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第7章 総括

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Academic year: 2022

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第7章 総括

 以上、第一章から第六章にかけて、今後の X 線天文衛星打ち上げのミッションに向 けて行った撮像型TMCアレイの研究成果について述べてきた。

 第一章で述べたように、TMC のアレイ化技術は天文学分野において宇宙の進化の過 程を探る鍵となるデバイスとして注目されている。また、地上の分析装置としての期 待も高まっており、冷凍機の開発や応用研究と共に、製品化を目指した研究開発が行 われている。

 著者が第三章で論じたように、TMC の開発はノイズ対策そのものであるといっても 過言ではない。本研究では、最初の一年で X 線の検出に成功してから、目標として定 めた 10eV のエネルギー分解能を実験的に示すまで、実に 5 年を要した。著者がその 時間の中で行ってきた研究の大半は成膜やエッチング条件の最適化であり、検討のほ とんどはエネルギー分解能を「良くする」ための技術ではなく「悪くしない」ための 技術である。その中でも単素子 TMC の開発には多くの時間を要した。しかし、その 成果は確実にアレイ化を実現する過程を早めた。

 TMC の開発の効率を上げるには、とにかく良質な TES を得ることである。完全に アレイ化やピクセルの形成工程がエネルギー分解能を制限してしまう状況を作り出す ことが理想である。

 また、第四章では大面積化技術について論じた。電析を用いた X 線吸収体の一括形 成手法について、残された課題は2つである。一つは、TES との界面をどれだけ清浄 に維持できるかという課題であり、もう一つは超伝導材料に特有の準粒子の寿命をい かに短くするかという課題である。

 また、高度なアレイを達成する手段として本研究で検討した超伝導フィードスルー 構造は、今すぐにでも実装が待たれるという技術ではない。しかし、著者はこの技術 について、将来的に大規模なアレイを実現するためには一つの選択肢となる技術であ り、重要なものであると考えている。

 第五章、第六章では培ってきたアレイ化技術の検討を経て、実際に 2x2 の TMC ア レイを製作した。Sn-TMCからBi-TMCへの変更は非常に速やかに行うことができた。

これは、プロセスの完成度を高めていた成果である。蒸着法で同様の構造を検討して いる研究グループもあるが、電析の利点は生成される膜の種類や構造を柔軟に制御で き る 点 で あ る 。 結 論 と し て 、Bi-TMC ア レ イ 素 子 を 用 い て エ ネ ル ギ ー 分 解 能 [email protected]を実験的に示した。また、この時用いたTESは吸収体のない状態で6.3eV のエネルギー分解能を達成している。

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 本研究で開発した TMC アレイの優れている点は、210mK という高い動作温度で高 エネルギー分解能を実現したことである。開発の進んでいる 100mK 超級のヘリウムフ リー希釈冷凍機との相性は極めてよいと考えられる。つまり、Bi-TMC は天文学応用 だけでなく、高エネルギー分解能のエネルギー分散型 X 線分光分析装置としても期待 できる性能を有している。

 また、TMC は、ナノ領域の不純物検出や元素分析などのほか、生体分子の質量分析 など、広い分野で応用が期待されている。本研究で開発した技術が宇宙の進化という 壮大なテーマに挑む天文学のささやかな手助けとなり、地上ではより微小な世界の探 求に貢献できれば素晴らしいことであると考えている。

参照

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