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Academic year: 2022

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表皮細胞における酸化ストレス保護を担う候補因子 の機能解析 : Syntaxin3とheparinoidの影響

著者 宇多 美規

URL http://hdl.handle.net/10236/00027981

(2)

2018年度 修士論文要旨

表皮細胞における酸化ストレス保護を担う候補因子の機能解析

―Syntaxin3とheparinoidの影響―

関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 平井研究室 宇多美規

皮膚は外界と接する数少ない器官であり、紫外線や異物侵入といった様々な外部刺激にさらされて いる。表皮は最下層の幹細胞が絶えず上層へ増殖・分化することで恒常性を維持しているが、皮膚 が紫外線等の影響で酸化ストレスを受けると、表皮細胞は細胞死もしくは増殖停止を引き起こす。

特に、CDK inhibitorであるp21の発現が上昇し、不可逆的に増殖が停止して細胞老化関連分泌形 質(SASP)がみられる状態を細胞老化という。本研究では、細胞死を抑制すると考えられている候 補因子に着目して解析を行った。当研究室の先行研究により、表皮角化細胞は UV 刺激で発生する 酸化ストレスによって細胞死へ向かうとSyntaxin family に属するSyntaxin 3 (Stx3)を放出し、

これが近接する細胞にapoptosis抵抗性を付与することが報告された。しかしながら、Stx3によっ て細胞死を逃れた表皮細胞の挙動や老化の有無についてはこれまで全く調べられていない。本研究 では、ヒト表皮角化細胞HaCaT細胞を用いて、Stx3によって酸化ストレスへの抵抗性を獲得した細 胞の状態を詳しく解析することを1つ目の目的とした。Syntaxin 3 を強制発現させた表皮細胞を 用いて、過酸化水素により誘導されるapoptosisが抑制されていることを確認した。また、その際 に細胞周期の中でもG2-M 期の細胞の割合が上昇しており、細胞老化に関わっているp21の発現量 が上昇していることから、細胞死を逃れて細胞老化が誘導されている可能性が考えられた。このこ

とから、Syntaxin 3は活性酸素に対する細胞死を逃れて細胞増殖の停止を誘導することで、細胞を

保護する可能性が示唆された。また、グリコサミノグリカン (GAG)の一種である Chondroitin

sulfateもcaspase 3の活性を調節することで細胞死を抑制することが報告されている。本研究で

はChondroitin sulfateを基盤として化学的に硫酸基が付加されたheparinoidを用いて、酸化ス トレスに対する細胞の挙動を詳しく解析することを 2 つ目の目的とした。Heparinoidを HaCaT 細 胞に作用させると、過酸化水素による apoptosis を抑制したことから、酸化ストレスに対して heparinoid はChondroitin sulfate と同様の効果を示すことが示唆された。さらに、細胞周期は G2-M 期で停止しているにも関わらず p21 の発現量に変化がみられなかったことから、heparinoid

(3)

は活性酸素による細胞死を逃れさせて、細胞老化ではなく、細胞増殖の一時的な停止を誘導して細 胞を保護する可能性が考えられる。

参照

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