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平 城 宮 発 掘 調 査 出 土 木 簡 概 報 ①

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(1)

一九九二年一 一月

平城宮発掘調査出土木簡概報①

奈良国立文化財研究所

(2)

図 版

(3 4)

(3)

図 版 二

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(4)

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図 版 三

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(4 5)

(5)

図 版 四

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(4

(6)

 この概報には︑平成三年度に平城宮跡および平城京跡から出土した木

簡のうち︑主要なものを収録した︒以下︑木簡の各地点ごとの出土状況

を述べ︑釈文を掲げる︒

一︑木簡出土の地点と状況

  第二二二次調査︵6AAI区︶

       一九九一年三月〜八月

 調査地は平城宮南面東門︵壬生門︶内の東側にあたり︑宮東南隅に近

く︑東は第三二次補足︑西は第一六五次と第二二〇次︑南は第一五五次

の各調査区に接し︑北は近鉄の軌道によって限られる︒かつて第三二次

補足調査では一三〇〇〇点弱に昇る式部省関係木簡が出土し︑また第一

五五次調査でも考課等に関わる木簡が出土した︒壬生門の内側の東西に

は︑式部省と兵部省が相対して配置されていたことが︑平安宮大内裏図

から知られていたが︑平城宮においても同様の配置をとることは︑八九

年来の壬生門周辺地区の調査で明らかになっている︒本調査は式部省官

衡東南部と︑その東側の官衡の様相を明らかにすることを目的に行った︒

 調査の結果︑式部省にかかわる遺構としては︑その東面及び南面を画

する築地塀・礎石建ちの南北棟建物を検出した︒第二二〇次調査では式

部省西南部で︑この建物と南門をはさんで左右対称の位置にほぼ同規模

の南北棟建物を検出している︒ただしこれらの遺構は奈良時代中頃から

後半のものであり︑奈良時代初めにはこの第二次朝堂院地区の南方地区

は︑建物の下層で検出した南北塀と南面大垣に先行する東西塀によって

大きく区画されていたが︑その内部の建物遺構等は未検出である︒  一方その東側では︑南北道路をはさんで官衛跡︵式部省東役所︶を検出した︒そこは奈良時代初めには︑掘立柱塀によって区画される一郭であった︒その規模は︑遺構が発掘区外に伸びるため不明であるが︑南北二〇m以上︑東西は五〇m以上︒南面には西端から約三〇mの所に幅四・五mの出入口を設ける︒その内部では南北棟掘立柱建物SB一四六八五と井戸SE一四六九〇を検出した︒西隣の式部省官衡の造られた奈良時代中頃になると︑掘立柱塀は築地塀に作り替えられる︒南面築地塀が︑第三二次補足調査で確認した東西築地塀の西への延長に当たるとすれば︑全長八Om以上になるが︑接続については現存の水路のため未確認︒区画内部では︑前期の出入口の位置をほぼ踏襲した礎石建ちの棟門の北に︑東西二九・一m︑南北一〇m以上の東西棟建物の基壇があるが︑削平により建物規模は不明︒南門から基壇までは︑拳大程の石を甲盛勺に敷き詰めた幅約四・二m︑長さ九mの歩道がある︒この区画内では︑その後南縁部に鋳銅工房が営まれる︒さらにその後基壇建物を廃し︑二棟の掘立柱東西棟建物が造られるが︑奈良時代末には廃絶する︒ 木簡は式部省東役所の︑奈良時代前期の井戸跡SE一四六九〇から出土した︒なお東役所の西を限る南北道路の東側溝SD一一六二〇からは︒ ﹁式﹂ ﹁曹﹂の墨書のある須恵器が出土している︒ 井戸&捧m四六九〇 ・・:⁝⁝⁝⁝⁚⁝⁝⁝⁝⁚・⁚・⁚・⁚・ ︲︲⁚l`⁚・⁚・︒・・︒:︷ 後期の建物基壇SB一四七四〇の下層で検出したもので︑掘形は一辺約五m︑深さ約二・二m︒井戸枠は抜き取られ︑抜取り跡は崩壊のため︑掘形とほぼ同規模まで広がっている︒抜取り跡の堆積土は大きくは三層に分かれ︑その最上層の黒灰色粘土層から大量の木簡が︑一括投棄の状

況で出土した︒その内容は第三二次補足・第一五五次調査出土木簡と同

−1

(7)

4辰

 一

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(8)

じく︑考課等式部省に関わるものであり︑その年紀が知られるものは天

平元年と同三年である︒出土点数は四七九四点︒ただしその大半が削屑

で︑今後接続の判明により︑点数はこれより少なくなるとみられる︒こ

の他瓦・土器類︑へら・杓子*櫛≪刀子形・鏃形等の木製品が出土した

が︑須恵器の杯には﹁式部省五口﹂と墨書されたものがある︒

 第三二次補足調査では︑その多くの木簡は南面大垣の北を流れる東西

溝SD四一〇〇から出土し︑神亀年間のものも発掘区の西端から出土し

た︒この結果から奈良時代前半においても︑この近辺に式部省の存在が

推定されたわけであるが︑今回の木簡出土はそれを裏付けるものとなっ

た︒式部省官衡区域では︑当該時期の官街遺構を検出できていないが︑

その東隣で天平年間の式部省関係木簡が出土したことは︑奈良時代前半

においても式部省が壬生門の東にあったことを物語るものである︒SE

一四九六〇を伴う官衡は︑式部省に関連するものと見なせよう︒また平

安宮大内裏図によると︑式部省の東隣には式部厨が位置した︒それと今

回の式部省・式部東役所の並存は相似しており︑平安宮の配置は少なく

とも奈良時代後半にまで遡りそうであるが︑石敷き歩道の付く基壇建物

の存在や︑鋳銅遺構など式部厨と見なすには問題の残る面もある︒

 第二二三一一三次調査︵6AFF区︶

       一九九一年一〇月

 左京二条二坊五坪の東辺を限る東二坊坊関路西側溝を調査したもので

ある︒第コー三I二七次調査区と重複し︑全長一九mにわたり溝部分を

調査した︒検出した遺構は︑坊関路西側溝SD五〇二Iとこれに西から

流入する二条の東西溝である︒木簡はSD五〇二Iから出土した︒  左京二条岸坊坊関路頭韻纏政一n五一〇比柵 この溝は幅三m︑深さ〇・七mで︑最上層の埋土の下は大きくは三層の堆積層に分かれる︒出土した木簡の点数は四八点︵うち削屑が五点︶︒上層からは宝亀年間︑下層からは里制及び郷里制下の木簡が出土した︒これまで五坪東辺の同溝からは︑第一九八次B調査及び第二〇二︱一三次調査で木簡が出土している︒※なおこのほか︑第二次朝堂院東第四堂の調査︵第二こ一次︶で近世の井戸から一点出土したが︑判読できない︒※ 木簡の釈読にあたっては︑鷺森浩幸・鈴木景二氏の協力を得た︒

二︑凡  例

︵一︶ 木簡は内容分類によって︑文書︑付札︑その他の順に配列する

のを原則とした︒

¬⌒ 二︶ 釈文の漢字はおおむね現行常用字体に改めたが︑﹁賞﹂﹁謐﹂

1̲.

/'`X 一

一 一 心

﹁廣﹂ ﹁差﹂﹁庶﹂﹁藷﹂﹁豪﹂等については正字体を使用した︒

釈文に加えた符号はつぎの通りである︒

  木簡の表裏に文字のある場合︑その区別を示す︒

  木簡の上端もしくは下端に孔が穿たれていることを示す︒

口口口

口目口

欠損文字のうち字数の確認できるもの︒

欠損文字のうち字数が推定できるもの︒

欠損文字のうち字数が数えられないもの︒

記載内容からみて上または下に一字以上の文字を推定した

もの︒

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(9)

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『  ̄ 1

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⌒⌒

Lノヽ−ノ

マベ

抹消により判読困難なもの︒抹消した文字の字画のあきらかな場合に限り原字の左傍に付した︒異筆︑追筆︒合点︒校訂に関する注のうち︑本文に置き換わるべき文字を含むもの︒右以外の校訂注および説明注︒文字の上に重書して原字を訂正している場合︑訂正箇所の左傍に・を付し原字を上の要領で右傍に示した︒編者が加えた注で疑問の残るもの︒文字に疑問はないが意味の通じ難いもの︒

︵四︶ 釈文下の上段のアラビア数字は︑木簡の長さ・幅・厚さを示す

︵単位はミリメートル︶︒欠損・二次的整形の場合︑現存部分の法量を

括弧つきで示した︒なお長さ・幅は木簡の字の方向による︒

 ︵五︶ 釈文下の中段に現在の遺存の形態を示す型式番号を記した︒型

式番号は次の通りで︑四桁の数字を用いているが︑本概報では時代を示

す千の位を省き︑下三桁の数字で表わした︒なお端とは︑木簡を木目方

向においた時の上下両端をいう︒

  呂に型式 長方形の材のもの︒

  呂ぶ型式 長方形の材の側面に穴を穿ったもの︒

  呂S型式 一端が方頭で︑他端は折損・腐蝕などによって原形の失わ

       れたもの︒原形は6011‑6032‑6051型式のいずれかと推定さ

       れる︒

呂旨型式呂函型式6031型式目胎型式目旨型式 小型矩形のもの︒小型矩形の材の一端を圭頭にしたもの︒長方形の材の両端の左右に切り込みをいれたもの︒方頭圭頭など種々の作り方がある︒長方形の材の一長方形の材のIたもの︒ 端の左右に切り込みをいれたもの︒端の左右に切り込みをいれ︑他端を尖らせ

 目留型式 長方形の材の一端の左右に切り込みがあるが:他端は折

      損・腐蝕などによって原形の失われたもの︒原形は6031‑

      6032‑6033型式のいずれかと推定される︒

 目印型式 長方形の材の一端を尖らせたもの︒

 目沼型式 長方形の材の一端を尖らせているが︑他端は折損・腐蝕な

      どによって原形の失われたもの︒原形は6033‑6051型式の

      いずれかと推定される︒

 目印型式 用途の明瞭な木製品に墨書のあるもの︒

 目呂型式 用途未詳の木製品に墨書のあるもの︒

 目印型式 折損・割截・腐蝕その他によって原形の判明しないもの︒

 6091型式 削屑︒

 括弧内の番号は︑二次的整形の場合に推定できる原形の型式を表す︒

 ︵六︶ 釈文下の下段に出土地点を示す小地区名︵アルファベット・数

字︶を記した︒`は地区不明を示す︒複数の地区から出土した破片が接

続したものは地区名を併記した︒

 ︵八︶ 釈文の出土地点の下に付した﹁″﹂印は︑口絵図版に写真を掲げ

た木簡を示す︒例えば︑﹁農﹂は﹁図版四﹂に対応する︒

4−

(10)

三︑釈  文

第二二二次調査︵6AAI区︶

井戸SE一四六九〇

  ﹁省力﹂口    口・式部口  栗前官麻呂口

・口三人急々参向 ﹁右カ﹂

口口口

・参向

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  口  口

口  口

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以前口(144︶ ・ ︵70︶ ‑4   081   AS51 *1 掃部司選文二巻第九峡擬大領

阿カ. 十巻

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57‑19‑4   032   AS52 *4

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信濃水内郡

・佐伯宿祢牛甘 口口 口

大初位上秦椋人銭五百文

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口 雅楽寮歌口

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大蔵省蔵部口

大蔵省伴

下大蔵口内省省

︻m漕︼上等木工寮工口

大炊寮口口

大炊寮

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口口主殿寮

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  医博土選医師口﹁凡凡田田口謹﹂

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右馬寮馬部口口

造宮省工部少初位

三田次省裏口

司女部娼湘う初位上口

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山背国口

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(16)

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 口口倭国城下郡人口

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従七位下口口

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(20)

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上日百五十七

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(22)

中等

中等

中等口口

口生 一考白

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合十六人

元才口口罪口

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口厠 進!一階叙

﹇J慰畿カ一

﹁唯一群足屠■﹂

日恩廿七日遭親父喪解

口父血 一Jカ︼

口斉日⁝可口

口九章口尽盗取口

天平元年八月五

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静 心,

17 −

(23)

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・冊附 口ご

天平

天平去年口 天平三年五月

修理蓋瓦倉二間

口口﹇ y 0 2い一 殿戸口口

注連五十二枝 梁五十四枝

土居桁口桁六具

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天井木口

加に 口廊  こ

帳張二

口窓十一 戸十七口

紺七枝

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口口九山%賠﹂

大斗百村 小斗五十四     口

口に 口釘

一カヂ二百九十四隻 蟹目釘四百五十隻 口

大枕一隻 犬連三

釘一千二百六十九隻︵右と同一木簡の削屑か︶

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︷︸沢 胞巴農

18 −

(24)

﹇団居五十

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口梓二鋒ロー十二鋒 坐口

鐙四具口二具 釜脚三隻

糖櫨工二品

勉覆二蓋口知金銀銅堀裁口

銀鉢四口

銀と   口銀壷十口

︵右と同一木簡の削屑か︶

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口鉄一百八枚御履四百六十口染糸一百冊口文秘錦四種選中造物7紅疆喝﹈口 鳥形一翼

口形一キこふカ﹂

口口な漕﹂斑胸紺條

口胸十四具﹇Jμ具

八百六十隻

五枝

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19 −

(25)

﹇纒濠馳

職職 職職職職

舎人 舎

第二二三−一三次調査︵6AFF区︶

左京二条二坊坊関路西側溝SD五〇二I

・口謹申

・口口口 ﹁口座﹂

・宿直粟伊口

  秦長人口口・直佐伯若口

答志郡伊雑郷

砺口

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口口箔三斗五升 宇年﹂籍  口 五升口持万呂一斗七升 L纒︼ 柿本朝臣 賓諸憚︼ ゛薄腹舟四斤調物 伊予郡石田を唖阻︼ 安房国安房郡廣滞郷沙田里神麻部口口 ︵172︶・22‑6   039   KGIO *4

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(145︶‑35‑5   019   KEIO

(67︶‑︵18︶‑2   081   KFIO

(117︶‑︵29︶‑3   081   KEIO

︵に︶︶・S︶乙 ︵︶忠 函に

トーa CO

︵)‑22‑4   032   KFIO

20 −

参照

関連したドキュメント

一七︶ の間の年代である︒

﹃一九九四年度平城宮跡発掘調査部発掘調査概報﹄を参照されたい︒

 主な検出遺構は︑南面築地回廊SC七八二〇・西楼SB一八五〇〇︑

方に礎石建物︵mt心Xoo ︶ を検出した︒東楼と推

になると︑築地塀が柵列の上に建設され︑大極殿外郭をと

−− ロロロ

     推定される︒ 目印型式目留型式§巴型式

辺約一・八mの蒸寵組の井戸で︑従来京内最大であった長屋王邸の井戸