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高卒者の建設業就職への途 : 「高卒就職者の職業別 進路」研究より

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

高卒者の建設業就職への途 : 「高卒就職者の職業別 進路」研究より

吉本, 圭一

雇用職業総合研究所

http://hdl.handle.net/2324/18528

出版情報:つち. 13 (2), pp.15-19, 1989-02-01. 雇用促進事業団 バージョン:

権利関係:

(2)

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雇用職業総合研究所研究員

吉本圭一

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(資料出所:労働省「新規学卒者の職業紹介状況報告」綴織版)

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77

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60

人50・

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  20

︑囑0

 高卒者の就職難と就職離れが進む一方で︑

建設業では人手不足が続いている︒この小論

では︑高卒者の進路に関する研究成果を用い

て︑建設業への就職実態を明らかにし︑また

今後の可能性について考えてみたい︒

 近年の高卒者をめぐる就職環境は大きく変

化している︒ここ数年は︑円高不況などで求

人数が減少し︑就職を諦めて専修学校なぜへ

進路希望を変更するといった現象が目立った︒

最近︑景気が回復し求人は持ち直してきたも

のの︑就職希望率の減少はまだ続いている︒

 建設業に目を転じてみると︑景気動向に応

じた上下はあるものの︑毎年求人数が実際の

就職者数を大幅に上回っている︒つまり︑高

卒就職状況が悪化したときでも︑建設業は依

然として売り手市場であり︑なかなか人が集

まらず︑未充足の求人が多く残っていたわけ

        むてある

 図1の求人充足率の推移を見ると︑建設業

の求人充足率は他の産業と比べて低く︑ここ

一〇余年︑三割から四割の問で収まっている︒

 これに対して︑卸・小売業やサービス業な

どの第三次産業では・求人の減少につれて︑  ㈹

(3)

60 70(%

40 50

融 30

20 10

46.4 60.3

醗騨響24・9

璽騨22洛

翻甥㎞42.。

函15,2

3.9

国13.0

3.7

纒9.4

3.6

翻9.2

4.3

棚S 23.,

仕事が、自分の性 格に合っているか 自分の能力や特技 が生かせるか 安定していて失業 のおそれがなさそ うか

おもしろそうな仕 事か

長く働ける仕事か 収入が多そうか 人と接することの

多い仕事か

その充足率は上昇している︒かつて建設業と

同じく求人充足率の低かった製造業の場合も︑

第三次産業で十分吸収しきれない就職者が流

れ込み︑次第にその求人充足率が上昇してい

った︒ すなわち︑建設業は︑他の産業の求人充足

率の伸びにとり残されている︒今日の建設業

の状況は︑かつてのように高卒者を他の産業

と引き合うのではなく︑他の産業では需要が

減り︑就職を諦める者まで出ている中で︑﹁敬

遠﹂とか﹁すれ違い﹂が起きているという問

題なのである︒

会社や人のために 役立つ仕事か 将来発展する職業

将来独立できる可 能性があるか イメージのよい職 業か

休日や休暇が多く 時間のゆとりがあ

りそうか

    希望決定群(N=3792)

    希望未決定群(N=2926)

     (三つまで選択)

(資料出所:黙灘義烈牽校生の購望に関する)

 そして︑このような問題の背景を見る際︑

高卒者の価値観や好みだけで片づけるのでは

なく︑職業教育との関連にも目を向けてみた

いと思う︒

 まず︑高校生は仕事に何を求めているのだ

ろうか︒最近の若者は﹁新人類﹂などともて

はやされるが︑職業希望やその選択の基準を

聞いてみると︑職業についての考え方の大枠︑ は︑大人たちと変わらないように思う︒ともあれ︑ここでは﹁安定志向﹂と﹁スペシャリスト志向﹂という二つにまとめてみよう︒ まず高校生の職業観の一つの柱は︑安定・安全といった志向である︒さらにいえば︑ブランドで選ぶとか﹁寄らば大樹の陰﹂といった選択も類似しており︑こうした志向は︑大人たち同様︑あるいはそれ以上に強いように思える︒希望する職種でいえば︑公務員や事務職の希望が多く︑また実際の可能性以上にあげられている︵雇用職業総合研究所﹃高校生の職業希望に関する調査研究報告書﹄一九八六年︶︒また︑図2の職業を選択するときの重視条件では︑職種希望が明確でない生徒のばあい︑ ﹁安定していて失業のおそれがなさそうか﹂ ﹁収入が証そうか﹂ ﹁休日や休暇が多く︑時間のゆとりがありそうか﹂などを重視しようとしている者が多い︒ もう﹈方では︑ ﹁仕事が︑自分の性格に合

っているか﹂ ﹁自分の能力や特技が生かせる

か﹂ ﹁おもしろそうな仕事か﹂などが重要な

選択基準である︒こうした基準を重視してい

・るのは︑専門・技術職を希望する生徒たちで

ある︒この職種への希望も︑実際の就職可能

性以上に多く集まっている︒また︑将来的に

は﹁管理職﹂よりは﹁専門家﹂としてのキャ

リアを望んでいる高校生が多い︒これらに共

(16)

(4)

通する柱が︑仕事・職業キャリアを重視する

﹁スペシャリスト志向﹂である︒

①規模と職種

 さて︑実際の就職動向に話を進めると︑図

3に示すように︑建設業の場合︑他の産業と

比べて中小の事業所が多く︑一〇〇人未満の

事業所への就職者が六割までを占めている︒

逆に︑金融・保険業や運輸・通信業ではほぼ

半数が一〇〇〇人以上の大事業所へ就職して

おり︑大きな差がある︒また︑この事業所の規

模の差は︑同時に賃金・休暇などの労働条件

や安定性の格差にもつながる︒

 建設業の中で︑そうした産業とブランドイ

メージで互角に競争できるところは数少なか

ろう︒また︑建設業は︑そもそも毎回違った

注文を受け︑.その納期に合わせて仕事がスタ

ートする︒今後とも︑昌いろいろな労働条件の

改善が必要ではあるが︑こうした側面だけで

の勝負はあまり得策ではない︒つまり︑安定

志向を満たすことで若者を引きつけようとす

ることは.建設業にとっては︑なかなか難し

い課題である︒  とすると︑建設業の魅力は別のところで探

さねばならない︒これはちゃんとある︒図4

は︑それぞれの産業への就職者がどんな職種

につくのか比較したものである︒ここから︑

・専門・技術職へのチャンスを比べると︑建設

業では四一%と最も高く︑製造業ではわずか

 一三%であり︑残りのほとんどが技能工・生

産工程の職業についている︒自分の能力や特

技を生かしたいスペシャリスト志向の若者に

とって︑建設業は魅力的な機会を提供できる

のではあるまいか︒

  つまり︑安定志向をかなえることは難しく

#tTiS#liilee  gi esti.#ilii ..iee・wwN..,1 ,tkt.# .ee.lilimtnd.....wa ilbu,ee

         盤

    灘雲

とも︑スペシャリスト志向を持つ若者を集め

ることは十分可能性があると見てよい︒もち

ろん︑資質や教育・訓練が伴っていなければ︑

それも単なる﹁可能性﹂に終わってしまうの

だが︒

②高校の学科と専門・技術職チャンス

 そこで︑建設業就職者が受けてきた教育・

訓練をみてみよう︒図5は︑右には建設業就

職男子の出身学科︑左には産業計での高卒.就

職男子の学科構成を図示している︒学科の並

べ方は︑就職判子の建設業比率の高い学科の

0   10   20   30   40   50   60   70   80   90   100

灘1

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(N二84138)

        計

建設業

製造業

運輸・

通信業

卸・

小売業

金融・

保険業

サービ ス業

圓300−499人

[Z] SOO−999人

□1,000人以上 E$ 2g人以下

ew 30−99人 匿ヨ100−299人

産 業 別

(資料出所:贈欝灘「高輪者の職業別進路に)

(17)

(5)

順である︒高卒就職男子の半数近くは工業系

学科出身であるが︑建設業への就職者はさら

に工業系学科に集中しており︑七割を占めて

いる︒ つづいて︑この工業系出身者だけを取り出

して︑その中の学科を細分してみると︑図6

のように︑特定の学科への集中がはっきりす

る︒ つまり︑工業系学科の中では︑土木学科・

建築学科は合わせて工業系就職者の一割︵男

子就職者の六%︶を占めているにすぎないけ

れども︑こと建設業就職者に関しては︑この

二学科で工業系学科の中で六割以上︵男子建

設業就職者の四三%︶を占めている︒この両

学科では就職者の半数近くは建設業へ集中し

ており︑教育と就職先との関連が密接である︒

 このように︑工業系学科から建設業への就

職といっても︑密接な関連は土木・建築の二

学科のみである︒同じ工業系でも他の学科で

は目立った関連はなく︑農業・水産系などか

ら建設業への就職比率とほとんど同レベルで

ある︒ 建設業では︑専門・技術職へのチャンスが

大きいと指摘したが︑それもしかるべき教育

を受けていることが前提となる︒図7で︑建

設業における出身学科と職種の関連をみると︑

土木・建築の二学科で専門・技術職比率が高 く︑他に大きく水を開けている︒つまり︑現状の建設業で就職して生かすことができるのは︑主として土木技術や建築・設計技術である︒そして︑こうした求人がいくら余ってい

       墾       難1糞灘難難

      鎌i欝麟鱗灘i灘

      蠣態繋鵜麟蝦麹霧i麟

    灘   4 鷹

ても︑候補になり得る高卒者はごく少数であ  励      ︵る︒他の関連技術を持っている者が建設業で

活躍する機会は︑まだまだ小さいといえよう︒

       事務 齧蜍Z術

       その他不明

@       サーヒス販売      生産工程      保安

建 設      41.0 49.5

13.3

780

運輸通信 58%

サ造業

S7.3%

^輸業

S.4%

オ・小 Q21%щニ

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@ス業P0.5%

 務

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@       、

@      59.4       一

A

15.3    12.9

34.7 98

聡!

19.1 42 208

10.5 63.7 234

    事務      保安      その他不明      サービス専門技術  販売         生産工程

(資料出所:雇用職業総合研究所「高卒就職者の職業別進路に関する研究」1988年)

(6)

 最後に︑若者にとって建設業が魅力的な就

職機会であるための今後の課題を︑少し考え

てみたい︒課題の一つは︑これまでのハンデ

ィーであった﹁安定性﹂とか労働条件面につ ㌔♂

イ)産業計(N=35013)

商業(14.5%)

普通科

(32.60/o)

  懲曲灘灘購鍮飾冤 翻冠揃        あ  サ    。    轍輝藩.

      ロ)建設業(N=2126)

その他(0.3%)      商業(4.5%)  その他(O・1%)

       樋科 .・:二:・

      (16.3%)  ・●・.・ ・ ・       工業手斗       .。.㌦㌦㌦・.

      (45.8%)          .・●. .●・

         農業、水産       (7.9%)

      工業科(71.3%)

   農業、水産(6.8%)

      注)学科名不明を除く

(資料出所:雇用職業総合研究所「高卒就職者の職業別進路に関する研究」1988年)

いて︑改善を一層進めることである︒

 他方︑それだけでは消極策であり︑建設業

のセールス・ポイントを積極的に拡大する方

向がありはしないだろうか︒ここで専門・技

術職へのチャンスとして示唆したことである︒

ただし現状は︑建設業で就職してすぐ活用で

きるのは︑主に土木・建築技術に限定されて

いる︒

霧灘16顯1鞭麟糞懸顯_蕪麟馨欝嚢灘灘欝灘鑛鑛織

イ)産業計(N=l1299)

 その他(3.9%)

 化学系

(7.1foO ) zi

  磁

機械系翻(43.0%)蓬

ロ)建設業(N ・ l163)

土木(5.1%)

        化学系(1.0%)

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鞭官㌦〜

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電気・

電子

(30.7%o)

電気・

電子

(20.9906)

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その他(4.1%)

土木  (25.1906)

デザイシ系  S−ifii!!1!!1   (2.6%)

       建築(36.6%)

       注)小学科名不明を除く

(資料出所:雇用職業総合研究所「高卒就職者の職業別進路に関する研究」1988年)

 今後︑建設業における専門・技術職へのチ

ャンス拡大には︑土木・建築学科出身以外の

高卒者がどのようなキャリアをたどるかが焦

点である︒このため︑例えば①職業教育にお

いて小さな学科の枠を越えて関連分野の教育

を拡大すること︑②建設業でのデザイン・イ

ンテリア科など関連学科の人材を積極的に活

用すること︑③専門・技術職への転換を進め

るための在職中の教育訓練を整備すること︑

などが課題となろう︒

(o/0W0)

70 60 50 40 30 20 10

土木・   電気・電子    機械系     商業科

(292) 建:築  (243)デザイン系(112)農業・水産科(95) 普通科

   (426) (30) (167) (347)

       工業系学科

(資料出所:雇用職業総:合研究所「高卒就職者の職業別進路に関する研究」1988年)

(19)

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