昭 和 45 年 2 月
平城宮発掘調査出土木簡概報出
奈良国立文
レしイ財研究所
この概報はさきに公刊した﹁平城宮跡発掘調査木簡
概報六﹂ ︵昭和四十四年三月︶以後︑平城宮跡および
奈良バイパス路線敷地の発掘調査で出土した木簡につ
いてその主要なものを収録した︒平城宮跡内では第2
次朝堂院の東北に接する第35次調査区域から陰陽寮に
関連する木簡が出土し︑又奈良バイパス路線敷地の調
査は第55・56・57次調査として行なわれ︑二条の溝よ
り木簡が検出された︒総計二〇三余点てある︒
一︑不簡出土の地点と状況
第35次調査︵6AAE ・ 6AAF図︶
この調査は第2次朝堂院・大極殿東外郭大垣の部分
で行った︒調査区は外郭大垣の内方とその外方との部
分にわかれる︒外郭大垣は大極殿回廊東南隅から東へ
延び︑さらに北に直角に折れ第33次調査で検出した内
裏外郭築地にとりつく︒この結果︑大極殿外郭大垣は
東西約300尺︑南北約330尺であることが明らかとなった︒
南面大垣の中央には門 ︵mm心ぃつJ︶があり︑その内
方に礎石建物︵mt心Xoo ︶ を検出した︒東楼と推 定される︒東面大垣の内側には建物を撤去した際の平瓦﹂丸瓦400枚以上︑軒平・丸瓦︸﹃oo点が並置されていた︒ 外郭大垣の外方はL段低くなる︒検出した遺構は門に続く道路・井戸東面大垣の外方に集中する堀立柱建物・柵などである︒ 木簡は南面大垣の南側にある井戸の周辺に点在する小土拡 ︵S K 4 4 5 3︶及びその上部の堆積土から出土した・木簡は陰陽寮に関するものが多く︑平安宮大内裏図にみえる陰陽寮の位置関係とほぼ同じであることが注意される︒ 第55﹂56・57次調査︵?浙岡山区︶ 第55・56∴び次発掘調査は国道24号線バイパス ︵通称奈良バイパス︶建設にともなって︑その路線敷地内のT部︑平城京左京一条三坊の東北部と東三坊大路で行なった︒検出した遺構は古墳二基と奈良・平安時代の建物・柵・溝・井戸および庭園跡等であった︒このうち木簡が出土した遺構は次の二条の溝である︒ 溝出口48 5は55次および56次発掘調査区域にまたが
‑1
って検出され︑奈良時代初頭から後半にかけて使用さ
れたものである︒溝は第55次発掘調査区域では西から
東へ流れたものが途中で南へまがり︑第卵次発掘調査
区域で平塚2号墳の濠にながれこんでいる︒出土木簡 このように平安時代前半の遺物が多量に出土したことは三坊大路が平安時代にはいっても頻繁に使用されていたことを物語っている︒
の中で︑もっとも古い年号は和銅六年である︒また墨 二︑木簡の形態分類
書土器には﹁尼家﹂ ﹁口由加和銅口口正月十三日﹂と
記したものが出土している︒
溝切口XXOは第57次発掘調査区域で検出された東三
坊大路の東側溝で︑九世紀前半に改修され︑その後十
世紀初頭までに三層の堆積がある︒木簡は最下層から
出土している︒
顕著な木簡としては道路わきにたてたと思われる牛・
馬をさがした告知板が4点出土している︒そのうち1
点は天長5年の年号をもつ︒他の遺物としては日常什
器に緑粕や灰和をほどこした陶器・銅銭・木器﹂漆器
金属器等が多量に出土した︒日常什器に施粕したもの
は十世紀初めに始まり中葉以降隆盛したといわれてき
たが︑今回の出土で九世紀代までさかのぼる可能性が
生じた︒また銅銭は皇朝十二銭のうち乾元大宝をのぞ
く他の十一種すべてが出土し︑計六百余点にのぼった︒
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小型矩形の材の一端を圭頭にしたもの︒一
長方形の材の両端左右に切りこみをい
れたもの︒
XO∝に型式 長方形の材の一端の左右に切りこみを
いれたもの︒
らoいい型式 長方形の材の一端の左右に切りこみを
いれ︑他端を尖らせたもの︒
XO心匠型式 長方形の材の一端の左右に切りこみが
あるが︑他端は折損あるいは腐蝕して
不明のもの︒
のOJ︸型式
XOJ四型式 長方形の材の一端を尖らせたもの︒″
長方形の材の一端が尖って他端の形態
が不明のもの︒
XOの︸型式 用途の明瞭な木製品に墨書のあるもの︒
XOのぃ型式 ある種の用途をもっと推定される木製
品に墨書のあるもので︑その用途が判
然としないもの︒
ぶOJ︸型式 折損︑腐蝕その他によって原形の判明
しないもの︒
XO口︸型式 削屑
三︑凡例 以下︑出土遺構ごとに本文を掲げる︒各遺構から出
土した木簡の配列は用途別に記載し︑最上段に出土地
点︵アルファペット・数字︶ つぎの段に形式分類記号
︵本概報では千位の6を省き︑3ケクで表わす︶をそ
れぞれ記した︒
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