青年女子の身体計測値に関する研究 (第1報)
著者 山田 民子, 本郷 美枝, 長塚 こずえ, 玉田 清美, 橋詰 静子
雑誌名 東京家政大学研究紀要 2 自然科学
巻 31
ページ 79‑88
発行年 1991
出版者 東京家政大学
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010489/
〔東京家政大学研究紀要 第31集(2).p.79〜88,1991〕
青年女子の身体計測値に関する研究(第1報)
山 田 民 子諮本 郷 美 枝潜長 塚 こずえ済
玉田清美諮橋詰静子*
(平成2年9月29日受理)
AStudy of Somatic Measurements of Young Women
Tamiko YAMADA, Miye HoNGo, Kozue NAGATsuKA, Kiyomi TAMADA and Shizuko HAsHlzuME
(Received September 29,1990)
緒 言
正確な身体計測値を求めることは,衣服設計のための 基礎資料として欠かすことができない。
近年青年女子の体型が変化して来ていることを感じる.
周径,長径にも変化が見られるが,体幹の形状にも大 きな変化が見られる.
そこで我々は,成長期の青年女子の衣服設計における 基礎資料を得ることを目的として364名の身体計測値の 検討を行った.
衣服設計を目的としての身体計測値の解析には多くの 統計的手法が用いられているが,我々は「度数分布につ いて」と,いろいろな角度からの「相関関係」,又シルエ ッター写真から「体幹の形状について」の検討を行った.
身体計測値の度数分布は,統計的結果を適切かつ有効 に適用しようとする立場からも必要であり,平均値,標 準偏差などの統計量では得られないデータの全体像に関 する情報を把握することができる。得られたデータの分 布型から正規分布であるのか非正規分布であるのか,そ して又分布の広がりを示す散布度がどのようになってい るのか等,多方面から検討することが必要である.これ は実測値そのものが理論分布を定義していると考えられ るものだからである1).
特に身体計測値の出現範囲と出現頻度は,生産数量や 衣服サイズ規格を設定する時の有効な目安であり基礎的 な資料となる.
又「相関関係」を見ることによって,かなり総合的な 観点から検討できると考えた.
**服飾美術学科 被服構成学研究室
*服飾美術科 被服構成学研究室。第6被服構成研究室
そしてさらに「体幹の形状」を詳しく知ることは,パ ターンメーキング,ボディーの製作,着装など被服造形 上大切なことである.日本人の体格調査に基づいて設定 された既製衣料サイズがあるが2⊃,部位の変異まで把握 していないように思われたので,体幹において着衣の主 要な部位の形状に関する詳細な身体計測値を求め体型の 把握を行った.
そして,近年変化して来ている青年女子の体型を認識 し,明らかにすることを試みた.
今回は,「度数分布」と「相関関係」の一部について報 告する.
資料・方法
資料は,本学女子大学生364名(]9〜20才)の身体計 測値である(1989年6月〜9月計測)。
計測方法は「衣服寸法設定のための身体計測実施要 領」により行った.
今回の被験者の体格(身長,体重,胸囲)について,
全国資料3)と比較すると,すべての項目に優れて有意の 差が見られた.(表ユ参照)
研究項目は,身体の大きさ又は形態を表わす基本的な 項目,及び衣服設計に直接関係する項目を選択したeす なわち,身長,頭長,背丈,前丈,前下がり,胸囲,背肩 幅,肩幅,背幅,胸幅,乳頭下がり,乳頭間の幅,くび 付根囲,肩傾斜(右,左),体重,そで丈,ひじ丈,腕付 根囲,上腕最大囲,ひじ囲,手くび囲,掌囲,胴囲,腰 囲の計25項目である.
各項目について度数分布を求めた.
又度数分布の対称性を見るために歪度G1,及び裾の 長さの程度を見るために尖度G2を算出した.
山田 民子・本郷 美枝・長塚こずえ・玉田 清美・橋詰 静子
︑ノ 3
一
σ
〆\︒Σ;
1π
G
=︑ノ 4 一
σ
〆k
︒Σ・・1一η
=
G
2この2つの係数による検出は正規分布からのずれが大 きい程,非正規性に対して強い検出力を持っていると言
える.
表1.被験者の体位
青 年 女 子 1989年 全国資料
1980年〜1981年 19〜20才 19才
一 一
κ 3.D. ∫ ε.D.
身
長(cm) 158.08 4.94 156.2 5.0
(n=364) (n−780)
体 重(kg) 51.19 629 50.7 6.1
(n=364) (n=761)
胸 囲(cm) 82.97 4.89 81.3 5.0
(n幕364) (n=780)
(G1)歪度 3
2
8
,6
4
1 3
0 8
(1 6
0 4
〔♪ 2
Q
−0 2
−0 4
−0.6
−0 8
170 400g
22,1(tp
Leo
図1.歪度と尖度の関係
結果及び考察
表2は各項目の結果で,被験者数364,平均値x,標 準偏差5 .∠),歪度Gl,尖度G2を表わしたものである.
図1は歪度を縦軸に,尖度を横軸にとり各項目を位置 づけたものである.
これらの結果より,身長,頭長,背丈,前丈,背肩幅,
背幅,胸幅,乳頭下がり,肩傾斜(右,左),そで丈,ひ じ囲,手くび囲,掌囲は,正規分布と認めることができ
る。
肩幅,乳頭間幅,くび付根囲,前下がり,ひじ丈は,
歪度のみ有意に非正規性を示している.
図2・3は,これらの度数分布を表わしたものである.
正規分布を示したものの中で,標準偏差が少なく,分
布の広がりが少ないものに頭長,手くび囲,掌囲がある.
これらは平均値に多く集まっていて個人差が少ないとい うことが言える.
又標準偏差が大きく分布の広がりの大きいものに,身 長と肩傾斜(右,左)がある.身長には大きな個人差が あるということが理解できる.肩傾斜の場合は平均値に 特に多く集まっていて,個人差が少ないということが言 えるが,平均値から離れた値を持つ人が大きい方にも小 さい方にも同程度いるということがわかる.又左右の肩 傾斜に差はほとんど認められない.
肩幅,ひじ丈は,平均値より小さい方に裾を長く引き,
前下がり,くび付根囲は平均値より大きい方に裾を引い ている。
青年女子の身体計測値に関する研究(第1報)
表2.身体計測値
No. 項 目 一κ s.D.
G1 G2
長長丈丈り囲幅幅幅幅り幅囲㈲㈲重丈丈囲囲囲囲囲囲囲 が がの根斜 根大 び 肩 下間付
〃 でじ 最じ
下頭頭び傾付腕く身頭背前前胸背背胸肩乳乳く肩 体そひ腕上ひ手掌胴腰1234567890123456789012345 2 り乙 2 96 ∩乙 2 1・⊥ − 一■⊥
1 1 一■⊥ 1 1
1
1 89277729300388297209208650996295072869641617908340 8LτL32︒9σ33︐37aLLLLO︒652︐4αaα
ρDq乙OQ483331213225533221269
142694940700655593339232529279189221155772701998688
41LLL4L2︐aL2工La3a23a2Lα1.44 30222034264768865869251147 02018︑60315254104198422395 0α000Lαααααα0︑ααLαααLO︒α0︒2r 一 一 一一 一 一 一 99623804385451251906030858825464284613709636697543 2a3︐347a5aa44a44aa49&a346& 1
度数分布の特徴として、劣偏型と急尖型があげられる が,くび付根囲は最頻値が平均値の左側によった劣偏型 と言える.
非正規分布を示しているものに,胸囲,体重,上腕最 大囲,腕付根囲,胴囲,腰囲があげられる.
歪度,尖度ともに正規分布から大きくはずれた値を示 している.体重,胴囲,腕付根囲,上腕最大囲,胸囲は 最頻値が平均値より少し小さい所にあり,しかも計測値
の大きい方に長く裾を引いている.
非正規分布を示すものは,歪度,尖度とも分布の末端 に存在するデータの影響を受けていると考えられたのでレ 歪度が正規分布と有意葦を示さなくなるまで,大きい方 から逐次データを省いて行き,残りの部分の正規性の検 定を行った.
ここでとりあげたものは,衣服設計において最も基本 的なものとされる.胸囲,胴囲,腰囲である.
山周 民子・本郷 美枝・長塚こずえ・玉田 清美。橋詰 静子
42
→度数
人
84
→度数
3
﹇κ
﹁ データ数二364ほ1
平均 =158.87
3 標準偏差=4.93c
人
6
人6 ?→度数
151 155 159
一Z
162 身長
cm
e
35 38 40 42
背丈
一π1
データ数=364 平均 37.92cm 標準偏差=1.75cm
cm
i データ数
ー ー ﹁ 1
平均
l l l I l I I
標準偏差
I I ー ﹁ ー ﹁ ー5 − I I ー
人3 5ー度数
B
35 37 39
﹁π
41 背肩幅
cm
= 39.52cm 標準偏差冨1.93cm
1﹁
1
データ数#364 平均 =33.72cm 標準偏差=2.26cm
人
116
ー度数人2 7→度数
91 9
B
人→度数
79
﹂X
データ数;364 平均 =21.98c 標準偏差=1.21cm
20 22 23 24 頭長
一γ1
cm
1 1 1 11
1 1
1
1
6
人→度数
40 42 44 46
前丈
一κ
データ数;364 平均 =41.67cm 標準偏差;1.98cm
;m
L
6
33 36 39 42
背幅 を
データlk ==364
平均 =36.69cm 標準偏差=2.19cIn
cm
1 − I l ー瑠−ー
30 33 35 37
胸幅
cm 19 21 24 26
乳頭下がり
データ数寓364 平均 =23.B6cm 標準偏差=2.1臼cm
cm
図2.度数分布①
(正規分布と認められるもの)
青年女子の身体計測値に関する研究(第1報)
人 115
?.度数
69
ー度数
a
人
L
6
人
124
→度数
9
﹁Z
17 21 25 29
肩傾斜(右)
N
度
48 51 53 56
そで丈 芽
データ数二364 平均 t・21.68度 標準偏差二3.74度
crn
データ数一一364 平均 =51.67cm 標準偏差=2.72(・m
データ数; 364 平均 = 14.79{ m 標準偏差= .76cm
人 141
度数
9
入 117
一κ
データ数=364 平均 =2L42度 標準偏差=3.74度
r−−ー 9→度数
S6
→度数 人
Utt.
e 13 14 15 16
手くび囲
17 21 26 30 肩傾斜(左)
度
1
データ数=364 平均 ;2L99c認 標準偏差=L41cm
20 22 23 25
ひじ囲
一κ
cm
1 デー
7
1 平均
1
1 標準
1 1 1 1
17 19 20 22
掌囲
データ数=364 =20.37cm 標準偏差=L22cm
《:m
図2.度数分布②
(正規分布と認められるもの)
山田 民子・本郷 美枝・長塚こずえ・玉田 清美・橋詰 静子
86
→度数 人
6
唖κ
1
﹇11 1
デー
1 ⁝
平均 1
1 標準
1
1
1 1 1
1
ド
1﹇
r←ヒし
1 1 1 1 1ト
人7 8→度数
8
11 12
ヌ
13 14 肩幅
データ数⊇
標準偏差=
cm
364 13,19cm
Ll6cm
1 ︷ データ数茜
1ヨ
平均 ; 顧準偏差=
人 7e
→度数
e
35 36 37 38
くび付根囲 i
cm
1
1 データ
1 1
1 平均
標準偏
25 28 31 33
ひじ丈
36.99ぐ皿 1.54cm
データ数;364 ; 3e.12cm 標準偏差;3.a2cm
cm
88
人ー度数
96 e
人ー度数 一ズ!
データ数=364
I 1 1 1
平均 =17.63cm
﹇ 1 1 1 i I i −
標準偏差;1.43cm
8L
16 17 19 21
乳頭固の蝸
一κ
cm
1 デ
1 1 1
平
﹇
1
1 蟹
1 1 1﹇ 1 1 1 1 1
1ヒ 1 1
11
1 1 1
1
1
2 3 5 6 前下がり
データ数=364 平均 二3.26cm 蟹準偏差=1.13cm
cm
図3.度数分布
(歪度のみ非正規性を示しているもの)
青年女子の身体計測値に関する研究(第1報)
図4は非正規分布を示したものと,胸囲,胴囲,腰囲 の新しい度数分布である。胸囲と胴囲と腰囲については 実測値の度数分布と比較するとわかるが,歪度が正規性 検定の棄却域をはずれる所がある.胸囲では91.5cm以 上の20人(全体の5.5%),胴囲では71.5cm以上の21人
(全体の5,77%),腰囲では101cm以上の11人(全体の
3. 02 %)であった.
これらのデータを除くと正規分布型となることがわか った.上側末端の値が影響していたことがわかる。
しかし,衣服サイズをどこからどこまで設定すべきか,
又設定された各サイズの衣服をどの位ずっ生産したらよ いかについて考える時,この正規性からはずれる値につ いては,見のがすことができないように思われる.これ を見のがせば,既製服を生産する時,対象者がいるのに それに見合うサイズが用意されていないという結果にな
る,
胸囲,胴囲,腰囲の非正規型を示した度数分布から,
平均値の下側では,サイズ数は少なくて良いが,それぞ れの生産数量は,多くしなければならないということが 理解できる.又平均値の上側においては,サイズ数は多 くしなければならないが生産数量は,少量で良いという ことが読みとれる.
正規分布であることを前提としている統計解析をする 場合は,非正規型の項目は対数変換などの方法により正 規分布に近づける必要があると言われるが4},衣服設計 のための身体計測値の度数分布に関しては,正規分布に 近づける必要はないように思われる.現状を良くふまえ た上で既製服における生産量を考慮するべきである.
衣服サイズの設定には,胸囲と腰囲,胴囲と腰囲,胸 囲と腰囲と身長,胸囲と胴囲と腰囲と身長等と2項目以 上を基準とすることが多い.
人
7H
度数
9
人
87
ー度数
6
﹂κ
i 1
1 i
1
43 50 57 62
一κ
体重 K
データ数= i64 平均 二5L19K,
標準偏差=6.28K、
︸
データ
1
平均 標準偏
1
364 ;25.98cm 標準偏差耳2.98cm
K 125
度数 X
31 36 4] 46
腕付根囲
データ数;364 平均 36.7ecm 醸準偏差=3.12cm
22 26 30 35 cm 上腕最大囲
図4.度数分布①
(非正規分布と認められるもの)
山田 民子・本郷 美枝・長塚こずえ・玉田 清美・橋詰 静子
人1 8
9
→度数人 旧9
.度数
eL−一
人 103
.度敬
6
一κ
19 84
一κ
91 96 胸囲
データ数; 364 平均 ;82.97cm 標準偏差; 4,88cm
cm
i ﹂ 11111 −ー ﹁ ︸ I−
﹂ ト .ー ⁝ 仁
57 63 69 75
牙臼揖用田揖
曽
胴囲
;IiD
瑞
1
i
1
1 1
ー﹂悶
i︸1
⁝旧. 一:
e
田
Il[ _ β5 91 9T IO3
腰囲
データ数=
平均 標準偏差=
。「m』
(:m
デ 7数 平均 標準偏差・
ヨ6ら
63.45c「n 4.84cm
ib4
ge.85cm 4.8!cm
人8 5ー度数
53
ー度数
L eL−一.
人
L
O
人 79ー度数 ー﹂ 0 −ZI
1 データ数=瓢 G 平均 一82」6・m
@ 標準偏差=3.43cm
79 84
﹁κ1
91 96 胸囲
cm
ア一
平
標
57 63 69 T5
rκ
胴囲
データlk ==343 平均 =62.56cm 標準偏差=2.77cm
crn
﹁ 1 1
r
1
﹁﹁ 1
1
1 1
1
データ数=
平均 = 標準偏差=
354 89.5ecm 3,74cm
85 91 9? 103
腰囲
cm
図4.度数分布②
(非正規分布と認められるものと新しい度数分布)
青年女子の身体計測値に関する研究(第1報)
1a7c㍗
1・3.551 1ao.11 翻,、.651
:謝
86,3 82.85ト_
;::9・陵.
72.5
…;i/
i凱.・°
/ 相関係数二 .86
Y ; A = BX A = 31.29 B == .81
くく 検 定 >>
信頼度99%て有意
56 63.8 71.6 79。4 87。2 95cm
腸囲 一
図5は,これらの相関関係を見たものである。
2変数間の関係の度合を表わすのに相関係数rが用い られる.rは次式により算出した.
r=
n
Σ(xi−x)(アゴータ)
旱1
1(n−1)5噸.1).xS.〃」
Cm ie7
11e3・55 胸1ee・11 囲96.651 93.2 89.75 86.3 82.85 79.4 75.95 72.5
S9
: ・i//
@・
3 /
:.°.::
… 。舶・
E二:轍;.°
°R 戸。・ ・
:・欝・…:・ ・F:
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^:..い
・
● ●
@・
/相関係数= .77
. /
/ ノ
/ Y=A十BX
//
の/ A−11.88
B = .78 << 検 定 >>
信頼度99%で有意
87.6 95.2 1e2.8 1te.4 118 cm 腰囲 一・
.°即.°
°°・/り曹゜
●・●●・轟:●︒
:陶.ゴ:⁝ L晒°鱒 .コズ篇 ..7ゐ・・
m →胴囲
蛎田田83η乃π肌臆汎施 123455789
C相関係数; .82
Y ニ A 十 BX 。 //
A = −11.47 、/
B = .83 / (( 検 定 >>
f F
信頼度99%で有意
8E〕 87.6 95.2 lE〕2.8 119.4 118 cm 腰囲 一
図5.相 関 関 係
胸囲と胴囲の相関係数 r=0.807 胸囲と腰囲の相関係数r=0.778
胴囲と腰囲の相関係数r=0.828と,どの場合も相 関関係が深いことを示している.
これらは衣服サイズを設定する上において,大いに役 立っ資料であると思われる.
胸囲,胴囲,腰囲のそれぞれと身長の相関関係は,ほ とんどない.
以上のような結果が得られた.資料364名の計測値か ら得られたものであるが,比較資料が乏しいと感じる.
今後さらに資料を増やし,検討する必要があると思われ た.又年次別変化についても考慮する予定である.
要 約
青年女子の衣服設計における基礎資料を得ることを目 的として364名の本学女子大生(19〜20才)の身体計測 値を求め検討を試みた。
1)正規分布を示すものには,身長,頭長,背丈,前 丈,背肩幅,背幅,胸幅,乳頭下がり,肩傾斜(右,.左),
そで丈,ひじ囲,手くび囲,掌囲等があり,非正規分布 を示すものには,胸囲,体重,上腕最大囲,腕付根囲,
胴囲,腰囲がある。又歪度のみ非正規性を示したものに,
肩幅,乳頭間の幅,くび付根囲,前下がり,ひじ丈等が
あった.
これは,「骨の長さ及びそれに関係する項目は,正規 分布を示し,肥満,痩身に関係する項目は非正規分布に なる」5}という認識に沿うものである.
非正規分布を示したものは,歪度,尖度において末端 のデータの影響を受けているということがわかった.特 に胸囲,胴囲,腰囲においては,上側末端のデータが大 きく影響していた.
しかし衣服設計のための身体計測値の度数分布に関し ては,正規分布に近づける必要はなく現状をふまえた上 で衣服設計をするべきであるということが理解できた,
正規分布に基づいて既製服を生産すると小さいサイズ
山田 民子・本郷 美枝・長塚こずえ・玉田 清美・橋詰 静子
では対象者がいないのに不必要なサイズが用意されてい て,大きいサイズでは対象者がいるのにそれに見合うサ イズがないという結果になりかねない.
2)胸囲,胴囲,腰囲はそれぞれに深い相関関係があ る.胸囲と胴囲の相関係数 r=0.807,胸囲と腰囲の 相関係数 プ=0.778,胴囲と腰囲の相関係数 r=
0.828,である.
相関係数が高い2変数の場合は,回帰係数を求めて、
xに基づくyの値を推定することができる.他項目から 推定値が得られれば,計測しにくい項目を,計測しやす い項目から推定したり計測項目を少なくすることができ
る6).
このように相関関係をみることも,衣服サイズを設定 する上において,大切な資料であると思われる.
おわりにご助言を賜わりました東京家政大学赤見仁教 授に深く感謝申し上げます.
なお本研究は,平成二年度本学特別研究費によって行 ったものである.
参考文献
1)P.G。ホーエル:初等統計学,培風館(東京),
1987, p.102
2)日本規格協会:既製衣料呼びサイズ,日本規格協会,
(東京), 1975
3)日本規格協会:日本人の体格調査報告書,日本規格 協会(東京),1984
4)5)6)祖父江茂登子,田村照子,林隆子,古松弥 生,松山容子:基礎被服構成学,建用社(東京),
1988,p.34, p.35, p.38