イヌ蛔虫幼虫の電子顕微鏡学的研究: 横断面の超微 形態について
著者 小西 喜彦
著者別名 Konishi, Yoshihiko
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成6年7月
ページ 51
発行年 1994‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/15152
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学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博乙第1223号 平成5年4月21日 小西喜彦
イヌ蛆虫幼虫の電子顕微鏡学的研究 一横断面の超微形態について-
論文審査委員 主査 副査
教授 教授 助教授
中西 中沼 近藤
夫二至王功安力
内容の要旨および審査の結果の要旨
トキソカラ症の確定的な診断は,その病変組織中にトキソカラ属線虫幼虫を検出し,同定することによっ てなされる。現在においても,病理学的診断の主流を占めているが,幼虫虫体の詳細な形態,特に微細構 造についてはほとんど検討されていなかった。本論文においては,トキソカラ属線虫のうち,人体への感 染が最もよく知られているイヌ蛆虫幼虫について,その微細構造を走査型および透過型電子顕微鏡により 観察し,次のような結果を得た。
1.イヌ蛆虫幼虫頭部形態の走査型電子顕微鏡像では,双器の開孔部以外は成虫でみられるような3つの 唇,頭部感覚乳頭がみられなかった。しかし,横断面の透過型電子顕微鏡像からは,発育過程にあると 思われる唇,感覚乳頭及び双器,層板状複合構造がみられた。
2.神経環より上方部の横断面像では,十字状に食道を囲むように,極めて多数のミトコンドリアが集合 しており,幼虫の活動源として存在するものと思われた。
3.幼虫中央部横断面では,メガネ状を呈する大きな排泄細胞があり,細胞内は無数の小嚢胞により構成 されていて,中心部は小嚢胞を欠き,管状構造は認められなかった。消化器系においては,大きな消化 管細胞の断面像がみられ,まだ腸管は形成されていなかった。
4.尾部では消化管細胞と肛門の連絡はなく,生殖器原基とこの属の特徴であるファスミッドは,未分化 で観察できなかった。
5.角皮(0.29~0.39匹、)は外皮層(0.021m),内皮層(0.1Mm),均質皮層(0.08〃、),縞紋様層
(0.04匹、),基底層(OO9Jum)の5層からなり,それぞれの計測平均値は他の線虫幼虫とは異なって いた。
6.角皮の内側は,角皮下層と筋細胞の層とで構成され,筋細胞は2つの側索と背索,腹索で4区分され,
それぞれの区分内には8個の筋細胞がほぼ一列に並び,その細胞内には1209±54.6個の筋単繊維が縦 に伸びており,ブタ蛆虫幼虫のそれとは明らかに差があった。
以上の形態的特徴は,他蛆虫幼虫と異なりイヌ蛆虫幼虫の第Ⅱ期幼虫を明らかに示している。
本研究による断面像は,病理学的検索にあたって検出される虫体各部を,系統的に観察したものであっ て,イヌ蛆虫幼虫による幼虫移行症の電子顕微鏡を用いた鑑別診断の基礎資料として有益な労作であると 評価された。
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