• 検索結果がありません。

セメント改良砂における炭酸化が圧縮強度に及ぼす影響

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "セメント改良砂における炭酸化が圧縮強度に及ぼす影響"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Ⅲ− 26. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. セメント改良砂における炭酸化が圧縮強度に及ぼす影響. 1.はじめに ポーラスなセメント系材料は,粗大空隙が多く,単 位セメント量が少ないという特徴がある.その代表に セメント改良土やポーラスコンクリートが挙げられる. このうちセメント改良土は,軟弱地盤に対してセメン トを添加混合することで,強度向上や沈下,滑り破壊 の抑制の効果が期待できる.またセメント改良土は, 長期的な強度増加が多数報告されており 1),その要因の 一つとしてポゾラン反応が考えられている 2).一方,ポ ーラスコンクリートにおいては,二酸化炭素を吸収す ることで水和反応以上にセメントペースト中の細孔容. 群馬大学. 学生会員. ○吉田. 群馬大学. 正会員. 半井. 智海 健一郎. 表-1 供試体の配合条件 設定 セメント 空隙率 材齢 供試体名 W/C 添加率 養生方法 % % % 日 気69-0 初期養生 28 気69-28 56 気69-63 初期・気中養生 91 気69-152 180 促69-7 35 促69-14 42 69 8 30±1 初期・促進養生 促69-28 56 促69-63 91 封69-28 28 封69-180 180 封緘養生 封69-360 360 封69-1095 1095. 積が減少し,圧縮強度が増加することが報告されてい る 3).このことからポーラスな組織構造をもつセメント. 本研究との比較用として配合条件・供試体作製方法の. 改良土においても,炭酸化による強度増加が起こると. 等しい既往研究データ 4)を引用した.. 考えられる.. 2.2. 一軸圧縮試験. 炭酸化による強度増加を検証するため,既往の研究 4). そこで本研究では,ポーラスなセメント系材料とし て豊浦砂を用いたセメント改良砂を作製し,二酸化炭. を参考に一軸圧縮試験を行った.供試体の強度・変形. 素の供給量を変化させた封緘養生,気中養生,促進養. の一様性の向上を計るため,供試体の上下端面を石膏. 生の 3 つの環境条件で養生後,圧縮強度試験を行い,. でキャッピングし,試験した.. 炭酸化がセメント改良砂の圧縮強度に与える影響を検. 2.3. 討した.. 炭酸化の確認. すべてのシリーズにおいて,圧縮強度試験終了後に. 2.試験概要. JIS A 1152 に準拠し,中性化の進展を確認した.測定位. 2.1. 置は,圧縮強度試験におけるせん断面を避け,下面か. 供試体概要. 配合および養生条件を表-1 に示す.使用材料は豊浦. ら 45mm の位置とした.. 砂,普通ポルトランドセメント,水道水とし,W/C は. 3.試験結果. 69%とした.セメント添加率は,砂の質量に対して 8%,. 3.1. 炭酸化の確認. 空隙率は,30±1%とした.供試体寸法は100×200mm と. フェノールフタレイン散布時の写真を図-1 に示す.. し,打ち込みは 3 層に分けて各層をランマーを用いて. 気中養生では,供試体表面から徐々に中性化が進行し. 突固めた.供試体作製後,日本道路公団試験方法に準. ているのに対し,促進養生では,中性化が表面だけで. じ,初期養生として封緘養生 6 日・水中養生 1 日・気. なく供試体内部全体で起こっていることが確認された.. 中養生 21 日を行った.その後,表-1 に示す養生条件で. これは,気中養生では二酸化炭素供給量が少ないため,. 規定日数まで養生を行った.気中養生は温度 20±3℃,. 二酸化炭素が供試体表面で全て消費され,内部への二. 相対湿度 60±5%,CO2=約 0.03%の室内で行い,促進養. 酸化炭素の進行を遅らせたためと考えられる.一方,. 生は温度 20±3℃,相対湿度 60±5%,CO2=5%に設定し. 二酸化炭素供給量の多い促進養生では,二酸化炭素が. た中性化促進試験機を用いて行った.なお封緘養生は,. 供試体表面で消費され切れず,内部へも侵入し,炭酸. キーワード 連絡先. ポーラス,セメント改良砂,炭酸化,一軸圧縮強度,強度増加. 〒367-8515 群馬県桐生市天神町 1-15-1 群馬大学工学部. TEL0277-30-1613. FAX0277-30-1601.

(2) Ⅲ− 26. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 化が供試体全体で進行したと考えられる. 3.3. 養生条件の違いによる一軸圧縮強度. 一軸圧縮試験の経時変化を図-2 に示す.図-2 より, 封緘養生においては,材齢 28 日から材齢 1095 日にか けて同程度の圧縮強度を示した.このことから,二酸. 初期養生. 化炭素に触れない封緘養生では,長期的な強度増加が 起こらないと言える.一方,促進養生 28 日(材齢 56 (材齢 28 日)と比較してそれぞれ約 1.3 倍,1.4 倍の圧 縮強度を示した.このことより,セメント改良砂は炭 酸化により強度増加することが示された.しかし,促 進養生 63 日(材齢 91 日)では,強度の低下が確認さ 5). れた.既往の研究 においても,強度増進につながる二. 6. 一軸圧縮強度(N/mm2). 日)と気中養生 152 日(材齢 180 日)では,初期養生. 促進 28 日. 気中 28 日 図-1 炭酸化の様子. 5 4. 3. 初期養生 気中シリーズ 促進シリーズ 封緘シリーズ. 2 1 0 0. 酸化炭素吸収量には限界量があると考えられている.. 50. 強度低下する要因としては,セメント水和物である珪. 100 150 200 養生日数(日). 360 250 1095 300. 図-2 圧縮強度の経時変化. 酸カルシウム水和物などの分解や,急激な炭酸化によ. 増進を阻害した可能性などが示唆されているが,明ら かになっていないため今後の検討課題としたい. CO2 供給量と圧縮強度の変化の関係を図-3 に示す. 図-3 より,二酸化炭素供給量の多い促進養生は,気中 養生と比較して,二酸化炭素供給量に対する強度の増. 6 一軸圧縮強度(N/mm2). り内部からの水分蒸発が促進され水和反応などの強度. 5 4 3. 気中56日. 気中91日. 2 1. 初期養生 気中シリーズ 促進シリーズ 封緘シリーズ. 0. 加が緩やかであることが分かる.この要因の一つとし. 0. て,二酸化炭素の濃度によって,生成される炭酸化カ. 図-3. ルシウムの結晶状態が異なる可能性が考えられる.二. 50 100 150 200 316 CO2濃度(%)×養生日数(日) CO2 供給量と圧縮強度の変化. つ目には,既往の研究 6)より二酸化炭素が高濃度になる と,水酸化カルシウムだけでなく珪酸カルシウム水和. 影響,日本道路公団試験研究所報告,Vol.32,pp.10-23,1995.. 物も二酸化炭素と反応するという報告がされているこ. 2) セメント協会:セメント系固化材による地盤改良マ. とから,本研究においても同様の現象が起き,強度の. ニュアル第 3 版,pp.27-29,2003.. 増加が抑制されたと考えられる.. 3)島 弘ほか:二酸化炭素ガスを吸収したポーラスコン. 4.まとめ. クリートの圧縮強度と細孔容積,コンクリート工学年. 養生条件の異なる供試体に圧縮強度試験を実地した. 次論文集,Vol.17,1995.. 結果,二酸化炭素濃度に関わらず炭酸化によりセメン. 4) 山田. 泰彰ほか:溶脱劣化したセメント改良砂の強. ト改良砂の圧縮強度は増加した.ただし,二酸化炭素. 度および変形係数の低下における養生日数の影響,. 濃度が高い場合,一定の強度増加後に圧縮強度は低下. 地盤工学会関東支部発表会発表講演集,6 巻,pp.178-182,. する傾向を示した.また,二酸化炭素濃度の違いにより,. 2009.. 二酸化炭素供給量に対する強度増加の傾向は異なった.. 5) 小川. これらは,二酸化炭素の反応形態や生成物質の結晶構造. クリートの物性,コンクリート工学年次論文集,Vol.15,. などが要因と考えられるが,詳細については,今後の研. No.1,. 究課題である.. 6) 白川. 参考文献. 炭酸化機構への水和の影響,コンクリート工学年次論. 1) 三島 信雄ら:安定処理土の強度特性と耐久性に及ぼす. 文集,Vol.24,2002.. 洋二ほか:炭酸ガスを吸収したポーラスコン. 1993. 敏夫ほか:セメントペースト硬化体における.

(3)

参照

関連したドキュメント

を示した。ただし、混合セメント系のコンクリートの 場合、塩化物イオンが殆ど浸透していない状況におい

枚方市の特徴である「多様性があり、全体的に バランスが良いこと」を生かしながら、豊かな自

1.はじめに

3. 結果と考察 (1)橋梁部の表面粗度が流木捕捉に及ぼす影響:流木 捕捉と橋梁表面粗度の関係を調べるために,サンドペー

凍結融解試験において測定した 相対動弾性係数の結果を図1に示 す.硬化コンクリートの空気量が少 なくかつセメント量が少ない程,凍

3.内部欠陥が透気性に及ぼす影響 通常,遷移帯は水セメント比 0.40

使用するコンクリ-トの配合を表-1に示す.セメントは高炉セメントB種,粗・細骨材は鬼怒川産の川 砂利・川砂,混和剤はポゾリス

変位は小さくなる結果が得られた. 次に免震ゴムの硬化によって橋脚に対しどのような影響が生じてい