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活動状況の把握・分析を主とした方法論の活用:活用方法の検討(1)

5-1 本章の目的と構成

本章は、第二章から第四章までの検討で構築した「活動を支援する方法論」によっ て、研究課題(3)「方法論がどのように活用できるのか検討する」こと に取り組む。

本章で活用する方法論は、第三章で構築した枠組み(活動プロセス)と活動要素を検 討・表現・記述方法(図3-17)であり、これらの 方法論によって独自の活動を見 出していくことができるか検討することで、研究課題(3)に取り組むことが 目的で ある。従って、事業レベルにおける方法論の活用について検討することとなる。 また 前章までと同様に、研究課題(4)「街なかの活動で方法論を活用するための問題点や 条件等を整理する」に関連する、「活動者及び方法論と活動者の関係」について適宜捉 えていく。

研究課題(3)の活用方法の検討は次の2つを実践事例として行う。1つは、秋田 県大館市における改正中活法の基本計画の認定を目指して始まった活動(以下、基本 計画認定活動)、2つ目は同じく大館市の御成町南地区で取り組まれている、街なか通 り再生プログラム(以下、大館通り再生)である。

前者の活動には 2011年2月から関与し、2011年7月に発足した(仮称)大館市中心 市街地活性化協議会企画委員会(以下、企画委員会)の委員を行っており、後者には 2010年4月から関与し、2012年5月からは専門委員として係っている。そのため、活 動状況を詳細に把握しており、どのような状況に対して、どのように方法論を活用し たのかを示すことができ、活用方法の検討には適していると考えている。

本章で対象とする期間は、基本計画認定活動が 2011 年2月から 2014 年3月までと し、大館通り再生は 2010 年4月から 2014 年3月までとする。ただし、大館通り再生 は、同時に土地区画整理事業(以下、区画整理)が実施されており、本章ではこの区 画整理への対応に方法論を活用する。 本章の目的は、あくまでも方法論の活用方法の 検討であり、活動状況の改善は含めていない。

1つ目の実践事例である基本計画認定活動は、 試行錯誤を繰り返して曖昧な状況が 続き、活動が順調に進んでいるとは言い難い状況にある。同様に、大館通り再生及び 区画整理への対応についても同じ状況にあり、両実践事例共に第三章で扱った黒石通 り再生とは対照的である。つまり、「何」や「なぜ」を見出すことができず、活動が停 滞している状況にある。このような活動状況に対し方法論を用いることで、独自の 取 り組みや活動を見出すことができるのか検討していく。

また、本章における方法論の活用は 、主に実践事例に対する分析的なものとなる。

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従って本章は、図3-17の「現状」の確認・分析から始めていくことになり、 その 確認・分析を踏まえて独自の取り組みを見出していく。

まず次節では、企画委員会の活動状況を整理し、なぜ活動が現在の状況のように曖 昧で順調に進んでいないのか、その要因を探り、 かつ要因の解決に取り組むために方 法論を活用する。つまり、企画委員会の基本計画認定活動に関して、これまでの活動 を捉え直して分析し、さらにそれを踏まえて今後の対応を探る。

3節では、基本計画の認定及び認定後も見据えた、改正中活法による取り組みの全 体像を整理して明確にし、かつどういった支援が企画委員会として可能なのか検討す るために方法論を活用する。

4節では、大館通り再生における区画整理への対応に方法論を活用する。方法論の 活用は、2節と同じく活動状況を整理 ・分析し、なぜ活動が現在の状況のように曖昧 で順調に進んでいないのか、その要因を探る。そして、見出した要因を解決するとと もに、これまでの活動を踏まえて今後の対応を探っていく。

5節では、研究課題(4)「街なかの活動で方法論を活用するための問題点や条件等 を整理する」に関連する、「活動者及び方法論と活動者の関係」について、4節までの 検討を踏まえてまとめる。

最後の6節では、本章のまとめと課題を述べる。

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5-2 改正中活法の基本計画の認定活動に対する分析的活用

5-2-1 企画委員会の活動状況

実践事例の対象地である秋田県大館市は、秋田県北部に位置し青森県と県境を接す る人口約 7.8 万人(2013 年8月1日現在)の都市である。この大館市において、改正 中活法による基本計画の認定活動に取り組んでいるのが「企画委員会」である。

企画委員会は、(仮称)大館市中心市街地活性化協議会(以下、協議会)の下部に位 置づけられ、メンバーは大学教員、商店街関係者、行政及びまちづくり関係団体の関 係者など 12人で構成され、2011年7月に発足している。この企画委員会は、特定の商 店街や組織に限定した参加者によ って構成されているのではなく、問題意識などを持 った人たちに参加意向を確認し設立されている。

まずは、この企画委員会の活動状況を対象に、第三章で構築した図3-17の「現 状」の確認・分析から行っていく。本研究の対象期間に企画委員会が行った活動は、

概ね図5-1左の「大館市や街なかに関する活動」と図右の「基本計画に関する活動」

の2つに区分できる。

図左の大館市や街なかに関する活動では、まちづくりで一般的に取り組まれる、ま ち歩きから強みと弱みの整理、及び活性化に関する議論や既存の活動組織の確認など を行っている。図右の基本計画に関する活動では、関連する行政計画の把握、街なか の範囲に関する議論、そして改正中活法の取り組み状況や問題点の確認などが行われ

強みと弱み

まち歩き 関連・上位計画の把握 街なかの範囲の議論

地価データの確認

街なかで活動する既 存組織の存在を確認

先進地の取組事例の学習 中活法の問題点等を確認 法第15条等の組織の議論 大館市や街なか

に関する活動

基本計画 に関する活動

各商店街組織への聞き取り なぜ活性化が必要か

等を議論

図5-1 企画委員会の活動状況

(出典:大館市(2012)、会議資料、議事録、委員の発言を基に整理・作成)

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た。加えて、先進地の取り組みについての学習も行った。2013 年6月からは、各商店 街組織に活動状況などの聞き取り調査を実施している。

図5-1左に示した活動状況から、企画委員会は 他の組織と協力し、地域資源を活 かした活性化事業等を実施する組織と捉えることができる。 また図右の状況からは、

基本計画を策定する組織と認識もできる。しかし、基本計画は行政(大館市)が策 定 し、実行は各事業の実施組織が行い、管理は行政、協議会、事業実施組織が必要な活 動を行うと考えられる。

つまり、企画委員会は基本計画を策定・実行・管理する組織ではなく、また 地域資 源等を活用した活性化事業などを実施する組織でもない。言い換えれば、 図5-1に 示した活動を行ってきたが、その内容と企画委員会の活動目的(ビジョン)に齟齬が あったことになる。

初年度(2011 年度)の活動終了時の報告書には、次の2つを企画委員会の目的とし て掲げている。1つは「活性化の必要性の協議から、将来ビジョンや展開イメージを 検討し、協議会に提言すること」、2つ目は「活動組織の協働による街なかの活性化を 目指し、継続的にまちづくりが展開できる環境の整備、及び各関係者や事業の調整を 担うこと」である 1)

先の図5-1に示した企画委員会の活動の現状と上記2つの目的には、整合性がな いことが分かる。つまり、企画委員会の活動状況は試行錯誤の状態にあり、かつ曖昧 になっていることが表れている。また1つ目の目的には、「活性化の必要性の協議」「将 来ビジョンの展開イメージの検討」「協議会への提言」と、複数のビジョン(組織の目 的)につながる内容が含まれている。ここにも、何を行いたいのか、あるいは何を実 現したい組織なのか曖昧になっていることが表れている。同様に、2つ目の目的も「活 動組織の協働」「継続的にまちづくりが展開できる環境の整備」「各関係者や事業の調 整」と、複数のビジョン(組織の目的)につながる内容が含まれている。

5-2-2 活動が順調に進まず曖昧になった要因

このような状況になったのは、上記企画委員会の位置づけを踏まえて、「何を行いた い・実現したい」組織なのか、つまり組織の目的である「ビジョン」を明確に定めら れなかったためであり(図5-2)、順調に進んでいない要因の1つだと考えている。

つまり筆者も含めて、企画委員会が具体的に何を行う組織なのか、その目的を明確に 検討・設定できていない状況で、試行錯誤を繰り返していたと言える。ビジョンは、

第四章で示したように都市像や将来像であるエリアビジョンと、組織の活動目的など を意味するビジョン(エリアビジョン以外)の2つがある。 ここでは後者のビジョン が重要となるため、最初に企画委員会のビジョンを明確にする必要がある。

上述した企画委員会の2つの目的や会議の記録及び各委員の発言から、2つのビジ ョンを見出すことが可能であり、それを簡潔に整理すると次のようになる。1つ目の ビジョンは「実行性の高い、意味ある基本計画の策定を支援する」こと、2つ目は「各 活動組織が協働・連携できる環境を整える」ことである。 企画委員会は、基本計画を