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余暇の変化で増えるインターネット消費

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Academic year: 2021

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株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。 2017 年 6 月 7 日 全 10 頁

経済構造分析レポート–No.60–

余暇の変化で増えるインターネット消費

「旅行関係費」「食料」「衣類・履物」等の消費拡大に期待が高まる

経済調査部 研究員 石橋 未来 主任研究員 溝端 幹雄

[要約]

 本稿では、余暇の過ごし方の一つとして「インターネット」が急速に普及している様子 を確認するとともに、インターネットを通じた消費動向について見ていく。  「インターネット」があらゆる年代に浸透してきたことで、ネットショッピングが消費 者にとって身近な買い物手段になりつつある。  世帯主年齢 60 歳未満の世帯ではネットショッピングの支出額が大きい。また、世帯主 が退職する前後に当たる 50~79 歳世帯では、「旅行関係費」や「保険」などのサービス 系分野の支出割合が大きくなる。  地域別に見ると、東北や北陸などではネットショッピングの支出額が少なく、さらにネ ットショッピングの中身が物販系にやや偏っている傾向が見られる。  余暇時間が増加してインターネット利用時間が一層増大すれば、それに伴いネットショ ッピングも増加する可能性がある。ネットショッピングに占める割合の大きい「旅行関 係費」や「食料」「衣類・履物」などに加え、特に高齢化の進むような地域では「保健・ 医療」「保険」でもインターネットを通じた消費が伸びるものと思われる。  そのため、これらの市場に関連する企業は、ネット対応を一層強化するとともに、ニー ズを捉えた商品やサービスの充実といった戦略を打ち出すことで、売上拡大が期待でき るだろう。

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働き方改革で注目される新しい余暇の過ごし方

大和総研[2017]『第 193 回日本経済予測』の「論点②:長時間労働の是正・プレミアムフラ イデーで消費は増えるのか?」1で言及した通り、長時間労働の是正やプレミアムフライデーの 推進などの働き方改革の進展によって、人々の労働時間が減り余暇時間が増えたとしても、消 費全体に与える影響は小さいことが確認された。ただし、若い世代を中心に増加傾向にある余 暇時間のインターネット利用時間が一層増大すれば、それに伴うネットショッピングによる消 費が増える可能性がある。 そこで本稿では、余暇時間の過ごし方の一つとして「インターネット」が急速に普及してい る様子を確認するとともに、インターネットを通じた消費動向について見ていく。近年増加す るインターネットを通じたネットショッピングの傾向を年齢階級別、地域別に見ていきたい。

余暇時間のうち増加する「インターネット」

人々の一日の生活を時間の面から捉え、日本人の生活実態を示した統計に「2015 年国民生活 時間調査報告書」(NHK 放送文化研究所)がある2。この統計では一日の生活時間について、必要 不可欠性の高い行動を「必需行動」(睡眠、食事、身のまわりの用事、療養・静養など)、家庭 や社会を維持向上させるために行う義務性・拘束性の高い行動を「拘束行動」(仕事関連、学業、 家事、通勤・通学、社会参加など)、人間性を維持向上させるために行う自由裁量性の高い行動 を「自由行動」(会話・交際、レジャー活動、マスメディア接触、休息など)の 3 つに分けてい る。そこで取り上げられている 29 種類の行動(小分類)のうち、自由行動に分類される 12 種 類の行動の平均時間量を、1995 年と 2015 年で比較したものが図表1である(1995 年の調査項 目にはインターネットはない)。 1995 年には、自由時間のうち「テレビ」の視聴時間が最も長く、次いで「趣味・娯楽・教養」 (稽古事や習い事、資格や免許を取るための勉強、映画・演劇・音楽・絵画の鑑賞など)や「会 話・交際」(家族・友人・知人・親戚とのつきあいや訪問など)、「休息」に費やす時間が長かっ た。しかし、2015 年には自由行動時間がほぼ変わらないにもかかわらず、「ビデオ・HDD・DVD」 「スポーツ」「休息」を除いた多くの行動時間量が減少している。代わって多くの時間が費やさ れるようになったのが、2005 年から調査項目に加えられた「インターネット」である3 1 大和総研[2017]「第 193 回日本経済予測 景気回復が続く中、地域経済はどう動く?~長時間労働是正やプ レミアムフライデーの影響などを検証~」(2017 年 5 月 24 日) 2 日本人の主な活動状況について、一日の生活時間の配分等を調査した統計では総務省「社会生活基本調査」が 一般に知られるが、最新データが 2011 年であるため、ここでは、より新しいデータ(2015 年)の取得が可能な NHK 放送文化研究所「2015 年国民生活時間調査報告書」を使用する。 3 1995 年時点のインターネット利用時間は「趣味・娯楽・教養」に含まれているものの、当時のインターネッ トの普及率は非常に低く、1996 年末でも世帯ベースで 3.3%(総務省「通信利用動向調査」)であった。

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図表1 自由行動の種類別、時間量(週平均時間、国民全体) (注1)行為者の平均時間に行為者比率をかけているため、合計時間が自由行動時間の合計とはならない。 (注2)グラフは国民全体の週平均時間。週平均は(平日の時間量×5+土曜の時間量+日曜の時間量)/7 によ り算出した。 (注3)インターネットは「趣味・娯楽・教養のインターネット」。 (出所)NHK 放送文化研究所「2015 年国民生活時間調査報告書」「日本人の生活時間・1995 ―NHK 国民生活時間 調査―」より大和総研作成 2015 年のインターネット利用時間は、調査項目に加えられた 2005 年との比較でも 2 倍以上に 増加している(週平均時間、国民全体)。過去 3 回の同調査を比較すると、インターネット行為 者率(1 日のうち該当の行動を 15 分以上した人が全体の中で占める割合)は、男女ともほとん どの年齢階級で上昇している(図表2)。図表2の矢印が示すように、インターネット行為者率 の高い世代が年齢を重ねただけでなく(世代効果4)、各年齢階級の中でもインターネット行為者 率が増えつつある様子がうかがえる(時代効果5。余暇の過ごし方として、インターネットがあ らゆる年代に浸透してきたと言えよう。 一方、テレビの視聴時間は余暇時間の大半を占めているものの、若い世代ほど行為者率の低 下が目立ち、若年層でテレビ離れが進んでいる様子が分かる(図表3)。 図表2 年齢階級別、インターネット行為者率(週平均、国民全体)(左:男性、右:女性) (注)行為者率とは 1 日のうち「インターネット」の行動を 15 分以上した人が全体の中で占める割合のこと。 (出所)NHK 放送文化研究所「2015 年国民生活時間調査報告書」より大和総研作成 4 生まれた年代ごと(例えば“団塊の世代”等)に備わった嗜好や考え方は、固有の行動パターンとして表れ、 将来もある程度の粘着性を持つものと考えられることを「世代効果」という。 5 それぞれの時代におけるトレンドから大きく影響を受けることを「時代効果」という。 208 207 7 19 24 19 11 7 23 16 25 24 9 11 30 18 17 12 29 31 37 27 32 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 1995年 2015年 (分/日) テレビ ビデオ・HDD・DVD ラジオ CD・テープ 新聞 行楽・散策 スポーツ 会話・交際 雑誌・マンガ・本 休息 趣味・娯楽・教養 インターネット 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 2005年 2010年 2015年 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 2005年 2010年 2015年

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図表3 年齢階級別、テレビ行為者率(週平均、国民全体)(左:男性、右:女性) (注)行為者率とは 1 日のうち「テレビ」の行動を 15 分以上した人が全体の中で占める割合のこと。 (出所)NHK 放送文化研究所「2015 年国民生活時間調査報告書」より大和総研作成

さらに伸びつつあるネットショッピング利用世帯

図表4を見ると、利用率については飽和状態にあるインターネットだが、このインターネッ トを通じた買い物、「ネットショッピング」の利用は拡大を続けている。インターネット利用が 一般化したことで、ネットショッピングは消費者にとって身近な買い物手段になりつつある様 子がうかがえる。実際、業態別小売売上高を見ると、百貨店やスーパーが伸び悩む中、企業と 消費者間の電子商取引である BtoC-EC(Business-to-Consumer Electronic Commerce)の 2016 年の市場規模は 15.1 兆円と、拡大が目立つ(図表5)。そこで、図表1や図表2で確認したよ うに、近年増えつつある余暇時間に占めるインターネット利用がさらに拡大すれば、それに伴 うネットショッピングが一層増える可能性が高いと考えられよう。 図表4 インターネット利用率とネットショッピング利用世帯率 (注)ネットショッピング利用世帯率は、二人以上世帯が対象。 (出所)総務省「通信利用動向調査」より大和総研作成 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95% 100% 1995年 2005年 2015年 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95% 100% 1995年 2005年 2015年 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% (年末) インターネット利用率 ネットショッピング利用世帯率(右軸)

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図表5 業態別小売売上高の推移 (出所)経済産業省「商業動態統計」「電子商取引実態調査」より大和総研作成 BtoC-EC 市場の内訳は、物販系分野が 53%、サービス系分野が 35%、残りの 12%がデジタル 系分野である。分野別の市場規模では全体の半分以上を物販系が占めるが、商品ごとの市場規 模では、サービス系分野に含まれる「旅行サービス」(3.0 兆円)が最も大きい。次いで、「衣類・ 服装雑貨等」(1.53 兆円)、「食品、飲料、酒類」(1.45 兆円)、などの物販系分野が続いており、 売上高はそれぞれ拡大傾向にある。 「旅行サービス」については、インターネット専業の旅行代理店や積極的にネット対応する大 手旅行代理店の増加、またインターネット予約が既に一般化している航空券などが大きく影響 しているようだ。「衣類・服装雑貨等」については、BtoC-EC 対応を進めるアパレルブランドの 増加に加え、返品可能なキャンペーンの展開という取り組みが、ネットショッピングに対する 消費者の心理的な障壁を取り除く効果を上げているとの見方がある6。さらに「食品、飲料、酒 類」についても、店舗型小売業者によるネットスーパーに加え、ネット販売特化型のネットス ーパーが着実に会員数を増やしてきたことなどが、市場規模拡大に貢献しているとみられる。 図表6で見るように、2015 年のインターネット利用者の半数以上が、インターネットを利用 する目的・用途として「商品・サービスの購入・取引」を挙げており、10 年前(2005 年)から 大きくその割合を増やしている。 6 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課[2017]「平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基 盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」(2017 年 4 月) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 (兆円) (年) 百貨店 スーパー コンビニエンスストア ドラッグストア BtoC-EC市場

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図表6 インターネットで利用した機能・サービスと目的・用途(複数回答)(上:2015 年、下: 2005 年) (出所)総務省統計局「平成 27 年通信利用動向調査」「平成 17 年通信利用動向調査」より大和総研作成

今後は高齢化率の高い地域でもネットショッピングが拡大する可能性

次に、インターネットを利用した商品・サービスの購入・取引の動向について、年齢階級及 び、地域ごとの特徴について見ていく(図表7)。 インターネットを利用した二人以上世帯のうち、世帯人員一人当たり 1 か月間のインターネ ット関連の支出額が最も大きいのは世帯主年齢 50~59 歳の月 7,231 円である。いずれの年齢階 級も、支出のおよそ半分が物販系分野だが、世帯主の年齢階級が 50~79 歳の比較的高齢の世帯 では、サービス系分野の支出に占める割合が他の年齢階級と比較して大きくなっている。これ は世帯主の退職前後で、「旅行関係費」や「保険」などの支出が増えることが影響しているため である。 51% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 電子メールの送受信 天気予報の利用(無料のもの) 商品・サービスの購入・取引 地図・交通情報の提供サービス(無料のもの) 動画投稿・共有サイトの利用 ソーシャルネットワーキングサービス の利用 ホームページ・ブログの閲覧、書き込み ニュースサイトの利用 無料通話アプリやボイスチャットの利用 オンラインゲームの利用 辞書・事典サイトの利用 クイズ・懸賞応募、アンケート回答 ラジオ、テレビ番組、映画などのオンデマンド配信サービスの利用 ウェブアルバムの利用 自分のホームページ・ブログの開設・更新 電子ファイルの交換・ダウンロード 電子掲示板(BBS)・チャットの利用 電子政府・電子自治体の利用 無回答 その他 【2015年】 36% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 勤務先・友人等との連絡・情報交換(メールなど) ニュース・天気予報の情報入手 商品・サービス・企業・店舗等の情報入手 物品・サービスの購入・取引 音楽のデジタルコンテンツの入手・聴取 動画・画像のデジタルコンテンツの入手・視聴 政府・自治体の情報入手 クイズ・懸賞への応募やアンケートの回答 オンラインゲーム(ネットゲーム)への参加 インターネットバンキングによる銀行利用 無回答 就職・転職関連 その他 政府・自治体への電子申請・納税申告・届出 インターネットでの通信教育受講(e-ラーニング) 【2005年】

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地域別では、関東、近畿、北海道、東海のネットショッピングの支出額が比較的大きい一方、 東北や北陸、四国、中国、九州・沖縄ではネットショッピングの支出額が比較的小さい7。ネッ トショッピングの内訳については、どの地域も物販系分野が半数以上を占めているものの、東 北や北陸など支出額の小さい地域では、サービス系分野の支出割合も他の地域と比べて低い傾 向がある。つまり、ネットショッピングの支出額が少ない地域では、ネットショッピングの中 身についても物販系にやや偏っているケースが多いと言えよう。これらのネットショッピング の支出額が少なくサービス系分野の支出割合が低い地域は、人口に占める 80 歳以上の割合が 10%以上の地域が多く、インターネット利用率そのものが低い地域でもある。 図表7 二人以上世帯の世帯主年齢階級別、地域別、インターネットを利用した世帯人員一人当 たり1か月間の支出と内訳(2016 年) (注1)カッコ内の数字は、80 歳以上の割合。 (注2)世帯当たり支出を世帯人員の平方根で除した。 (出所)総務省統計局「平成 28 年 家計消費状況調査年報」「人口推計」より大和総研作成 図表8を見ると、地域(ここでは都道府県)別のインターネット利用率は、その地域の高齢 化率が高いほど低くなる傾向があるが、同じ高齢化率でも近年はインターネット利用率が上昇 しており、高齢層でもインターネットの利用が広がっているのが分かる。年齢階級別のインタ ーネット利用率で見ても、この 10 年間で 50 歳以上の年齢階級での上昇が目立っている(図表 9)。 現状では、年齢階級が上がるほどインターネット利用率は低下するため、高齢化の進む地域 ではネットショッピングの支出額は抑制される傾向にある。しかし、今後は高齢化が進行して も、高齢者の情報リテラシーの向上によるインターネット利用の増加のみならず(時代効果)、 7 消費支出総額の掲載は 2014 年までとなっているが、ネットショッピングが消費支出総額に占める割合も関東、 近畿、北海道等は大きく、東北や北陸、四国等は小さい(「平成 26 年 家計消費状況調査年報」)。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 ~ 2 9 歳 3 0 ~ 3 9 歳 4 0 ~ 4 9 歳 5 0 ~ 5 9 歳 6 0 ~ 6 9 歳 7 0 ~ 7 9 歳 8 0 歳 ~ 北 海 道 ( 9 % ) 東 北 ( 1 0 % ) 関 東 ( 7 % ) 北 陸 ( 1 0 % ) 東 海 ( 8 % ) 近 畿 ( 8 % ) 中 国 ( 1 0 % ) 四 国 ( 1 1 % ) 九 州 ・ 沖 縄 ( 9 % ) (円/月) 支出総額 物販系分野(右軸) サービス系分野(右軸) デジタル系分野(右軸)

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もともとネットショッピングがより身近な世代が高齢化していくため(世代効果)、高齢化率が 高い地域でもネットショッピングの支出額は伸びていくと思われる。 図表8 都道府県別、インターネット利用率と高齢化率の関係 (出所)総務省統計局「通信利用動向調査」「人口推計」より大和総研作成 図表9 年齢階級別、インターネット利用率 (出所)総務省統計局「平成 27 年通信利用動向調査」より大和総研作成

余暇時間の増加により、

「旅行関係費」

「食料」

「衣類・履物」等のネットショ

ッピングの拡大に期待が高まる

冒頭の図表1で確認できるように、過去 20 年間(1995 年から 2015 年)の余暇の過ごし方か らは、「行楽・散策」(観光地・遊園地・動物園に行く、祭りの見物に行くなど)や「会話・交 際」(家族・友人・知人・親戚とのつきあいや訪問など)などの直接的なレジャー時間を削減し てきた様子が見られる。また、過去一貫して余暇時間の大半を占めてきた「テレビ」視聴が、 若い世代を中心に減少傾向にあり、それに代わって「インターネット」利用が急増している状 況が確認できる。インターネット利用率が高まるにつれ、ネットショッピングが一般化しつつ 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 2015年 2010年 【 イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 率 】 【高齢化率】 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80歳~ (%) 2005年 2010年 2015年

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ある様子もうかがえる。BtoC-EC 市場は、スーパーやコンビニエンスストアを上回る規模に成長 しており、今後も市場規模の拡大が続くだろう。 そのため、余暇時間が増加してインターネット利用時間が一層増大すれば、それに伴うネッ トショッピングの増加が BtoC-EC 市場の拡大を後押しする可能性がある。その場合、図表 10 で 見るように、ネットショッピングでの購入額が多い「旅行関係費」や「食料」「衣類・履物」な どに加え、年齢階級が上がるほどネットショッピングの消費支出額に占める割合が増大する「保 健・医療」「保険」が、高齢化の進む地域で伸びるとみられる。 これらの市場に関連する企業は、ネット対応を一層強化するとともに、ニーズを捉えた商品 やサービスの充実といった戦略を打ち出すことで、売上拡大が期待できるだろう。 図表 10 世帯主の年齢階級別、インターネットを利用した支出額に占める主な品目の割合 (注)二人以上世帯。 (出所)総務省統計局「平成 28 年 家計消費状況調査年報」より大和総研作成 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 食料 家電 衣類・履物 保険 保健・医療 旅行関係費

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【経済構造分析レポート】 ・ No.59 溝端幹雄・石橋未来「長時間労働の是正で消費は増えるのか?-全体への影響は小さいが、 個別ではプラスとマイナスが入り混じる」2017 年 6 月 6 日 ・ No.58 溝端幹雄「長時間労働の是正は本当に実現するのか?-周辺制度を含む一体的な『慣行』 是正がカギに」2017 年 4 月 12 日 ・ No.57 石橋未来「外国人労働力は介護人材不足を解消しない-雇用環境の改善が先」2017 年 4 月 5 日 ・ No.56 笠原滝平・山口茜「トランプ政策は雇用増加につながるか-IT 化の進展が労働投入を抑 制」2017 年 3 月 1 日 ・ 近藤智也・溝端幹雄・石橋未来・笠原滝平・山口茜・廣野洋太「日本経済中期予測(2017 年 2 月)-非連続的な世界の変化を前に、日本は何をすべきか?」2017 年 2 月 6 日 ・ No.55 溝端幹雄「日本のビジネス環境ランキングを上げるには何をすべきか?-行政手続きの 数・時間が3分の1、費用半減で3位は射程圏内に」2016 年 12 月 27 日 ・ No.54 石橋未来「オバマケアはどう変わるか?-米国医療制度の転換となるか、トランプ氏の本 気度が問われる」2016 年 12 月 5 日 ・ No.53 石橋未来「財政依存度が高まる米国医療保険制度-高齢化や高額の処方薬が影響する大統 領選後のオバマケア」2016 年 11 月 1 日 ・ No.52 廣野洋太・溝端幹雄「現役世代の将来不安と消費-満たされなかった貯蓄動機が個人消費 の回復を阻む」2016 年 10 月 31 日 ・ No.51 近藤智也・溝端幹雄・石橋未来・山口茜「都市と地方のこれからを考える-多様な働き方 を実現するために」2016 年 9 月 23 日 ・ No.50 笠原滝平「一括りにしてはいけないインバウンド-外国人旅行者の季節性、地域性等に配 慮した適切な対応が求められる」2016 年 9 月 8 日 ・ No.49 笠原滝平「高付加価値化がもたらす輸出構造の変化-日本の輸出構造は量から質へ稼ぎ方 が変化」2016 年 8 月 31 日 ・ No.48 石橋未来「2025 年までに必要な介護施設-大都市近郊や地方都市での整備が急務」2016 年 8 月 25 日 ・ No.47 溝端幹雄「地方の所得格差と分配問題を考える-地域間格差縮小の主役は企業、家計への 波及は道半ば」2016 年 8 月 5 日 その他のレポートも含め、弊社ウェブサイトにてご覧頂けます。 URL:http://www.dir.co.jp/

参照

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