秘
密
集
會
經
雜
攻
(二
)
島
田
信
了
七 、 本 經 の 曼 茶 羅 曼 茶 羅 の 所 説 は 實 に 本 経 を 一 貫 せ る 眞 髄 で あ り 、 種 々 の 曼 茶 羅 を 建 立 し て 一 切 を 説 示 す る の で あ る 。 先 づ 本 経 初 品 に 曼 茶 羅 の 相 を 明 し 、 ﹁ 爾 の 時 、 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 如 來 は 、 一 切 如 來 の 勸 請 を 知 り 、 智 燈 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 瞋 族 の 最 上 眞 髄 の 心 ( 最 勝 咒 の 眞 髄 の 眞 髄 ) を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 バ ジ ュ ラ ・ ヅ ブ リ ク 時 に 之 を 説 け る 許 り で ( 時 に 之 を 出 す や い な や ) 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 阿 閃 の 大 印 と 相 應 せ る 最 高 の 位 に よ つ て 、 黒 白 赤 の 相 を 以 て 、 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 の 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 に 坐 し 給 へ り 。 ) ﹁ 爾 時 世 尊 阿 閾 金 剛 如 來 、 受 勸 請 已 、 即 入 一 切 如 來 大 智 光 明 阿 閾 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 住 金 剛 三 業 、 宣 説 金 剛 部 最 上 精 妙 自 根 本 心 大 明 日 、 庵 傳 日 羅 特 哩 倶 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 中 、 出 現 持 明 人 、 現 黒 白 赤 三 種 色 相 、 與 阿 閾 如 來 大 印 相 應 、 安 住 最 上 根 本 一 切 如 來 金 剛 三 業 、 此 持 明 人 於 東 方 坐 、 是 名 金 剛 部 主 ﹂ ﹁ 又 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 三 昧 耶 出 生 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 癡 族 の 最 上 眞 髄 の 心 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ジ ナ ジ ク 。 時 に 之 を 説 け る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 毘 盧 遮 秘 密 集 會 經 雜 攻 四 七秘 密 集 會 經 雜 攻 四 八 那 の 大 印 と 相 應 せ る 最 高 の 位 に よ つ て 、 白 黒 赤 の 相 を 以 て 、 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 の 御 前 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 大 毘 盧 遮 那 金 剛 如 來 、 即 入 一 切 如 來 三 昧 出 生 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 説 佛 部 最 上 精 妙 自 根 本 心 大 明 日 、 庵 濔 那 濔 倶 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 中 、 出 現 持 明 人 、 現 黒 白 赤 三 種 色 相 、 與 大 砒 盧 遮 那 大 印 相 應 、 安 住 最 上 根 本 一 切 如 來 金 剛 三 業 、 此 持 明 人 於 中 方 坐 、 是 名 佛 部 主 ﹂ ﹁ 又 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 寳 生 の 金 剛 吉 群 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 如 意 寳 珠 族 の 最 上 眞 髄 の 心 を 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 、 ラ ト ナ ・ ヅ ブ リ ク 。 時 に 之 を 説 け る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 寳 幢 の 大 印 と 相 應 せ る 最 高 の 位 に よ つ て 、 ( 最 勝 虚 空 の 位 ) 黄 白 黒 ( 黄 黒 白 ) の 相 を 以 て 、 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 の 南 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 寳 生 台 剛 如 來 、 即 入 一 切 如 來 寳 生 金 剛 吉 群 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 説 寳 部 最 上 精 妙 自 根 本 心 大 明 日 、 庵 羅 但 那 特 哩 倶 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 中 、 出 現 持 明 人 、 現 黄 白 黒 三 種 色 相 、 與 寳 生 大 印 聚 集 相 應 、 入 虚 空 界 、 安 住 虚 空 界 一 切 如 來 金 剛 三 業 、 此 持 明 人 於 南 方 坐 、 是 名 寳 部 主 ﹂ ﹁ 又 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 大 貧 ( 大 貪 の 相 續 ) を 出 生 す る 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 金 剛 貪 族 の 最 上 眞 髄 の 心 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ア ー ロ ー リ ク 。 時 に 之 を 説 け る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 世 自 在 の 大 明 主 の 大 印 と 相 應 せ る 最 高 の 位 に よ つ て 、 赤 白 黒 ( 目 す 赤 黒 白 ) の 相 を 以 て 、 一 切 如
來 の 身 語 心 金 剛 の 後 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 無 量 壽 金 剛 如 來 、 即 入 大 蓮 華 教 出 、 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 説 蓮 華 部 最 上 精 妙 自 根 本 心 大 明 日 、 庵 阿 盧 力 倶 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 中 、 出 現 持 明 人 、 現 赤 白 黒 三 種 色 相 、 與 観 自 在 大 明 主 大 印 相 應 、 安 住 最 上 一 切 一 切 如 來 金 剛 三 業 、 此 持 明 人 於 西 方 坐 、 是 名 蓮 華 部 主 ﹂ ﹁ 又 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 不 空 ( 最 勝 不 空 ) 三 昧 出 出 生 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 三 昧 耶 句 召 族 の 最 上 眞 髄 の 心 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ブ ラ ジ ュ ニ ャ ー ・ ヅ プ リ ク 。 時 に 之 を 説 け る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 不 室 金 剛 の 大 印 と 相 應 せ る 最 高 の 位 に よ つ て 、 緑 白 黒 ( 緑 黒 白 ) の 相 を 以 て 、 一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 の 北 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 不 空 成 就 金 剛 如 來 、 即 入 一 切 如 來 不 空 三 昧 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 説 三 昧 句 召 部 最 上 精 妙 自 根 本 心 大 明 日 、 略 鉢 羅 倪 也 特 哩 倶 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 中 、 出 現 持 明 人 、 現 白 黒 緑 三 種 色 相 、 與 不 空 金 剛 大 印 相 應 、 安 住 ︼ 切 如 來 金 剛 三 業 、 此 持 明 人 於 北 方 坐 、 是 名 三 昧 部 主 ﹂ 今 此 虚 で 大 な る 問 題 と な る も の は 、 漢 譯 と 梵 藏 と の 相 異 で あ る 。 即 ち 、 五 佛 説 示 の 順 序 が 梵 藏 二 本 に 於 て は 、 阿 閾 毘 盧 遮 那 . 寳 幢 ・ 世 自 在 ・ 不 空 成 就 の 順 と な る に 對 し 、 漢 譯 で は 阿 悶 ・ 寳 生 ・ 無 量 壽 ・ 不 空 成 就 ・ 大 砒 盧 遮 那 の 順 と な る 事 と 、 毘 盧 遮 那 と 阿 閾 と の 坐 位 が 顛 倒 す る 事 と で あ る 。 此 等 は 恐 ら く 原 本 の 相 異 に よ る も の で あ ら う が 、 さ う か と 云 つ て 簡 單 に は 見 過 せ な い 問 題 で あ る 。 勿 論 、 漢 譯 に 云 ふ 大 毘 盧 遮 那 が 、 前 に 述 べ た 如 き 智 法 身 を 意 味 す る も の で あ れ ば 、 當 然 色 身 を も 其 中 に 象 ね 含 め て 秘 密 集 會 經 雜 攻 四 九
秘 密 集 會 經 雜 攻 五 〇 を り 、 此 者 が 中 央 に 坐 す る の は 云 ふ 迄 も な い 。 然 し 既 に 述 べ た 如 く 、 漢 譯 に 於 て は 、 大 毘 盧 遮 那 と 毘 盧 遮 那 と を 屡 々 混 同 し て を り 、 兩 者 を 同 一 視 し て 居 り 乍 ら 、 而 も 他 面 に 於 て は 之 を 匠 別 し て ゐ る 様 で も あ る 。 梵 藏 二 本 に あ つ て は 、 か ゝ る 暖 昧 な 所 は 見 ら れ す 、 雨 者 は 完 全 に 區 別 さ れ て を り 、 阿 閾 を 智 身 砒 盧 遮 那 に 一 致 せ し め て 中 央 に 置 き 、 色 身 毘 盧 遮 那 を 別 立 し て 東 方 に 位 置 せ し め て ゐ る 。 既 に 、 漢 譯 と 錐 も 、 爾 者 の 匠 分 を 朧 氣 乍 ら 認 め て ゐ る か ら 、 或 は 施 護 三 藏 が 翻 譯 に 際 し て 、 色 身 毘 盧 遮 那 を 別 立 し な い 古 來 の 曼 茶 羅 形 式 に 從 つ て 、 原 文 を 改 變 し た の か も 知 れ な い 。 と も あ れ 、 ・漢 譯 の 内 容 上 に は 、 混 亂 と 矛 盾 が 指 摘 さ れ る の で あ る 。 今 阿 閾 中 央 説 に 關 し て 少 し く 述 べ て み よ う 。 本 經 第 四 章 に ﹁ 其 の 中 央 に イ ン ド ラ ニ ー ラ に 等 し き 輝 き あ る 金 剛 を 書 く べ し 、 五 鈷 に し て 大 焔 光 あ り 怖 畏 に 封 し て さ へ も 怖 畏 を な す も の を 。 ﹂ 日 量 ﹁ 其 の 中 央 に 金 剛 を 書 け 、 イ ン ド ラ ニ ー ラ の 色 に 等 し く 、 五 鈷 の 大 焔 光 あ る も の は 、 畏 る べ き も の 等 を も よ く 畏 れ し む 。 ﹂ ﹁ 輪 中 想 金 剛 現 帝 青 大 光 五 鈷 大 智 杵 光 焔 可 怖 相 ﹂ ﹁ さ れ ど 、 金 剛 の 焔 光 を 以 て 荘 嚴 せ ら れ た る 大 輪 は 、 東 方 に て 。 ﹂ 日 量 ﹁ 東 方 に 於 け る 大 輪 は 、 金 剛 の 焔 光 を 以 て よ く 飾 ら れ た り 。 ﹂ ﹁ 東 方 想 大 輪 金 剛 光 荘 嚴 ﹂ ﹁ 厚 き 火 花 に 満 ち た る 大 寳 は 、 南 方 に て ﹂
目 す ﹁ 南 方 に 於 け る 大 寳 は 、 多 く の 光 明 を よ く 帯 び た り 。 ﹂ ﹁ 南 方 想 大 寳 現 衆 寳 光 明 ﹂ ﹁ パ ド マ ラ ー ガ に 等 し き 輝 き あ る 大 蓮 は 、 西 方 に て 。 ﹂ 日 量 ﹁ 西 方 に 於 け る 大 蓮 は 、 パ ド マ ラ ー ガ の 色 に 等 し 。 ﹂ ﹁ 西 方 大 蓮 華 現 蓮 華 色 光 ﹂ ﹁ 光 線 と 焔 に 満 ち て 燃 立 つ て ゐ る 大 劔 は 、 北 方 に て 。 ﹂ ﹁ 北 方 に 於 け る 大 劔 は 、 燃 ゆ る 光 明 を 帯 べ る を 、 書 く べ し 。 ﹂ ﹁ 北 方 大 利 劔 出 現 熾 盛 光 ﹂ と 説 く 、 即 ち 、 中 央 に 五 鈷 金 剛 、 東 方 に 太 輪 南 方 に 大 寳 、 西 方 に 大 蓮 華 、 北 方 に 大 利 劔 、 を 配 す る の で あ る 。 今 此 の 様 式 を 本 經 第 十 二 章 に 徴 す れ ば 、 五 鈷 金 剛 は 阿 閾 、 大 輪 は 毘 盧 遮 那 、 大 寳 は 寳 生 、 大 蓮 は 無 量 壽 、 大 劔 は 不 空 に 當 る の で あ る 。 從 つ て 何 虚 迄 も 中 央 に 阿 閾 を 、 東 方 に 毘 盧 遮 那 を 配 さ ね ば な ら ぬ 事 と な る 。 以 下 其 の 文 を 示 し て み よ う 。 ﹁ 清 明 な る 虚 空 界 の 中 央 に 住 す る 毘 盧 遮 那 を 観 す べ し 。 手 に 輪 を 觀 じ て 輪 の 明 を 持 す る 者 と な る べ し 。 大 輪 の 族 を 想 ひ て 、 此 の 最 上 の 輪 の 成 就 が 、 智 金 剛 に よ つ て な さ る べ き な り 。 最 上 の 輪 の 身 と 相 應 す る が 故 に 。 ﹂ ﹁ 清 明 な る 虚 空 界 の 中 央 に 住 す る 毘 盧 遮 那 を 觀 ぜ よ 。 手 に 輪 を よ く 観 す れ ば 、 輪 の 明 を 執 持 す る に 至 ら ん 。 大 輪 の 族 を 觀 じ て 佛 の 身 と よ く 相 應 す る 事 に ょ つ て 、 最 勝 の 智 慧 の 此 の 成 就 を 、 智 金 剛 等 は な す べ し つ ﹂ ( 西 藏 譯 は 以 下 此 の 形 式 に 從 ふ が 故 に 略 す ) 秘 密 集 會 經 雜 攻 五 一
秘 密 集 會 經 雜 攻 五 二 ﹁ 當 住 空 觀 想 種 智 曼 拏 羅 中 現 砒 盧 尊 想 手 持 大 輪 輪 持 明 成 就 安 住 大 輪 部 此 勝 智 成 就 金 剛 智 所 生 如 是 大 輪 身 相 應 而 成 就 ﹂ ﹁ 金 剛 の 虚 空 界 の 中 央 に 住 す る 智 阿 閾 を 觀 す べ し 。 手 に 金 剛 を 觀 じ て 金 剛 の 明 を 持 す る も の と な る べ し 。 大 金 剛 族 を 想 ひ て 、 此 の 最 勝 金 剛 の 成 就 が 智 金 剛 に よ つ て な さ る べ き な り 。 最 上 の 金 剛 身 と 相 應 す る が 故 に 。﹂ ﹁ 當 住 空 觀 想 金 剛 曼 拏 羅 中 現 阿 閾 尊 手 執 金 剛 杵 大 金 剛 持 明 安 住 金 剛 部 金 剛 勝 成 就 金 剛 智 所 生 如 是 金 剛 身 相 應 而 成 就 ﹂ ﹁ 虚 空 界 の 寳 の 中 央 に 住 す る 寳 金 剛 を 觀 す べ し 。 手 に 寳 を 觀 じ て 寳 の 明 を 持 す る も の と な る べ し 。 大 寳 族 を 想 ひ て 此 の 最 上 の 寳 の 成 就 が 、 智 金 剛 に よ つ て な さ る べ き な り 。 最 上 の 寳 の 身 と 相 應 す る が 故 に 。﹂ ﹁ 當 住 空 觀 想 衆 寳 曼 拏 羅 中 現 寳 生 尊 想 手 執 妙 寳 大 寳 生 持 明 安 住 大 寳 部 最 上 寳 成 就 金 剛 智 所 生 如 是 大 寳 身 相 應 而 成 就 ﹂ ﹁ 虚 空 界 蓮 華 の 中 央 に 住 す る ( 虚 空 界 法 の 中 央 ) 無 量 壽 を 觀 す べ し 。 手 に 蓮 華 を 觀 じ て 蓮 華 の 明 を 執 持 す る も の と な る べ し 。 大 蓮 華 族 を 想 ひ て 此 の 最 上 の 蓮 華 の 成 就 が 、 智 金 剛 に よ つ て な さ る べ き な り 。 最 上 の 法 の 身 と 相 應 す る が 故 に 。﹂ ﹁當 住 虚 空 中 想 法 曼 拏 羅 中 現 無 量 壽 手 執 大 蓮 華 大 蓮 華 持 明 安 住 蓮 華 部 蓮 華 勝 成 就 金 剛 智 所 生 如 是 妙 法 身 相 應 而 成 就 ﹂ ﹁虚 空 界 三 昧 耶 の 中 央 に 住 す る 最 上 不 空 ( 不 空 智 ) を 觀 す べ し 。 手 に 劔 を 觀 じ て 劔 の 明 を 執 持 す る も の と な る べ し 。 大 三 昧 耶 族 を 想 ひ て 、 此 の 最 上 三 昧 耶 の 成 就 が 、 智 金 剛 に よ つ て な さ る べ き な り 。 三 昧 耶 の 身 と 相 應 す る が
故 に ﹂ ﹁ 當 住 空 觀 想 三 昧 曼 拏 羅 現 不 空 成 就 手 執 大 利 劔 大 利 劔 持 明 安 住 三 昧 部 三 昧 勝 成 就 金 剛 智 所 生 如 是 大 三 昧 相 應 而 成 就 ﹂ 今 上 の 所 説 を 一 括 し て 表 示 す る と 曼 茶 羅 種 智 (清 明 ) 台 剛 衆 賓 蓮 華 三 味 耶 五 佛 砒 盧 阿 閾 寳 生 無 量 壽 不 空 持 物 大 輪 台 剛 杵 妙 寳 大 蓮 華 大 利 剣 持 明 輪 大 金 剛 大 寳 生 大 蓮 華 大 利 剣 五 部 大 輪 金 剛 大 賓 蓮 華 三 味 と な る 。 尚 此 の 五 佛 の 曼 茶 羅 に 關 し て は 、 第 十 三 章 に 於 て も 明 瞭 に 述 べ て ゐ る 。 但 し 、 漢 譯 で は 、 前 に 種 智 曼 拏 羅 と 云 つ た 所 が 、 大 輪 曼 拏 羅 と な つ て ゐ る 。 要 す る に 、 大 輪 は 砒 盧 遮 那 で あ つ て 東 方 に 位 し 、 金 剛 杵 は 阿 盧 で あ つ て 中 央 に 住 す る の で あ る 。 漢 譯 に 於 て も 是 の 如 き 叙 述 が あ る に 拘 ら す 、 初 品 に 於 て は 、 大 砒 盧 遮 那 を 中 央 に 置 き 、 毘 盧 遮 那 を 別 開 し な い 古 來 の 一 般 形 式 に 從 つ て ゐ る の で あ る 。 然 ら ば 何 故 に 、 梵 藏 の 二 本 に 於 て 、 毘 盧 遮 那 を 立 て 、 東 方 に 、 阿 閾 を 以 て 中 央 に 位 置 せ し め た の で あ ら う か 。 尤 も か ゝ る 配 置 は 、 後 世 に 至 れ ば 屡 々 見 ら れ る 所 で あ つ て 、 本 經 の 後 牛 に 於 て も ﹁ 毘 盧 遮 那 は 東 方 に 、 寳 生 は 南 方 に 、 無 量 壽 は 西 方 に 、 不 空 成 就 は 北 方 に ﹂ と 云 つ た 様 な 文 が 見 ら れ る 。 思 ふ に 中 央 法 界 身 の 徳 を 示 す に 、 阿 閾 佛 の 形 像 を 以 て し 、 或 は 阿 悶 と 毘 盧 遮 那 と を 轉 換 せ し め た 事 は 、 兩 者 の 形 像 を 以 て 色 心 不 二 の 當 相 を 示 さ ん と し た 爲 か も 知 れ な い 。 本 經 第 七 章 に 秘 密 集 會 經 雜 攻 五 三
秘 密 集 會 經 雜 攻 五 四 ﹁ 凡 そ 云 切 佛 の 身 は 五 蘊 に よ つ て 圓 満 せ ら れ た る も の な り 。 佛 身 の 自 性 を 以 て 、 我 も 亦 其 れ と 等 し き も の と な ら ん 。 ﹂ ﹁ 謂 一 切 如 來 所 有 勝 妙 身 五 蘊 性 圓 満 彼 佛 身 自 性 平 等 如 是 見 ﹂ 又 、 第 十 七 章 に ﹁ 要 す る に 五 蘊 が 五 佛 と 稱 せ ら れ 、 諸 々 の 金 剛 の 虚 が 菩 薩 の 最 勝 曼 茶 羅 に 外 な ら ぬ ﹂ ﹁ 五 如 來 所 轉 五 慈 義 平 等 彼 金 剛 處 法 菩 薩 曼 拏 羅 ﹂ と 述 べ 、 五 佛 を 五 慈 に 充 當 し 、 而 も 第 十 八 章 に 於 て 、 色 受 想 行 識 の 五 蘊 を 順 次 に 毘 盧 遮 那 、 寳 生 、 無 量 壽 、 不 空 成 就 、 阿 閾 の 五 佛 に 配 し て ゐ る 。 即 ち ﹁ 識 は 瞋 な り と 云 は れ た り 、 ( 梵 文 以 下 意 不 明 ) 日 皆 ﹁ 因 と 果 の 二 つ を 怒 る が 故 に 、 識 は 瞋 な り と 説 か る 。 ﹂ ﹁ 瞋 法 識 所 生 因 心 有 其 二 ﹂ ﹁ 色 は 癡 な り と 云 は れ た り 。 非 情 の 繋 縛 を 自 性 と す る が 故 に 。 ﹂ ﹁ 非 情 を 縛 す る 自 性 の 故 に 、 色 は 癡 な り と 説 か る 。 ﹂ ﹁ 諸 色 法 境 像 彼 纒 縛 自 性 ﹂ ﹁ 受 は 震 動 す る 慢 と 名 づ け ら る 。 我 執 を 自 性 と す る が 故 に 。 ﹂ 目 費 ﹁ 我 慢 の 自 性 の 故 に 、 受 は 慢 な り と 説 か る 。 ﹂ ﹁ 意 等 所 生 受 同 所 作 自 性 ﹂
﹁ 想 は 貪 着 の 我 に 對 す る 能 力 を 相 と す る も の な り 。 ﹂ ﹁ 事 物 に 愛 着 す る 相 あ り 、 想 は 貪 着 の 我 性 な り 。 ﹂ ﹁ 想 貪 我 法 生 随 染 一 切 相 ﹂ ﹁ さ れ ど 行 は 常 に 、 緑 に よ つ て 行 動 す る 本 性 あ る も の の 嫉 な り 。 ﹂ ﹁ 飾 り を 以 て 導 か れ た る 我 性 あ り 、 行 は 常 に 嫉 な り 。 ﹂ ﹁ 諸 行 常 憎 嫉 縁 所 生 我 法 ﹂ と 。 即 ち 、 砒 盧 遮 那 は 色 蘊 、 阿 悶 は 識 蘊 で あ る が 、 此 の 識 蘊 を 表 す 阿 閾 を 以 て 、 中 央 に 安 す る の は 、 假 令 五 蘊 あ り と 錐 も 、 凡 そ 三 界 の 事 物 は 唯 識 の 外 を 出 で な い 事 .を 示 す が 爲 で あ る 。 不 二 金 剛 の ﹁ 五 如 來 標 相 注 解 ﹂ に ﹁ 五 如 來 は 五 蘊 な り 、 此 に 於 て 、 四 つ の も の は 、 唯 智 の み な り と 説 明 す る 爲 に 、 何 故 阿 閾 を 以 て 表 象 せ ら れ る や ﹂ と 説 く 。 此 故 に 阿 閾 が 中 央 に 配 せ ら れ る し 、 本 經 が 亦 、 か 、 る 様 相 に な つ て ゐ る の で あ る 。 次 に 、 明 妃 を 明 か し 、 ﹁ 兩 の 時 、 世 尊 は 、 二 切 如 來 の 金 剛 を 執 持 す る も の を 愛 着 す る 三 昧 耶 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 一 切 執 金 剛 の 最 勝 の 妃 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ヅ ヴ エ ー シ ヤ ・ ラ チ 。 時 に 、 此 れ を 出 せ る 許 り で ( 日 ま ・ 此 れ を 出 す や い な や ) 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 女 人 の 相 を 持 す る も の と な つ て 、 東 方 の 隅 に 坐 し 給 べ り 。 ﹂ ( 一 本 、 南 方 の 隅 ) ﹁ 兩 時 世 尊 阿 閾 金 剛 如 來 、 復 入 一 切 如 來 身 語 心 持 金 剛 調 伏 三 昧 三 摩 地 、 從 定 出 己 、 以 自 身 語 心 、 宣 説 一 切 金 剛 部 中 一 切 上 首 明 妃 根 本 心 大 明 日 、 庵 訥 尾 沙 曝 帝 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 、 出 現 持 明 菩 薩 、 住 女 人 色 相 秘 密 集 會 經 雜 攻 五 五
秘 密 集 會 經 雜 攻 五 六 於 東 南 隅 坐 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 は 、 一 切 如 來 を 愛 着 す る 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 一 切 如 來 の 最 勝 の 妃 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ﹂ モ ー ハ ・ ラ チ 。 時 に 此 れ を 出 せ る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 二 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 女 人 の 相 を 持 す る も の と な つ て 、 南 方 の 隅 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 砒 盧 遮 那 金 剛 如 來 、 即 入 ︼ 切 如 來 調 伏 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 説 一 切 如 來 部 中 一 切 上 首 明 妃 根 本 心 大 明 日 、 庵 謨 賀 羅 帝 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 、 出 現 持 明 菩 薩 、 住 女 人 色 相 、 於 西 南 隅 坐 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 貪 欲 を 執 持 す る も の を 愛 着 す る 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 、の 一 切 の 貪 欲 を 執 持 す る も の ゝ 最 勝 の 妃 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 ラ ー ガ ・ ラ チ 。 時 に 、 此 れ を 出 せ る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 女 人 の 相 を 持 す る も の と な つ て 、 西 方 の 隅 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ( 。。 .℃ ) ﹁ 又 復 世 尊 無 量 壽 金 剛 如 來 、 即 入 一 切 如 來 持 蓮 華 調 伏 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 己 、 以 自 三 業 、 宣 説 一 切 如 來 蓮 華 部 中 一 切 上 首 明 妃 根 本 心 大 明 日 、 庵 嘩 識 羅 帝 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 、 出 現 持 明 菩 薩 、 住 女 人 色 相 、 於 西 北 隅 坐 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 は 、 一 切 如 來 の 身 語 心 を 欺 く 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 一 切 如 來 の 智 慧 を 執 持 す る も の ゝ 最 勝 の 妃 を ( 此 の 一 切 如 來 の 智 慧 を 持 す る も の を 愛 着 す る 金 剛 を ) 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 バ ジ ュ ラ ・ ラ
チ 。 時 に 、 此 れ を 出 せ る 許 り で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 女 人 の 相 を 持 す る も の と な つ て 、 北 方 の 隅 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ ﹁ 又 復 世 尊 不 空 成 就 金 剛 如 來 、 即 入 一 切 如 來 語 言 三 昧 金 剛 三 摩 地 、 從 定 出 已 、 以 自 三 業 、 宣 論 一 切 如 來 三 昧 句 召 部 中 一 切 上 首 明 妃 根 本 心 大 明 日 、 庵 嬉 日 蝿 曝 帝 、 説 此 大 明 時 彼 佛 世 尊 、 從 一 切 如 來 身 語 心 、 出 現 持 明 菩 薩 、 住 女 人 色 相 、 於 東 北 隅 坐 。 ﹂ と 。 即 ち 上 に 見 ら れ る 所 に よ れ ば 、 寳 生 族 に 關 す る 説 を 缺 い で ゐ る 。 此 の 事 は 先 の 五 佛 に 就 い て も 一 般 に 見 ら れ る 所 で あ る 。 即 ち 東 大 所 藏 の 梵 本 中 、 僅 か に 一 本 の み が 、 寳 生 族 の 叙 説 を 有 し 、 他 は す べ て 之 を 歓 く の で あ る 。 然 し 、 五 佛 説 示 の す ぐ 下 に ﹁ 瞋 恚 と 愚 癡 と 同 じ く 貪 欲 と 如 意 寳 珠 と 三 昧 耶 と に し て 、 種 族 は 此 等 の 五 つ の み で あ り 、 欲 と 解 脱 と を 成 就 す る も の な り 。 ﹂ と あ る か ら 、 如 意 寳 珠 族 が 存 す べ き 事 は 明 瞭 で あ り 、 唯 省 略 さ れ 九 に 過 ぎ な い 。 然 し 、 明 妃 に 關 す る 叙 述 に 於 て 、 寳 生 ・族 に 關 す る も の は 、 現 存 經 典 中 、 一 つ も 存 し な い の で あ る 。 然 る に バ ツ タ ー チ ヤ ー ル ヤ 氏 は 、 五 佛 に は 必 す 五 つ の シ ヤ ク チ が 配 せ ら ゐ べ き で あ る と し て 、 後 世 の 圖 絡 に 基 き 次 の 如 く 、 一 文 を 加 へ て ゐ る 。 ﹁ 又 復 世 尊 は 、 云 切 如 來 の 寳 を 執 持 す る も の を 愛 着 す る 金 剛 と 名 つ く る 三 摩 地 に 入 つ て 、 此 の 一 切 の 嫉 を 持 す る も の ゝ 最 勝 の 妃 を 、 自 の 身 語 心 金 剛 よ り 出 生 せ り 。 秘 密 集 會 經 雜 攻 五 七
秘 密 集 會 經 雜 攻 五 八 イ ー ル シ ヤ ー ・ ラ チ 。 時 に 此 れ を 出 せ る 許 の で 、 彼 れ 世 尊 一 切 如 來 の 身 語 心 の 明 の 丈 夫 其 者 は 、 女 人 の 相 を 持 す る も の と な つ て 、 南 方 の 隅 に 坐 し 給 へ り 。 ﹂ と 。 か く 、 寳 生 族 に 對 す る 明 妃 を 立 て ゝ 、 其 れ を 南 方 の 隅 に 配 す る 事 に ょ り 、 上 に 示 し た 四 明 妃 の 位 置 も 自 ら 異 つ て 來 る 譯 で 、 彼 は 次 の 如 く 夫 々 の 位 置 を 配 當 し て ゐ る 。 一 . -一 切 如 來 の 身 語 心 金 剛 に ( 即 ち 、 阿 閾 に 配 し て 中 央 に ) 。 2 . -東 方 の 隅 3 . -南 方 の 隅 4. -西 方 の 隅 5. -北 方 の 隅 然 る 本 經 第 四 章 に ﹁ 雲 中 輝 き を 有 す る /眼 を 東 方 の 隅 に 書 く べ し 。 ﹂ ﹁ 中 央 に 於 け る 雲 は 寂 静 の 光 あ り 。 眼 は 東 方 の 隅 に 書 け ﹂ ﹁ 東 南 隅 佛 眼 現 青 雲 色 光 ﹂ ﹁ 其 れ よ り 、 マ ー マ キ ー の 族 を 出 生 す る 金 剛 は 南 方 に よ つ て ﹂ 目 量 ﹁ マ ー マ キ ー の 族 を 出 生 す る 金 剛 は 、 同 じ く 南 方 に 。 ﹂ ﹁ 西 南 隅 智 杵 摩 摩 枳 出 生 ﹂ ﹁ 根 を 有 す る 開 敷 蓮 華 を 西 方 に よ つ て 書 く べ し 。 ﹂
﹁ 莖 を 有 す る 開 敷 蓮 華 は 、 西 方 に 普 く 書 く べ し 。 ﹂ ﹁ 西 北 隅 蓮 華 出 現 開 敷 相 ﹂ ﹁ 青 雲 の 如 く 美 し き ウ ト パ ラ ( 青 蓮 ) を 、 北 方 に 、て 書 く べ し 。 ﹂ ﹁ 北 方 に 於 て 、 美 し き ウ ト パ ラ の 青 雲 と 等 し き も の を 書 け ﹂ ﹁ 東 北 隅 青 蓮 青 雲 色 淨 光 ﹂ と 述 ぶ 。 此 處 に 云 ふ 、 眼 、 と は 佛 眼 菩 薩 で あ り 、 以 下 順 次 に 摩 摩 枳 菩 薩 、 白 衣 菩 薩 、 多 羅 菩 薩 を 指 す 事 に な ゐ 。 而 も 此 等 の 四 菩 薩 が 、 同 時 に の 四 明 妃 に 相 當 す る 事 は 云 ふ 迄 も な い 。 尚 本 經 第 十 四 章 に も 月 登 ﹁ 處 空 金 剛 の 中 央 に 、 最 上 月 曼 茶 羅 を 想 へ 。 佛 身 を よ く 觀 じ て 、 最 勝 の 眼 母 を 觀 ぜ よ ﹂ 帙 、 ) ﹁ 當 住 空 觀 想 満 月 曼 拏 羅 現 佛 眼 菩 薩 ﹂ ﹁ 虚 空 金 剛 の 中 央 に 、 最 勝 の 光 あ る 金 剛 曼 茶 羅 を 想 へ 。 佛 身 を よ く 觀 じ て 、 最 勝 虚 空 金 剛 を よ く 觀 ぜ よ 。 ﹂ ﹁ 當 往 空 觀 想 満 月 曼 拏 羅 摩 摩 枳 菩 薩 ﹂ 目 量 ﹁ 虚 空 金 剛 の 中 央 に 、 最 上 の 法 の 曼 茶 羅 を 想 へ 、 佛 身 を よ く 觀 じ て 、 金 剛 法 母 を よ く 觀 ぜ よ 。 ﹂ ﹁ 當 住 空 觀 想 大 法 曼 拏 羅 現 白 衣 菩 薩 ﹂ 日 費 ﹁ 虚 空 金 剛 の 中 央 に 、 最 上 の 悉 地 曼 茶 羅 を 想 へ 。 佛 身 を よ く 觀 じ て 、 最 勝 の 解 脆 母 を 觀 す べ し 。 ﹂ ﹁ 當 住 空 觀 想 金 剛 曼 拏 羅 中 想 多 羅 尊 ﹂ 云 々 と て 、 其 の 名 稱 は 異 る 所 あ る も 、 兎 も 角 四 明 妃 に 就 い て 述 べ て ゐ る 。 又 十 七 章 に は 、 地 水 火 風 室 の 五 大 の 中 、 初 秘 密 集 會 經 雜 攻 五 九
秘 密 集 會 経 雜 攻 六 〇 め の 四 大 を 四 明 妃 に 配 し 、 後 の 一 つ を 金 剛 薩 唾 に 充 當 し て 、 所 謂 金 剛 薩 睡 を 中 心 と す る 慾 觸 愛 慢 の 、 五 祕 密 思 想 に 似 通 つ た 所 が あ る 。 即 ち 、 ﹁ 地 が 眼 と 名 づ け ら れ る な り 。 水 界 が マ ー マ キ ー と 名 づ け ら れ 、 白 衣 と 解 脱 母 と 名 付 け ら れ る は 、 火 と 風 に 就 い て 云 へ る な り 。 虚 空 界 金 剛 の 三 昧 耶 は 、 其 れ 自 身 執 金 剛 な り 。 ﹂ ﹁ 地 大 佛 眼 尊 水 大 摩 摩 枳 火 大 白 衣 尊 風 大 多 羅 等 虚 空 金 剛 界 即 金 剛 薩 唾 當 知 此 諸 大 即 現 諸 菩 薩 ﹂ と 。 是 の 如 く 、 本 經 に は 處 々 四 明 妃 に 關 す る 説 明 は あ る が 、 未 だ 五 明 妃 を 示 し た 所 は 見 ら れ な い の で あ る 。 更 に 十 八 章 に 目 量 ﹁ 癡 と 瞋 ど 貪 と 金 剛 と に 、 喜 は 常 に 住 す ﹂ と 述 べ 、 嫉 を 説 い て ゐ な い 。 而 し て 本 經 の 註 釋 に よ れ ば 、 癡 を 佛 眼 に 、 瞋 を 摩 摩 枳 に 、 貪 を 白 衣 に 、 金 剛 を 解 脆 母 に 配 す る 事 に な る 。 要 す る に 、 本 經 に 於 て は 以 上 の 四 明 妃 を 以 て 四 隅 に 配 し 、 中 央 は 云 は ゝ 此 等 の 總 括 と 見 て 別 に 明 妃 を 建 て な か つ た の で あ る 。 此 れ 恰 も 、 金 剛 薩 唾 と 慾 觸 愛 慢 の 四 菩 薩 と の 現 は す 關 係 と 相 等 し い も の と 云 へ る だ ら う 。 或 は 又 、 此 等 の 四 明 妃 が 、 金 剛 頂 經 に 於 け る 嬉 髭 歌 舞 、 若 し く は 香 華 燈 塗 の 供 養 女 に 相 當 す る も の と も 見 ら れ 得 る の で あ る 。 然 る に 後 世 、 思 想 の 發 達 に 伴 二 つ て 、 五 佛 に は 必 す シ ヤ ク チ が 配 さ れ ね ば な ら ぬ と せ ら れ る に 至 り 、 更 に を 加 へ て 五 明 妃 を 建 て る 事 に な つ た と 思 ふ 。 實 際 と し て 、 中 央 は 、 一 切 を 統 括 包 攝 せ る 位 で あ る か ら 、 此 處 に 改 め て 明 妃 を 配 合 さ す 必 要 は な い 。 然 し 後 の 考 へ よ り す れ ば 、 當 然 五 つ の シ ヤ ク チ が 建 て ら れ て 來 る の で あ つ て 、 バ ツ タ ー チ
ヤ ー ル ヤ 氏 は 此 の 考 へ を 基 と し て 本 經 の 曼 茶 羅 を 解 し た の で あ る 。 從 つ て H ﹁ を 加 へ て 寳 生 に 配 し 、 之 を 南 方 の 隅 に 置 い た の で あ る が 、 此 説 に は 賛 成 し 難 い 。 今 假 り に 、 五 明 妃 を 建 立 す る と し て も 、 氏 が 示 し た 圖 表 の 如 く に は な ら ぬ と 思 ふ 。 既 に 第 十 八 章 に 於 て 、 ? 色 受 想 行 の 五 蘊 が 順 次 に 、 阿 閾 ・ 毘 盧 ・ 寳 生 ・ 無 量 壽 ・ 不 空 の 五 佛 、 並 び に 、 瞋 癡 慢 貪 嫉 の 五 欲 に 配 當 せ ら れ て ゐ る 事 を 示 し た 。 而 し て 、 此 處 に 初 め て 嫉 な る 語 が 現 は れ 、 此 れ が 行 蘊 即 ち 不 室 成 就 に 當 て ら れ た の で あ る 。 又 ﹁ 秘 密 集 會 合 説 獻 供 華 ﹂ に も 同 様 な 叙 述 が 見 ら れ 、 受 蘊 を 説 明 し て ﹁ 其 れ は 又 、 慢 と 驕 と に し て 、 我 慢 の 自 性 あ る が 故 な り ﹂ ( 2 一 5 げ ) と 云 ひ 、 更 に ﹁ 三 昧 耶 は 行 蘊 な り ⋮ ⋮ 其 者 は 嫉 な り 。 ﹂ と て 、 受 蘊 即 ち 如 意 寳 珠 族 に 慢 を 、 三 昧 耶 族 に 嫉 を 夫 々 配 す る 事 に な つ て ゐ る 。 從 つ て 本 經 に 於 て は 寳 生 に 配 す る に を 建 て る べ き で あ り 、 不 空 に 配 す る に 或 は を 以 て す べ き で あ る 。 而 も 不 空 に は 既 に が 配 さ れ る か ら 、 殊 更 を 別 立 す る 必 要 を 認 め ぬ の で あ る 。 以 上 の 明 妃 に 關 す る 叙 述 を 一 括 し て 表 示 す れ ば 次 の 如 く で あ る 。 四 明 妃 の 場 合 第 一 章 第 四 章 秘 密 集 會 經 雜 攻 六 一
秘 密 集 會 經 雜 攻 六 二 本 經 の 註 釋 に よ る と 、 は は で あ る と さ れ る か ら 、 第 一 章 と 第 四 章 と に 於 て 、 夫 々 の 住 處 が 異 つ て 來 る 。 今 第 四 章 に 重 き を 置 い て 見 れ ば 、 は 西 南 に 、 は 東 南 に 住 す る 事 と な る 。 か ゝ る 配 置 は 梵 本 の 他 の も の に 見 ら れ る 所 で あ る 。 又 第 一 章 を 基 と す れ ば 、 を 東 南 を 西 南 と 改 め ね ば な ら ぬ 。 然 し 寧 ろ 前 者 の 方 が よ く は あ る ま い か 。 又 若 し を に 、 を に 配 す る 事 が 許 さ れ る な ら ば 、 第 一 第 四 兩 章 の 位 置 が 一 致 す る の で あ る が 、 か ゝ る 配 當 が 本 經 に 於 て 許 さ れ る か ど う か は 疑 問 で あ り 、 又 恐 ら く 許 さ れ な い か ら 、 今 は 最 初 の 説 に 從 ひ 、 を 西 南 、 を 東 南 と 見 做 す 方 が よ く は な い か と 思 ふ 。 尤 も か 、 る 配 當 や 位 置 は 必 す し も 一 定 し て ゐ な い 様 で あ る 。 尚 、 梵 藏 の 二 本 に 於 て は 、 其 の 位 置 を 示 す に 、 東 の 隅 と か 、 西 の 隅 と か 云 つ て 、 東 南 或 は 西 南 の 言 葉 を 用 ひ て ゐ な い が 、 恐 ら く 此 の 意 味 に 解 せ ら る べ き も の で あ ら う 。 然 し 、 本 經 後 牛 に 於 て は 、 佛 眼 を 東 北 、 摩 々 枳 を 東 南 に 置 く 説 も 見 え て を り 、 か く 位 置 に は 相 當 の 變 位 が 見 ら れ る 。 次 に 五 明 妃 を 建 て る 場 合 に は ( 但 し 切 氏 の 示 し た 圖 繪 に は 、 の 代 り に が 置 か れ 、 以 下 が 、 東 北 、 東 南 、 西 南 、 西 北 と な る 。 )
五 明 妃 の 名 前 は 、 先 に 示 し た 如 く 、 本 經 に 於 て 現 は れ て ゐ な い 様 だ が 、 今 後 の 考 へ を 以 て 、 假 り に 五 シ ヤ ク チ を 五 佛 に 配 し て 見 る と 、 假 令 圖 絡 は ど う あ ら う と も 、 本 經 の 所 説 に 基 く 場 合 に は 今 示 し た 如 き も の と な ら ざ る を 得 な い の で あ る 。 次 に 、 四 門 に 於 て 、 夫 々 念 怒 明 王 を 出 生 す る 事 を 説 き 、 世 尊 は 先 づ 、 偏 照 金 剛 、三 摩 地 に 入 つ て 、 金 剛 大 念 怒 焔 髪 得 迦 明 王 を 、 次 に 、 現 前 僧 覧 金 剛 三 摩 地 に 入 つ て 、 金 剛 大 念 怒 鉢 羅 研 得 迦 明 王 を 、 又 、 法 寳 所 作 三 摩 地 に 入 つ て 、 金 剛 大 念 怒 鉢 訥 髭 得 迦 明 王 を 、 更 に 、 身 語 心 金 剛 三 摩 地 に 入 つ て 、 金 剛 大 念 怒 尾 觀 難 得 迦 明 王 を 出 生 す る の で あ る 。 而 し て 此 等 の 四 大 念 怒 明 王 は 、 順 次 に 、 東 門 、 南 門 、 西 門 、 北 門 に 坐 す 事 に な つ て ゐ る 。 以 上 が 本 經 初 品 に 於 け る 曼 茶 羅 の 様 相 で あ る 。 而 も 此 れ が 、 本 經 の 中 心 骨 髄 を 爲 す も の で あ り 、 一 切 を 絵 す 所 な く 包 攝 し 統 一 し て ゐ る の で あ る 。 更 に 本 經 は 、 此 の 曼 茶 羅 を 根 底 と し て 、 種 々 の 曼 茶 羅 を 別 説 し て ゐ る 。 即 ち 、 第 四 章 に 於 け る 心 曼 茶 羅 を 始 め と し て 、 種 智 ( 大 輪 ) 曼 茶 羅 、 金 剛 曼 茶 羅 、 衆 寳 曼 茶 羅 、 法 曼 茶 羅 、 三 昧 曼 茶 羅 の 所 謂 五 佛 曼 茶 羅 を 説 き 、 或 は 、 心 月 曼 茶 羅 、 日 輪 曼 茶 羅 、 大 輪 曼 茶 羅 、 妙 月 曼 茶 羅 、 荘 嚴 曼 茶 羅 、 微 妙 曼 茶 羅 等 を 述 べ 、 各 々 の 曼 茶 羅 に 於 て 各 尊 主 を 觀 想 す べ き 事 を 説 き 、 且 つ 又 、 等 の 種 字 を 想 ひ 、 其 等 の 含 む 字 義 を 觀 す べ き で あ る と し 、 是 の 如 く 、 曼 茶 羅 中 に 於 け る 諸 尊 並 び に 種 子 、 持 物 等 を 觀 想 す る 事 に よ つ て 、 自 ら 各 々 の 尊 と 入 我 々 入 し 、 成 佛 し 得 る と 説 く の で あ る 。 然 し 本 經 於 け る 此 等 の 曼 茶 羅 の 説 は 、 意 味 の 明 確 を 缺 く 所 多 く 、 一 々 の 様 相 及 び 各 尊 眷 屬 等 の 説 示 も 極 め て 不 充 分 な も の と 云 は ね ば な ら ぬ 。 然 し 乍 ら 上 述 の 諸 曼 茶 羅 は 、 大 三 法 謁 の 四 種 曼 茶 羅 に 統 一 せ ら れ る し 、 此 等 を 以 て 一 切 を 象 徴 し て ゐ る と 云 へ る の で あ る 。 秘 密 集 會 經 雜 攻 六 三
秘 密 集 會 經 雜 攻 六 四 八 、 本 經 と 易 行 道 元 來 密 教 な る も の は 、 主 と し て 佛 教 の 實 践 的 通 俗 的 方 面 を 基 調 と し て 、 云 は ゞ 理 論 的 佛 教 に 對 峙 し て 興 つ た も の で あ る 。 か の 根 本 佛 教 が 形 式 化 し 理 論 化 せ る 上 座 小 乗 の 佛 教 を 通 じ て 、 漸 次 其 の 生 命 を 失 は ん と し た 時 、 佛 陀 本 來 の 根 本 思 想 に 目 覺 め 、 佛 教 の 眞 精 神 を 深 く 内 觀 す る 人 々 に よ つ て 、 大 衆 部 系 の 思 想 を 基 調 と す る 大 乗 佛 教 の 興 起 を 見 る 。 而 し て 、 此 の 新 に 盛 上 つ た 生 々 濃 刺 と し た 大 乗 佛 教 も 、 亦 何 時 し か 理 論 化 、 形 式 化 の 道 を 辿 り 、 煩 瑣 な る 思 想 教 理 は 自 ら 一 般 民 衆 の 信 仰 と 隔 り を 深 め 來 つ た 。 か ゝ る 状 態 の 下 に 、 大 日 經 ・ 金 剛 頂 經 等 を 所 依 と す る 所 謂 正 純 密 教 が 興 り 、 中 觀 派 ・ 瑜 伽 行 派 の 理 論 學 説 に 基 き つ ゝ 、 特 に 實 践 的 方 面 を 強 調 し 、 吾 等 父 母 所 生 の 一 身 に 生 佛 不 二 の 眞 理 を 體 験 せ し め 、 生 死 の 苦 海 に 處 し て 而 も 生 死 に 執 ら は れ す 、 吾 々 の 三 密 が 印 相 と 陀 羅 尼 と 觀 念 と 相 俟 つ て 、 佛 と 入 我 々 入 の 心 境 に 到 達 し 、 此 處 に 即 身 成 佛 が 現 は れ る と 説 い た 。 か く し て 三 大 無 數 劫 の 無 限 の 時 間 を 費 し 、 六 度 萬 行 を 修 す る に 非 ざ れ ば 佛 果 を 得 ら れ ぬ と す る 難 行 に 對 し て 、 凡 身 に 即 し て 容 易 に 佛 果 を 體 得 し 得 る も の 密 教 の 易 行 的 方 面 を 開 い た の で あ る 。 其 し て 恐 ら く 第 七 世 紀 の 最 末 頃 、 大 乗 佛 教 が 、 六 波 羅 蜜 の 修 行 を 主 と す る 波 羅 蜜 道 と 、 實 際 的 易 行 的 方 面 を 主 と す る 眞 言 道 或 は 眞 言 乗 と の 二 つ に 分 れ る に 至 つ た と 思 は れ る が 、 此 れ 龍 樹 が 既 に 大 智 度 論 に 於 て 、 稱 名 念 佛 を 主 と す る 通 俗 的 佛 教 た る 易 行 道 を 樹 立 し 、 理 論 的 佛 教 の 難 行 道 に 對 立 せ し め た の と 全 く 其 の 軌 を 一 に す る も の と 云 つ て よ い 。 本 經 第 十 七 章 に ﹁ さ れ ど も 、 世 尊 一 切 如 來 よ 、 此 の 秘 密 集 會 に 於 て は 、 刹 那 頃 刻 須 臾 の み に て 佛 の 菩 提 を 圓 満 ぜ ら れ る な り 。 無 數 の 恒 河 の 砂 に 等 し き 劫 に よ つ て 、 努 力 し 尋 求 し つ 、 あ る 菩 薩 等 も 、 菩 提 を 得 な い の に 、 然 る に 、 秘 密 集 會 を 樂 し め
る 菩 薩 等 は 、 此 の 世 の 生 に 於 て 、 一 切 如 來 の 佛 と 云 ふ 名 稱 を 得 る に 至 る な り 。 ﹂ と あ る は 、 本 經 成 立 の 趣 旨 が 奈 邊 に 存 す る か を 、 如 實 に 物 語 る も の と 云 へ よ う 。 即 ち 、 當 時 の 一 般 民 衆 と し て は 、 從 來 の 佛 教 に 對 し て 少 な か ら ぬ 不 満 を 持 つ て ゐ た 。 煩 顔 複 雜 な る 教 理 と 嚴 格 な る 戒 律 、 或 は 長 劫 成 佛 等 の 説 は 自 ら 民 心 の 離 畔 を 起 さ し め た 。 人 々 は 何 等 か の 方 法 に よ つ て 、 現 實 生 活 に 即 し つ ゝ 、 よ り 速 か に 、 よ り 容 易 に 成 佛 し 得 る 易 行 の 道 を 求 め た の で あ る 。 か 、 る 民 衆 の 切 實 な る 要 求 を 満 さ ん が 爲 に 現 は れ た も の が 、 正 し く 此 の 秘 密 集 會 經 等 で あ つ た 〇 從 つ て 本 經 は 最 初 よ わ 易 行 を 目 的 と し て 作 ら れ た も の で あ り 、 一 切 の 者 が 平 等 に 、 而 も 速 疾 容 易 に 佛 位 を 獲 得 し 得 る 旨 を 説 く の で あ る 。 實 に 悉 有 佛 性 の 立 場 よ り す れ ば 、 如 何 な る 者 と 錐 も 、 普 遍 的 必 然 的 に 成 佛 の 可 能 性 が 認 め ら れ な け れ ば な ら ぬ 。 か の ﹁ 大 般 涅 槃 經 ﹂ に 於 て 、 徹 頭 徹 尾 、 一 闡 提 の 不 成 を 極 言 す る 傍 ら 、 此 等 の 者 と 錐 も 亦 成 佛 の 可 能 性 あ る 事 を 認 め 、 一 切 皆 成 の 趣 旨 を 強 調 し て ゐ る の で あ る が 、 本 經 に 於 て も 、 ﹁ 旃 陀 羅 、 笛 を 作 る 者 等 、 殺 害 を 目 的 と す 同 仕 事 を 思 惟 す る 人 々 も 、 無 上 大 乗 の 此 の 最 勝 乗 に 於 て は 、 成 就 す ﹂ ﹁ 假 使 世 間 栴 陀 羅 輩 及 諸 悪 類 、 常 起 殺 害 諸 衆 生 心 、 若 能 以 淨 信 解 修 祕 密 者 、 如 是 等 人 皆 得 成 就 、 而 能 安 往 大 乗 秘 密 ' ﹁ 無 間 を 始 め と せ る 大 罪 を な し た る 者 も 、 大 海 の 此 の 佛 乗 に 於 て 大 乗 を 成 就 す ﹂ ﹁ 衆 生 等 無 間 の 大 罪 を な す と も 、 彼 等 一 切 も 亦 、 大 乗 の 最 勝 の 成 就 を 此 ( 乗 ) に 於 て 成 就 す る に 至 ら ん 。 ﹂ ﹁ 復 次 若 有 造 無 間 業 諸 衆 生 類 、 廣 造 諸 悪 極 重 罪 已 、 能 起 淨 信 修 秘 密 者 、 亦 得 一 切 最 上 成 就 ﹂ ﹁ 殺 生 を す る 有 情 、 妄 語 を 喜 ぶ 者 、 他 の 財 に 執 着 す る 者 、 常 に 欲 を 喜 ぶ 者 、 糞 尿 を 食 と す る 者 、 其 等 は 實 に 成 就 に 於 て 幸 福 を 有 す る 者 な り 。 ( 成 就 の 幸 福 を 有 す る に 至 ら ん ) 。 ﹂ 秘 密 集 會 經 雜 攻 六 五
秘 密 集 會 經 雜 攻 六 六 ﹁ 若 有 衆 生 、 造 殺 生 業 行 不 與 取 、 受 諸 邪 染 起 大 妄 語 、 造 如 是 等 諸 悪 業 者 、 若 能 起 淨 信 解 修 秘 密 法 、 如 是 等 人 亦 得 成 就 ﹂ ﹁ さ れ ど 又 、 成 就 者 に し て 母 、 妹 ・ 娘 等 を 望 め ば 、 彼 は 大 乗 の 最 勝 の 法 に 於 て 廣 大 な る 悉 地 に 至 る べ し 。 ﹂ ( 漢 譯 は 缺 ) と 述 べ 、 一 切 の 階 級 を 論 ぜ す 、 善 悪 正 邪 を 問 は す 、 如 何 な る 人 間 と 難 も 、 唯 此 經 の 信 じ て 順 奉 し さ へ す れ ば 、 速 か に 佛 其 者 を 獲 得 し 得 る と 迄 彊 調 し て ゐ る の で あ る 。 然 し 、 眞 言 乗 に 於 け る 易 行 的 方 面 は 、 軈 て 大 樂 思 想 を 根 幹 と す る 實 践 的 修 行 と 化 し 、 此 處 に 所 謂 堕 落 的 な 金 剛 乗 の 隆 盛 を 見 る に 至 り 、 僧 純 密 教 は 浴 々 と し て 自 滅 の 深 淵 に 向 つ た の で あ る 。 本 經 に 於 け る 易 行 も 、 正 し く 大 樂 思 想 に 基 く 台 剛 乗 を 説 く も の に し て 、 其 の 述 べ る 所 の 極 端 な る 教 説 に は 、 屡 々 宗 教 的 ・ 倫 理 的 便 値 を 危 惧 せ し め る も の す ら あ る が 、 此 等 に 關 し て は 後 に 述 べ る 事 と し 、 今 暫 ら く ﹁ 大 樂 ﹂ の 意 味 に 就 い て 考 察 し て み よ う 。 大 樂 思 想 の 史 的 考 察 に 關 し て は 、 既 に 恩 師 栂 尾 博 士 の 詳 細 な 研 究 が あ る 。 從 つ て 以 下 述 べ る 所 は 師 の 説 に 負 ふ 所 多 き も の で あ る 。 本 來 ﹁ 大 樂 ﹂ と は 、 涅 槃 を 以 て 清 淨 妙 樂 の 境 地 と 見 徴 し 、 其 處 に 現 は れ る 心 的 状 態 を 指 し て 云 つ た も の で あ る 。 涅 槃 を 以 て 最 高 妙 樂 の 境 地 と 見 る 思 想 は 、 涅 槃 を ﹁ 第 一 樂 ﹂ と 云 ひ 、 或 は ﹁ 常 樂 我 淨 ﹂ 等 と 云 ひ 表 は す 言 葉 に よ つ て 知 ら れ る の で あ る が 、 臆 て 此 の 浬 繋 を 彼 岸 に 求 め す 、 現 實 の 世 界 に 即 し て 求 め ん と す る に 至 り 、 ﹁ 菩 薩 は 生 死 浬 葉 の 異 り を 見 す ﹂ と て 、 無 往 處 浬 葉 を 説 く 様 に も な り 、 更 に ﹁ 謂 大 貪 等 最 勝 成 就 、 令 大 菩 薩 大 樂 最 勝 成 就 、 令 大 菩 薩 一 切 如 來 大 覧 最 勝 成 就 ﹂ 乃 至 生 死 流 轉 住 處 有 勝 智 者 ⋮ ⋮ 饒
益 有 情 不 入 寂 滅 ﹂ と し て 、 生 死 の 世 界 に 即 し て 實 相 の 生 活 を 實 現 せ ん と し 、 又 一 初 有 情 を 饒 釜 し 、 安 樂 な ら し め ん と の 大 貪 欲 を 以 て 生 活 す る 所 に 、 大 樂 の 浬 葉 を 獲 得 し 得 る と 見 做 し た の で あ る 。 此 の 大 樂 思 想 が 成 立 し た の は 、 大 髄 七 世 紀 の 後 牛 で あ つ た と 思 は れ る が 、 此 れ は 、 ほ ゞ 此 の 頃 成 立 し た と 考 へ ら れ る ﹁ 不 空 絹 索 經 ﹂ の 中 に 、 ﹁ 大 樂 不 空 金 剛 法 ﹂ な る 丈 句 が 見 ら れ る 事 や 、 八 世 紀 の 不 空 三 藏 が 大 樂 思 想 に 基 く ﹁ 理 趣 經 ﹂ ﹁ 五 秘 密 儀 軌 ﹂ ﹁ 大 樂 儀 軌 ﹂ 等 を 飜 譯 し て ゐ る 事 實 よ り し て か く 推 定 さ れ る の で あ る 。 而 も 此 の 思 想 は 金 剛 頂 經 等 の 中 に も 比 較 的 多 く 含 ま れ て ゐ た し 、 金 剛 乗 と 云 は れ る 其 の 名 稱 か ら し て も 、 此 經 に 關 係 す る 所 が 多 い 様 で あ る 。 註 ① 中 阿 含 、 大 中 ② 大 般 涅 槃 經 、 第 二 十 五 、 大 下 ③ 撰 大 乗 論 譯 、 大 上 ④ 般 若 理 趣 分 、 大 中 下 ⑤ 大 下 要 す る に 、 大 樂 思 想 の 骨 旨 は 般 若 と 方 便 ( 9 )似 着 ) 若 し く は 大 智 と 大 悲 と の 不 二 合 一 に よ り 生 活 を 高 調 す ゐ 所 に あ り 、 般 若 に よ つ て 生 死 に 住 せ す 、 慈 悲 に ょ つ て 涅 槃 に 住 せ ざ る 、 所 謂 無 住 處 涅 槃 の 生 活 を 謎 嘆 じ 、 此 の 境 地 を 以 て 大 樂 と 云 ひ 表 は し た も の に 過 ぎ ぬ 。 從 つ て 此 の 境 地 は 、 飽 迄 體 驗 の 上 に 於 て 感 得 せ ら れ 、 觀 念 の 上 に 於 て 味 識 せ ら れ る も の で あ る 。 然 し 乍 ら 、 一 般 民 衆 に と つ て は 、 此 の 境 地 は 極 め て 理 解 し 難 い も の で 、 之 を 具 體 的 現 寳 的 に 表 現 せ ん と し て 、 此 處 に 譬 喩 的 説 明 を 生 す る に 至 つ た 。 即 ち 、 現 在 涅 槃 の 妙 樂 を 説 明 せ ん と す る に 當 り 、 最 も 大 膽 赤 裸 々 に 、 男 女 間 に 於 け る 性 的 快 樂 に 譬 へ て 現 は し 出 さ ん と し 、 或 は 慾 觸 愛 慢 と か の 十 七 の 過 程 に 分 解 せ ら れ た 妙 適 と 云 ふ が 如 き 性 的 譬 喩 を 以 て し 、 或 は 又 慧 と 方 便 、 若 し く は 悲 と 智 と の 二 而 不 一 ﹁ の 生 活 な り と し て 、 二 根 秘 密 集 會 經 雜 攻 六 七
秘 密 集 會 經 雜 攻 六 八 交 會 の 如 き 譬 喩 的 言 辭 を 以 て す る に 至 り 、 更 に 之 を 通 俗 的 形 像 の 上 に 象 徴 し て 、 陰 陽 合 龍 の 秘 密 佛 像 を も 生 ぜ し め る 結 果 と な つ た 。 不 二 金 剛 の ﹁ 二 根 交 會 開 説 ﹂ に ﹁ 無 自 性 の 故 に 不 生 な り 、 緑 生 の 故 に 不 滅 な り 。 有 と 非 有 と の 二 者 存 せ ざ る が 故 に 二 根 交 會 を 表 現 す 。 ﹂ ﹁ 空 性 と 悲 愍 と の 同 一 性 は 、 自 の 分 別 を 以 て 測 る べ か ら す 。 空 性 を 明 か に し た も の に は 、 本 來 の 二 根 交 會 性 あ り 。 ﹂ と 云 ふ が 如 く 、 二 根 交 會 と 云 ふ も 本 來 は 、 男 女 の 二 根 の 交 會 を 意 味 す る も の で は な く 、 有 と 非 有 と の 不 二 、 或 は 大 智 と 大 悲 と の 合 二 せ る 生 活 、 現 象 世 界 に 即 し て 實 相 と 融 合 す る 、 二 而 不 二 の 生 活 を 象 徴 し た も の で あ る 。 然 し 乍 ら 、 其 の 本 來 の 趣 旨 が ど の 様 で あ つ た と し て も 、 か ゝ る 言 葉 を 用 ふ る 事 そ れ 自 身 が 、 既 に 堕 落 へ の 一 歩 を 踏 み 入 れ た も の と 云 へ る 。 何 と な れ ば 、 か ゝ る 譬 喩 が 飽 迄 譬 喩 と し て 止 る べ き 筈 は な く 、 其 れ は 必 す 實 践 に 迄 押 進 め ら れ る 必 然 性 を 持 つ が 故 で あ る 。 か く て 途 に は 、 全 く 肉 欲 的 享 樂 を 事 と す る 左 道 密 教 の 隆 盛 を 齎 ら し た の で あ る 。 以 上 の 如 き 大 樂 思 想 を 根 幹 と す る 教 説 が 、 金 剛 乗 と 云 は れ 無 上 等 正 覧 の 道 と せ ら れ る 。 茲 に 金 剛 と 云 ふ の は 、 不 二 の 室 を 觀 じ た る 智 で あ り 、 永 久 不 滅 の 實 相 た る 般 若 の 空 を 指 す の で あ る 。 註 ー 是 の 我 は 無 上 正 等 正 覺 の 道 即 ち 金 剛 乘 に よ る 。 ﹁ 空 性 は 金 剛 と 云 は る 。 堅 固 で あ り 、 堅 固 で あ り 、 善 質 な る も の で あ り 、 變 化 せ ら れ す 破 壊 せ ら れ ざ る 相 を 有 し 、 又 焼 け す 滅 せ す ﹂ と 。 全 く 、 ﹁ 空 性 は 金 剛 に よ つ て 云 は れ た ﹂ も の で 、 此 の 般 若 の 空 觀 に 立 脚 し 、 有 無 の
二 邊 を 超 越 し た 。 執 ら は れ ざ る 生 活 を な す 所 に 、 永 遠 不 滅 の 大 樂 を 實 現 し 得 る と の 趣 旨 を 教 へ る も の が 金 剛 乗 に 外 な ら ぬ 。 尤 も 、 か ゝ る 意 味 の 金 剛 乗 と は 、 密 教 の 代 用 語 と し て 、 或 は 、 金 剛 頂 經 に 基 く 教 と 云 ふ 、 輕 い 意 味 に 於 て 用 ひ ら れ る も の だ 。 、然 し 其 れ が 、 常 に 左 道 の 意 味 に 用 ひ ら れ る に 至 つ た の は 、 此 れ に 含 ま れ る 大 樂 の 思 想 が 實 践 に 移 さ れ 、 男 女 の 性 的 結 合 に 現 は れ る 快 樂 を 以 て 、 直 に 大 樂 涅 槃 の 境 地 と 觀 し 、 兩 性 の 融 合 を 以 て 悟 道 の 要 諦 と し た か ら で あ る 。 此 の 靡 燗 し た 金 剛 乗 は 、 タ ン ト ラ の 教 理 を 含 み 、 シ ヤ ー ク タ 派 と 密 接 に 結 合 し て 、 送 に 印 度 教 の 中 に 溶 込 ん で 自 滅 す る に 至 つ た の で あ る 。 さ て 、 本 經 第 八 章 に 於 て ﹁ 貪 瞋 癡 金 剛 よ ( 弓 ま 大 な る 貪 瞋 癡 よ ) 、 金 剛 乗 を 説 く 者 よ ﹂ ﹁ 貪 瞋 癡 染 性 同 入 金 剛 乗 ﹂ と 云 ひ 、 又 ﹁ 身 語 心 の 清 淨 な る も の よ 、 金 剛 乗 よ 、 御 身 に 蹄 命 す 。 ﹂ ﹁身 語 心 清 淨 歸 命 金 剛 乗 ﹂ と も あ り 、 第 十 五 章 に も ﹁ 鳴 呼 、 自 性 清 淨 な る 無 上 の 金 剛 乗 が 、 不 生 の 諸 法 に 於 て 生 す る 事 が 、 諸 佛 に よ つ て 説 か れ た り 。 ﹂ ﹁ 大 哉 自 性 本 清 淨 攝 彼 金 剛 最 上 乗 從 彼 無 生 妙 法 中 出 生 諸 佛 一 切 法 ﹂ と 述 べ て ゐ て 、 本 經 が 、 台 剛 乗 を 説 い た も の で あ る 事 が 明 瞭 で あ る 。 而 も 其 の 中 に は 、 多 分 に シ ヤ ク チ 思 想 が 混 入 さ れ て を り 、 述 べ る 所 の 大 乗 も 、 既 に 思 想 的 ・ 譬 喩 的 時 代 を 去 つ て 、 實 践 修 行 の 域 に 迄 進 展 し て ゐ る 。 換 言 す 秘 密 集 會 経 雜 攻 六 九
秘 密 集 會 經 雜 攻 七 〇 れ ば 、 大 乗 思 想 の 譬 喩 的 表 徴 で .は な く し て 、 大 乗 實 行 主 義 と も な つ て ゐ る の で あ る 。 從 つ て 、 俗 欲 に 即 し て の 修 行 を 説 き 、 性 的 快 樂 を 強 調 し て 女 性 の 共 俘 を 必 要 と す る 。 此 れ が 所 謂 金 剛 乗 の 易 行 と せ ら れ る も の で あ る が 、 以 下 に 少 し く 、 か 、 る 部 分 を 摘 出 列 學 し て み や う 。 ﹁ 顔 美 し き 處 女 に し て 、 十 六 歳 と な れ る も の を 得 て 、 香 花 を 満 す ( 日 量 飾 る ) 事 を な し て 、 其 の 中 央 に 於 て 欲 す べ し 。 ﹂ ﹁ 若 住 身 供 養 於 身 相 無 磯 若 住 心 供 養 了 心 性 不 等 ﹂ ﹁ 或 は 如 來 の 大 妃 た る 佛 眼 等 を 觀 ぜ よ 。 二 根 を 等 し く 合 し て 、 佛 の 悉 地 を 得 べ し 。 ﹂ ﹁ 住 佛 眼 觀 察 二 處 皆 平 等 速 成 就 佛 性 ﹂ ﹁ 此 處 に 佛 の 念 觀 は 如 何 ( 此 處 に 佛 の 憶 念 を 如 何 に 觀 す る や と 云 は ゴ ) 、 婆 伽 に 憐 伽 を 安 じ て 佛 身 を 觀 す べ し 。 ﹂ ﹁ 云 何 佛 念 觀 謂 偏 一 切 處 皆 諸 佛 影 像 出 現 佛 智 雲 ﹂ ﹁ 蓮 華 と 結 合 せ る 自 の 金 剛 を 二 根 を 相 應 す る 事 よ り 、 自 の 精 滴 を 以 て 佛 と 金 剛 薩 唾 を 供 養 す べ し 。 ﹂ ﹁ 謂 本 金 剛 蓮 二 處 悉 平 等 現 智 日 金 剛 作 金 剛 供 養 ﹂ 目 す ﹁ 二 根 を 等 し く 安 じ て 、 賢 者 は 自 の 精 等 を 、 大 相 應 に よ つ て 獲 出 す べ し 。 ⋮ ⋮ ﹂ ﹁ 謂 二 處 平 等 妙 蓮 華 自 在 出 生 大 相 應 ⋮ ⋮ ﹂ ﹁ 女 人 の 心 堅 固 な る 、 十 二 歳 に な れ る 者 を 得 て 、 種 族 の 相 應 の 區 別 に よ つ て 、 自 の 精 を 以 て 供 養 す べ し 。 ﹂ 此 れ に よ つ て 、 如 來 の 身 と 執 金 剛 の 心 等 と 、 最 勝 の 法 を 持 す る 者 の 語 等 を 、 此 の 生 に 於 て 獲 得 せ ん 。
﹁ 謂 身 心 離 相 作 平 等 供 養 與 諸 部 相 應 成 就 甘 露 法 得 佛 加 持 身 及 彼 金 剛 心 最 上 持 法 語 皆 如 理 所 得 ﹂ 目 す ﹁ 種 々 の 寳 等 を 以 て 荘 嚴 せ ら れ た る 、 寳 藏 な る 最 勝 の 少 年 を 、 成 就 し 、 よ く 成 就 せ ん が 爲 に 、 一 切 の 佛 に 獄 す べ し 。 ﹂ ﹁ 種 々 最 上 寳 想 現 而 荘 嚴 彼 一 切 妙 寳 得 最 上 成 就 ﹂ 目 す ﹁ 旋 陀 羅 の 大 我 性 の 、 十 二 歳 の 女 を 、 閑 静 處 に 於 て 、 特 に 、 成 就 者 は 常 に 成 就 す べ し 。 ﹂ ( 漢 譯 缺 ) ﹁ 婆 羅 門 と 王 族 と 吠 舍 と 首 陀 羅 よ り 生 れ た る 女 、 此 の 金 剛 の 我 性 た る も の が 、 秘 密 を 得 る 事 を 成 就 す べ し 。 ﹂ 金 剛 の 日 が 没 し て よ り 、 成 就 を 遍 く 始 む べ し 。 黎 明 破 曉 の 時 に 、 最 勝 の 觀 察 に よ つ て 成 就 す る に 至 ら ん 。 ﹁ 所 有 諸 種 族 所 謂 婆 羅 門 刹 帝 利 吠 舍 及 彼 首 陀 等 乃 至 施 陀 羅 所 生 諸 乾 馳 随 取 而 作 法 當 勿 生 分 別 此 秘 密 平 等 成 就 金 剛 法 。 日 入 時 作 法 日 出 時 成 就 ﹂ 日 登 ﹁, 二 根 の 相 應 に よ つ て 、 一 切 の 相 應 を 始 む べ し 。 ﹂ ﹁ 二 處 若 相 應 衆 相 應 平 等 ﹂ 目 登 ﹁ 顔 美 し く 、 利 釜 を 欲 す る 女 を 得 れ ば 、 法 の 如 く 、 閑 寂 の 處 に 於 て 供 養 を 始 む べ し 。 秘 密 を 受 け て 食 す べ し 。 ﹂ 秘 密 集 會 經 雜 攻 七 一
秘 密 集 會 經 雜 攻 七 二 ﹁ 諸 有 修 習 喩 室 多 法 得 成 就 者 發 猛 利 心 當 取 束 詑 羅 依 法 而 食 ﹂ 目 す ﹁ 二 根 の 相 應 に よ り 、 自 の 精 等 を 攝 取 す る 事 に よ つ て 、 法 則 の 如 く 供 養 す へ し 。 佛 菩 提 を 獲 得 せ ん 。 ﹂ ﹁ 於 二 處 相 應 當 受 彼 甘 露 如 儀 軌 供 養 得 成 佛 菩 提 ﹂ 尚 此 の 他 に も 随 處 に 二 根 相 應 を 説 き 、 女 人 の 受 用 を 勸 め て ゐ る が 、 此 等 の 實 践 に 當 つ て は 、 必 す 阿 閉 梨 の 教 導 に 從 は ね ば な ら ぬ 事 勿 論 で あ る 。 實 に 本 經 は 、 一 切 の 戒 律 を 打 破 し 、 善 悪 淨 機 等 の あ げ ゆ る 相 對 觀 を 絶 せ し め 、 一 切 を 否 定 す る と 共 に 、 又 肯 定 す る の で あ る 。 從 つ て 通 常 の 道 徳 觀 念 で は 、 到 底 許 容 す る 事 の 出 來 な い も の を も 平 然 と し て 許 す し 、 必 要 缺 く べ か ら ざ る も の と さ れ て ゐ る も の で も 、 之 を 全 く 債 値 な し と し て 排 し 去 る の で あ る 。 先 づ 、 諸 肉 、 糞 尿 等 を も 食 す べ き 事 を 説 き 、 目 す ﹁ 肉 を も 食 せ ら る べ き が 故 に 、 大 肉 を よ く 分 別 せ よ 。 秘 密 の 身 語 心 た る 一 切 悉 地 を 、 成 就 せ ん 。 ﹂ ﹁ 當 以 四 種 食 常 依 法 而 食 住 三 業 秘 密 一 切 皆 成 就 ﹂ 目 す ﹁ 象 の 肉 と 馬 の 肉 と 、 同 じ く 最 勝 ( の 肉 ) と 犬 の 肉 と を 、 食 の 爲 に 食 す べ し 。 他 の 食 を 食 す べ か ら す ﹂ ﹁ 此 四 難 常 食 而 勿 生 擬 想 離 此 四 非 法 當 了 飲 食 性 ﹂ ﹁ 大 肉 の 最 勝 三 昧 耶 に よ つ て 、 最 勝 の 三 金 剛 を 成 就 せ ら る べ し 。 糞 尿 の 最 勝 三 昧 耶 に よ つ て 、 持 明 の 主 と な ら ん 。 象 の 肉 の 三 昧 耶 に よ つ て 、 五 神 通 を 得 ら れ ん 。 馬 肉 等 の 三 昧 耶 に よ つ て 、 隠 形 の 主 と な ら ん 。 大 肉 等 の 三 昧 耶
に よ つ て 、 一 切 の 悉 地 を 成 就 す る に 至 ら ん 。 牛 肉 の 三 昧 耶 に よ つ て 、 金 剛 句 召 の 最 勝 と な ら ん ﹂ ﹁ 若 有 行 人 求 諸 成 就 者 當 於 五 種 飲 食 住 三 昧 想 是 人 即 得 成 就 持 明 具 五 種 通 安 但 陀 那 金 剛 句 召 一 切 成 就 ﹂ ﹁ 五 甘 露 の 相 應 に よ つ て 、 食 す れ ば 、 三 金 剛 を 得 べ し ﹂ ﹁ ( 如 是 舌 根 即 ) 與 五 種 甘 露 相 應 、 得 三 金 剛 不 壊 自 性 ﹂ ﹁ 象 肉 と 馬 肉 と 、 大 肉 等 を 又 食 す べ し ﹂ ﹁ 彼 五 種 飲 食 依 法 而 食 ﹂ ﹁ 糞 と 尿 と 血 を 食 ひ 、 酒 等 を 常 に 飲 め ﹂ ﹁ 彼 噛 地 羅 等 而 常 爲 飲 食 ﹂ 目 す ﹁ 糞 二と 尿 と 精 と 血 等 を 、 卑 し き も の と 爲 す べ か ら す 、 法 則 の 如 く に 常 に 食 す べ し 。 此 の 秘 密 の 三 金 剛 を 出 生 す る な り 。 ﹂ ﹁ 彼 五 種 甘 露 見 勿 生 疑 謗 此 三 密 金 剛 依 法 而 所 用 ﹂ 等 々 と 述 べ て を り 、 一 々 枚 學 に 邊 な き 有 様 で あ る 。 又 云 ふ 所 の 五 種 飲 食 、 五 甘 露 等 は 何 々 を 指 す か 明 ら か で な い が 、 或 は 、 象 肉 、 馬 肉 、 牛 肉 、 犬 肉 、 大 肉 、 ( 人 肉 ! ) の 五 種 食 で あ り 、 糞 尿 精 血 酒 が 五 甘 露 と せ ら れ た の で は な か ら う か 。 尚 又 、 受 用 す べ き 女 子 の 年 齢 を 、 菩 薩 諸 天 等 の 數 に 一 致 せ し め た の と 同 じ く 、 此 等 の 飲 食 に も 、 酒 は 智 慧 、 肉 は 秘 密 集 會 經 雜 攻 七 三
秘 密 集 會 經 雜 攻 七 四 慈 悲 ? 精 は 菩 提 心 と 云 ふ 様 に 、 夫 々 の 意 味 が 當 然 附 與 せ ら れ て ゐ た と 思 は れ る が 、 此 れ も 明 瞭 で な い 。 然 し 兎 も 角 、 此 等 の 飲 食 を 用 ひ る 事 に ょ つ て 、 速 か に 成 就 を 得 る 事 が 出 來 る と 説 く の で あ る 。 更 に 諸 々 の 欲 望 を 遠 離 す る 事 な く 、 寧 ろ 積 極 的 に 之 を 活 用 す べ き で あ る と し 、 慾 を 治 す る に 大 慾 を 以 て し 、 瞋 を 治 す る に 大 瞋 を 以 て し 、 癡 を 治 す る に 大 癡 を 以 て す る と の 積 極 的 思 想 を 現 は し て ゐ る 。 本 經 に 於 け る 五 佛 が 、 貪 瞋 癡 慢 嫉 の 五 煩 悩 に 配 せ ら れ 、 全 く 迷 悟 一 如 と さ れ て ゐ る の で あ る 。 ﹁ 常 に 欲 の 五 種 の 功 徳 を 以 て 、 佛 を 如 法 に 供 養 す べ し 。 五 種 の 供 養 に よ つ て 、 速 か に 佛 た る 事 を 得 ん 。 ﹂ ﹁ 當 以 五 種 無 擬 功 徳 、 具 五 種 行 供 養 諸 佛 、 如 是 供 養 巳 、 速 得 成 就 諸 佛 自 性 ﹂ と 述 べ 、 或 は ﹁ 一 切 の 欲 を 受 用 し 、 親 近 す る 事 に ょ つ て 、 欲 す る 所 に 從 ひ 、 是 の 如 き の 相 應 に ょ つ て 必 す 佛 を 速 か に 得 べ し 決 定 せ る 不 壷 の 苦 行 を 以 て 、 親 近 す る 事 に ょ つ て 、 成 就 す る 事 な け れ ど も 、 一 切 の 欲 を 受 用 す る 事 に ょ つ て 、 親 近 す れ ば 速 か に 成 就 す る を 得 べ し 。﹂ ﹁諸 當 樂 所 樂 随 意 當 即 行 獲 種 種 相 應 速 成 就 佛 性 又 復 諸 富 樂 所 樂 随 意 行 得 本 尊 相 應 成 自 他 供 養 作 苦 行 求 法 彼 不 能 成 就 諸 樂 随 意 行 其 爲 善 成 就 ﹂ ﹁ 佛 菩 薩 は 最 勝 の 眞 言 行 を 行 す る 事 に よ つ て 、 最 勝 な る 法 と 不 變 を 得 た る 者 等 な り 。 一 切 の 欲 に 親 近 せ る が 故 に 。 ﹂ ﹁ 佛 菩 薩 所 行 最 上 大 明 行 謂 勝 法 文 字 成 就 諸 富 樂 ﹂
と 。 是 の 如 く 、 如 何 に 難 行 苦 行 す る と も 、 菩 提 を 得 る 事 が 出 來 な い 。 然 し 一 切 の 欲 望 を 欲 す る が 儘 に 用 ふ る 事 に よ つ て 、 速 か に 佛 果 を 獲 得 し う る と 迄 強 調 し て ゐ る の で あ る 。 又 、 何 等 戒 律 的 束 縛 を 受 け す と し 、 ↓ 量 ﹁ 汝 は 生 類 を 殺 す べ し 。 妄 語 を 亦 語 る べ し 。 與 へ ら れ ざ る も の を 亦 、 汝 は 取 る べ し 。 相 手 の 女 に 親 近 す べ し ﹂ ﹁ 彼 殺 盗 婬 妄 諸 染 法 自 性 住 佛 三 昧 者 如 實 當 了 知 ﹂ ﹁ 此 の 秘 密 金 剛 を 以 て 、 一 切 有 情 を 殺 せ ば 、 阿 閾 佛 國 に 佛 子 と し て 生 る べ し ﹂ ﹁ 衆 秘 密 金 剛 能 破 壊 一 切 阿 閾 金 剛 生 住 諸 佛 境 界 ﹂ ﹁ 粗 暴 の 語 等 を 以 て 随 順 す れ ば 智 二を 得 べ し 。 ﹂ ﹁ 縦 説 非 法 語 赤 得 住 淨 智 ﹂ と 云 ひ 、 ﹁ 母 と 妹 と 娘 を 、 誰 か 成 就 者 が 貪 愛 す れ ば 、 大 乗 最 勝 の 法 に 於 て 、 廣 大 な る 悉 地 を 彼 は 得 べ し 。 ﹂ と 説 く 。 更 に 佛 教 的 な 様 々 の 行 事 や 、 作 法 を も 否 定 し 、 日 皆 ﹁ 塔 廟 等 の 事 業 を 爲 さ ゞ れ 、 經 を 讀 誦 す る 事 を も 亦 爲 さ " れ 。 曼 茶 羅 等 を も 亦 決 し て 造 ら ざ れ 。 三 最 勝 金 剛 の 禮 拜 を な さ ゞ れ 。 ﹂ ﹁ 諸 有 持 明 人 遠 離 諸 有 相 勿 生 取 著 心 造 立 塔 廟 等 勿 讀 育 經 典 勿 建 曼 拏 羅 若 自 性 相 應 斯 秘 密 集 會 經 雜 攻 七 五
秘 密 集 會 経 雜 攻 七 六 即 爲 最 上 ﹂ 或 は ﹁ 若 し 最 勝 菩 提 を 欲 す れ ば 、 手 の 印 を 結 ぶ べ か ら す ﹂ ﹁ 設 不 結 印 相 持 誦 諸 大 明 ﹂ 等 と 述 べ て ゐ る 。 以 上 に 示 し た 如 く 、 本 經 の 大 樂 は 、 既 に 思 想 的 態 度 を 逸 脱 し 、 正 し く 實 行 主 義 へ と 展 開 し て ゐ る 。 而 も 左 道 性 力 派 の 教 説 と 極 め て 相 接 近 し て を り 、 未 だ 五 摩 字 は 組 織 立 て ら れ て ゐ な い が 、 肉 と し て は 象 肉 馬 肉 牛 肉 犬 肉 人 肉 が 記 載 せ ら れ 、 又 修 行 に 伴 ふ 女 性 と し て は 、 如 何 な る 階 級 を 論 ぜ す 、 骨 肉 を 問 は す 、 必 す 同 伴 す べ き 事 を 述 べ 、 更 に 酒 、 糞 尿 精 液 、 血 等 を も 清 淨 な も の と し て 食 飲 す べ き 事 を 説 い て ゐ る 。 是 の 如 く 、 五 摩 字 の 内 容 を 爲 す も の が 雜 然 と し て 散 見 せ ら れ る 。 此 等 は 最 下 暦 の 卑 俗 な る 俗 信 が 表 面 化 さ れ た も の で あ り 、 階 級 外 の 賎 種 か ら 起 つ た 思 想 で あ ら う 。 又 五 戒 に 繋 す る 反 抗 と し て 、 殺 盗 婬 妄 飲 酒 を 勸 め る し 、 佛 教 の 諸 々 の 所 作 を も 否 定 し 去 り 、 唯 々 自 己 の 欲 す る が ま ゝ に 、 自 由 に 行 動 す る 事 に よ つ て の み 成 佛 は 可 能 で あ る と し 、 之 を 易 行 道 な り と す る の で あ る 。 是 の 如 く 本 經 は 、 金 剛 乗 の 靡 燗 せ る 大 樂 の 教 義 を 多 分 に 含 む が 、 本 來 金 剛 乗 に 於 て 、 妙 適 と か 二 根 交 會 と か の 譬 喩 を 用 ひ た の は 、 ﹁ 左 道 左 行 の 有 情 を 降 伏 し て 、 順 道 に 歸 せ し め ん ﹂ が 爲 で あ つ た か も 知 れ な い 。 又 ﹁ 大 悲 空 智 金 剛 大 教 王 儀 軌 經 ﹂ 第 十 二 に ﹁ 又 於 分 別 而 強 分 別 、 以 清 淨 有 破 煩 悩 有 、 如 風 病 人 食 摩 沙 豆 、 發 病 愈 風 名 顛 倒 藥 、 於 相 決 定 而 常 尋 伺 、 而 爲 分 別 一 切 法 性 、 譬 如 有 人 少 水 入 耳 還 以 水 取 、 又 諸 衆 生 貪 火 所 焼 、 爲 諸 悪 業 之 所 纒 縛 、 我 以 方 便 爲 説 貪 火 而 令 解 脱 、 如 若 有 人
爲 火 焼 烙 、 還 灸 以 火 、 即 以 是 貪 令 斷 貪 縛 ﹂ と 云 ふ が 如 く 、 貪 を 以 て 貪 を 治 し 、 瞋 を 以 て 瞋 を 治 す る と 云 つ た 様 に 、 積 極 的 教 説 を 用 ひ た も の が 、 亦 金 剛 乗 の 立 場 で あ る 。 然 し か ゝ る 教 説 は 、 一 面 非 常 な 危 險 を 伴 ふ も の で あ り 、 未 覧 の 一 般 民 衆 を し て 邪 道 へ と 導 い た の で あ る 。 但 し 茲 に 注 意 を 要 す る の は 、 易 行 の 實 行 に 當 つ て 、 必 す 師 の 口 傳 を 受 け 其 の 命 に 随 順 し な け れ ば な ら ぬ 事 で あ る 。 此 れ 亦 、 金 剛 乗 に 於 け る 一 特 徴 で あ る 。 實 に 金 剛 阿 閉 梨 を 外 に し て 、 悟 道 は 得 ら れ ぬ と し て 、 正 師 を 絶 對 に 尊 崇 し 、 彼 の 指 導 に 從 ふ の で あ る 。 本 經 に 於 て も 、 阿 閉 梨 が 弟 子 に 灌 頂 を 與 へ 、 種 々 な る 教 行 を 説 示 す る 事 を 明 か し 、 又 阿 閉 梨 に 絶 大 な る 稱 讃 を 呈 し て ゐ る 。 ﹁ 善 男 子 よ 、 大 約 略 説 す れ ば 、 十 方 の 世 間 界 に 於 て 、 住 し 、 生 活 し 、 守 護 す る 所 の 佛 と 菩 薩 、 其 等 一 切 も 亦 、 三 世 に 出 現 し て 、 彼 の 金 剛 阿 閉 梨 に 樹 し て 、 一 初 如 來 の 諸 々 の 供 養 を 以 て 正 し く 供 養 し て 、 自 ら の 佛 國 に 行 き 、 語 金 剛 の 字 句 を 是 の 如 く 又 出 す 。 ﹃ 我 等 は 一 切 如 來 の 父 な り 。 我 等 は 一 切 如 來 の 母 な り 。 我 等 は 一 切 如 來 の 師 な り 。 ﹄ と 云 は れ る に 至 る 迄 な り 。 是 の 如 し 、 又 善 男 子 よ 、 佛 世 尊 が 十 方 に 於 て 、 住 し 給 ふ 其 れ だ け の 佛 世 尊 其 等 の 身 語 心 金 剛 よ り 生 じ た る 、 其 れ だ け の 福 蘊 の 其 れ よ り も 、 阿 閉 梨 の 一 毛 孔 の 福 が 殊 に 優 れ た り 。 ﹂ と 云 ひ 、 又 ﹁ 誰 で も 十 方 の 佛 世 尊 、 三 世 の 金 剛 智 を 正 し く 出 生 せ る 所 の 其 等 は 又 出 現 し て 、 秘 密 集 會 の 阿 閉 梨 を 供 養 し 敬 禮 す 。 其 は 何 故 と な ら ば 、 彼 其 者 が 一 切 如 來 と 一 切 菩 薩 の 師 、 世 尊 大 執 金 剛 、 一 切 佛 の 智 主 な る が 故 な り 。 ﹂ 秘 密 集 會 經 雜 攻 七 七
秘 密 集 會 經 雜 攻 七 八 ﹁ 善 男 子 我 今 略 説 、 所 有 十 方 世 界 諸 佛 如 來 及 諸 菩 薩 、 現 住 説 法 教 化 衆 生 者 、 而 彼 一 切 於 三 時 中 來 詣 阿 閉 梨 所 、 諸 佛 菩 薩 變 化 供 養 雲 而 爲 供 養 、 作 供 養 已 還 諸 佛 刹 、 時 阿 閉 梨 從 語 金 剛 亦 出 是 言 、 一 切 如 來 是 我 父 、 一 切 如 來 是 我 母 、 一 切 如 來 是 我 師 、 慈 氏 當 知 所 有 十 方 一 切 諸 佛 如 來 及 諸 佛 所 行 、 乃 至 諸 佛 如 來 身 語 心 、 金 剛 所 生 一 切 福 蘊 皆 從 阿 閉 梨 毛 孔 所 生 ﹂ ﹁ 所 有 十 方 一 切 如 來 三 世 智 所 出 生 秘 密 集 會 、 而 來 供 養 金 剛 灌 頂 阿 閉 梨 、 又 復 恭 敬 稱 讃 、 何 以 故 、 諸 善 男 子 、 金 剛 阿 閉 梨 是 大 執 台 剛 者 、 是 即 諸 佛 大 智 主 ﹂ と 述 べ 、 而 も ﹁ 菩 提 心 金 剛 と 此 の 阿 閣 梨 と は 、 無 二 に し て 無 別 な り ﹂ ﹁ 彼 菩 提 心 與 阿 閣 梨 無 二 無 二 相 ﹂ と 説 く の で あ る 。 又 ﹁ 秘 密 三 身 の 身 語 心 は 、 金 剛 阿 閣 梨 の 身 語 心 金 剛 に 住 す ﹂ ﹁ 如 來 三 密 當 依 阿 閣 梨 金 剛 身 語 心 住 ﹂ と も 云 ひ 、 此 の 様 に 、 金 剛 阿 閣 梨 を 絶 樹 的 に 尊 敬 す る の で あ る が 、 此 の 崇 敬 の 念 が 強 け れ ば 強 い 程 、 阿 閉 梨 に 對 し て 不 信 を 懐 き 、 或 は 誹 謗 す る 者 を 極 端 に 排 斥 す る 事 と な る 。 目 す ﹁ 他 の 金 剛 阿 閣 梨 を 誹 謗 す る 者 、 最 勝 の 大 乗 を 誹 謗 す る 者 等 を 、 よ く 努 め て 殺 す べ し 。 又 は 、 場 所 よ り 移 去 す べ し 。 此 れ に よ つ て 最 勝 菩 提 の 眞 言 の 悉 地 を 獲 得 す べ し 。 ﹂ ﹁ 當 所 調 伏 者 、 即 彼 一 切 極 悪 衆 生 、 所 謂 諺 阿 閉 梨 及 謗 大 乗 、 作 諸 魔 事 随 順 邪 明 、 壊 佛 種 性 不 能 勤 求 佛 菩 提 道 ﹂
日 量 ﹁ 其 他 の 阿 閉 梨 を 誹 謗 す る 者 等 は 、 修 行 せ り と 錐 も 、 成 就 す る を 得 ざ る べ し 。 ﹂ ﹁ 唯 除 毀 諦 阿 閉 梨 者 、 如 是 等 人 、 設 使 勤 求 於 秘 密 法 不 能 成 就 ﹂ と 迄 極 言 し て ゐ る 。 然 し 乍 ら 、 大 悲 の 立 場 か ら 或 は 悉 有 佛 性 的 な 立 場 か ら 、 此 等 の 者 と 錐 も 亦 成 佛 し 得 る 可 能 性 を 認 め 、 彼 等 を も 捨 去 る 事 な く 掻 取 せ ん と て 、 ﹁ 不 信 を 説 く 衆 生 と 、 阿 閣 梨 持 金 剛 を 誹 諦 す る 者 と 、 害 心 を 有 す る 他 の 衆 生 等 に も 亦 、 よ く 此 の 勸 勵 を な さ る べ し 。 ﹂ ﹁ 若 復 於 世 間 欲 作 成 就 者 除 彼 不 孝 人 及 謗 阿 閉 梨 最 上 極 悪 等 此 諸 衆 生 類 錐 勇 猛 勤 求 而 不 能 成 就 ﹂ と 述 べ 、 一 切 を 救 は ん と の 態 度 が 現 は れ て ゐ る 。 ( 但 し 漢 譯 は 異 る ) 以 上 が 阿 閉 梨 に 關 す る 教 説 で あ り 、 か ゝ る 尊 い 阿 閉 梨 の 指 導 に 從 つ て の み 成 佛 が 可 能 で あ る し 、 大 喜 樂 を も 得 ら れ る の で あ る 。 我 々 は 、 空 の 艦 現 者 で あ り 、 眞 理 の 艦 達 者 た る 金 剛 阿 閉 梨 の 命 す る が ま ゝ に 、 專 ら 行 動 す れ ば よ い 。 か く す る 事 に よ つ て 、 現 世 に 於 て 、 速 か に 佛 果 を 獲 得 し 、 大 安 樂 境 地 に 遊 び 得 る の で あ る 。 此 れ が 即 ち 易 行 道 た る 所 以 で も あ る 。 九 、 本 經 の 空 思 想 前 章 に 於 て 示 し た 如 く 、 本 經 は 幾 多 の 不 純 な る 邪 説 に よ つ て 着 色 、 混 濁 せ ら れ 、 一 見 甚 だ し く 奇 異 の 感 を 懐 か せ る も の で あ る が 、 然 し 其 の 根 底 を 貫 い て 流 れ る も の は 、 矢 張 り 、 般 若 の 皆 空 思 想 で あ る 事 を 看 過 し て は な ら な い 。 即 ち 本 經 第 九 章 に 秘 密 集 會 經 雜 攻 七 九