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活動プロセスの把握とその枠組み化

2-1 本章の目的と構成

本章は、研究課題(1)「「何」と「なぜ」を見出す「プロセスとその方法」を探る 」 ことのうち、「街なかでの活動のプロセスを捉える」ことが目的である。活動のプロセ スを捉えるために、以下のように本章を展開していく。

まず次節では、どのように「プロセスを捉える」ことが可能かつ必要なのかを検討 する。この検討は、次の3つのキーワードに着目して既往研究を整理する ことで行う。

3つのキーワードとは、「任意エリアのマネジメント」「ツールの構築と活用」「活動の プロセスと手法化」である。 これらは、本研究の目的である「活動プロセスを支援す る方法論」に関連すると考えたものであるが 、既述の通り方法論に関する既往研究は 非常に少ないため、街なかだけに限定 せず広くまちづくり全般を対象とする。ここで は、「活動のプロセスと手法化」に関連する既往研究から、「フレームワーク」の考え 方に着目することになる。

3節では、2節で着目した「フレームワーク」について、考え方や特徴を整理・把 握し、本研究の目的である「活動プロセスを支援する方法論」との関係を整理する。

フレームワークには、本研究で重視しているプロセスをベースにした考え方が存在 し ており、参考になると判断している。

そこで4節では、街なかの活動において明確にフレームワーク (枠組み)を構築し ている、先行研究や先行文献を調査・整理する。この調査・整理から、各フレームワ ークに共通しかつ本研究で着目する活動プロセスと特徴を見出す。活動プロセスをベ ースにしたフレームワークは、幾つかの「要素」とのつながり(関係)で 構成されて おり、この要素が活動プロセスを表すことになる。 本研究では、この活動プロセスを 表す要素を「活動要素」と呼ぶ。

5節では、前節で着目した活動要素を用いて「仮の枠組み」を構築する。 これは、

活動プロセスの仮の把握と呼ぶこともできる。そして、仮の枠組みを2つの街なかの 事例に適用して事例を読み取ることで、仮に把握した活動プロセスあるいは仮の枠組 の問題点を検討する。対象とする事例は、香川県高松市丸亀町商店街の再開発、及び 滋賀県長浜市の黒壁の取り組みである。2つの事例が一定の成果と評価を得 ている理 由の1つに、一連の活動プロセスがあると考えている。

6節では、上記5節で見出した問題点を解決し、街なかにおける活動のプロセスを ベースとした「方法論の枠組み」を構築する。これは、 研究課題(1)の「街なかで の活動のプロセスを捉える」こととなり、方法論の基盤となる「枠組み」だと言える。

また、仮の枠組みの検討から見出した 問題の解決には、デザイン思考及び創造のプロ セスと呼ばれる方法論に着目にする。両者はよく似た枠組みやプロセスを持っており、

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かつ街なかの活動においても一般的に用いられる活動要素を持っている。従って、 問 題の解決及び方法論の枠組みを構築するためには、 参考になると考えている。

最後の7節では、本章のまとめと課題を提示する。

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2-2 活動プロセスを捉える手がかり

本節では、3つのキーワード「任意エリアのマネジメント」「ツールの構築と活用」

「活動のプロセスと手法化」に関連する既往研究を整理・検討し、活動のプロセスを 捉える手がかりを得る。

1つ目の「任意エリアのマネジメント」は、1998年7月に施行された旧中活法以来、

街なかの活動で注目されている「マネジメント」に着目したキーワードである。街な かの活動において、「任意エリアのマネジメント」は検討対象から除外することはでき なと言える。また経済産業省では、タウンマネジメントを「まちづくりの司令塔 1)」 と位置づけており、その重要性が示されてもいる。

2つ目の「ツールの構築と活用」のキーワードは、ツール(道具)として活用でき る方法論を目指していることから対象とした。実際の活動で用いることができなけれ ば、方法論としては意味がなくなってしまう からである。これは、研究課題(3)や

(4)の方法論の活用に関連するキーワードでもある。

3つ目の「活動のプロセスと手法化」は、本研究の目的にもっとも近 く、かつ研究 課題(1)と(2)に関連するキーワードだと言える。従って、本研究で構築を目指 す方法論は、上記3つのキーワードの既往研究に位置づけられるが、特に「活動のプ ロセスと手法化」に関連した研究の位置づけになると言える。

2-2-1 任意エリアのマネジメントに関する既往研究の整理・検討

任意エリアのマネジメントに関しては、街なかなど特定の地区を対象にした「エリ アマネジメント」が注目されている。エリアマネジメントとは、一定の任意区域に対 して新規の建設事業だけを取り組むのではなく、その後の維持管理や宣伝・広報など も含めたマネジメントである(小林 2005)。ここでのマネジメントは、「ある程度決ま りきったことを計画通りに実行すること」という意味で、管理的意味合いが強いと言 える。その管理的なマネジメントの内容を把握する既往研究が多く存在する。

例えば、内海は大都市での再開発などを核とした、大規模プロジェクトをともなう エリアマネジメントの特徴や概要等を整理している(内海 2005)。まず、プロジェクト を次の3つの地区(型)に区分している。1つは、工場などの大規模な跡地を利用し て一体的な開発が行われている地区(大規模跡地型)、2つ目は基盤整備がある程度さ れており、権限が混在している状況で段階的な再開発等が行われている地区(混在市 街地型)、3つ目は基盤整備がすべて整った成熟市街地において、個別開発により順次 更新される地区(成熟市街地型)である。これら3つの地区に関して、建設などの開 発を推進する「都市づくり活動」と、継続的な発展を目指す「地域管理」の2つにさ らに活動を区分し、それぞれに対応する組織の特徴、構成員、活動内容及び財源等の 概要を整理している。

そして、具体的なケーススタディとして4つの地区を取り上げ、「都市づくり活動」

と「地域管理」の2つの活動経緯や活動内容、及び特徴等を詳しく整理し明らかにし

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ている(内海等 2005)。一例をあげると、大規模跡地型の都市づくり活動に取り組む組 織は、地権者を中心に民間企業等が加わっていることに特徴があるとしている。組織 の活動内容では、先行的に跡地の地権者が緑地協定などを策定し、事業(開発)はそ の協定に従って進めるといった、主に地域管理(その後の発展)を見据えた活動が主 であることを示している。

同様にマネジメントを管理 的意味合いで捉え、先の大都市と同じ方法で、地方都市 のエリアマネジメントの概要が整理されている(村木 2005、村木等 2005)。このよう なマネジメントの捉え方は、日本国内だけではなく海外のエリアマネジメントに対し ても同様である。イギリスの街なかの活動として、タウンセンターマネジメント(Town

Centre Management:TCM)を対象に、TCM の機能や組織形態、事業等の取り組み効果

を示した研究がある(村木 2005)。またアメリカの街なかの活動では、メインストリー トプログラム(Main Street Program:MSP)を対象に、歴史的な経緯と管理組織の役割 を明らかにした研究がある(梅津 1999、2000)。

さらに、任意地区における活動資金の確保を主としたエリアマネジメントと言える、

アメリカの Business Improvement District(村木2005、保井2002)、イギリスの Business Improvement Districts(村木 2005)、アメリカの Tax Increment Financing(保井 2001)も、

上記と同じマネジメントの捉え方になっている。

以上の既往研究におけるマネジメントでは、独自の取り組みや活動を見出していく プロセスの視点は弱い。ただし4節で扱うことになるが、プロセスの視点がまったく ないわけではない。従って、ここで扱った 各既往研究については、エリアマネジメン ト自体を捉えること、つまり エリアマネジメントとは「何」を行うことなのかを捉え ることが主になっていると言える。

【既往研究一覧】

① 小林重敬「エリアマネジメントとは」小林重敬編『エリアマネジメント―地区組 織による計画と管理運営』学芸出版社、pp.13-22、2005

② 内海麻利「大都市都心部における大規模プロジェクトを核としたエリアマネジメ ント」小林重敬編『エリアマネジメント―地区組織による計画と管理運営』学芸 出版社、pp.37-52、2005

③ 内海麻利、石川宏之、李三洙「大都市都心部における大規模プロジェクトを核と したエリアマネジメントの実態」小林重敬編『エリアマネジメント―地区組織に よる計画と管理運営』学芸出版社、pp.53-144、2005

④ 村木美貴「都市中心部既成市街地におけるエリアマネジメント」小林重敬編『エ リアマネジメント―地区組織による計画と管理運営』学芸出 版社、pp.145-153、2005

⑤ 村木美貴、林弘二、神川裕貴、天明周子、林真木子、金冑鍚、村岡慎也「都市中 心部既成市街地におけるエリアマネジメントの事例」小林重敬編『エリアマネジ メント―地区組織による計画と管理運営』学芸出版社、pp.155-240、2005