総括結論 第7章 第7章 総括結論
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(2) 第7章. 総括結論. 本論文の結論であるが、以下各章に分けて示す。. 第1章「本研究の位置づけと基本概念」では、資源循環の考え方と資源循環型社 会の必要性を示し、その対策の現状を示した。日本の物質バランスにおける循環利 用は 11%であり、産業廃棄物等の再使用・再生利用率は 38%で、多くが減量化や 最終処分にまわっている。建設廃棄物の産業廃棄物に占める割合は 18%であり、 産業のうち第三位である。 不法投棄量に関しては平成 14 年度で 6 割を占めている。 建設廃棄物の再資源化率は平成 7 年の 57%から平成 17 年の 87%へ大きく改善が 進んでいるが、コンクリートなどの特定建設資材の占める割合が大きく、混合廃棄 物はその量は減少しているが再資源化率は低く留まっている。一方、住宅分野に関 する建設廃棄物の再資源化に関するデータは非常に少ない。試算で住宅由来の建設 廃棄物の再資源化率が低いことを示し、対策が進んでいないことを明らかにした。 また、日本の資源循環に関する既存研究や施策についてまとめ、その上で基本概念 となる資源循環型住宅について、リサイクルの優先順に沿った設計方針を示した。. 第 2 章「住宅の資源循環に関する現状分析」では、まず既存住宅のリフォーム・ 解体現場調査を4件行い、接着剤の使用が解体時にリサイクルを阻害する大きな要. 7-2.
(3) 因であることを明らかにした。次に既存住宅の仕様の変遷を独立行政法人都市再生 機構の住宅記録から調査し、新築着工現場等でも最新の仕様を調査した。その結果、 現状住宅ストックの仕様に関しては、昭和 50 年以降、仕上げ部位ではクロス貼り 仕様が中心となり、接着剤の使用が大幅に増えており、以後大きく変化していない ことを明らかにした。そこで、現場で素材ごとに分けられたかどうか混合廃棄物発 生量から測る分別解体率を設定し、モデル住宅平面に各年代の仕様を当てはめ、既 存住宅ストックの仕様分析を行った。結果として、現場での分別解体率の予測が 30 年代の 59%、40 年代の 57%と比べると、昭和 50 年代以降は 34%程度と大幅 に低下しており、時代とともに分別しにくい設計へ変化したことを明らかにした。 これらの調査・分析から、リサイクルを促進するには解体現場で混合廃棄物としな いことが重要であり、従って分別解体しやすい接合部設計が重要であることが分か った。このように、従来の対処的な対策に対し、設計の重要性を数字で示すことが 出来た。. 第 3 章「資源循環型内装システムの実証実験」では、都市型集合住宅の専有部と いう与条件で、資源循環型内装システムの実証実験を行った。集合住宅は長寿命化 の観点から構造と内装の分離、すなわちスケルトン・インフィル化が進みつつある。 構造に関しては、素材の種類も限られほとんどが建設リサイクル法対象の特定建設 資材であり、すでに資源循環が進んでいる。一方、内装については解体を想定した 設計の優先順位が低く、取り組みが遅れており、混合廃棄物の発生源となっている。 本章では、主体構造と切り離された内装について接着剤を全く使用しない乾式工法 とし、具体的には軸組を木材、壁・天井に未焼成セラミック板、床は木質フローリ ングを採用した。この資源循環型内装システムは分別解体率、再資源化率ともに非 常に高い値となるよう設計した。そこで、この内装仕様のモデルを従来型仕様のモ デルとともにコンクリートのスケルトンの中に試作し、解体・再築実験を行ってそ の効果を比較検討した。その結果、重量換算で 99%の分別解体が確認され、混合 廃棄物は 1%とほとんど出ず、設計時の性能を実測結果として確認することができ た。. 第 4 章「広域資源循環型住宅の実証実験」では、北九州市において、都市近郊型. 7-3.
(4) 戸建て住宅という与条件で実証実験を行った。北九州市は海側に大きな工業地帯を 有する産業都市であるが、近年は響灘エコタウンなど、工業素材のリサイクル産業 の育成に努めている。そこで、この工業素材の循環を広域資源循環系と位置づけ、 この循環系を活用した資源循環型住宅を広域資源循環型住宅として試作を行った。 試作住宅の全ての素材はマテリアルもしくはケミカルリサイクルできる工業素材 とし、分別可能な工法を採用、工場生産によるユニット化によりさらなる混合廃棄 物の抑制効果を目指した。構造には重量鉄骨、外装にアルミとガラス、内装にプラ スチックで完全リサイクルできるものを採用した。設計時の予測での資源循環性能 は、分別解体率が 98%、再資源化率が 87%となった。このモデル試作住宅の実際 に施工・解体・再築実験の結果、部材リユース率では予測分別解体率と同じ 98% (重量換算)を達成することができた。. 第 5 章「地域資源循環型住宅の実証実験」では、岐阜県各務原市に山間郊外型戸 建て住宅という与条件で実証実験を行った。岐阜県は木曽三川流域圏の中上流地域 であり、上流側に有数の木材産出地を有し、下流側に陶磁器用の土の産地が広がる。 これを流域圏における地域資源循環系と位置づけ、この循環系を活用した住宅を地 域資源循環型住宅として試作を行った。試作住宅の主な素材には岐阜県の地域産出 材を採用した。木造軸組構造にはヒノキ集成材、造作材はスギ無垢材、外装に焼成 セラミック、内装には未焼成セラミック板と和紙を採用し、地域資源活用率が重量 換算で 80%以上であり、有効な地域資源循環に寄与する。また地域資源を活用す れば、従来の他地域及び外国産の建材を使用する場合と比べ、ライフサイクルでの 輸送エネルギーも極めて少なくできることが分かり、地域循環の有効性について考 察を深めた。本試作住宅では運用を含めた広義の資源循環も指向し、施工後に建材 等の有効活用による運用負荷削減効果の実測も行い、地域にあった適切な運用方法 によって、年間運用エネルギーを大幅に削減できる可能性も示した。. 第 6 章「資源循環型住宅の設計手法」では、第 5 章までの調査分析・実証実験を もとに、資源循環型住宅の設計手法を整理した。まずこの設計手法においては、地 域的与条件や施主の要望など計画的与条件から基本プランを作成する。その後に、 資源循環型住宅の設計手順に当てはめて素材・接合部の選定をしていく。この設計. 7-4.
(5) 手順では、リサイクルの優先順位に従い、2 章において設定した分別解体率と、分 別解体率に素材別のリサイクル率をかけた再資源化率を資源循環性評価指標とし て、資源循環性の予測評価を行う。さらに各部材の更新年数を設定して資源循環量 を求め、目標値に合うまで設計修正を繰り返す。また、この評価値をもとに部材製 造に関わるエネルギー消費量・CO2 排出量削減効果を算出し、地球温暖化防止への 貢献度を測ることも可能である。これらの評価値を施主側に住宅性能表示として活 用することの可能性も提案した。. 本研究は、資源循環型社会における住宅のあり方を実証的に研究し、資源循環を 実現させるための設計手法を提示するものである。本研究の成果は、まず資源循環 型住宅の設計手法を、分別解体率・再資源化率等を資源循環評価指標として予測評 価を行いフィードバックができる設計手順として、整理したことである。また、こ の設計手法は、試作住宅の実証実験によって予測評価値が解体・再資源化の実測に おいて実証されるなど、実現の可能性が高いことが実証されている。また岐阜の試 作住宅では、地域に合った資源循環型住宅の設計についても、今後の方向性を示す ことができた。. 7-5.
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