている教 師を抽出した。さらに,男女ともにやや高いレベ ル以上と診断された学級担当で,授業計画の記述 の協力が得られた5名の教師を対象に,下記の2 と3の調査を依頼した。なお,これらの教師は,. ①対象学年と対象種目は,つまずきの記述と同様 ②記述の観点.  観点(学習内容及ぴ学習活動・教師の指導・指 導上の留意点)を示し,単元を通しての毎時間の 授業計画について自由記述いただいた。.  また,時間数は,バスケットボールは9時間, ハードル走は5時間を基本として依頼したが,各 教師の考え方により1・2時間の増減は認めた。 (2)記述資料の分析手続き  記述された授業計画は,学習課題,学習内容(学 習活動),教師の指導(指導上の留意点)の内容に 分類し,単元を通しての流れが把握しやすいよう に時系列に一覧にまとめ,分析した。 (3)授業実践  バスケットボール,あるいはハードル走の授業 を,20年の1学期に,上記計画に基づき実践いた だき,その前後に態度測定を実施した。 4.『教育素材を見抜くカ』と『子どもを見抜くカ』 の積造.  つまずき及び授業計画の記述内容の分析から得 られた結果をもとに,『教育素材を見抜く力』と『子 どもを見抜くカ』の内実の構造を検討した。. 2 予想したつまずきとその理由及び対処の記述. 皿.結果ならびに考察 1.分析対象教師の選出  男女ともにやや高いレベル以上と診断された学 級の合計は23(30%)であった。これらの学級担 当教師のうち,授業計画の記述の協力が得られた 5名の男性教諭を分析の対象とした。. の収集.  5名のうち,2名は教職経験年数4・5年の若. (1)予想したっまずきの記述の収集 ①対象学年:高学年 ②対象種目:ポール運動領域からバスケットボー ル,陸上運動領域からハードル走を選択した。 ③記述の観点  単元を通して生ずる可能性のあるつまずきにつ いて,観点(予想されるつまずき・っまずきの起 こる理由・つまずきの対処)を示し,自由記述い. 手教員であり,3名は14年の中堅教員であった。. 平成20年4月下句及び,6月下句∼7月上旬の2 回,態度測定を実施し,態度得点を恒常的に高め ていることを確認した。. ただいた。. (2)記述資料の分析手続き  自由記述された資料を,予想したつまずきとそ の理由及び対処のつながりが把握できるような形 式のものに書き改め,質的・量的に分析した。. 2.予想したつまずきとその理由及ぴ対処の記述 内容の検討 (1)つまずきの種類.  予想したつまずきの内容をカテゴリー分析した 結果,技術的なっまずきと社会的なつまずきに大 別できると考えられた。.  また,両種目を通じて,若手の2教諭には社会 的なつまずきに関する記述がみられなかった。す なわち,社会的なつまずきに関する認知には,経 験年数の影響が推察された。  また,認識的な側面に関するつまずきの記述は,. 5名とも認められなかった。しかし,認識的な内 容は,っまずきの要因として捉えていると見受け られ,rわかる」ことがrできる」ことの前提にあ. 3 授業計画の記述の収集 (1)授業計画の記述の収集. 一482一.

(2) るという捉え方を意味していると考えられた。 (2)つまずきの内容.  バスケットボールの技術的なつまずきでは,集 団的技能に関して,動き方,パスの連係,作戦に 関わる内容が見られた。個人的技能として,キャ ッチ,シュート,ドリブル,パス,ピボットター ンに関わる記述が見られた。社会的なものとして は,話し合い活動とチームワークに関する内容が. 過程の導入部分で技能の理解と練習の位置付け, 及び毎時間のウォーミングアップ等の導入の時間 を利用した練習が共通して位置付けられていた。  社会的行動の内容は,毎時間の仲間との関わり におけるよい姿の価値づけに多く見られた。 2)ハードル走  ハードル走の技能的なつまずきに対応する内容 は,学習過程の各時間の中心的な課題に位置付け. 見られた。. られていた。.  また,ハードル走では,ハードルクリアランス 技術の振り上げ足,抜き足,踏みきり位置に関わ るものと,インターバル技術のリズムに関わる記 述がみられた。社会的なものとしては,練習の仕.  社会的行動の内容は,よい練習の仕方を導くよ. 方に関する内容が見られた。.  これらは,授業の計画に関わって予測したつま ずきの内容であることから,教え身に付けさ世な くてはならない教育内容と捉えられていると考え られた。. うな教師の指導に見られた。. (4)学習内容の構造  バスケットボールの学習内容は、戦術学習を中 核に据え、それに働きかけるように個人的技能を 位置付け、社会的行動と関連させて据えていると 捉えられた。.  ハードル走では,インターバル技術とハードル クリアランス技術を順に学習させる単線型と捉え. (2)つまずきの理由づけ. られた。.  子どもの認識的な側面からの理由づけがみられ,. 子どもの理性的認知と感性的認知の特徴について の知識を有していると考えられた。.  また,つまずきが生ずる原因をその状況に関わ って理由づけようとしていることから,子どもの 技能的特徴と身体的特徴に関する知識を有してい ると考えられた。.  さらに,子どもの心理的な側面から理由づけよ うとしていることから,子どもの心理的特徴,情 意的特徴に関する知識を有していると考えられた。 (3)っまずきの対処  つまずきの対処は,教師が子どもに直接指示, アドバイスをするものと,練習方法や活動方法の 工夫改善をしようとするものが多く見られた。. 3.指導計画の記述内容の検討 (1)教育内容について  5名の教師は,運動素材の価値を捉え,それぞ れ教育内容を見出していた。. (2)つまずきの予測で記述の見られなかった内 容について ①技術的な内容について  つまずきの予測に記述の見られなかった内容も, 指導計画の中での記述が確認された。したがって, つまずきの予測から集約した内容は,5名の教師 が共通に考える教育内容と考えられた。 ②社会的な内容について  社会的行動については、若手教諭にも,指導計 画の中では,記述が認められた。 (3)予羽11したつまずきの内容の指導の具現化. 1)バスケットボール  集団的技能のつまずきに対応する内容は,学習 過程における各時間の学習課題及ぴ学習活動とし ての位置づけがなされていた。このことは,戦術 学習がバスケットボールの中核的教育内容である. (5)教師の指導の記述から  「よい体育の授業」のできる教師は,①子ども が技能について知っていることについて,②学習 行動の特徴について,③情意的な特徴についてよ く知っていると考えられた。 4.『教育素材を見抜くカ』と『子どもを見抜くカ』 の構造 (1)『教育素材を見抜くカ』の構造.  『教育素材を見抜く力』は,運動素材から何を 教えることができるのかを広く捉える力r素材価 値を捉える力」,教えるべき教育内容は何かを捉え る力「教育内容を捉える力」,教育内容における個 々の内容を関連づけて捉えることができる力r構 造的に捉えるカ」のまとまりであると押さえられ た。. (2)『子どもを見抜くカ』の椚造.  『子どもを見抜くカ』は,子どもの外面を捉え る、「技能特性」,r行動特性」と,子どもの内面を 捉える「認知特性」,「心情特性」を押さえるカの まとまりであると考えられた。 (3)rよい体育授業」のできる教師の力量の椚造  rよい体育授業」のできる教師は,『教育素材を 見抜く力』と『子どもを見抜く力』をもとに、授 業方法を考え、授業を設計・実施している構造と 押さえられた。. w.まとめ  「よい体育授業」の基底的条件としての『教育 素材を見抜く力』と『子どもを見抜く力』の内実 の構造を明らかにした。また,バスケットボール とハードル走について,その具体を明らかにした。. 主任指導教員(後藤 幸弘). 指導教員(後藤 幸弘). と捉えられていると考えられた。.  個人的技能のっまずきに対応する内容は,学習. 一483一.

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