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刺激の受容から反応まで

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Academic year: 2021

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理科学習指導案

広島県立三原高等学校 授業者 丸川 晋一 1. 日時 2004 年 11 月 19 日(金) 5校時 2. 学年・組・場所 第2学年5組 理型(18 名)・生物教室 3. 科目・単元名 生物Ⅰ・「刺激の受容から反応まで」 4. 単元設定の背景 ○ 単元観 動物は特定の受容器で特定の刺激を感受し,刺激に応じた反応・行動をする。動物が外界からの刺 激を眼や耳で受容し,その刺激が脳や脊髄などの中枢に送られ,さらに筋肉などの作動体に伝えら れて反応が起こる。この過程は,コンピュータがキーボードなどから入力された情報を処理してモ ニターなどに出力する過程によく例えられるが,実際はコンピュータ以上に精巧で機能的なもので ある。外界からの刺激を受けて反応することは生物の基本的性質であるから,生徒は生命現象を正し く認識するために十分な理解をしておく必要がある。また,生物にはさまざまな機能に応じた構造が 備わっていることを実感しやすい内容でもあり,生命の巧みさ美しさを感じることから生命尊重の 気持ちを育むことができる。 この単元は他の単元と比較して,題材としてヒトが扱われることが多いので,生徒にとっては身 近であり,興味も喚起しやすい。とりわけ,脳に関しては解剖学者の養老孟司氏の『バカの壁』がベ ストセラーになっていることが示すように,一般の関心も高く生徒も興味を示すものと考えられる。 “脳死”などが社会問題として取り上げられることも多く,現代人にとって脳に関する基本的な知 識の習得は必須になりつつある。また,ヒトと他の動物の行動を分ける最大の要因は脳の違いであ るといっても過言ではない。脳を理解することは,人間の理解につながり,さらには自分自身の理解 にもつながっていくだろう。この単元の学習を通して,生徒が自分の体や心について関心を高め,自 らの行動の意味を深く考えられるようになることを期待する。 ○ 生徒観 生徒は教師の話をよく聞き,落ち着いて学習に取り組む姿勢が見られるが,授業中に自ら質問や 意見発表をする積極性はやや弱い。また,自分で課題を見つけ,課題を解決するために自ら方法を 考えて実験することは慣れていない。 中学校の学習指導要領では動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組 みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けて学習することになっているが,実際に動 物体を解剖して観察している生徒はほとんどいない。 ○ 指導観 本時は,単元の導入としてニワトリの脳の解剖を行う。脳についての学習は主に第四次に行うが, この実験を単元全体の興味づけの場と位置付けたい。 材料としてイヌの飼料として販売されている鶏頭水煮を用いるので解剖は容易である。しかし, 抵抗感を持つ生徒がいることも考えられるので,解剖実験の意義については十分に説明する。宗教上 の理由などで解剖ができない生徒には強要しない。 また,今回取り出したニワトリの脳とヒトの脳(模型)を比較することで,両者の相違点を見出し, 何らかの気づきや疑問をもたせるように指導する。その疑問に基づき,後日改めて実験を行う(今回 取り出した脳はアルコールで保存しておく。)。この学習活動の中で科学的態度や考え方などを養っ ていきたい。

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5. 指導と評価の一体化を図る工夫 実習が多い単元であるので,生徒自身が授業で目標を持って主体的に活動するように促す必要があ る。指導は生徒に各授業の目標をはっきりと認識させることが最も重要なポイントとなる。そのため, 評価の観点は授業の導入部分で確認する。さらに細かな目標も授業中,適宜確認するようにする。ま た,単元の最後には自己評価・相互評価から自分の課題を考えさせることにより,評価は次の行動につ ながっていくものであることに気づかせるような指導をしていく。 6. 単元目標 ○ 刺激の受容や反応にかかわる器官に興味を持ち,自分自身の体や心と結び付けて考えられる。 ○ 自らの疑問を積極的に解決しようとする。 ○ 解剖実験の基本的な操作を身に付け,実行する。 ○ 刺激の受容から反応にいたる過程を,各器官の構造と結び付けて説明できる。 7. 単元の評価基準 関心・意欲・態度 思考・判断 観察・実験の技能・表現 知識・理解 ○刺激の受容と反応に関 する事象に関心をもち, 意欲的に探究する態度 を身に付ける。 ○受容器と効果器の働 きをその構造に関連 付けて考察する。 ○刺激の受容と動物の反 応に関する観察,実験 の技能を習得し,科学 的に探究する方法を身 に付け,結果を的確に 表現する。 ○刺激の受容から反応ま での経路を理解し,受 容体や効果器の構造や 働きについて知識を身 に付ける。 8. 指導計画 第一次 実験:ニワトリの脳の解剖 (1時間) (本時 1/1) 第二次 受容器 (5時間) 第三次 作動体 (1時間) 第四次 神経系 (6時間) 次 時 学習内容 学習の支援 評価の観点 一 1 実験:ニワトリの脳の解剖 ・技術指導 ・操作の意味づけ ・安全指導 ・実験への興味,関心があるか。 ・実験の態度は十分か。 ・実験の技能を身につけたか。 ・自ら疑問をもてるか。 2 受容器と敵刺激 ・講義 ・本単元全般への興味,関心をもてるか。 ・適刺激について説明できるか。 3 耳のつくりとはたらき ・講義,演示 ・耳の構造と機能への興味,関心をもてるか。 ・音の受容について説明できるか。 二 4 ・ 5 ・ 6 眼のつくりとはたらき 実験:盲斑の確認(4 時) 実験:ブタの眼の解剖(6 時) ・講義,演示 ・技術指導 ・操作の意味づけ ・安全指導 ・眼の構造と機能への興味,関心をもてるか。 ・光の受容について説明できるか。 ・実験への興味,関心があるか。 ・実験の態度は十分か。 ・実験の技能を身につけたか。

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三 7 筋肉のつくりとはたらき ・講義,演示 ・筋肉の構造と機能への興味,関心をもてるか。 ・筋収縮のしくみを説明できるか。 8 ニューロン ・講義 ・神経系への興味,関心をもてるか。 ・ニューロンや神経系について説明できるか。 9 ・ 10 伝導・伝達 ・講義 ・刺激の伝導,伝達への興味,関心をもてるか。 ・伝導と伝達の違いが理解できたか。 11 脳のつくりとはたらき ・講義 ・脳のはたらきに関心をもてるか。 ・脳のはたらきを説明できるか。 12 実験:ニワトリの脳の探求 ・実験方法の助言 ・技術指導 ・安全指導 ・疑問を解決するための方策を考えられるか。 ・実験の態度は十分か。 ・実験の技能を身につけたか。 四 13 脊髄のつくりとはたらき ・講義,演示 ・脳のはたらきに関心をもてるか。 ・脊髄反射を説明できるか。 9. 本時の目標 ○ 解剖実験に関心をもち,主体的に実験に参加できる。 ○ ヒトの脳との比較から,新たな疑問を見出すことができる。 ○ 実験の操作を安全に,確実に行う。 ○ ニワトリの脳とヒトの脳との違いを指摘できる。 10. 準備物 実験プリント,実物投影装置, 鶏頭水煮缶,缶きり,湯(50℃),ピンセット,柄付針,新聞紙, エタノール(70%),フィルムケース(保存用) 11. 学習過程 展開 学習活動 学習の支援 評価の方法 導入 ・テーマの確認 ・本時の課題の提示 ・本時の目標(評価の観点)の確認 ・実験の意義の説明 実 験 に 関 す る 興 味 ・関 心 は 生徒の表情から測る。 展開 (実験) ・実験道具,材料の準備 ・各 操 作 を 充 分 に 理 解 し た 上 で 操 作を行う。 ・各操作で難しいところは,実物投 影装 置 で TV 画面 を通 し て解 説 す る。 机間巡視・個別指導におい て,質問への応答で理解度 を,行動観察で実験技能を 測る。 テーマ:ニワトリの脳を見てみよう!

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まとめ ・ヒ ト の 脳 と の 比 較 か ら 両 者 の 脳 の特徴をつかむ。 全体の大きさの違い 大脳の大きさの違い 表面のしわの違い など ・新たな疑問点を見出し,次回の実 験への意欲を持つ。 ・ヒトの脳模型の提示 ・机間巡視で,考察ができない生徒 に個別指導する。 全体的な観察,および細部 の観察ができているか,質 問 へ の 応 答 や レ ポ ー ト で 測る。 探究心をもてたか,質問へ の応答やレポートで測る。 片付け ・ニワトリの脳の保存 ・実験器具の片付け ・保存方法の指示 ・片付けの指示 人任せにせず,片付けがで きるか行動観察で測る。 12. 評価 観点・方法・評価の判断基準

評価の判断基準

観 点 方 法 A「十分満足」 B「おおむね満足」 C「努力を要する」 観察・実験の 技能・表現 実験プリント (スケッチ) 行動観察 作 業 の 手 順 を 理 解 し,適切に脳を解剖 している。脳の特徴 的 な 構 造 等 に 着 目 して,正確なスケッ チを描き,さらに気 づ き な ど を 書 き 加 えている。 作業の手順を理解し, 脳を解剖している。正 確 な ス テ ッ チ が 描 け る。 作 業 の 手 順 を あ い ま い に 理 解 し , 適 切 に 脳 を 解 剖 で き な い 。 正 確 な ス ケ ッ チ が 描 けない。 関心・意欲・態度 実験プリント (感想・ 自己評価) 机間巡視中 の観察 次回の授業につな がるような疑問点 などの記述がある。 脳以外の部分も積 極的に観察する。 実験の感想のみ記述。 指示されたこといて は実施している。 感想や自己評価の記 述がほとんどないか 全くない。 自ら活動せず,他の 生徒に任せている。 ☆Cと判断される状況へのはたらきかけ 観察・実験の 技能・表現 作業 の 手順を 繰 り返 し 説明 し ,個別 に 図説などを 使 い ,スケッチ をさせる 。 関心 ・ 意欲 ・ 態度 個別 に 関心 がもてない 理由 を 聞 き , 意欲 が 高 められるように 指導 の 工夫 を 行う。 おわりに ヒトの脳の実物を教材として高校現場で扱うことは難しい。しかし,代替として他の動物の脳を 扱うことは大変有意義であると思う。今年度,広島大学医学部にて研修を行い,ヒトの脳に触れる など貴重な経験をさせていただいた。本研究授業を行うにあたり,指導・助言やデータの提供をい ただいた広島大学医歯学総合研究科の片岡勝子先生,洲崎 悦子先生に心より感謝する。

参照

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