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材料科学 専 攻 氏 名

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Academic year: 2021

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(1)

(様式6号) 「課程博士用」

学 位 論 文 の 要 旨

専 攻 名

材料科学 専 攻 氏 名

横井

学位論文題目

Approaches to the foundation and models of statistical mechanics based on quantum mechanics

(英訳又は和訳 量子力学に基づいた統計力学の基礎およびモデルへのアプローチ)

この学位論文では量子力学に基づき平衡・非平衡の統計力学を議論している

2

つの論文について の結果とそれに関連するいくつかの論文について述べる。

古典統計力学は、およそ

1

世紀半もの間成功を収め、その他の分野へのパワフルな応用を見せて きた。しかし、古典統計力学には以下のようにいくつかの根本的な問題が残っている。それらは、

(i)

エルゴード仮説が未だに「仮説」のままであること、

(ii)

膨大な粒子の情報の欠如に起因する等重率 の原理による確率を導入する必要があること、

(iii)Gibbs

因子が存在すること、

(iv)Planck

定数が必 要であること、

(v)

量子古典対応が

Planck

定数に関してではなく高温極限であること、等である。こ れらは統計力学の背後に量子力学が存在することを示唆する。従って、量子力学を基に統計力学の 枠組みを構成することができれば

(i)-(v)

の問題は発生しない。このような理由により従来から、位相 空間ではなく

Hilbert

空間と統計力学の集団理論との関係性が研究されてきた。本論文では、

Bose-Einstein

Fermi-Dirac

分布に従う粒子系の

Schrödinger

方程式に着目することで、これま での研究とは異なるアプローチでミクロカノニカル集団・カノニカル集団理論を構成する議論を展 開する。

一方、統計力学は元来、マクロな特徴を描写する熱力学をミクロな視点から議論する分野であっ た。従って、量子効果が無視できないような小さい系での熱力学は(量子)統計力学の観点からの 考察が必要となる。熱力学では熱機関の1サイクルやそれを構成する各過程に着目して議論するが、

特にミクロな熱機関等を考える場合、量子力学的な過程を含んだサイクルは工学的にも意義深い。

古典統計力学ではエネルギー等分配則を要求されたが、量子力学ではこれが破れる。従って、量子 力学下での「等エネルギー過程」がサイクルにどのような影響を及ぼすかは興味深い。本論文では 従来の熱力学における過程では存在しなかった等エネルギー過程について、

2

つの例を挙げ、具体的 に計算する。また、等エネルギー過程においては、エネルギーの期待値が時間変化の下で保存すれ ばよいとすると、この量を「弱保存量」として考えることができる。一方、物理量の期待値ではな く物理量演算子そのものが保存する量を強保存量として改めて定義する。本論文ではこの弱保存量 と強保存量についても調査する。

本学位論文の各章の内容は以下のとおりである。第一章では序論と論文構成について述べる。

19

世紀後半から始まる統計力学の歴史について触れた後、上述の研究目的について詳しく説明し、最 後に論文構成を述べる。

第二章では、本論文で必要となる量子力学についての準備をおこなう。量子系をヒルベルト空間 の量子状態で記述する枠組みを説明した後に、密度演算子での議論を導入する。量子系に対する測

続紙 有■ 無□

(2)

(様式6号-続紙) 「課程博士用」

氏 名

横井

ゆ う

定操作や、時間発展を含んだ一般の操作もここで定義する。また、量子系におけるエントロピーの 振る舞いや、それらから議論できるエンタングルメントについて述べる。

第三章では、第二章で述べた量子系の時間発展のうちの特別な場合として、対象系と環境系に分 けた系の運動方程式である

Lindblad

方程式を導入する。

第四章では、非平衡状態の量子系が熱力学的平衡に落ち着くまでを描写する幾つかの理論につい て述べる。これらは量子力学で記述される系が、統計力学における集団理論とどのように結び付く かを説明する。

第五章では、統計力学の量子力学的な起源についての我々の方法について議論をおこなう。量子 力学においては、古典理想気体の類推として、

Bose-Einstein

Fermi-Dirac

分布に従う粒子系につ

いて

Schrödinger

方程式を出発点とする議論をおこなう。理想気体においては、各粒子間の相互作

用は仮定されないが、実際に各粒子間に相互作用が無ければ、系が平衡状態に落ち着くことは無い。

従って、各粒子間に相互作用は存在するが、平衡状態になった時点で相互作用を無視することがで きる系が理想気体で記述できる系だと言うことができる。我々はこの考えを柱に統計力学的な描写 を得ることを目標とする。系のハミルトニアンは粒子数と位相の関数であると仮定し、位相演算子 の隠れたゲージ構造から相互作用を導入する。そして純粋状態の

Schrödinger

方程式から相互作用 を消去することで混合状態のミクロカノニカル集団が導出されることを示す。また、得られたミク ロカノニカル集団からカノニカル集団も導く。古典統計力学はこれらの高温極限から導かれる。

第六章では、第七章において「等エネルギー過程」について議論するため、マスター方程式に対 する弱保存量を定義する。次に、調和振動子を例として強保存量と弱保存量の違いを検討する。こ の系の各保存量に関する条件式から、系のダイナミクスが決定される。特に、調和振動子の弱保存 量に関する議論の特殊な場合が、強保存量になっていることが示される。

第七章では、等エネルギー過程について考察する。量子力学では、幾つかの古典系では現れない 環境系(もしくは浴)を考えることが可能である。その中の一つとして、エネルギーを一定にする エネルギー浴を考え、それに接した対象系がどのように振る舞うかを調べる。調和振動子と

Pauli

スピンを例として、エネルギー浴と接したこれらの系のダイナミクスが決定されることを示す。特 にスピンの例では、ハミルトニアンの時間変化から計算できる系からの出力をあらわに計算するこ とができる。

最後に、第八章において本学位論文のまとめをおこなう。本学位論文では、古典統計力学の根底 に量子力学が存在する一つの証拠として、量子力学を基に統計力学を表現する議論をおこなった。

また、統計力学、開放系の量子論で議論される

Lindblad

方程式を基に、量子論に特有の熱力学の振

る舞いを調べた。

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