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図-1 評価対象(数字は曲がり角度)

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Academic year: 2022

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(1)地下空間デザインにおける色と形の評価に関する考察(その 2) 山口大学大学院 学生会員 ○伊藤裕美子 福岡大学工学部 正会員. 今泉暁音. 山口大学大学院 正会員. 清水則一. 1.はじめに 地下空間を設計する際,力学的な安定性や施工性等の従来から重視 されてきた土木工学的な観点はもちろん,人々が地下に対して抱く心 理的,感性的な側面も考慮する必要がある.今泉 1), 2)は,力学的な観点 と感性的な観点を総合した地下空間デザイン手法を提案した.引き続 き本研究室では,地下空間を設計する際に活用できる色と形のイメー ジプロフィールの作成を目指し,色彩と形状が地下空間のイメージに どのような影響を与えるかについて検討している 3)- 5).本研究ではカー ブ(曲り角度)を加えた地下空間モデルの動画を用いアンケート調査 を行い,コレスポンデンス分析を適用し考察する.. 図-1 評価対象(数字は曲がり角度). 2.地下空間の色と形のアンケート調査 2.1 形と色の設定 本研究室におけるこれまでの研究 3), 4)では,矩形断面でカーブのな い直線の地下通路モデル(図-1(a) (b) )を使用していた.本研究で は実在する地下空間を参考に,地下通路にカーブを加えたモデル(c) (d)を作成し,アンケート調査に使用した.評価対象は,地下鉄駅 などから他施設へ連絡する店舗はない地下通路を想定した. モデル断面の形状は,形状 A(高さ H=6.0m,幅 W=4.0m,縦横比 H/W=6.0m/4.0m=1.5:縦長形状) ,B(H=4.0m,W=4.0m,H/W=1.0: 正方形) ,E(H=2.5m,W=8.0m,H/W=0.3:幅広形状)とし,色は, これまでの研究 3), 4)で用いられた 7 色のうち,暖色から赤みのだいだ い,黄,寒色から青紫,緑,無彩色の白の計 5 色,曲がり角度は 0°, 15°,30°とする.ここに,曲がり角度とは,地下通路モデルの入口方 向と出口方向のなす角である.断面形状 3 種類,色 5 色,曲がり角度 3 種類の組み合わせより,全 45 種類を評価対象とする(図-2) . 2.2 動画の作成とアンケートの実施 地下空間の評価のアンケート調査では,図-2 で設定した形と色を 変化させた地下通路を 15 秒の動画で表現し映写する. 「地 下空間内を歩行している」というイメージを再現するため に視野角度や速度を考慮し,空間内のスケールが把握でき るように外形を線で表した通行人をランダムに配置した. アンケートは,二項選択式アンケートを採用する.評価 形容詞は,参考文献 5)で用いた 55 種類とする(表-1). 2.1 で作成した曲がり角度 15°,30°の地下通路モデル全 30 種類の各動画に対し,55 種の評価形容詞について「そ. 図-2 評価対象 35 種類 表-1 評価形容詞 55 種類. 清潔な感じ. ダイナミックな 美しい. 動的な. 怖い. エレガントな. 安心な. 高い. 派手な. 地味な感じの. 低い. 華やかな. にぎやかな. 新鮮な. 広がりのある. フォーマルな. 伝統的な. 不安定な. さわやかな. 印象的な. 陽気な. 興奮した. 不快な. さっぱりした. 親しみやすい. 悲しい感じの. 安定した. やさしさのある 神秘的な. 落ち着いた. 静的な. 元気な感じの. あたたかい. 洗練された. 安全な. 上品な. おとなしい. 楽しい. 崇高な. 窮屈な. 明るい. くらい. ロマンチックな 冷静な. 快適な. クールな. 強さを感じる. 危険な. さびしい感じの 重厚な. しぶい. 野生的な. クラシックな. 生き生きした. しみじみした.

(2) う思う」 「そう思わない」の二項選択で回答を求めた(被験者 18 人).また,曲がり角度 0°の地下通路モデルに関しては,今泉ら 5). により得られたアンケート結果を用いた.. 2.3 アンケート結果と分析 本研究では,アンケートの集計結果にコレスポンデンス分析 を適用し,イメージプロフィールを作成する.コレスポンデン ス分析とは,名義変数間の関係を多次元空間に散布図の形で表. 表-2 形容詞の各次元の得点(上位下位 5 項目) 活動性(次元1) あたたかい 生き生きした 元気な感じの 陽気な. 清潔な感じ フォーマルな さっぱっりした さわやかな. メージプロフィール)で表し,視覚 的に分かりやすく表現することが. クールな おとなしい 神秘的な 冷静な 崇高な 静的な 地味な感じの. できる. 分析結果より得られた,各次元の 得点(表-2)より,次元 1 を活動性, 次元 2 を評価性,次元 3 を空間性と. さびしい感じ. 名付ける.評価対象,形容詞の次元. くらい. 0.263 -0.145. 不快な さびしい感じの 悲しい感じの. -0.900 不快な -0.946 動的な -1.082 興奮した. -0.973 さわやかな -1.006 ダイナミックな -1.123 広がりのある. -0.191 -0.500 -1.140. くらい. -1.130 派手な. -1.126 低い. -2.113. 快適な 親しみやすい. やさしさのある 明るい. 活動性. 広がりのある. 楽しい. (次元 1). 重厚な 窮屈な. 生き生きとした 陽気な あたたかい 華やかな. 低い. 悲しい感じの. しぶい. 0.9. 評価性 (次元 2). 高い エレガントな. ロマンチックな しみじみした. の. 1.689 0.515 0.343 0.265. 0.624 派手な -0.968 フォーマルな. さっぱりした さわやかな 新鮮な 落ち着いた 安定した 安全な クラシックな 美しい 安心な 洗練された 上品な 伝統的な. と形容詞を 1 つの二次元平面図(イ. 高い 窮屈な 危険な 悲しい感じの. 0.929 新鮮な -0.885 野性的な. 清潔な感じ フォーマルな. り,評価対象である地下通路モデル. 空間性(次元3). 0.868 0.853 0.699 0.687. 興奮した 怖い. すための分析方法である.これによ. 得点より作成したイメージプロフ. 評価性(次元2). 1.210 1.024 0.983 0.956. 印象的な. ィールを図-3 に示す.横軸が活動. 元気な感じの. 性,縦軸が評価性を表している.. 強さを感じる ダイナミックな. 怖い. にぎやかな. 図-3 より,色ごとに評価対象が, 不安定な 危険な 不快な. 赤みのだいだい(活動性:+,評価 性:-),黄(活動性:+,評価性: +) ,白(活動性:0,評価性:+) , 緑(活動性:-,評価性:0 周辺),. 野性的な. 動的な 派手な. 1.2. 興奮した. 図-3 イメージプロフィール(活動性‐評価性). -1.2 1.3. 青紫(活動性:-,評価性:0 周辺)に固まっており,活動性,評価性共に色による影響を受けることが分か る.中でも,活動性は色の寒暖に,評価性は色の彩度に関係しており,黄の評価対象では快適と,青紫の評価 対象では不快と感じる傾向にある. 曲がり角度に注目すると,曲がり角度が 0°,15°,30°と増すにつれ,活動性,評価性ともに次元得点が低く なる傾向にある.これは,曲がり角度が増し,地下通路の出口が見えづらくなるにつれ,快適感・安心感が低 下するためであると考えられる.中でも,正方形(図-3 で黄色い枠)と白,黄の評価対象では,そのことが 顕著に表れている. 3.むすび 本研究では,地下空間を設計する際に活用するための色と形のイメージプロフィールを作成した.その結果, 色と形の変化による空間のイメージの違いや特徴を形容詞との関係を併せて表現することができた. 今後は,動画について表面の質感や形状に変化を加える等の改善,数多い評価形容詞の中から有効な形容詞 を選択することなど図っていきたい. <参考文献> 1) 今泉暁音,清水則一,櫻井春輔:感性と力学を総合した地下空間形状のデザインに関する研究,土木学会論文集,No.742/IV-60,pp.159-168,2003.9. 2) 今泉暁音,清水則一,櫻井春輔:力学的感度と感性アンケートによる地下空間の形状デザインに関する研究,土木学会論文集 F,Vol.66, No.2,pp.237-250,2010.4 3) 今泉暁音,向井かおり,増田美佳,清水則一:形と色と力学的な観点に基づく地下空間イメージの考察,地下空間シンポジウム論文・報告集,第 16 巻,pp.167-174, 2011.1 4) 今泉暁音,近江桃,向井かおり,清水則一:色と形が地下空間イメージに与える影響に関する考察,地下空間シンポジウム論文・報告集,第 17 巻,pp.51-56, 2012.1 5) A. Imaizumi, N. Shimizu and S. Sakurai: Underground space design - coupling human sensibility and mechanics, and an image profile of shape and color -, 13th World Conference of the Associated Research Centers for the Urban Underground Space, ACUUS, pp.160-169, 2012.11..

(3)

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