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アニマルウェルフェア(以下「AW」とする。)に先進的に取り組んでいるEUでは、すで にAWに関する最低基準がEU指令として施行され、2007 年からの 8 週齢以降の子牛の単飼禁 止、2012 年からの採卵鶏の従来型ケージ飼育の禁止、2013 年からの妊娠豚の受胎後4週間以 降から分娩1週間前までの期間のストール飼育禁止等、既存の飼養管理方式の変更が必要とな る法律等が制定されています。また、アメリカでは州によって採卵鶏のAWに関する法律があ り、カルフォルニア、ワシントン、オレゴン、ミシガン、オハイオ州は従来型ケージ飼育を禁 止しています。ブロイラー産業においては、生産者企業の 9 割が加盟する生産者団体がAWに 関する自主ガイドラインを制定し、生産者企業は第三者機関から年に 1 回検査を受けるなど自 主的な動きが起こっています。 世界の動物の健康、公衆衛生及びAWの向上を目的とした政府間機関のOIE(国際獣疫事 務局)では、動物の健康とウェルフェアの間には強い関連性があるということから、家畜の飼 養管理に関するAW規約を検討することとなり、2004 年にAW規約の原則を採択しました。そ の後、輸送、食用のためのと畜などに関する規約を作成し、2012 年にAWと肉用牛生産システ ム、2013 年にAWとブロイラー生産システムに関する規約を作成して、他の家畜(乳用牛、採 卵鶏、豚など)についても順次検討を進めています。 ISO(国際標準化機構)でもAWの技術仕様書の作成に関する検討を始めるなど、国際機 関においてAWに関する検討が積極的に進められています。 我が国では、平成22年3月に「アニマルウェルフェアの考え方に対応したブロイラーの飼養 管理指針」が公表され、平成25年6月の「動物の愛護及び管理に係る法律」の改正の際に「産 業動物の飼養及び保管に関する基準」の中で快適性に配慮した飼養管理が謳われるようになり ました。 このような背景の中、我が国においてもAWへの注目が急速に高まっており、一部では、E U同様の規制を求め、生産者に対して既存の飼養管理方式の禁止を求める運動も行われている など、今後、より一層、注目が高まることが予想されています。そのため、AWの考え方を再 度確認していくことが必要となります。 【ブロイラー飼養管理指針「第1 一般原則 3 国際的な動向(1頁)」参照】(1)EUやアメリカの現状
(2)加速する国際機関での動き
(3)国内の動き
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
“Animal Welfare”は、日本語では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳されている場合があ りますが、本来の「幸福」や「良く生きること」という考え方を十分に反映させるため、アニ マルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針において、畜産におけるAWは、「快適性に 配慮した家畜の飼養管理」と定義されています。 【ブロイラー飼養管理指針「第1 一般原則 3 国際的な動向(1頁)」参照】5つの自由
(国際的に認知されたアニマルウェルフェアの概念) ①飢餓と渇きからの自由 ⇒ 新鮮な餌及び水の提供 ②苦痛、傷害又は疾病からの自由 ⇒ 疾病等の予防及び的確な診断と迅速な処置 ③恐怖及び苦悩からの自由 ⇒ 心理的苦悩を避ける状況及び取り扱いの確保 ④物理的、熱の不快さからの自由 ⇒ 適切な飼育環境(温度、湿度等)の提供 ⑤正常な行動ができる自由 ⇒ 動物が実行したいと思った自然な行動がとれる機会4
AWの向上を図るためには、日常の飼養管理において家畜をよく観察し、家畜が健康で、快適 に生活できているかどうかを常に把握する必要があります。そのためには、飼育者や管理者が家 畜の行動やAWの考え方に関する知識を身に付け、AW的な飼養管理ができているかを確認する ことが重要です。 家畜の状態を観察して適切な状態かどうかを判断することや、日常の飼養管理の中で家畜にと って「健康を害する要因」や「快適ではない環境」等を見つけた際に、少しでも環境等を改善し て対応していくことが最も身近で効果的な方法となります。 また、AWと生産コストの関係を考えた場合、餌や温熱環境、衛生環境の改善等といった家畜 の健康性に直結する最低限のAWを保証することは、疾病のリスクが減り、治療コスト等を低減 させることができ、更に、健康な家畜であることにより生産性の向上にもつながります。 日常の飼養管理の中で比較的容易にAWの向上につながることもありますので、一度、確認を してみて下さい。 なお、ブロイラーに関しては、2013 年にOIEで「AWとブロイラー生産システム」規約が採 択されています。これは、国際的に承認された規約で飼育システムのグローバルスタンダードと なりえるものです。今後、ブロイラー生産の場でも更なる国際競争力強化が必要になると考えら れますので、様々なことを念頭に入れ、飼養管理の確認等を行うことが必要となります。 【ブロイラー飼養管理指針「第 1 一般原則 2 わが国の畜産とアニマルウェルフェア(1 頁)」参照】 ブロイラーのAWの状態を判断するための指標としては、下表の項目が挙げられます。 ここでは「5つの自由」と評価対象を動物、施設、管理の3つの観点から指標を示しました。「動 物の状態」とは、施設や管理の結果を反映した総合的な評価と考えられますが、具体的な改善策 を検討するためには施設や管理に着目する必要があります。 表の項目において、ブロイラーが快適な状態であるかを観察して、AWの状態をチェックして みて下さい。 区 分 a 餌・水 b 物理的・熱の不快 c 苦痛・障害・病気配慮すべき項目 d 正常行動 e 恐 怖 評 価 対 象 A 動 物 ①発育不良による淘汰 の増加 ②摂食行動・飲水行動 ③増体率・飼料要求 率・育成率 ①パンティング・羽の 拡散 ②群がり・分布 ③羽の汚れ ④目の状態 ⑤声(不快・快) ①死亡率および罹患率 ②外傷率(打ち身、骨折、 脱臼含む) ③跛行 ④胸および足の接触性 皮膚炎 ⑤羽の汚れ ①砂遊び ②エンリッチメン ト資材の利用 ③カニバリズム・羽 つつき ①恐怖反応 B 施 設 ①適切な給餌スペース ②適切な給水スペース ③餌および水の消費量 の記録 ①温湿度 ②アンモニア濃度 ③十分な照度および均 一性 ④ドリンカーからの水 漏れ ①床面の湿り ②防疫設備 ③雨漏りや隙間風 ①飼養スペース ②エンリッチメン ト資材 ③床の状態 ①騒音の有無 ②害獣の侵入 C 管 理 ①給餌器の点検・整備 ②給水器の点検・整備 ③捕鳥前の長時間の断餌 ④捕鳥前の長時間の断水 ①暗期の設定 ②空調・保温設備の点 検・整備 ①健康状態の点検・記録 ②適切な淘汰 ③デビーク ①床面の管理(撹拌・ 交換) ①見回りの頻度および速度 ②捕鳥時などの 取扱い
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
下記に挙げる各項目のうち、特に「動物の状態」に関わる項目については、ブロイラーのAWを評 価するために有効な方法や留意事項を四角内に示しました。AWの向上を目的としているため、少々 ハードルが高い部分もありますが、実践的な事例や判断基準を盛り込みましたので飼養管理の参考 にして下さい。 出来るところから改善し、AWの向上に取り組みましょう。◆◆ 1)防疫措置と動物衛生 ◆◆
ブロイラーを常に健康な状態で飼養するため、病原体が農場や鶏舎に侵入するリスクや病 原体の拡散を防止する防疫措置や衛生管理体制等を整備することが、「苦痛、傷害又は疾病か らの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項です。病原体の発生源並びに侵入経 路は、ブロイラー、その他の家畜種や野生種動物、人間、器具、施設、自動車、媒介動物(節 足動物、げっ歯類等)、空気、給水、餌であることから、それらの衛生管理に配慮する必要が あります。なお、防疫対策等については家畜伝染病予防法に基づいて制定された家畜の飼養 衛生管理基準を遵守する必要があります。【ブロイラー飼養管理指針「1 管理方法 ④鶏舎等の清掃・ 消毒、⑤農場内における防疫措置等(4頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・車両の洗浄 ・鶏舎ごとの消毒槽の設置(1)防疫措置と衛生管理
管理者等が日常から防疫対策や衛生管理に関する意識を持ち、疾病のリスクを減らすことがウ ェルフェアの向上につながります。 また、衛生管理対策等の効果により、疾病が減少すれば薬品費の削減になります。 鶏舎の出入口に置く消毒槽は定期的な交換が必要です。6
ブロイラーの健康管理を適切に行うため、管理者等が日常的にブロイラーを観察し、健康 状態〔育成率(生存羽数/入雛羽数)、斃死率、淘汰率、淘汰及び斃死の原因、日増体、飼料 要求率、餌や水の消費量の記録、疾病・傷の有無、目の状態、声、行動、歩様等〕に異常が ないかを把握することが、「苦痛、傷害又は疾病からの自由」という観点からウェルフェア上、 重要です。管理者は、不健康やストレス状態、すなわち飼料及び水の摂食量の変化、体重の 減少、行動の変化、羽毛、排泄物またはその他の身体的外観の異常などの徴候に注意を払う 必要があります。自立できず、飲水も摂食もできず、回復が見込めないと判断した場合には、 安楽殺(頸椎脱臼)することも必要となります。また、観察した状況等を管理者間で確認で きるように記録を付けておくことも重要です。【ブロイラー飼養管理指針「1 管理方法 ①観察・記録、 ③病気・事故等の措置(3頁)、 ⑥管理者等へのアニマルウェルフェアへの理解の促進(4頁)」参照】 〔評価事項〕 ・歩様:スコア2(歩行不可能なブロイラー) ・損傷率:モモの付け根の傷(2)動物の健康管理
○歩様 鶏舎内の3地点で各 50 羽の歩行の様子を観察し、各スコアの羽数を記録します。 スコア1および2が出たら注意が必要です。平均値の改善を目指しましょう。 スコア0 正常 スコア1 明らかに異常 スコア2 歩行不可 ○損傷率 鶏舎内の3地点で各 100 羽観察した内、損傷している羽数を記録します。 各地点で損傷が出ないように注意が必要です。平均値の改善を目指しましょう。
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
◆◆ 2)環境と管理 ◆◆
ブロイラーの快適性を確保するため、飼育ステージに応じた適切な温度環境を維持し、極 度の暑熱、寒冷及び湿度を防ぐことが「物理的、熱の不快さからの自由」という観点からウ ェルフェア上、重要な事項です。発育時期に変化する温度及び相対湿度の快適範囲を確定す る上で、温度管理指標(THI)が助けとなります。環境条件がTHIの範囲外にある場合 は、ブロイラーへの悪影響を緩和するために様々な生産システムにおいて、細霧装置の使用 や、風速の増加、クーリングパッドによる気化冷却、飼育密度の低減などの措置を取る必要 があります。 また、ウェルフェア上、問題が生じる前にシステムのエラー等に気づくことができるよう 十分な頻度で温度環境を点検することや、暑熱・寒冷ストレスのためにパンティング(開口 呼吸)や羽の拡散、群がり等の行動が生じた場合には原因を特定し、ストレスを軽減できる ように対処することが必要です。【ブロイラー飼養管理指針「3 鶏舎(5頁)、4 飼養方式、構造、飼養 スペース ③飼養スペース(6頁)、5 鶏舎の環境 ①熱環境(7頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・細霧装置による暑熱対策 ・クーリングパットの設置 〔評価事項〕(1)温度環境
○空間分布 鶏舎内の3地点で鶏群の群がり具合を確認 し、鶏舎全体の占める割合を記録します。 各地点で群がりが出ないように注意が必要で す。平均値の改善を目指しましょう。 ○開口呼吸と羽の拡散 鶏舎内の3地点で各 100 羽観察した内、開口呼吸 および羽の拡散をしている羽数を記録します。 各地点で開口呼吸、または羽の拡散が出ないよう に注意が必要です。平均値の改善を目指しましょう。 ・空間分布:群がっているブロイラー(右端) ・開口呼吸の様子 ○発声(不快・快) 鶏舎内の3地点で各 100 羽観察したうち、驚きを 示す高音を出している羽数を記録します。 各地点で高音で鳴いている状態にならないよう に、注意が必要です。平均値の改善を目指しましょ う。8
ブロイラーが休息できるように、24 時間ごとに少なくとも4時間の連続した暗期が必要と されています。明期は、ブロイラーが活発に行動できるよう、また管理者が観察を適切に行 えるよう、十分かつ均一な明るさの連続した明期を設定します。ただし、入雛後の数日間は 餌と水を見つけ、活動を刺激するため、連続した明期にすることが一般的です。このような 照明管理を行うことが「正常な行動ができる自由」、「苦痛、傷害又は疾病からの自由」とい う観点からウェルフェア上、重要な事項です。【ブロイラー飼養管理指針「5 鶏舎の環境 ③照明(7 頁)」参照】 鶏舎内の二酸化炭素やアンモニア、埃や余分な湿度を排出し、いつも新鮮な空気を提供す るために、適切な換気が必要です。アンモニア濃度はブロイラーの高さで常に 25ppm を超え ないように注意するとともに、埃のレベルを最小限に抑えるため、換気だけでなく、適度な 敷料の湿り気を維持することが有効です。換気不良でガスや埃、微生物濃度が高くなると呼 吸器疾患の要因となるだけでなく、目の結膜炎や失明等にもつながります。適切な換気を行 うことが「苦痛、傷害又は疾病からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項で す。【ブロイラー飼養管理指針「5 鶏舎の環境 ②換気(7頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・送風機を使った鶏舎内の換気 ・開放鶏舎はカーテンで換気を調整 〔評価事項〕(3)空気の質
○目の異常 鶏舎内の3地点で各 100 羽観察した 内、目の異常がある羽数を記録する。 各地点で目に異常が出ないように注 意が必要です。平均値の改善を目指しま しょう。(2)照 明
○目や鼻の異常による淘汰率 淘汰要因のうち、上記の要因による淘汰が全 体の淘汰の何%を占めるかを評価する。 目や鼻の異常による淘汰が出ないように注意 が必要です。平均値の改善を目指しましょう。
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
ブロイラーは、異なるタイプやレベルの騒音に順応性があります。しかし、ストレス及び 恐怖反応を防ぐために、突然あるいは大きな騒音の暴露は可能な限り最小限にする必要があ ります(例えば、杭打ち)。換気扇や給餌器または他の屋内・屋外の装置の製造、設置、作動 またはメンテナンスにおいては、最低限の騒音レベルになるよう配慮することが、「恐怖及び 苦悩からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項です。【ブロイラー飼養管理指針「5 鶏舎の環境 ④騒音(8 頁)」参照】 ブロイラーの健康状態の維持や正常な発育等を促すため、発育段階に応じた適切な飼料 (必要栄養量)と新鮮な水を自由に摂取できるように、給餌器および給水器の数や幅を十分 に確保し、不要な闘争が起こらないようにすることが「飢餓と渇きからの自由」という観点 からウェルフェア上、重要な事項です。なお、必要な栄養素の種類や量については、「日本 飼養標準-家禽」、「日本標準飼料成分表」等を参照してください。 餌と水はブロイラーの嗜好に合い、健康に危害を与える可能性がないものを給与し、給水 装置は有害微生物の増殖を防ぐために月に1回など定期的な洗浄が必要です。なお、ブロイ ラーが適切に餌(毎日)と水(常時)にアクセスできるような状態を保ち、若齢雛について は、状況に応じて給餌器や給水器を増設するなどの対策も必要です。【ブロイラー飼養管理指針「2 栄養 ①必要栄養量・飲水量(4 頁)、②飼料・水の品質の確保(5 頁)、③給餌・給水方法(5 頁)」参照】 〔評価事項〕 ・フローローレベルパンフィーダー ・オーバーヘッドパンフィーダー ・壁に設置された給水器(4)騒 音
○給餌の評価 処理場にて削痩による 廃棄数を記録します。 出荷羽数のうち削痩に よる廃棄が出ないように 注意が必要です。平均値 の 改 善を 目指 し まし ょ う。 給餌面積の目安は 100 羽あたりパンフィーダー (直径 33 ㎝以上の場合) 1つとなります。 ○飲水の評価 ベル個数×100÷飼養 羽数、またはニップル個 数×10÷飼養羽数で給水 器 の 充 足 率 を 算 出 し ま す。 充足率 100%以下にな らいないように、整備が 必要です。平均値の改善 を目指しましょう。 給水面積の目安は、ニッ プ ルドリンカーは 10 羽 に1個、ベルドリンカー は 100 羽に1台となりま す。(5)栄養(飼料、水)
・ベルドリンカー ・ニップルドリンカー10
鶏舎の床はなるべく容易に洗浄と消毒を行うことができるつくりで、砂浴び及び採食を促 すために、ほぐれて適度に乾燥した敷料を使用することが理想的です。敷料の質の悪化は、 趾蹠(足裏)、膝節及び胸の接触性皮膚炎を引き起こす可能性があり、生産性に影響を与える ため、適切な敷料の管理は「苦痛、傷害又は疾病からの自由」、「正常な行動ができる自由」 という観点からウェルフェア上、重要な事項です。敷料は、ブロイラーが基礎床に直接触れ ないだけの十分な深さを保ち、汚染のない材質(例えば、木くず、わら、細断された紙、処 理された使用済み敷料など)を使用することが必要です。 また、敷料の質の悪化は、給水器の漏れ、給餌器の不適切な組み立て、伝染病の侵入、換 気不良、過密飼育等によって引き起こされることが多いので注意が必要です。 なお、次に導入する鶏群の病気を予防するため、敷料を交換または適切に処理することが 必要です。【ブロイラー飼養管理指針「1 管理方法 ④鶏舎等の清掃、消毒(4頁)、4 飼養方法、構造、飼 養スペース ①飼養方式、②構造(6頁)」参照】 〔対策の一例〕(6)床、寝床及び敷料の質
○羽毛の汚れ 鶏舎内の3地点で各 50 羽の羽の汚れ の程度を観察し、各スコアの羽数を記 録します。 スコア0 汚れていない スコア1 わずかに汚れている スコア2 ひどく汚れている 各地点でスコア1および2が出ない ように注意が必要です。平均値の改善 を目指しましょう。 ・胸 スコア0 炎症なし スコア1 炎症あり ・膝筋 スコア0 炎症なし スコア1 軽度の炎症 スコア2 重度の炎症 ・足裏 スコア0 炎症なし スコア1 軽度の炎症 スコア2 重度の炎症 ○砂浴び 鶏舎内の3地点で各 100 羽観察した内、砂浴びをし ている羽数を記録します。 各地点で砂浴び羽数がに ならないように注意が必要 です。平均値の改善を目指 しましょう。 ・敷料の撹拌作業 ○接触性皮膚炎 胸および膝節は、処理食鳥処理場の工程のライン沿いの 見やすいポイントで5分間観察を行う。通過羽数/分を算 出し、そのうち各スコアの羽数を記録します。 趾蹠については、ランダムに足を採取して一時保管し、 後に1鶏群 200 本の趾蹠の各スコア羽数を記録します。 胸に炎症がある場合、趾蹠、飛節においてはスコア1・2 が出ないように注意が必要です。平均値の改善を目指しま しょう。 〔評価事項〕 ・趾蹠に発症した接触性皮膚炎 ・砂浴び(正常行動の一つ) ・羽毛の汚れ:敷料の湿りによる羽の汚れ
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
ブロイラーは、羽つつき及びカニバリズムをほとんど行いませんが、まれに高照度、栄養 不足などの場合にカニバリズムを起こすことがあります。一度発生すると連鎖的に発生する ので、標的となりそうな衰弱したブロイラーや損傷し回復の見込みのないブロイラーは淘汰 を検討する必要があります。また、カニバリズムが発生した場合は、被害にあい死亡したブ ロイラーはすぐに取り除き、照度の低減や栄養改善などの対策を講じることが重要です。標 的となる個体の「恐怖及び苦悩からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項で す。 〔評価事項〕(7)羽つつき及びカニバリズムの予防
胸、膝節、趾蹠の炎症:「Welfare Quality ® Assessment protocol for poultry」より引用
○羽つつき・カニバリズム
鶏舎内の3地点で各 100 羽観察した内、羽つつき又はカニバリズムをしている羽数を記録する。 各地点で1羽以上の羽つつきおよびカニバリズムが出ないように注意が必要です。平均値の改善を 目指しましょう。
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ブロイラーは餌と水に常時アクセスでき、姿勢を正常に保てる適切な飼育密度で飼育する ことが重要です。飼育密度は管理者の管理能力、環境条件、鶏舎システム、生産システム、 敷料の質、換気、防疫措置戦略、遺伝系統、出荷日齢及び体重を考慮し、適切に管理するこ とが「物理的、熱の不快さからの自由」、「正常な行動ができる自由」という観点からウェル フェア上、重要な事項です。生体重及び鶏舎内の飼育領域の面積から算出し、生体重 2.5 ㎏ で坪当たり 55~60 羽が目安となります。【ブロイラー飼養管理指針「4 飼養方法、構造、飼養スペース ③飼養スペース(6頁)」参照】 ブロイラーを常に健康な状態で飼養し、恐怖などのストレスを与えないため、鶏舎内に捕 食者が侵入しないように、排水口や換気扇を網でふさぐなどの対処が「苦痛・傷害又は疾病 からの自由」、「恐怖および苦悩からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項で す。【ブロイラー飼養管理指針「3 鶏一舎(5頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・開放鶏舎開口部の侵入防止対策 ・鶏舎入口の侵入防止対策 農場内に新たな品種を導入する際に、品種の特性等(成長や行動特性など)を考慮し、管 理手法によって対応することが必要です。(9)捕食者からの保護
開放鶏舎において、開口部からの野生動物の侵入を防ぐため、網を張っています。病原体の侵入防 止や飼料の盗食等に対して有効な手段となります。 鶏舎入口の扉に隙間があると、蛇やネズミなどの侵入経路となるので対策が必要です。(8)飼養密度
(10)遺伝的選抜
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
健康管理を適切に行うため、管理者等は少なくとも1日1回はブロイラーを観察し、①病 気もしくは怪我をしたブロイラーを特定し治療または淘汰する、②設備が正常に作動してい るかを確認し鶏群のウェルフェアまたは健康に問題があるときは改善する、③死亡したブロ イラーを除去することが「飢餓と渇きからの自由」、「苦痛、傷害又は疾病からの自由」、「恐 怖及び苦悩からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項です。また、見回りの 際は、ゆっくりと移動し、ブロイラーを脅かしたり、不要なストレスをかけないようにする ことが必要です。【ブロイラー飼養管理指針「1 管理方法 ①観察・記録、②ブロイラーの取扱い(3頁)、6 その他 ①設備の点検・管理(8頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・鶏群の中を低速度で移動する管理者 ・脚弱によって歩行不可能なブロイラー 〔評価事項〕 ・恐怖反応性調査の様子(11)取扱いと観察(見回り)
管理者が鶏群の中を通った時にブロイラーが逃げない場合は、人に対する恐怖心が低く、日ごろ の取り扱いが丁寧なことを示しています。 また、足の変形等により歩行不可能なブロイラーは、餌や水にもアクセスできず、発育不良とな ります。病原体を保有している可能性もあるので淘汰の対象とします。 ○恐怖反応性 鶏舎内の3地点で鶏群の中に 10 秒間し ゃがみ、その後手を広げた範囲内にいる 羽数を数えます。 各地点で 0 羽の場合、次回の鶏群から 対策が必要です。平均値の改善を目指し ましょう。14
ブロイラーの健康を維持するために、快適な飼養環境の整備の重要性や必要性について、 飼育管理に携わる者は十分理解することがウェルフェア上、重要な事項です。ブロイラーの 行動、取り扱い技術、緊急的な安楽殺の方法、防疫措置、病気の一般的な症状、及び低AW の指標(例えばストレス、苦痛)並びにそれらの軽減方法等についての十分な知識が必要で す。 ブロイラー生産者は自然災害、病気の発生及び機械装置の故障のために起こる影響を最小 限にするために緊急対応計画を作成し、バックアップ発電機、管理者への連絡網、餌の適切 な農場備蓄等、家畜の生命と健康を維持するために必要な準備をすることが「飢餓と渇きか らの自由」、「苦痛、傷害又は疾病からの自由」、「恐怖及び苦悩からの自由」という観点から ウェルフェア上、重要な事項です。また、疾病が発生した際には迅速に獣医師等と連絡を取 り、「家畜伝染病予防法」等の法令を遵守することが必要です。【ブロイラー飼養管理指針「6 そ の他 ②緊急時の対応(8頁)」参照】 〔対策の一例〕 ・手動で開けられる入気口 ・自家発電装置 ブロイラー農場の立地は、火災・洪水並びにその他の自然災害の影響を受けにくい場所で、 防疫上のリスク、物理的汚染物、騒音等からブロイラーを保護し、ストレスを最小限にする ような場所が好ましく、鶏舎内の環境がブロイラーにとって快適になるよう十分配慮するこ とがウェルフェア上、重要な事項です。設備等の故障に備えて、メンテナンスプログラムを 所定の位置に備え、日ごろから点検することも重要です。【ブロイラー飼養管理指針「3 鶏舎(5頁)、 4 ①飼養方式、②構造、③飼養スペース、5 ①熱環境(7頁)、6 その他 ①設備の点検・管理(8頁)」参照】(12)人材育成
(13)緊急時の計画
強制換気型鶏舎では、停電等が発生した場合、鶏舎内の換気が十分に行えなくなるため、停電時に 手動で開口できるインレットや自家発電設備を設置するなどの対策をとることが重要です。(14)農場の場所、建造物、設備
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AWを向上させるための飼養管理 ブロイラー
〔留意事項〕 ・林に囲まれた鶏舎 ・一部に日差しが差し込む鶏舎 捕鳥は熟練した動物取扱者によって薄暗がりあるいは青色光の下で行ない、ブロイラーの ストレス、恐怖反応及び損傷を最小限にすると、作業がしやすくなります。輸送用コンテナ にブロイラーを入れる際は、体または翼の付け根をもつこととで暴れも少なく、内出血など による廃棄の減少が見込めます。首または翼の先をもって持ち上げないように注意すること が必要です。また、輸送用コンテナの両端を2人で持ち水平を保って移動することによって も、廃棄の減少等の効果が見込めます。捕鳥は処理までの時間及び捕鳥、輸送及び保管中の 気候上のストレスを最小限にするように計画的に行うことが「飢餓と渇きからの自由」、「苦 痛、傷害又は疾病からの自由」という観点からウェルフェア上、重要な事項です。なお、出 荷に不適合なブロイラーの安楽殺を検討することも必要です。【ブロイラー飼養管理指針「1 管理 方法 ②ブロイラーの取扱い(3頁)」参照】正常行動の発現を促すための工夫
ブロイラーの正常行動として、砂浴び行動、つつき行動や止まり木とまり行動等があり、 ブロイラーの中に強い行動欲求があることが知られています。 敷料をある程度乾燥させ、砂浴び行動を促進させるとともに、つつくものとして乾草やボ ールなどを設置したり、止まり木を設置したりすることは「正常な行動ができる自由」とい う観点からウェルフェア上、有効な方法と考えられます。 鶏舎の向きや周辺の建物、林などによって鶏舎内に入る日差しや風が異なるので、鶏舎内の環境が均 一になるような対応が必要です。(15)農場における捕鳥
(16)そ の 他
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〔対策の一例〕 ・乾草の設置 ・試験的にボール様物を設置 ・止まり木の設置参考資料:
・アニマルウェルフェアの考えに対応したブロイラーの飼養管理指針 ・OIE Animal Welfare and Production system for broiler chicken ・Welfare Quality ® Assessment protocol for poultry・EU Directive2007/43/EC laying down minimum rules for the production of chicken kept for meat production ・ニワトリの動物学 〒113-0034 東京都文京区湯島3-20-9 TEL.03-3836-2301 FAX.03-3836-2302 ホームページ http://jlta.lin.gr.jp/ E-mail:[email protected]