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論文の内容の要旨 氏名:伊

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:伊 藤 亜希子

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名: TMPRSS2-ERG融合遺伝子を標的としたピロール・イミダゾール(PI)ポリアミドの 前立腺癌に対する抗腫瘍効果の検討

【背景および目的】

前立腺癌は日本において近年増加傾向である。米国において

TMPRSS2-ERG

融合遺伝子は前立腺癌の 約半数に観察され、前立腺癌のマーカーおよび予後不良因子として報告されている。AR 依存性の

TMPRSS2-ERG

融合遺伝子発生にかかわる配列(Break Fusion Site)に結合する特異的な

PI

ポリアミド を設計し、生成抑制効果およびヒト前立腺癌に対する抗腫瘍効果の検討を行った。PIポリアミドは芳香族 アミノ酸

N-methylpyrrole(Py)および N-methylimidazole(Im)で構成される分子であり、DNA

に配 列特異的に結合する。

PI

ポリアミドと

DNA

への結合は、

DNA

結合蛋白と

DNA

の結合に相当する親和性 を持ち、Im/Py

Py/Py

の組み合わせ次第で、多様な配列の

DNA

に結合させることができる。この

PI

リアミドを各遺伝子のプロモーター領域の転写因子結合部位に結合させることで、遺伝子特異的な発現抑 制が可能である。

【対象と方法】

TMPRSS2-ERG

Break Fusion Site

に結合する

PI

ポリアミドを設計・合成し、Gel shift assayを用 いて上記配列に対する

PI

ポリアミドの結合能を検討した。次に

AR

を発現し、DHT刺激によって初めて

TMPRSS2-ERG

融合遺伝子を発現するヒト前立腺癌細胞株

LNCaP、AR

ならびに

TMPRSS2-ERG

が発 現している

VCaP

および

AR

ならびに

TMPRSS2-ERG

陰性ヒト前立腺癌細胞株

PC3

を用いて主要細胞株 への影響を検討した。アンドロゲン(DHT)刺激を行った

LNCaP

に、融合ポリアミドを投与し

TMPRSS2、

ERG

特異的プローブを用いた

FISH

法により転座陽性細胞率を計測した。陰性対照ポリアミド投与群につ いても同様に実験した。

次にLNCaP、

VCaP、 PC3

に対し、ポリアミド処理と

DHT

刺激を施行し、

qRT-PCR

にて

TMPRSS2-ERG

および

ERG

mRNA

発現レベルを分析した。また、細胞増殖速度は

MTS assay

を用いて測定し、細胞 の遊走能に与える影響については

Cell migration assay

により検討した。最後に、3×10個の腫瘍細胞を 皮下に移植した

7

週齢の雄マウスに融合ポリアミドまたは陰性対照ポリアミド週

1

回、4週間にかけて尾 静脈注射し、腫瘍の大きさを経時的に計測し、融合ポリアミドの

in vivo

における腫瘍細胞増殖抑制効果の 検討を行った。

【結果】

融合ポリアミドは

Break Fusion Site

に配列特異的に強く結合することが

Gel shift assay

により確認で きた。また、その効果は用量依存的であることが示された。

FISH

解析を行ったところ、陰性対照ポリアミ ドを投与した

LNCaP

において、

DHT

刺激後、TMPRSS2

ERG

の共局在を示す細胞数が有意に増加し た。一方、この

DHT

刺激による染色体転座は、融合ポリアミド投与群にて減少した。融合遺伝子の発現量

real time PCR

にて調べたところ、融合ポリアミド投与下では陰性対照ポリアミドと比較して有意に発 現が抑制されていた。VCaP では融合ポリアミドによる融合遺伝子の発現抑制効果は観察されなかった。

MTS assay

では、融合ポリアミドで処理した

LNCaP

は陰性対照ポリアミド処理群と比較して

DHT

刺激

4

日後に細胞増殖の有意な減少を示した。一方、PC3

VCaP

における細胞増殖には影響しなかった。

また、融合ポリアミド投与群では、LNCaP において細胞遊走を有意に減少させた。一方、VCaP および

PC3

においては、遊走能の抑制は観察されなかった。融合ポリアミドの

in vivo

における腫瘍細胞増殖抑制 効果の検討では、腫瘍増殖は融合ポリアミドで処置したマウスにおいて有意に減少した。

【結論】

今回設計した、前立腺癌特異的融合遺伝子

TMPRSS2-ERG

Break Fusion Site

を標的とした融合ポリ アミドは、標的

DNA

配列に結合し、アンドロゲン感受性のヒト前立腺癌細胞株

LNCaP

における融合遺伝 子の生成・発現を抑制した。更にこの

PI

ポリアミドは

LNCaP

の腫瘍成長を

in vitro

および

in vivo

にお いて抑制した。以上のことから、融合ポリアミドは前立腺癌に対して有意な遺伝子制御薬になりうると考 えられた。

参照

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