• 検索結果がありません。

三重地域ケア体制整備調査研究事業報告書_06.indd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "三重地域ケア体制整備調査研究事業報告書_06.indd"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

三重県が目指す

地域ケアのカタチ

第2章

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(2)

第2章 三重県が目指す地域ケアのカタチ

~三重県が目指しているのは、“2025 年・2035 年を見据えた地域ケアの確立”~ 三重県健康福祉部長寿社会室 地域ケアの推進が言われて久しい。 2005(平成 17)年の介護保険改革では、介護保険法に地域ケア・地域包括ケアの概念が 盛り込まれ、2006(平成 18)年度からは、市町村に地域ケアの推進の中核機関としての地 域包括支援センターを設置することが義務づけられたが、その後も大きな状況の変化は ないというのが関係者の偽らざる認識であろう。 2008(平成 20)年の年初に官邸に設置された「社会保障国民会議」は、社会保障改革の 目的について、これまでの「持続可能性の確保」一辺倒から「社会保障の機能強化」へ の転換を打ち出し、医療・介護分野では、地域ケア・地域包括ケアを推進していく方針 を示したが、これも裏を返せば、地域ケアが進んでいないことを示している。 我が国の高齢者ケアの歴史を振り返ると、老人医療費の無料化以降、介護サービスの 提供基盤の整備の遅れもあり、高齢者の入院・入所ニーズは、ほぼ病院で受け止めてき た。 しかし、高齢者にとって一番大切なことは、日常性、生活の継続性であり、病院は、 その性格上、管理性が強く、そこに日常性、生活の視点はなかった。国際的にみて、病 院形態で高齢者ケアを行っているのは異例である。疾病構造の変化の中、糖尿病・高血 圧・認知症等の複数の慢性疾患を持ち、医療と介護の両方のニーズを持つ高齢者の特性 を考えれば、高齢者の支援は、医師・看護師・介護職の連携で、これまでの生活の継続 性を重視しながら“生活の場”で行っていくことが必要である。“治療の場”であるべき はずの病院では、治療やリハビリテーションといった病院にしかできないものに限定し、 治療が終われば、“生活の場”でこれまでの生活を継続しながら暮らすことが高齢者にと って望ましいのである。 一方、立ち遅れていた介護サービスの提供基盤については、特別養護老人ホームを中 心に整備が進められてきたが、大規模集約型や人里から離れた隔離型の施設ばかりで、 ここにも、高齢者にとって一番大切な日常性、生活の継続性がなかった。 つまり、これまでの日本では、医療・介護サービスを受ける必要が生じれば“生活の 場”を離れ、これまでの生活を捨てなければならなかったのである。もちろん、専門性 の高いサービスを濃厚に受け続けなければならない場合はやむを得ないところであるが、 そうでなければ、自分の慣れ親しんだ空間の中で自分の生活リズムを刻んでもらうこと が、高齢者にとって望ましいことである。 この“生活の場”であるが、もちろん、自宅が最も望ましいのであろうが、一人暮ら し高齢者・認知症高齢者の増加なども考えれば、自宅での生活の継続が無理な場合は、 地域における住まいの環境の中でこれまでの生活の継続性に特に配慮しながら、いわば 擬似日常性を作って支えていくことも必要となっている。 病院・大規模施設でのケアから決別し、住み慣れた自宅や地域で高齢者を支えていく という“地域ケア”への転換は、このような論理の帰結であり、諸外国の動向とも一致 する。

(3)

“地域ケア”とは、なかなか一言では言い表せない。視点や立場によっても違ってく るし、そもそも定義することに伴う弊害もあろう。 社会保障国民会議の報告書等では、「医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた 様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地 域での体制」と定義されている。しかし、日常生活の場における医療・介護・福祉の連 携だけで片付けられるのだろうか。 これまでの病院・大規模施設でのケアから決別が“地域ケア”である。まずは、医療 機能を急性期・回復期・療養期と分化・連携させ、介護へつなぐことが求められる。そ して、介護施設も、大規模集約型や隔離型から、地域生活に密着した施設となることが 求められる。さらに、高齢者の地域生活を支えるために、これまで病院・施設が果たし てきた 365 日 24 時間の安心の機能を地域に用意することが求められていると考えるべき ではないだろうか。 これまで病院・施設が果たしてきた機能とは、具体的には「住まい」・「見守り」・「食 事」・「医療」・「介護」に分かれ、公共交通網が発達していない地域では、地域生活上、「移 動」も重要な機能であると考える。三重県健康福祉部長寿社会室は、地域で豊かに老い ていけることができるよう、これらの安心を確保することを目指してきたのである。 急性期医療 回復期リハビリ 老人保健施設 地域連携クリティカルパスの普及 退院時ケアカンファレンスの普及 在宅医療・看護・介護の連携 回復期リハの量的拡大 老健の機能強化 地域での暮らし 施設の自宅化(個室・ユニットケア) ・地域の多機能化 (小規模・多機能・地域密着) 地域福祉の厚み

三重県が目指す地域ケアのイメージ

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(4)

Ⅰ 急性期から維持期への流れをスムーズにするための県の取組と地域の取組事例 ■ 急性期と回復期の連携(三重県統一の脳卒中地域連携クリティカルパスの導入) 急性期と回復期の連携を図り、これらの流れをスムーズにするため、地域連携クリテ ィカルパスの普及を図ることが求められる。 地域連携クリティカルパスとは、地域の医療機関をつなぐ治療計画書のことで、患者 や関係する医療機関で共有することにより、効率的で質の高い医療の提供と患者の安心 につながるものである。現在、大腿骨頸部骨折と脳卒中の2つの疾患について、診療報 酬上、評価されている。 脳卒中については、2007(平成 19)年に三重県脳卒中医療福祉連携懇話会を立ち上げ、 三重県統一の地域連携クリティカルパスを作成するとともに、脳卒中がどのような病気 なのかや、病後の流れなどについて分かりやすく説明した冊子を作成したところである。 2008(平成 20)年 3 月に策定した三重県保健医療計画においても、県内に9つの脳卒中 医療連携圏域を設定し、その全圏域での地域連携クリティカルパスの導入を目標として 掲げている。既に一部で地域連携クリティカルパスが導入されているが、今後、多くの 医療機関で連携が進み、全圏域で導入が進むよう、県としては、引き続き、地域連携ク リティカルパスの普及を図っていく。また、現在のパスは回復期までとなっているが、 これを維持期までつなげていくことが必要である。 ・小山田記念温泉病院 ・主体会病院 ・富田浜病院 ・みたき総合病院 ・菰野厚生病院 ・ヨナハ病院 ・花の丘病院 ・榊原温泉病院 ・大西病院 ・済生会明和病院 ◎県立総合医療センター ◎市立四日市病院 ・藤田保健衛生大学 七栗サナトリウム ◎済生会松阪総合病院 ◎松阪中央総合病院 ・塩川病院 ・亀山市立医療センター ◎鈴鹿中央総合病院 ◎三重大学医学部 附属病院 ◎桑名市民病院 ※三重社会保険事務局届出状況(H21.3.18現在)による。

脳卒中地域連携クリティカルパスの導入状況

◎計画管理病院(急性期病院) ・連携医療機関(回復期病院)

(5)

今回、脳卒中の地域連携について、クリティカルパスの運用状況を含め、計画管理病 院の立場から、報告をいただいた。 1「脳卒中患者への医療・介護・福祉の連携強化に向けて~三重脳卒中医療連携研究 会設立までの経緯と展望~」 三重脳卒中医療連携研究会 松阪中央総合病院リハビリテーション科 太田喜久夫 2「脳卒中クリティカルパスの運用状況~計画管理病院の立場から~」 市立四日市病院神経内科・リハビリテーション科 家田俊明

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(6)

■ 回復期リハビリテーションの充実 急性期から回復期への流れをスムーズにするためには、地域連携クリティカルパスと いったツールを活用することももちろん大事な点であるが、そもそも受け皿となる回復 期リハビリテーション病棟が、一定程度、存在しなければ、連携も“絵に描いた餅”と なってしまう。 リハビリテーションを集中的に行う病棟である回復期リハビリテーションであるが、 県内の回復期リハビリテーションの病床数は、2006(平成 18)年 10 月現在 403 床で、人口 10 万人当たり 21.5 床と、全国平均の人口 10 万人当たり 30.8 床と比べると、非常に少な くなっていた。 このため、療養病床の再編に当たって、回復期リハビリテーション病棟への転換を促 進する等により、回復期リハビリテーション病棟の充実を進めてきた。この結果、2008(平 成 20)年 8 月現在、652 床、人口 10 万人当たり 34.8 床まで上昇したが、人口 10 万人当 たり 50 床が適正水準という主張もあり、県としては、引き続き、更なる量的充実を図る とともに、前述の地域連携クリティカルパスを普及すること等で、急性期病院等との連 携を促進していく。 全 国 平 均 三 重 10 0 山 梨 鳥 取 高 知 福 岡 大 分 鹿 児 島 沖 縄 34.8床 /10万人 まで上昇

療養病床再編を契機に

回復期リハビリテーションへの再編を促す

 県内の回復期リハビリテーションの病床数は、平成18年10月現在403床で、人口10万人当たり21.5床と、全国平 均の人口10万人当たり30.8床と比べると、極端に低かった。  人口10万人あたり50床が適正水準という主張もある(全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会)  このため、療養病床の再編に当たり、回復期リハビリテーション病棟への転換を促すとともに、急性期病院との 連携を図るための「三重県統一・地域連携クリティカルパス」を導入したところ。  平成20年8月現在では、652床、人口10万人当たり34.8床まで上昇。 100床/10万人 50床/10万人 今回、回復期リハビリテーションにおける取組について、報告をいただいた。 3「回復期リハビリテーションにおけるリハビリテーション」 藤田保健衛生大学七栗サナトリウム 岡本さやか、園田茂 4「回復期リハビリテーションにおけるリハビリテーション」 医療法人松徳会 松本隆史

(7)

■ 退院時ケアカンファレンスの普及 退院に際して、入院医療機関と地域のスタッフの連携・情報共有を促進するため、院 内で、病院側の担当医・看護師等と、患者・家族に加えて、在宅で対応する医師・看護 師・介護支援専門員等が担当者会議(ケアカンファレンス)を行った場合に、診療報酬・ 介護報酬で評価されている。 地域に戻った後には、医師・看護師・介護との連携を軸にした「地域での生活を支え る医療」が重要になってくるので、県としては、引き続き、退院時の情報共有が円滑に 進むよう支援していく。 ① 急性期病院 老人保健 施設 ③ 入所 回復期病院 ① 転院 入所 退院・転院時 ケアカンファレンス 退院時 ケアカンファレンス 退所時 ケアカンファレンス 居宅介護支 援事業者 ④ ③主治医 等に情報 提供 外来・在宅患者 ③退所に当たって、老人保健施設が主治医やケアマネジャーに診療情報を提供すること等を介護報酬上評価(500単位)。 ④退院・退所に当たって、病院・施設の職員と面談を行い、必要な情報提供を受けた上で、居宅サービス計画を作成した場合を評価。 診療報酬 介護報酬 ①病院がケアカンファレンスを開催し、患者に文書で情報提供することを評価(地域連携退院時共同指導料2)(※1) ②診療所医師が病院のケアカンファレンスに出席し、患者に文書で情報提供することを評価(地域連携退院時共同指導料1)(※2) 訪問看護事業所がケアカンファレンスに出席することを評価(訪問看護管理療養費の加算)(※1) ※1 出席した診療所が「在宅療養支援診療所」であれば、病院の指導料及び訪問看護の加算も高くなる。 ※2 診療所が「在宅療養支援診療所」であれば、高い共同指導料となる。 退所 診療所 ② 訪問看護 ステーション ② 退院 退院 ①在宅療養に関する文書情報提供 ②在宅療養に関する文書情報提供

ケアカンファレンスの普及

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(8)

居宅介護 支援事業者 介護支援専門員 (ケアマネジャー) 訪問看護ステーション 訪問看護師等 (准看護師除く) 薬剤師 歯科医 歯科衛生士 医師 & 看護師等 保険医療機関 在宅 入院 入院中の担当医 ・看護師等 患者 いずれか3者以上と 共同して退院指導 (ケアカンファレンス) した場合は更に評価(加算) 退院時共同指導料2 300点 (加算 2,000点) 退院時共同指導料1 1,000点(在宅療養支援 診療所)または600点 【歯科点数】 退院時共同指導料1 600点(在宅療養支援歯科 診療所)または300点 【調剤点数】 退院時 共同指導料 600点 【介護報酬】 退院・退所加算 400・600単位/月 【訪問看護療養費】 退院支援指導加算 6,000円

退院時における入院医療機関と地域のスタッフの連携推進

(ケアカンファレンスの普及促進)

退院に際して、入院医療機関と地域のスタッフの連携・情報共有を促進するため、院内で、病院側の担当医・看 護師等と、患者・家族に加えて、在宅で対応する医師・看護師・介護支援専門員(ケアマネジャー)等が担当者会 議(ケアカンファレンス)を行った場合に、診療報酬・介護報酬で評価。 今回、退院時ケアカンファレンスの取組、病診連携の取組、退院時における医療ソー シャルワーカー(MSW)の取組、病棟看護師と訪問看護師の連携による取組について、 報告をいただいた。 5「退院時ケアカンファレンス運用マニュアルについて」 四日市医師会 在宅医療推進委員会 加藤尚久 6「医師会における地域連携パス作成の取り組み」 四日市医師会 病診連携・かかりつけ医推進委員会 山中賢治 7「利用者本位の退院援助を目指して~カンファレンスとアセスメントシート の活用~」 鈴鹿中央総合病院 藪下茂樹 8「MSW が関わることによってマイナス要因を克服し自宅退院を実現した事例」 遠山病院 岩見緑 9「帰るべき地域を失った患者の支援と考察」 菰野厚生病院 山浦康孝 10「病院から在宅へ切れ目ないケアの提供を目指して~病棟看護師の同行訪問を行っ て~」 山田赤十字病院訪問看護ステーション 森田周子

(9)

■ 老人保健施設における在宅復帰支援と在宅生活支援 老人保健施設は、「終の棲家」である特別養護老人ホームとは異なる。適切なリハビリ テーションを行い、在宅復帰につなげる機能と、在宅サービスを行い、在宅生活を支援 する機能といった地域ケア推進に向けた重要な役割を担っている。しかしながら、今の 老人保健施設は、特養的運営がなされている、地域づくりができていないといった指摘 がある。 県としては、老人保健施設におけるリハビリテーションに関するデータの集積と、退 所後のケースカンファレンスを実施するモデルの老人保健施設を募集・設定し、老人保 健施設を中核に、介護支援専門員、地域包括支援センターその他の地域の社会資源との 連携を促進する事業を行っているところである。

老人保健施設の役割とは

在宅復帰

老人保健施設 在宅 急性期病院 回復期リハビリ病院 ケアハウス 有料老人ホーム グループホーム ミドルステイ リピート利用 訪問リハビリ 在宅 在宅 在宅 在宅 ショートステイ

在宅支援

デイケア

老 健

 老人保健施設は、「終の棲家」である特別養護老人ホームとは役割が異なる。  適切なリハビリテーションを行い、在宅復帰につなげる機能と、在宅サービスを行い、在宅生活を支援する機能 といった地域ケア推進に向けた重要な役割を担う。  これらの機能を評価する方向性が、今回の平成21年度介護報酬改定でも鮮明になった。

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(10)

老健を地域ケアの中核の一つへ

急性期病院 回復期リハ病院 地域・自宅 老健でどのようなリハビリテーショ ンを利用して、要介護度やADLの 維持・改善を図っているか 老人保健施設 老健を退所した人が、どのような介護 サービス、リハビリテーションを利用して、 要介護度やADLの維持・改善を図って いるか 地域包括支援センター等の 地域の社会資源 在宅復帰 在宅支援 地域での顔の見える関係づくり 連携 今回、モデル事業に取り組む 3 つの老人保健施設の取組と、療養病床から医療療養型 老人保健施設に転換を図った南島メディカルセンターの取組について、報告をいただい た。 11「老健における在宅復帰支援と在宅生活支援」 介護老人保健施設 いこいの森 東憲太郎 12「志摩市介護老人保健施設 志摩の里での取り組み」 志摩市介護老人保健施設 志摩の里 鈴木孝明 13「老健における在宅復帰支援と在宅生活支援~三重県最南端の老健きなん苑での取 り組み~」 老人保健施設 きなん苑 大久保豊 14「南島病院の南島メディカルセンターへの転換に伴う考察」 南島メディカルセンター 城亜弓 市川真理子 東亜希 厚生連本部 畑中寿美

(11)

Ⅱ 地域で豊かに老いていくための県の取組と地域の取組事例 ■ 住まい 自宅での生活の継続を困難にする要因の一つが「住まい」である。家屋の構造が生活 に適さず自宅に住み続けることが物理的に困難である場合や、買い物ができる場所や医 療機関が遠く一人暮らしや高齢者夫婦のみの世帯にとっては生活の継続が困難な場合等 がある。 地域で豊かに老いていくことができるためには、住宅のハード(バリアフリー化)の みならず、ソフト(介護や見守りのニーズへの対応など)を備え併せた、「住まい」が重 要になる。また、住まい自体の問題のみならず、住まい周辺の生活環境も重要となって くる。 近年、相次いで、「住生活基本法」・「高齢者の居住の安定確保に関する法律」といった 法体系が整備されてきたが、今後、法の趣旨に則り、地域ごとに具体的な取組を重ねて いくことが求められる。そして、住まいの形態にかかわらず、必要な医療・介護サービ スが提供されることが必要となる。 北欧では「社会保障は住まいに始まり、住まいに終わる」と言われている。我が国は、 これまで自宅か介護施設かといった二者択一しかなく、さらに介護施設は“収容施設” として多床室であった。 介護施設は、“生活の場”と言いながら、そこに生活はなく、管理性が強く、これでは、 「社会的入院」が「社会的入所」に変わったにすぎなかった。施設は、個室・ユニット 化し、そこで自宅と同じような生活をしてもらうことが必要と言える。

地域ケアと高齢者の住まいの関係

急性病変 急性期病床 一般病床 療養病床(医療) 特別養護老人ホーム 老人保健施設 認知症対応グループホーム 特定施設 等 シルバーハウジング 高齢者専用賃貸住宅 その他、高齢者のための住居 自宅 医療の必要性が高い 介護の必要性が高い 高齢者単独世 帯、老々世帯等 の 住まいの変 更 不足する高齢者 の住まい 必要な医療サービス (医療、看護、リハ等) を提供する 個室・ユニット化 の推進

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(12)

施設の自宅化・地域の多機能化

特定高齢者 元気高齢者

~住み慣れた地域でこれまでの生活習慣を維持しながら暮らし続ける~

要支援 要介護者 小規模・多機能・地域密着 施設の自宅化 自宅 通い 泊まり 訪問

地域が舞台

地域が舞台

お互い さま 助け合い 支えあい 多世代交流 小規模・多機能・地域密着 大規模・集団処遇・多床室 人里離れた隔離施設 施設機能の地域展開 個室・ユニットケア 今回、住まいへの取組について、ユニットケアを含め、報告をいただいた。 15「住まいの取り組み」 社会福祉法人青山里会 近藤辰比古 紀平雅司 16「ユニットケアへの取り組み」 社会福祉法人弘仁会 世古口緑 17「ユニットケアへの取り組み」 社会福祉法人永甲会 清家忠男 戸板謙次 18「住宅改修について」 社会福祉法人 伊賀市社会福祉協議会 菊山絢子

(13)

■ 地域密着型介護の推進 長年住み続けてきた地域には、友人がいたり、行きつけの場所があったりするのが当 然である。しかしながら、これまでの高齢者ケアは、ケア提供の場が病院・大規模施設 が中心であったこともあり、こうした時間的・空間的な生活の継続性や、高齢者が長年 地域で暮らしてきた中で培った社会的なつながりを維持することに必ずしも十分に配慮 をしてこなかったと言える。 自分の生活を主体的に考えたら、自分の暮らしに戻りたいのは当然のことである。そ れを端的に見せてくれたのが、認知症の方である。認知症の方は、施設に来ても、そこ が生活の場でないことが分かる。だから、徘徊などの周辺症状が出てくる。 そこで地域から離れない方法として、グループホームができてきたのである。 グループホームは、増加する認知症への対応として有効な選択肢の一つであり、今後 の高齢者ケアの核となっていくものである。 グループホームにおけるケアの方法は、日課表に基づく管理的な関わりではなく、高 齢者のそれまでの生活や個性を尊重しつつ、高齢者自身のペースでゆったりと安心して 過ごしてもらい、それに寄り添うものとなっている。そして、このケアの方法は、グル ープホーム以外でも展開されるべきものと言える。 また、2005(平成 17)年の介護保険法改正で新たに新設された小規模多機能型居宅介護 も、地域から離れさせない、そして、寄り添うケアを行うもので、介護保険以前から取 組がなされてきた、いわゆる宅老所的な取組がモデルとなっている。ここには、「地域密 着・小規模・多機能」で、高齢者の生活そのものをケアとして組み立ていこうとする取 組がある。小規模多機能型居宅介護は、決して居住施設ではなく、自宅を基点に地域生 活を支えるものと考える。

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(14)

認知症ケア・リハビリテーションの歴史

年代 制度・事業等 ケアの方向性 1970 高齢化社会への入り口 老人医療の無料化 ケアなきケアの時代、問題対処型ケア (言葉で縛る、体を縛る、薬で縛る) 1980 老人病院の急増 大規模特養の整備 提供者側本位のケアの時代 1990 グループホーム・ 宅老所誕生 利用者本位のケアの始まり 本人の生活・暮らしを大切にするケア 2000 介護保険制度の導入 認知症へ名称変更 特養も、ユニット型や小規模 の地域密着型へ 利用者本位のケアの時代へ いつでもどこでも普通に暮らす支援へ 2006 地域包括支援センター 小規模多機能型居宅介護 認知症短期集中リハビリ 本人が地域の中で自分らしく暮らし続ける 支援へ 認知症を改善させる時代へ 今回、グループホーム・小規模多機能の取組について報告をいただいた。 19「認知症と認知症グループホームの役割」 三重県グループホーム連絡協議会 玉田浩一 20「小規模多機能型居宅介護事業について」 社会福祉法人洗心福祉会 水野健史 21「社会福祉法人の地域貢献事業と小規模多機能型居宅介護事業について」 社会福祉法人さくら福祉会 久野美文 津谷真帆

(15)

■ 在宅医療・看護・介護の連携 疾病構造の変化の中、糖尿病・高血圧・認知症等の複数の慢性疾患を持ち、医療と介 護の両方のニーズを持つ高齢者(特に、後期高齢者)の特性を考えれば、高齢者の日常 の生活支援は、①医師、②看護師、③介護職の連携で、これまでの生活習慣を維持しな がら、「生活の場」で行うことが必要である。 全国の多くの地域の実践事例が示しているように、十分な在宅支援に取り組む医療が あり、そして地域全体で高齢者の生活支援を行うことができる地域であれば、要医療・ 要介護度の高い高齢者であっても、最期まで地域(在宅)で暮らすことができるのであ る。 2006(平成 18)年度に導入された在宅療養支援診療所は、24 時間の医療・看護体制、 急変時の緊急入院体制、介護支援専門員を始めとする介護との連携、終末期の看取りと いった点が要件となっている。 2008(平成 20)年 8 月現在、県内では 134 箇所の在宅療養支援診療所が届けられている が、地域における在宅療養患者への支援体制を確立するため、在宅療養支援診療所の一 層の整備促進が必要である。また、在宅療養支援診療所の届出はしたものの、在宅での 看取りや、訪問看護ステーション・介護支援専門員等との協働・連携がシステムとして 確立されていない診療所が多いという指摘もある。 一方、訪問看護ステーションであるが、現在、1 事業所当たりの従事者数は少なく、経 営規模も小さくなっている。このため、我が国は諸外国と比べ、訪問看護の供給量は不 十分で、在宅における看取り件数が少ないことにもつながっていると指摘されている。 三重県の訪問看護ステーションの従事者数及び事業者数は、人口当たりでほぼ全国平 均水準であるものの、介護保険制度導入後、事業者数は伸び悩んでおり、サービス量も 全国平均を下回る状況である。 最も問題なのは、介護である。介護保険の導入後、サービス量は増大したものの、今 後は質がより求められる。 現在の介護支援専門員は、実務に就いている者の大半が介護職出身となっており、医 療の知識が乏しい上、主治医との関係の構築に苦労している現状にある。 また、ケアプランも利用者・家族の要望を取り込むだけのいわゆる「御用聞き」プラ ンが多く、自立支援に向けた有効なプランを作成できていないといった問題がある。そ して、提供されるサービスをみても、「お預かり介護」となっており、こちらも自立支援 に向けた有効なケア・リハになっていない現状にある。 介護保険制度では、ケアマネジメントと多職種連携が制度化されたわけであるが、い まだ現場は実効性のある取組ができていないのが大半であり、サービス量の拡大のみな らず、サービスの質の向上に向けた取組が欠かせない。 県としても、在宅医療の推進、訪問看護の供給量拡大に向けたネットワーク化の推進、 介護支援専門員の資質向上などに取り組んでいくが、地域において個別事例の成功体験 を積み重ね、在宅医療・看護・介護のネットワークを作り上げていくことが望まれる。

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(16)

12 11 27 1 35 7 1 18 1 3 3 3 3 2 4 3 0 5 10 15 20 25 30 35 40

充実が求められる在宅療養支援診療所

9.0件 40.9件 11,532件 全国 7.2件 31.1件 134件 三重県 人口10万人 当たり 65歳以上人 口10万人あ たり 在宅支援診 療所数 平成18年度の診療報酬改定で導入されたもの。 在宅医療を提供している患者からの連絡を24時間体制で受けることができ、いつでも往診・訪問看護を提供できる 診療所のこと。また、症状が急変した際の緊急入院体制・終末期の看取りの体制も整えておくことが求められる。 現在、県内で134か所の登録があるが、質量、共に充実が必要。 (在宅療養支援診療所の主な要件) ・24時間の連絡体制 ・24時間の往診 ・24時間の訪問看護 ・緊急入院の体制確保 ・介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携 ・在宅看取り数の報告 在宅療養支援診療所数は、WAMNET調べ(平成20年8月現在) 人口及び65歳以上人口は「年齢別人口(平成20年10月1日現在)」(三重県政策部統計室)による 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 訪問介護 訪問入浴 訪問看護 訪問リハ 居宅療養 通所介護 通所リハ 短期入所 短期療養老健 短期療養医療 用具貸与 用具購入 住宅改修 ケアプラン 全国計 三重県 ※ 介護保険事業状況報告 平成19年度年報より (「給付費/第1号被保険者数」を全国を1とした場合の値) ※ 特定入所者介護サービス費、高額介護サービス費除く。

三重県は訪問看護・訪問リハの供給量拡大が必要

● 1人当たり給付費でみて、三重県は訪問看護・訪問リハなどの医療系サービスの供給量が全国平均を下回る。

(17)

その他・無回答 8% 医療関係 29% 介護関係 63% 平成20年度介護支援専門員更新研修 職種 合格者1) 従事者2) 人数 441,521人 102,099人 看護系 37.8% 29.0% 福祉系※1 38.2% 52.2% その他 29.0% 18.8% 居宅で療養している者の支援のためには、利用者の心身や家族の状況等に応じてケアプランを作成する必要がある が、現在ケアマネジャーとして従事している者のうち、看護系のケアマネジャーは29.0%、福祉系のケアマネージャー は52.2%と福祉系の従事者の方が多い。 出典: 1)平成19年厚生労働省老健局調べ。 2)平成19年老人保健健康増進等事業「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員業務の実態に関する調査」報告書 ※1 福祉系:介護福祉士、社会福祉士

ケアマネジャーの現状

三重県において、介護支援専門員証の有効期間 の更新のため、更新研修を受講したケアマネ ジャーは介護福祉士・ヘルパー等が5割を超える

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(18)

今回、在宅医療、訪問看護・リハ、訪問介護、医療依存度の高い者への対応、ケアマ ネジャー支援、地域リハビリテーションの取組について、報告をいただいた。 22「在宅療養支援診療所の取り組み」 千里クリニック 東憲太郎 23「在宅療養支援診療所の推進」 坂倉ペインクリニック 坂倉究 24「看取りが急増する時代に向け、在宅療養支援診療所に求められる役割」 いせ在宅医療クリニック 遠藤太久郎 25「住み慣れた自宅での療養生活をチームで支える訪問看護~自宅での療養と生活を 支える看護・リハビリテーション・介護~」 訪問看護ステーション「ナーシングホームもも」 伊藤隆浩 刀根奈穂子 福本美 津子 26「訪問看護から在宅医療を考える」 訪問看護ステーション「コスモス」 森本千代 27「患者の『食べたい』、家族の『食べさせたい』の熱意と医療チームの連携が重度嚥 下障害患者の摂食や ADL の改善につながった一例」 いなべ総合病院 山田謹子 いなべ訪問看護ステーションのぞみ 守山浩子 28「夜間対応型訪問介護事業」 社会福祉法人洗心福祉会 水野健史 29「療養通所介護の取り組み」 三重県看護協会 ナーシングヒルなでしこ 中津佳子 藤波惠子 田中まり子 30「単独ユニット型短期入所生活介護施設 医療依存度の高い在宅療養者を受けいれ て <ふれあい>…<やすらぎ>…<気づき>~そのひと時のくらしを育むすまい~」 医療法人富田浜病院 鈴木廣子 31「地域ケア推進に向けた四日市市保健所の取り組み」 四日市市健康部 長坂裕二 32「地域包括支援センターによる医療連携に向けたケアマネジャー支援」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 小川美枝 33「地域包括支援センターによる医療連携に向けたケアマネジャー支援」 松阪市第一地域包括支援センター 青木浩乃 34「地域包括支援センターによる医療連携に向けてのケアマネジャー支援」 三重県介護支援専門員協会 原田重樹 35「ケアマネジャーからみた医療連携」 津久居地域包括支援センター 倉田理 36「中勢地区での地域リハビリテーション」 藤田保健衛生大学七栗サナトリウム 園田茂 37「リハビリテーションスタッフの連携」 松阪・多気地区リハビリテーション連絡協議会 木村圭祐 大西恵美子

(19)

■ 地域福祉 地域で豊かに老いていくためには、医療サービスや介護サービスだけでは足りない。 まず、「食」の問題がある。「食」は、人が生活する上で欠かすことができない営みの 一つである。 また、買い物をするにも、病院へ通院するにも、「足」の問題がある。公共交通網が発 達していない地域では、「移動」も地域に用意しなければならない重要な機能である。 さらに、地域の高齢者をどう地域で見守り、支えるか、成年後見・権利擁護を含めて、 365 日 24 時間の地域生活の安心を支える「地域福祉の“厚み”」が求められる。 本人の困り事は多様である。①電球の取り替え・ゴミ出し・通知の代読などといった 公的な制度外のニーズ、②制度の谷間・対象とならない者への対応、③要介護の親と障 がいのある者がいる世帯への対応など、複合的なニーズ、④虐待・孤立死・徘徊死・悪 質商法被害・引きこもり・ゴミ屋敷など、地域における多様な生活課題、⑤防災・防犯、 などが考えられる。 かつては地域社会の日常生活の中で解決できていた諸課題であろうが、では現在にお いて、これらの課題に対して、すべて公的サービスで対応できるかといえば、それは不 可能である。 基本的なニーズは公的サービス(フォーマルサービス)で対応すべきであるものの、 あらゆるニーズを全て、税・保険料を財源とする公的サービスでカバーすることには限 界がある。税・保険料が高負担になるおそれがあるほか、多種多様なニーズがあり、そ もそも公的サービスで賄うのが適当ではないものもある。公的であるが故に持つ一定の 制約と制度の枠が存在するわけであり、公的サービスでカバーされない部分は必ず存在 する。このカバーされない部分を解決する仕組みを地域に持つことが必要となるのであ る。この意味で、地域ケアを考える上では、公的サービス以外のサービス(=インフォ ーマルサービス)も必要と言える。 また、このインフォーマルサービスを支えるのは、住民相互、ボランティア、NPO、自 治会・町内会、PTA・子ども会、老人クラブ等による活動である。住民共通の利益のため に、住民だけでなく多様な民間主体が担い手となり、これらと行政とが協働しながら、 従来行政が担ってきた活動に加え、きめ細かな活動により地域の生活課題を解決する、 という意味で、地域ごとに、“絆”をベースとした“新しい公”を創出するものと言える。 地域での新たな支え合い(共助)が広がっていくことは重要なことであるが、行政の 役割はいささかも減るものではない。行政は、公的サービスを適切に運営し、必要なサ ービスを住民に提供するとともに、「支え合い」(共助)を各地域で芽生えさせ、育んで いくための、第一歩となる“仕掛け”を用意することが求められる。

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(20)

住民と共に

支える

地域の役に立ちたい と思う住民 制度の 守備範囲

本人の困り事

~地域での生活課題~

●制度外のニーズ(電球取り替え、ゴミ出しなど) ●制度の谷間・対象とならない者への対応 ●複合的なニーズ (要介護の親と障害のある子、など) ●地域における多様な課題 (虐待、孤立死、徘徊死、悪質商法被害、 引きこもり、ゴミ屋敷など) ●防災・防犯

インフォーマル

サービス

本人の困り事(地域での生活課題)は、制度でカバーできないものがある。 一人暮らしの高齢者の増加などを踏まえれば、この制度でカバーされない部分を解決する仕組みを地域に持つことが 必要。 一方、地域住民も地域の役に立ちたいと思っている方が多いが、具体的に何をやったらいいかが分からないといった 課題がある。

地域生活を支えるためには公的サービス以外も必要

共助(地域での支え合い) 自助 情報の共有 専門サービスへ の「つなぎ」 声なき声を早期 に拾う (活動)=住民主体。生活課題への自発的対応 ●身近な相談・見守り・声かけ ●ボランティア活動 ●グループ援助活動 (担い手) 住民相互 ボランティア NPO(公的な福祉サービスの事 業者にもなりうる。) 自治会・町内会 PTA・子ども会 老人クラブ など コミュニティソーシャルワーカー (コーディネーター) 本人の困り事 ~地域での生活課題~ 多種多様なニーズ ●制度外のニーズ(電球取り替え、ゴミ出しなど) ●制度の谷間にある者への対応 ●複合的なニーズ(要介護の親と障害のある子、など) ●地域で生活している人にしか見えないニーズ(虐待、 孤立死、徘徊死、悪質商法被害、引きこもり、ゴミ屋敷、 など) ●防災・防犯 (担い手) 市町 専門家 事業者 (活動)=福祉課題への制度サービスによる専門 的対応 ●介護保険法に基づく介護サービス ●障害者自立支援法に基づく障害者福祉サービス など 公的なサービスによる専門的な対 応を必要とするニーズ ●要介護の高齢者 ●障害者自立支援給付の対象となる障害者 など ●家族・親族による支援 ●友人・知人による支援 ●市場サービスの購入

地域での新たな支え合い(共助)の全体像

 地域での支え合いが、有効に機能するためには、①「声なき声」であることが多い「困り事」を早期に拾える仕組 みがあること、②住民主体の自発的対応を行う組織体が形成されていること、③公的サービスへ繋ぐ必要があ る場合に適切に繋げるネットワークがあること、④全体を束ねるコーディネーターが存在すること等が必要。 公助 ⇒住民共通の利益のために、住民だけでなく多様な民間主体が担い手となり、これらと行政とが協働しながら、従 来行政が担ってきた活動に加え、きめ細かな活動により地域の生活課題を解決する、という意味で、地域ごと に、“絆”をベースとした“新しい公”を創出するものと言える。

(21)

【事前調整】 ・区域における交通の状況把握 ・移動制約者の状況把握 ・地元NPO等の動向把握 ・委員の選定 【申請書案受付】(該当市町) ・ガイドライン、公示に基づき審査 【協力依頼書の発出】(該当市町) ・協議結果に基づき市長村長名で発出 【事前調整】 ・国との連絡調整 ・市町との連絡調整 ・設置単位の圏域割り ・運営マニュアル、要綱案の策定 ・特定任意講習等の調整 【各地区運営協議会への参画】 ・オブザーバーとして参画 【条件整備】 ・セダン型特区の申請

三重県では福祉有償運送の普及支援に注力

~県と市町で役割分担の上、全県を網羅する形で運営協議会設置~

<県> <市町> 【運営協議会事務連絡会議】 ・連絡会議の運営 ・各運営協議会間の統一性の確保 ・国への確認等 ・県域全体での課題への対応 【各地区運営協議会】(市町共同設置) ・地元NPO等との調整(広報、相談等) ・協議会の運営(委員の嘱託、日程調整等) ・申請書案受付 →(必要性、安全の確保等に係る方策等協 議) ・運行状況の定期的な確認

福祉有償運送普及促進支援事業

・福祉車両の新規購入 ・運転者にかかる認定講習の受講 ・運行管理責任者にかかる安全運転管理者研修等の受講       にかかる経費の一部を助成 ○安全の確保・利用者利便の確保  ・運転者要件(基本は二種免許・一種免許の場合は認定講習を修了していること)  ・福祉有償運送の実施に必要な自動車(福祉車両)の保有  ・運行管理体制、整備管理体制、事故処理体制の整備    等  福祉有償運送を実施するNPO等非営利法人の利用者の安全と利便を確保するための取組を財政的に支援することにより、福祉有 償運送の安全性・利便性の向上と継続的・安定的な提供を促し、要介護者・身体障害者等の移動制約者(他人の介助によらず移動す ることが困難で、かつ、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者)に対する移動手段を確保する。 遵守事項 登録

市町

  移 動 制 約 者 の 移 動 手 段 の 確 保   移 動 制 約 者 の 自 立 支 援 ・ 社 会 参 加 の 促 進 だ れ も が 元 気 に 輝 き な が ら 暮 ら せ る                     地 域 社 会 の 実 現

県 福祉有償運送普及促進事業補助金 助成 自家用有償旅客運送者(NPO等非営利法人) 福祉有償運送の継続的・安定的 な提供

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(22)

今回、広義の意味の「地域福祉」に関して、「食」「移動」も含め幅広く報告をいただ いた。 38「『食』は命の源」 社会福祉法人富田浜福祉会 鈴木廣子 39「食事・配食サービス」 社会福祉法人青山里会 松本春美 40「わたらい緑清苑の食への取り組み」 わたらい緑清苑 井上鉦康 松井美典 41「移送サービスにおける御浜町での取り組みについて」 御浜町地域包括支援センター 西勉 42「過疎地における福祉有償運送の取り組みについて~地域の移動の確保に向け て~」 特定非営利活動法人まほろば 長野みち代 43「地域住民による支え合い~志摩市あんしん見守りネットワーク~」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 浦口鎮男 44「地域住民による支え合い」 社会福祉法人菰野町社会福祉協議会 福田雅文 45「地域住民による支え合い」 東員町生活福祉部長寿福祉課 中川賢 46「地域住民による支え合いの仕組みづくり 名張市の取り組み~まちの保健室の整 備・運営~」 名張市地域包括支援センター 北森祥子 47「福祉教育の新しい視座による地域福祉計画がめざす 30 年後の地域福祉の展望」 社会福祉法人伊賀市社会福祉協議会 乾光哉 48「総合的な権利擁護への取り組み」 社会福祉法人伊賀市社会福祉協議会 田邊寿 49「成年後見、地域福祉権利擁護事業、保証機能~菰野町社会福祉協議会の取り組み の一例~」 社会福祉法人菰野町社会福祉協議会 福田雅文 50「高齢者虐待防止・対応」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 51「成年後見制度利用支援及び市長申立て」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 52「悪徳商法対策、伊賀相談ネットワーク、やすらぎ支援事業、伊賀見守り支援事業 について」 社会福祉法人伊賀市社会福祉協議会 奥田誠二 53「孤立化防止に向けての取り組み」 社会福祉法人青山里会 藤井法子 54「社会福祉法人の地域貢献事業」 社会福祉法人青山里会 堀尾栄 55「『ちょっとお話しませんか?』から始まる私の介護相談員活動」 四日市市介護相談員 坂本凉子 56「地域福祉活動としての音楽療法~伊賀音楽療法研究会 10 年のあゆみ~」 社会福祉法人伊賀市社会福祉協議会 吉田文江 57「養護者支援」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 58「在宅介護者支援の取り組み」 いなべ市在宅介護者家族の会「だいふくの会」 池田秀夫

(23)

Ⅲ 認知症総合対策:県の取組と地域の取組事例 75 歳以上高齢者の増加で懸念されるのが認知症である。認知症高齢者は、2005(平成 17)年現在、169 万人、65 歳人口比率で 6.7%と推計されている。年齢が高くなると出現 率が急増するため、高齢化の進行で認知症高齢者の急増が予想される。また、要介護認 定者のおおよそ 2 人に 1 人に認知症状がみられ、認知症対策を抜きに介護問題を語るこ とはできない。 我が国の認知症対策であるが、専門医療を提供する医師の不足や、診断手法・治療法 の未確立もあり、これまでは、介護サービスの提供を中心とする対応が行われてきた。 しかし、近年、PET や SPECT といったコンピューター診断システムの開発・改良が図ら れ、診断技術は格段に向上するとともに、アルツハイマーの進行を遅らせる薬の開発も 進んだ。そして、なにより、認知症は病気である。 こうした点を踏まえれば、これからの認知症対策は、介護サービスのみならず、本人 や家族、かかりつけ医等の気づきを早期の確定診断につなげることを出発点として、的 確かつ包括的な療養方針を策定し、医療と介護の密接な連携の下に適切なサービスを提 供することに転換を図ることが必要である。 県としても、2008(平成 20)年度から、介護サービスのみならず、総合的な対策を進め ているところである。認知症対策も、キーワードは、「地域」であり、介護のみならず、 「医療・インフォーマルの視点」である。 「交付金」を活用し、 地域密着型サービス の整備促進。 認知症ケアの確立 に向けて、各種の研 修を引き続き実施。 地域の認知症ケア に関わる者の多職種 共同研修・研究の実 施。 「交付金」を活用し、 地域密着型サービス の整備促進。 認知症ケアの確立 に向けて、各種の研 修を引き続き実施。 地域の認知症ケア に関わる者の多職種 共同研修・研究の実 施。 サポーター養成目標を 2014年度末に6万人へと上 方修正し、取組を強化。小 中学校における認知症教 育も推進。 専門家が対応する「コー ルセンター」を設置し、相 談支援体制を強化。 サポーター養成目標を 2014年度末に6万人へと上 方修正し、取組を強化。小 中学校における認知症教 育も推進。 専門家が対応する「コー ルセンター」を設置し、相 談支援体制を強化。

認知症総合対策

予防可能な認知症が あることを知らない県民 が約7割。 認知症予防に取り組 む市町は少ない。 認知症予防の普及啓 発 「認知症サポーター養 成講座」や「みえ出前講 座」等で、認知症予防を 含めた認知症に関する 正しい理解の普及。 市町の認知症予防の 取組を支援(国のモデ ル事業の活用など)。 「認知症サポーター養 成講座」や「みえ出前講 座」等で、認知症予防を 含めた認知症に関する 正しい理解の普及。 市町の認知症予防の 取組を支援(国のモデ ル事業の活用など)。 予防 早めの気づき 日常の診断の中から、 認知症の疑いを発見す ることが重要となるが、 認知症を専門としない 医療関係者における認 知症の理解が不十分。 認知症の疑いがある 段階で、専門医療に早 期にアクセスし、早期の 確定診断につなぐ 地域密着型サービ スの供給量が不十分。 不適切なケアによる BPSDの悪化。 地域密着型サービ スの普及 適切な認知症ケア の普及 現 状 と 課 題 方 向 性 具 体 的 ア ク シ ョ ン 見守り・相談支援 認知症に関する正しい 理解の普及 認知症の人や家族に対 する相談支援体制の充実 2009年度末に1.5万人 の認知症サポーターの養 成を目標に掲げているが、 取組が遅れている。 認知症の人や家族に対 する相談体制が不十分。 主治医・かかりつけ医、 コメディカルの認知症対 応能力の向上(認知症 サポート医の養成、そ のサポート医と協働で、 主治医・かかりつけ医 等への研修を実施)。 健康教室などでの「物 忘れチェック」の普及促 進。 主治医・かかりつけ医、 コメディカルの認知症対 応能力の向上(認知症 サポート医の養成、そ のサポート医と協働で、 主治医・かかりつけ医 等への研修を実施)。 健康教室などでの「物 忘れチェック」の普及促 進。 これまでの認知症対策は、介護サービスの提供を中心とした対応。 これからの認知症対策は、予防を重視するとともに、本人や家族、かかりつけ医等の気づきを早期の確定診断につ なげることを出発点として、的確かつ包括的な療養方針を策定し、医療と介護の密接な連携の下に適切なサービスを 提供することに転換を図る。また、地域での見守り・相談支援を一層強化する。 これまでの認知症対策は、介護サービスの提供を中心とした対応。 これからの認知症対策は、予防を重視するとともに、本人や家族、かかりつけ医等の気づきを早期の確定診断につ なげることを出発点として、的確かつ包括的な療養方針を策定し、医療と介護の密接な連携の下に適切なサービスを 提供することに転換を図る。また、地域での見守り・相談支援を一層強化する。 医療 専門医療を担う医師・ 医療機関が不十分。 BPSDの適切な治療 が行われていない。 重篤な身体疾患の治 療が円滑でない。 認知症専門医療を担 う医療機関の整備 介護との連携 「老人性認知症セン ター」を「認知症疾患医 療センター」に改組し、 専門医療の充実と、介 護との連携強化。 認知症疾患医療セン ターの所在する市町の 地域包括支援センター には、「認知症連携担 当者」を配置。 「老人性認知症セン ター」を「認知症疾患医 療センター」に改組し、 専門医療の充実と、介 護との連携強化。 認知症疾患医療セン ターの所在する市町の 地域包括支援センター には、「認知症連携担 当者」を配置。 介護

第2章

三 重 県 が 目 指 す 地 域 ケ ア の カ タ チ

(24)

認知症 サポート医

認知症疾患医療センターと地域包括支援センターの連携

認知症疾患医療センター (全国150カ所) ○認知症専門医療の提供 ・ 鑑別診断 ・ 周辺症状の急性期対応 ・ 身体合併症対応 ・ かかりつけ医との連携 ○連携担当者(psw等)を配置 ・ 患者・家族への介護サービス情 報の提供、相談への対応 ・ 医療情報の提供等、介護サービ スとの連携 認知症疾患医療センターの「連携担当者」と地域包括支援センターの「認知症連携担当者」が連携し、切れ目のない 医療と介護のサービスを提供するとともに、地域ケアに対する専門的な支援を実施 認知症疾患医療センターの「連携担当者」と地域包括支援センターの「認知症連携担当者」が連携し、切れ目のない 医療と介護のサービスを提供するとともに、地域ケアに対する専門的な支援を実施 市内の他の地域包括支援センター 介護サービス 本人・家族など かかりつけ医 高齢者権利擁護虐待対 応専門職チームなど (相談・援助) (連携) ・専門医療へのつなぎ ・情報提供 ・介護認定相談 ・介護へのつなぎ ・情報提供(定期的(毎週)) 関係機関とのネットワーク(相談・支援体制) (認知症疾患医療センターの設置市域) 地域包括支援センター 認知症連携担当者を配置 認知症介護指導者研修修了者等認知症の介護や医療 における専門的知識を有する者 なお、顧問として認知症サポート医(嘱託)を配置 (全国150カ所(市域内におおむね1カ所) 【業務内容】 ・ 認知症疾患医療センターとの相談・連絡 ・ 権利擁護の専門家等との相談・連絡 ・ 他の地域包括支援センターへの専 門的な認知 症ケア相談、定期的な巡回相談、具体的な援助 等 ・ 専門的アドバイス ・ 巡回相談 ・ 専門医療の紹介 等 ・認知症ケア相談 ・専門医療相談 ・権利擁護相談 等 (利用) (連携) (利用) (相談・援助) (専門医療の利用) (連携) (相談・援助) 現在県内3箇所指定 今回、認知症総合対策という視点から、幅広く報告いただいた。 59「認知症地域支援体制構築等推進事業に取り組んで」 松阪市保健部介護高齢課 奈良かよ子 60「認知症になっても安心して暮らせるまちを目指して」 御浜町地域包括支援センター 西勉 61「認知症の人と家族を地域で支える名張市の取り組み」 名張市地域包括支援センター 北森祥子 62「認知症疾患医療センターを中心とした認知症トータルサポート」 東員病院 村瀬澄夫 山本幸孝 63「認知症疾患医療センターの取り組みについて」 三重県立こころの医療センター 池山総一 64「認知症医療について」 四日市地区認知症支援総合ネットワーク 伊藤毅 65「認知症への取り組み」 社会福祉法人青山里会 西元幸雄 66「パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピング~マッピングで認知症ケア の向上を~」 四日市市介護相談員 坂本凉子 67「三重県認知症コールセンターの取り組みについて」 認知症の人と家族の会三重県支部 松島早由美 68「認知症サポーター養成講座の取り組み」 桑名市中央地域包括支援センター 荒川育子 69「認知症サポーターの養成」 志摩市ふくし総合支援室 前田小百合 喜田珠美 70「イオンの『認知症サポーター』の養成の取り組み」 イオン株式会社グループ環境・社会貢献部 塚田公香

参照

関連したドキュメント

を占めている。そのうち 75 歳以上の後期高齢者は 1,872 万人(14.9%)、80 歳以上は 1,125 万

を受けている保税蔵置場の名称及び所在地を、同法第 61 条の5第1項の承

地域の感染状況等に応じて、知事の判断により、 「入場をする者の 整理等」 「入場をする者に対するマスクの着用の周知」

高圧ガス移動防災対策については、事業者によって組織されている石川県高圧ガス地域防災協議

商業地域 高さ 30m以上又は延べ面積が 1,200 ㎡以上 近隣商業地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 1,000 ㎡以上 その他の地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 800 ㎡以上

原田マハの小説「生きるぼくら」

「北区基本計画

痴呆は気管支やその他の癌の不転移性の合併症として発展するが︑初期症状は時々隠れている︒痴呆は高齢者やステ