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『被保険利益の地位と機能の今日的意義』

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Academic year: 2022

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(1)『 被 保 険利 益の地位 と機 能 の今H的 意義』. 藤田. 仁. 提出. 博士学位申請論文審査要旨. 『 被 保 険利益 の地位 と機 能 の今 日的意 義』. 1.論. 1.本. 文 の 主 旨お よ び構 成. 論文の主 旨. 「被 保 険 利 益 」 と は損 害 保 険 契 約 の 目的 で あ っ て 、 損 害 保 険 契 約 が有 効 に成 立 す る た め に 現 行 商 法 第630条. お よ び 新 保 険 法 第3条. に お い て 強 行 法 的 に 要 求 され る要 件 で あ る。 この 被. 保 険利 益 は 、 損 害 保 険 契 約 に お い て 、 保 険 事 故 が 発 生 す る こ と に よ っ て 被 保 険 者 が 損 害 を 被 る 可 能 性 の あ る 経 済 的 利 益 を い う。 損 害 保 険 契 約 は 、 当 事 者 の 一 方 が.定 の 偶 然 な 事 故 に よ っ て 生 ず る こ との あ る損 害 を て ん 補 す る こ と を約 し、 相 手 方 が これ に対 して 報 酬 を 支 払 う こ と を約 す る こ と に よ っ て そ の 効 力 を生 ず る契 約 で あ る か ら(商 法 第629条 条 第6号)、. 、 新 保 険 法 第2. 損 害 発 生 の 可 能 性 が な けれ ば 、 損 害 の て ん 補 を約 束 す る 前提 が 存 在 しな い こ と. に な り、 契 約 の 目的 自体 が存 在 しな く な る 。 そ こで 、 法 は 被 保 険 利 益 とい う もの を契 約 成 立 の 効 力 要 件 と して い る の で あ る。 この よ う に 損 害 保 険 契 約 に お い て 被 保 険 利 益 の 存 在 を強 行 法 的 に 要 求 す る理 由 に つ い て は 、 これ ま で に 色 々 な学 説 が 唱 え られ て き た が 、 理 論 的 に は と もか く、実 務r .では 、 今 日、 保 険 実 務 の 慣 行 あ るい は保 険加 入 者 や 保 険 者 の ニ ー ズ実 現 の 必 要 性 か ら、 この 被 保 険 利 益 の 要 件 の 厳 格 性 は大 幅 に緩 和 され て い る と一 般 に考 え られ て い る。 しか し、 損 害 保 険 契 約 に お い て は、 一 般 損 害 賠 償 に お け る場 合 と異 な り、 損 害 の 発 生 ま た は 損 害 て ん 補 の 問 題 を そ れ だ け と して 独.立 して論 じる こ と は不 可 能 で あ って 、 常 に これ を 被 保 険 利 益 の 概 念 に 関 連 させ て 論 じ な くて は な ら な い の で あ り、 し た が っ て 、 被 保 険 利 益 は 、 依 然 と し て損 害 保 険 契 約 に お け る保 険 の 目的 物 あ る い は 保 険 給 付 が何 か を確 定 す る 上 で 重 要 な 機 能 を果 た して い る こ と も事 実 で あ る 。. 提 出論 文 「被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 」(以 下 、 本 論 文 と い う。)は 、 この 被 保 険 利 益 概 念 の 生 成 ・発展 とそ の 背 景 を 詳細 に 検 討 した う えで 、 被 保 険利 益 の 地 位 と機 能 お よ び 被 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則 との 関 係 、 さ らに は 数 多 くの 損 害 保 険種 目お よび 生 命 保 険 に お け る被 保 険利 益 につ い て 考 察 し、 む す び と して 、 被 保 険利 益 の 地 位 と機 能 の 今 目的 意 義 を 明 らか に し て い る。. b. zai一...

(2) 『被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の.今Ll的 意 義 』. 本 論 文 提 出者 の 問 題 意 識 は大 き く次 の2つ. か ら な る。. (1)現 代 の保 険 は も は や 制 度 的 賭 博 性 向 を 内 在 して い な い の で 、....般的利 益 概 念 の 本 来 の 重 大 な意 義 を ほ とん ど失 い 去 っ た とす る 見 解 、 あ る い は利 得 禁 【 ヒ原 則 につ い て 検 討 す る場 合 に被 保 険 利 益 に と ら わ れ る必:要は な い とす る晃 解 な どが あ る が、 損 害 保 険 契 約 の 基 本 的 要 素 で あ る被 保 険利 益 の 概 念 は リス ク ・保 険 需 要 ・損 害 保 険 商 品 の 多様 化 に伴 い 変 容 を み せ て い く こ と が あ る と して も.、被 保 険 利 益 を損 害 保 険 契 約 の 要 素 とす る原 則 を廃 棄 す る こ とは で き な い。 ②. 被 保 険 利 益 は 損 害 保 険 契 約 の 内 容 を確 定 す る機 能 を有 して い る、,つま り、 被 保 険 利 益. がfiifit:す る こ と に よ り損害 保 険 契 約 が 有 効 とな る。 ま た 、被 保 険利 益 は保 険 事 故 が 発生 す る こ と に よ っ て損 害 を被 る 可 能 性 の あ る経 済 的 利 益 で あ るの で 、 そ の 経 済 的 評 価 は保 険金 を支 払 うた めの 一 方 の 基 準 とな る。 換 言 す れ ば 、 被 保 険 利 益 は保 険 商 品 開 発 ・保 険 商 品 販 売 ・保 険 金 支 払 い の 各段 階 に お け る実 践 理 念 の 一 つ で あ る。 した が っ て 、 保 険 者 お よび 保 険 契 約 者 は 、 保 険 契 約 の締 結 に あ た って 、保 険 に付.けよ う とす る利 益 、 す な わ ち被 保 険 利 益 は何 か に つ い て 、 明 白 に 認 識 して い な け れ ば な ら な い6そ れ な の に 、 近 年 、 損 害 保 険 契 約 の 締 結 に 際 して 、 保 険 者 お よ び 保 険 契 約 者 は 被 保 険 利 益 に つ い て 明 白 に 認 識 して い な い の で は な い か 。. こ う した 問題 意 識 に 基 づ き、 本 論 文 は(1)被. 保 険利 益 概 念 誕 生 期 、18.世 紀 中 葉 か ら19世. 紀 中 葉 に い た る 発展 期 、19世 紀 後.半か らの 被 保 険 利 益 概 念 完 成 期 、 戦 後 に お け る被 保 険 利 益 論 展 開 期 へ と、 被 保 険利 益 概 念 の 生 成 ・発 展 と その 背 景 を概 観 し、(2)被 義 を再 検 討 し、(3)被. 保 険 利 益 の 機 能 お よ び(4)被. 保 険 利 益 の.存在 意. 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則 の 関 係 に つ い. て検 討 を行 っ て い る。 そ して さ らに(5)責. 任 保 険 に お け る被 保 険利 益 、 ⑥. 生nu保 険 に お け る被 保 険 利 益 、(8)わ. 新 価 保 険 に お け る 被 保 険 利 益 、(7>. が 国 の 損 害 保 険 商 品 に お け る被 保 険 利 益 につ い て 考 察. し、 むす び と して 、 被 保 険 利 益 は 損 害 保 険 契 約 の 目的 で あ る危 険.負担 給 付 の 要 素 で あ り、 機 能 的 に は 、 賭 博 との 峻 別 、 道 徳 的 危 険 の抑 止、 利 得 禁 止 の 具 体 的 確 認 の 基 準 、 同...性認 識 の 基 準 等 の機 能 をい と な ん で い る の で あ る か ら、 被 保 険利 益 の 実 践 活 動 の 場 は保 険 契 約 面 に あ るが 、 そ れ ば か りで な く、 保 険 業 法 ・保 険.会社 業 務 運 営 あ る い は リス クマ ネ ジ メ ン トな どの 方 面 、 お よ び 隣 接 金 融 商 晶 とのlx.n9の標 識 面 に も被 保 険禾1溢の 実 践 活 動 の 場 は あ る の で あ っ て 、 こ れ らの 各 面 に お け る被 保 険 利 益 の 活 動 こ そ が.被保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 で あ る と結 論 付 け て い る 。. zzz.

(3) 『 被 保険利 益 の地 位 と機能 の 今 日的意義 』. z.本. 論文の構成. 本 論 文の 構 成 は 、 以..ド の とお りで あ る 。. は じめ に 第1章. 被 保 険 利 益 概 念 の 生 成 ・発 展 と そ の 背 景. 1は. しが き. ll被. 保 険 利 益 概 念 の 生 成 ・発 展 段 階 区 分 の 視 点. 皿. 被 保 険 利 益 概 念 の 生 成 ・発 展 の 推 移...・ 覧. IV被. 保 険利 益 概 念 誕 生 期. 1.Barcelonaの. 法令. 2.Santernaの. 保 険 と賭 博. 3.被. 保険利益概念 の発生. 4,小. 括. V18世 1,近. 紀 中 葉 か ら19世. 紀 中葉 に い た る 発展 期. 代 的 生 命 保 険 制 度 の 発達. 2.Langenbeckお. よ びMagensの. 3.W6skettお. よ びParkの. 4・Lucenav.Cm・. 見解. 見解. 血 ・d酬1に. お1ナるLawrence判. 事 の 判 旨(1806年). 一 .イギ リス に お け る 被 保 険 利 益 概.念 の 完 成 時 一 5.Marshallの. 見解. 6.Beneckeの. 利益論. ,i .Fohlsの s.小 Wlg世 1.ド. 見解. 括 紀 後 半 か らの 被 保 険 利 益 概 念 完 成 期 イ ッ 旧 商 法 編 纂 会 議(1859年). z.MommsenMalls,(:ohnfeld,Calmの 3.Endemannの 4.Heckerの. 利 益 概 念 無%11sst 所論. 5.Ehrenbergの 6.Kischの. 兇解. 利益概念 被 保 険利 益 論. 7.Roelh‑Jaegerの. 関係 説. 8.Blanckの. 所 説 一Eilrenbergな. 9.Weensな. らび にBroguetの. ら び にKischの 両 性 説(折. 一223. 衷 説). 一. 両 説 に対 す る折 衷 説一.

(4) 『 被 保 険利 益の地 位 と機能 の.今[{的$i:. to、Bruckの. 所論. 1ユ.小 括 覇. 戦 後 に お け る 被 保 険 利 益 論展 開 期 1.Koenigの. 利 益 否 定 論(利. 2.Donatiの. 関係 説. 3.M.ollerの. 利益 説. 益 概 念 無 用 説). 4.Uartnerの. 見 解 な らび に 学 説 史 考 察. 5.Niekerkの. 学説史考察. (1)利. 益概 念の初期の歴 史. (2)ロ. ー マ 法 系 オ ラ ンダ 法 の利 益 の 条 件. (3)利. 益 の な い 保 険;賭. 6,BerlinerKommentarに. 博 保険 お け る利 益 概 念. 7.Sieg,Schwintowski,Hofmanの. 見解. (1)Sieg (2)Schwintowski (3)Hofhlann 8.DeuLschの 9.Weyersの 10.Sommerの 11.小 mむ. 見解 見解 見解. 括 す び. 第2章. わ が 国 の 被 保 険 利 益 学 説 に お け る 議 論.. 1は Il被. しが き 保 険 利 益 学 説 をめ ぐ る わ が 国 の 背 景. 1.被. 保険利益 学説 をめぐるわが国固有の事情. 2.立. 法 段 階 に お け る経 緯. 皿. 被 保 険利 益 学 説 の検 討 1.関. 係説. 2.興 イ産 則』 説 3.価. 値説. 4.損. 害 を被 るお それ の あ る利 益 説. 5.損. 害 発 生 の 可 能 性 とす る説. nむ 第3章. すび 被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能. 一224一.

(5) ぎ被保 険利 益の 地位 と機 能 の 今U的 意 義』. 1は. しが き. H被. 保 険利 益 の 地 位 につ い て の検 討. i.絶 対 説(客 観fi義 な い し絶 対 主義 的 見 解) 2.相 対 説(主 観 主 義 な い し相 対 主 義 的 見 解) 3.修. 正絶 対 説. 4.ま. とめ. ID被. 保 険 利 益 の機 能 に つ いて の検 討. .. ユ.被 保 険利 益 の 機 能 に つ い て の 問 題 意 識 2.Kischお. よびllonaliそ の 他 の 学 者 の 所 説. (1)Kischの. 所説. (2>Donatiの. 所説. (3>Moilerの. 所説. (4>今 村. 有博 士の所説. (5>大 森 忠 夫 博 士 の 所 説 (s>木 村 栄.・博 士 の 所 説 ⑦. 考察. 3.被 保 険利 益 の 機 能 を め ぐ って の 議 論 4.ま 至Vむ 第4章. とめ すび. 被 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則. Fは. しが き. H利. 得 禁 止 原 則 の 法 源 と法 的 性 質. 1.利 得 禁 止 原 則 の 法 源 2.利 得 禁 止 原 則 の 法 的性 質 皿. 被 保 険利 益 と利 得 禁 止 原 則 の 関係. IVむ. すび. 第5章. 責 任 保 険 に お け る被 保 険利 益. Eは. しが き. n則'産 皿. 財 説 な い し価 値 説 か らの 見方. 関係 説 か らの 見 方. n'そ. の他 の 学 者 の .見解. 1.木 村 栄 一 博.1二 の見解 2.田. 辺 康 平 博.十:の見 解. 3.西. 島 梅 治 博士 の 見 解. 一225一.

(6) 」.被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今Ll的 意 義 』. 4.私. 見. Vむ. すび. 第6.章. 新価保険 にお ける被保険利 益. 1は. しが き. H減. 価 条件 が あ って 、 再 築 ・再取 得 条 件 を要 求 し な い も の 一 価 額 協 定 保 険 特 約 、 保 険 金 支 払1Yが. 1.沿. 革 お よび 保 険 の 概 要. 2.学. 説 ・見解 の 概 観 と そ の 検 討. (1)利 用者 利 益 説(使 ②. 選 択 で き る保 険…. 用者利益 説〉. 所有者利 益能率価 値評価説. (3)所 有 者 利 益 特 別 評 価 説 (4)所 有 者 利 益 新 調 達 価 頷 評 価 説 ⑤. 現物 てん補援用 説. (6).単 一 一費 用利 益 説 (7)所 有 者利 益 と 費 用 利 益 の 結 合 説 ① (8)所 有 者 利 益 と費 用利 益 の 結 合 説 ② (9)最 近 の ドイ ツ の判 例 お よ び 見 解 (1① 消 耗 危 険 説 (11)主 観fi的. ・相 対 主 義 的 見方 説. (12)定 額 保 険 説 (13)経 済 必 要 充足 説(入 3.ま 皿. 用 充 足 説>. とめ. 減 価 条 件 と再 築 ・再 取 得 条 件 と も に要 求 す る もの 一 普 通 火 災 保 険 ・住 宅 火 災 保 険 ・住 宅 総 合 保 険 ・店 舗 総 合 保 険 に 付 帯 す る新 価 保 険特 約 条 項一 z.保. 険の概要. 2.ま. とめ. 減 価 条 件 は な く、 再 築 ・再 取 得 条 件 の み を要 求 す る もの 一 機 械 保 険一 1,保. 険の概要. 2.ま. とめ. V特. 殊 な 減 緬 条 件 と再 築 ・再 取 得 条 件 を要 求 す る もの ....自 動車保険 の車両新価保 険特約一. 1.保. 険 の概 要. 一226一.

(7) 1.被保険 利 益の地 位 と機 能 の今 日的意 義』. 2.ま Wむ. とめ すび. 第7章. 生 命 保 険 に お け る被 保 険 利 益. 1は. しが き. 1.わ が 国 に お け る 商 法上 の 規 定 2.外. 国 に お け る保 険 契 約 法 上 の 規 定. 3.分 類 に 関 す る,f説 上 の 損 害 保 険 と生 命保 険 の 位 置 4.被 保 険利 益 の 問 題 5.他 人 の 生 命 保 険 にお け る被 保 険 者 同 意 に 関 す る問 題 n生. 命 保 険 の 被 保 険利 益 は 存 在 しな い とす る説. i,白 杉 三 郎 博 士 の 見 解 z.野 津. 務搏 士の見解. 3.西 島 梅 治 博 士 ・そ の 他 論 者 の 見解 皿. 生 命 保 険 に も被 保 険 利 益 が 存 在 す る と す る説 1.今 村. 有 博士 の 見 解. 2.llanatiの. 新 損害 説 の 見 解. 3.今 田 益 三 氏 の 見解 IV生. 命保 険 に 広 義 の 被 保 険利 益 が存 在 す る とす る説. V英. 米 法 に お け る被 保 険 利 益 主 義 の 動 向. 1.イ ギ リス法 2.ア VI他. メ リカ法 人 の 生 命 保 険 に お け る 被 保 険 者 同 意 と被 保 険 利 益. 1.他 人 の 生 命 保 険 の 弊 害 を防 止 す る 立 法 例 z.個 人 保 険 契 約 の被 保 険 者 同 意 主義 ・被 保 険 利 益 に 関 す る問 題 Wむ 第8章. すび わ が 国 の 損 害 保 険 商 品 に お け る 被保 険 利 益. 1は. しが き. ll被. 保 険利 益 の 分 類 お よび 種 類. 1.被 保 険 利 益 の 分 類 2.被 保 険 利 益 の 種 類 皿. 火 災 保 険 に お け る被 保 険 利 益 1.火 災 保 険 の 概 要 L.各 種 火 災保 険 に お け る被 保 険 利 益. IV運. 送 保 険 に お け る被 保 険 利 益. 一227一.

(8) 「 被 保険利 益 の地 位 と機 能 の 今 日的 意義 』. 1.意 義 z.被 保 険 利 益 V海. 上 保 険 に お け る被 保 険 利 益. 1.海 上 保 険 の 意 義 2.船 舶 保 険 に お け る被 保 険利 益 3.積 荷1呆険 に お け る被 保 険利 益 4.運 送 賃 保 険 に お け る 被保 険利 益 5.希 望 利 益 保 険 に お け る 被保 険利 益 W自. 動 車保険 における被保険利益. 1.意 義 2.自 賠 責 保 険 に お け る被 保 険利 益 3,任 意 自動 車 保 険 に お け る被 保 険 利 益 w第. 三 分 野(傷 害 ・疾 病 ・介 護 保 険)に お け る被 保 険 利 益. 1.第.三 分 野 の 概 念 と位 置 づ け 2.傷 害f呆険 に お け る被 保 険利 益 3.医 療 費 用保 険 ・介 護 費 用保 険 に お け る被 保 険 利 益 、 皿 新 種 保 険 に お け る被 保 険 利 益 1.総 説 2,広. い意 味 で の 動 産 総 合 保 険. 3.機 械 保 険 4,組 立 保 険 5.建 設 工 事 保 険 6.土 木 工 事保 険 7.身. 元信 用 保 険. 8.入 札 ・履 行 保 証 保 険 9.住 宅 ロ ー ン保 証 保 険 ro.ボ. ン ド(保 証 証 券). 11.航 空 保 険 iz.盗 難 保 険 13.原 子 力保 険 14.労 働 災 害 総 合 保 険 15.動 物 保 険 医. むすび. 228一.

(9) 1被保 険利 益の地位 と機能 の今 日的意 義」. 第9章. 被保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 一 む す び一.. 1は. しが き. H被. 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 伝 続 的 意 義. 1.被 保 険利 益 概 念 の 生 成 ・発展 の 経 緯 2.被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の伝 統 的 意 義 m被. 保 険 利 益 の機 能 的 限 界 に関 す る 議論. IV公. 序 良 俗 論 と被 保 険 利 益. V広. 義 の 被 保 険利 益 に関 す る考 察. 1,責 任 保 険 に お け る広 義 の被 保 険 利 益 2.生 命 保 険 に お け る広 義 の被 保 険 利 益 3.広 義 の利 得 禁 止 原 則 の 裏 返 しの 意 味 に お け る利 益概 念(広 Mわ. 義 の 被 保 険利 益). が 国 の 損 害 保 険 商 品 に お け る被 保 険利 益 の 種 類 と 認 識 す べ き側 面. 1.被 保 険 利 益 の 分 類 お よ び種 類 2,認 識 す べ き側 面 珈. む す び 一 被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 一 1.今 日的 意 義 を考 察 す る視 角 2.被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 (1)被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 伝 統 的 意 義 は 今 日 で も生 き て い る。 (2)被 保 険 利 益 は 保 険 業 法 の 実 践 面 で 重 要 な 役 割 を果 た して い る。 (3)保 険 会 社 の 保 険 商 品 開 発 ・保 険 商 品販 売 ・保 険 金 支 払 の 各 面 に お け る健 全 ・適 切 な運営 の実践理念 の. つ が被 保 険利 益 で あ る。. (4)リ ス ク マ ネ ジ メ ン トの 危 険 処 理 計 画 に お い て 被 保 険 利 益 が 有 効 に機 能 す る もの で あ る。 (5)被 保 険 利 益 は損 害 保 険 と隣 接 金 融 商 品 と を区 別 す る標 識 と して の 役 割 を果 た して い る。 お わ りに. 一L29. 一.

(10) II.被 保 険利 益の 地 位 と機能 の今 目的意 義』. II.本. 論 文 の概 要. 本 論 文 の 構 成 と各 章 の 概 要 は、 以 下 の と お りで あ る。. 1,被. 保 険 利益 概 念 の 生 成. 第1章. ・発 展 と そ の 背 景... で は 、 ま ず 被 保 険 利 益 概 念 の 発 展 の 推 移 を 一tiに. 期 、(2>18世. 紀 中 葉 か ら19世. 念完成 期、 ④. 紀 中 葉 に い た る 発 展 期 、(3>19世. 保 険利 益 概 念 誕 生. 紀 後 半 か らの 被 保 険 利 益 概. 戦 後 に お け る 被 保 険 利 益 論 展 開 期 、 へ と学 説 発 展 の 跡 を 辿 っ て い る 。. 利 葺 概 念 の 始 ま り を1484年 リ ス よ り100年. ま と め 、(1)被. 遅 れ て19世. の バ ル セ ロ ナ の 保 険 法 令 に 求 め 、 そ の 完 成 は ドイ ツ で は イ ギ 紀 にEhrenbergで. 完 成 し た が 、 そ の 考 え 方 は 両 国 同 一一で あ る と. す る 加 藤 由 作 説 、 利 益 概 念 の 生 成 を イ タ リア の 古 典. と り わ けDeCasaregisに. 求 め、 それ以. 後 は イ ギ リ ス の 見 解 に つ い て 全 く言 及 せ ず 、 結 論 と し て 、 ド イ ツ に 関 し て 加 藤 由 作 説 と 同 じ く 、 利 益 学 説 はEhrenbergで Koenigの Niekerkの. 利 益 否 定 論 、Ponatiの. 完 成 し た と 論 じ て い るGartner説 関 係 説 、Mollerの. 学 説 史 考 察 、BerlinerKommentarに. 。 ま た 、 戦 後 に つ.い て は 、. 利 益 観 、GarLnerの. 見 解 ・学 説 史 考 察 、. お け る 利 益 概 念 な ど 、 被 保 険 利 益 概 念 の't.. 成 ・発 展 と そ の 背 景 を 詳 細 に 検 討 す る こ と に よ っ て 、 被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日 的 意 義 を見 出 す 手 掛 か り を究 明 して い る。. 2,わ. が 国 の 被 保 険 利 益 学 説 に.おけ る 議 論.. 第2章. で は 、 被 保 険 利 益 の 意 義 につ い て 論 述 して い る。. 学 説 に つ いて は 、 これ ま で 唱 え.られ て き た 関 係 説 、.財産 財 説 、 価 値 説 、 損 害 を被 る お そ れ の あ る利 益 説 、 損 害 発 生 の7能. 性 とす る 説 等 を 吟 味 した 後 に 、 わ が 国 の 商 法 の 規 定 の 解 釈 お. よび 保 険 者 と保 険 契 約 者 と の 間 の 保 険 取 引 の 実 態 に基 づ き損 害 保 険 契 約 の 目的 につ い て 次 の よ うに 述 べ て い る 。 つ ま り、.商法 第629条1第630条. の 規 定 に よ り、損 害 保 険 契 約 の 本 質 は. 損 害 て ん 補 契 約 で あ る と い え る。 また 、 保 険 者 と.保険 契 約 者 との 問 の保 険 取 引 をみ る と、 保 険 契 約 者 は偶 然 の 事 故 に よ り損害 を被 っ た と き、 保 険 者 か ら その 損 害 の て ん 補 が 受 け られ る と い う約 束 、つ ま り保 険者 の 危 険 負 担 に対 して 保 険 料 を支 払 うの で あ る 。 危 険 負 担 の 実 質 は 、 条 件 付 損 害 て ん補 の 引 受 とい う こ と に な る。 そ して 、損 害 て ん 補 は 損害 保 険 契 約 の 目 的 で あ る危 険 負 担 給 付 の 現 実 化 ・.具体 化 で あ る。 この よ うな保 険 取 引 の点 か ら も、 損 害 保 険 契 約 は 本 質 的 に 損 害 て ん補 契 約 で あ る と い.える。 損 害 保 険 契約 に お い て約 束 され る給 付 は 、 危 険 負 担 す な わ ち条 件 付 損 害 て ん 補 の 引 受 で あ る か ら、 損 害 て ん 補 の 本 質 か ら して 損 害 の 可 能 性 が あ らか じ め存 在 しな けれ ば な ら な い 。 そ れ 故 、 被 保 険利 益 は 損 害 保 険 契 約 の 目的 で あ る危 険 負担 給 付 の 要 素 を な す もの で あ る。. 一230一.

(11) 『 被 保 険利益 の地 位 と機 能 の.今日的意義」. 以.ヒの こ とか ら、 被 保 険利 益 と は、 損 害 保 険 契 約 に お い て.保. 険 事 故 が生 じ る こ と に よ っ. て 被 保 険 者 が損 害 を 被 るお それ の あ る利 益 で あ る とい え る。 な お 、被 保 険 利 益 概 念 お よ び 「損 害 」 の概 念 につ い て は、社 会 経 済 上 の 要 請 に した が っ て 、 公 序 に 反 しな い よ う、利 得 防止 の 措 置 を講 じな が ら、柔 軟 に対 応 して 差 し支 え な い と考 え る。. 3.被. 保 険 利 益 の 地位 と機 能. 第3章. で は 、 まず 被 保 険 利 益 の 地 位 い か ん に つ い.て、 「損 害 て ん 補 」 の 契 約 とは 現 実 に 発. 生 した 損 害 の て ん補 を本 質 的 内容 とす る契 約 で あ る と解 し、 この 損 害 の 発 生 の 前 提 と して の 被 保 険 利 益 は 損 害 保 険 契 約 が 存.立す る た め の 絶 対 的 要 件 で あ る とす る 「 絶 対 説 」(客 観 主 義 な い し絶 対 主 義 的 見 解 〉、 保 険 契 約 を保 険 契 約 者 が 保 険 料 の 支 払 義 務 を負 い、 保 険 者 は 条 件 付 な い し期 限 付 の 保 険 支 払 義 務 を負 う金 銭 給 付 契 約 で あ る 、 とす る 「相 対 説 」(主 観 主 義 な い し相 対 主 義 的 見 解 〉、 そ して 相 対 説 が.一括 して 例 外 現 象 と して取 り扱 っ た もの を二 つ に 分 け、 保 険 事 故 の 発生 に よ って 生 じた 実 損 害 額 と、 損 害 て ん補 と して 給 付 され る金 額 との 間 に 量.的ズ レが 生 じる と こ ろの 、 評 価 済 保 険 、 保 険 価 額 の 法 定 、 萩 価 保 険 等 の グル ー プ を 「て ん 補 原 則 」 σ)量的 例 外 と して .とらえ 、 保 険 事 故 の 発 生 に よ っ て 必 ず しも確 定 損 害 が 生 じた と は い え な い が 、 確 定 損 害 が 生 じて い ζ蓋 然 性 が 大 き い場 合 、 損 害 の 確 定 を待 た ず に直 ち に 保 険 金 を給 付 す る と と も に 、そ れ に よ る利 得 の 余 地 を残 さな い 措 置 を講 じる と こ ろの 、保 険 委付 、 保 険 代 位 、 抵 当保 険 、 さ ら に は 、 い わ ゆ る責 任 免 脱 の 行 わ れ る型 の 責 任 保 険 等 の グ ル ー プ を 「て ん 補 原 則 」 の 質 的 例 外 と して と らえ る 「修 正 絶 対 説 」 の そ れ ぞ れ の 学 説 の もつ 意 味 を 考 察 ・検 討 し、被 保 険 利 益 の地 位 に つ い て つ ぎ の よ う に 結 論 づ けて い る。 (1)被 保 険利 益 は損 害 保 険 契 約 の 重 要 な要 素 で あ る, ②. 被 保 険利 益 は損 害 保 険 契 約 の 目的 で あ る 危 険 負 担 給 付 の 要 素 で あ り、 そ の 本 質 的 内 容 と され る。. (3).責 任 保 険 等 の い わ ゆ る消 極 保 険 にお い て も、 被 保 険利 益 は.存在 す る。 (4)1.損 害 」 の概 念 に つ い て 、 保 険制 度 の 枠 組 み の な か で 柔 軟 性 を志 向 す る。. さ ら に、 被 保 険利 益 の 機 能 に つ い て 、Kischお. よびDonatiそ. の 他 の 学 者 の 所 説 を概 観 し、. 被 保 険利 益 の機 能 を め ぐ って の 議 論 を考 察 し、 被 保 険利 益 の機 能 をつ ぎ の よ うに 結 論 づ け て い る,, (1)保 険 契 約 と賭 博 と を区 別 す る の に 役 立 つ と同 時 に 被 保 険利 益 を超 え る超 過 保 険 の 弊 害 を防 止 で き る。 ま た 、 利 得 を生 じる 可能 性 の 事 前 排 除 に役 立つ 。 ②. 同 一 の 目的 につ き複 数 の 保 険 契 約 の 成 立 を 可能 な ら しめ る.. (3)保 険 者 の て ん補 す べ き保 険 金 の 最 高 限 度 額 な らび に超 過 保 険 ・..一 一部保 険 な ど を 判定 す る1と. な る。 また 、 利 得 禁 止 の 具体 的 確 認 の 基 準 と な る,旨. 231一.

(12) 1.被保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 今Li的 意 義 .i. (4)保 険 業 法 な い しは 保 険 監 督 分 野 に お い て被 保 険 利 益 の 機 能 の 活 用 を前 向 きに 考 え る こ とが で き る、. a.被. 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則. 第4章. で は 、 被 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則 と は..林 の 関 係 で あ るの か 、 ま た利 得 禁 止 原 則 の. 法 源 と法 的 性 質 は ど の よ うな もの で あ る か、 さ ら に 、利 得 禁 止 原 則 に お け る利 得 と は 何 か 、 利 得 禁d:二 の 意 味 と そ の位 置 づ け を どの よ うに 考 えれ ば よ い の か 、 ま た利 得 禁 止 原 則 の 裏 返 し と して の利 益概 念 を ど の よ うに理 解 す べ きで あ るの か 、 と い っ た 論 点 に つ い て検 討 しい て い る, 本 論 文 はつ ぎの よ う に結 論 づ けて い る。 (1)わ が 国 の 商 法 は 、利 得 禁 止 原 則 に つ い て 明 示 的 に規 定 して い な い が 、 商 法 第629条. は. 「損 害 保 険 契 約 ハ 当 事 者.ノー 方 力偶 然 ナ ル ー 定 ノ事 故 二 因 リテ 生 ス ル コ トア ル ヘ キ損 害 ヲ填 補 スル コ トヲ約 シ相 手 方 力之 二 其 報 酬 ヲ与 フJレコ トヲ約 ス ル ニ 因 リテ 其 効 力 ヲ 生 ス」 旨 定 め て い る。 こ の 商 法 第.629条 が 利 得 禁 止 原 則 の 法 源 で あ る と解 す る。 この 規 定 か ら損 害 保 険 契 約 は 損 害 て ん 補 を本 質 的 内容 とす る契 約 で 、 「被 保 険 利 益 に つ い て 発 生 す る損 害 額 を超 え る保 険 給 付 は 言午され な い」 と い う 「利 得 禁 止 」 の 原 則 が 働 い て い る と考 え る。 ② .利 得 禁 止 原 則 の 法 的 性 質 に つ い てォ,狭. 義 の 利 得 禁 止 原 則 と広 義 の 利 得 禁 止 原 則 に.分. け る か 、 あ る い は 最 狭 義 の利 得 禁tl:1r則 と狭 義 の 利 得 禁1.is原則 に 分 けて 、 任 意 規 定 的 原 則 あ る い は 強 行 規 定 的 原 則 と して 位 置 づ け る 考 え方 が あ る。. 保 険 が 健 全 な社 会 制 度 と して 存 荏 す る た め に容 認 され な い 利 得 を もた らす 保 険 給 付 を禁 止 す る と い う意 味 で.の利 得 禁 止 原 則 を広 義 の 利iL原. 則 とす る.考え 方 が あ る. が、 広 義 の利 得 禁 止 原 則 は 公 序 的 条 件 とい うべ き もの で 、 あ ら ゆ る法 律 行 為 、 あ らゆ る制 度 に 課 せ ら れ て い る た め 、 あ らた め て 広 義 の利 得 禁 止 原 則 が存 在 す る とは 解 さな い。 した が っ て 、 一一般 的 に い わ れ る狭 義 の 利 得 禁 止 原 則 を 最 狭 義 の 利 得 禁 止 原 則 と狭 義 の 利 得 禁 止原 則 にfxMJし て 考 え 、 商 法 第629条. が規 定 して い る損 害 て ん 補 の 原 則 が 貫. 徹 され な け れ ば な ら な い とい う意 味 で の 利 得 禁 止 原 則 を最 狭 義 の 利 得 禁 止 原 則 、 被 保 険 利 益概 念 お よ び 損 害 の概 念 につ い て は 社.会経 済 土 の 要 言4にし た が って 柔 軟 に 対 応 す る もの の 、 損 害 と保 険 給 付 との 間 の 関 連 牲 の な い保 険 給 付 は 容 紹 され な い と い う意 味 で の利 得 禁 止 原 則 を狭 義 の 利 得 禁止 原 則 とす る、 そ して、 被 保 険 利 益 概 念 お よ び 損 害 概 念 に 弾 力 性 を も たせ る こ と が で き るの で 、 最 狭 義 の 利 得禁Sri則. は任意規定原 則で. あ る と位 置 づ け る こ と が で き る が 、 狭 義 の 利 得 禁 止 原 則 は 、 これ 以 上 拡 張 ・逸 脱 した 保 険給 付 は 容 認 す る こ と が で き ない の で 、 強 行 規 定 的 原 則 と位 置 づ け られ る.. 一一232一.

(13) 「 被 保 険利益 の地位 と機能 の今 目的意義 』. (3)広 義 の利 得 禁 止 の 裏 返 し と して の利 益 概 念 は 定 額 保 険 に も認 め られ る とい う見 解 が あ る。 本 論 文 は 、 広 義 の 利 得 禁 止 原 則 は 存 在 し な い と解 して い る が 、 仮 に存 在 す る と し て も、広 義 の 利 得 禁 止 原 則 が ど の よ う に機 能 す るの か 、 か な り高 額 の 定 額 保 険 は認 め られ ない とい う こ とに な る の か 、 理 解 で きな い.面が あ る。 (4)被 保 険利 益 と利 得 禁 止 原 則 との 関係 に つ い て は 、 本 質 的 に 被 保 険 利 益 は賭 博 の 弊 害 防 止 、 道徳 的 危 険 の 排 除 とい つ た機 能 を有 して お り、 利 得 禁.【.ヒ 原 則 は損 害 保 険 の 「損 害 て ん補 」 契 約 性 か ら要 請 され る原 則 で あ っ て 、 保 険 賭 博 化 の 防 止 、 モ ラル ・ハ ザ ー ド の 排 除 を 目的 と して い る か ら、 被 保 険 利 益 と利 得 禁 止 原 則 と は..一.・ 体 の 関 係 に あ る。 (5)利 得 禁 止 原 則 が 保 険 事 故 発 生 後 の 保 険 給 付 の あ り方 につ い て の 原 則 で あ るの に 対 し て 、 被保 険 利 益 の 存 在 の 要 求 は保 険 契 約 成 立 段 階 に お い て 利 得 が 生 じる 可能 性 を事 前 に排 除 す る た め の 原 則 で あ る とい わ れ 、 ま た、利 得 禁 止 原 則 につ い て 検 討 す る場 合 に 、 被 保 険利 益 に と らわ れ る必 要 は な い と い う考 え方 が あ る。 しか し、 被 保 険 利 益 の 存 在 の 要 求 は 契 約 締 結段 階 で の利 得 防 止 の 機 能 で あ る こ と は 間 違 い な い が 、 そ れ は 被 保 険 利 益 の 機 能 の う ち の 一 つ で あ る。 利 得 と は、 被 保 険 利 益 に つ い て 発 生 した損 害 額 を超 え る保 険 給 付 の こ と で あ って 、.損害 額 は 損害 発 生 時 の 保 険価 額 に よ っ て 算定 され る。 した が って 、 被 保 険 利 益 は 、 保 険 契 約 成 立段 階 で 利 得 が生 じ る可 能 性 を事 前 に 防 止 す る機 能 を営 む と同 時 に 、 保 険 事 故 発 生 時 の 保 険 給 付 の 限 度 を ど う と ら え る か の 基 準 とな る もの で あ.るか ら、利 得 禁il二 原 則 につ い て 検 討 す る 場 合 、 被 保 険利 益 を無 視 す る こ とは で きな い 。 保 険価 額 を有 しな い責 任 保 険 等 の い わ ゆ る消 極 保 険 で は、 約 定 の 責 任 の 負 担 また は 費 用 支 出 の 負 担 に よ っ て消 極 財 産 が 生 じ る こ と それ 自体 が 損 害 な の で あ る。. 5.責. 任 保 険 に お け る被 保 険 利 益. 第5章. で は、 被 保 険 利 益 を 「保 険 事 故 に よ って 被 保 険 者 が 喪 失 す る財 産 財 な い し価 値 」 と. す る財 産 財 説 な い し価 値 説 、 「.・ 定 の 物 に 危 険 が 発 生 す る こ と に よ っ て 一 定 人 に財 産 上 の 損 害 を与 え る お そ れ の あ る 、 か か る 入 と物 との 関係 」 とす る関 係 説 、 お よび そ の 他 の 学 者 の 見 解 を詳 細 に検 討 した 後 、 一 般 的 な 責任 保 険 に お け る被 保 険利 益 につ い て 次 の よ うに 述 べ て い る. ① 責 任 保 険 に お け る被 保 険 利 益 は 、 損 害 賠 償 責 任 負 担 に よ って 消 極 財 産 が 生 じ る と い う損 害 が 発 生 す る可 能 性 で あ る。 一 般 の 損 害 保 険 の 被 保 険 利 益 は 、 損 害 発 生 の 可 能 性 で あ る と い う立 場 を と って い るの で 、 責 任 保 険 に お い て は 、 損 害 賠 償 責 任 負 担 に よ っ て消 極 財 産 す な わ ち 負 の 財 産 が 生 じる とい う 損 害 が 発 生 す る可 能性 が被 保 険 利 益 で あ る と解 す る, ② 損 害 賠 償 責 任 負 担 は法 的 概 念 で あ る と同 時 に経 済 的概 念 で あ る 。. 一233一.

(14) 『 被 保 険利益 の 地位 と機 能 の今 目的意義 」. .田辺 康 平 博...ト に よれ ば. 、 責任 負 担 は、 法 的 概 念 で あ って 損 害 と同 視 す る こ とは で き な い と. い う。 す な わ ち 、利 益 は損 害 との 対 蹟 的 な 概 念 で あ る。 責 任 負 担 な る事 実 が そ の ま ま損 害 と 認 め られ る の は 、 そ の 責 任 負担 と帳消 し.にされ るべ き利 益(現 存 財 産 お よび 将 来 取 得 確 実 な 財 産 に お け る利 益 〉 が 存 在 す る か らな の で あ って 、.その よ う な条 件 を 無 視 して 、.責任 負 担 自 体 そ の ま ま損 害 で あ る こ とを 意 味 す る も の で は な い. 以...ヒ の 田 辺 康 平 博1=の 見解 に対 し、 本 論 文 は 異 な る.立場 を と って い る。 す な わ ち 、利 益 は 損 害 の 正 反 対 の 概 念 で は な く、 利 益 は 損 害 の 前 提 と な る概 念 で あ る。 責 任 保 険 に お い て は、 損 害 賠 償 責 任 負 担 に よ って 消 極 財 産 が 生 じる こ と、 い わ ば全 財 産 関 係 の マ イナ ス化 とい う こ. とが 損 害 な の で あ る1,本 論 文 の 立場 で は 、 損 害 発 生 の 可能 性 が あ る と い う こ とが 利 益 が 存 在 す る こ と で あ っ て 、田辺 康 平 博 士 が い わ れ る よ うな 帳 消 しに され るべ き利 益 を 必 要 と しな い 。 そ して 、 損 害 賠 償 責 任 負 担 は 、 保 険事 故 の 発 生.に も とづ き法 律 の 規 定 ま た は 契 約 に よ る もの で あ っ て 、 法 的 な概 念 で あ る一 方 、 損 害 賠 償 責 任 負 担 に よ る消 極 財 産 の 発 生 が 損 害 で あ るの で 、 経 済 的 な概 念 で あ る と もい え る。 した が っ て 、 損 害 賠 償 責 任 負 担 に よ っ て消 極 財 産 が 生 じる とい う損 害 が 発 生 す る可 能 性 を 責 任 保 険 に お け る被 保 険 利 益 と解 す る こ とが で きる 。 ③....搬の責 任 保 険 に は保 険 価 額 が 存 在 しな い 。 責 任 保 険 は 損 害 賠 償 責 任 を負 担 す る こ と に よ り被 る損 害 を て ん 補 す る も の で あ るが 、 保 険 者 も被 保 険者 も、 事 故 が 発 生 す る ま で は 、 い く らの 損 害 を賠 償 しな けれ ば な らな い σ)か、 損 害 の 最 高 額 が 不 明 で あ る、 被 保 険 利 益 の 額 を あ らか じめ 評 価 す る こ と は不 可能 で あ る。 した が っ て 、 責 任 保 険 に は保 険価 額 は 存 在 しな い。 被 保 険 利 益 は存 在 す るが 、..一 ・ 部保 険 、 超 過 保 険 、 重 複 保 険 を判 断 す る基 準 と して の機 能 を い とな む も の で は な い 。. 6.新. 価 保 険 に お.ける 被 保 険 利 益. 第6章. で は 、 新 価 保 険 に お け る被 保 険利 益 につ い て 検 討 し、 こ れ を4つ に類 型 化 して 論 じ. て い る。 (1>減 価 条 件 が あ っ て、 再 築 ・再 取 得 条 件 を要 求 しな い もの一 価 額 協 定 保 険 特 約 、 契 約 締 結 時 に保 険金 支 払 基 準 が選 択 で き る保 険 (2)減 価 条 件 と再 築 ・再 取 得 条 件 と もに 要 求 す る もの 一 新 価 保 険 特 約 (3)減 価 条 件 は な く、 再 築 ・再 取 得 条 件 だ け を 要 求 す る もの一 機 械 保 険 (4)特 殊 な減 価 条 件 と再 築 ・蒔取 得 条 件 を要 求 す る もの 一 自動 車 保 険 の 車 両 新 価 保 険 特 約 まず 、(1>の. 価 額 協 定 保 険 特 約 お よび 契 約 締 結 時 に 保 険 金 支 払 基 準 が 選 択 で き る保 険 に お. け る被 保 険 利 益 に つ い て は 、①.単一 利 益 説 、 ② 複 合 利 益 説、 ③ 最 近 の ドイ ツの 判 例 お よ び .見 解 、 ④ 消 耗 危 険 説 、⑤ 主 観 主 義 ・相 対T的. 見.方説 、 ⑥ 定 頷 保 険 説 、 ⑦ 経 済 必 要 充 足 説 等 、. こ れ ま で に新 価 保 険 の 法 的構 造 に つ い て論 じ ら れ た 学 説 ・.見解 を検 討 した 後 、 つ ぎ の よ うに 結 論 づ け て い る。. ̀L34. 一.

(15) 『 被保 険利 益の 地位 と機 能 の今 日的A.. ① 保 険 の 目的 物 の 所 有 者 と して の 所 有 者 利 益 の 中 に 含 まれ る使 用 利 益 に の 使 用 利 益 を 機 能 価 値 に よ って 評 価 す る〉 を 被 保 険 利 益 とす る物 保 険 で あ る。 ② 機 能 価 値 とは 、 継 続 使 用 財 を所 有 ・使 用 す る こ とに よ っ て 経 済 生 活 を営 む う えで 欲 求 を 充 足 させ る力.、効 用 で あ る 。 ③ 機 能 価 値 は 不 変 で は な い が 、 使 用 期 悶 中 ほ ぼ 同 水 準 を保 つ もの と推 定 す る.損 耗 が著 し い程 度 に達 す る まで は 同種 の 新 品 と ほぼ 同 等 の 価 値 を有 して い る とい え る。 ④ 現 実 面 で の 目的 物 の 経 済 生 活 に お け る機 能(効. 用)を. 回復 させ る た め に は 代 替 物 を再 調. 達 し な け れ ば な らな い 。 この 代 替 費 用 が この種 の 新 価 保 険 の 保 険 価 額 を 決 め る尺 度 と な る。 ④ 機 能 価 値 の 厳 密 な 算 定 は 困 難 で あ るの で 、 前 述 ④ の 経 済 生 活 に お け る実 態 を考 慮 し、 再 調 達 価 額 を保 険 価 額 とす る評 価 済 保 険 の 要 素 を含 ん だ 特 約 で あ る。 本 論 文 は 、 この 種 の 新 価 保 険 に お け る被 保 険 利 益 を機 能 価 値 の面 か ら評 価 す る立 場 を と っ て い る ため 、 復 旧 を行 わ ず に 現 金 を.取得 した と して も、 被 保 険者 は 居 住 建 物 の 機 能 価 値 を犠 牲 に して 現 金 を取 得 した の で あ るか ら不 当利 得 に な らな い も の と考 え る。 な お、 全 損 の 場 合 は損 害 保 険 金 の ほ か に 損 害 保 険 金 の10%に. 相 当 す る 額 が 特 別 費 用 保 険 金 と して 支 払 わ れ る が 、. 特 別 費 用 保 険 金 は段 階 的 定 額 給 付 で あ る の で 、 被 保 険 利 益 は 存 在 しな い と 解 して い る。 (2)の 新 価 保 険 特 約 に つ い て は 、所 有 者 利 益 の 時 価 額 につ い て の 物 保 険 とい う積 極 保 険 と 新 旧弟 額 につ い て の 費 用 保 険 とい う消 極 保 険 とが 結 合 され た保 険 で あ る と解 して い る 。 (3)の 機 械 保 険 につ い て は、 復 旧 義 務 が あ る こ と か ら、 時 価 額 につ い て は 物 保 険 と い う積 極 保 険 と、 新 旧 差 額 に つ い て の 費 用 保 険 とい う消 極 保 険 と が 結 合 され た保 険 で あ る と解 して い る。 (4)の 自 動 車 保 険 の.車両 新 価 保 険 特 約 につ い て は 、 火 災 保 険 の 新 価 保 険 特 約 と同 様 、 所 有 者利 益 の 時 価 額 につ い て の 物 保 険 と い う積 極 保 険 と、 新 旧差 額 につ い て の 費 用 保 険 と い う消 極 保 険 と が 結 合 され た保 険 で あ る と解 して い る。. 7.生. 命 保 険 にお け る被 保 険利 益. 第7章. で は、 生 命 保 険 の 被 保 険 利 益 ぱ存 在 しな い とす る 説{生 命 保 険 に も被 保 険 利 益 が 存. 在 す る とす.る説 、 生 命 保 険 に広 義 の 被 保 険 利 益 が 存 在 す る とす る 説 をそ れ ぞ れ 検 討 し、 本 論 文 は以 下 の よ うに結 論 づ けて い る。. 生 命 保 険 は 、 人 的 利 益 の 侵害 に備 え る制 度 で あ るが 、 人 間 の 身体 ・,i:命な らび に経 済 生 活 力 等 に つ い て 、 どれ だ け の 損 害 が 発 生 す る か を 事 前 に.Y測 す る こ とは 不 可能 に 近 い し、 そ の 事後 に つ い て も金 銭 的 評 価 は 不 可 能 で あ る の で 、 商 法 は保 険 金 額 をい く ら に定 め る か に つ い て保 険 契 約 の 当 事.者の 自 由 な 半梱1に ゆ だね た の で あ り、 被 保 険 利 益 の 存 在 を積 極 的 に 要 求 し て い な い 。 した が って 、被 保 険 利 益 の観 念 を認 め る 余 地 が な い の で 、保 険 価 額 の 観 念 もな く、. 一235一.

(16) 1被保 険利 益 の 地位 と機 能の 今 日的意 義」. も ち ろ ん 一..部 保 険 、 超 過 保 険 、 重 複 保 険 な どの 観 念 もな い 。. 8.わ. が 国 の 損 害保 険 商 品 にお け る被 保 険 利 益. 第sで. は 、 保 険:者が 、 社 会 的 要 請 に した が っ て、 業 務 の 健 全 ・適 切 な運 営 を お しすす め 、. 保 険 契 約 者 ・被 保 険 者 の た め に 被 保 険利 益 を 認 識 した営 業 活 動 ・業 務 活 動 を遂 行 す る こ とに 資 す るべ く、 す で に 論 述 した 貢 任 保 険 、 新 価 保 険 を除 い た 損 害 保 険 の 全 保 険 種 目 に お け る被 保 険利 益 につ い て 考察 をす す め て い る。 (1)損 害 保 険 が 多 様 化 され 、 基 本 保 険 商 品 お よび 基 本 保 険 商 品 に付 け加 え て 契 約 す る特 約 の 数 が増 え る と と も に 被 保 険 利 益 が 複 合 化 して きた こ と が保 険 金 不 払 い 問 題 が 生 じた 要 因 の1つ に な っ た の で は な い か 。 (2)保 険 契 約 の締 結 に 際 して 、 保 険 者 お よび 保 険 契 約 者 が締 結 す る保 険 商 品 の 被 保 険利 益 に つ いて 明 白 に 認 識 して い な い の で は な い か 。 (3)保 険 事 故 が 発生 した 際 、 保 険 者 の保 険 金 支 払 部 門 が複 雑 化 した保 険 商 品 の 被 保 険 利 益 を適 確 に理 解 し、発 生 し た損 害 が い か な る種 類 の 損 害 で あ る の か 、い か な る額(範. 囲). の 損害 で あ るの か な どに つ い て 適 確 に理 解 して い る か, .r.Aeの問題 意 識 に も とづ き、① 被 保 険利 益 を分 類 し、種 類 別 の 被 保 険利 益 につ い て 考 察 し、 ② そ の 後 、 で き る だ け 多 くの 損 害 保 険 商 品 を取 り..Eげて 、 保 険種 目別 お よび 特 約 別 に ど の よ うな 被 保 険 利 益 が存 在 す る の か を明 らか に して い る 。. 9.被. 保 険 利益 の地 位 と機 能 の 今 日的意 義. 第9章. で は、 ま ず(1)被. 保 険 利 益 概 念 の 生 成 ・発 展 の 歴 史 過 程 を 通 じて 被 保 険 利 益 の 地. 位 と機 能 の 伝 統 的 意 義 を 考 察 し、 さ ら に(2)被. 保 険利 益 の機 能 的 限 界 に 関 す る 論 議 お よび. (3>公 序 良 俗 論 と被 保 険利 益 との 関 係 を検 討 して い る。 そ の 後(4)広 して 考 察 し、 さ らに(5)わ. 義 の被保 険利益 に関. が 国 の 損 害 保 険 商 品 に お け る被 保 険 利 益 の 種 類 と 認 識 す べ き側. 面 を 検 討 し、 む す び と して 、 つ ぎの5項. 翼 に つ き被 保 険利 益 の 地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 を明. らか に して い る。 (1)被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 伝 統 的意 義 は 今aで. も生 きて い る. ① 被保険利益の地位 葡. 被 保 険 利 益 は 損 害 保 険 契 約 の 本 質 的 な要 素 で あ る。. 回. 被 保 険 利 益 は損 害 保 険 契 約 のU的. で あ る危 険 負 担 給 付 の 要 素 で あ り、 その 本 質 的. 内 容 と さ.れる. Dj責. 任 保 険 等 の い わ ゆ る消 極 保 険 に お いて も、 被 保 険利 益 は存 在 す る,,. ② 被保険利益の機能 〔 イ}保 険 契 約 と賭 博 と を[X別 す るの に 役 立 つ と 同 時 に 道 徳 的 危 険 の#rP止お よび 超 過 保. 一236一.

(17) 『 被保 険利 益 の地位 と機 能 の 今 目的意 義』. 険 を防 止 で き る 。 また 、 利 得 の生 じる 可能 性 を事 前 に 排 除 で き る。 (ロ}保 険 者 の て ん 補 す べ き保 険 金 の 最 高 限 度 額 お よ び超 過 保 険 ・一 部 保 険 を 判 定 す る 基 準 と な る。 ま た 、利 得 禁1ヒの 具 体 的 確 認 の 基 準 とな る。 P!保. 険 契 約 の 同 一 性 認 識 の 基 準 と な る。 一 同 一.一 のN的. につ き複 数 の 保 険 契 約 を 可. 能 な ら しめ る。 (2)被 保 険 利 益 は保 険 業 法(施 行 令 ・施 行 規 則 ・監 督 指 針 を含 む 〉 の実 践 面 で 以 下 の 三 つ の重 要 な 役 割 を果 た して い る。 ① 保 険 業 法 のN的(保. 険 業 法 の 基 本 理 念)面. 被 保 険 利 益 が 有 す る機 能 、 す な わ ち、(イ}保 険 契 約 の 賭 博 か らの 峻 別 、(ロ)道徳 的 危 険 の 抑 止 、㈲ 利 得 の 生 じる 可能 性 の 事 前 排 除 、h利 (t;超 過 保 険 の 防 止 、(N保. 得 禁 止 の 具 体 的確 認 の 基 準 、. 険金支払 いの基 準等の機能 は、保険業法 の基本理 念で あ. る 、 保 険 業 の 公 共性 、 保 険 契 約 者 の 保 護 、 国 民 生 活 と国民 経 済 の 安 定 お よび 発 展 の 確 保 の 実 現 を図 る こ とに 有 効 に働 い て い る。 ② 保 険業 の 参 入規 制 面 (4:「 保 険 業 」 の 定 義 、 回 事 業 の 免r.、 の 各 面 に お い て 、 被 保 険利 益 は 、 損 害 保 険 定 義 の 内 容 の 柱 とな る と同 時 に 損 害 保 険 業 免許 審 査 内容 の1つ. に な っ て い る。. ③ 商 品 開 発 、 約 款 ・料 率 改 訂 等 の 規 制 面 保 険 商 品 審 査 一Lの留 意 点 で あ る〔 イ〕保 障 ま た は補 償 の 内 容 、 回 商 品 名 称 、 囚 危 険 選 択 、(⇒ 告 知 項u、(t;免. 責 事 由 、(N保. 険 金 額 ・保 険 期 間 ・契 約 年 齢 範 囲 の 各. 面 に お い て 、 被 保 険 利 益 は、 前 述 ① の 面 に お け る〔 イ}一 囚. と同 じ機 能 が 有 効 に 働. い て い る。 (3>保 険 会 社 の 保 険 商 品 開 発 ・保 険 商 品販 売 ・保 険 金 支 払 い の 各 面 に お け る健 全 ・適 切 な運 営 の 実 践 理 念 の1つ が 被 保 険 利 益 で あ る, (4)リ ス クマ ネジ メ ン トの 危 険 処 理 計 画 面 に お い て 被 保 険利 益 が 有 効 に機 能 す る もの で ある、 (5)被 保 険 利 益 は損 害 保 険 と隣 接 金 融 商 品 と を 区 別 す る 標 識 と して の 役 割 を果 た して い る。. 10,結. 論. [お わ りに 」 に お い て 、 被 保 険 利 益 は 損 害 保 険 契 約 の 目的 で あ る危 険 負担 給 付 の 要 素 で あ り、 機 能 的 に は、 賭 博 との 峻 別 、 道 徳 的 危 険 の 抑 止 、 利 得 禁 止 の 具 体 的 確 認 の 基 準 、 同 一性 認 識 の 基 準 等 の 機 能 を い と なん で い るの で 、 被 保 険 利 益 の 地 位 と機 能 の 伝 統 的 な 意 義 は 今 日 で も生 きて い る と重 ね て 強 調 して い る,さ. ら に、 被 保 険 利 益 が 保 険 業 法 の 実 践 面 で 果 た して. い る役 割 、 保 険 会 社 の 保 険 商 品 開 発 等 の 各面 に お い て 健 全 ・適 切 な 運 営 の 柱 の..つ と して 活. 237一.

(18) 「被保 険利 益 の地 位 と機 能 の今 日的意 義」. 動 して い る役 割 、 リス ク マ ネ ジ メ ン トの 面 に お い て 果 た して い る機 能 、 損 害 保 険 と隣接 金 融 商 品 との 区 別 の 標 識 と して の 役 割 が 、 被 保 険利 益 の地 位 と機 能 の 今 日的 意 義 で あ る と結 ん で い る。. 皿. 審 査 結 果 の要 鷺. 本 論 文 の 審 査 結 果 は 、 大 要 以.下の と お りで あ る。. 1.本. 論 文 の長 所. (1)被 保 険 利 益 論 は、 現 代 の 保 険学 界 に お い て は、 す で に 考 え られ る学 説 が 出 尽 く して お り、 一 般 的 に は 解 決 済 み と と ら え られ て い る。 に もか か わ らず 、 あ えて 正 面 か らこの テ ー マ を取 り上 げ 、 世 界 的 ・歴 史 的 に 諸 学 説 を渉 猟 し、検 証 し直 し た学 問 的 姿 勢 と この 研 究 に投 じ た エ ネ ル ギ ーの 多量 さに は、 大 い に 敬 服 させ られ る。 (2)被 保 険 利 益 概 念 の 生成 ・発 展 に 関 わ る諸 学 説 を よ く分 析.・検 討 し、伝 統 的 な 論 点 につ い て の 議 論 を整 理 しつ つ 、 自説 を踏 ま えて 逐.一批 判 ・論 評 を加 え て お り、 この 分 野 に関 す る 総 合 的 ・包 括 的 な 論 文 に な っ て い る.被 保 険利 益 学 説 史 の 研 究 に 稗 益 す る と こ ろ が大 き く、 保 険法 を研 究 す る者 に と つ て興 味 あ る有 益.な資 料 に な る もの と評 価 で き る。 (3)「 損 害 て ん 補 」、 「 利 得 禁 止 原.則i、 「 利 益 」、 「損 害 」 等 の 保 険 論 に お け る基 本 的f114[1に 関 し、.歴史 上 錯 綜 して 展 開 され て きた 諸 概 念 を実 に丹 念 に.分析 ・整 理 して お り、 学 問 的 基 礎 作 業 へ の 貢 献 大 な る もの が あ る 。 (4)わ が 国 の 損 害 保 険 商 品 の 数 多 くの 保 険 種 目 に お け る被 保 険利 益 に 関 して膨 大 な量 と種 類 の 約 款 を分 析 し、 各 種 損 害 保 険 商 品 に お け る被 保 険 利 益 を明 確 に した こ とは 、 後 継 の 研 究 者 に とっ て 貴 重 な 資 料 と な る と思 わ れ る。 (5)(4)と. の 関 連 に お い て 、 被 保 険利 益 は、 保 険inn開. 発 お よ び 販 売 、 な らび に 保 険 金 支. 払 い の 各 段 階 に お け る実 践 理 念 の 一つ で あ り.、保 険.者お よ び 保 険 契 約 者 が 被 保 険利 益 につ き 明確 な 認 識 を有 し な い と種 々 の 問題(た. と えば保 険.V不 払 い 〉 がff̲ずる とい う、 実 務 経 験 に. 裏づ け られ た著 者 の 問 題 意 識 か ら出 発 し、 保 険 者 ・保 険契 約 者 が 被 保 険 利 益 に つ き明 確 な認 識 を 持 つ よ う促 す べ く、個.々の 保 険 商 品 につ き被 保 険 利 益 が 何 で あ る か に つ い て 体 系 的 整i を行 っ て い る点 に お い て 、 問 題 意 識 と記 述 内容 の.・貫 性 が 見 られ る 。. 2.本. 論 文 の短 所. (i)被 保 険 利 益 に 関 す る伝 統 的 な 論 点 につ き、 政 策 論 ・実 質 論 が 期 待 され る場 面 で 、 条 文 の 文言 を根 拠 と す る形 式 的 な 議 論 を展 開 して.いる き らい が あ る。. 一238一.

(19) 『 被保 険利 益 の地位 と機 能 の 今R的 意義i. (2)本 論 文 は 、 新保 険 法 の 内 容 に は ふ れ な い と断 っ た う えで 、 これ ま で の 法 規 制 ・学 説 ・ 実 務 を研 究 対 象 と して い る。 確 か に 、 新 保 険 法 は ま だ施 行 され て は い な い が 、 本 論 文 が 被 保 険 利 益 の 今[的. 意 義 の 考 察 を通 じて 広 く保 険 制 度 全 般 を論 じ、 世 に 提 言 を 試 み よ う とす る も. の で あ る以 上 、 若干 な り と も研 究 の 幅 を広 げ て 、 学 界 ・実 務 界 が ま さ に現 在 こ ぞ っ て 研 究 に 着 手 し発言 して い る この 新 保 険 法 に つ い て何 らか の 意 見 を述 べ て も らい た か っ た 。こ の 点 は 、 将 来 の研 究 継 続 に期 待 した い。 (3)本 論 文 で は 、 近 年 世 聞 の 耳 目 を 集 め て きた 保 険.会社 の 保 険G不. 払 い 問 題 に 関 し、 そ の. 原i*aの一 つ と して 被 保 険 利 益 の 何 た る か を業 界 に お いて よ く認 識 して い な か っ た点 を 指 摘 し て い る。 しか し、 この 点 の 論 証 が 多少 平 板 で 薄 弱 で は な い か との 感 想 を禁 じ得 な い。 保 険 業 界 に お け る歴 史 的 な大 問 題 で あ っ た 不 払 い 問 題 を 論 じる な らば 、 も う少 しそ の 根 本 的 な 理 由 を摘 示 した う えで 、 そ れ と被 保 険 利 益 の 認 識 不 足 との つ な が り を論 証 して も らい た か っ た と 思 う。 (4)本 論 文 は 、 あ ま り に広 範 囲 に わ た る 多 く の 問 題 を扱 っ て い る た め に、 論 点 に よ っ て は 論 述 に息 切 れ が 生 じて し まい 、も う少 し深 く論 究 して も らい た か っ た と思 わ れ る 部 分 が あ る。. 3.結. 論. 本 論 文 に は 以..Lのよ う な長 所 と短 所 が あ るが 、長 所 に 比 べ れ ば そ の短 所 は微 々 た る も の で あ り、 本 論 文 の価 値 を い さ さか も損 な う もの で は な い 。 本論文提 出者. 藤 田 仁 は 、1956年3月. 東 京 火 災海..r保 険株 式 会 社(現. に早 稲m大. 学 第..一 法 学 部 を 卒 .業し、1司年4月. あ い お い 損 害 保 険 株 式 会 社)に. に大. 入.社、41歳 で取 締 役 に 就 任 、. そ の 後 、 常 務 取 締 役 、 代 表 取 締 役 専 務 、 常 勤 監 査 役 等 の 要 職 に 就 き 、2000年6月. に退 社 、44. 年 間 に わ た り損 害 保 険 会 社 の業 務 運 営 ・経 営 に携 わ っ た.こ の 間 、 日本 保 険 学 会 の 機 関 誌 で あ る 「保 険 学 雑 誌 』、 損 害 保 険 に 関 す る高 度 の 専 門 書 「 損 害 保 険 研 究1、 有 斐 閣 の 「別 冊 ジ ュ リ.スト損 害 保 険 判 例 百 巡 、 早 稲 田 大 学 産 業 経 営 研 究 所 刊 『1経 著 書 に お い てii編. 営 」 そ の他 の 専 門 誌 ・共. 以 上 の 論 文 を 発 表 す る と と も に 、 日本 保 険 学 会 に お い て3度 の 研 究 報 告. を行 っ て い る 。 この うち 『 損 害 保 険 研 究 』 に 掲 載 され た.1篇 は 東 京 海 ヒ各 務 記 念 財 団 の 各務 奨 励 賞 を受 賞 す るな ど 、 いず れ の 研 究 論文 もそ の 質 の 高 さに お い て 高 く評 価 され て い る。 本 xc OM.文は そ う した 長 年 の成 果 を踏 ま え た う えで 、 「被 保 険 利 益 の 地 位 とtRinCの.今日的 意 義 」 を 論 述 した も の で あ り、 わ が 国 の 学 界 お よ び 実 務 界 に 対 して 貢 献 で き る.貴重 な成 果 とな るで あ ろ ケ、 以.上の 審 査 結 果 に 基 づ き、 本 論 文 提 出 者. 藤 田 仁 は 「博..f:(商 学)上IL稲 田 大 学 」 の 学 位. を受 け る..}一 分 な 資格 が あ る と認 め る もの で あ る。. 一̀L39一.

(20) 『 被保 険利 益の 地位 と機 能 の今 口的意 義』. 2009年12月9日. 審査 員 (主査)早. 稲田大学教授 日本 大 学 教授. 博 セ(商 学)早 稲 田 大 学. 大谷. 孝一. 法 学 博一t(早 稲 田 大 学 〉. 石山. 卓磨. 早 稲 田大 学 教 授 ・東京 大 学 名 誉 教 授 博士(法 早稲 田大 学 教授. 一240. 学)東. 京大学. 江:頭憲 治郎 椿. 弘次.

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