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街なかまちづくり活動における プロセス支援の方法論に関する研究

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街なかまちづくり活動における プロセス支援の方法論に関する研究

2 0 1 5 ( 平 成 2 7 ) 年 3 月 弘前大学大学院地域社会研究科

工 藤 裕 介

(2)

第一章 独自の取り組みを見出すことの重要性と方法論の必要性

1-1 研究の背景...2

1-1-1 まちづくりにおける独自の取り組みと主観の関係 ...2

1-1-2 街なかに関する活動組織と事業への関心...3

1-1-3 中心市街地活性化法による定型的取り組み...4

1-2 研究の目的...9

1-3 研究方法と論文の構成...11

1-4 方法論に関する研究の位置づけと意義...15

第二章 活動プロセスの把握とその枠組み化 2-1 本章の目的と構成...26

2-2 活動プロセスを捉える手がかり...28

2-2-1 任意エリアのマネジメントに関する既往研究の整理・検討 ...28

2-2-2 ツールの構築と活用に関する既往研究の整理・検討...30

2-2-3 活動のプロセスと手法化に関する既往研究の整理・検討...31

2-2-4 活動プロセスを捉えるため方法:フレームワークへの着目 ...33

2-3 フレームワークの特徴と方法論との関係...35

2-3-1 方法論としてのフレームワークの特徴...35

2-3-2 フレームワークの3つの思考パターン...36

2-3-3 フレームワークの思考パターンと方法論との関係 ...39

2-4 街なかの活動プロセスを構成する要素の抽出 ...41

2-4-1 循環のフレームワークとしての PDCA サイクル...41

2-4-2 実験的実践を並列的に進めるプロセス...42

2-4-3 エリアマネジメントのプロセス ...43

2-4-4 海外の街なかにおける活動プロセスとフレームワーク ...45

(3)

2-5-1 仮の枠組みの構築...52

2-5-2 高松市丸亀町商店街再開発への適用...52

2-5-3 長浜市黒壁の取り組みへの適用 ...54

2-5-4 各事例と仮の枠組みの問題点...56

2-6 活動プロセスをベースとした枠組みの構築...58

2-6-1 デザイン思考及び創造のプロセスの枠組み...58

2-6-2 自ら考え実行するための活動プロセスとその枠組み化 ...61

2-7 本章のまとめと課題...67

第三章 独自の取り組みを見出す方法の検討 3-1 本章の目的と構成...76

3-2 ソフトシステム方法論と研究課題の関係...78

3-2-1 アクションリサーチとソフトシステム方法論への着目 ...78

3-2-2 ソフトシステム方法論が誕生した背景とシステムの捉え方 ...79

3-2-3 ソフトシステム方法論の探索プロセス...81

3-2-4 ソフトシステム方法論と研究課題との関係...84

3-3 枠組み化した活動プロセスの再検討 ...85

3-3-1 青森県黒石市の概要...85

3-3-2 街なか通り再生プログラムの概要...86

3-3-3 黒石通り再生の全体のプロセスと枠組みの比較・内在化の確認 ....87

3-4 街なかレベルにおけるソフトシステム方法論の検討・確認...92

3-4-1 図あるいは絵による現状の表現・把握...92

3-4-2 ビジョンの記述:切り口としての関連システムの選択 ...95

3-4-3 コンセプトの検討:根底定義による活動内容の検討と記述 ...95

3-4-4 根底定義のチェック:CATWOE 分析...98

3-4-5 概念活動モデルの構築...101

3-5 事業レベルにおけるソフトシステム方法論の検討・確認 ...104

(4)

3-5-3 ビジョンの記述...106

3-5-4 コンセプトの検討:根底定義による検討と記述...107

3-5-5 根底定義のチェック:CATWOE 分析...108

3-5-6 概念活動モデルの構築...110

3-6 活動プロセスをベースとした枠組みの再構築と活動要素の検討・表現・記述 方法の構築:事業レベルの活動を支援する方法論 ...114

3-6-1 活動プロセスをベースとした枠組みの再構築 ...114

3-6-2 活動要素とその検討・表現・記述方法...115

3-6-3 街なかレベルと事業レベルの違いと課題...119

3-7 活動者及び方法論と活動者の関係...121

3-7-1 活動者についての整理...121

3-7-2 方法論と活動者の関係についての整理...121

3-8 本章のまとめと課題...123

第四章 街なかの活動を支えるエリアビジョンとその検討・作成方法 4-1 本章の目的と構成...130

4-2 街なかの活動における都市像・将来像としてのエリアビジョンの役割 ....132

4-2-1 街なかの活動に関連する2つのビジョン...132

4-2-2 都市像・将来像であるエリアビジョンの役割...134

4-3 アメリカのまちづくりにおけるビジョニングプロセス ...138

4-3-1 エリアビジョンの検討・作成の問題点:黒石通り再生の場合...138

4-3-2 ビジョニングプロセスの検討...139

4-3-3 ビジョニングプロセスの実際:ニューヨーク州立大学の取り組み ... ...142

4-3-4 エリアビジョンの重要性とビジョニングプロセスの問題 ...145

4-4 都市像・将来像としてのエリアビジョンの検討・作成の方法...147

4-4-1 エリアビジョンの検討・作成上の課題...147

(5)

4-4-5 エリアビジョンの検討・作成ができない場合の代替案 ...157

4-5 活動者及び方法論と活動者の関係...160

4-6 本章のまとめと課題...161

第五章 活動状況の把握・分析を主とした方法論の活用:活用方法の検討(1) 5-1 本章の目的と構成...168

5-2 改正中活法の基本計画の認定活動に対する分析的活用...170

5-2-1 企画委員会の活動状況...170

5-2-2 活動が順調に進まず曖昧になった要因...171

5-2-3 活動が順調に進まず曖昧になった要因の解決 ...173

5-2-4 基本計画認定活動の捉え直しと今後の対応の検討 ...179

5-2-5 協働・連携活動の明確化・具体化と支援の検討方法...183

5-2-6 独自の取り組みを支援することの難しさ...187

5-3 改正中活法による取り組みの全体像と支援の検討...189

5-3-1 改正中活法の取り組みの根底定義による明確化 ...189

5-3-2 改正中活法による取り組みの概念活動モデルによる具体化 ...189

5-3-3 改正中活法による取り組みの概念活動モデルによるさらなる具体化 .. ...191

5-3-4 改正中活法による取り組みへ全体の支援の検討...193

5-4 大館通り再生への分析的活用:土地区画整理事業への対応 ...196

5-4-1 大館通り再生の活動状況の整理 ...196

5-4-2 活性協の活動の明確化...199

5-4-3 活動内容のチェックと諸手段の具体化...201

5-4-4 区画整理活動の捉え直しと今後の対応の検討 ...203

5-5 活動者及び方法論と活動者の関係...208

5-5-1 活動者についての整理...208

5-5-2 方法論と活動者の関係についての整理...208

(6)

第六章 街なかでの一連の活動に対する方法論の活用:活用方法の検討(2)

6-1 本章の目的と構成...216

6-2 意味あるエリアビジョンが存在しない場合のアプローチ ...218

6-2-1 事業レベルにおける検討過程の例示...218

6-2-2 街なかレベルにおける検討過程の例示...220

6-2-3 意味あるエリアビジョンと活動の階層性の関係 ...226

6-3 エリアビジョンの検討・作成に関するアプローチ...228

6-3-1 街なか及び地区(商店街等)の資源や問題点等を書き出す...228

6-3-2 着目する資源や問題点等を整理し絞り込む...230

6-3-3 誰にとってどんな意味を持つのかを整理・表現する...234

6-3-4 実際のエリアビジョンとその問題点...237

6-4 エリアビジョンを踏まえた事業検討のアプローチ ...239

6-4-1 御成町3・4丁目周辺エリアと活動組織の現状...239

6-4-2 根底定義を用いた現状の検討と記述...239

6-4-3 根底定義を用いた事業の検討と記述...240

6-4-4 活動内容(根底定義)のチェック...244

6-4-5 活動の実施手段の具体化...246

6-5 活動者及び方法論と活動者の関係...250

6-5-1 活動者についての整理...250

6-5-2 方法論と活動者の関係についての整理...250

6-6 本章のまとめと課題...252

第七章 活動プロセスを支援する方法論の構築 7-1 街なかにおける「活動プロセスを支援する方法論」の構築...274

7-1-1 活動プロセスを支援する方法論の構築と街なかまちづくり活動 ...274

7-1-2 活動プロセスを支援する方法論の意義...275

7-1-3 方法論に関する課題...276

(7)

7-3 方法論を活用するための条件...288

7-3-1 活動者と方法論との関係...288

7-3-2 段階的・限定的な方法論の活用...289

7-4 方法論から街なかのマネジメントへ向けて...294

参考文献一覧...296

図表及び資料リスト...307

謝辞...312

(8)

第一章 独自の取り組みを見出すことの重要性

と方法論の必要性

(9)

2

第一章 独自の取り組みを見出すことの重要性と方法論の必要性

1-1 研究の背景

1-1-1 まちづくりにおける独自の取り組みと主観の関係

まちづくりでは、地域性、独自性、主体性などが必要だと言われ、地域住民や企業 あるいは NPO 等、地域構成員自らの取り組みが重要だと指摘されている 1)。つまり、

地域の状況に合わせて、何を行うのか、なぜ行うのかを自ら考えて実行しなければな らない。しかし上記は、こういった独自の取り組みや活動の必要性あるいは重要性で はなく、それができなくなっていることを指摘した と捉えることもできる。そしてこ の指摘は、都市計画(法)に対してではなくまちづくりに関してなされており、その ことが現在のまちづくりに問題があることを示唆しているとも言える。なぜなら、客 観的な分析や定型的な都市計画に対して、 まちづくりは地域に対する想いや理念に基 づいて、「何」を「なぜ」行うのか自ら考え実行していく活動だという印象があるから である 2)

まちづくりという言葉が登場するのは、1962 年に名古屋市栄東地区都市再開発運動 における「街づくり」が最初だと言われ 3)、ひらがなの「まちづくり」は 1980年代か ら定着していったようである 4)。時代が進むにつれてまちづくりも変化していく が、

変わらないことの1つに、地域構成員の地域に対する想いなどの「主観」を重視して いることだと考えている 5)。そして、主観がもっとも反映されるのが、活動における

「何」と「なぜ」だと言える。たとえ客観的に分析を行ったとしても、そこから何を 想い考えるのか、そしてその想いや考えに対して何を行うのか決定するのは、活動者 や検討する人だからである。従って、現在のまちづくりに対する先の指摘は、自ら「何」

を行い、それは「なぜ」なのか検討し決定できていないという捉え方ができる。

同様の問題は、本研究で対象としている街なかに関しても指摘されている。 街なか で重要な取り組みの1つに、1998 年7月施行された「中心市街地における市街地の整 備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(以下、旧中活法)」がある。同 法は 2006年8月に改正され、「中心市街地の活性化に関する法律(以下、改正中活法)」

として新たに施行されている。この改正中活法では、中心市街地活性化基本計画の作 成を必要とするが、土肥は「改正された中心市街地活性化法による基本計画の認定を 受けようと考える。必ず、雛形的なものが欲しくなる。結果先行して認定(中略)を 受けた例を模倣しがちになる 6)」と述べている。基本計画には、「何」に相当する事業 に関する内容や、その事業を実施する理由として「なぜ」につながる現状などを記載 するが、土肥の指摘は独自の取り組みにはなっていないことを意味している。

つまり、まちづくりや街なかの活動において、独自の取り組みはそれほど簡単なこ とではないと言える。こういった、独自の取り組みとして「何」や「なぜ」を見出せ

(10)

3

ない状況は、秋田県大館市における街なかの活動で筆者が直面したことでもある。大 館市では2つの活動に係わっているが、それらの活動では、何を行っていいのか分か らない状況や事例をそのまま実行しようとする状況、あるいは何をなぜ行っているの か自覚できていない状況にある。つまり、「何」と「なぜ」を見出すことができず、活 動が順調に進んでいない。

以上のように独自の取り組みの重要性が指摘され、「何」や「なぜ」を見出すことが できない状況に直面したことで、そういった状況や活動を支援する方法論の必要性を 実感してきた。しかし、実際の街なかの活動で意識され関心が向けられてきたのは、

活動を支援する方法論などではなく、 活動を実施する「組織」とその組織が行う「事 業」である。次はこの点について確認していく。

1-1-2 街なかに関する活動組織と事業への関心 7)

街なかに関する組織と事業の視点は、これまでの街なかや商店街への政策的対応に 表れている。街なかへの主な政策的対応は、都市政策と商業政策の2つあり、商業政 策はさらに次の2つに区分できる。1つは商業調整政策であり、これは、大型店の店 舗面積の拡大を抑制することで大型店の活動を調整し、中小小売商の事業機会を確保 する政策である。2つ目は、直接商店街や中心市街地にテコ入れする商業振興政策で ある。ここでは、商業振興政策の経緯を整理することで、街なか の活動における組織 と事業への視点を示す。

まず、商業振興政策の特徴を整理すると次のようになる。公共政策としての商業振 興政策は、①個店への支援は経済活動の一部ということで慎重である。そのため、② 組織への支援という形で政策が実施され商店街を支援している。支援内容は、③建築・

土木を主としたアーケードや駐車場、店舗改築などが対象として多い状況にある。ま た、商業振興政策によって④商店街という場所が明確になった、以上の4つである。

商店街の組織化に関しては、1932 年9月に制定された商業組合法がもっとも早い時 期の政策になるが、この制度にはまだ商店街という考え方はない。初めて商店街を対 象にした法律は、1962 年5月に制定された商店街振興組合法である。同法は、商店街 が形成されている地域において、環境整備等の事業を行なうために必要とされる、組 織(商店街振興組合)に関する必要事項等が定められている。対象となる地区は、事 業を営む者が 30 人以上必要とされ(法第6条)、ある程度商業の集積が求められてい る。

そして、同時期の組織活動への支援制度としては、1963 年に制定された中小企業近 代化資金助成法及び中小企業高度化資金融通特別会計法に基づいた融資が ある。商店 街に関するものでは、アーケードやカラー舗装、共同駐車場の設置、共同店舗事業、

店舗の建て替えなどがあり、これらは全国各地で取り組まれていった。

商業振興政策が初めて体系化されたのは、1973 年9月に公布された中小小売商業振 興法によってである。同法の目的は、商店街の整備、店舗の集団化、共同店舗等の整 備事業を行い、中小小売商業者の経営の近代化を促進させることである(法第1条)。

(11)

4

そのためには、次に示す高度化事業計画を作成して通商産業大臣(現経済産業大臣)

の認定を受けることになる。

高度化事業計画は、商店街整備計画(商店街のアーケード、街路灯などの設置)、店 舗集団化計画(新たな区画への商業集積等)、連鎖化事業計画(チェーン店化)、共同 店舗等整備計画(共同出資などによる休憩所等の設置)、電子計算機利用経営管理計画

(電子計算機による経営の合理化)、商店街整備等支援計画(中小企業者が出資した会 社等のアーケード、街路灯などの設置)である。認定された計画では、アーケードや 街路灯、カラー舗装などの商店街整備計画が圧倒的に多くなっている 8)

その後、1995年6月に策定された「21 世紀に向けた流通ビジョン―我が国流通の現 状と課題」で、初めて中心市街地という場所の商業 の空洞化が記載され、1997 年8月 の「中心市街地における商業振興について(中間とりまとめ)」が旧中活法へとつなが る。商業振興政策の特徴として「③建築・土木を主としたアーケードや駐車場、店舗 改築などが支援対象として多い」を挙げたが、次で見るように、 改正中活法の取り組 みにおいてもそれほど大きな違いはない。つまり 単純に事業を取りあげた場合、商業 振興政策に関しては、同じ取り組みや事業を繰り返し行っている状況とも言える。

1-1-3 中心市街地活性化法による定型的取り組み

改正中活法は、商業振興政策の代表的な政策の1つと言える。ここでは、改正中活 法の政策としての考え方や各都市の取り組みについて確認していく。

(1)改正中活法が求める手段と各都市の事業

改正中活法第一条には、同法の目的が「(中略)中心市街地における都市機能の増進 及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進(中略)」にあると述べられている。ま た第二条一では、中心市街地の場所の要件として「(中略)相当数の小売商業者が集積 し、及び都市機能が相当程度集積しており、(中略)中心としての役割を果たしている 市街地であること」と記されている。改正中活法の目的や場所の要件からは「都市機 能」を集積させること、そして「経済・商業機能」を向上あるいは強化させること、

といった内容が活性化の目的として読み取れる。

以上の活性化の目的を達成するために、改正中活法第九条2の基本方針及び内閣府 地域活性化推進室地域活性化統合本部会合が示している「中心市街地活性化基本計画 認定申請マニュアル<平成 26 年度版>9)」では、活性化の実現手段となる事業について 次の5つを求めている。

1つ目は「土地区画整理や市街地再開発等の面整備事業及び道路、下水道等の都市 基盤施設の整備事業」、2つ目は「教育文化施設や医療施設などを集積する事業」、3 つ目は「多種多様な居住条件に対応した住宅と居住環境を向上させる事業」、4つ目は

「多種多様な業種・業態の店舗配置や商業基盤の整備に関する事業」、最後の5つ目が

「新交通システム、LRT 等の整備、運行ダイヤの改善などの公共交通に関する事業と その他の特定事業」である。ハード(施設等)に関連する大規模事業を中心に、あら

(12)

5

ゆる都市機能(経済・商業機能を含む)に関する手段が 求められている。

次は、実際に各都市で計画されている経済・商業機能に関する事業を、表1-1を 用いて確認する。この表には、30都市の基本計画の経済・商業機能に関する事業から、

記載が多いものと少ないものそれぞれ4つ示している。対象とした 30 都市の選定は、

まず 2012 年3月(平成 23 年度)までのフォローアップ(成果の自己申告書)を報告 し、中心市街地活性化基本計画(以下、基本計画)をウェブサイトから入手可能であ った 91 都市を抽出した。そこから、街なかの中心的位置づけとなる商店街に関する指 標として、販売額の成果を報告していた 30 都市に絞り込んでいる。

対象とした 30 都市の事業数の合計は 731 であり、1都市平均 24 の事業が計画され ている。この 731 の事業内容の傾向を把握するために示したのが表1-1である 10) 上位4つの事業である、イベントや祭り、建造物等の建設・整備、補助・支援等(人、

物、金、情報)に関しては対象とした 30都市すべてで計画され、空き店舗等の活用は 29 都市で計画されている。下位事業の中でも特に少ないのが、7都市だけ の既存店へ の経営支援 11)、及び松山市のみの商店街独自の収益事業である 12)

建造物等の建設・整備事業は、対象の 30都市すべてで計画され、各都市で重視して いることが表れている。大規模事業あるいは建築・土木などの上位事業に関しては、

先の政策的対応における商業振興政策でも多く取り組まれていた。また、「街なか全体

商業事業 都市数 事業の概要

イベント・祭り

等の実施 30 店舗オープン時や定期のイベント、文化や歴史に基づ いた体験講座等の実施、イベントの仕組みづくり、等 建造物等の建

設・整備 30 居住や商業などの複合ビルの建設、空きビルの再整 備、アーケード・ファサード整備、駐車場整備、等 補助・支援等

(人・物・金・

情報)

30 活動等へのアドバイザー派遣、人材育成や支援、賃 料・店舗整備等への助成、経営に関する座学、等 空き店舗等の

活用 29 店舗やビル内の店舗あるいは跡地等の活用、等

商品等の開発 16 商品や旅行商品などの開発、ブランド構築・認証等、

観光・回遊ルートの開発、等 起業者経営支

15

商業アドバイザーなどによる現場での指導・個別指 導、各種調査などの実施・支援、経営理念の作成から の一連の支援、等

既存店経営支

7

商業アドバイザーなどによる現場での指導・個別指 導、各種調査などの実施・支援、経営理念からの見直 し、等

商店街収益事

1 広告の掲載による収益事業

表1-1 経済・商業機能に関する上位・下位の事業

(13)

6

の成果」の視点で販売額を捉えた場合、商業施設などを含む「建造物等の建設・整備 事業」は、「起業者経営支援」や「既存店経営支援」事業よりも、販売額の規模が大き くなり貢献度が高い事業とも言える。

(2)活性化の成果としての指標

さらに基本方針では、活性化の「成果」として居住人口、歩行者通行量、事業所数、

従業者数、年間小売販売額、空き店舗等の指標が明示されている 13)。概ね各都市の基 本計画で使用されている指標を整理したものが表1-2となる。都市機能に関する指 標と経済・商業機能に関する指標が同数で合計8つある。成果として必ず設定する指 標はなく、各指標の関係も明示していない。そのため基本計画を策定する都市では、

自由に、あるいは柔軟に活性化の成果を設定できるという解釈も可能である。

表1-2に示した指標は、 基本計画に記載する事業を実施することで改善を目指し ていくことになる。従って、事業は「何」に相当し、目標指標はその理由である「な ぜ」に相当すると捉えることができる。この「なぜ」に相当する表1-2の目標指標 の中で、各都市が設定している一般的なものが、都市機能に関する指標として 街なか の「通行量」「居住人口」、経済・商業機能に関しては 「販売額」の3つだと言える。

そしてこれら3つの指標について、基準値 14)からの増減状況を示したのが表1-3で ある。この表からは、ほぼ事業による成果がでていないことが分かる。

しかし、そもそも衰退傾向にある街なかにおいて、「街なか全体」で販売額や他の指 標が増加傾向になるという設定あるいは考え方は、果たして適切なものなのかという 疑問もある。つまり、増加は難しくとも衰退傾向を弱めるといった柔軟な考え方や設 定も重要ではないかと考えられる。例えば、図1-1に示している伊賀市のような 、 販売額の指標に対する目標値の設定である。

伊賀市では、2008(平成20)年 11月に基本計画が認定され、目標達成の最終時期は

2012(平成 24)年度となっている。図1-1には、販売額と通行量の指標の推移を示

しており、それぞれ目標を達成するとゼロになる 15)。通行量は基準年から若干増加傾 向にあるが(表1-3)、販売額は減少となっている。しかし伊賀市では、販売額が減 少傾向となっているが目標値を達成しているめずらしい都市、あるいは他とは違った 都市だと言える。減少傾向にありながら目標を達成しているのは、 基準値よりも目標 値を低く設定しているためである。これは、街なか全体で販売額を増加させることが

都市機能 経済・商業機能

通行量(自転車含) 年間小売販売額

居住人口 空き店舗数・率

公共施設利用者(観光含) 店舗数

公共交通利用者 従業員数

表1-2 目標指標の項目

(14)

7

難しいと判断し、減少傾向を緩やかにするという目標値の設定の仕方と言える。

基準値よりも目標値を低く設定している都市は、販売額の成果を報告している 30 市では伊賀市以外に存在していない 16)。伊賀市では一般的な目標指標を用いているが、

その考え方や設定方法は、現状に合わせて柔軟に取り組んでい ることが分かる。指標 の設定方法だけではなく、指標自体の考え方を都市の状況 に合わせて独自に検討する ことが重要だと言える。

以上のように改正中活法による街なかの活動では、 同法において事業(何)の大枠 人口規模 都道府県 市町村 販売額 通行量 居住人口 5 万人未満 岩手県 久慈市 ↗ ↗

10~20 大分県 別府市 ↗ ↘

30~50 群馬県 高崎市 ↗ ↘

5 万人未満 佐賀県 小城市 ↘ ↗

5~10 三重県 伊賀市 ↘ ↗

5~10 熊本県 山鹿市 ↘ ↗

50~100 鹿児島県 鹿児島市 ↘ ↗

30~50 香川県 高松市 ↘ ↗ ↗

30~50 秋田県 秋田市 ↘ ↗ ↗

5 万人未満 北海道 砂川市 ↘ ↗ ↘

5 万人未満 青森県 三沢市 ↘ ↗ ↘

10~20 山口県 山口市 ↘ ↘ ↗

20~30 青森県 青森市 ↘ ↘ ↗

30~50 岐阜県 岐阜市 ↘ ↘ ↗

50~100 静岡県 浜松市 ↘ ↘ ↗

50~100 福岡県 北九州市(黒崎) ↘ ↘ ↗

5 万人未満 高知県 四万十市 ↘ ↘ ↘

5~10 栃木県 大田原市 ↘ ↘ ↘

10~20 熊本県 八代市 ↘ ↘ ↘

30~50 愛知県 豊橋市 ↘ ↘ ↘

10~20 山梨県 甲府市 ↘ ↘

20~30 岩手県 盛岡市 ↘ ↘

30~50 千葉県 柏市 ↘ ↘

30~50 奈良県 奈良市 ↘ ↘

30~50 兵庫県 尼崎市 ↘ ↘

30~50 大分県 大分市 ↘ ↘

50~100 千葉県 千葉市 ↘ ↘ 50~100 愛媛県 松山市 ↘ ↘ 50~100 静岡県 静岡市(静岡) ↘ ↘

50~100 熊本県 熊本市(植木) ↘ ↘ 表1-3 販売額・通行量・居住人口の増減状況

(15)

8

は既に与えられており、それにともなって指標あるいは成果(なぜ)に関しても予め 決まった状態となっている。また指標の設定に関しても、柔軟かつ独自に設定してい る都市は、ほぼ存在していないと言っていい状況である。改正中活法では、各都市に 合わせた独自の取り組みや特徴を見出していくというプロセスには、それほど着目し ていないと指摘することができる 17)

-60.0 -40.0 -20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0

H10 H15 H20 H24

通行量 基準値 販売額

図1-1 伊賀市の目標指標の推移

(16)

9

1-2 研究の目的

街なかも含めたまちづくりは、想いなどの主観を大切にして、地域構成員自ら取り 組みを行っていくのではなかっただろうか。しかし、現在は 想いなどの主観に基づい て「何」を「なぜ」行うのか、及びその成果とは何であるのか等を自ら 考えて実行し ていくことができていない状況にある。そういった 活動状況に限界と問題を感じ、そ れを何とかしたいと考えている活動者がいるはずである。

以上のような状況に対して本研究は、想いなどの主観を排除することなく、街なか における独自の取り組みや活動を見出していくための、支援を可能とする方法論を構 築すること、そしてその方法論によって街なかを対象にしている活動者へ資すること を目的とする。

そこで、上記目的を達成するために次の4つを研究課題として設定する。

(1)「何」と「なぜ」を見出す「プロセスとその方法」を探る

(2)「プロセスと方法」をベースにした活動を支援する方法論を構築する

(3)構築した方法論がどのように活用できるのか検討する

(4)街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条件等を整理する

想いなどの主観が反映される「何」と「なぜ」を自ら考え て実行していくには、単 に「何」と「なぜ」に関する 答えを提供するのではなく、その答えを自ら導いていく プロセスとその方法が重要になると考えられる。従って、研究課題(1)「何」と「な ぜ」を見出すために、活動の「プロセスとその方法」を探ることが必要になる。 この 研究課題(1)は、「街なかでの活動のプロセスを捉える」こと、及びそのプロセスに おいて「「何」と「なぜ」を見出す方法を探る」ことの2つを意味する。

次に、上記(1)で捉えた活動の「プロセス」と「何」と「なぜ」を見出す方法を 基にして、研究課題(2)「プロセスと方法」をベースにした活動を支援する方法論を 構築する。この方法論は、答えを与えるのではなく、独自の活動を見出していく過程 を支援する方法論である。ただし、捉えた「プロセス」と「何」や 「なぜ」を見出す 方法が、実際に活用できるとは限らないため、問題点や不十分な点がないかを検討し、

仮に問題点などがある場合はそれらを改善して方法論を構築する必要がある。この段 階で構築する方法論は、「活動を支援する方法論」と呼ぶ。

活動を支援する方法論を構築した後は、研究課題(3)構築した方法論がどのよう に活用できるのか検討する。 この課題は、方法論によって独自の取り組みや活動を見 出すことができるのか検討・確認するものである。

また、次の研究課題(4)街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条件等 を整理することも、実際の活動を見据えた場合は重要である。 そのため、活動者ある いは方法論の活用者になり得る、取り組みの関係者にも着目して検討・確認していく 必要があると考えている。従って研究課題(4)については、研究課題(1)から(3)

(17)

10

を通して、「活動者及び構築する方法論と活動者の関係」を適宜捉えていくこととする。

以上の研究課題(1)から(4)までの検討を踏まえて、本研究の目的である独自 の取り組みや活動を見出していくための、支援を可能とする方法論を構築する。 最終 的に構築する方法論は、街なかにおける活動 の過程を助けることから「活動プロセス を支援する方法論」と呼ぶこととする。また、活動者及び構築する方法論と活動者の 関係から、研究課題(4)の街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条件等 を整理して提示する。研究課題(4)は、街なかを対象にしている活動者へ資するた めの問題点や条件等の整理を意味する。

(18)

11

1-3 研究方法と論文の構成

本研究の目的と4つの研究課題に対しては、資料・文献調査、フィールド調査、実 践研究を基本的な研究方法とし 18)、これら3つの方法でデータ・資料を収集し考察す ることで取り組む。研究の目的と課題及び研究方法の関係については、論文の構成と 合わせて以下で説明する。

本論文は、図1-2に示した7つの章で構成され、以下に各章の内容を詳しく説明 していく。

まず、第一章となる本章では、研究の背景と目的、研究の課題、本論文の構成、及 び方法論に関する研究の位置づけと重要性を述べる。

第二章は、研究課題(1)「「何」と「なぜ」を見出す「プロセスとその方法」を探 る」ことのうち、「街なかでの活動のプロセスを捉える」こと に取り組む。まずは、ど のように「街なかでの活動のプロセスを捉える」ことが可能かつ必要なのか検討する。

この検討では既往研究や文献を整理して行うが、その整理からフレームワーク (枠組 み)の考え方に着目することになる。フレームワークあるいは枠組みには、プロセス をベースにした考え方や捉え方が あり、この考え方を基にして街なかにおける活動の プロセスを捉える。そして、捉えた活動のプロセスをベースにして「方法論の枠組み」

を構築する。第二章では、先行文献や先行研究のデータ・資料を中心に分析すること で、プロセスをベースにした「方法論の枠組み」を構築することになる。

第三章では、研究課題(1)「「何」と「なぜ」を見出す「プロセスとその方法」を 探る」で残された、「何」と「なぜ」を見出す「方法」を探る。その方法として着目す る の が 、 ア ク シ ョ ン リ サ ー チ の 方 法 論 「 ソ フ ト シ ス テ ム 方 法 論 (Soft System

Methodology:SSM)」である。SSMは、「何」を見出すための探索プロセスと各方法で

成り立っており、さらには「意図」や「観念」と呼ばれている「主観」を重視しても いる 19)。この SSMと第二章で捉えた活動のプロセス(枠組み)を対象に、方法論とし て用いることができるか検討・確認することになる。

第三章で行う検討・確認とは、まず第二章で構築した枠組み(捉えたプロセス)と 実際の活動(実践事例の)プロセスを比較することで、枠組みに問題がないかを把握 し、かつ見出した問題に対応することである。次に、SSM が方法論として取り入れる ことができるか検討するが、その検討は実践事例の活動プロセスを SSMの各方法で記 述する方法で行う。第三章で対象とする実践事例は、筆者が係っている青森県黒石市 の街なか通り再生プログラム という活動である。この取り組みは、自ら「何」や「な ぜ」を見出し独自の活動を進めており、そういった活動では第二章で捉えたプロセス SSMの方法を見出すことができるのではないかと考えている。つまり、活動プロセ ス(枠組み)と SSM の内在化を検討・確認することとも言える。

また SSM は、研究課題(4)「街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条 件等」に関連する、「活動者」についても重視している。そこで本章以降からは、研究 課題(4)に関する「活動者及び方法論と活動者の関係」についても適宜捉えていく。

(19)

12

以上の第三章では、フィールド調査及び実践事例 のデータ・資料を扱うため、それら に筆者の意見や考えも含まれることになる。

SSM は、有益な方法論だと第三章の検討・確認で判断することになるが、それだけ では、街なかの活動に対応することができないこともまた明らかとなる。そこで、第 四章ではこの問題に対応する。SSMで対応することができない「何」や「なぜ」とは、

まちづくりや街なかの活動でも一般的な都市像や将来像としての「エリアビジョン」

を検討し作成することである。街なかの活動におけるエリアビジョンは、事業の「何」

方法論の活用方法の検討 活動を支援する方法論の構築

第一章

街なかでの活動を支援する方法論の必要性

第二章

活動プロセスの把握と その枠組み化

第三章

独自の取り組みを見出 す方法の検討

第四章

街なかでの活動を支え るエリアビジョンとその 検討・作成方法

第五章

活動状況の把握・分析を主とした方 法論の活用:活用方法の検討(1)

研究課題に対する結論

第六章

街なかでの一連の活動に対する方 法論の活用:活用方法の検討(2)

第七章

活動プロセスを支援する方法論の構築と活用への課題

図1-2 論文の構成

(20)

13

に対して「なぜ」に相当する。つまり街なかの活動では、事業を検討・実施する理由 の位置づけがエリアビジョンとなり重要な要素である。しかし、具体的なエリアビジ ョンの役割や重要性が不明なため、黒石市の活動も含め て明確なエリアビジョンの捉 え方はなく、かつ検討・作成方法も存在していない 。そこで、この問題に対応するた めに、新たに経営学やマーケティングで用いられる方法あるいは考え方 となる、「消費 者の購買行動プロセス」と「ポジショニング」に着目する。

第四章では、まずエリアビジョンの役割を明確にするとともに、上記 2つの考え方 を参考にして「エリアビジョンを検討・作成する方法」を構築する。 消費者の購買行 動プロセスやポジショニング もまた、消費者の主観が関連する「製品やサービス、あ るいは企業(何)」などを対象にした方法や考え方である 20)。街なかは、好むと好まざ るとにかかわらず、郊外や近隣都市の街なかと競争が生じてしまう。そのような状況 では、経営学やマーケティングの考え方や手法などは、街なかの活動においても非常 に参考になると考えている。

以上の第四章までで、基本となる方法論は構築できたことになる。つま り、第二章 で捉えた街なかの活動プロセス及び第三章の「何」や「なぜ」見出す方法 、そして第 四章のエリアビジョンの検討・作成方法が、「活動を支援する方法論」となる。従って、

研究課題(2)の「「プロセスと方法」をベースにした活動を支援する方法論を構築 」 できたことになる。続く第五章と第六章では、この方法論の活用に関する研究課題(3)

「方法論がどのように活用できるのか検討する」に取り組み 、方法論によって独自の 取り組みや活動を見出すことができるのか 検討・確認していく。この検討・確認は、

筆者が係っている秋田県大館市の街なかにおける活動を実践事例として行う。

第五章では、大館市における中心市街地活性化基本計画の認定に向けた活動、及び 街なか通り再生プログラムを対象として、 方法論の活用について検討・確認する。前 者は企画委員会という組織が つられ活動に取り組んでおり、 後者の街なか通り再生プ ログラムは、御成町南地区まちづくり活性化協議会が活動を行っている。街なか通り 再生プログラムについては、並行して土地区画整理事業も行われており、方法論は土 地区画整理事業への対応に用いる。

両活動は試行錯誤を繰り返しているが、「何」を見出すことができず曖昧な状況が続 いており、第三章の事例である黒石市の活動とは対照的な状況にある。第五章におけ る独自の活動とは、方法論を用いて活動状況を分析し、その状況に合わせた解決策 や 取り組みを見出すことを意味する。この第五章で扱うデータ・資料は、フィールド調 査及び実践事例で作成された議事録などであり、筆者のメモ等から作成した記録も対 象となる。そのため、データ・資料には筆者の考えや発言内容も含まれ、かつ本研究 の方法論を用いて作成した資料なども含まれる。

第六章は、第五章と同じく大館市の街なかを対象に方法論を活用し、独自の取り組 みを見出すことができるか検討・確認するが、ここでは次の2つの活動に方法論を活 用し、その検討過程を例示する。1つは、第五章の企画委員会からの要望に基づいて、

全国的に取り組まれている既存の事業を大館市の街なかで実施する場合の検討である。

(21)

14

これは、他都市で行われている既存事業を独自の取り組みにしていく 検討過程となる。

もう1つは、大館市の街なか通り再生プログラムに取り組んでいる地区を対象に、方 法論を活用して独自の活動を見出していく過程を例示する。大館市の街なか通り再生 プログラム自体も、先の取り組みと同様に曖昧な状況が続いており、黒石市の活動と は対照的である。そうった活動状況に対して方法論を活用し、独自の活動を見出して いく過程を例示していく。

最終章となる第七章では、第六章までの研究課題(1)から(3)の検討を踏まえ て、本研究の目的である「活動プロセスを支援する方法論」を構築 する。この構築し た方法論は、本研究のタイトルでもある「街なかまちづくり活動」を表すことになる。

また、各章で捉えた活動者及び構築する方法論と活動者の視点から、 研究課題(4)

街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条件等を整理して提示 する。

そして第七章の最後は、上記の街なかでの活動プロセスを支援する方法論、及びそ の方法論と活動者の関係から、街なかのマネジメントへ向かうための論点を見出して 整理し、本論文の結びとする。街なかをマネジメント(management)すること、ある いは街なかをマネージ(manage)することは、街なかの活動において重要な課題ある いはテーマだと考えている。

(22)

15

1-4 方法論に関する研究の位置づけと意義

本研究の目的である「方法論」に関する研究は、街なかに限定せず広くまちづくり を対象にしても非常に少ない状況にある。また、本研究の目的であり最終的に構築す る「活動プロセスを支援する方法論」 にまで絞り込むと、管見ではあるが既往研究は 存在していない。

従って、ここでは街なかの活動に関連する既往研究を整理することで 、方法論全般 に関する研究の意義を述べることとする。本研究の目的である「活動プロセスを支援 する方法論」については、第二章において関連する既往研究をレビュー する。ただし、

上述したように、方法論に関する研究自体が非常に少ないため、街なかや方法論だけ に限定せず幾つか着目点を整理し 、その着目点に関係した研究を 広く対象とする。ま た本研究の意義については、具体的に方法論を構築できた段階で示すことが可能だと 考えているため、本論文の最終章で述べることにする。

まずは、街なかの活動に関連する既往研究を整理し、方法論全般に関する研究の意 義を示すために、各研究を図1-3のように捉える。方法論が必要だと考えたのは、

実際の活動を支援するためであり、各研究も実践の視点から捉え整理することにした。

街なかの活動に関連する研究 は多様に行われ、それぞれが個別に独立したものとなっ ているが、図1-3に示した実践の視点を取り入れることで、 各研究の位置づけを把 握することができる。

図のⅠは活動を実践する組織に関する研究、Ⅱは実践するための方法論に関する研 究、Ⅲは実践する事業や手段等に関する研究、Ⅳは取り組みに関連する法制度に関す る研究、Ⅴは実践に資するその他の研究を意味している。そして、本節のⅠ、Ⅲ、Ⅳ、

Ⅴの【既往研究の一覧】に、対象となる既往研究を 示している。ここでは各既往研究 の内容を詳しく説明することはせず、図1- 3に示した各研究の関係や捉え方につい て概説し、街なかの活動において方法論の研究に取り組むことの意義を述べる。

図1-3に示しているⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴの既往研究について、次のように本研究 では捉えている。それは、まず活動を実践するのは個人が集まって形成される組織(Ⅰ)

Ⅰ活動組織

Ⅲ事業や手段

Ⅳ関連する法制度

Ⅴその他の調査

図1-3 街なかの活動に関連した各研究の関係性

(23)

16

であり、その組織が必要な活動を検討・実施すると捉えれば、それは方法論を実施す る(Ⅱ)ことであるとも言える。そして活動組織が、必要な検討を通して具体的な事 業や何かしらの手段に取り組む(Ⅲ)、あるいは活動を実施するために必要な調査(Ⅴ)

を行うこともある。また、事業や手段等を実施するために、関連する 法制度等を活用 する(Ⅳ)ことも考えられる。

以上の既往研究の関係において、実際の街なかの活動ではイベントなども含め、事 業を実施すること(Ⅲ)が一般的である。あるいは、その事業に必要な法制度や補助 制度の調査・活用(Ⅳ)、また補助制度を申請するための必要な地域調査(Ⅴ)なども 行われている。しかし、特に重要だと言われるのは 活動組織(Ⅰ)であり、活動の参 加者は事業等(Ⅲ)への関心や意識が強いように見える。活動組織の場合は、事業の 実施や関連法制度の活用など、図1-3に示した(Ⅰ)から(Ⅴ)すべてを実行する、

あるいはすべてに関係する位置づけとなり、さらには 活動の基盤にもなるため、重要 視されるのは当然のことでもある。

ただし、本研究で重視している方法論(Ⅱ) についてもすべてに関連すると考えて おり、方法論(Ⅱ)を介することでそれぞれがつながり合うと捉えている。つまり 、 活動組織(Ⅰ)から調査(Ⅴ)のすべてが、活動プロセスをベースにした方法論(Ⅱ)

の一部として捉えることができる。その捉え方によって、 独立した個別の各研究が、

関連し合った状態で把握・整理することが可能になる。

以上の既往研究の捉え方のように、本研究では実際の街なか での活動を重視してお り、方法論(Ⅱ)に関する研究の蓄積は、街なかの活動に関する「研究」に加えて、

実際の「活動」においても重要になると考えている。

【Ⅰ:組織に関する既往研究の一覧」

「市民組織、TOM、活性化協議会等の活動展開・実態・協働等に関する既往研究」

野嶋慎二、松元清悟「まちづくり市民組織の発足と展開のプロセスに関する研究

―長浜市中心市街地の事例」『都市計画論文集』№36、日本都市計画学会、pp.7-12、

2001

古田篤司「新開地まちづくり NPO―本当に実践されるタウンマネージメント」矢 作 弘 、 瀬 田 史 彦 編 『 中 心 市 街 地 活 性 化 三 法 改 正 と ま ち づ く り 』 学 芸 出 版 社 、 pp.228-237、2006

間舘祐太、岡崎篤行、梅宮路子「中心市街地活性化協議会におけるタウンマネジ メントの実態と課題―中心市街地整備推進機構として認定された NPO法人に着目 して」『都市計画論文集』Vol.46、日本都市計画学会、pp.985-990、2011

中村崇、原田弘子、戸田常一「中心市街地活性化協議会における協働プロセスに 関する研究―中国地域の4都市を事例として」『都市計画論文集』Vol.46、日本都 市計画学会、pp.1045-1050、2011

「街なか・商店街における活動組織の役割や機能等に関する研究」

(24)

17

多田麻梨子、出口敦「商店街整備・運営におけるマネジメント組織の役割―新天 町商店街を事例として」『2007 年度大会(九州)学術講演梗概集』日本建築学会、

pp.247-250、2007

柏原沙織、北沢猛「地方小都市のまちづくりにおける中間機能に関する研究―福 島県田村市船引町の中心市街地をケーススタディとして」『2009 年度大会(東北)

学術講演梗概集』日本建築学会、pp.193-196、2009

【Ⅲ:事業や手段等に関する既往研究一覧】

「空き店舗に関する既往研究」

吉岡宏高、大坂谷吉行「室蘭市における空き店舗 対策事業に関する考察―商店街 の再編と活性化をめざして」『都市計画論文集』№34、日本都市計画学会、pp.559-564、

1999

浅野純一郎「地方都市中心市街地における大規模商業施設の閉店や郊外移転の実 態とその後利用・跡地利用の方向性―北陸甲信越地方の地方自治体担当部局への 調査から」『日本建築学会計画系論文集』第 557 号、日本建築学会、pp.257-264、

2002

宇於崎弘実、野嶋慎二「店舗育成手法としてのチャレンジショップ事業の現状と その要件―富山市中央通り商店街の事例」『日本建築学会技術報告集』第 15 号、

日本建築学会、pp.301-306、2002

野嶋慎二、玉置伸悟「小規模賃貸店舗の展開特性とその集積街区の受け皿機能に 関する研究」『日本建築学会計画系論文集』第 530号、日本建築学会、pp.193-200、

2000

杉井勇太、大村謙二郎「店舗の入れ替わりからみた地方中心商店街の変容と課題

―富山市を事例として」『都市計画論文集』№39、日本都市計画学会、pp.31-36、

2004

「空き家や居住環境等に関する既往研究」

北原啓司「コンパクトシティにおける住み替えの可能性に関する研究」『2007年度 大会(九州)学術講演梗概集』日本建築学会、pp.259-262、2007

中園眞人、大内裕子、山本幸子「改修を前提とした長期借家契約方式と改修計画 策定手順の提案―定期借家方式による民家再生システムに関する研究」『日本建築 学会計画系論文集』第 594号、日本建築学会、pp.147-154、2005

中園眞人、繁永真司、村上和司、山本幸子、鵤心治「地方都市中心市街地におけ る空き家の活用意向と借家再生の可能性―定期借家方式による民家再生システム に関する研究」『日本建築学会計画系論文集』第 618号、日本建築学会、pp.109-116、

2007

「景観整備の手法やデザイン、景観や風景の計画及びコントロールに関する既往研究」

(25)

18

樋口忠彦『景観の構造―ランドスケープとしての日本の空間』技法堂出版、1975

芦原義信『街並みの美学』岩波書店、2001

瀬戸口剛「地方都市の中心市街地活性化におけるデザインプログラムの進め方に 関する考察―アメリカメインストリートプログラムを事例として」『日本建築学会 技術報告集』第 17号、日本建築学会、pp.397-401、2003

西村幸夫+町並み研究会編『日本の風景計画―都市の景観コントロール到達点と 将来展望』学芸出版社、2003

「市街地再開発に関する既往研究」

三島伸雄「佐賀市における閉鎖再開発ビル再生への取り組み」矢作弘、小泉秀樹 編『定常型都市への模索―地方都市の苦闘』日本経済評論社、pp.98-123、2005

濱谷雅弘、大垣直明、久保勝裕、常見将広「北海道地方都市の市街地再開発事業 における公共支援の動向に関する研究」『日本建築学会計画系論文集』第 73 巻第 633号、日本建築学会、pp.2379-2387、2008

久保勝裕、大垣直明、小財崇義「北海道の地方小都市における周辺市街地の状況 からみた市街地再開発事業の運営実態に関する研究」『日本建築学会技術報告集』

16巻第 33号、日本建築学会、pp.683-688、2010

「事業成果や街なか等の評価及び指標に関する既往研究」

小俣元美、大村謙二郎、有田智一「地方都市中心市街地における商業業務系空き 床の実態からみた空き床指標に関する研究―宇都宮市を事例として」『都市計画論 文集』№39、日本都市計画学会、pp.49-54、2004

永森裕子、遠藤新「富山市中心商店街における賑わい の実態に関する考察―賑わ い拠点整備との関係に着目して」『日本建築学会北陸支部研究報告集』第 51 号、

日本建築学会北陸支部、pp.351-354、2008

樋口秀、松川寿也、中出文平「地方都市における市街地再開発事業の評価と課題」

『2010年度大会(北陸)学術講演梗概集』日本建築学会、pp.65-68、2010

川原奈緒、有馬隆文、武田裕之「中心市街地における賑わい性能の定量化・可視 化に関する研究」『日本建築学会九州支部研究報告』第 50 号、日本建築学会九州 支部、pp.409-412、2011

【Ⅳ:法制度・政策に関する既往研究】

「旧・改正中活法に関する既往研究」

中山誠、樋口秀、森村道美「地方都市の住宅・住環境整備を視点とした中心市街 地活性化法の運用 に関 する研究 」『都市計画 論文集』№35、日 本都 市計画学会 、 pp.355-360、2000

藻谷浩介「なぜ、まちづくり3法は機能しなかったか―活性化の根拠が不明瞭だ った中心市街地対策」『地域開発』Vol.498、日本地域開発センター、pp.2-8、2006

参照

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