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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名

Effects of lipid metabolism on mouse incisor dentinogenesis (脂質代謝がマウス切歯の象牙質形成に与える影響)

掲載雑誌名

Scientific reports (投稿中)

地域連携歯科学 黒滝 優太朗

内容要旨

【目的】脂質異常症は、血中低密度リポタンパク質(LDL)レベルの上昇 を特徴とし、動脈硬化、脂肪肝、骨密度低下等を誘発する生活習慣病であ る。本研究で我々は、脂質異常症が歯の形成にいかなる影響を及ぼすか解 明するため、実験動物に高脂肪食を与えて歯の伸長や構造変化を解析した。

【方法】野生型マウス(雄

8

週齢)を、脂肪含有率

14%の餌を与えた「標

準食群」と脂肪含有率

36%の餌を与えた「高脂肪食群」に分け、3

週間毎 に切歯のμCT 撮影を実施し、12 週間後に屠殺して血液生化学検査、μCT による下顎骨および大腿骨の骨形態計測、および下顎切歯の組織切片観察 を行った。また、摂餌

10

週間後に直径

1 mm

の歯科用ラウンドバーで下顎 右側切歯唇側歯頚部にマーキングし、それを指標として

2

週間の歯の伸長 距離を計測した。さらに、脂質異常症を発症する

LDL

受容体欠損(

Ldlr

-/-) マウスを用いて上記と同様の実験を行った。

【結果】野生型マウスを用いた実験では、高脂肪食群は標準食群に比べて 総コレステロール(T-CHO)値が

2

倍に増加しており、切歯の伸長速度の 低下と象牙質の肥厚を伴う歯髄の狭窄を認めた。この切歯を詳しく観察し たところ、①根中央部付近の象牙前質の消失、②象牙芽細胞とエナメル芽 細胞の形態変化および、③根尖部の象牙芽細胞層の高密度化を生じている ことが判明した。また、象牙質は肥厚していたものの、象牙質の形成速度 は低下傾向にあった。なお、臼歯ではこのような異常は認められなかった。

一方、

Ldlr

-/-マウスの標準食群と高脂肪食群の

T-CHO

値は、野生型マウ

(2)

ス(標準食群)に比較してそれぞれ約

3

倍と約

20

倍を示した。

Ldlr

-/-マ ウスの標準食群では、野生型の標準食群に比べて切歯の伸長速度の低下傾 向と象牙質の肥厚を伴う歯髄の狭窄傾向および、根中央部付近の象牙前質 の異常を認めた。

Ldlr

-/-マウスの高脂肪食群では、切歯の伸長速度の低下 と象牙質肥厚を伴う歯髄の狭窄がより顕著となり、象牙前質の消失および、

エナメル芽細胞の分化促進が観察された。なお、野生型マウスの高脂肪食 群と

Ldlr

-/-マウスの標準食群および高脂肪食群においては、歯の形成異常 だけでなく大腿骨の骨密度低下も認められた。

【考察】野生型と

Ldlr

-/-マウスは、いずれにおいても高脂肪食の摂餌によ り、著しい歯髄の狭窄が生じたことから、餌中に含まれる脂質が歯の形成 や構造をコントロールする要因の

1

つであることが明らかとなった。また、

Ldlr

-/-マウスは標準食群でも歯髄の狭窄傾向を示したことから、LDL受容 体を介した脂質代謝が歯の形成と恒常性の維持に関与するものと推察さ れた。以上より、脂質異常症は歯の形成と恒常性維持に深く関与すると考 えられる。

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