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病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度の信頼性・妥当性とその関連要因の分析

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Academic year: 2021

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2021;71:131~141

 原 著

病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度の信頼性・妥当性と

その関連要因の分析

近藤 浩子

1

,辻村 弘美

1

,牛久保美津子

1

,吉田  亨

2

,佐光 恵子

3

,常盤 洋子

1

神田 清子

4 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保健学研究科 2 埼玉県新座市菅沢2-1-28 十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科 3 群馬県高崎市新町270-1 上武大学看護学部 4 群馬県高崎市中大類町501 高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科 要 旨 目 的:本研究の目的は,「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の信頼性・妥当性を検討し,在宅を見据えた看護 活動の実践に関連する要因を明らかにすることであった.方 法:群馬県内11病院の看護職を対象に2回実施した調査 データを再分析し,尺度の信頼性・妥当性,および属性と各因子得点の関連を検討した.結 果:分析データは,2014年 調査の1,568件と2018年調査の1,693件であった.尺度は【在宅生活の情報把握】【退院に向けた調整・指導】【社会資源の 活用】【多職種協働】の4因子構造で,尺度全体の信頼性係数Cronbach’s αは0.96と高かった.訪問看護・在宅ケア研修受 講は,4因子すべての因子得点と関連していた.また年齢および経験年数は,【社会資源の活用】と【多職種協働】の因子得 点に関連していた.結 論:本尺度は,病院看護職の在宅を見据えた看護活動を包括的に評価する尺度として活用できる ことが示唆された. はじめに  厚生労働省は,団塊の世代が75歳以上となる2025年を 目途に,「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のも とで,可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを 人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な 支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築 を推進」1 している.高齢者のみならず地域住民が,疾患を 抱えたとしても,住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを 送るためには,これを支える医療職の一員である看護職が, 地域での暮らしを見据えた看護活動を実践する力を身につ けることが必須である.  群馬大学大学院保健学研究科看護学講座では,地域での 暮らしや看取りまでを見据えた看護が提供できる看護師の 養成をめざし,2014年度から2018年度の5年間,文部科 学省による「課題解決型高度人材育成プログラム」2 の助成 を受け,「群馬一丸で育てる地域完結型看護リーダー」事業 に取組んだ.この事業の一部として,群馬県内11病院の看 護職を対象に,在宅を見据えた看護活動を実践する人材育 成のための課題を明らかにする実態調査を2014年に行っ た.3 また4年後の2018年に,在宅を見据えた看護活動が どのように定着してきたのかを明らかにするため,2回目 の実態調査を行った.4 文献情報 キーワード:  在宅を見据えた看護,  看護活動実践度,  訪問看護研修,  在宅ケア研修,  退院支援研修 投稿履歴:  受付 令和3年2月19日  修正 令和3年3月17日  採択 令和3年3月18日 論文別刷請求先:  辻村弘美  〒371─8514 群馬県前橋市昭和町3─39─22        群馬大学大学院保健学研究科  E-mail: [email protected]

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 本研究の目的は,この事業に用いた病院看護職の「在宅を 見据えた看護活動に関する質問票」について,尺度として の信頼性・妥当性を検討し,この尺度を広く活用してもら えるようにすること,また在宅を見据えた看護活動の実践 に関連する要因を明らかにし,実践度向上のための示唆を 得ることである.2018年調査のデータは因子分析の結果を 報告済である.4 よって本稿では2014年調査のデータを用 いた因子分析を行い,2回の結果を比較した後に,本尺度 と属性の関連について再分析する.  病棟看護師の在宅を見据えた看護活動については,実践 度が低く,また在宅療養上の生活問題への対処,関係機関 との連携,資源の情報提供等が不十分であることが指摘さ れていた.5 その対策の一つとして,昨今,退院支援や在宅 療養移行支援に必要な視点を評価するための尺度や指標が 多数開発されている.6-9 本研究では,これらの尺度や指標 と,本研究の「在宅を見据えた看護活動に関する尺度」との 共通点および相違点についても考察し,本尺度の活用方法 について論述したい. 研究方法 1.調査対象  調査対象施設は,研究への協力が得られた群馬県内の総 合病院11施設で,病院の規模は100~299床が3施設,300 床台が6施設,500床以上が2施設であった.調査対象は 常勤の看護職とした. 2.調査方法  調査は施設単位で実施し,2014年と2018年の2回行っ た.1回目は2014年11月,2回目は2018年6~7月であっ た.調査方法は,無記名質問紙による留め置き法とし,調 査協力が得られる場合は質問紙に記入して,また調査協力 が得られない場合は未記入の質問紙を,調査施設内に設置 した回収袋に投函してもらった. 3.調査内容  1)基本属性  年齢,経験年数,職位,配属,訪問看護・在宅ケア研修 受講の有無,退院支援研修受講の有無,看護学生の実習指 導経験の有無について尋ねた.  2)在宅を見据えた看護活動に関する質問票  尺度案は,2014年の質問紙調査3 の際に作成した「在宅 を見据えた看護活動に関する質問票」である.これは病院 に勤務する看護職が,入院患者の退院後の生活について, どの程度視野に入れながら日々の看護実践を行っているか を問う質問票で,5群からなる25項目で構成される.評価 項目は,春原が医師用に開発した「在宅の視点のある病院医 師尺度」10 を参考にし,著者の許可を得て,看護職用に内 容を改変して作成した.質問票の参考にした春原らの尺度 は,十分な信頼性と妥当性が確保されていた.また看護職 版の作成にあたっては,看護学専攻の在宅看護のエキス パートを含む研究者4名が,病院看護部に所属する師長以 上の管理者5名とともに検討を重ねており,内容妥当性を 確認した.  25項目の内容は,A群が,退院後の生活をイメージした 看護の提供(8項目),B群が,地域の社会資源の活用(6 項目),C群が,患者・家族の負担軽減のためのケア方法の 簡素化(3項目),D群が,病状変化を予測した対応(3項 目),E群が,多職種との協働(5項目)であった.回答方 法は,「退院後に地域(在宅)に戻られる患者に対するご自 身の日頃の看護活動についてお伺いします」と説明した上 で,25項目の評価内容について,「常にする・よくする・ 時々する・余りしない・全くしない」の5件法で自己評価 してもらった.なお評価項目の内容に該当する業務を担当 していない場合は,「非該当」を選択してもらった. 4.分析方法 1)本研究では,在宅を見据えた看護活動に関する質問票 の信頼性の検討を目的に含むため,質問票の25項目すべ てに欠損値のないデータのみを分析対象とし,「非該当」 の回答があったデータも,分析から除外した. 2)属性は,項目ごとに記述統計を算出した.2014年調査 と2018年調査において,調査対象の属性に差がないかど うかを確認するため,χ2 検定を行った. 3)質問票の回答は,「常にする・よくする・時々する・余 りしない・全くしない」の回答を,順に,5点,4点,3 点,2点,1点に得点化した. 4)質問票の尺度としての信頼性を確認するため,2014年 調査の各25項目の記述統計を算出し,天井効果とフロア 効果の有無を確認した.次に,因子分析を行って因子構 造を確認し,信頼性係数Cronbach’s αを算出した.また 因子負荷量は0.4以上を採用した. 5)尺度の各因子に関連する要因を検討するため,因子得 点を算出して属性との相関を検討した.因子得点は,25 項目すべての因子負荷量を加味して被験者ごとに算出さ れる因子スコアで,平均値が0,標準偏差が1に標準化 されている.類似の値に,評価項目の評定値を因子ごと に合算する下位尺度得点があるが,これとは値が異なる. 今回は,より厳密に属性との関連を検出するために因子 得点を分析に用いた. 6)尺度の各因子に対する属性の影響を検討するため,因 子ごとに因子得点を目的変数とし,属性を説明変数とし て重回帰分析を行った.説明変数のうち,年齢,経験年 数は各階層を1~4または1~5の整数に割当てた.職位 はスタッフ=1,副師長=2,師長=3に割当て,これ以 外の回答は分析から除外した.また訪問看護・在宅ケア 研修受講の有無,退院支援研修受講の有無,看護学生の 実習指導経験の有無については,あり=1,なし=0に

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割り当てた.重回帰分析への説明変数の投入方法は,強 制投入とした.重回帰分析では,決定係数R2 0.20 上であることが望ましいが,決定係数R2 0.10以下で あっても,モデル全体のF値が有意であれば意味はある という.11 今回は,説明変数(属性)の間で,目的変数 (因子得点)に対する影響の大きさを比較することを目的 としたため,決定係数R2 の大小に関わらず,モデル全 体のF値が有意であれば意味があると捉えた. 7)すべての分析は有意水準5%とし,IBM社の統計ソフ トSPSS ver.26を用いた. 5.倫理的配慮  研究対象には,研究の趣旨および調査は無記名で,研究 協力は自由意志によるものであり,研究協力の有無による 不利益は一切ないこと,研究協力しない場合は未記入で投 函してもらうため協力の有無は他者にわからないことを書 面によって十分説明した上で,研究協力施設の看護職に調 査を実施した.本研究のうち2014年調査(第1回)は,群 馬大学医学部疫学研究に関する倫理審査委員会(承認番号 26─34)の承認を,また2018年調査(第2回)は,群馬大学 人を対象とする医学系研究倫理審査委員会(承認番号2018─ 008)の承認を得た. 結果  調査票の回収率は,2014年調査が2,136件(回収率73.3%), 2018年調査が2,399件(回収率77.8%)であった.分析対 象は,質問票の25項目すべてに欠損値のないデータとし, 2014年調査が1,568件(有効回答率73.4%),2018年調査 が1,693件(有効回答率70.6%)であった. 1.調査対象の属性  表1に調査対象の属性を示した.年齢は,30歳未満が約 3割,30歳代が約3割,40歳以上が約4割であった.経験 年数は,5年未満が約3割,5~10年未満が約2割,10年 以上が約5割であった.2回の調査間で構成を比較すると, 年齢は2018年調査で30歳代が少なく,かつ50歳以上が多 いこと(p<.05),また経験年数は2018年調査で1年未満 が少なく,かつ3~5年未満が多いこと(p<.001)が調整 済み残差によって示された.職位は8割以上がスタッフで, 配属は内科系が約3割,外科系,内科外科系混合がそれぞ れ2.5割,外来・中央部門は1.2割で,2回の調査に差はな かった.  研修経験に関しては,訪問看護・在宅ケア研修の受講あ りが約3割,退院支援研修の受講ありが約7割,また看護 学生の実習指導経験ありが約2割であった.2回の調査を 比較すると,訪問看護・在宅ケア研修の受講ありの割合が, 2018年調査において多かった(p<.001). 2.尺度の信頼性の検討  1)項目分析  尺度の合計得点の得点範囲は,最小値25点,最大値125 点である.2014年調査における尺度の合計得点は,平均値 77.6点,標準偏差17.8点であった.項目分析では,25項目 すべてにおいて天井効果(平均値+SD>5),およびフロア 効果(平均値-SD<1)は認められなかった.  2)尺度の因子構造  質問票の尺度としての因子構造を検討するために,2014 年調査のデータを用いて,探索的因子分析を行った.表2 に,因子分析の結果を示した.因子分析の方法は,主因子 法,バリマックス回転とし,因子数は固定値1以上を基準 とした.抽出された因子は4因子であった.各因子におい て因子負荷量0.40以上であることを基準とし,内容の整合 性を加味して因子構造を判断した.回転後の因子寄与率は, 第Ⅰ因子から第Ⅳ因子が,それぞれ,17.0%,16.2%,15.7%, 10.7%(累積寄与率59.5%)であった.  第Ⅰ因子は「A 6.退院後は,患者がどこでどのような生 活をしたいのか(本人の希望)を把握している」「A 7.退 院後,家族は患者がどこでどのような生活をしてほしいと  表1 調査対象の属性 項目 2014 年 n=1,568 2018 年 n=1,693 χ2検定 n (%) n (%) p値 年齢  30 歳未満 531(33.9) 599(35.4) .017  30~40 歳 477(30.4) 439(25.9)  40~50 歳 369(23.5) 404(23.9)  50 歳以上 189(12.1) 246(14.5)  不明 2( 0.1) 5( 0.3) 経験年数  1 年未満 95( 6.1) 49( 2.9) <.001  1~3 年未満 133( 8.5) 128( 7.6)  3~5 年未満 210(13.4) 285(16.8)  5~10 年未満 330(21.0) 346(20.4)  10 年以上 795(50.7) 878(51.9)  不明 5( 0.3) 7( 0.4) 職位  スタッフ 1,318(84.1) 1,421(83.9) .614  看護副師長 116( 7.4) 112( 6.6)  看護師長 59( 3.8) 70( 4.1)  その他 75( 4.8) 90( 5.3) 配置  内科系 411(26.2) 460(27.2) .060  外科系 401(25.6) 364(21.5)  内科外科混合 380(24.2) 423(25.0)  中央診療部・外来 195(12.4) 213(12.6)  その他 181(11.5) 233(13.8) 訪問看護・在宅ケア研修受講  あり 454(29.0) 625(36.9) <.001  なし 1,108(70.7) 1,060(62.6)  不明 6( 0.4) 8( 0.5) 退院支援研修受講  あり 1,182(75.4) 1,318(77.8) .105  なし 372(23.7) 362(21.4)  不明 14( 0.9) 13( 0.8) 実習指導経験  あり 345(22.0) 369(21.8) .898  なし 1,206(76.9) 1,304(77.0)  不明 17( 1.1) 20( 1.2)

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 表2 「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子分析(2014年,n=1,568) 項目 因子負荷量 第Ⅰ因子 第Ⅱ因子 第Ⅲ因子 第Ⅳ因子 在宅生活の 情報把握 退院に向けた調整・指導 社会資源の活用 多職種協働 A06 退院後は,患者がどこでどのような生活をしたいのか(本人の希望)を把握している 0.71 0.34 0.21 0.22 A07 退院後,家族は患者がどこでどのような生活をしてほしいと思っているか(家族の希望)を把握している 0.70 0.28 0.22 0.26 A05 退院後の患者の具体的な生活をイメージしながら,看護計画(退院計画を含めた)を立案している 0.61 0.38 0.23 0.12 A08 家族介護力について評価している 0.60 0.32 0.29 0.23 A04 患者や家族の経済状況について把握している 0.56 0.18 0.33 0.14 A01 患者の入院前の生活状況を把握している 0.55 0.19 0.18 0.22 A03 患者の居住地域や自宅の構造を把握している 0.54 0.20 0.33 0.11 A02 入院前に訪問看護を利用していた患者の場合は,訪問看護からの情報を入院看護に活用している 0.42 0.19 0.18 0.22 D18 今後起こりうる病態とその対処法について,退院前に患者あるいは家族が把握していることを確認している 0.35 0.72 0.23 0.24 D19 再入院が必要となった場合の対応方法について,患者や家族が把握していることを確認している 0.34 0.70 0.26 0.22 D20 患者や家族が病状を予測しながら,症状を緩和するケアができるように指導をしている 0.30 0.70 0.27 0.25 C16 退院後にも継続できることを意図して,使用薬剤数を減らせるよう医師と相談している 0.24 0.61 0.33 0.20 C15 退院後にも継続できることを意図して,処置やケア方法の簡素化を心がけている 0.34 0.59 0.31 0.28 C17 医療費やケア用品の患者の負担について考えている 0.26 0.58 0.33 0.22 B12 介護保険で要介護と認定される見込みについて評価している 0.25 0.24 0.76 0.19 B13 精神障害者や身体障害者に該当する見込みについて評価している 0.23 0.27 0.72 0.12 B11 患者や家族に社会資源についての情報提供を行っている 0.31 0.29 0.68 0.28 B10 患者や家族が在宅ケアを行うにあたり,利用可能な社会資源を把握している 0.37 0.24 0.66 0.22 B14 介護度や障害区分が適切かどうかを判断し,適切でない場合は主治医やケアマネージャーに相談している 0.19 0.24 0.56 0.30 B09 患者が利用している公的な医療保険(国民健康保険,協会けんぽ,共済組合など)を知っている 0.24 0.19 0.50 0.16 E22 地域連携室(患者支援センター)に積極的に相談している 0.26 0.24 0.25 0.78 E23 退院後に新たな医療処置が必要な場合には,早期に地域連携室に相談している 0.24 0.26 0.27 0.72 E21 医師・理学療法士・薬剤師・栄養士・社会福祉士(医療ソーシャルワーカー)など多職種との意見交換を自ら進んで行っている 0.29 0.35 0.29 0.51 E24 看護サマリーに,患者への病状の説明内容やそれに対する反応・理解の程度を記載している 0.36 0.37 0.16 0.42 E25 看護サマリーに,今後起こりうる病態とその対処方法を記載してい 0.27 0.42 0.26 0.41 寄与率(%) 17.0 16.2 15.7 10.7  主因子法,varimax回転

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思っているか(家族の希望)を把握している」など,8項 目の因子負荷量が高かったため【在宅生活の情報把握】とし た.第Ⅰ因子には,質問票作成時に設定したA群(退院後 の生活をイメージした看護の提供)の8項目すべてが含ま れた.  第Ⅱ因子は「D18.今後起こりうる病態とその対処方法に ついて,退院前に患者あるいは家族が把握していることを 確認している」「D19.再入院が必要となった場合の対応方 法について,患者や家族が把握していることを確認してい る」「D20.患者や家族が病状を予測しながら,症状を緩和 するケアが出来るように指導をしている」など,6項目の 因子負荷量が高かったため【退院に向けた調整・指導】とし た.第Ⅱ因子には,質問票作成時に設定したD群(病状変 化を予測した対応)の3項目すべてと,C群(患者・家族 の負担軽減のためのケア方法の簡素化)の3項目すべてが 含まれた.  第Ⅲ因子は「B12.介護保険で要介護と認定される見込み について評価している」「B13.精神障害者や身体障害者に 該当する見込みについて評価している」「B14.患者や家族 に社会資源についての情報提供を行っている」など,6項 目の因子負荷量が高かったため【社会資源の活用】とした. 第Ⅲ因子には,質問票作成時に設定したB群(地域の社会 資源の活用)の6項目すべてが含まれた.  第Ⅳ因子は「E22.地域連携室(患者支援センター)に積 極的に相談している」「E23.退院後に新たな医療処置が必 要になった場合には,早期に地域連携室に相談している」 「E24.医師・理学療法士・薬剤師・栄養士・社会福祉士 (医療ソーシャルワーカー)など多職種との意見交換を自ら 進んで行っている」など,5項目の因子負荷量が高かった ため【多職種協働】とした.第Ⅳ因子には,質問票作成時に 設定したE群(多職種との協働)の5項目すべてが含まれ た.ただ「E25.看護サマリーに,今後起こりうる病態とそ の対処方法を記載している」の項目は,第Ⅳ因子の因子負 荷量0.41よりも,第Ⅱ因子の因子負荷量が0.42と高かっ た.しかしこの項目については内容の整合性から,質問票 作成時の群分けを採用して第Ⅳ因子に含めた.  なお以上の因子名は,吉田ら(2015)が暫定的に命名し た【在宅生活の情報把握】【退院に向けた調整・指導】【社 会資源の活用】【多職種協働】12 を同じく採用し,また質問 票は「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」と命名し た.  3)尺度としての信頼性  尺度の信頼性係数Cronbach’s αは0.96であった.各因子 のCronbach’sαは,第Ⅰ因子が0.89,第Ⅱ因子が0.92,第 Ⅲ因子が0.90,第Ⅳ因子が0.87であった.信頼性の基準は Cronbach’s αが0.8以上であることから,高い信頼性が認め られた. 3.「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子得 点と属性の関連  1)各因子得点と属性との相関  第Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】,第Ⅱ因子【退院に向けた 調整・指導】,第Ⅲ因子【社会資源の活用】,第Ⅳ因子【多職 種協働】に関連する属性を検討するため,それぞれの因子 得点と属性との相関係数を算出し,表3─1,表3─2に示し た.  2014年調査では,4因子の各因子得点と属性との間に相 関係数0.2以上の弱い相関がみられたのは,第Ⅲ因子【社会 資源の活用】と訪問看護・在宅ケア研修受講,第Ⅳ因子【多 職種協働】と年齢,経験年数,職位であった(p<.01).  2018年調査では,同様に相関係数0.2以上の弱い相関が みられたのは,第Ⅲ因子【社会資源の活用】と年齢および訪 問看護・在宅ケア研修の受講,第Ⅳ因子【多職種協働】と年 齢および経験年数であった(p<.01).  2)4 因子の因子得点と属性との重回帰分析  各因子に関連する属性を検討するために,目的変数を因 子得点とし,説明変数を属性として重回帰分析を行った. 結果を表4─1,表4─2に示した.説明変数は強制投入した ため,相関の高かった年齢と経験年数はいずれか一方のみ を投入して重回帰分析を行い,決定係数R2 の大きい方を 採用して表に示した.なお属性に欠損値があるデータは, 分析から除外した.重回帰モデルの集計では,すべてのF 値が有意(p<.001)で,また属性間の相関を示すVIPはす べて2.0以下で,高い相関はなかった.よって各属性のβの 値を用いて各因子への属性の影響の大きさを比較した.  2014年調査のデータでは,年齢(または経験年数),職 位,訪問看護・在宅ケア研修受講,退院支援研修受講,実 習指導経験の5つの属性の各因子への影響の大きさについ て,βの値から以下の結果が得られた.第Ⅰ因子【在宅生活 の情報把握】に影響する属性は,影響の大きい順に,訪問 看護・在宅ケア研修受講(p<.001),実習指導経験(p<.01), 退院支援研修受講(p<.05)であった.第Ⅱ因子【退院に向 けた調整・指導】に関連する属性は,職位(p<.001),訪問看 護・在宅ケア研修受講(p<.01),退院支援研修受講(p<.05) であった.第Ⅲ因子【社会資源の活用】に関連する属性は, 訪問看護・在宅ケア研修受講(p<.001),年齢(p<.001), 職位(p<.05),退院支援研修受講(p<.05)であった.第Ⅳ 因子【多職種協働】に関連する属性は,経験年数(p<.001), 職位(p<.001),訪問看護・在宅ケア研修受講(p<.001), 実習指導経験(p<.05)であった.  2018年調査のデータでは,同様に,以下の結果が得られ た.第Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】に関連する属性は,退 院支援研修受講(p<.001),訪問看護・在宅ケア研修受講 (p<.001),職位(p<.01),実習指導経験(p<.05)であっ た.第Ⅱ因子【退院に向けた調整・指導】に関連する属性 は,訪問看護・在宅ケア研修受講(p<.001),実習指導経 験(p<.01),退院支援研修受講(p<.05)であった.第Ⅲ

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因子【社会資源の活用】に関連する属性は,訪問看護・在宅 ケア研修受講(p<.001),年齢(p<.001)であった.第Ⅳ 因子【多職種協働】に関連する属性は,経験年数(p<.001), 職位(p<.001),訪問看護・在宅ケア研修受講(p<.01)で あった.  2回の調査において,各因子への属性の影響の大きさに は若干違いがみられた.しかし共通する傾向として,訪問 看護・在宅ケア研修受講は4因子すべてに影響していた. また退院支援研修受講は第Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】と 第Ⅱ因子【退院に向けた調整・指導】に,実習指導経験は第 Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】に影響していた.このほか, 年齢または経験年数が,第Ⅲ因子【社会資源の活用】と第Ⅳ 因子【多職種協働】に,職位が第Ⅳ因子【多職種協働】に影 響していた. 考察 1.「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の信頼 性・妥当性  本尺度は,「在宅を見据えた看護活動に関する質問票」と して,群馬県内看護師の看護活動の実践度に関する2回の 調査に活用してきた.本稿では,2014年調査のデータを用 いた因子分析の結果と,すでに報告済みの2018年調査の データ4 を用いた因子分析の結果を比較し,質問票の尺度 としての信頼性・妥当性を検討する.  尺度としての信頼性に関しては,以下のことから確認で きる.まず因子構造は,2回の調査ともに4因子であった. また4因子の構成項目は,2014年調査と2018年調査にお いて全項目が一致していた.さらに4因子の構成項目は, 質問票作成時に設定した5群の項目構成が維持されていた. つまり第Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】にはA群の8項目 が,第Ⅱ因子【退院に向けた調整・指導】にはC群とD群 の計6項目が,第Ⅲ因子【社会資源の活用】にはB群の6 項目が,第Ⅳ因子【多職種協働】にはE群の5項目が含ま  表3-1 属性と「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子得点の相関(2014年,n=1,568) 属     性 年 齢 経験年数 職 位 訪問・在宅研修受講 退院支援研修受講 実習指導経験 属 性  年 齢  経験年数 .760 **  職 位 .399 ** .337 **  訪問看護・在宅ケア研修受講 .168 ** .173 ** .212 **  退院支援研修受講 .046 .013 .132 ** .198 **  実習指導経験 .197 ** .301 ** .260 ** .090 ** .095 ** 因子得点  第Ⅰ因子:在宅生活の情報把握 .065 * .068 ** .091 ** .136 ** .084 ** .121 **  第Ⅱ因子:退院に向けた調整・指導 .038 .038 .129 ** .135 ** .101 ** .063 *  第Ⅲ因子:社会資源の活用 .190 ** .133 ** .136 ** .202 ** .110 ** .085 **  第Ⅳ因子:多職種協働 .200 ** .281 ** .215 ** .183 ** .107 ** .184 **  Spearmanの相関係数 *p<.05**p<.01  表3-2 属性と「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子得点の相関(2018年,n1,693) 属     性 年 齢 経験年数 職 位 訪問・在宅研修受講 退院支援研修受講 実習指導経験 属 性  年齢  経験年数 .792 **  職位 .393 ** .332 **  訪問看護・在宅ケア研修受講 .173 ** .189 ** .179 **  退院支援研修受講 -.014.028 .087 ** .179 **  実習指導経験 .201 ** .301 ** .288 ** .120 ** .037 因子得点  第Ⅰ因子:在宅生活の情報把握 .044 .066 ** .111 ** .157 ** .172 ** .112 **  第Ⅱ因子:退院に向けた調整・指導 .071 ** .076 ** .079 ** .118 ** .075 ** .099 **  第Ⅲ因子:社会資源の活用 .205 ** .158 ** .148 ** .205 ** .055 * .076 **  第Ⅳ因子:多職種協働 .205 ** .252 ** .185 ** .155 ** .049 * .152 **  Spearmanの相関係数 *p<.05,**p<.01

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れた.因子構造が安定していた理由としては,本尺度の参 考にした春原らの尺度が,在宅医療に携わる専門職による フォーカスグループインタビューをもとに調査項目を作成 し,質問紙調査を繰り返して高い信頼性と妥当性を確認し ていたことが挙げられる.13 なお本尺度で第Ⅳ因子の項目 とした「E25.看護サマリーに,今後起こりうる病態とその 対処方法を記載している」の因子負荷量は,第Ⅳ因子0.41, 第Ⅱ因子0.42で第Ⅱ因子の方が若干高かった.2018年調査 においても同様で,第Ⅳ因子0.40,第Ⅱ因子0.47であった. さらに「E24.看護サマリーに,患者への病状の説明内容や それに対する反応・理解の程度を記載している」の因子負 荷量も,2018年調査では第Ⅳ因子0.38,第Ⅱ因子0.44で あった.この2項目は,内容からみても第Ⅱ因子に含める ことが可能であり,検討の余地があると考える.  信頼性係数については,尺度のCronbach’s αが0.96,4 因子のCronbach’s αがすべて0.9程度と高い値を有してい た.これは2018年調査も同様で,4 尺度のCronbachs αは 0.96,4因子のCronbach’s αはすべて0.9程度であった.つ まり本尺度は,調査対象の異なる2回の調査において同様 の安定した因子構造が確認でき,かつ信頼性係数も高かっ た.以上のことから,本尺度は十分な信頼性があると判断 できる.なお本データは,4年の間隔を経て2回にわたり 11施設の延べ4,000名以上を対象とした大規模な調査に基 づいており,調査規模をみても類似する尺度はない.  尺度の妥当性に関しては,本尺度が在宅医療に携わる専 門職によって開発された医師用尺度を参考に作成したこと, また在宅看護のエキスパートを含む研究者と病院看護部に 所属する師長以上の管理者とともに検討を重ねて看護職版 を作成したことから,十分な内容妥当性を有していると考 える. 2.病棟看護師の在宅を見据えた看護活動の 4 因子に関連 する要因  本研究では,病棟看護師の在宅を見据えた看護活動尺度 の4因子に影響する属性を,重回帰分析によって検討した. ここでは2回の調査に共通して,因子への影響がみられた 属性について考察する.  訪問看護・在宅ケア研修受講は,【在宅生活の情報把握】 【退院に向けた調整・指導】【社会資源の活用】【多職種協 働】の4因子すべてと関連していた.すなわち本尺度の評 価項目は,訪問看護・在宅ケア研修受講によって充足され る内容である可能性があると推察される.一方,退院支援 研修受講は,【在宅生活の情報把握】【退院に向けた調整・ 指導】の2因子に関連していた.すなわち退院支援研修受 講においては,4因子すべての内容が網羅されるというよ り,この2因子に研修効果がみられる可能性があると推察 される.以上のことから,訪問看護・在宅ケア研修や退院 支援研修の受講といった看護師の継続教育や研鑽は,在宅 を見据えた看護活動の実践度向上の重要なカギになってい ると考える.  実習指導経験は,【在宅生活の情報把握】に関連していた. これに関しては,看護学生の実習指導において,看護計画 の立案をする際に,本尺度の【在宅生活の情報把握】に含ま れる入院前の生活状況の把握,経済状況の把握,退院後の  表4-1 「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子得点と属性の重回帰分析(2014 年,n=1,459) 第Ⅰ因子 第Ⅱ因子 第Ⅲ因子 第Ⅳ因子 在宅生活の情報把握 退院に向けた調整・指導 社会資源の活用 多職種協働

VIF β t 値 VIF β t 値 VIF β t 値 VIF β t 値

属性※  年齢 ― ― ― 1.234 -.023 -0.814 1.234 .131 4.659 *** ― ― ―  経験年数 1.180 .031 1.092 ― ― ― ― ― ― 1.180 .210 7.808 ***  職位 1.150 .034 1.218 1.277 .104 3.541 *** 1.277 .060 2.092 * 1.150 .118 4.438 ***  訪問看護・在宅ケア研修受講 1.092 .096 3.573 *** 1.084 .078 2.884 ** 1.084 .143 5.414 *** 1.092 .095 3.686 ***  退院支援研修受講 1.060 .063 2.374 * 1.053 .064 2.423 * 1.053 .059 2.272 * 1.060 .047 1.858  実習指導経験 1.147 .085 3.065 ** 1.084 .183 0.995 1.084 .030 1.129 1.147 .061 2.291 * R2 0.034 0.028 0.070 0.113 調整済みR2 0.030 0.025 0.067 0.110  ※属性に欠損値のあるデータは分析から除外した *p<.05,**p<.01,***p<.001   表4-2 「病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」の因子得点と属性の重回帰分析(2018 年,n=1,577) 第Ⅰ因子 第Ⅱ因子 第Ⅲ因子 第Ⅳ因子 在宅生活の情報把握 退院に向けた調整・指導 社会資源の活用 多職種協働

VIF β t 値 VIF β t 値 VIF β t 値 VIF β t 値

属性※  年齢 ― ― ― 1.228 .034 1.235 1.228 .160 5.951 *** ― ― ―  経験年数 1.183 .034 1.293 ― ― ― ― ― ― 1.183 .196 7.466 ***  職位 1.147 .071 2.704 ** 1.267 .025 0.909 1.267 .049 1.802 1.147 .088 3.387 ***  訪問看護・在宅ケア研修受講 1.093 .102 4.001 *** 1.082 .093 3.598 *** 1.082 .162 6.418 *** 1.093 .072 2.848 **  退院支援研修受講 1.046 .147 5.885 *** 1.042 .055 2.161 * 1.042 .021 0.845 1.046 .031 1.262  実習指導経験 1.145 .062 2.376 * 1.093 .082 3.162 ** 1.093 .007 0.278 1.145 .050 1.914 R2 0.060 0.029 0.075 0.082 調整済みR2 0.057 0.026 0.072 0.079  ※属性に欠損値のあるデータは分析から除外した *p<.05,**p<.01,***p<.001 

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本人や家族の希望の把握,家族介護力の評価といった項目 がアセスメントされるため,実習指導経験をすることが【在 宅生活の情報把握】と関連したのではないかと考える.し たがって実習指導経験も,在宅を見据えた看護活動の実践 度向上の一端を担っているといえる.  このほか,年齢または経験年数は【社会資源の活用】【多 職種協働】に関連し,また職位は【多職種協働】に関連して いた.【社会資源の活用】【多職種協働】の実践にはある程 度の年齢や経験年数が必要とされること,また【多職種協 働】は,師長等の職位にある者がその役割を多く担ってい ることは,これまでも多数報告4,14,15されている.したがっ て,社会資源の活用や多職種協働の実践力向上には,経験 のある先輩との実践を積み重ね,経験を通して学ぶ必要が あるのではないかと考える. 3.本尺度の特徴と活用方法についての示唆  本尺度は,春原らの「在宅の視点のある病院医師尺度」を 参考に作成した.これは在宅診療の経験豊かな医師,看護 師,薬剤師等の医療専門職の意見をもとに,200人以上の 医師から2回の調査回答を得た,信頼性・妥当性の高い6 因子構造の尺度であった.13 この優れた点が,本研究の「病 院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」にも反映され, 在宅療養に必要な視点が十分に網羅され,かつ評価項目が バランスよく配置された尺度になったと考える.  一方,在宅の視点のある病棟看護師尺度としては,山岸 らの「在宅の視点のある病棟看護師の自己評価尺度」があ る.16 この尺度は退院支援を受ける患者に焦点をあて,退 院後の生活やケアに求められるより具体的な支援を評価項 目として設定している.この尺度を用いたがん患者への看 護実践評価では,17 尺度の得点と,退院支援経験年数,研 修会参加,文献学習,同僚相談が有意に関連していたこと が報告されており,これは本尺度における属性との関連と ほぼ同様の結果であるといえる.本尺度と山岸らの尺度の 共通点は,「在宅を見据えた看護活動」に視点を当てている ことである.しかし本尺度は退院支援に限定せず,患者の 入院生活の中にも在宅における患者の生活様式を取り入れ, 在宅での患者像をイメージして看護を展開しようとする点 が含まれていることに相違がある.つまり外来や中央部門 等に配属の看護師による評価も可能であり,より包括的な 評価尺度になっている点に特徴があるといえる.  退院支援や在宅療養移行支援に関する評価尺度は,この 数年で多数開発されている.退院支援看護師の個別支援に おける職務行動遂行能力評価尺度,6 がん患者退院支援尺 度,7 病棟看護師の退院支援における包括的評価尺度,8 棟における在宅療養移行支援質指標9 等である.それぞれ 目的とすることが,退院支援看護師の実践内容,がん患者 の退院支援,病棟看護師の退院支援,在宅療養移行支援と 多少異なり,評価内容やウエイトにも違いがある.いずれ にせよ病院看護職には,患者の在宅での暮らしを視野に入 れた看護活動が求められており,その実践力向上のための 様々な取り組みが現れていると考える.  病棟における看護実践では,病衣を着た患者の姿から患 者像を描いてしまうことが多い.また病院内では,医療安 全の観点から医療職が管理しやすいように,患者の療養生 活が管理されることも多々ある.しかし患者にとって必要 なのは,入院医療が終了した後,自分の生活の場に戻って 療養生活を継続できることである.つまり入院時から,患 者の在宅での生活をイメージした看護を組み立てていくこ とが重要である.本尺度の第Ⅰ因子【在宅生活の情報把握】 は,年齢や経験年数による影響が少なかった.別の観点か らみれば,この因子は,若手看護師や看護学生にも活用可 能であり,下位尺度として単独で使用することもできる. 看護職として,患者の在宅での生活をイメージできること があたりまえとなるように,看護実践の指標として本尺度 が活用されることを期待したい.  最後に課題として,「E24.看護サマリーに,患者への病 状の説明内容やそれに対する反応・理解の程度を記載して いる」「E25.看護サマリーに,今後起こりうる病態とその 対処方法を記載している」の2項目を,第Ⅳ因子ではなく, 第Ⅱ因子に含めることが適切かどうか,今後,さらに検証 する必要がある. 結論 1.「看護職の在宅を見据えた看護活動尺度」は,【在宅生活 の情報把握】【退院に向けた調整・指導】【社会資源の活 用】【多職種協働】の4因子で構成され,信頼性・妥当性 が確保された尺度であることが示された. 2.訪問看護・在宅ケア研修受講は,4因子すべての因子 得点と関連していた.また年齢および経験年数は,【社会 資源の活用】と【多職種協働】の因子得点に関連してい た. 3.本尺度は,病院看護職の在宅を見据えた看護活動を包 括的に評価する尺度として活用できることが示唆され た. 謝辞  本研究にご協力いただきました県内病院の皆様に厚く御 礼申し上げます. 文献 1.厚生労働省.地域包括ケアシステムの実現へ向けてhttps:╱╱ www.mhlw.go.jp╱stfseisakunitsuitebunyahukushi_kaigo╱ kaigo_koureisha╱chiiki-houkatsu╱ 2021

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 <資料> 病院看護職の在宅を見据えた看護活動尺度       退院後に地域(在宅)に戻られる患者に対する,ご自身の日頃の看護活動についてお伺いします.       各項目について,該当する数字に○をつけてください. 全くしない 余りしない 時 々 す る よ く す る 常 に す る 非 該 当 A01 患者の入院前の生活状況を把握している 1 2 3 4 5 0 A02 入院前に訪問看護を利用していた患者の場合は,訪問看護からの情報を入院看護に活用している 1 2 3 4 5 0 A03 患者の居住地域や自宅の構造を把握している 1 2 3 4 5 0 A04 患者や家族の経済状況について把握している 1 2 3 4 5 0 A05 退院後の患者の具体的な生活をイメージしながら,看護計画(退院計画を含めた)を立案している 1 2 3 4 5 0 A06 退院後は,患者がどこでどのような生活をしたいのか(本人の希望)を把握している 1 2 3 4 5 0 A07 退院後,家族は患者がどこでどのような生活をしてほしいと思っているか(家族の希望)を把握している 1 2 3 4 5 0 A08 家族介護力について評価している 1 2 3 4 5 0 B09 患者が利用している公的な医療保険(国民健康保険,協会けんぽ,共済組合など)を知っている 1 2 3 4 5 0 B10 患者や家族が在宅ケアを行うにあたり,利用可能な社会資源を把握している 1 2 3 4 5 0 B11 患者や家族に社会資源についての情報提供を行っている 1 2 3 4 5 0 B12 介護保険で要介護と認定される見込みについて評価している 1 2 3 4 5 0 B13 精神障害者や身体障害者に該当する見込みについて評価している 1 2 3 4 5 0 B14 介護度や障害区分が適切かどうかを判断し,適切でない場合は主治医やケアマネージャーに相談している 1 2 3 4 5 0 C15 退院後にも継続できることを意図して,処置やケア方法の簡素化を心がけている 1 2 3 4 5 0 C16 退院後にも継続できることを意図して,使用薬剤数を減らせるよう医師と相談している 1 2 3 4 5 0 C17 医療費やケア用品の患者の負担について考えている 1 2 3 4 5 0 D18 今後起こりうる病態とその対処法について,退院前に患者あるいは家族が把握していることを確認している 1 2 3 4 5 0 D19 再入院が必要となった場合の対応方法について,患者や家族が把握していることを確認している 1 2 3 4 5 0 D20 患者や家族が病状を予測しながら,症状を緩和するケアができるように指導をしている 1 2 3 4 5 0 E21 医師・理学療法士・薬剤師・栄養士・社会福祉士(医療ソーシャルワーカー)など多職種との意見交換を自ら進んで行っている 1 2 3 4 5 0 E22 地域連携室(患者支援センター)に積極的に相談している 1 2 3 4 5 0 E23 退院後に新たな医療処置が必要な場合には,早期に地域連携室に相談している 1 2 3 4 5 0 E24 看護サマリーに,患者への病状の説明内容やそれに対する反応・理解の程度を記載している 1 2 3 4 5 0 E25 看護サマリーに,今後起こりうる病態とその対処方法を記載している 1 2 3 4 5 0

(11)

A Study on the Reliability and Validity of a Scale of Hospital

Nurses’ Nursing Activities toward Providing Home Care, and

Related Factors

Hiroko Kondo

1

, Hiromi Tsujimura

1

, Mitsuko Ushikubo

1

, Tohru Yoshida

2

, Keiko Sakou

3

, Yoko

Tokiwa

1

, Kiyoko Kanda

4

1 Gunma University Graduate School of Health Sciences, 3-39-22 Showa-machi, Maebashi, Gunma 371-8514, Japan 2 Jumonji University, 2-1-28 Sugasawa, Niiza, Saitama 352-8510, Japan

3 Jobu University, 270-1 Shin-machi, Takasaki, Gunma 370-1393, Japan

4 Takasaki University of Health and Welfare, 501 Nakaorui-machi, Takasaki, Gunma 370-0033, Japan

Abstract

Aims:

The purpose of this study was to assess the reliability and validity of

a scale of hospital nurses

nursing activities

towards providing home care,

and to elucidate factors related to the implementation of nursing activities towards

pro-viding home care.

Methods:

Data from two surveys of nurses in 11 hospitals in Gunma Prefecture were reanalyzed to

assess the reliability and validity of the scale and to investigate the relationship between their attributes and the factor

scores.

Results:

Data from 1568 nurses in the 2014 survey and 1693 nurses in the 2018 survey were analyzed.

 

The

scale consisted of the following 4 factors, [understanding of information on life at home], [discharge coordination and

guidance], [utilization of social resources] and [multi-professional collaboration].

 

The reliability coefficient

Cron-bach

s

α)

of the whole scale was found to be as high as 0.96.

 

Visiting nursing

home care training was related to the

scores for all 4 factors.

 

In addition, age and years of experience were related to the scores for [utilization of social

resources] and [multi-professional collaboration].

Conclusion:

Our results suggested that the scale can be used to

com-prehensively assess hospital nurses

nursing activities towards providing home care.

Key words:

home care-oriented nursing, nursing activity rate, visiting nursing training, home care training, discharge support training

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