九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Rhizoctonia属菌の分類に関する研究
松元, 賢
九州大学農学研究科農学専攻
https://doi.org/10.11501/3123045
出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
Rhizoctonia属菌の分類に関する研究
松
一元 貝限1 997
次
緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1
第1章 従来の分類基準によるRhizoctonia属菌の分類の再評価.. . . . . . . . . 4
第1節 培養的性質によるRhizoctollia属菌の類、別・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・6 材料および方法・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・6 実験結果・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7 第2節 菌糸融合群に基づくRhizoctonia属菌の類別 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・11 材料および方法・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11 実験結果・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・11 第3節 栄養要求性によるR. solaniの類、別・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 材料および方法・・.. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 7 実験結果.. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17
考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・19 第2章 脂肪酸分析によるRhizoctonia属菌の類、別・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・22 第1節 菌体脂肪酸分析法の改良・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24 第1J頁 簡易抽出法の開発 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24 材料 ・ 方法および結果・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24 第2J頁 ガスクロマトグラムによる菌体脂肪酸の分析・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 第3J頁 脂肪酸メチルエステルの同定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 第4J頁 脂肪酸メチルエステルの組成比と分析データの数量的処理.. . . .. . .. . . . .. .. . ... ... . 29
第2節 脂肪酸分析によるRhizoctonia属菌種間の系統的位置関係について .. . . . 30
第lJ頁 2核Rhizoclonia属菌の脂肪酸分析.. . . . 30
材料および方法 .. . . . 31
実験結果... . . . .. .. . .. . .. . .... . . .. . .. . .. ... .. . .. . . . .. . . 32
第2項 多核Rhizoctonia属菌の脂肪酸分析 ・・ ・ ・ ・・・ ・・ ・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ 36 材料および方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 36 実験結果...36 第3J頁 Rhizoclonia属菌の種レベルにおける類、縁関係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・40
、、,,ノVEEA 〆'a・1
実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・40 考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・42
第3節 R. solalliの菌糸融合群聞における脂肪酸分析 ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・44 第1項 R. solani AG 1における脂肪酸分析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・44 材料および方法 .. . . 45 実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・46 考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48 第2J頁 R. solani AG 2菌株群の脂肪酸分析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・49 材料および方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・50 実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・50 考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 第3項 R. solani AG 4およびAG6の脂肪酸分析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・56 材料および方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・56 実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・56 考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・59 第4J頁 R. solafli AG 3, AG 5, AG 7およびAG BI菌群菌の脂肪酸分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・...60
材料および方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・60 実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・60 考察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・62 第4節 R. solaniの脂肪酸分析による再類、別 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・63
第3章 28S rDNAのPCR-RFLP解析に 基づくRhizoctonia属菌の類、別 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・68
第1節 Rhizoctonia属 菌種聞にお けるPCR-RFLP解析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 71 第lJ頁 材料および方法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・71 1 . 供試 菌株・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・72 2 . 全DNAの抽出と純化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 73
3. PCRによる28S rDNA の増幅 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 75 4. RFLPデータの解析・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・76 第2項 実験結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・76 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ .. . . .. . . .. . . .. . .. . . .. 80
第2節 28S rDNA PCR-RFLP解析によるR.solalliの各種菌糸融合群の系統分類...82 第1項 R. solω1Í AG Jの28S rDNA PCR-RFLP解析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・82
、‘.,fw---a ,E・且〆'・1、
材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82 実験結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 第2項 R. solani AG 2のPCR
-RFLP解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86 実験結果および考察・... . ... . ... .. ... ... ... . .. ... ... 86
第3項 R. solani その他のAG菌株におけるPCR-RFLP解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 材料および方法 ...90
実験結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90
第4J頁 R. solaniの系統分類、について ...94 実験結果・・・・・・・・・・・・・・・・... 94 考 察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96
総合考察 ...98
第1節 脂肪酸分析および28S rDNAのPCR-RFLP解析による分類学的有効性・.. . . 98
第2節 R. solani AG 1-IAの分類学的再評価について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
第3節 脂肪酸分析および28S rDN八 PCR-RFLP解析による迅速同定の可能性について・・・・・・104
摘 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
Summary ... . . . .. . .. . . .. . . .. .. .. .. . .. . .. . . .. 110
引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
、、,,ノ, •• Ea ,Ee---'E・E・〆,.‘、、
緒 日
植物病原菌類は有性生殖器官の形態的特徴に基づいて分類されており、 有性生殖器官を形 成しにくい菌類では、 無性繁殖世代の形態的特徴に従って分類、が行われている。 Rhizoctonia 属菌は有性世代を形成しにくれしかも無性繁殖器官の形態的特徴も極めて乏しい。 わずか に擢病植物の病斑部や寒天栄養培地上に形成される菌核が特長の一つになっている程度であ る。
Rhizoctonia 属菌は、 共生菌、 病原菌あるいは腐生菌として植物体や土壌中から広く分離され、
宿主範囲が極めて広いことからんsarium , Phytophthora,ηthium菌などと共に最も重要な土壌 伝染性植物病原菌の一つに数えられ、 その研究量は膨大な数に上っている。 また本属菌は、
その特徴とする記載が極めて簡単であった背景から多数の類似菌の 記載により混乱した時代 が長く続いたo Rhizoctonia属菌の分類学的研究は古く、 1815年にDe Candole1勺ま、 本 属菌を初 めて新設し100以上の種を記載した。 その後Duggar16)は、 多くのRhizoc tonia属菌を比較して、
菌糸の分岐点に狭窄があること、 分岐点近くに隔壁があること、 分岐角度が多くの場合直角 であることをRhizoctonia属菌の特徴とした。 ParmeterとWhitne戸川ま、 さらに分岐は菌糸先端 細胞の隔壁の下で起こること、 ドリポア隔壁を持つこと、 カスガイ連結はしないこと、 分生 胞子を生じないこと、 菌核は外皮と内層に分かれないことを分類的特徴に加えた。 以上、 不 完全世代および完全世代の形態的特性によりRhizoctonia属菌は、(1). 多核で、 特徴として細 胞に3個以上の核があり、菌糸幅が広く(6-10μm)、完全世代はThanatephorus Donkで、ある(2)・
2核で、 細胞中に2個の核しかなく、菌糸幅も狭く(4-7μm)、完全世代はCer,ωobas idium Rogers である (3). R. 0ヴzaeやR. zeaeのように、 多核であるが完全世代はWaitωWarcup and Talbetで あるの3つの属に類別されている。
多核Rhizoc tonia属菌の一種 であるR. solaniはイネ紋枯病菌に代表されるように宿主範囲が 広く、 33科207種にのぼる多犯性の病原菌である。 本菌の種内群について 種々の報告がなさ
れており、 渡辺・松田112)はわが国で分離したR. solcmiを培養性質、 病原性及び生態学的性質 から7系に類別した。 また、 R. solani菌株を対崎培養すると接触した菌糸間で融合することが 発見されて以来、 Schultz94)、 Richter and Schneider88)、 Parmeter et al.85)、 空越ら71,80)によって菌 糸融合による類別が行わ れ、 そ の結果、 R. solalliは18グループに類別されている。 一方、 2 核Rhizoctonia属菌における菌糸融合群に関しては、 生越ら川
1口7クググ、ψ、ル一フプ。、 Burpee et al. 5�)により7 つのグループにそれぞれ類別できることが報告されてい るo R. solaniはまた、 菌糸融合群と培養性質、 病原性及び生態的性質による菌群とはよく一 致し、 密接な関係があることが示唆されている。 菌糸融合以外でも、 栄養要求性比49,78,民90-91,
96)、 血清学的性質1-2)、 アイソザイム解析玖63, 71)、 核酸分析80, 84, 97-98)などの手法により類別さ れた菌群は、 菌糸融合群とよく一致し、 これらの手法が系統進化学的な位置関係を推察する 一つの指標として評価されている。 さらに、 近年分子生物学の著しい進歩とともに、 DNA やRNAなどの遺伝情報に基づく分類学的研究が多くの研究者によって報告されている11,17,33,
55-56,110-111)。 しかしながら、 このような複合種とも云うべきR. solaniに推定される複雑な種内
群(菌系)の存在が、 本菌の系統 分類学的な研究に際し混乱を招く原因となるだけでなく、
分類・同定基準をさらに複雑化する原因にもなると思わ れる。
近年、 植物病原細菌において従来の表現形質に基づく分類だけでなく、 全菌休または菌体 部分の化学組成を調べた情報をデータとした、 いわゆる化学分類学的手法を利用する分類が 試みられ、 属や種間の類別に有効で あることが示されている 14,20, 22, 11九さらに、 最新の技 法を用いたよりミクロな領域における核酸レベルでの分析(例えば、 リボソームやミトコン
ドリアDNA塩基配列など)が盛んに行われてきており、 これらの特性が植物病原菌類、の分 類を再検討 するとき に有効 な 指標として着目されている 。 本論文では、 混乱してい る Rhizoc tonia属菌の分類を整理するため、従来の表現形質による類別を再検討し、 かつ、分類・
同定の容易性および迅速性のねらいから、 化学分類学的手法のひとつである菌体脂肪酸分析 によって R. sol,ω1lにおける菌体脂肪酸成分と各菌糸融合群との相関関係を明らかにする こ
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と、 また、 分子生物学的手法のひとつである28S ribosomal DNAのPCR-RFLP解析によって、
R. solaniの各菌糸融合群と系統分類学的な相関関係を検討することを目的としている。 まず 初めに、 Rhizoc tonia属菌の異なる種間において系統分類学的な位置関係を検討し、 これらの 手法によって従来の形態を重視した分類法を検証すると共に、 R. solaniの一系統であるイネ
紋枯病系(AG l-IA)が本菌の他の融合群あるいは菌群と区別できる可能性について考察した。
本研究を遂行するにあたって、 終始懇篤なご指導とご鞭縫を賜り、 かつ本稿の校閲を賜っ た九州大学農学部教授松山宣明博士に衷心より感謝の意を表する。 また、 九州大学熱帯農学 研究センタ一教授杉浦巳代治博士、 同農学部教授高浪洋一博士には本稿の校関を賜り、 同農 学部助手古屋成人博士には本研究遂行上多大のご指導とご援助をいただいた。 記して深謝の 意を表する。 なお、 実験の遂行にあたり、 多大のご協力を惜しまれなかった本学農学部植物 病理学教室の諸氏に感謝の意を表する。
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第1章 従来の分類基準によるRhizoclonia属菌の分類、の再評価
Rhizoctonia属菌は菌糸中の細胞核数の違いによって大きく二つの属群に大別される。すな わち、 1 細胞中に4 個 以上の核が存在する多核Rhizoctonia属菌と、1細胞中に2個の核が存在 する2核Rhizoctollia属菌である97)。また、 多紋RhizoClonia属菌に属しているR. solaniに関し ては、 種以下の分類単位として特に培養形態の性質が重要視されている。 松田 ・渡辺112)は 培養型、 病原性および生態的性質で本菌を7 菌群に類、別できることを報告し、 それぞれをイ ネ紋枯病系(培養型IA)、 樹木苗くもの巣病系(IB)、 アブラナ科低温系(II)、 イグサ紋枯病 系(1I1B)、 テンサイ根腐病系(IV)、 ジャガイモ低温系(IV)苗立枯病系(IIIA) と呼称した。
さらにRh izoclonia属菌は分類単位のひとつである菌糸融合群によって類別がなされており、
特にR. solaniに関しては、 培養性質による類別と関連して類別されている105)。菌糸融合とは、
異なる分離菌株を対崎培養したとき、 それらの菌株の菌糸先端部に おいて観察される異菌糸 の融合現象であり、 菌糸融合 群とは菌糸融合の有無によ って類別された種群で あるo Rhizoclonia 属菌の菌糸融合現象を初めて 観察したのは松本62)であり、 イネ紋枯病菌と他の Rhizoclonia属菌が区別できることを報告した。以後、本方法は、Schultz94)、Rjchter and Schneider88)
Parmeter el al.九79)、 生越によって利用された。現在、R. solaniに関しては10菌糸融合群に、 2 核Rhizoclonia属菌では17菌糸融合群に分けられている。それぞれはさらに生理的・生態的性
質、 宿主範囲などに若干の差違が認められ、 それらは菌糸融合群による類、別と密接な関連性 がみられる18,82)勾)
R. SOlQJ仰1lに関してはまた菌糸融合群問において、 栄養要求性28, 49, 78, 85, 90-9仁川、 血清学的関 係1-2)、 タンパク質・アイソザイム解析玖53,63,68,71)および GC含量等 件50)の形質に特に違いが
みられる。栄養要求性に関してはチアミンの利用性について研究が行われてきた。また、 血 清学的関係などの手法を用いた研究から、 各菌糸融合併聞の系統的位置関係が推察された。
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こ のように多くの特性に違いがみられる菌株集団を形成し、 複合種とも云うべき R. solani に関しては、 その分類、単位を見直し、 さらにRhizoClonia属菌についても形態的特徴に基づく 従来の類別の再検討を行っ た。 本章では、 本 属菌の代表的な分類単位である培養的性質に基 づく類、別、 菌糸融合群による類、別、 およびR. solaniのビタミン要求性に基づく類、別について 検討した。
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第1節 培養的性質による RhizoClonia属菌の類別
材料および方法
RhizoClonia 属菌には、 形態、 培養型および病原 性によって明らかに区別される菌株が存在 すること は多くの研究者によって報告されている。 特に、 R. solaniに関して、 渡辺・松田112) はPSA培地上の培養性質と病原性との聞には密接な関係があり、 分離宿主別に類別する より はむしろ各菌株の諸性質を主体に類別することが重要であると報告し、R. solaniを培養性質に 基づいて6 培養型に類別 した。 そこで、 Rhizoctonia属菌の分離菌株についてその培養型を観 察する ために、イネ紋枯病菌および紋枯類似症状を引き起こすRhizoclonia属6 菌種とR. solani を代表する6培養型について再評価した。 Table 1 には本節で使用した供試菌株の詳細を示し た。 供試菌株 はジャガイモ煎汁寒天(PSA)傾斜培地で、 保存・維持した。 菌株は、 PSA傾 斜培地から含有寒天菌叢をPSA平板培地上に移植し、 250C、 3ないし4日培養後、 菌叢の先 端部を直径8 mmのコルクボーラでく り抜き、 PSA平板培地上に移植し、 250C、 2週間培養し た。 培養後、 菌叢および菌核の形状を主体に観察しその特徴について記述した。
Table 1 Type strains of Rhizoclonia spp. used in this study.
Type strain
Cs-Ka B-19 PS-4 C-96 RI-64 AH-1 C-505 C-484
C-445
Anastomosis group and culture type)
AG l-IA AG l-IB AG 2-11 AG 2-2 IIIB AG 2-2 IV AG 4lV
WA G-O
A G-Ba AG-Bb
Origin
Riα Sugar beet Pea Mat rush Sugar beet Peanut Riα Rice Riα
a) Anastomosis group is defined according to Ogoshi el al.73)
and MatsudaI12).
b) ATCC: America
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Sourceb)
ATCC 76121
ATCC 76122
ATCC 76168
ATCC 76124
ATCC 76125
ATCC 76126
ATCC 76155
ATCC 76134
ATCC 76135
実験結
はじめに、 イネ紋枯病および紋枯類似症を引き起こすRhizoclonia属菌5種2群の病原菌を 平板培養し、 菌叢を観察した結果を以下に示した。観察事項として、 主に菌叢の性状および 菌核の様相に着目した。 また、 平板培養した各菌株の菌叢の写真をFig.lに示した。
イネ紋枯病および紋枯類似症Rhizoctonia属
①イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani AG l-IA) (イネ紋枯病系)
菌糸は無色、 培養後2�3週間で黄白色から淡褐色になった。菌糸の生育速度、 菌核の形成 は比較的早く、 また、 菌叢の色が変色しないものと褐色に変化する菌株が見られた。菌核 の 色は黒褐色で、 大きさ1�2mm、 球状に連生した。
②イネ褐色紋枯病菌(Rhizoctonia solani AG 2-2 IIIB) (イグサ紋枯病系)
菌糸の伸長速度は中程度であり、 菌糸は最初無色であるが後に淡 褐色に変化した。菌叢は 淡褐色から濃褐色に変色し、 培養約一ヶ月後に球形でlmm程度の褐色の菌核が形成され、 輪 紋状に散在した。
③イネ赤色菌核病菌(RhizoClonia仰'ZaeWAG-O)
菌糸の生育速度はきわめて早く、 菌糸は無色ないし白色を呈した 。 菌叢は白色から淡紅色 になった。 培養約2週間後から菌叢の表面部に小型・ 不定形の鮭肉色の菌核が散在した。菌 核の大きさはlmm程度で、 ほぼ一定の大きさを示した。
④イネ褐色菌核病菌(Rhizoclonia oryzae-saLiνaeAG Bb)
菌糸の生育は比較的早く、 菌糸は白色のちに淡褐色を呈した。 菌叢は乳白色から淡褐色 を 示しのちに菌叢全体が褐色に変色した。 菌核 は、 淡褐色から褐色、 不定型で中心部から輪紋 状に散在した。菌核の大きさは約1.5mmから4mmで、 様々な大きさを呈した。
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'∞t
Fig. 1 Rhizoctonia spp. isolates showing cultural characteristics. A, R. solani AG・1 IA; B, R. solani AG 2-2 IIIB; C, R. oryzae; D, R. 0ヴzae
satiνae; E, R. fumigata; F, Sclerotium hydrophilum; G, R. solani AG-1 IB; H, R. solani AG 2-1; 1, R. solani AG-4 and J, R. solani AG 2-2 IV.
⑤灰色菌核病菌(RhizoctoniafumigataAG Ba)
菌糸の伸長速度は比較的早く、 菌糸は淡褐色から後に褐色を呈した。 菌叢は淡褐色から褐 色のちに茶褐色に変色し、 同心円状に輪紋を形成した。 培地上では菌核を形成しなかった。
⑥球状菌核病菌(Sclerotiumhydrophilum)
菌糸の生育はきわめ て早く、 日数の経過とともに菌糸は無色ないし乳白色を呈した。菌叢 の色は淡褐色から後に褐色に変色した。菌核は白色後に黒褐色に変化し、 ほぼ球状で1mmほ どの大きさの定型の菌核を連生した。
同様に、 松田 ・ 渡辺112)が報告したRhi.zoctonia solaJ1iにおける活養型の違いによる類別を検 証するために、 R. solaniの2つの培養型を除く4つの培養型について観察した。
R. solani 培養型の菌叢観察
AG 1-IB型(樹木苗くもの巣病系)
菌糸は初め無色で、 時間の経過と共に淡褐色 を呈した。菌糸の伸長速度、 菌核の形成は早か った。菌叢の色は淡褐色を呈する。 菌核は褐色で平球形、 大きさはまちまちで 2---5mmの範 囲であった。
AG 2 -1 II型(アブラナ科低温系)
培養日数の経過とともに淡褐色に変色した。 培地は淡褐色に褐変 した。菌糸の伸長速度は きわめて遅かった。菌核は小さく1mm以下のものを形成し、 時には微少な菌核の集合が輪紋 状に形成された。 また、 これらに菌核は ほぼ球状で褐色を呈した。
AG 4 IIIA型(苗立枯病系)
菌糸の色は無色からやや褐変した。 菌叢は密生し白色を呈した。 培地は褐色から濃褐色に 変化した。菌核は球ないし塊状で不整形であり、 褐色から黒色を呈した。 菌糸の伸長速度は 早く培地上に気中菌糸を密生した。
-9-
AG 2-2 IV型(テンサイ根腐病系)
菌糸の伸長速度は比較的早かった。 菌叢は始め灰褐色、 後に濃褐色に変色した。 菌叢に 輪 紋が観察された。 菌核は褐色から濃褐色を呈し、 平板、 塊状であり不整形であった。
ー10-
第2節 菌糸融合群に基づくRhizoClonia属菌の類、別
材料および方法
当教室保存のR. so!ani10菌株、 筆者が分離した 11菌株およびイネ赤色菌株病菌とよく類似 した菌叢形態を示す8菌株を本節の実験に供試した。 各菌株の来歴をTable2に示した。菌株 はPSA傾斜地地で2 50C、 暗所で保存・維持した。
生越引0,26..11, .15, .18, 61・62,叫70,77,85,89-90,95,97,107,116,118,120)の方法に準じて、 PSA傾斜培地に継代し
た菌株をPDA平板培地上で280C、 3ないし4日間培養した。一方、 R. so!aniおよびR.σアzae の菌糸融合群の標準菌株を用意し、 同様にPDA培地上で平板培養した。菌糸融合の観察を光 学顕微鏡下で行う ために、 2% Water agar (WA)をスライドガラス(76x 26mm)に2から3mm の厚さになるように薄くプレートし、WAの上にスライドガラスと等しい大きさにカットした 殺菌セロファンを敷いた。標準菌株の培養から菌叢の先端部分を直径3mmのコルクボーラー で打ち抜き、 寒天含有ディスクをWAに移植し、 同定すべき菌株も同様にして同じWA上に 移植した。両菌の間隔を3""'4cmにして、 20"'"250Cで培養した。菌糸の成長を観察し、 両菌株 の菌糸が接触したとき、 菌糸密度の低い菌糸の先端部分をコットンブルーで染色した後、 光 学顕微鏡で菌糸融合部分の観察を行った。
実験結果
Fig.2は本節で観察した菌糸融合部位の光学顕写真である。各菌株が融合を引き起こす頻度 は菌株によって差がみられ、 完全に融合して原形質が連絡し合うもの(Fig.2-A)、 菌糸先端の 融合部位が壊死してしまうもの(Fig.2-B)、 先端部での後触はあるものの融合せずに伸長が停
- 11-
Table 2 List of unidentified Rhizoctonia Spp investiEated.
Isolate Host Sourceb) 1ρcation
Chiang 1 Riα AKU Thailand
Chiang 4 ノノ ノノ ノノ
CRRI ノ/ AKU India
Dagl ノノ AKU Philippines
DM Rs.4 77146 ノノ AKU Indonesia
India 1 AKU India
lNS 29-2 AKU Indonesia
Madras Univ AKU India
Rs.27 3110 Commelinαnudijlσα AKU Indonesia
Rs.27 4139 Setαria bαrbαtum ノノ ノノ
Rs.4 7 5158 Soybean ノノ ノノ
H 1521 Soil KU lapan
T3633 // ノノ ノノ
H 2512 /ノ /ノ ノ/
H 2732 // // //
S 37 14 ノノ ノノ ノノ
H 1121 ノノ ノノ ノノ
T2422 ノノ ノノ ノノ
T4432 ノノ ノノ ノノ
S 3532 ノノ ノノ ノノ
H 1122 ノノ ノノ ノノ
T-012 ノノ ノノ ノノ
T -111 ノノ ノノ ノノ
T -112 ノノ ノノ ノノ
T-22 ノノ /ノ ノノ
H -3603 ノノ ノノ ノ/
T -33 ノノ ノノ ノノ
T -122 /ノ ノノ ノノ
T-2122 // ノ/ //
a)一:Unknown
b) AKU: Faculty of Agriculture, Kyushu University, Fukuoka, lapan.
KU: Faculty of Agriculture, Kagoshima University, Kagoshima, lapan.
ー12-
B
C
Fig. 2 Micrograph showing hyphal fusion between reference and tested isolates of R. solanÎ AG-l IA. A, perfect fusion; B,
imperfect fusion and C, contact fusion.
ー13-
止したもの、 まったく接触せず交差したものなどが観察された(Fig. 2-C)。 そこで、 生越の検 定方法に従って、 一方の菌糸が他方の菌糸に誘引されて接触しているもの、 および、 接触し た菌糸細胞が死んでいる現象が観察された組み合わせを同じ菌糸融合群であるものと判定し た。 また、 標準菌株の融合能力が何らかの原因により低下あるいは欠如した結果、 菌糸融A を観察することができなかった組み合わせや、 融合部位が不明瞭で観察が困難な組み合わせ も観察された。
未知の菌糸融合群を決定するために、 培養性質からR. sol,ω1lと思われる菌株を標準菌株と 菌糸融合させた結果をTable 3に、 同様にR. oryzae と思われる菌株の結果をTable 4にそれぞ れ示した。 当教室外国分離菌株は菌糸融合群AG-lからAG-2に (Table 3)、 鹿児島県分離菌 株はAG-5からAG-7に(Table 3)、土壌中から分離したR.仰zae様菌株はR.仰zaeとR.zeae
(TabJe 4)とに同定された。また、R.αyzaeの菌糸融合の実験では、標準菌株のR. aヴzae\入1AG-Z
とR. zeaeWAG-Oの両菌株に融合することができる菌株も観察された。
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Table 3 Hyphal anastomosis of R. solani isolates from foreign countries and Kagoshima Pref. with the reference isolates.
Test isolatea)
AG 2-2 ITIB AG 2-2 IV AG 3 AG BI
+ + + + + +
++
++
AG 7
++
++
++
a) Isolates were defined for anastomosis group according to Ogoshi et al.73)
b)ηle frequency of hyphal anastomosis: ++ frequently observed; + rarely observed; - not observed.
AG 6
++
AG 5
++
AG4
++
++
AG 2-1
+
AG 1・IC
+ + + + + +
+
++
++
AG 1-IB
+
++
++
+ + +
+朴+
AG 1-IA
++h) ++
++
++
+ ++
++
+ +
7146 Isolate
Chiang 1 Chiang 4 CRRI Dagi DM Rs.4 lndia 1 INS 29・2 恥1adras Univ RS. 273110 RS.274 1 39 Rs.4 75158 H 1521 T 3633 H 2512 H 2732 S 37 14 H 112 1 T2422 T44 32 S 3532 H 1122
'HUa
Table 4 HyphaI anastomosis of R. αyzae identified by morphologicaI characteristics with the reference isolates.
Test isolate3) IsoIates
T-012 T-l11 T-112 T-22 H-3603 T-33 T-122 T-2122
WAG-Z WAG-O
b) +
+
ト
+ +
.
+ + + + +
+ (+)
(+)
+ a) Isolates were defined for anastomosis group according to Ogoshi el al.功
b)百le frequency of hyphaI anastomosis: ++ frequently observed; + seldom observed; - not observed; 0 suspect.
ー16-
第3節 栄養要求性によるR. solaniの類、別
材料および方法
R. solaniの AG-lからAG- BIまでの12群を実験に供試した。詳細をTable 5に 示した。各菌 株はPSA傾斜培地上で250C、 暗所で保存した。
栄養要求性の試験には比較的的確な結論が得られやすいチアミンの利用性について試験を 行った。 基本培地の組成(グルコース ・ アスパラギン培地: GA)は、 1Lにつき、 0-グルコー ス1旬、 しアスパラギン0.5g、 硫酸マグネシウム0.5g、 リン酸二カリウム旬、 硝酸鉄0.2mg、
硫酸亜鉛0.2mg、 硫酸マンガンO.lmgとした。 基本培地(GA(-))と、 基本培地に1 00nM(3.4mg) の塩酸チアミンを添加した培地(GA ( +) )の2種類、を用いた。 各培地を100mlの三角フラスコに 30mlずつ分注し、 こ れにあらかじめ2%WA上で生育させた 菌叢を接種し、 250C、 10日間培 養後、 菌体を回収し、 凍結乾燥し菌体の重さを測定した。 各試験は2 回反復して行い 、 その 平均を測定した。
実験結
R. solani7 菌糸融合群を含む12 群 についてチアミン要求の有無をTable 6に 示した。 供試し た12群 の中でチアミン要求性が高い結果 を示した群 はAG 2-2 IIIB、 AG 2-2 IV、 AG 5および AGBIの4群であった(Table 6)。本節で得られた結果は、 以前に報告されたチアミン要求の特 異性の試験に関する結果とほぼ一致した。 チアミンの要求性が特に高かったのはAG 2-2 IIIB
とAG2之IVの菌株であり、この両菌群はGA( + )/GA( -)の比率が10 倍を越えており他の群と比 較して顕著な差を示した。
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Table 5 Lists of Rhizoctonia solani isolates invest包竺生
Isolate A G/ISG Origin
Cs -Ka 1 lA Rice
C申325 1 lA Rice
C-326 1lA Rice
CB-515-3 1 IB Soil
B 54 1 IB Sugar corn
C F-93-18 1 IB Soil
P-1 1 IC Potato
RH-28 1 IC
F-2 1 IC Flax
PS-4 2-1 Pea
SH-3 2-1 Soil
F-15 2-1 Flax
C-96 2-2IIIB Mat rush
C-100 2-2 IlIB Mat rush
C-116 2-2 IIIB Mat rush
RI-64 2 -2 IV Sugar beet
B-70 2-2IV Sugar beet
Pf-28 2-2IV Sugar beet
ST-11-6 3 Potato
ST-2 3 Potato
ST-9 3 Potato
A H-1 4 Peanut
RR5-2 4 Sugar beet
R-97 4 Sugar beet
SH-29 5 Soil
SH-30 5 Soil
SH-34 5 Soil
NKN-2-1 6 Soil
NH1-1 6 Soil
OHT-1・1 6 Soil
MA F F 305551 7 Soil
MA F F 305552 7 Soil
MA F F 305553 7 Soil
TE-2四4 BI Soil
A I-1-4 BI Soil
TS-2-4 BI Soil
ATCC: American Type Culture Collection, USA.
I FO: Institute for Fermentation, Osaka, Japan.
Source3) ATCC 76121 IFO 30935 IFO 30936 AHU AHU IFO 30938
A HU AHU AHU
ATCC 76124 IFO 30940 I FO 30941
ATCC 76124 MA F F ル仏FF MAFF A HU MA FF ATCC 76167 IFO 30983 I FO 30985
ATCC 76126 S. Kuninaga S. Kuninaga IFO 30954
MAFF 305256 MA F F 305253 MAF F 305261 S. Kuninaga ATCC 76129
MA FF MAFF MAFF
MAF F 305266 MAFF 305263 ATCC 76132
A HU: Faculty of Agriculture, Hokkaido University, Hokkaido, Japan.
MAFF: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries. Tsukuba, Japan.
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Table 6. Mycelial dry weight (g) after 10 days culture of 12 groups of R. sollωzi on
glucose-asparagine medium, with or without thiamine.
R. solani groups GA(+)司) GA(_)b) GA(+)/GA(ー)
AG 1-I A 0.184C) 0.147
AG 1-IB 0.177 0.143
AG 1-IC 0.146 0.113
AG 2-1 0.225 0.190
AG 2-2 IIIB 0.148 0.010
AG 2-2 IV 0.186 0.017
AG3 0.112 0.095
AG4 0.225 0.212
AG5 0.214 0.013
AG 6 0.321 0.255
AG 7 0.413 0.359
AGBI 0.186 0.021
a) GA(+) = glucose asparagine medium plus 10・5 M thiamine hydrochloride
b) GA(ー)= glucose asparagine medium.
のMean of 3 isolates tested in two replications.
1.25 1.24 1.29 1.14 14.78 10.65 1.18 1.06 16.49 1.26 1.15 8.69
特にAG1およびAG2につい てチアミン有無に着目した結果、AG 1ではAG1-I A、AG1-IB およびAG1-ICの3 群はすべてチアミン要求性を示さなかった。 しかしながら、AG2では、
AG 2-1はチアミン要求性を示さなかったが、 AG2-2 の2つの群 (AG2-2 IIIB と2-2 IV)はチア ミン要求性を示した。 こ のこと か ら、 AG2 の3菌群間ではチアミン要求性 に差異がみられた が、 チアミン要求性の有無と病原性との聞には関連がみられなかった。
考 察
生態的特徴を重視して分類する場合には、 培養的性質 がRhizoctonia属菌の分類手段として
重要であるとされてきた。生越ら7刈Oふ引-7
とは相関性が高いこ とを報告し、 さらにそれらは菌糸融合群による類、別と密度な関連性があ る と し て い る 。 したがって、 種以下の分類単位としての培 養性質は、Rhizoctonia 属菌を区分
-19-
するための重要な特質であると考えられる。 しかしながら、 培養型による類別は、 観察者 の 視点によって主観的な結果が導かれる場合が多く、明確な分類基準を設定することは非常に 困難である。 また、 培養性質は遺伝的要因に支配されており、 菌株によって特徴的であるが 培養中に菌株が突然変異を起こすことはしばしば見られる現象であり、 その培養的性質が変 化した結果、 ある培養型から分岐した新しい培養型が誕生する可能性が示唆される。 その た め、 培養型による類別はより複雑化する可能性があり、 培養型や病原性による類別がより困 難になると推察される。 培養的性質に基づく類別は、 系統分類学的な分類単位としては不適
当な指標である可能性がある。
菌糸融合は菌糸が互いに接触し菌糸の生育が止まり、 分枝様の突起物を形成して細胞壁が 溶解し細胞質が融合する現象である。 この現象は菌株特有の特質で 、 同じ菌糸融合群に属す る菌株群は遺伝的に同質であることが考えら れる。 しかしながら、 遠く離れた菌糸同士が な ぜお互いの存在を認識しあい融合すること が できるかは現在不明で ある。 菌糸融合群による 類別はRhizoctonia属菌を分類するには簡便であり確実性が高いと考えられるが、 本章の実験 では試験菌株と標準菌株との完全融合が頻繁に観察された場合と希にしか観察されない場合 がみられた。 また、 標準菌株の融合能力の低下や菌株の生育状態に より融合が出来なくな る ことも観察された。 その結果、 菌糸融合の結果の判定には観察者の熟練が必要であり、 また、
観察事項の条件の整一化などが必要であると思われた。さらに、菌糸融合群によってR. solani の系統分類学的な分類を説明することができるとされており、 DNA塩基配列の相向性8,41-47) やGC含量50)の試験により系統進化学的な関係が明らかにされた。 しかしながら、 菌糸融合 群による類別が系統進化学的な類別と相関性があるかどうかは現時点では明確にはされてお
らず、 菌糸融合群が必ずしも系統進化を説明することはできないと思われる。
R. solaniに関する栄養要求性の特異性を調べた結果、菌糸融合群によってはチアミン要求性 の有無に違いが認められた。 中でもAG2では、 AG2-1とAG2-2では明らかに栄養要求性に
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差違が認められた。 菌糸融合群とチアミン要求性はよく相関しており、 分類基準のーっと し て菌糸融合群と関連性が高い重要な特性となっている。 また、 チアミン要求性以外の栄養要 求性の試験もなされているが、 菌株によって栄養要求性の有無に差がみられ菌糸融合群と明 確な相関性がみられない結果が示されている。 したがって、 栄養要求性の試験はR. solaniの 類別に有効な手法のひとつであると考えられるが、 融合群内においても要求性に差異がみら れたことから、 すべての菌糸融合群で有効な手法とは考えにくく、 本試験の結果が系統分類 学的に有用な特質としてはなり得ない可能性がある。
植物病原菌の分類、は、 有性生殖器官の形態的特徴によって行われるが、 Rh izocLonia属菌は その形態的特徴に乏しく、 また、 自然界においては分類、の基準とな る有性世代を形成しにく いことからその分類、には未だに混乱が見られる。 現在、 R. solaniと同定されている菌株には 生態的性質や病原性を異にするものが多数含まれており、 前述のように、 菌糸融合性を異に する種内群が存在する。 従って、 種レベルに おける再類別がしばし ば提案されている。 菌糸 融合群に基づく類別は、 従来の類別法の中では最も信頼できる方法 とされているが、 本実験 結果からも明らかなように観察者の主観が入る可能性が高く、 また、 実験条件による結果の ふれが懸念される。 このため、 機器測定などのより客観的な手法による本属菌の系統分類、が 望まれる。
-21-
第2章 脂肪酸分析によるRhizoctonia属菌の類、別
近年の新しい微生物分類学は、 ただ単に微 生物を便宜的に表現するだけの鑑別ではなく
微生物聞の系統関係を積極的に表現する自然分類をめざしている。 菌類の分類は、 伝統的に 形態学的性状に基づい て行われているが、 この分類、指標の評価にはかならずしも客観的な 基 準がないために系統論的な妥当性に乏しい面がある。 また、 植物病原菌の分類では病原性や 宿主範囲などの表現形 質が指標として重視さ れ、 それがさらに系統分類学的な混乱を生じて
いる部分も見受けられる。
近年の分子生物学の急速な進歩は、 生物の類縁関係を客観的に評価できる種々の技法をも たらし、 菌類分類学にも深い影響を及ぼして いる。その新技法を用いた病原菌類、の分類学的 研究は、 むしろ形態学に立脚した伝統的分類学の重要性を浮き彫りにし、 また、 分類、指標 を 簡素化するものとして期待されている。 特に 、 生化学的手法による分類、は、 表現形質だけで は系統関係を知ることができない菌類において有効な手段となっている。生化学的分類、とは、
核酸、 タンパク質の生 体高分子の情報や、 また生命の維持に必須の化学成分あるいは代謝産 物を指標として微生物を分類する手法である。 生殖器官の形態的特徴に乏しいRhizoctonia属 菌では、 生化学的手法 に基づく分類に関して多くの研究がなされており、 特に、 菌体成分分 析による分類が近年注目されてきた弥10九
全菌体又は菌体部分 の化学組成に関する情報は極めて有用であり、 菌体成分分析に用い ら れている指標としては、 菌体脂質および脂肪酸、 キノン類、 タンパク質のアミノ酸組成、 ァ イソザイム分析などが挙げられる11九菌休成分分析に基づく分類法は、 生体成分の微量分析 や機器分析の技術の著しい発展とともに確立されてきた手法であり、 植物病原菌類の分類 に も最近広く利用される ようになった。 そこで、 本章では菌体成分の一種である脂肪酸に着
してRhizoclonia属菌の類別を試みた。 菌体脂肪酸は細胞脂質の構成成分として存在し、 環境
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条件に適応して変動するが、 一定培養条件下では遺伝的条件を反映して各菌に特徴的である とされている。 また、 高度に近縁の菌種間に おいても脂肪酸組成比の違いによって区別する ことが可能であること が明らかとなっている 。 また、 多くの菌株を供試できること、 情報が 容易に得られること、 脂肪酸のバリエーションは多いので、 パラメーターが広い範囲に変わ り得ることなどが特徴である。これらの利点から、脂肪酸組成比の類似度に従ってRhizoctonia 属菌の相対的な位置関係を類推した。 本章では容易性を考慮した 脂肪酸 分析 法の確立と Rhizoctonia属菌における脂肪酸分析法の有効性について考察した。
-23-
第1節 菌体脂肪酸分析法の改良
第1 J頁 簡易抽出法の開発
菌体細胞を構成する物質として重要な役割を有している脂質の化学構造や組成が生物種の 群によって特徴のあることはよく知られている。 しかし、 この群の大きさはかなり大きいの が普通であり、 また、 この脂質の分析や同定を容易に実施できるクロマトグラフィーはまだ 開発されていない。 一方、 脂質を構成する脂肪酸の組成比はより小さい群の特徴となり、 脂 肪酸エステルはガスクロマトグラムで容易に分析することができる。 またコンビューターと の組み合わせによって、 結果を自動的に計算することができる利点がある。 このように菌体 の脂肪酸分析は優れた分析法であると考えられるが、 菌体からの脂肪酸の調製は、 行程が複 雑でかつ労力と時間がかかるのが欠点、である。 そこで、 菌体脂肪酸の簡易・ 迅速調製法の開 発を行った。
材料・ 方法および結果
脂肪酸メチルエステルの調製法としては塩酸-メタノール法やアルカリ鹸化法があるが、
本章では、 脂肪酸のメチル化と抽出が同時に行える塩酸ーメタノール法を採用した。
ヌートリエントブロス加用液体培地(組成: Nutrient Broth 8g1L)で280C、 10日間培養した 菌体を蒸留水で洗浄、 集菌した後、 凍結乾燥した。 凍結乾燥菌体約10-20mgをとり、 ガラス 製の血清用アンプルに入れ、0.5mlの5%塩酸-メタノールを加え溶封し、オーブン中で1000C、
3時間加温してメタノリシスを行った。
通常、脂肪酸メチルエステルの刷出は抽出用有機溶媒として液体クロマトグラフィー用の
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ヘキサンや石油エーテルなどが使用され、 一回の抽出に1.5mlほど使用し、3ないし4回抽出 を繰り返すのが定法とされている 札 3九 また、 これらの川出操作にはガラス試験管等を用い て実験が行われるため、 一回の実験で多くの菌株から脂肪酸を抽出するには数多くの実験器 具と大量の有機溶媒が必要となり、 また、 操作自体も非常に手間と時間を費やすので、 拍出 操作を見直すことが必要であると思われた。 そこで、 抽出に必要な有機溶媒の量をできるだ け少量にすることと、 抽出操作をできるだけ簡素化するためにガラス試験管に代用できる器 具を検討した。 すなわち、 有機溶媒としてヘキサン 1ml を使用し、 またガラス試験管の代わ
りにエツペンドルフチューブを用いた。
5%塩酸ーメタノールを加えたアンプルをオーブンから取り出し、 室温下で冷却した後、 メ タノリシスされた脂肪酸(脂肪酸メチルエステル)を1.5mlのエツペンドルフチューブに移し、
O.5mlの蒸留水を加えた。 脂肪酸メチルエステルの抽出過程としては、 O.5mlのヘキサンを上 述のエツペンドルフチューブに加えて激しく撹伴し、 5,000 rpm、 1分間遠心分離した。 上清 のヘキサン層を採取し、 新しいエツペンドルフチューブに移した。 上清を採取した残りの水 層にさらにヘキサンを加えて同様に撹伴、 遠心分離し、 ヘキサン層の採取を行った。 塩酸を 除去するために、 集めたヘキサンに 0.5mlの蒸留水を加え激しく撹伴し、5,000rpm、1分間遠 心分離した。 上清の有機溶媒層をエツペンドルフチューブに移し、 脱水するために無水硫 酸 ナトリウムを適量加え、 軽く撹伴、 遠JL\分離して無水硫酸ナトリウムを沈殿させた後、 ヘキ サンを無水硫酸ナトリウムが混在しないようにパスツールピペットでゆっくり小型パイアル 試験管に移した。窒素ガスで有機溶媒を揮散させた後、残さにヘキサンを30-40μi加えてガス クロマトグラフィーの注入用試料とした。 なお、 Fig.3に詳細を示した。
Rhizocloniαspp. isolate
Culture in 30 ml of liquid nutrient broth medium at 280C for 10 days Rinse mycelia with distilled water
Lyophilize at OOC for over night Lyohilized mycelia
Treat lyophilized mycelia (20 mg) with 0.5 ml of 5% HCl-methanol at 1∞。C for 3 hours in a sealed glass tube
Cool the sealed glass tube at room temperature Transfer the sol ution to a new Eppendorf tube Add 0.5 ml of distilled water
Add 0.5 ml of l1-hexane and mix gently Centrifuge at 5,000 rpm for 1 min
Decant the supematant (solvent layer) to a new Eppendorf tube
Decant the solvent layer to a new Eppendorf tube and add 0.5 g of anhydrous sodium sulfate
Mix by inversion and centrifuge at 5,000中m for 1 min.
Transfer the organic phase to a smaJl glass vial Dry with nitrogen gas blowing
Add 10μ1 of n-hexane and store at -20oC until use
Fig. 3 Preparation of samples of fatty acid methyl ester for gas liquid chromatography (GLC)
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第2J員 ガスクロマトグラフィによる菌休脂肪酸の分析
簡便法により脂肪酸メチルエステルを抽出した後、 水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガ スクロマトグラフに試料を注入して各菌株の脂肪酸組成比を算出する。 木章では島津ガスク ロマトグラフ(GLC)GC-17Aを用いた。 カラムは化学結合相を持ったBonded型キヤピラリー カラムHR-SS-I0(0.25 mm x 3 m)であり、 流出時間は1回の試料注入あたり15 分間に定めた。
また、 分析温度条件は、 試料注入口温度: 2500C、 検出器温度: 2500C、 カラム温度:1800Cと した。 また、 キャリアガスには窒素を使用し、 キャリアガス流量は約60Kpascal (50ml/min)と した。
第3 J頁 脂肪酸メチルエステルの同定
個々の脂肪酸メチルエステルの同定は、 標準品のメチル化脂肪酸の保持時聞から算出した。
分枝、 不飽和基および水酸基を有する脂肪酸メチルエステルの系列は、 脂肪酸の炭素数と保 持時間との関係を片対数でプロットすると平行な直線関係になることが知られている。 しか し、 これを炭素軸と平行に移動し、 直鎖脂肪酸メチルエステルの線と重ね合わせると、 小数 点以下の数値で官能基の有無、 その種類などにある程度の推測を与えることができる。 これ をECL (Equivalent chain length)と称している。 ECLは相対保持時間の一つの変形であり、 同ー の分析条件であれば、 定まった物質であればほぼ一定の値を与え、 ECLがほぼ同一であれば
そのピ一クは同一の物質に由来すると判定することができる2幻3,3刊7η) ECLは次の式で計算することがでで、きるo
ECLx=A+B x log ((RTx - D) / (RTCJ 6 -D) )+C X (Iog ((RTx -D) / (RTC16 -D))2
A,B,C,Dは、直鎖脂肪酸メチルエステルを含む原準試料を分析して得た値から計算によっ
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