(様式6号)「課程博士用」
学 位 論 文 の 要 旨
専 攻 名 材 料 科 学 専 攻 氏 名
ふ り が な
太
おお田
た司
つかさ○
印学位論文題目 トリー劣化の抑制に関する研究
(英訳又は和訳
Restraint Effect on Treeing Degradation )電気絶縁材料は、電力ケーブル、機器絶縁のほかエレクトロニクス分野においても幅広く使用さ れ、様々な要求特性に答えながら発展を遂げてきた。近年、電気エネルギーの効率的利用に対する 要請などから電力機器の高性能化や小型化が推し進められ、従来にもまして過酷な条件で絶縁機器 および材料を使用する機会が多くなっている。様々な高分子電気絶縁材料の中で、エポキシ樹脂は 特に優れた電気絶縁性を有し、幅広い特性改善のために無機充填剤が配合され活用されており、将 来も貢献できる材料である。
また一方、より「安全」で「環境に優しい」材料が求められており、有害ガスを出さないノンハロ ゲン系の無機系難燃剤である金属水酸化物が電線に添加された事例もみられる。金属水酸化物の難 燃化機構は、高温時に脱水・吸熱反応し、周囲から潜熱を奪いその温度を低下させることである。
高分子絶縁体が高電圧下で使用された場合、高分子絶縁材料中にボイドやクラックが存在すると、
電界が集中し局部的な放電が発生し、その結果材料中にトリー(Tree)状の破壊路を生じ寿命が著 しく低下する現象がある。水酸化アルミニウムは代表的な金属水酸化物であるが、絶縁体表面での トラッキング現象などの放電から母材の高分子の劣化を軽減するために多く用いられてきたが、絶 縁体内部で発生する放電現象(トリーイング破壊)に対してその効果を検討した例は報告されてい ない。金属水酸化物が熱エネルギーを吸収するように、放電エネルギーを奪い取れば部分放電の広 がりを抑えられ、絶縁体の耐電圧寿命を延ばすことが可能であり、ひいては機器自体の信頼性も向 上させられる。このような観点から、金属水酸化物の脱水・吸熱反応や吸熱性粒子に着目し、耐電 圧寿命に与える効果を検証することを目的に研究を進めた結果、トリー抑制剤として働くことを確 認した。金属水酸化物としては、① 水酸化マグネシウム ②アルミナ水和物(水酸化アルミニウ ム、ベーマイト)更に、水酸基を有せず脱水反応しない吸熱性粒子としては、③ 炭酸塩(炭酸カ ルシウム、炭酸マグネシウム)を取り上げ、課電後のトリー長計測、耐電圧寿命試験を実施し、
SEMや電子線回折により、それぞれの吸熱反応を確認した。
以下に順を追って主要な結果をまとめる。
1、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)の検討
1) 水酸化マグネシウム充填試料のトリーは、0.2mm 程度から伸びが抑制される傾向を示した。水 酸化マグネシウム
15重量部(高分子樹脂重量
100に対する充填剤重量の割合)充填試料は、エポ キシ単独試料よりも大幅に枝分かれが多い特徴が見られた。
2) 印加電圧
15kV~22.5kVの範囲において、エポキシ単独試料に比べ、15~30 重量部試料は
10~100 倍程度耐電圧寿命が延びることが確認できた。これは枝分かれの多いトリーの特徴による効
続紙 有□ 無□
(様式6号-続紙) 「課程博士用」
氏 名
ふ り が な